おすすめ度:★★★★★★★☆☆☆
タイトル | SWAN SONG |
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公式ジャンル | ビジュアルノベル |
フィーリング | スリリング 切ない 鬱 |
メーカー | Le.Chocolat |
脚本家 | 瀬戸口廉也(唐辺葉介) |
発売日 | 2005年7月29日 |
主人公 | 節義ある冷静ピアニスト |
ストーリー ★★★★★★★★☆☆ | 文章表現 ★★★★★★★☆☆☆ |
キャラクター ★★★★★★★★☆☆ | 読み易さ ★★★★★★★★☆☆ |
CG ★★★★★★★☆☆☆ | サウンド ★★★★★★★☆☆☆ |
ゲーム性 ★★★★★☆☆☆☆☆ | おすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆ |
---▼(あらすじ)-----------
『その時、人は絶望に試される。』
雪が深々と降り積もるクリスマス・イヴの夜、とある山奥の地方都市を大地震が襲う。街は一夜にして雪と瓦礫と死臭に覆われ、辛うじて生き延びた若者たち6人は倒壊を免れた教会で出会った。
(Wikipediaより)
---▼(一言感想)-----------
美しい世界観と人間の残虐性。大災害により外部から孤立させられた若者を、群像劇のスタイルで描く鬱ゲー。カットインCGの多用や、テキストを画面のあちこちに表示させる等、ノベルゲーム独特の単調さを感じさせない巧みな演出がグッド。モラルを問われる&心打たれる作品。冬にぴったりです。
---▼(感想)-----------
スワン‐ソング 【swan song】
白鳥の歌。詩人・作曲家・演奏家などの生前最後の作品・曲・演奏をいう。死ぬ間際の白鳥は、最も美しい声で歌うという伝説から生まれた言葉。
SWAN SONGは、大災害から生き延び、社会ルールから解放された人々の心理・行動などを緻密に描写した作品。世界観の作り込みが素晴らしく、残酷、且つ物悲しくて、とても美しい。まさにタイトル通りの作風だ。
上記の通り、本作は群像劇である。
”群像劇”と聞くと、数多の主人公が別行動を取り、最終的に集結する―――というイメージがある。少なくとも私はそういった燃える展開を思い浮かべる。人物ごとにストーリーがあって、他の人物に切り替わる際には時系列が前後したりする様なものを。
しかし本作の場合、ストーリーは一本で、話の流れが途切れない。ただ単に、キャラの視点が切り替わることで、出来事に対する思考に変化が生まれるのだ。
キャラの視点を自由に切り替えることは出来ないが、だからこそ、目の前で起こる出来事の善悪が付け辛い。そこが面白い。読み手のモラルが問われる作品でした。
演出面の話をすると、
本作はノベルゲーム独特の単調さを感じさせない巧みな演出が、主に視覚面から感じ取ることが出来た。
例えば、本作ではAVGでよく多用される立ち絵が一切無い。キャラが会話する際には、顔だけが映るカットインCGを多用しおり、主観的に楽しむことが出来る。
テキストの表示一つ取ってみても、CGやシナリオの状況に合わせて画面のあちこちに表示させる、 本筋に直接関係のない長文の際は一度に全文表示させる 等、細やかな演出が光る。
後者に対しては批判的な声もあるが、私は良演出だと受け止めています。小難しい事を小難しく表示する自虐的なセンスはなんだか憎めません。それに、『難しい事はめんどくさい』とプレイヤーに思われることを想定した上で、読み飛ばしやすいように一つにまとめている様にも感じます。これは親切心ですよ。
視覚面と言えば、本作は人死がバンバン出るが直接的なグロ画像は皆無だ。そんな配慮もあり、所謂”鬱ゲー”に属するエロゲだけれど、雪のような包容感溢れる世界観のおかげで、鬱耐性に自信がない方でもある程度安全に(?)プレイ出来るのも嬉しい限りだ。
聴覚面について。
SWAN SONGは基本的に無音ですね。吹雪のSEオンリー、とか。
それだけに、BGMが入るシーンは臨場感膨れまくりなのです(^^)
また、台詞が全てフルボイスというのも良かった。
皆さん素晴らしい声質&熱演で、感情移入し易い。そこが恐い(笑)
---▼(※若干のネタバレ感想)--------
・全2種類のエンディング
一周目のノーマルEDと、二周目のみ選択できるトゥルーED。
ノーマルEDこそ至高ですが、救いが無さすぎる。
その点をカバーしたのがトゥルーED。ただ若干の残尿感がありますね。
大団円にするには難しいと解ってはいますが、
1、あろえが活躍せず
2、地震の原因が解らず仕舞い ・・・の2点が消化不良でしょうか。
(個人的には自然災害でも良かったのにな・・・)
あろえは結局ただのマスコットキャラ扱いでしたね
ラストシーンで彼女の言動が荒んだ世界に風を吹き込む・・・的な閉幕を期待したのですが、そんなことはなかった(笑)
彼女については、公式HPに「プレ・スワンソング」として震災前のショートストーリーが公開されている。本編に収録してもいいくらいのクオリティだと思います。クリア後は是非ご覧ください。(あろえが歌っていた『タフビームの歌』の正体もここで解りますwww)
SWAN SONGの登場キャラで好きなのは・・・
あろえ>>鍬形>雲雀=田能村>>>司=柚香>>他 ってな感じでした(^^)
本作のキーマンであるクワガタ君の心理描写は流石でした。
彼が完全なる悪人だとは誰も言えないんじゃないかな。
雲雀&田能村ペアはSWAN SONGの良心そのものでした。
奴らは眩しすぎるッッ!素直に祝福したくなるよね。
途中で遭遇するサラリーマンと廃墟好きの男も好きだったw
本来この作品で描きたかったのは、司と柚香のエピソードなのでしょうね。掘り下げ具合が他キャラよりも深い深い(笑)
特に柚香は”絶望の思想”を持っている訳で。ラストシーンでは澱んだ部分が丸裸に・・・!
何はともあれ、SWAN SONGは 司のおかげで儚く、柚香のおかげで沈鬱に塗り飾られてEND。
アンビバレンスな余韻に戸惑っちゃいましたよ。
本当に考えさせられる作品だ。
以上、SWAN SONG 感想でした。
こーひーください。
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