『舟を編む』(ふねをあむ)は、三浦しをんによる日本の小説。女性ファッション雑誌『CLASSY.』に、2009年11月号から2011年7月号にかけて連載され、2011年9月16日に光文社より単行本が刊行された。2012年には本屋大賞を受賞している。2013年には映画化もされた。アニメ版はZEXCSが制作、フジテレビ「ノイタミナ」枠にて放送された。全11話。
---{▼あらすじ}-------
出版社・玄武書房では中型国語辞典『大渡海』の刊行計画を進めていた。営業部員の馬締光也は、定年を間近に控えて後継者を探していた辞書編集部のベテラン編集者・荒木に引き抜かれ、辞書編集部に異動することになる。社内で「金食い虫」と呼ばれる辞書編集部であったが、馬締は言葉への強い執着心と持ち前の粘り強さを生かして、辞書編纂者として才能を発揮してゆく。
(wikipediaより)
---{▼感想}-------辞書は、言葉の海を渡る一艘の舟だ。
辞書編纂の仕事を描いたプロジェクトX的な物語。
辞書を作るアニメとは渋いなあ!静かで真面目、そして確かな情熱が魅力です。なお本作は、強いて言えば純文学ではなくエンタメ作品です。それでも個人的には、こういう真面目なアニメをやってくれるのは非常に有難いです。十中八九伸びないけれど、十中八九面白いのだ。
日本語ほど辞書を必要とする言語はないでしょう。しかし現存する辞書の差なんて訳者が違うだけだと思っていましたが、この作品を通じて認識を改めさせられました。辞書作りはどの言葉を載せて個性を出すかという所から始まり、多くの人の努力と歳月が詰まったものだったのですね。その集大成が完成する様子は実に感動的でした。
一方 物語を構築する上で、辞書作りにリンクする要素を日常パートに散りばめているのだがこれが割とこじつけに近い。些細な事に対し自発的に深読みをして「これって辞書作りにも大切な事ですよね!?」と鬼の首を取った様に語られても、こちらは少し引いてしまう。深い事を言ってるようで浅く感じてしまうのは、勘ぐり深い主人公像が仇になっているのかも知れませんね。
細かい演出のセンスについての言及も欠かせません。
本作では登場人物が時々“言葉”を身振り手振りで表現するシーンがあります。これは他のアニメでは中々見れない描写ですよ、凄く人間味があります。一方で、(これは“西岡”というキャラで度々見られましたが)細かい動作と“間”で彼の心の変化が見て取れるシーンがあります。モノローグ無しであれほど深みを出せる演出は本当に素晴らしい!
ついでに言ってしまうと、主人公・馬締が文字の嵐と格闘したり、海と向かい合う等のイメージシーンの演出は・・・正直大味だったかなと思います(笑)
各話の閉幕にサブタイトルの言葉が辞書で訳されて、そのままEDに突入・・・あの一連の流れがたまらないですよね。あの雰囲気が好きで視聴していたと言っても過言ではない。それに比べてあのOPは何やねん。
とても良い話で、適度に浮世離れしていて味わい深い作品だったと思います。が、面白いかというと微妙なラインです。
--▼【総評*1行表】----
脚本 | 演出 | 作画 | 人物 | 音楽 | 構成 |
5 | 7 | 5 | 4 | 6 | 4 |
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