該当作品 | 放送期間 | 話数 |
▶ 妄想代理人 | '04年2-5月 | 全13話 |
▼ 概要
『パーフェクトブルー』『東京ゴットファーザーズ』と世界的に高い評価を受けた今は亡き、今敏監督の初のTVシリーズ。東京・武蔵野で起きた『少年バット』による通り魔事件の被害者と、それを追う刑事のサスペンス群像劇。
「月ちゃん疲れてるんだよ 休みなよ~」
(wikipediaより引用)
▼ 感想
脚本 (8) | モダニズムから徐々にポストモダニズムへ変化を遂げる、知的且つ珍妙な作品。 メタファーが多面的に展開され、台詞回しも鮮やか。電波的な魅力があって面白かったです。 いまいちカタルシスが得られ難いのが玉にキズ。 |
演出 (7) 作画 (8) | 演出・作画共に前半はモダン、後半はポストモダンとキッチリ切り替えていて、とにかく前衛的でした。 キャラデザは「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」等の作画監督・安藤雅司さん。表情の作り方がリアルだった印象(^^) 後半の作画がリアルから遠のいていったのは意図的なのでしょうが、若干納得いかねぇwww |
人物 (7) | 心理描写の緻密さは勿論。個々のキャラクター像が明確で、しっかり役割分担された上でストーリーに溶け込んでいる。これは凄い! ただ物足りないのが、顛末が書かれていないキャラが大勢いるという点。半端な群像劇だ |
音楽 (8) | 平沢進さんのOP曲・ED曲・BGM。素晴らしいです。 独特の世界観に合っているし、音響演出も良いので更に合致する。OPを初めて視聴した時は衝撃を受けるよね(笑) |
構成 (7) | 一話から最終話までいっぺんに駆け抜けても面白いであろう秀逸な脚本構成力!!なのに!! 致命的なのが、前半と後半の切り替わり。初見だと『後半から作画崩壊してつまらなくなった』としか思えず、最後も結局グダグダで終わってしまった、という気持ちにさせてしまう(-_-;) |
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---------------------------------ココカラ---
このアニメのテーマはご承知の通り『逃避願望』です。
▼少年バットとマロミ
少年バットは現代人の逃避願望そのものだった訳です。そしてもう一つのメインキャラ”マロミ”は癒しの存在=『一時的な逃げ道』ということだと思います。マロミの大流行は現在人が癒しを求めた結果。猪狩刑事の妻が少年バットと同義にしたのも、最終話で少年バットと融合するのも、本質的には同じものだから。
倒すことが出来たのは、月子が事実と向き合ったから。
▼猪狩巡査長と馬庭刑事
二人は対照的な存在なんですね、視聴後に気付きました。
猪狩はレトロ街を突き崩し、現実と向き合いました。
しかし馬庭は、妄想から抜け出すことなく少年バットに立ち向かい、結局戻れなくなった。老人同様、妄想世界の案内役になってしまった。
▼三人組の自殺志願者
最も分かり難かったエピソードですね。
気になるのが『三人はいつ死んだのか』という点。
私は”廃ビルで練炭を焚いて眠った時”説が正しいと思います。
(冬蜂とゼブラが焚いて眠ったのが夜。
かもめちゃん&ショベルカーに起こされた時には既に昼。
かもめちゃんもこっそり忍び込んでいて一緒に死亡した?
それ以降、何故か全員マロミのバッグを所持)
▼1話冒頭と13話終盤の街の雑踏
冒頭⇒言い訳と責任逃れの声
終盤⇒弁明して現実と向き合う声
マロミは廃れ、通り魔事件も無くなりました。めでたし
---------------------------------ココマデ---
私的にはドストライクな作品でした。
満足度ランク【A】!!
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