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【Key】 Summer Pockets 【感想】

おすすめ度:★★★★★★★★☆☆
タイトルSummer Pockets
公式ジャンル恋愛アドベンチャーゲーム
フィーリング感動 切ない 心躍る 癒し
メーカーKey
脚本家新島夕、魁、ハサマ
発売日2018年6月29日
主人公部活や家族から逃げ出した“傷ついた渡り鳥(自称)”
ストーリー
★★★★★★★★☆☆
文章表現
★★★★★★★★☆☆
キャラクター
★★★★★★★★☆☆
読み易さ
★★★★★★★★★☆
CG
★★★★★★☆☆☆☆
サウンド
★★★★★★★★☆☆
ゲーム性
★★★★★★★★☆☆
おすすめ度
★★★★★★★★☆☆

▼ 概要

『Summer Pockets』(サマーポケッツ)は、ビジュアルアーツのゲームブランドKeyの13作目の恋愛アドベンチャーゲーム。略称は「サマポケ」。

▼ あらすじ

夏休み、鷹原 羽依里は亡き祖母の実家のある鳥白島へ遺品整理のために来た。叔母の岬鏡子と二人で遺品を整理する傍ら、羽依里は新しい仲間との島の生活を楽しむ中で夏休みが終わるのを惜しく思うようになった。
(wikipediaより引用)
▼ 感想

ずっと昔。小さな頃。
永遠みたいな夏を、駆け回っていた。


私にとってリトルバスターズ以来久々のKey作品。
脚本ではないものの麻枝氏の原案作品ということで期待しながらプレイ。結論から言うと、非常に満足度の高いゲームでした!
感涙するのは勿論のこと、流石Key、あの手この手で笑わしてくる!!
加えて本作のコンセプト「夏休み」が、Keyの陶酔的な作風にめちゃくちゃ適合している!! 子供の頃の楽しかった夏休みが へじゃぷ フラッシュバックする様な郷愁感たっぷりのシナリオと雰囲気。今までは『Keyの夏=AIR』のイメージでしたが、より“夏の眩しさ”を内包しているのは本作『Summer Pockets』でしょう。本当に、記憶に残るAVGだと思います。

詳細な感想は↓へ続きます。
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▽ ここから下はネタバレあり ▽
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共通ルート 【◎】

夏休みの過ごし方を思い出しに来た。
MAP選択=好感度。選択肢=称号集め。と、くっきり区別されているため、純粋にユーモアとミニゲームと夏休みを堪能できるのが嬉しい!!
気軽に選んだ選択肢が、しばらく経ってからギャグとして再利用された時の衝撃たるや……。
一周目の楽しさはまさに始まったばかりの夏休みの如し!!島モン採ってチャーハン食って一週間で島追い出されたけど……(笑)


紬ルート 【○】


一生分の、楽しい夏休みを。
廃灯台のむぎゅぐるみと一房のおっぱいさんルート。
自分を探して、目一杯楽しんで、時間がないことを嘆いて、……夏休みそのものを味わっている様な、じんわりあたたかいお話でした。最終日のワンシーンを思い出すだけで今でもボロボロ泣いてしまいます。不思議系ヒロインの真っ直ぐな言葉ってなんでこんなに胸に刺さるのでしょうね……。
紬の正体は、神隠しにあった“ツムギちゃん”の代わりをやっている熊のぬいぐるみ。はじめは口癖のむぎゅむぎゅに違和感ありまくりでしたが(笑)、それが却って最終日の鼻歌ソングの良さを際立たせると言いますか、まんまとやられたなー、と。
また、感動させられたのが「残りの夏休みを全部あげる」という台詞、凄い言葉ですよね。(発したのは主人公側ですが)こんなに嬉しい言葉をもらって過ごせる夏休みは、もうそれだけで素敵です。
夏休みの楽しさと、夏休みの終わりは、常に表裏一体で切り離せないところが、とても切なくて尊いですね。


鴎ルート 【◎】


あの冒険を、本当の思い出にしたかった。
とっておきの冒険に招待してくれるキャプテン・カーモッメ√。
個人的に作中一番感動したエピソード!! 宝探し+タイムカプセル的な要素があって「ワクワクできる夏休み」。そしてその実態は……入院生活を送る少女が再現したかった本の冒険譚でした。
小さい頃、夏休みを楽しく過ごせなかった。でも、あの頃読んで惹かれた物語の中の世界。その世界の登場人物たちと一緒に冒険ができて、その世界がずっと続いていくとしたら……本当に、本当に素敵で夢のようですよね。
加えて、叶わなかった夢を引き継くこと。多くの人達に協力してもらい夢が実現したこと。何気ない手紙に書かれた10年越しの約束が果たされたこと。逢う事の出来なかった仲間たちが集まったこと。架空だったはずの大切な思い出を得ることができたこと。数多くの幸せがどっと詰め寄せてきて、感動で胸がいっぱいになる最高のエピソードでした。
エピソード中盤に主人公が発する台詞、「何年も大事に覚えているような思い出なんて……ある奴の方がラッキーだ」。その通りだよなぁ、と。私も無いなぁ……そんな夏休みの思い出……。


蒼ルート 【△】


探さないといけない記憶がある。
『山の祭事』執行担当、眠りに囚われる淫乱ブルールート。
眠り続ける双子の姉・藍を目覚めさせるというストーリーではあるものの、そのほとんどが本作の軸である『七影蝶(=人の記憶の残滓)』と『迷い橘(=常世との境目)』、そして『鳥白島(=記憶の還る場所)』の説明に費やしているエピソードでした。
最後に蒼の「おはよう」で締めくくる点といい、クリア後の『ALKA』モードを引き立たせるための補助的なエピソードという印象。
蒼は可愛いポンけどね。藍は……ラスボスでしたね、アレの(笑)


しろはルート 【○】


ひとりで夏を過ごしてきた。
呪われしどすこいスイカバーさんこと、正妻ルート。
しろははクリア後に出番があるので、本項は謂わば序章。ですが、かりそめの夫婦になる理由が危機から命を救うためであったり、もう一度泳ぐ理由を見出したりと、主人公・羽依里が活躍が眩しいエピソードでもありました。
羽依里はなかなかに共感性の高い主人公だったのではないでしょうか。部活でしくじって腫物扱いにされ、荒れた末に停学処分を受け、それが原因で家族がバラバラになり、逃げるようにして島へやってきた……。素直に応援したくなります。あと、このルートのみ登場する『亡くなったお母さんに逢うために舟に乗り込む堀田ちゃん』も応援したくなる……。このゲーム同情を引くキャラばっかりや!!;;
そしてこのルートの良いところは何といってもラストシーン! 告白し合って島を離れようとするも船が戻ってしまい……ニヤニヤ、な閉幕なのですが、全クリ後に振り返ってみるとこの終わり方が一番すんなり入ってきて気持ちがいいです。


ALKA 【○】


もう夏から逃げたくないよな。
本作の肝に当たる、未来から来た実娘・羽未ちゃんルート。
プレイヤーから見れば羽未ちゃんが幼児退行しているのは明らかなので、かりそめの家族として楽しむ羽未ちゃんとの夏休みは余りに眩し過ぎて、序盤からもう涙腺緩みっぱなしでした。幼児退行+存在消失 のコンボは言葉で説明し難い威力です……。羽未ちゃんの口調がまた可愛くて、儚いんですよねぇ……。しろはのお母さん口調も優しくて目映いほどです。二人が折り紙したりかくれんぼしてる会話風景に心が洗われる様でした。「おかーさんに、ちゃんとおはようって……言わせて……」もやられました、主に目頭が。
しろはは羽未ちゃんを出産すると同時に死んでしまいますので、本来得ることの出来ない家族での夏休みを前借りでおくることが出来たわけですね。
しろはも羽未も未来が視えるわけじゃなくて、未来から心だけ戻ってきていてそれを繰り返している――へじゃぷ(デジャヴ)は伏線だったんですねぇ。過去に戻る力が発現してしまうのは耐え難い寂しさからの逃避。ならば寂しさから解放すれば……→『Pockets』へ続く。


Pockets 【○】

まぶたに感じたまぶしさだけは、忘れなかった。
瞳婆さんの七影蝶の助力で『七海』として過去を遡った羽未ちゃんが、幼少時のしろはを寂しさから救い出す最終章。家族との思い出を作ることができた羽未ちゃんの最期の使命でした。そして、羽依里としろはが再び巡り合い、閉幕。
しろはは無事に出産することが出来ない体です(しろはが身籠る→出産時死亡→羽未の力発現→ALKAに逆戻り)。つまり、羽未ちゃんと再会することは叶いません。ハッピーエンドかどうかは微妙な線ですが、思い出を得ることが出来ましたので、幸せに限りなく近いベターエンドという感じですね。
また、羽依里が描いた絵本の結末が謎(伏線未回収)のまま終わったのが少々残念ではあります。

幸せ3:切なさ7、くらいの口当たり。
正直、サマーポケッツは他のKey作品と比べてもかなりポテンシャルが高い方だと思うのです。と言うのも、Keyではお馴染みの『奇跡』系の不確かな設定が、本作の場合『七影蝶』の存在のおかげでかなり明確化できているからです。これ以上のハッピーエンドを求めるのは野暮かも知れません。『思い出作り』を基調とした作品ですので、きっと思惑通りで良い終着点だったのでしょう。

蛇足
鴎ルート最高ッ!!!
あと、のみきが好きだああああ!!!!!


(↑ 画像にカーソルを合わせると……zkzk)


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