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2024-12-12

フランツ・リストピアノ名曲重要曲七選(前期)

 最近流行ってるゲーム史上の重要性とは何も関係ないが何となく思いついたのでやってみることにした。

 フランツ・リスト(1811-1886)はハンガリー王国の寒村ドボルヤーン(現オーストリア・ライディング)に生まれ作曲家リストハンガリー人としての自意識を持っていたようだが、両親はドイツ系であり、他方でパリ成功を収めた関係フランス語を使って生活していたと思われる。いわゆるコスモポリタンであり、○○国の音楽家とは言いにくい。音楽史上の重要性ではバッハやベートヴェンには劣ってしまうから義務教育では名前は出てこないだろうが、少なくともピアノ音楽史上は絶対に避けては通れない。無尽蔵の超絶技巧によってピアノ表現可能性を著しく拡張たからだ。膨大なリストピアノ作品から十選ではきついので、リスト活動時期に区切って十選ずつということにした。

 クラシック音楽の紹介をする以上、演奏(録音)の紹介は避けて通れない。まさか自分で弾いて確かめろというわけにもいかないだろう。筆者は、リストの豪華絢爛な超絶技巧音楽が大好きである一方、特に晩年に多い宗教的内向的音楽は未だにあまりピンと来ない感がある。努力はしたが、晩年作品を中心にうまく推薦ができていないのは好みの関係で、あまり色々な音源を聞き比べていないことが一つの理由だ。

 リストピアノ作品はあまりに膨大で、しかも抜群の技巧を要求する作品も多い。したがって「全集ものリファレンス指定することが難しい。一曲ごとの規模の違いを無視していうが、大量のピアノ曲を残した作曲家であるショパン場合作品数は200強だから単独ピアニストによる全集も作られているし(ギャリック・オールソンによるものが世評が高い)、レコード会社企画モノで複数ピアニストを起用して制作されることもある。横山幸雄に至っては、二回、ショパン作品の(文字通り)連続演奏会を開いている(https://www.afpbb.com/articles/-/2784123)。しかリスト場合は単純な作品数の多さ、別稿・異稿が多く存在すること、難易度の高い曲が非常に多いことから、「全集」の制作は困難を極める。複数ピアニストを起用しているNAXOSリストピアノ曲集シリーズも未だに全曲をカバーできていない。リストピアノ作品全集という前人未踏の大偉業を成し遂げたレスリーハワードCDHyperion)は本編と別巻(新たに発見された別稿・異稿)あわせてCD99枚というとんでもない分量がある(全曲試聴可能https://www.hyperion-records.co.uk/dc.asp?dc=D_CDS44501/98)。ただ、優れたピアニストであるハワードでも、短期間に大量の作品を録音しなければならない計画故、詰めの甘い演奏がかなりあるように感じられ、何も考えずにハワード全集を推薦するわけにもいかない。とはいえハワードのおかげで取り敢えずリストピアノ曲のほとんどをまともな「音」として把握できるようになった。ここで敬意を示しておきたい。ちなみに膨大な量のハワードCDを一巻ずつ紹介している古いサイトがあり、これまた頭が下がる(https://www.katch.ne.jp/~hasida/liszt/liszt.htm)。

 リストの生涯について。作曲家の生涯を知ることが楽曲理解に必ずしも結びつくわけではないが、それでも、どのような作風意識しているのかとか、どのようなモチーフを描こうとしたのか(特に標題音楽場合)ということを知ることは有益だろう。作曲家の置かれていた状況を知ることはその理解の助けになり得る。リスト場合、ざっくりいえば大スターとして活躍した1840年代までの時期(前期)、ワイマール宮廷楽長としての活動が中心になる50年代(中期)、そして50年代末の波乱、特に愛人カロリーヌとの結婚が認められず、子どもの早世などの不幸に連続して見舞われた後、ローマに腰を落ち着け作曲活動を再開し、亡くなるまでの晩年の時期(後期)に活動を区切ることができる。このあとは単に前期・中期・後期とのみ述べる。ここで紹介するのは、前期、少年時代からピアニスト時代までのものだ。

 作品番号について。クラシック音楽には、出版社のつけた出版順序を示す作品番号(op. xxみたいなやつ)がついていることが多い。クラシック音楽では、抽象的に「ピアノソナタ」とのみ名乗る曲が多いので、作品番号は楽曲区別にとって大事になる。しかし、リスト作品番号は出版社ごとに全然違うなど滅茶苦茶で(こういうことはシューベルトにも言える)、作品番号では把握できない。そこでよく使われるのは、イギリス音楽学者ハンフリー・サールが整理して付番したサール番号(S. xx)であるWikipediaにもサール番号順のリスト作品一覧があるので参照されたい。

1. 48の練習曲 S.136(1827年出版

 彼の代表作の一つ、「超絶技巧練習曲」の初稿にあたる作品。48とあるが、実際には全12曲。「超絶」を聞いたことがある人なら驚くはず。リスト15歳の頃の作品リストハンガリー貴族たちから奨学金をもらってチェルニーの元で学んでいたのだが、本作品は明らかに影響が見て取れ、微笑ましいと思うか、チェルニー××番を思い出して頭が痛くなるかは人次第だろう。録音は多くない。筆者はハワードを一聴したことがあるのみ。ウィリアム・ウォルフラムNAXOS全集20巻)は未聴。ちなみにパガニーニの影響を受けたあとの改訂版24練習曲 S.137)は異常に難易度が高い割に第三版にあたる「超絶技巧練習曲」ほど演奏効果がないのでやはりほとんど取り上げられない(ハワードは録音している)。

2. 「ある芸術家の生涯の出来事」 S.470(1834年出版

 タイトルでもしやと思った方、あなたは正しい。ベルリオーズの「幻想交響曲」のピアノ編曲だ。実は原曲よりも出版自体こちらの方が早いようだ。ふられた作曲家がヤクをやって彼女を殺して処刑されて悪魔サバトに遭遇するという夢、というとしょーもない話だが、この曲は初演当時多数の人々を熱狂に巻き込んだ。リスト熱狂した一人だった。それでピアノ編曲までやってしまったのだが、当時は録音技術がないので、家でちょっと味わおうとCDだのSpotifyなどというわけにはいかない。ピアノで弾くしかないわけだ。とはいえ、よくあるオケ作品のお手軽編曲ではなく、オーケストラの生み出す音響可能な限りピアノ再現しようとした意欲的な作品だ。演奏難易度は極めて高い。フランソワ=ルネ・デュシャーブル(EMI)とニコライ・ペトロフ(原盤は知らないがVeneziaの再版盤を所持)の演奏が世評高く、特に後者演奏は凄まじいが、まだまだこの曲のポテンシャルを完全には引き出していないような気がする。ジョヴァンニベルッチ(CD未所持)は公式YouTube演奏動画アップロードしている(https://www.youtube.com/watch?v=bSqunBoj0cY)。これが一番アクセスやすいだろう(録音は一番良い気がする)。

3. パガニーニによる超絶技巧練習曲S.140(1840年出版

 1828~34年に欧州コンサートツアーを行ったヴァイオリニストのニッコロ・パガニーニは極限まで高められた演奏技巧と表現力によって多くの熱狂ファンを獲得した。リストパガニーニに狂った一人(またかよ)。全6曲、すべてパガニーニ作品から編曲だ。ヴァイオリン技法ピアノに映すというよりも、パガニーニから霊感をもらってピアノ技巧の拡張を試みたものと言って良い。第3曲が「ラ・カンパネッラ」(ヴァイオリン協奏曲第2番第3楽章編曲)だが、有名な「ラ・カンパネッラ」は、実は本曲集の改訂版S.141(1851年出版)の方であり、本曲集を聴くと、違いに驚く(逆にパガニーニ原曲を知っているとそちらに忠実ということに驚く)と思われる。そしてこの曲集は何よりも演奏難易度の高さで悪名高く、特にひたすら重量級かつ幅広い跳躍のある和音アルペッジョが続く第4曲(の第2稿)はピアノマニアの間では語り草になっている。また第6番「主題と変奏」(原曲24の奇想曲第24番)の第9変奏も地味ながら恐ろしく難しい。

 かつては本曲集といえばペトロフ(原盤Melodiya、VeneziaとOlympia再版盤で所持)、大井和郎(Deutsche Shallplatten)、そしてハワード全集しかなく、マニアたちがアップロードしているMIDI演奏非人間的超絶技巧を楽しんでいたのだが、現在ではゴラン・フィリペツ(NAXOS全集42)とヴァレチェク(Capriccio)が挑戦している。現在でもペトロフ演奏が最も高い水準にある思われるが(映像もある https://www.nicovideo.jp/watch/sm12879344)、フィリペツの演奏もそれに並ぶハイレベル演奏であり(流石に6番の第9変奏は苦しそうだが)、CDの入手可能性もあるので今ならフィリペツを聴くと良い。ちなみにペトロフ映像は中々手元を写してくれないので、「国家機密の指」と揶揄されているが、確かこれはペトロフカメラに写されることを非常に嫌っていたからだと思う(出典は忘れた)。

4. 旅人アルバム S.156(1836年~1842年出版)、「巡礼の年 第一年:スイス」(1855年)、「巡礼の年 第二年:イタリア」(1858年)、「第二年補遺ヴェネツィアナポリ」(1859年改訂版

 ダグー伯爵夫人マリーは当時のパリ社交界代表する人物で、たいへんな美貌の持ち主だったという。リスト1834年からマリーと逢瀬を重ね、35年にマリーは妊娠している。大胆なスキャンダル芸能人特権

 特に社交界でつまはじきにされることもなかったようだが、人目を憚るように二人は(それぞれ一時的パリ帰国も挟みつつ)スイスイタリアへの旅行順次出かけている。鉄道もない時代なので妊婦には大変な重労働だったはずだが、ジュネーヴで36年12月、長女ブランディーヌが誕生した。

 旅人アルバムは、スイス旅行で見聞きした風景民謡モチーフにした曲集で、全19曲ある。このうちの数曲が改訂を経て「巡礼の年 第一年:スイス」 S.160(1855年)に結実する。また、37~38年に訪れていたイタリア旅行で見聞きした風景芸術作品から受けた霊感表現した「第二年」と「補遺」も出版は後年だが、大部分は39~40年頃に完成していたらしい。

 旅人アルバムほとんど聴いたことがない。NAXOS全集32のアシュリー・ウォスもハワード全集でも聴いてない。巡礼の年の方は、第三年も含めた全曲盤ならラザール・ベルマン(Deutsche Grammophone)が有名。村上春樹小説中に登場したせいでクラシック音楽CDにしては珍しく再版がかかった。個人的にはルイ・ロルティ(CHANDOS)の演奏がとにかく美しく、大好きである巡礼の年は、大曲もあるが、短めで肩肘張らずに聞ける曲も多いので、リスト入門にはもってこい。第一年の大曲「オーベルマンの谷」単独ならアルカーディ・ヴォロドスSONY)がホロヴィッツ編曲を織り交ぜながら気合い入りまくっている(https://www.youtube.com/watch?v=4ADtxG-b8ik)。第二年、そして本曲集最大の大曲であり、リスト最高傑作の一つであるダンテを読んで:ソナタ幻想曲」は、評判の高いベルント・グレムザー(Koch Schwann)は未入手。ロルティ(CHANDOS)は全集版も第二年だけの旧録音どちらも良い(とにかく超絶技巧を味わいたいなら若い頃の旧録音が良い)。有名曲なので演奏動画をアップしている人はプロアマわず色々いる。

5. ベッリーニオペラノルマ」の回想 S.394(1844年)

 幻想交響曲もそうだが、リスト作品の多くを他作品編曲が占めている。特に多数のオペラ編曲があるが、この曲が最高傑作だと思う。中盤の鍵盤を駆け巡るアルペッジョは明らかにジギスムント・タールベルクの「三本の手」を取り入れたもので、聴いていて気持ちが良い。後半の「戦争だ、戦争だ!」のテーマに基づく部分は極めて難しく、ここを上手く弾けるかどうかがこの作品の見所。しかいかにも難しいという様子で弾いては興ざめ。

 今ならフィリペツの映像https://www.youtube.com/watch?v=0TMypN1gW5k)が一番良い。CDもあるらしいのだが自主制作盤と思われ、未入手。他は、かつては表現意欲にあふれるベルッチ(assai)、ヴィルトゥオーゾ的な迫力あるトム・ウェイクフィールド(Symposium Records)、そして我らがスーパーヴィルトゥオーゾマルク=アンドレ・アムラン旧録音(Music & Arts)が三大録音だったと思う。アムラン新録音(Hyperion)は若干遅くなったが、抜群に録音が良くなり、総合的にこちらの方が好きかも。若手だと韓国のノ・イェジン(NCM)やイギリスベンジャミングロヴナー(Decca/https://www.youtube.com/watch?v=OVKTEoxBIKE)が大変良い。

6. 三つの演奏会用練習曲1849年出版

 40年代作曲されたもの。全3曲。演奏会用練習曲は、チェルニーのような練習のための曲ではなく、コンサート披露して喝采さらうための曲であり、いわゆる「性格的小品」の一種リストはこういう曲をひっさげてコンサートに臨んでいたわけだ。第1曲から「嘆き」、「軽やかさ」、「ため息」と標題がついているが、出版社がつけたものに過ぎない。第2番の標題通り、全体的に軽やかな作風特に「ため息」は有名でよく弾かれる。

 第2、あるいは有名な第3番の録音はよく見るが、全曲録音というと意外とない。福間洸太朗(アクースティカ)のCDに全曲入っている。確かロルティ(CHANDOS)にも全曲録音があったはず。

7. ノンネンヴェルトの僧房ピアノ初版1843年出版

 スイスイタリアマリーと過ごしたリストだったが、ピアニストとして忙しく飛び回るためにマリーを放置してしまい、結局二人は破局する。ひどい話で、破局した後もリスト演奏活動をしていたので、リストの母が子どもたちの面倒を見ていた。

 41~43年の夏にリストマリーはライン川中州にあるノンネンヴェルトの古い修道院子どもたちと共に過ごしているが、これがマリーとの最後の親密なお付き合いだった。この曲は、当時同地に夫妻を訪ねてきたリヒノフスキー侯爵の詩に音楽をつけたものシャルルマーニュ武将ローラ戦死誤報を受けて絶望した妻がノンネンヴェルト修道院に入ってしまい、ローランは二度と妻と会えなくなったことを知って修道院を見下ろせる土地に住み着き、妻を思う歌を歌った・・・という救いのないストーリーだ(歌詞https://www7b.biglobe.ne.jp/~lyricssongs/TEXT/S4212.htm)。マリーとの破局に後悔していたのか、リストはこの曲に相当執着していたようで、ピアノ独奏用を含めて複数ヴァージョンを作り、何度も改訂している。晩年バージョンアンスネスEMI)などが録音しているが、重苦しい。当時のバージョンはそこまで重苦しくないと思う。推薦音源はあまり思いつかない。全集を録音しているハワードライナーで"beloved"と書いていて、気に入っているみたいである。

 華麗なオペラものシューベルト歌曲編曲魔王を含めてかなりの曲を編曲しており、どれも魅力的)など、編曲を中心にまだまだ色々な作品があるが、そろそろ次の時代に進もう。

フランツ・リストピアノ名曲重要曲七選(前期)

 最近流行ってるゲーム史上の重要性とは何も関係ないが何となく思いついたのでやってみることにした。

 フランツ・リスト(1811-1886)はハンガリー王国の寒村ドボルヤーン(現オーストリア・ライディング)に生まれ作曲家リストハンガリー人としての自意識を持っていたようだが、両親はドイツ系であり、他方でパリ成功を収めた関係フランス語を使って生活していたと思われる。いわゆるコスモポリタンであり、○○国の音楽家とは言いにくい。音楽史上の重要性ではバッハやベートヴェンには劣ってしまうから義務教育では名前は出てこないだろうが、少なくともピアノ音楽史上は絶対に避けては通れない。無尽蔵の超絶技巧によってピアノ表現可能性を著しく拡張たからだ。膨大なリストピアノ作品から十選ではきついので、リスト活動時期に区切って十選ずつということにした。

 クラシック音楽の紹介をする以上、演奏(録音)の紹介は避けて通れない。まさか自分で弾いて確かめろというわけにもいかないだろう。筆者は、リストの豪華絢爛な超絶技巧音楽が大好きである一方、特に晩年に多い宗教的内向的音楽は未だにあまりピンと来ない感がある。努力はしたが、晩年作品を中心にうまく推薦ができていないのは好みの関係で、あまり色々な音源を聞き比べていないことが一つの理由だ。

 リストピアノ作品はあまりに膨大で、しかも抜群の技巧を要求する作品も多い。したがって「全集ものリファレンス指定することが難しい。一曲ごとの規模の違いを無視していうが、大量のピアノ曲を残した作曲家であるショパン場合作品数は200強だから単独ピアニストによる全集も作られているし(ギャリック・オールソンによるものが世評が高い)、レコード会社企画モノで複数ピアニストを起用して制作されることもある。横山幸雄に至っては、二回、ショパン作品の(文字通り)連続演奏会を開いている(https://www.afpbb.com/articles/-/2784123)。しかリスト場合は単純な作品数の多さ、別稿・異稿が多く存在すること、難易度の高い曲が非常に多いことから、「全集」の制作は困難を極める。複数ピアニストを起用しているNAXOSリストピアノ曲集シリーズも未だに全曲をカバーできていない。リストピアノ作品全集という前人未踏の大偉業を成し遂げたレスリーハワードCDHyperion)は本編と別巻(新たに発見された別稿・異稿)あわせてCD99枚というとんでもない分量がある(全曲試聴可能https://www.hyperion-records.co.uk/dc.asp?dc=D_CDS44501/98)。ただ、優れたピアニストであるハワードでも、短期間に大量の作品を録音しなければならない計画故、詰めの甘い演奏がかなりあるように感じられ、何も考えずにハワード全集を推薦するわけにもいかない。とはいえハワードのおかげで取り敢えずリストピアノ曲のほとんどをまともな「音」として把握できるようになった。ここで敬意を示しておきたい。ちなみに膨大な量のハワードCDを一巻ずつ紹介している古いサイトがあり、これまた頭が下がる(https://www.katch.ne.jp/~hasida/liszt/liszt.htm)。

 リストの生涯について。作曲家の生涯を知ることが楽曲理解に必ずしも結びつくわけではないが、それでも、どのような作風意識しているのかとか、どのようなモチーフを描こうとしたのか(特に標題音楽場合)ということを知ることは有益だろう。作曲家の置かれていた状況を知ることはその理解の助けになり得る。リスト場合、ざっくりいえば大スターとして活躍した1840年代までの時期(前期)、ワイマール宮廷楽長としての活動が中心になる50年代(中期)、そして50年代末の波乱、特に愛人カロリーヌとの結婚が認められず、子どもの早世などの不幸に連続して見舞われた後、ローマに腰を落ち着け作曲活動を再開し、亡くなるまでの晩年の時期(後期)に活動を区切ることができる。このあとは単に前期・中期・後期とのみ述べる。ここで紹介するのは、前期、少年時代からピアニスト時代までのものだ。

 作品番号について。クラシック音楽には、出版社のつけた出版順序を示す作品番号(op. xxみたいなやつ)がついていることが多い。クラシック音楽では、抽象的に「ピアノソナタ」とのみ名乗る曲が多いので、作品番号は楽曲区別にとって大事になる。しかし、リスト作品番号は出版社ごとに全然違うなど滅茶苦茶で(こういうことはシューベルトにも言える)、作品番号では把握できない。そこでよく使われるのは、イギリス音楽学者ハンフリー・サールが整理して付番したサール番号(S. xx)であるWikipediaにもサール番号順のリスト作品一覧があるので参照されたい。

1. 48の練習曲 S.136(1827年出版

 彼の代表作の一つ、「超絶技巧練習曲」の初稿にあたる作品。48とあるが、実際には全12曲。「超絶」を聞いたことがある人なら驚くはず。リスト15歳の頃の作品リストハンガリー貴族たちから奨学金をもらってチェルニーの元で学んでいたのだが、本作品は明らかに影響が見て取れ、微笑ましいと思うか、チェルニー××番を思い出して頭が痛くなるかは人次第だろう。録音は多くない。筆者はハワードを一聴したことがあるのみ。ウィリアム・ウォルフラムNAXOS全集20巻)は未聴。ちなみにパガニーニの影響を受けたあとの改訂版24練習曲 S.137)は異常に難易度が高い割に第三版にあたる「超絶技巧練習曲」ほど演奏効果がないのでやはりほとんど取り上げられない(ハワードは録音している)。

2. 「ある芸術家の生涯の出来事」 S.470(1834年出版

 タイトルでもしやと思った方、あなたは正しい。ベルリオーズの「幻想交響曲」のピアノ編曲だ。実は原曲よりも出版自体こちらの方が早いようだ。ふられた作曲家がヤクをやって彼女を殺して処刑されて悪魔サバトに遭遇するという夢、というとしょーもない話だが、この曲は初演当時多数の人々を熱狂に巻き込んだ。リスト熱狂した一人だった。それでピアノ編曲までやってしまったのだが、当時は録音技術がないので、家でちょっと味わおうとCDだのSpotifyなどというわけにはいかない。ピアノで弾くしかないわけだ。とはいえ、よくあるオケ作品のお手軽編曲ではなく、オーケストラの生み出す音響可能な限りピアノ再現しようとした意欲的な作品だ。演奏難易度は極めて高い。フランソワ=ルネ・デュシャーブル(EMI)とニコライ・ペトロフ(原盤は知らないがVeneziaの再版盤を所持)の演奏が世評高く、特に後者演奏は凄まじいが、まだまだこの曲のポテンシャルを完全には引き出していないような気がする。ジョヴァンニベルッチ(CD未所持)は公式YouTube演奏動画アップロードしている(https://www.youtube.com/watch?v=bSqunBoj0cY)。これが一番アクセスやすいだろう(録音は一番良い気がする)。

3. パガニーニによる超絶技巧練習曲S.140(1840年出版

 1828~34年に欧州コンサートツアーを行ったヴァイオリニストのニッコロ・パガニーニは極限まで高められた演奏技巧と表現力によって多くの熱狂ファンを獲得した。リストパガニーニに狂った一人(またかよ)。全6曲、すべてパガニーニ作品から編曲だ。ヴァイオリン技法ピアノに映すというよりも、パガニーニから霊感をもらってピアノ技巧の拡張を試みたものと言って良い。第3曲が「ラ・カンパネッラ」(ヴァイオリン協奏曲第2番第3楽章編曲)だが、有名な「ラ・カンパネッラ」は、実は本曲集の改訂版S.141(1851年出版)の方であり、本曲集を聴くと、違いに驚く(逆にパガニーニ原曲を知っているとそちらに忠実ということに驚く)と思われる。そしてこの曲集は何よりも演奏難易度の高さで悪名高く、特にひたすら重量級かつ幅広い跳躍のある和音アルペッジョが続く第4曲(の第2稿)はピアノマニアの間では語り草になっている。また第6番「主題と変奏」(原曲24の奇想曲第24番)の第9変奏も地味ながら恐ろしく難しい。

 かつては本曲集といえばペトロフ(原盤Melodiya、VeneziaとOlympia再版盤で所持)、大井和郎(Deutsche Shallplatten)、そしてハワード全集しかなく、マニアたちがアップロードしているMIDI演奏非人間的超絶技巧を楽しんでいたのだが、現在ではゴラン・フィリペツ(NAXOS全集42)とヴァレチェク(Capriccio)が挑戦している。現在でもペトロフ演奏が最も高い水準にある思われるが(映像もある https://www.nicovideo.jp/watch/sm12879344)、フィリペツの演奏もそれに並ぶハイレベル演奏であり(流石に6番の第9変奏は苦しそうだが)、CDの入手可能性もあるので今ならフィリペツを聴くと良い。ちなみにペトロフ映像は中々手元を写してくれないので、「国家機密の指」と揶揄されているが、確かこれはペトロフカメラに写されることを非常に嫌っていたからだと思う(出典は忘れた)。

4. 旅人アルバム S.156(1836年~1842年出版)、「巡礼の年 第一年:スイス」(1855年)、「巡礼の年 第二年:イタリア」(1858年)、「第二年補遺ヴェネツィアナポリ」(1859年改訂版

 ダグー伯爵夫人マリーは当時のパリ社交界代表する人物で、たいへんな美貌の持ち主だったという。リスト1834年からマリーと逢瀬を重ね、35年にマリーは妊娠している。大胆なスキャンダル芸能人特権

 特に社交界でつまはじきにされることもなかったようだが、人目を憚るように二人は(それぞれ一時的パリ帰国も挟みつつ)スイスイタリアへの旅行順次出かけている。鉄道もない時代なので妊婦には大変な重労働だったはずだが、ジュネーヴで36年12月、長女ブランディーヌが誕生した。

 旅人アルバムは、スイス旅行で見聞きした風景民謡モチーフにした曲集で、全19曲ある。このうちの数曲が改訂を経て「巡礼の年 第一年:スイス」 S.160(1855年)に結実する。また、37~38年に訪れていたイタリア旅行で見聞きした風景芸術作品から受けた霊感表現した「第二年」と「補遺」も出版は後年だが、大部分は39~40年頃に完成していたらしい。

 旅人アルバムほとんど聴いたことがない。NAXOS全集32のアシュリー・ウォスもハワード全集でも聴いてない。巡礼の年の方は、第三年も含めた全曲盤ならラザール・ベルマン(Deutsche Grammophone)が有名。村上春樹小説中に登場したせいでクラシック音楽CDにしては珍しく再版がかかった。個人的にはルイ・ロルティ(CHANDOS)の演奏がとにかく美しく、大好きである巡礼の年は、大曲もあるが、短めで肩肘張らずに聞ける曲も多いので、リスト入門にはもってこい。第一年の大曲「オーベルマンの谷」単独ならアルカーディ・ヴォロドスSONY)がホロヴィッツ編曲を織り交ぜながら気合い入りまくっている(https://www.youtube.com/watch?v=4ADtxG-b8ik)。第二年、そして本曲集最大の大曲であり、リスト最高傑作の一つであるダンテを読んで:ソナタ幻想曲」は、評判の高いベルント・グレムザー(Koch Schwann)は未入手。ロルティ(CHANDOS)は全集版も第二年だけの旧録音どちらも良い(とにかく超絶技巧を味わいたいなら若い頃の旧録音が良い)。有名曲なので演奏動画をアップしている人はプロアマわず色々いる。

5. ベッリーニオペラノルマ」の回想 S.394(1844年)

 幻想交響曲もそうだが、リスト作品の多くを他作品編曲が占めている。特に多数のオペラ編曲があるが、この曲が最高傑作だと思う。中盤の鍵盤を駆け巡るアルペッジョは明らかにジギスムント・タールベルクの「三本の手」を取り入れたもので、聴いていて気持ちが良い。後半の「戦争だ、戦争だ!」のテーマに基づく部分は極めて難しく、ここを上手く弾けるかどうかがこの作品の見所。しかいかにも難しいという様子で弾いては興ざめ。

 今ならフィリペツの映像https://www.youtube.com/watch?v=0TMypN1gW5k)が一番良い。CDもあるらしいのだが自主制作盤と思われ、未入手。他は、かつては表現意欲にあふれるベルッチ(assai)、ヴィルトゥオーゾ的な迫力あるトム・ウェイクフィールド(Symposium Records)、そして我らがスーパーヴィルトゥオーゾマルク=アンドレ・アムラン旧録音(Music & Arts)が三大録音だったと思う。アムラン新録音(Hyperion)は若干遅くなったが、抜群に録音が良くなり、総合的にこちらの方が好きかも。若手だと韓国のノ・イェジン(NCM)やイギリスベンジャミングロヴナー(Decca/https://www.youtube.com/watch?v=OVKTEoxBIKE)が大変良い。

6. 三つの演奏会用練習曲1849年出版

 40年代作曲されたもの。全3曲。演奏会用練習曲は、チェルニーのような練習のための曲ではなく、コンサート披露して喝采さらうための曲であり、いわゆる「性格的小品」の一種リストはこういう曲をひっさげてコンサートに臨んでいたわけだ。第1曲から「嘆き」、「軽やかさ」、「ため息」と標題がついているが、出版社がつけたものに過ぎない。第2番の標題通り、全体的に軽やかな作風特に「ため息」は有名でよく弾かれる。

 第2、あるいは有名な第3番の録音はよく見るが、全曲録音というと意外とない。福間洸太朗(アクースティカ)のCDに全曲入っている。確かロルティ(CHANDOS)にも全曲録音があったはず。

7. ノンネンヴェルトの僧房ピアノ初版1843年出版

 スイスイタリアマリーと過ごしたリストだったが、ピアニストとして忙しく飛び回るためにマリーを放置してしまい、結局二人は破局する。ひどい話で、破局した後もリスト演奏活動をしていたので、リストの母が子どもたちの面倒を見ていた。

 41~43年の夏にリストマリーはライン川中州にあるノンネンヴェルトの古い修道院子どもたちと共に過ごしているが、これがマリーとの最後の親密なお付き合いだった。この曲は、当時同地に夫妻を訪ねてきたリヒノフスキー侯爵の詩に音楽をつけたものシャルルマーニュ武将ローラ戦死誤報を受けて絶望した妻がノンネンヴェルト修道院に入ってしまい、ローランは二度と妻と会えなくなったことを知って修道院を見下ろせる土地に住み着き、妻を思う歌を歌った・・・という救いのないストーリーだ(歌詞https://www7b.biglobe.ne.jp/~lyricssongs/TEXT/S4212.htm)。マリーとの破局に後悔していたのか、リストはこの曲に相当執着していたようで、ピアノ独奏用を含めて複数ヴァージョンを作り、何度も改訂している。晩年バージョンアンスネスEMI)などが録音しているが、重苦しい。当時のバージョンはそこまで重苦しくないと思う。推薦音源はあまり思いつかない。全集を録音しているハワードライナーで"beloved"と書いていて、気に入っているみたいである。

 華麗なオペラものシューベルト歌曲編曲魔王を含めてかなりの曲を編曲しており、どれも魅力的)など、編曲を中心にまだまだ色々な作品があるが、そろそろ次の時代に進もう。

anond:20241212195702

「仮にパレスチナ正当性あってもイスラエル蛮行は止められない」し、「仮にイスラエル正当性あってもパレスチナ蛮行は止められない」のかも知れない

この問題には、いつもカウンターがあるんだよ

パレスチナだってもっと以前から国連の二国家共存蹴って戦争しかけたりしてる

メリットで言ったら、テロ報復関係性でガザ更地になるよりかは、ルールのある戦争の方がいいと思うだけ

戦争するならお互い辞めるべきこと辞めないと

逆に、聞きたいけどイスラエルパレスチナ関係において、ハマス民間人犠牲者を出すなって言うことに正当性があると思う?

韓国法に見る戒厳の要件と尹錫悦が実際にやったこととの比較

1 戦時・事変又はこれに準ずる国家緊急事態時、敵と交戦状態にあったり、社会秩序が極度に乱れ、

行政及び司法機能遂行が著しく困難な場合軍事上の必要、又は公共安寧秩序を維持する必要がある状況であること(憲法77条1項、戒厳法2条2項)

 →明らかにそういう状況ではない。要件を満たしていない。尹錫悦は戒厳をするために北朝鮮挑発した疑いがある。

 

2 戒厳を宣布したときに、大統領が、遅滞なくその旨を国会に通告すること

憲法77条4項、戒厳法4条)

 →国会に通告していないので、要件を満たしていない。

 

3 戒厳布告令その他の戒厳において取られた措置が、憲法及び法律によって予め授権の範囲であること(憲法77条1項、同3項、戒厳法9条等)

 →政治活動禁止国会閉鎖は、明らかに授権の範囲を超えている。要件を満たしていない。

 

4 戒厳の宣布に際して、国務会議の審議を経ていること(憲法89条、戒厳法2条5項)

 →まともに国務会議をやっていない。要件を満たしていない。

 

5 戒厳の宣布に際して、その理由、種類、施行日時、施行地域及び戒厳司令官公告すること(戒厳法3条)

 →これは多分OK?でも期限を定めていないからやっぱりアウト?

 

 

 

大統領の職権だからOK!これを内乱罪に問うたら戒厳できなくなる!みたいな擁護してるやつ見かけるけど、

全然法令守ってないんだよなあ・・・

anond:20241212193155

ルールを守るはずないって話ならイスラエルだけじゃなくて、パレスチナもだよ

国連の二国家共存蹴って戦争してるしな

どっちも守るべきなんだよ

anond:20241211220148

イスラエルのやってることは正直言って微塵も支持できないが、それはそれとしてムスリムはもう少し自由民主主義国家に馴染む努力しろとは思う

少なくとも現地の法が駄目だと決めたことはたとえコーランに書かれてあろうが我慢しろ

つかそもそもムスリム増長するのも現地の行政機関法執行機関日和見主義元凶なんだよな

法を犯したらきっちり取り締まれ

anond:20241212172326

また始めたらいいじゃない

テロ報復ガザ壊滅するよりも二国家共存のなかで、部分的戦線を押したり引いたりして遊んでる方がずっといい

anond:20241212171026

テロ戦争は、本質的には異なるものです。それぞれの特徴を明確にすることで、その違いを理解できます

まず、テロ特定政治的宗教的、または社会的目標を達成するために行われる暴力行為です。テロリストの主な目的は、恐怖心を利用して人々や政府に影響を与えることです。この行為は、非武装市民公共の場所を標的にすることが多く、意図的無差別に行われることがあります。また、テロは通常、国家軍隊ではなく、小規模な集団個人によって実行されます。そのため、戦争のような広範な軍事行動ではなく、ゲリラ戦自爆攻撃といった限定的かつ突発的な手段が用いられることが一般的です。

一方、戦争国家間または国家と他の勢力との間で行われる組織的武力紛争です。戦争は明確なルールや慣習が存在し、交戦国の間で相互認識された敵対行為として行われます軍隊が動員され、戦闘戦場と呼ばれる特定地域で行われることが多いです。また、戦争目的領土の拡大、資源の確保、政治的支配など、国家利益に関連することが主です。

このように、テロ戦争の大きな違いは、規模、主体目的、そして対象にありますテロは恐怖を生み出すことを目的とした非正規行為であり、戦争国家間の利益を巡る正規紛争です。この違いを理解することで、両者に対する適切な対策を考える出発点となるでしょう。

anond:20241212164204

しょうがないなあのび太君は僕が説明してあげるよ

結論としてB増田が「内政干渉」の意味理解してないんだ

内政干渉(読み)ナイセイカンショウ(英語表記)intervention on internal matters

他国政治外交に介入して、その国の主権を束縛・侵害すること。

わかるかい

ウクライナEUに入るのもNATOに入るのもウクライナ主権なんだ

アメリカ台湾国家であることを宣言して中華人民共和国から独立承認することも主権なんだ

なので本来他国がどうこう出来るものではないんだ、それが内政干渉から

だけどウクライナNATO加盟宣言すれば戦争になるし、アメリカ台湾独立宣言すれば戦争になるわけだ

でB増田

内政干渉戦争が起こることなんぞまずありえない。

他国政策自国経済的逼迫を起こしてて武力で苦境をはねのけるしかないとき戦争関連産業カンフル剤にしないと経済保たないとき戦争が起こる。

その時の大義名分として他国の内政にケチをつけることがありうるだけ。

余裕で暮らしていける状況のときにどんだけ他国が人道無視の悪政をしてようが一国レベルいっちょかみする義理はないし得もない。

国連レベルの学級会が備える武力に関しては人道で動くことはある程度。

内政干渉戦争が起こることなんぞまずありえない」と言ってるわけだ。

B増田は「内政干渉」を正しい意味他国政治外交に介入してその国の主権を束縛・侵害すること」、ではなく「なんかちょっかい出す」OR「手段」程度にしか理解できてないわけだ。

からAIに「内政干渉目的として起こるものか、それとも別の要因が主で、内政干渉正当化のための大義名分にすぎないのか」って的外れ質問をしてしまうわけだね。

anond:20241212160853

AIも支持してるから独自理論ではないぞ

現代戦争が「内政干渉目的として起こるものか、それとも別の要因が主で、内政干渉正当化のための大義名分にすぎないのか」という問いは、非常に興味深い視点を含んでいます

現代戦争に関して言えば、後者の考えのほうが現実に即していると考えられます。その理由を以下に説明します。

1. 戦争の主な要因

現代戦争は、以下のような多様な要因が絡み合って引き起こされています

このように、内政干渉を直接の目的とするというより、資源安全保障権力維持などの目的が先にあり、その手段として内政に干渉することがある、という方がより現実に合っています

2. 内政干渉正当化のための「名分

歴史的に見て、現代の多くの戦争では「内政干渉」が正当化のための口実として用いられることが多いです。たとえば:

この場合、「内政干渉」という名目あくまで表面的な理由であり、実際には資源地政学経済的利益、または戦略的要因が裏にあることが多いです。

例えば、アメリカイラク侵攻は「大量破壊兵器存在」と「民主化支援」を大義名分しましたが、その背後には石油資源中東地域安全保障という要素が強く関わっていました。

3. 現代戦争グローバル化の影響

グローバル化が進展することで、国家間相互依存が強まり伝統的な領土紛争に加え、経済技術テロリズム情報戦が要因となる新しい形態戦争が現れています。こうした状況では、内政そのもの国家間の争いに巻き込まれやすくなり、内政への干渉戦争の一側面に過ぎなくなっています

たとえば、経済的制裁情報操作を通じて相手国の内政に影響を与え、相手の安定性を揺るがすことで間接的に優位性を確保するケースも多くなっています

結論

内政干渉戦争のもの目的である」という考え方は限定的であり、現実には「内政干渉戦争正当化するための大義名分手段」として機能するケースが多いです。つまり経済的利益権力闘争資源競争安全保障といった要因が根本的な動機となり、それらを合理化し、正当化するために内政干渉という枠組みが使われるのが現実です。

この視点に立てば、「内政干渉が主目的」という考えよりも、「他の要因や目的が主となり、それが正当化の口実として内政干渉を用いる」という考え方の方が、歴史的な事例や現代の国際情勢においても現実に即していると考えられます

anond:20241212161213

現代戦争が「内政干渉目的として起こるものか、それとも別の要因が主で、内政干渉正当化のための大義名分にすぎないのか」という問いは、非常に興味深い視点を含んでいます

現代戦争に関して言えば、後者の考えのほうが現実に即していると考えられます。その理由を以下に説明します。

1. 戦争の主な要因

現代戦争は、以下のような多様な要因が絡み合って引き起こされています

このように、内政干渉を直接の目的とするというより、資源安全保障権力維持などの目的が先にあり、その手段として内政に干渉することがある、という方がより現実に合っています

2. 内政干渉正当化のための「名分

歴史的に見て、現代の多くの戦争では「内政干渉」が正当化のための口実として用いられることが多いです。たとえば:

この場合、「内政干渉」という名目あくまで表面的な理由であり、実際には資源地政学経済的利益、または戦略的要因が裏にあることが多いです。

例えば、アメリカイラク侵攻は「大量破壊兵器存在」と「民主化支援」を大義名分しましたが、その背後には石油資源中東地域安全保障という要素が強く関わっていました。

3. 現代戦争グローバル化の影響

グローバル化が進展することで、国家間相互依存が強まり伝統的な領土紛争に加え、経済技術テロリズム情報戦が要因となる新しい形態戦争が現れています。こうした状況では、内政そのもの国家間の争いに巻き込まれやすくなり、内政への干渉戦争の一側面に過ぎなくなっています

たとえば、経済的制裁情報操作を通じて相手国の内政に影響を与え、相手の安定性を揺るがすことで間接的に優位性を確保するケースも多くなっています

結論

内政干渉戦争のもの目的である」という考え方は限定的であり、現実には「内政干渉戦争正当化するための大義名分手段」として機能するケースが多いです。つまり経済的利益権力闘争資源競争安全保障といった要因が根本的な動機となり、それらを合理化し、正当化するために内政干渉という枠組みが使われるのが現実です。

この視点に立てば、「内政干渉が主目的」という考えよりも、「他の要因や目的が主となり、それが正当化の口実として内政干渉を用いる」という考え方の方が、歴史的な事例や現代の国際情勢においても現実に即していると考えられます

anond:20241212155739

戦争の原因として内政干渉が挙げられる例は、歴史を通じて数多く存在します。特に顕著な例をいくつか紹介します。

ベトナム戦争ベトナム戦争では、アメリカ合衆国南ベトナム政府を支持し、共産主義の拡大を防ぐために北ベトナムおよびその支持者たちと対立しました。アメリカ南ベトナム政治軍事経済に深く介入し、その結果、長期にわたる戦争へと発展しました。

ソ連アフガニスタン侵攻(1979年 - 1989年):この侵攻は、ソ連アフガニスタン共産党政権を支持し、その政権が内政上の問題ムジャヒディンの反乱など)に直面している中で行われました。ソ連政権を安定させ、自国の影響力を維持するために軍事介入を決定しましたが、これが長期間にわたる紛争につながりました。

米国グレナダ侵攻1983年):米国は、グレナダにおけるクーデター後に共産主義政権が成立することを懸念し、軍事介入を行いました。この介入は、政府安全を確保し、共産主義拡散を阻止する名目で行われました。

これらの事例は、国家他国の内政に介入し、政治的または安全保障上の目的を達成しようとする際に、しばしば軍事的衝突につながることを示しています。このような介入が国際的な緊張や戦争を引き起こすことは、国際関係において重要な議題となっています

anond:20241212152147

俺が言っている”議論”というのは”初めに元増田提示した議題に関する議論”のことです。

戦争はやむを得ない側面もあるけど、テロ絶対に認められない

と書いてるけど、増田認識

①:今やってるイスラエルパレスチナの抗争は戦争ではない

②:イスラエルテロ国家ではない

ということだと思うけど(違ったら訂正してね)、これらの解釈一般的コンセンサスを得ている訳ではないですよね?

①と②の同意を得ていない相手に”戦争はやむを得ない側面もあるけど、テロ絶対に認められない”と主張しても無意味ではないですか?

と聞いています。(最も①については俺も戦争ではなくイスラエルによるパレスチナに対する一方的虐殺だと思いますが)

anond:20241212155143

侵略は駄目だけど、侵略ってする側は侵略だと思ってないからな

客観的には二国家共存がいいと思うけど、そもそもパレスチナ側が二国家共存案蹴って戦争したりしてるというね

テロ民間人攻撃することを前提にするなら、国家間で戦争しながら民間人犠牲少なくするルール作りするほうがいいだろうって思う

anond:20241212150734

お前が「イスラエルテロ国家と思わない」と言ったところで、お前自身引用してる文章からも「意見が分かれている」と書かれていますよね。そこの前提がズレてる以上、この議論自体無意味だと思いませんか?

anond:20241212150559

ノー

結論

イスラエルを「テロ国家」と呼ぶかどうかは、見る立場価値観依存します。

批判する人々は、占領政策市民への武力行使根拠に「国家によるテロ」とみなします。

擁護する人々は、イスラエルの行動を安全保障上の必要性として理解し、テロ行為とは異なると主張します。

この問題は非常に感情的で複雑なため、立場に応じて異なる評価がなされることを理解することが重要です。

anond:20241212144302

もう一度聞くけど、ハマステロリストですか?

イエスかノーで答えて

テロ国家」とは通常、国家が体系的にテロ行為を支援したり、利用したりすることを意味します。しかし、イスラエルを「テロ国家」と呼ぶかどうかは、評価する立場基準によって大きく異なります。以下に、この議論の主なポイントを整理します。

---

イスラエル批判される理由

1. パレスチナへの軍事行動市民への影響

イスラエル軍の空爆や地上作戦で、パレスチナ市民特に子ども女性)が犠牲になることが頻繁に報告されています。これに対し、国際人権団体国連は「過剰な武力行使」と批判しています

例:2021年ガザ紛争2023年軍事作戦では、数百人の市民犠牲となり、インフラも大規模に破壊されました。

2. 占領政策

ヨルダン川西岸地区東エルサレムにおける入植活動は、国際法(第四ジュネーブ条約)に違反しているとされています。これにより、パレスチナ人の土地資源が奪われることがあり、不満が高まっています

3. 行政拘禁人権侵害

裁判なしでの拘束(行政拘禁)、子どもの拘束、家屋破壊など、イスラエル政策は「集団的懲罰」として非難されています

4. 非対称的暴力

イスラエルは、パレスチナ武装勢力への報復を超えて、広範な地域に対して破壊的な攻撃を行うことがあります。このような行動が「国家によるテロ」と批判される場合があります



---

イスラエル擁護する立場

1. 安全保障必要性

イスラエルは、ロケット攻撃自爆テロといった脅威から自国民を守るための行動だと主張しています

ハマスイスラム聖戦などの武装勢力は、市民を標的にした攻撃を繰り返しており、これが軍事行動正当化する理由とされています

2. テロリズムへの対応

イスラエルは、自国を「テロ被害者」と位置づけ、反テロリズムの一環として行動していると主張しています

これにはロケット迎撃システムアイアンドーム」や、武装勢力への軍事作戦が含まれます

3. 法治国家としての仕組み

イスラエル民主主義国家であり、法の支配確立されていることを強調しています。一部の行動は国際法に基づいて正当化されているとしています



---

テロ国家」との評価に関する議論

国際社会で「テロ国家」とされる基準は、国家意図的テロ行為を計画支援、実行しているかにあります

イスラエル政府の行動は、安全保障政策戦争行為として正当化される場合も多い一方で、非対称的暴力市民への被害の大きさから批判を受けています

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結論

イスラエルを「テロ国家」と呼ぶかどうかは、見る立場価値観依存します。

批判する人々は、占領政策市民への武力行使根拠に「国家によるテロ」とみなします。

擁護する人々は、イスラエルの行動を安全保障上の必要性として理解し、テロ行為とは異なると主張します。

この問題は非常に感情的で複雑なため、立場に応じて異なる評価がなされることを理解することが重要です。

現職で逮捕された国家最高責任者っておるんかな

やっぱ逮捕前に辞任するから現職逮捕はないんだろうか

2024-12-11

悠仁親王受験について:皇居筑波大の間の地下道についての解説

筑波大の推薦入試は、非常に厳格な選考基準を設けた試験だ。皇族から特別扱いするというのは非常に考えにくい。経験ある人なら分かると思う。

仮に筑波大学学長が「特別配慮をせよ」という指令を出したところで、それに生物学類の入試担当教員全員が従うというのは現実的ではない。これらの教員はそれぞれ生物学に関する一流の研究者だ。こうした指令で別配慮強制するのはまず不可能だ。指令したところで、内部や外部にリークされるのは時間問題だろう。

推薦入試小論文は、生物学の専門知識論理的思考力が問われるそれなりの難易度試験だ。それは過去問を見れば一目で分かる。相応の能力がないと合格レベル得点は獲得できない。教員側の採点も厳格に行わざるを得ない。おそらく受験匿名で採点しているはずで、これも特別配慮はあり得ない。

個別面接は、親王が顔が売れている方なので面接官も意識せざるを得ないと思う。しかし、大学教員が採点で特別配慮をするというのは非常に考えにくい。受験生がどのように生物学に取り組んできたか入学後の学習意欲を深掘りされ、専門的な質問対応する力が試される。いろいろ揶揄されているが、国際学会の発表経験がある親王はやはり有利だろう。

可能性としてありうるのは、あらかじめ親王学力筑波付属高校学長の間で情報共有して、十二分に合格できる実力があることを確認した上で受験させた、というところではないかと思う。ただ、これは憶測の域を出ない。

皇居筑波大学を結ぶ地下道

なお、推薦入試受験日に親王筑波大学に姿を見せなかったことを訝しがる人が多いが、おそらく、皇居筑波大学を結ぶ地下道を利用しのだろう。この地下道は、筑波大では有名な話で、皇族が万が一の事態に備えて迅速かつ安全に移動できるよう設計されている。

筑波大学地下道は、万が一の事態に備え、皇族が迅速かつ安全に移動できるよう設計された秘密インフラだ。中央図書館付近石畳広場には隠された入口があり、その広場自体ヘリポートとしての機能を備えている。また、この地下道大学内を網の目のように走り、防空壕としても使用できる堅牢構造になっている。特に第二学群C棟のエレベーターは、地下道への直通ルートとして知られている。ボタンがなく普段動作しないが、特殊リモコンで起動する仕組みだ。筑波大学建物配置や迷路のような構造も、この地下道を隠しながら機能を最大化するための計画的設計だといえる。推薦入試当日、悠仁親王が姿を見せなかったのは、この地下道を利用したからだろう。地下道は厳重に管理されており、親王安全に移動し試験を受けたのだろう。この体制は、筑波大学教育機関としてだけでなく、「もう一つの皇居」として国家的な役割を担っていることを物語っている。

最後だけ参考:https://softether.hatenadiary.org/entries/2006/01/18

※前半は結構真面目

民族宗教宗派が入り乱れている国では独裁制の方が統治やす

何もかもがバラバラな国で民主主義表現の自由信教の自由を取り入れると、どうなるか。

流派以外の民族宗派地方軍閥が、それぞれ分離独立を主張し始める。

そのような状況で国を一つにまとめるには、独裁によって、それらの主張を封じ込めるしかない。

民主主義通用するのは、日本ドイツのように単一民族宗教もそれほどバラバラでない国だけである

ネットでは中国共産党独裁批判する声は強い。

もも中国が仮に民主化したら、おそらく5つくらいの国家に分裂することになるのではないか

12億人もいる国をまとめるって、独裁しか方法が無いというのも確かだ。

数日前にシリア独裁政権が崩壊したが、いい未来は思い浮かばない。

テロリスト防衛産業批判

http://yamazakiproject.com/from_secretariat/2024/08/06/6987

日本では、この表にあるようにイスラエル武器、これは防衛省が1月に購入を決めて、こういう落札が1円とかありますが、これは7つのうち5つがイスラエル武器なんですけれども、国際司法裁判所イスラエルに対し虐殺を止めるための暫定措置命令出している中で、日本防衛省はこういう行動を起こしているんですね。国際司法裁判所の決議というのは、国連に加盟したどの国も守る義務があるんです。そいうところが何の説明もなしに、こうした形でどんどん日本が進んでいるのが実情なんです。

それに対して国際連帯運動として広く行われているのはBDS運動イスラエル占領地(入植地)の製品ボイコットする、投資引き揚げ、制裁する。この運動世界的に広がって、EUではEU議会執行部が全体に対して情宣して、実際に(BDS運動を)守るように運動をしていました。けれど、2015年に安倍首相イスラエルに行った時に、新聞インタビューで「BDS運動をどう思いますか」と聞かれて「我が国はそういう差別はやりません」と答えて、アメリカと同じような路線を示して、安倍首相になってからいか日本がBDS運動を始めとするパレスチナ運動に対する敵対的関係に変わっていったかということがよく分かるような状態でした。

私たちパレスチナの命を懸けた闘いの助けによって、逆に今日本で何をすべきか、私たちが今問われているんじゃないかと思うんですね。パレスチナの命がけの闘いに助けられているのが私たちだ。私たちパレスチナのBDS運動ばかりか、日本軍国主義的な軍拡路線が結びついてドローンの購入に至る一つの流れなんですね。だから他人ごとではない。

パレスチナ平和を」と望めば望むほど、パレスチナ国家承認それから日本の中にあるイスラエルの姿、世界第二位産業用ロボット生産日本企業ファナック社のロボットイスラエルで使われてパレスチナの人たちを殺している。

質問に対する答えですが、イスラエル報復は当然予想していました。犠牲の多さも予想していたと思います。もう占領され併合される瀬戸際にあって、絶望よりも戦うしかなかった戦いを選んだと言うふうに私は現地を知るものとして思います。様々なマイナス面はありながら、ガザ解放勢力が一致、団結して戦った「洪水作戦」は、占領に対する抵抗権をしっかりと行使した勇気ある奇襲作戦だと思っていますパレスチナ世論調査によると、現在も人々は過酷ジェノサイド犠牲あいながら、ガザ地区でも西岸地区でもハマースに対する支持は10月7日以前よりより高い支持と評価が続いています絶望による死か、それとも戦いによる死か?人々の選択肢は限られているせいでしょう。先日、ネタニヤフと矛盾を拡大しているイスラエル軍のハガリ報道官まで、ネタニヤフの「ハマース壊滅に反対し「ハマースは人々の心に根付いた思想であり壊滅できると考えてるのは誤っている」と言い出す始末です。」 日本の中で想像することは難しいですがむこう側に身を置いて想像してみてください。

2024-12-10

anond:20241208190041

増田シリア情勢詳しいの?

今回のことで調べたりして一番気になってるんだけど、ググって写真が出てくる大統領夫人Wikiに載ってるアサド一家の集合写真に写る母・姉も、一切イスラム教服装ではないのはなぜ?

夫人イギリスまれ宗派違いとはいえイスラム教徒のことに変わりはないようだけど、当地国民にはこの振る舞いはどう受け取られているの?

それとも、ネットに出ているのはただの西側(ロシアも入るだろうからイスラム国家向けというのが正しいか)へのプロパガンダ的・スポークスマン宣伝写真で、国内向けは違うの?

税収ってリーマンショックの時と比べると倍加してるんだな

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.pdf

日本金持ちじゃん!!!

この金持ち国家ジャパン貧困にあえいでいる人がいるってマジっすか?

ディープステートって要するに純愛主義者だろ

くだらねぇ推理ドラマ動機ってだいたい浮気とかだろ。気持ちを裏切ったの何だのどうしてそんなゼロイチで考えるんだ。0.1浮気そもそも浮気は悪いことではない)を定義、許容浮気限度を伝えて結婚という契約の中に含めろよ。争いはすべて ディープステート純愛主義者 が作ってんだよいい加減気付けカラクリに。

また、有史以来何度も擦られた陳腐な話だが…ロケットの燃料が固体か液体かなんてどうでもよくて、ロケットは愛で飛んでいる。類人猿から人類になった奴が一代でロケットを飛ばせるなら別だけど、俺達はセックス文化文明を繋いで西暦20世紀になってやっとロケット飛ばしたんだぜ。地球自体セックスしないと出れない部屋だった。だからセックスしないと出られない部屋は流行っているわけですね。

な、売れている同人誌ジャンル=真理だろ。人間の最も生存無関係で最も力強い欲望たる性欲は真理への重力を持つ。DLsite殿堂入りなるNTRは、つまり真理。Hollywoodですら真理たる セックス≒愛≒寝取られ を高頻度で作品に取り入れる。これは最強の国家セックスNTR という屋台骨によって成り立つ、大黒柱強制輸入)そそり立つということ。ということですか?

個人の(遺伝子にとって)重要もの3選

1. セックス

2. セックス

3. セックス

Conclusion

やめよう一夫一妻制。それを打ち破るのがまず夫婦別姓戸籍バグる)。そんでもって最近ガバクラ周りだよね。戸籍を全国で統一的にシステマティック管理することがタフタ祭制を推進するわけ。

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