「goo blog」を含む日記 RSS

はてなキーワード: goo blogとは

2025-08-08

anond:20250808211649

たっくんが1つかすめ取ったやろ

王座戦善戦するんやないか

永瀬九段はつよいことはつよいねんけど年齢の壁がなー

若手でたっくん以外の期待枠やと佐々木勇気八段、近藤誠也八段、服部慎一郎七段、あたりやね

あと増田康宏八段な、我らが増田やで、応援するほかない

藤本きゅん六段はどうなんやろね、安定しているようで安定していないけどまだハタチやしね

藤井聡太誕生日7月19日藤本きゅん誕生日7月18日なんよね(だからなに)

そんなとこやね

羽生は衰えた、今日大橋七段との対局とか何、逆羽生マジックやった

渡辺九段はなんかようわからん、足の手術以降調子悪そうというか離婚もしたし純粋心配やわ、またブログ書いてくれと思うが無理やろね、丁度タイミングよくgoo blogサービス終了のお知らせもきてるし

2025-06-25

goo blog

goo辞書

OCNプロバイダ

 ステルス値上げ(500円)」

ユーザーが望まない、

 動画抱き合わせの妙なプラン

藻掻いてますね。

NTTグループ

来期も黒字化に向けて。

しかどうでしょうか。

頼みのモバイル部門は、

docomo電波無し」

が当たり前に精通し始め、

頼みの老人ユーザーも、

いつまでも

契約出来るわけでは、

ありません。

そして来年

楽天モバイルは、

あのイーロンマスク氏の、

スターリンクを超える、

「rakuten最強衛生プラン

と題し、

衛生通信サービスを開始します。

それにより、docomoの、

田舎は繋がる気がする」

という最後生命線も完全に消えます

まさに、その序章とも言える、

昨今のサービス終了ですね。

2025-06-05

2025年gooサービス終了ラッシュがすごい

5サービスも消えたら中の人たちはどこにいくのよ

gooメール

goo blog

goo辞書

・repiiii

・教えて! goo

ぎゃくに残ってるニュース検索不動産ゴルフgooの強いところというイメージがないのだが。。。

2025-04-29

goo blog サービス終了のお知らせ  田中秀臣の「ノーガード経済論戦」 量的緩和解除後の日本経済III 2006-03-29 | Weblog

 一年近く続いた「ノーガード経済論戦」も今回が最終回です。このブログの続きというわけではないですが、以前から継続している個人ブログEconomics Lovers Live太田出版エコノミストミシュラン経済論評を続けるつもりですのでご関心があれば参照ください。

 

 さて量的緩和解除を行った日銀ですが、今回の政策決定については主にふたつの問題点を指摘することができると思いますひとつは、本当にデフレ脱却を確実にした段階で政策転換を行ったのか、という点です。0.1%から解除時の0.5%までの数ヶ月の推移をもって安定的デフレ脱出したという日銀説明ですが、本ブログでも指摘しましたように、上方バイアス存在があり、それは日銀エコノミストの推計でも0.3%その前後の糊代があるなかでは、せいぜいせいぜいゼロインフレもしくは石油価格の上昇貢献分を考慮するとマイナスであった可能性がありますさらデフレに陥った時点から名目価値毀損回復するリフレーション過程日銀がまったく配慮していないことは確実なようです。

 

 第二に、今後の物価水準ないしインフレ率に対する日銀の見通しが不鮮明なことです。一部の識者や政府側にはこの日銀物価の「理解」を単なる政策委員の個々の見通しを集計したものではなく、「インフレターゲットもどき」に昇華させようとする動きがありますが、日銀自身はこの動きに否定的なように思えます量的緩和解除は、よくいわれていますようにゼロ金利市場が予想するよりも継続するといった「時間効果」が剥落化していく過程ですが、そのような市場物価水準やインフレ率の予想に作用する政策日銀が今後明示的にはコミットする枠組みが存在しない、あるいはそれに近いものがあっても予想形成効果をわざわざ削いでいるようにさえ思えます。これも過去日銀歴史をみてみると速水前総裁時に量的緩和採用していても自らその予想形成効果懐疑的である旨を公言することで効果を減少させてしまった負の歴史を想起させます

 

 ただ今後、さまざまな政治的圧力市場リスクの高まりを背景に、このような日銀の「裁量政策」が次第にインフレターゲットに転換していくという楽観的予想や、これもまた裁量ゆえですがゼロ金利を維持し続けるような(その場合はなんで量的緩和解除をしたのかわからなくなりますが)可能性も否定できません。両方の場合日本経済にとって景気浮揚効果をもたらすことはいえると思います

 

 日銀自身過去経済政策の失敗は存在せず、そして今後のリスクにも十分対処しているという姿勢を崩していませんし、最近ではその弁護の姿勢をより強固なものにしています日銀とそのシンパエコノミスト(これは民間金融資産運用などのコンサルタントをしている多くのエコノミストを含みますさらにはメディアは、日銀及びそのシンパ集団相互との長期的な信頼関係を維持するために、真実を述べるよりも日銀への配慮からそのあからさまな批判をさけているようにも思えます

 

 ただこのような人間的な関係が裏にあるにしてもそれをもってだけで彼らとその組織批判するのではあまり有意義ものではありません。やはりどんな組織的なレントが存在しそれによって人々が真実を歪曲していたとしても、それ以上に重要なのは誤まった経済思想蔓延だと思います。もちろん完全で誤まりなきエコノミストはいません。ほぼすべてのエコノミストは私ももちろん含めて事実認識経済学的知識を誤解している可能性があるでしょう。問題は古くからいわれている通り、その過ちの可能性に意識的になることなのでしょう。これは自戒を込めていえば困難な道であると思いますが、他方で最も魅力ある途でもあるように思えるのです。

 

 経済学や経済認識は今後もゆっくり改善していくと私は楽観視しています。そして日銀政策確信犯的に誤まった経済情報を流し続けるもうひとつ負の遺産財務省政策も今後ともに批判的に検討していくと思いますが、私は日本経済社会の今後の発展に実は懐疑的である以上に楽観もしているのです。

  

 今後は冒頭であげたブログ経済論戦を継続して検証する予定ですのでどうかよろしくお願いいたします。

goo blog サービス終了のお知らせ  田中秀臣の「ノーガード経済論戦」 野口旭『エコノミストたちの歪んだ水晶玉』東洋経済新報社 2006-03-09 | Weblog

 いままで曖昧陰湿批判が横行していたムラ社会であった日本経済論壇の中で、革命的ともいえる実名批判箇所を明示しての率直な議論姿勢を示した『経済学を知らないエコノミストたち』(日本評論社)や『経済論戦』(日本評論社)に続く、野口氏の00年代経済論戦の記録を生々しくとどめた最新論説集である題名の「エコノミストたちの歪んだ水晶玉」というのは聞きなれない言葉である。本書によれば、「経済学は役に立たない」という世間一般の抜きがたい批判に答えることを目的にしているという。著者は、経済学は予測科学として十分に役立つが、世間で役立たないと思われているのは「歪んだ水晶玉」=間違った経済理論で預言を行う「エコノミスト」たちの活躍に原因のひとつがあるという。実際に野口氏が90年代後半から現在まで経済論壇で行ってきたことは、この「歪んだ水晶玉」で預言するエコノミスト評論家そしてメディアなどへの容赦ない批判だったといえる。

 

 本書の後半は、当「ノーガード経済論戦」を読まれている読者にはなじみ深いHotwired掲載された「野口旭 ケイザイを斬る!」をベースにした02年から04年までの当時の経済論戦の見取り図とその批判的な検証になっている。特に経済の動きは複雑でありマクロ経済学のような単純な論理では十分にとらえることができないと主張する論者の多くが、実は単純な自らの意見カムフラージュするために複雑系な話を利用していることが指摘されていることころなど改めて参考になる。

 

 前半は最近経済政策論争をベースにした最新版野口氏の経済見通しと政策への批判検証が収録されている。その要点は、1)小泉政権構造改革路線検証、2)03年から04年にかけて明瞭になった景気回復の原因、3)今日量的緩和解除論議をめぐる見通し のおおよそ3点に分けることができよう。

 

 1)の点であるが、これについては小泉政権構造改革路線が、日本経済の停滞が非効率部門存在という構造的な問題にあり、これを淘汰することで高い成長率を目指すという「清算主義」であったこと、そして構造的な要因が日本経済の停滞の原因ではなく循環的な要因である需要の不足にこそ真因を求めるべきことが明記されている。

 

 個人的な回想で申し訳ないが、小泉政権清算主義的な色彩の強かった01年当時の政策批判を行った野口氏と私の共著『構造改革論の誤解』(東洋経済新報社)は、私の事実上処女作の一つであり、そのときから野口氏は経済論戦を分析する上での私の教師でもあり抜きがたい目標でもあった。当時は「構造改革自体の満足のいく経済学的な定義さえも不分明であり、それを野口氏は同書でクリア説明し、もって構造改革マクロ経済政策は異なる政策目的に割り振られる政策であり、両者を適切な目的構造改革ならば構造問題マクロ経済政策景気循環問題)に割り当てるならば矛盾もしなければ競合もしないこと、さら適用する目的小泉政権のように誤まるとそれは経済社会の低迷をより深刻なものにすることを説いた。

 

 ところで本書によると小泉政権の当初の清算主義的な性格は、「国債発行枠30兆円以下」を公約にした財政再建路線に明白だったが、不況の深刻化からこの清算主義的な路線は早々に放棄されることになった。そして実態的には「循環的財政赤字」の発生を放置することで事実上受動的にではあれ)景気の落ち込みの下支えに貢献したことを指摘している。この点については、私も当ブログ裏声で語れ! 小泉構造改革」で説明したことがあるので参照されたい。

 

 また竹中平蔵経済財政担当相(当時)の金融就任とそれに伴って発足した「金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム」とそれが打ち出したいわゆる「竹中プラン」(金融再生プログラム)の評価は興味深い。当初、このチームにごりごりの清算主義者として名高い木村剛氏が加わったこともあって、いわゆる竹中木村ショックで日本株価は急降下した。政府不良債権の抜本的な対策銀行企業の統廃合に積極的にのりだすという懸念マーケット国民の間に広がった。しかし実際には清算主義路線放棄しつつあった小泉政権にあっては、その後のりそな銀行への公的な救済に端的に表されたように銀行を潰すようなハードランディング路線放棄された。竹中プランは骨抜きになったかみえた。しかし、本書ではマクロ経済的な清算主義放棄したものの、この竹中プラン金融庁が大手銀行を中心とした不良債権処理に不必要なほど過度の介入を行うことにお墨付きを与えてしまい、規制ハード化が資源誤配分を招来してしまたことを指摘している。この竹中プランへの評価妥当だろう。

 

 2)の点については、今日景気回復主動因についての分析である。それは簡単にいうと財務省円安介入と、それと連動した日銀当座預金残高の引き上げという量的緩和政策が重なったことが契機となっている。この事態を本書では「なし崩しのレジーム転換」という表現を使っている。これは私流に表現すれば、あくま財務省主導のデフレ対策としての円安介入であり、それを福井総裁意図せざる形でサポートした量的緩和政策のあり方を表現しているのだろう(本書では触れられていないが福井総裁は明確に財務省円安介入をサポートしたこと否定している)。野口はいわゆる中国特需表現されたり、アメリカから日本株式市場への投資が盛んになったことなど、外的要因が堅調であれば政策対応受動的でもかまわない、というスタンスである

 

 「以上から日本経済の二〇〇二~〇三年以降の契機回復様相については、ほぼ次のように整理することができる。まず、その最大の牽引車は、外需の拡大であり、それをもたらした世界的な景気拡大であった。しかしながら、国内マクロ経済政策リフレ的な方向へなし崩し的に転換されていたということも、同様に重要意味を持った。それは具体的には、二〇〇三年秋から〇四年初頭まで行われた、財務省の巨額為替介入日銀金融緩和の同時遂行という形でのマクロ政策協調である。つまり、今回の日本景気回復国内マクロ経済政策の両方に支えられて、かろうじて定着したのである」(本書20頁)。

 

 すなわち浩瀚喧伝されているような、「構造改革景気回復寄与した」のではなく、先の説明どおりに循環的要因=総需要不足の改善外需好転政策対応によってもたらされたというわけである

 

 3)については、現状の景気回復不安定であり、より一層のリフレ政策重要性が強調されている。そのため06年末頃まではデフレ脱却をめざすリフレ過程(少なくとも現状の財政金融政策スタンスの維持)であるさらに第二段階は金融政策正常化のための段階であり、量的緩和の解除、インフレ目標の導入、プラス政策金利への復帰などが目指される。これはほぼ2007年半ば頃であり、財政再建はその後の第三段階となる。野口氏は現時点での量的緩和解除はリスクありすぎて日銀採用しないだろうとみている。だが、この野口氏の楽観的な見通しだけが本書を通じて外れてしまいそうである。もちろんそれは野口氏の誤りではなく、通常では考えられないほどのリスクをあえて選択した日本銀行の誤りなのである

 

 本書は他にも、リフレ派の正しい定義、「声の出るゴキブリ」とリフレ派を批判した山崎元氏のその後、木村剛日本振興銀行の「実験」へのエール(?)など微苦笑を禁じえない記述も多く、あっという間に通読できてしまう。学ぶべきことが多い本書は野口氏の論戦の記録だけでなく、迷走する日本経済論壇の記録としても重要である

 

goo blog サービス終了のお知らせ  田中秀臣の「ノーガード経済論戦」  量的緩和解除以後の日本経済 II 2006-03-08 | Weblog

 前回に去年の夏に事実上の"親日銀派"のエコノミストたちが今年春の量的緩和解除やデフレ脱却政策オプションとしてのインフレ参照値の導入を語っていたと述べた。そのような発言を聞く一方で、小泉政権サイドに近いところから夏の終り日銀政府との名目経済成長率論争が起きるだろうという観測を聞いた。もっとも去年の夏は郵政民営化を焦点とした政治の季節に吹き飛ばされて、この「論争」が正体を現したのは年末になってからであった。具体的には昨年12月経済財政諮問会議において与謝野馨経済財政金融担当相と竹中平蔵総務相との間で交わされた財政再建をめぐる論争である。これは財政再建をめぐっての金融政策位置づけをどうとらえるのか、という論争であったともいいかえることができる。長期国債の利回りである長期利子率と名目成長率の大小関係がどのように金融政策と関連しているのか、という点で与謝野大臣竹中大臣との間で意見が交換された。では、なぜ長期利子率と名目成長率の大小が財政再建や金融政策のあり方に関係するのだろうか(以下は拙著経済論戦の読み方』(講談社現代新書)による)。

 

 国債新規発行額が次式で表わされるとしよう。

国債新規発行=政府支出-税収+名目金利×国債残高   

 ところで国債残高が財政健全性で問題になるのは絶対的な大きさではなく、ネットでみた名目国民所得との比率である。上式を用いて簡単に導出されたのが次の関係である

 

国債新規発行分/名目GDP)の一年間の変化分

  =〔(政府支出-税収)/名目GDP〕-(名目GDPの成長率-利子率)×(国債新規発行/名目GDP

 

 政府支出-税収がプライマリーバランスとよばれるものだが、この式の右辺第2項をみるように名目GDPの成長率が利子率を上まわれば、プライマリーバランスにかかわらず国債新規発行分・名目GDP比率はある一定の値に収束する。逆に名目GDPの成長率が利子率を下回ると発散する。すなわちしばしば財政再建論議話題になるプライマリーバランス改善よりも財政危機回避する際にきわめて重要なのは名目利子率と名目GDP成長率の大小関係ということになる。この関係を「ドーマー命題」と呼んでいる。

 

 そしてどのような国債残高の初期水準からはじめても、利子率が成長率よりも大きいとき財政破綻に直面し、利子率が成長率よりも低ければ財政破綻の危機は訪れない。もちろん現在日本ゼロ金利であり、長期国債の利回りも歴史まれにみる低水準である(1~2%)。しかし他方で名目成長率はマイナスで推移している。つまり名目成長率よりも金利のほうが大きい事態が長期的に継続しているのが日本現在の状況である日本名目公債残高/名目GDP比が90年代から今日まで増加トレンドを変更しないのは主にこの事情による。成長率の低下をもたらしているデフレ継続すれば、ドーマーの命題でいうところの財政破綻の危険性が高まっていくわけである

 

 さて与謝野大臣は近年では長期金利名目成長率を下回ることはない、という認識であり、対して竹中大臣金融政策などの政策対応がきちんとしていれば名目金利名目成長率を長期にわたって上回ることはない、という立場にたっている。このことは言い換えると、与謝野大臣側は金融政策による名目経済成長率の引き上げは難しく、せいぜい3%程度だという認識のようだ。竹中大臣側は金融政策によって名目成長率は4%程度が達成できると主張しており、実は与謝野竹中両者ともに実質成長率は2%の認識があるため、問題インフレ率をどう判断するかによっている。与謝野大臣側はゼロインフレからせいぜい1%以下にインフレ率を抑えことが望ましいという判断であろう。これは今日日銀政策整合である竹中大臣はいわゆる「リフレ」的観点立脚して発言していると思われ、中長期的に2%程度の低インフレを目指して、税収を改善しもって財政再建に資するという考えかたであるわたしOECD諸国の多くが名目成長率≧長期金利 を実現しているために、日本においても達成可能であると思っている。

 

 ここで今回の量的緩和解除をめぐる騒動でもこの種の日銀的なゼロインフレ志向世界的にはデフレ基調の水準を最適インフレ率とみなしているようである)と竹中大臣代表される政府内の「リフレ」的見解対立が底流のひとつとしてあるということである

 

 昨年の郵政民営化以後、小泉政権目的喪失現象を起こしているのではないだろうか。首相は積年の懸案を達成して、残る政策課題として小泉流の誰から政策障害犯人が明瞭となる課題を探して、政権の緊張感の維持、そして後継選出の影響力を保とうとしたのかもしれない。その意味で、この名目成長率論争を通じて、金融政策のあり方がクローズアップされたのは自然な成り行きだったのかもしれない。なぜならデフレ対策だけはいっこうに改善兆しみえないものだったかであるしか政府挑発ともいえた日銀パッシングはどうも政府自身の思惑や日銀自体計算4月以降の解除)を上回る形で、早期の量的緩和解除にむけて日銀自体を走らせてしまったのかもしれない。

(続く)

 

goo blog サービス終了のお知らせ  田中秀臣の「ノーガード経済論戦」  教訓を活かせないのはなぜか? 2005-12-29 | Weblog

 先ごろ、次期FRB議長指名されたベン・バーナンキ日本の長期停滞の教訓から株価為替レートの動向を金融政策運営する上での指標にすべきではないとことある機会で発言している。現在アメリカ経済ではは石油価格の高騰によるインフレ、そして「住宅バブル」が主要な経済問題にあげられている。これらの問題についてバーナンキと共同作業も多いアダムポーゼン(米国経済研究所上級研究員)は、バーナンキが従来から金融政策の舵取りでは一般物価水準の安定を基にすべきであり、資産価格株価不動産価格為替レートなど)の動向をもとに金融政策の方向を決めるべきではない、と考えていると指摘している。ポーゼンはこのようなバーナンキ基本的姿勢FRB議長就任後も当然に堅持されるだろうし、目前のリスク石油価格の高騰によるインフレであればそれを抑制することに勢力を集中するであろうと予測している。そしてこのような物価水準に関心を払うことに集中して、消費や投資活動に影響しないかぎり資産価格の動向に金融政策を左右させないというスタンスは、実は継承約束したグリーンスパン議長政策観とまったく同じである、ともポーゼンは指摘している。

 

 「実はバーナンキ氏も(グリーンスパン氏と)同じ考えだ。八〇年代資産バブルへの対処で道を誤った日本金融政策反面教師として肝に銘じていると語ってくれたことがある。したがって、住宅価格上昇が今後のFRBの基本政策根本的な影響を与えるとはまず考えにくそうだ」(「過小評価されるFRB次期議長 政策透明性は間違いなく増す」「週刊ダイヤモンド2005年11月12日号)。

 

 またグリーンスパンバーナンキもまた「バブル」は「バブル」が崩壊してみないとそれが本当にバブルであったかどうか判別することは非常に困難だとも述べている。そしてこのバブルの判定が難しいこと以上に深刻な問題は、株価などの資産価格バブル」を潰すために行われた金融政策積極的運営が、その後の経済を非常に困難に直面させてしまっている、という歴史的証拠があまり豊富なことである。そして(そのような積極的金融政策運営の有無にかかわらず)仮に「バブル」が崩壊したときには予防的なデフレ回避策が重要であったことも日本の失敗の教訓や、またアメリカITバブル崩壊後の経験から得ることができる。このようなグリーンスパンバーナンキらの金融政策運営の智恵は積極的活用しなくてはいけないだろう(詳細は近刊予定の田中秀臣ベン・バーナンキ 世界経済新皇帝』(講談社2006年)を参照いただきたい)。

 

 しかしいま経済論壇でヒートしているのは株価バブル」への懸念とそれを予防するために日本銀行の金融政策レジーム転換への期待である。いわゆるエコノミストの中前忠・斎藤明子「経済教室 消費主導へ構造転換 金利日本経済 上」『日本経済新聞』12月26日菅野雅明加藤出「経済教室 金利正常化を急げ 金利日本経済 下」『日本経済新聞』12月28日 などはその典型的意見を表明している。菅野加藤論説では、現行の金融政策マイナスの実質金利を実現しているのでそれが「劇薬」として資産価格の高騰を招くと書いている(もっとも両氏は「バブル」とはせずにバブル手前?のユ―フォリア(陶酔)」状況であると評している)。また中前・斎藤論説は独自の新解釈であるゼロ金利家計から企業への所得移転を生むという議論の延長として、過剰流動性不動産投機の形で資産インフレを招くと警鐘を発している。両者の論説は切り口は違うが、株・不動産資産インフレバブル一歩手前の状況を改善するために日本銀行に金融政策の転換を促している点ではまったく同じである簡単にいうとデフレインフレといった物価水準への配慮よりも資産価格の動向を重視した金融政策の転換を金利水準の上昇を中心とした政策で達成しようというのがその趣旨であろう。

 

 これらの政策提言バブルが事前に判定することが困難であることに加え、さら目標インフレ率やGDPギャップといった通常の政策目標比較してこれらの資産価格の“最適”水準がどこにあるのか理論的にも経験的にも不明であろう。例えば中前・斎藤論説は「預金金利が3%になれば、家計の一兆円の純金融資産は30兆円の利子所得を生み出す。20%の源泉税、6兆円(税収増)を払った後でも24兆円残る。これは帰属家賃を除いた個人消費240兆円のちょうど10%に相当する」として、3%の利上げを主張しているようであるしかバーナンキらが指摘しているように家計の消費動向をみる際に名目利子率に注目するのは正当化されない。デフレデフレ予想が継続している状況での名目金利引き上げは、むしろ実質利子率を上昇させることで消費を抑制させてしまうだろう。彼らの机上の計算では純金融資産の増加が単純に消費支出増に向かっているがそんな保証はどこにもない。また経済全体でみて彼らの主張は資産価格不動産価格の低下に主眼があるのであるからこの側面から家計の純金融資産は減少するだろう。なぜなら中前・斎藤論説とは異なり家計企業の株や社債土地保有している主体からだ。

 

 実はこのような資産価格の現状の動向を「バブル」あるいはそれに近似した状況として認識した上で、金融政策運営を見直せ(=事実上金融引き締めスタンス)という主張はエコノミストばかりではなく、政治家財界人、そして立花隆氏のようなジャーナリストなどにも顕著に見られるようになってきた(http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/051226_kouboh/)。

 

 しかバブル崩壊とその後の長期停滞はまさにバブル潰しという資産価格ターゲットにした金融政策の失敗に基づくものではなかったのか? そしてこの15年にわたる大停滞というのはデフレデフレ期待の定着による消費や投資の伸び悩み、それによる失業倒産の累増ではなかったのか? なぜ停滞の真因に目を背け、「バブル懸念論者は目前の資産価格の動向ばかりに目をむけてしまうのだろうか? ひょっとしたらそれは単に理論的心情だけではなく、資産保有アンバランスを異常に気にするアンバランス価値観や、または特定ポジショントークからんでいるのかもしれない。それは今後、興味深い経済思想上のテーマ提供するだろう。

goo blog サービス終了のお知らせ  田中秀臣の「ノーガード経済論戦」 バーナンキインフレターゲット論の復習 2005-12-05 | Weblog

 ベン・バーナンキFRB議長指名を受けての上院銀行委員会公聴会においてグリーンスパン路線継承約束した。バーナンキ90年代からグリーンスパン後の金融政策のあり方のひとつとして、インフレターゲット政策採用すべきだとする論陣を張っていた。この上院での証言では、まさに物価安定と経済成長の安定、そして市場とのコミュニケーションを円滑に行うためにインフレターゲット導入が必要であると、バーナンキは力強く述べた。このバーナンキ証言に対して、委員会メンバーからインフレターゲット採用することで物価安定が優先されてしま雇用の確保が保たれないのではないか、という質問がだされた。それに対してバーナンキインフレターゲット物価雇用の安定に共に貢献することができると言い切っている。

 

 インフレターゲットとは、改めて定義すると、インフレ率の一定範囲(例えば2~4%)におさえることを中央銀行公表し、その達成のために必要金融政策を行うことである。ただしバーナンキ自身がかっていったように何がなんでもインフレ率の達成にこだわるような、「インフレ狂のいかれぽんち」に陥ることはない。

 

 バーナンキ自身は、現実経済は非常に複雑であり、また不確実性を伴うものであるので、しばしばいわれる金融政策とその政策担当者を「自動車運転手」の関係に喩えるのは誤りであると述べている(講演「金融政策論理2004年12月2日)。なぜなら運転手自分走行中におこることがらをかなりの程度予測して運転しているが、金融政策担当者には四半期先の予想でさえも困難なことが多い。確かに金融政策を通じて中央銀行経済主体の予想に働きかけることができるが、それがどのように現実経済反作用するかを見極めることは実に難しい。しかしそれだからこそこの複雑で不確実な経済において経済主体の予想に働きかける政策の方が、それを考慮しない政策よりも重要になる。なぜなら主体がどのように政策に反応するかの理解を欠いた政策実行は予期しない失敗を引きおこすからである

 

 そして経済主体の予想形成とその経済への反作用をしっかりと政策当局が見極めるためには、予想をベースにした政策の実行とともに市場参加者中央銀行とのコミュニケーションがきわめて重要になる、とバーナンキは述べている。そして中央銀行市場に対してその政策目的予測を伝えることで、市場からリアクションに対して柔軟に対応するべきである、とも述べている。これらの政策に対する基本姿勢は、彼のインフレターゲット論の中にいかんなく反映されている。

 

 従来の経済学では金融政策をめぐっては、「ルール裁量か」という二元論でしばしば議論が行われている。金融政策が長期的には貨幣中立性が成立していて、実体経済には影響を及ぼさずに、ただ単に名目変数(例えば物価水準)を動かすだけである、という点では新古典派経済学マネタリスト、そして(ニュー)ケインジアンは一致している。しか短期的に実体経済に影響を及ぼすことができるのか、いいかえると経済の深刻な変動に対して金融政策有効手段になるのかどうかで、新古典派ケインジアンには特に深い対立が残っている。

 現時点で新古典派マネタリスト、そしてケインジアンは非常に深く混じってしまっており、例えばバーナンキの初期の金融モデル新古典派的な発想に立脚したRBCモデルを基本にしている。しかし、最近バーナンキ政策スタンス経済の変動(産出量ギャップの大きな変化)には積極的金融政策中心の政策対応をすすめるものであり、その基本はまぎれもなくケインジアンである。そして財政政策よりも金融政策を中心に景気対策を行う点では昔風?の区分ではマネタリストでもあるだろう。

 

 一般的新古典派マネタリスト中央銀行マネタリーベースを四半期ごとにX%にコントロールする「ルール」に準拠して金融政策を行うことで、中央銀行戦前大恐慌時のように大きな経済変動の原因になることを未然に防ぐことができるとし、安定的経済成長資することができると考えている。そしてルールを事前に公表することで中央銀行の行動に対して市場が信頼をもつことができることも経済不安定性を回避するとルール主義者は信じている。それに対して裁量を重視する旧来のケインジアンは産出量ギャップの拡大に対して機動的な政策対応を主張している。裁量主義者ルールのもたらす「信頼」と、大恐慌のような予期しない経済変動に迅速に対処する際の政策の「柔軟性」にはトレードオフ関係があると信じて疑っていない。もし柔軟性を認めれば、そのことがマネタリストの主張するようなマネタリーベースの成長率ルールへの信頼性を損ねるというわけである

 

 バーナンキインフレターゲット論は、この「ルール裁量か」でいえばまさに彼の経済学の総合性格を反映するかのように、彼自身言葉で「制約された裁量」というコンセプトに即したものであるバーナンキの「制約された裁量」としてのインフレターゲット論は、バーナンキらの論集『インフレターゲット国際的経験からの教訓』やFRB理事としての講演「インフレ目標展望」(2003年3月25日ベン・バーナンキリフレと金政策』(高橋洋一訳、日本経済新聞社)に収録)に表明されている。

 

 バーナンキインフレターゲット論の主要内容は、1)フレームワーク、2)コミュニケーション戦略 のふたつで構成されている。フレームワークとは、先ほどの制約された裁量と同じであり、金融政策いかに行うかについての「ベストプラクティス」(最善の実践であるという。

 

 「制約下の裁量のもとで、中央銀行は、経済構造政策効果について知識が不完全なことに注意を払いながら、短期的な混乱は無視してでも生産雇用の安定のために自主的に最善を尽くせます(これが制約下の裁量の「裁量」部分です)。しかし決定的に重要な条件は、安定化政策実施するにあたり、中央銀行インフレーーそして、それゆえ国民インフレ予想??をしっかりとコントロールするという強いコミットメントを維持する必要もあるということです(これが制約下の裁量の「制約下」部分です)」(邦訳39頁)。

 

 そしてこのようなインフレターゲット金融政策が通常、半年から1年半ほどの政策ラグを伴って効果があらわれるために、先行して経済主体の予想をリードしていくという性格を色濃くもった期待形成フレームワークでもある。

 

 例えば、今日アメリカ経済低インフレの好循環が成立している背景には、まさに低インフレ予想がキーであるといえる。その反対のケースが70年代石油ショックエピソードである産油国石油価格戦略的値上げによってコストプッシュ型の激しいインフレが起きたというのが定説であるしかバーナンキは実際には石油価格の高騰が各種財やサービスコストを引き上げたことによってインフレが多少は悪化したのは事実であるが、むしろそれよりも深刻だったのは家計企業FRB金融引き締めが不十分であることを予想し、それが高いインフレ予想を招き、そして賃金値上げや製品価格値上げに移行した、という見方を立てている。むしろFRB石油ショックに直面する以前の金融緩和姿勢もそのような経済主体の高インフレ期待を促したともバーナンキは指摘している。

 

 実は日本でも石油価格の高騰が70年代の「狂乱物価」を引き起こしたとする通説が根強い。しか小宮隆太郎は「昭和47,48年のインフレーションの原因」の中で日本銀行石油ショック前の行き過ぎた金融緩和政策とその後の引き締めの遅れがこの「狂乱物価」の犯人であり、日銀政策の遅れが(小宮バーナンキのように期待の経路は明示していないが)企業労働組合などに製品価格上昇や賃上げに走らせた、と述べている。そして70年代から80年にかけての第二次石油ショックの影響が軽微だったのは、日銀過去反省していち早く強い金融引き締めスタンス採用したことにあり、それに応じて(これも期待の経路は小宮では不明なのだが)労働組合企業賃上げなどのコストプッシュの要因をおさえるべく、労使協調路線採用することでこの事態を乗り切った、と書いている(小宮隆太郎現代日本経済東大出版会)。

 

 アメリカの方はボルカー元FRB議長1979年における断固たる“タカ派”的レジーム転換で、徹底的に高インフレと闘ったことで、その後の低インフレの好循環の基礎ができた、とバーナンキボルカーの業績を評価している。しかし、このボルカーのタカ派へのレジーム転換が社会的にきわめて重いコストを伴ったことを指摘することをバーナンキは忘れていない。

 

 ボルカーの行った「ディスインフレ」(高いインフレ率を抑えて低インフレにすること)政策が、積極的名目利子率と実質利子率の引き上げによって実行され、それが80年代に入ってインフレ率の劇的な低下を見る一方で、それと見返りに10%にせまる高い失業を生み出してしまった。バーナンキはこの70年代インフレ予想形成の失敗がいか社会的コスト失業)を生み出したのか、このような失敗を今後しないためにも経済主体の予想形成金融政策の欠かせない要素になると力説している。

 

 第二の要素のコミュニケーション戦略であるが、これはすでに自動車運転手比喩の話で触れたように、中央銀行国民市場参加者に対して政策目標フレームワーク経済予測を事前に公表することで、中央銀行政策に対する信頼を醸成し、さら政策責任明確化政策の決定過程とその帰結の透明性をはかろうというものである。このことが自動車運転手比喩でも問題となった経済の不確実性について、少なくとも政策当事者の行動とそれを予測する民間主体の不確実性を大幅に減少することは疑いがないであろう。

 

 ところでこの「ベストプラクティス」としてのインフレターゲットアメリカに導入される見込みはどうであろうか。従来、インフレターゲット導入への反対の論拠として、連邦準備制度目的規定連邦準備法2A条)とのダブルスタンダードになるという点をあげて反論するのが一般的であった。

 

 「連邦準備制度理事会及び連邦公開市場委員会は最大雇用物価の安定及び緩やかな長期金利という目標有効的に推進するために、生産を増加する経済の長期的潜在性と均衡する通貨及び信用総量の長期的成長を維持する」

 

 と連邦準備法にある。これはかってのハンフリー・ホーキンズ法の趣旨を反映した条文であるが、議会にもこの雇用物価の両方への重視が強いことはすでに述べた。このようなダブルスタンダード批判について、バーナンキはここでインフレターゲットの柔軟性を強調し、雇用物価双方にどんなウェイトづけを行っても首尾一貫したインフレターゲットの援用が可能である、と断言している。バーナンキ議長意思が強固なことが伺われる。

 

 今後、アメリカインフレターゲット導入の議論高まることは当然に予想される。この議論高まることによって日本においても同様の議論高まることが予想されよう。実際に政府の一部では強力にインフレターゲット導入を視野にいれた日銀改正論議まで行われようとしているようである。すでに私はこのバーナンキ経済学を通して、日本銀行がその政策説明責任、透明性、そして経済主体の予想形成、ほぼすべてにおいて稚拙な決定の連続であり、また今日においても外的な要因が重なっただけで金融政策レジーム転換なきまま景気回復がある現状も指摘した。簡単にいえば、丸山真男過去に指摘した官僚的な「無責任主義」がまだ日本銀行とその利益団体ともいえる日銀シンパエコノミストに根強い。この無責任主義を打破するためにもインフレターゲットの導入とそれによるリフレマインド形成日本社会にいま最も望まれているように思われる。

goo blog サービス終了のお知らせ  田中秀臣の「ノーガード経済論戦」 出口政策が熱い?!(その2) 2005-11-29 | Weblog

 

お待たせしました。続きです。(その1はこちら)

 

●出口政策理論的基礎―ニューケインジアンモデル

 

 出口政策理解するためにはやはりそれなりの理論的なフレームで考えなくてはいけないだろう。例えばバーナンキ次期FRB議長日本デフレ脱出に、エガートソンとウッドフォード経済学モデルを援用して、インフレ目標政策物価水準目標の合わせ技を提案した(ベン・バーナンキリフレと金政策日本経済新聞社)。以下ではこのエガートソンとウッドフォードモデルの枠組みをきわめて単純化して「出口政策」の理論的基礎とさら現在しばしば話題になる日銀預金残高の超過準備問題という技術的な側面についてコメントしてみたい。

 

 いわゆる「ルーカス批判」以降、政策による期待の変化という問題に耐えられる理論構造もつことがマクロ経済学に求められきた。そのひとつの解が、いわゆる「マクロ経済学ミクロ的基礎」である。「ルーカス批判」以後、マクロ経済学プログラムはこの「ミクロ的基礎付け」をRBC(実物景気循環論)モデルとニューケインジアンモデルの大まかふたつの方向で深化してきた。両者はいまでは見分けがつかないほど交じり合ってしまった。例えばバーナンキらの理論では長期においては市場自律的調整機能を信頼しているため、長期的スタンスをとれば例えば失業が深刻であっても市場の調整能力にまかせる、という選択最初から排除するものではない。しかしもちろんこのような態度は、バーナンキらの積極的に認めるところではなく、実際問題として不況が深刻であったり、極めて高いインフレが起きているとき政策介入を強くすすめることで社会的コストを避けるというのが、いわゆるニューケインジアン立場であろう。

 

消費者の行動(New IS曲線

 

 バーナンキらはまずマクロ経済を考える上で、家計消費者)の行動、企業の行動、そして金融政策担当する中央銀行の行動を主要なプレイヤーとして考える。それぞれのミクロ的な行動が経済マクロ的動向に影響を与えていくと考えるわけである

 

 まず消費者自分効用(満足)を最大化するために行動する。その際に予算の制約をうけるわけであるが、その制約の変化に対してなるべく消費を平準化スムージング)して行うことが最適な対応である、とこの消費者は考えているとしよう。消費の平準化というのは、今期(現在)と来期(将来)の消費量をあまり変化させずに似たような量だけ消費し続けることを意味している。例えば今期、クリスマス家族恋人プレゼントをするために消費を増やせば、それに対応して将来の消費を減少させることで、期間を通じてみれば消費は一定水準にあるというわけである。例えば経済全体の景気がよく将来的に家計所得が通常の場合よりも増加すると期待されたとしよう。このような状況を期待産出量ギャップが拡大したと表現する(あるいは期待拡張ギャップ存在とも表現可能)。将来の所得が増えると期待されるので、この家計はそれを見込んで現在の消費を増やすことで平準化を行おうとするだろう(そうしないと予想通りに将来の所得が増えた場合、将来の消費の方が今期にくらべて過大になってしまうので)。

 

 この状況は先の例でいえば、会社の成績が良好で、ボーナスの増額が望めるために、クリスマスプレゼントはその将来のボーナスで返済することを見込んで、ローンまでして高めのプレゼントを購入することに似ている。すなわち将来の期待産出ギャップ(期待される将来のボーナスの増加)が現在の産出ギャップ(ローンをすることでの現在所得の増加)に反映されることになる。このように家計の消費行動は「来期の産出量ギャップの予想」に依存している。

 

 さら家計は今期の消費と来期の消費をバランスするために現在の実質利子率を参考にするだろう。現在の消費を我慢して貯蓄するには、その貯蓄が経済的に見合うものでなくてはいけない。その報酬として実質利子率が付されるとも考えられる。そしてこの実質利子率が増加すればそれだけ消費者現在の消費よりも貯蓄を選ぶだろうし、また反対に実質利子率が低下すれば将来の消費よりも現在の消費を選ぶであろう。また家計のローンの負担も実質利子率が低下することで軽減され、そのことがローン契約耐久消費財の購入を促すことが知られている。すなわち消費者の行動は「今期の実質短期利子率」に依存している。

 

 ニューケインジアン経済モデルではこのような消費者の行動をIS曲線(New IS曲線)と表現して現在所得のあり方(産出高ギャップ)に、今期の実質短期利子率と将来の産出量ギャップが影響を与えると考えるわけである。ちなみに伝統的なIS曲線と同じように、今期の実質短期利子率と今期の産出量ギャップとの関係は右下がりの曲線に描くことができる。

 

企業の行動(ニューフィリップス曲線

 

 次に企業の行動をみてみよう。ニューケインズ経済学では企業価格設定行動も経済環境の変化に対して緩慢にしか変化することはせず、そのため価格粘着性という現象一般的であると主張している。この価格粘着性を説明するためにケインズ経済学企業代表的イメージとして「独占的競争モデル」を採用する場合が多い。経済学の想定する市場典型的な姿は、完全競争と独占である。完全競争市場では、多数の売り手と多数の買い手が、お互いに市場価格シグナルとして販売・購入活動を行っている。価格資源配分有効に行うと想定しているので、この完全競争市場では売り手と買い手はプライステイカーとして行動する。他方の独占市場では、売り手もしくは買い手ないし双方が市場価格コントロールする力を保有しており、独占市場では完全競争市場にくらべて、価格はより高く、取引される財・サービスの量は少ない。独占市場は完全競争市場に比べると資源の非効率的な配分が行われている。

 

 しかしこのような両極端な市場の姿よりも、次のような市場のあり方の方が一般的ではないだろうか。例えば近所の本屋にいけば、さまざまなビジネス雑誌販売されている。そしてそれぞれのビジネス雑誌は、特集する記事が異なったり、価格も各出版社独自色を打ち出してライバル雑誌に負けないとしているように思える。またどの出版社でも自由ビジネス雑誌を発刊することができ、自由にそれを辞めることができる点でも、完全競争市場の特徴を持っている。

 

 このようなケースは、なにもビジネス雑誌だけではないだろう。私たちは、完全競争と独占の両方の特徴を持った様々な財・サービス―例えば、書籍映画パソコンソフトレストランコンビニケーキ車など―を日常的に目にしている。経済学では、このような財・サービス市場を「独占的競争市場」と名づけている。独占的競争とは、同質ではないが類似した財・サービスを売る多くの企業存在する市場だということができるだろう。独占的競争市場では、たくさんの企業が同じ顧客相手競争を繰り広げている。その一方で、個々の企業が、他の企業と異なる製品供給している。これを製品差別化という。また同時に参入・退出が自由である

 

 完全競争市場では市場で決まった価格販売すればすべての財は売りつくされる。他方で独占的競争市場では、企業は「右下がりの需要曲線」に直面している。これは企業価格コントロールできるが、もし価格を上げれば需要は減り、下げれば需要が増加するという市場環境に直面していることを意味している。この結果、この独占的競争企業は若干の独占力を有しているために、限界費用を超える価格を自ら設定することができる。この限界費用というのは、財やサービスを追加的に一単位製造するときに要する費用のことである経済学ではこの「限界」的な単位消費者企業選択判断する。例えば、企業は売り上げ全体の動向と価格をみて供給を決定するのではなく、新たに一単位生産するときコストとその販売価格の大小関係で意思決定を行う。

 

 例えば『冬ソナ』のDVDを一冊追加的に生産するコスト(=限界費用)が1000円だとすると、この独占的競争企業は5000円で市場での販売可能になるということである限界費用価格との差額は、この企業にとっての「マークアップ」(超過利潤とイメージしてもいい)を得ることが可能であることを意味している。この超過利潤の獲得を目的にして、多くの企業がこの市場に参入する。もちろん独占的競争企業製品差別化によってこの熾烈な競争に打ち勝とうとするだろう。独占的競争市場では、このような熾烈な競争の結果、長期的には利潤がゼロになることがしられている。そしてこのような熾烈な競争に生き抜くために、企業製品差別化をはかり消費者需要喚起し、その有効手段とし広告ブランド戦略などを展開しているのである

 

 ところで独占的競争企業価格設定を自ら行うことができるが、市場の動向に合わせて絶えず価格を変更しているわけではない。価格の変更に伴うコストメニューコスト)が発生するために頻繁に需要の変化に応じて価格修正することはしない。そのためメニューコストを原因とする価格粘着性が広く観察される。また価格改訂する企業が増加するにしたがって、この価格粘着性は緩んでいくと考えられている。この価格の変更に企業は今期の産出高ギャップをまず参考にする。これはいままでの議論では需要供給よりも多いと考えられるならば企業価格を上昇させるように改訂するだろう。また他方で将来のインフレ率の予想も重要である。なぜなら上記マークアップ名目額よりも各企業はその実質値に注目すするからである。将来獲得したいと期する利益に将来のインフレ率の動向が大きくかかわるわけである。まとめると企業価格改定行動は、今期の産出高ギャップと、来期の期待インフレ率依存している。経済全体でみれば現在インフレ率は期待インフレ率と産出高ギャップに影響される。この関係表現したのがニューフイリップス曲線という。

 

中央銀行の行動(テイラールール

 

 さら中央銀行金融政策ルールテイラールールの形で導入するのが一般的であるジョン・テイラーグリーンスパン率いるFRB金融政策の行動を「テイラールール」という形で表現することに成功した。テイラーによるとFRBは産出量ギャップ(潜在産出量-現実の産出量/潜在産出量)とインフレ率に反応して利子率を設定しているというものであるテイラールールもっと古典的形式は産出量ギャップインフレ率を均等に重きを置いて考慮する政策スタンスを採り入れたものとなっている。

 

名目利子率=0.01-0.5(潜在産出量-現実の産出量/潜在産出量)+0.5×目標インフレ

 

である。このテイラールールを用いると、産出量ギャップが0.01、目標インフレ率を0.02だとするとFRBは0.5%利子率を引き下げて、景気の後退を防ぐことがわかるだろう。このテイラールールグリーンスパン率いるFRBの動きをかなりうまく説明することができるといわれている。

 

 ところで中央銀行経済にふりかかるさまざまなショックから国民経済厚生を守るために行動するとみなされている。いま国民経済厚生を最大化するような中央銀行を考えて、この中央銀行が考えている経済厚生の損失の最小化が、そのまま国民経済厚生の損失の最小化になると考えるとしよう。中央銀行国民経済厚生の最大化(あるいは損失の最小化)をきちんとフォローできると考えるわけである

 

 このとき中央銀行経済厚生を最小化するための目的関数を「損失関数」といい、これは簡単にいうと今期のインフレ率と今期の産出高ギャップを足したものである。この「損失」を下の(a)(b)(c)のもとで最小化するのが、この経済にとってもっとも望まれる=最適と考える。

 

(a)New IS曲線では、今期の産出量ギャップが(1)今期の実質短期金利と(2)来期の産出量ギャップの予想に依存する 

(b) ニューフィリップス曲線では、今期のインフレ率が(1)今期の産出量ギャップと(2)来期の期待インフレ率依存する

(c) 中央銀行目標名目短期利子率を決めるにあたって(1)今期の産出量ギャップ(2)目標インフレ率を参照する。

 

 ところで上の意味での最適な中央銀行金融政策を考える上で重要ものが「コミットメントである。これは中央銀行金融政策目標達成への力強い政策的態度をしめす言葉といえる。具体的な目標について責任を持って期間内に達成することを約束することであ。例えば未達成の場合には具体的な形で責任をとる(ペナルティをとる)と考えて同じで効果を発揮する。このコミットメントを行うことが経済活動するさまざまな主体家計企業市場関係者)の予想に影響を与える。

 

 例えば、先の(a)のIS曲線では、今期の産出量ギャップが(1)今期の実質短期金利と(2)来期の産出量ギャップの予想に依存していて、さらに来期の産出量ギャップは(1)'来期の実質短期金利と(2)'来来期の産出量ギャップの予想に依存していて以下同様に…となると、結局、今期の産出量ギャップは将来の実質短期金利依存することになる。ニューケインジアンは産出量ギャップの変動を経済変動で重視しているので、これは将来の金融政策のあり方(=将来の実質短期金利をどうするか)への予想が決定的に重要になるということになる。

 

 「産出量ギャップ」という表現が苦手な読者は、消費者でいえば(借り入れのケースを含む)所得企業でいえばマークアップと考えてみればいいだろう。いまのサラリーの額や企業利益中央銀行現在から将来に向けての政策態度に影響されるというのがニューケインジアンモデルもわかりやすい含意だ。

 

 このような将来が現在規定するという考え方をフォワード・ルッキングという。このようなフォワード・ルッキング経済構造では、経済主体の予想に影響を及ぼすコミットメントいか重要になるかが分かるであろう。

 

●出口条件を考える

 

 さて出口政策の条件を考えるには上の(a)(b)(c)のもとで損失関数が最小化するように計算をしなくてはいけない。しかしここでは直観的な説明を行う。渡辺努岩村充氏の『新しい物価理論』(岩波書店)で用いられた仮設例を利用したい。この仮設例の面白いところは上記までは顔を出していない長期利子率の動きをフォローすることができることである現在の出口政策にかかわる議論が長期利子率のオーバーシュート財政危機の拡大?)への懸念にあることを思えばその重要性がわかるであろう。ちなみに以下では金利の期間構造モデル採用して、長期利子率は将来の短期利子率の予想値に依存していると考える。すなわち単純化して足元の長期利子率は、足元の短期利子率と次の期の短期利子率の単純平均とする。また産出高ギャップは長期利子率に反応すると考える。あとでわかることだが、長期利子率は短期利子率の予想へのコミットメント誘導されて決定されるのでいままでの議論と同じである

 

 いま三期間(0,1,2期)を生きる経済を考えよう。第0期はデフレ流動性の罠に陥ってるとする。現代版の流動性の罠バーナンキらは名目短期利子率がゼロ(=利子率の非負制約)であると考えている。そして第1期と第2期では経済回復しているとする。このとき渡辺岩村の仮設

goo blog サービス終了のお知らせ  田中秀臣の「ノーガード経済論戦」 出口政策が熱い?!(その1) 2005-11-16 | Weblog

 福井総裁量的緩和解除は来年春、と匂わせた発言に反応するかのように、政府与党から日銀の早期量的緩和解除をけん制する発言が相次いででてきた。中川政調会長日銀法の改正政策カードでちらつかせて、日銀デフレ対策が不十分であることを批判している。また安部官房長官もそれに呼応するように、日銀政府協調して財政再建のためにもデフレ脱却して、自然増収での財政基盤の健全化への寄与が実現されるべきだとこれもまた日銀牽制した。この種の発言はいずれもなにか具体的な政策に直結しているわけではないので、それ自体どうこうというわけではない。しか日銀の出口政策量的緩和解除をめぐる議論は今後も政治的話題として沸騰していく可能性があるのかもしれない。

 

 そもそも出口政策をめぐっては、1)前提条件であるデフレ脱却をし、0%以上の安定的インフレ率を維持できるのか? 2)出口政策技術的な難しさ の二点から問題が提起されている。最初の点については、『日経公社債情報10月24日号で匿名記事末吉名義の記事)「日銀ウォッチ デフレ脱却論議の謎」において、きわめて説得的な議論が行われている。日銀インフレ率の目安として採用している日本式アインフレ(生鮮食品を除く消費者物価指数)の前年比上昇率はゼロ近傍であり、このためデフレ脱却は難しく、デフレ脱却のためにはインフレ目標政策が一段と必要である、という趣旨の論説である

 

 この主張の背景には、伝統的なCPI上方バイアス存在(すなわち1%程度物価インフレにふれて計測されてしまう)と、さらにコアインフレ率をおしあげているのは石油関連商品であり、この上昇はピークアウトをむかえる可能性が大きく、そのインフレ率に与える押し上げ効果は0.4%程度にとどまると予測されること。そしてこの石油関連商品の影響を除外すると、インフレ率はマイナス0.5%程度であり、さら上方バイアス考慮にいれるとマイナス1~1.5%程度となる、と末吉論説は指摘している。これは非常に周到な分析であり、今日日本経済が決してデフレ脱却を確実にしているわけではなく、むしろ不確実なものであることを示している。

 

 さら安達誠司氏の『デフレはなぜ終るのか』(東洋経済新報社)では、1930年代アメリカデフレ脱却時の出口政策からの教訓をもって、今日の出口政策論議警鐘を鳴らしている。安達氏によれば、当時のアメリカ財務省主導によるドルの減価政策により「レジーム転換なきリフレ」を実現した。このレジーム転換とは、中央銀行であるFRBデフレ脱却のために従来の金融政策スタンスを転換して、超金融緩和政策コミットするというゲームルールの変更として理解される。しかしこのようなレジーム転換がない、すなわち従来の事実上デフレ継続的金融政策スタンスのままに、この「レジーム転換なきリフレ」に直面したため、FRB政策当事者には早急な出口政策模索(当時の異例な低金利政策放棄超過準備リスクマネーとして高インフレに転じる要因になることへの懸念さら株価の急騰をバブルとする警戒感が存在していたことの半面といえる)があった。そしてインフレ率はプラス推移であったにもかかわらず、FRBの早急な出口政策採用によりふたたびデフレに戻ってしまったと指摘している。

 

 安達氏によればこのようなデフレに舞い戻る経済脆弱性を克服するのには、中央銀行デフレ脱却にむけたレジーム転換へのコミット必要さらに実現されたインフレ率という「変化率」への注目だけではなく、それ以上に「水準」が重要であるとしている。本ブログでの「バーナンキFRB議長就任日本リフレ」(10月28日)で紹介した物価水準ターゲット重要である。すなわちデフレに陥る前のインフレ率(たとえば1%や2%)が現在継続していたらどうなるのか、という物価水準経路を考えて、その経路と現実物価水準の経路のギャップを解消していくという考え方である

 

 日本現在景気回復デフレスパイラル的状況からのとりあえずの脱出は、2003年から2004年初頭にかけての財務省の空前の為替介入と(予期せざる?)日銀マネタリーベースの増加がタイミング的に数度重なるという「非不胎化介入」の結果である(詳細は田中秀臣経済論戦の読み方』(講談社現代新書)参照)。すなわち日銀としては明確なレジーム転換が不在であり、あくまでも財務省主導という点で、戦前アメリカのケースに近似していると、前掲の安達氏は指摘している。これは有益歴史からの教訓である

 

 そのため今日日銀はまさに戦前FRBと同じように、出口政策に関わる発言において、「インフレ心理」への懸念を示したり(まだデフレなのに!)、インフレ「率」にのみこだわり、前記したようなリフレ過程には関心を示すことはまったくない。また日銀政策理解を示す衆議院議員佐藤ゆかり氏のように「中小企業家計部門オーバーリスクテイクの状況から守ることが大事で、量的緩和政策は速やかに解除すべき」「日経公社債情報」(10月31日)とコメントしているのも、戦前と同様に超過準備が高インフレ資産価格の急騰(バブル?)をもたらすことへの「懸念」と基本的には同じものであろう。

 

 本格的なリフレ政策採用と連結しないかぎり、デフレ脱却の道のりはかなり不安定ものであることは否めないのではないか。そして出口政策採用への日銀の現状の早すぎるコミットへの懸念は募るばかりである。(その2)では、仮にデフレを脱却(不安定であってさえも)した場合採用されると考えられるいくつかの出口政策について考えてみたい。

goo blog サービス終了のお知らせ  田中秀臣の「ノーガード経済論戦」  『二〇〇五年体制誕生田中直毅著(日本経済新聞社2005-11-15 | Weblog

 論壇でもいち早く時代雰囲気を伝えることに成功している田中氏の新作である話題はやはり今年度の最大の政治事件であった先の小泉政権衆議院選挙での歴史的勝利をめぐる評価である田中氏はこの勝利を「二〇〇五年体制」の成立と表現している。その直前までの政治体制は「五五年体制」の継続であり、その特徴は旧田中支配による族議員郵政道路、農水、文教、厚生の「五族協栄」)とその支持母体となる利益集団、そしてそれらを束ねる派閥とその長の複雑な利害関係ネットワークである。それが今回の選挙結果によって、小泉首相への権力の集中という一元的政党運営の構図ができあがったとする。そして有権者ひとつの「政策政党首相候補を選ぶことが可能になり、小選挙区制の特徴を活かした論点の明確な選挙可能になったと肯定的評価を下している。

 

 田中氏は「二〇〇五年体制」の実現を直接もたらしたものは、投票率の上昇であり、それを可能にしたのが有権者消費者としての成熟であるとしている。例えば有権者は現状の「物価の低位安定」すなわちデフレを「明確に評価してきた」、このデフレは一国の金融政策によって大きく左右されるものではなく、「グロバライゼーションと競争技術によって決まるもので」(35頁)あるという評価を、有権者がもっていたと田中氏は解釈するわけである田中氏はこのような強い意味での「良いデフレ論」を全面に出し、有権者のこのようなデフレへの支持を「消費者としての成熟」と呼んでいる。そしてこのような消費者成熟消費者側の論理妨害するのが、いままでの政治の仕組みであり、それは「供給者の論理」であったとする。「供給者の論理」とはなにか判然としないが、上述の論旨でいえば、それは一国の金融政策物価水準に左右し、なおかつデフレ国民生活悪化させることを認めるような論理なのであろう。

 

 このように田中氏の主張は「良いデフレ」論をバックとして、国民投票行動をその点から評価することにつきる。ところでこの田中氏の主張には無理がある。小泉政権の主要政策課題には「デフレ脱却」が大きく掲げられており、その実現は選挙前では郵政民営化、三位一体改革などと並んで政権の主要な未達成の課題であった。当然、小泉政権に支持を与えた有権者は、田中氏の説明の枠組みにあえてのれば、「消費者としての成熟からデフレを悪としてその退治を求めたと考えたほうが素直な解釈である田中氏の論旨はこの有権者成熟論について奇妙な歪みをもっており論旨が破綻しているように思われる。なお現在デフレ田中氏の表現の「物価の低位安定」(低位安定の利益をすでに有権者享受しているので、これは低インフレではなくデフレのことであろう)が良いのではなく、「悪い」理由は、「消費者成熟」が支持したであろう現政権の「構造改革」の一部として以下のHPにその弊害がそれなりに説明されているので参照されたい。

http://www.keizai-shimon.go.jp/explain/progress/deflation/index.html(注)

 

 もちろん田中氏の本から離れれば、小泉政権の実際に行われているという意味でのデフレ対策への批判評価そもそもなぜ「構造改革」の中にデフレ対策があるのか、などへの批判を私は抱いているがそれはここではふれない(野口旭・田中秀臣『構造改革論の誤解』(東洋経済新報社)、田中秀臣『経済論戦の読み方』講談社現代新書などを参照されたい)。ここでは田中氏がなぜデフレ対策だけを小泉政権政策メニューからはずし、政権公約してもいない『良いデフレ論」への支持として有権者の今回の行動をとらえたのだろうか、という私からみて納得できないところを明確にできればそれでいまのところは十分である

 

 本書はいままでの「供給者の論理」を打破して、「有権者満足の政治」を目的とすべきである、としているが、日本経済有権者生活を脅かしているデフレ弊害評価することに失敗しており、著者の抱く有権者の満足と現実有権者の満足との間には深刻な「構造問題」が控えている気がしてならない。

 

(注)それにしてもこのサイトの「デフレの何が問題か」はまだしも「デフレの原因は何か」は支持しがたいものがある。デフレの原因は日本銀行・政府政策の失敗(金融政策事実上の引き締め継続が主因)であり、他の要因は基本的ものでもなく、複合的なものとするほどの重みさえもない。

goo blog サービス終了のお知らせ  田中秀臣の「ノーガード経済論戦」 バーナンキFRB議長就任日本リフレ 2005-10-28 | Weblog

 すでに既報の通り、ブッシュ大統領グリーンスパン氏の後任としてベン・バーナンキ氏をFRB議長指名した。バーナンキ議長来年二月就任予定)はかねてから日本の長期停滞の処方箋を様々な角度から提案してきた。どんな提案だっただろうか、その主要点を彼の講演を訳した『リフレと金政策』(高橋洋一訳 日本経済新聞社)を利用してみておこう。

 

1 物価水準目標提言

 

 この提言は、日本デフレ一般物価継続的下落)をふせぐための政策である日本消費者物価指数でみてデフレが始まる1998年基準年にして、デフレではなく1ないし2%のインフレがその後、かりに毎年継続したとき物価水準経路を考える。例えば2%の物価水準経路と実際の物価水準経路のギャップが、デフレのもとでは当然存在していることになる。この両者のギャップを埋めていくことを目指した政策であるバーナンキと同じように物価水準目標採用した岩田規久男編著の『昭和恐慌研究』(東洋経済新報社)を利用すると、4%のインフレ経路(毎年、4%のインフレ率を実現していく)を目指すと、約7年後の2010年近傍目標達成することになる。つまりこの期間までがリフレ期間と考える。そして目標達成後には、今度はインフレ目標として1~3%を採用する。物価水準目標によるリフレ過程とその後の物価安定を目標としたインフレターゲットのあわせ技にコミットすることを中央銀行日本銀行)が明確に、市場に伝えることで公衆の期待に働きかける政策である

 

 つまりここではリフレ間内物価水準目標と、その後の長期的なインフレ目標の二段構えになっているわけである。これはインフレ期待を形成する上でも異なる情報短期と長期のインフレ率についての情報)を市場関係者に与えることになる。エガートソン&ウッドフォード論文(下記参照)では、もしこの物価水準目標が所定期間内に達成困難になるならば、中央銀行は翌期以降一層の努力義務づけられる。そしてこの「一層の努力」へのコミットが、国民デフレからインフレ期待への転換を促す、と彼らとバーナンキは考えるている。そうして(名目金利一定すなわちゼロ金利でも)実質金利を低下させ、総需要を刺激する、と考えるわけである

 

http://www.columbia.edu/~mw2230/BPEA.pdf

(エガートソン&ウッドフォード論文

 

 この「一層の努力」に中央銀行が拘束されることで、日本の長期停滞の原因である実質金利の高止まり(実質金利名目金利期待インフレ率 なので名目金利ゼロであってデフレ期待なので実質金利は高止まりする)を解消する政策バーナンキは推奨しているわけである。そして、「一層の努力」の中味として、ゼロ金利継続や長期国債オペの買い切り国債オペの買い切りを主張した。

 

2 財務省政府)と日銀政策協調アコード問題)の提言

 

 政府日銀バランスシート悪化を防止(そもそも日銀バランスシート悪化問題ではないが)、それとクロスする形で、日銀政府の減税と見合う形での長期国債の「買い切り」オペをすることである恒常所得仮説に従えば、民間主体の消費や投資は増加することが期待される。リフレ過程では財政赤字問題の解消にも一定寄与をはかることが可能であろう。この点についてのバーナンキ発言を前掲書から引用しておこう。いまや政策論争の大きな関心が財政危機問題に引き寄せられてしまっているだけに重要であり、バーナンキ提言リフレなき財政危機の解消の困難性とそして無益な点も明らかにしていると思うからである

 

 「たとえば、日本銀行による国債の買い入れ額の増加と明らかに一体となった家計企業に対する減税を考えてみてくださいーーしたがって減税は結果的通貨創造によってファイナンスされますさらに、日本銀行が、物価水準目標公表することによって、景気回復コミットしたと仮定します。そうすると、マネーの増加の大部分あるいはすべてが恒久的だとみなされます。 略 日銀が減税額に等しい額の国債を買い入れるためにーー将来の増税示唆するような現在あるいは将来の債務償還のための負担は発生しません。要するに金融政策財政政策が一体となって家計部門名目財産を増加させ、これが名目支出ひいては物価を増大させるのです。略 この政策は、債務GDP比率を減少させるという意味で、まず間違いなく安定をもたらすものなのです。名目支出の増加により名目GDPは上昇しますが、日銀による買い入れがあるので市中にある政府債務名目額は変わりません。日本財政の悩みを減らすためには、名目GDPひいては税収の健全な増加ほど効果的なものはありません」(邦訳137-8頁)。

 

 日本国民が心の底で抱いている最大の不安日本の返済不能であるマスコミ評論家エコノミスト政治家官僚たちにさんざん煽られたり、信じられている「宗教的信条」-を解決するハッピーニュースは、すでにバーナンキ議長によって日本国民に贈られていたのである! 

 

 バーナンキ議長、お体にお気をつけて。そしてご健闘を日本ネットの片隅でお祈りします。

goo blog サービス終了のお知らせ  田中秀臣の「ノーガード経済論戦」 裏声で語れ、小泉構造改革 2005-10-04 | Weblog

 衆議院選挙での歴史的な大勝を契機として、構造改革の成果を誇張する動きがメディアネット世論散見されるようになってきた。この種の構造改革誇張論については私の個人ブログ簡単意見を書いたので参考にしていただきたいが、ここでは小泉構造改革はいままでなんであったのか、その一面を簡単に振り返りたい。実はこの小泉政権経済政策特質を見る上で見逃せないのが、郵政民営化論戦以降、リフレ派のダースヴェーダー卿としてネットの人気者になった高橋洋一氏の小泉政権経済政策についての評価である

 

ヴェーダー卿については以下を参照

http://reflation.bblog.jp/entry/193845

 

 注目すべきは高橋ダースヴェーダー卿の論考「「何もしない」小泉政権マクロ的にどう評価すべきか」(『週刊金融財政事情6月27日号)である。その評価は端的にいえば小泉政権受動ケインズ!!政策の出動を行ったという次のものである

 

 「小泉政権になって以降、積極的マクロ政策は行われていないが、税収のビルトインスタビライザーが機能受動的なマクロ政策となっているのである。歳出差額(=一般会計歳出-税収)の対GDP比率をみてみると、積極財政といわれた小泉政権以前の九八~〇〇年度の平均が七・九%であったが、小泉政権になってからの〇一~〇四年度の平均は七・八%とほとんど同じである小泉政権財政運営清算主義のような印象を与え、その心理的効果はわからないが、実際のデータでみる限り、かなりケインズ的な景気下支え機能をもっていたといえる」。

 

 もちろん長期にわたる経済停滞の時期に積極的ではなく、不景気ゆえに税収が低下するという自動装置の働きを放置したことをもって小泉政権への好意的評価とすることには、さすがに暗黒の力を感じざるをえないが、それでもこの指摘はよくよく考慮する内容をもっている。論壇では慶応大学金子勝氏の近時の発言代表されるように、小泉政権が当初の公約ともいえた国債発行枠30兆円を早々に放棄したことはいまだに批判が根強くある。しかし、上記小泉政権受動的「ケインズ政策」の裏面はこの「公約」破りが必然的に伴ってもいることは見逃すべきではない。もしこの発行枠にこだわれば、それはまさに積極的ケインズ政策であり、小泉政権の表のトレードマークたる清算主義的な発想といえたであろう。

 

 しか竹中木村ショックという株式市場に一大打撃を与えた心理効果ある意味でおそれおののいたのか、以後はりそな救済というモラルハザードつき国有化受動的「ケインズ政策」とともに、小泉政権特質政権当事者たちの発言とは相反して反構造改革(むしろリフレ効果を多少とももつ「改革」)なものである市場からも信認?を得てのではないだろうか。 

   

 ヴェーダー卿の論考では、なにもしないマクロ経済政策スタンス受動的なケインズ政策であると、きわめて好意的に書かかれているがそれは政権当事者リップサービスと割り引いておこう。むしろ正確には小泉政権が(竹中木村ショックに代表される)自らの清算主義効果に驚き、また積極的マクロ経済政策責任放棄したことで、日本経済今日景気回復局面必要条件の一部を形成した僥倖裏声で祝すべきなのだろう。

goo blog サービス終了のお知らせ  田中秀臣の「ノーガード経済論戦」 量的緩和解除以後の日本経済 2006-03-07 | Weblog

 80年代後半のバブル形成、そして90年代バブル崩壊から失われた10年」といわれる時期を経過して世紀をまたいだ日本経済の大停滞は今日明らかに転換点を迎えている。

 

 日本経済的な停滞の主要因が日本銀行金融政策の失敗にあり、事実上株価地価、そして為替レートの動向を重視する資産価格ターゲット採用していることがその「失敗」の内実である。そして財政再建路線を重視する財務省(旧大蔵省)の財政緊縮不良債権問題を伴う金融システム不安定化は、この日本銀行政策失敗に付随する二次的な経済悪化の要因であった。そしてこのような日本銀行政策の失敗は多くの論者の指摘することになり、いまでは一定程度の理解を獲得することになっている。

 

 他方で、日本経済は一時期のどん底から回復し、長い景気回復局面にある。失業率も一時期の5%台真ん中から4%台まで減少し、銀行不良債権問題事実上消え去り、消費や設備投資なども堅調に推移している。これらは日本経済の停滞を象徴している大規模なGDPギャップが明らかに縮小に向かっているシグナルともいえる。一部のマスコミエコノミストたちはこの景気回復を「神武景気」以来などと表現しているが、最悪期で150兆円に達したGDPギャップがようやく縮小に向かった“だけ”であり、これらのエコノミストたちの景気への認識は徒な誤解(景気の過熱?)をもたらすだけに安易ものであるしかしいずれにせよ日本経済は現状では最悪期を超えているのは事実である

 

 そして日本銀行を中心とする「政策の季節」を私たちは迎えている。8,9日にある日本銀行政策決定会合において、5年ぶりに日本銀行のいわゆる量的緩和政策日銀当座預金残高をターゲットにした金融緩和政策)を解除するという観測が強く、市場マスコミを含めてほぼ確定事項となってしまっている。日本銀行量的緩和政策の早期解除を本年の4月に行い、その際に批判が強ければなんらかの量的な指標インフレ参照値と呼ばれるもの)を導入して行うことは、一部の“親日銀派”のエコノミストたちが昨年の夏ごろから口にしていたこである

 

 ところで先に簡単に述べたいが、いわゆる「インフレ参照値」とはなんなのだろうか? 私はこの「インフレ参照値」の導入をすすめるエコノミストは“偽り”であることを自ら公言し、日銀がこれを述べることは随意裁量政策無責任主義の反映を自ら表明しているとしか思えない。なぜなら言葉通りならば、金融政策インフレ率を「参照」するという凡庸中央銀行に求められるごく当たり前のことをいっているだけなのか? もしそうならば確かに日銀にとっては画期的ことなのかもしれない。なぜなら先に述べたようにわが非凡なる日本銀行はこの10数年もの間、どうも資産価格ターゲットにした政策運営してきたように思えるからだ。とはいえ、当たり前のことを当たり前ならざる組織に実行させるにはやはり強制もしくはなんらかのインセンティブデザイン必要であろう。しかし「インフレ参照値」には実際にはそのような工夫はない。参照するかしないか強制インセンティブデザインもなければそのような参照は本当には行わない(いままでも行ってきたとはいいがたいためそのような行動を採用するインセンティブは不在)というのが経済学の常識であるし、また世間常識でもあろう。

 

 今回の量的緩和解除にはこの「インフレ参照値」に類した試みが喧伝されるに違いないが、いずれにせよ現行の日銀法にはインフレ率を重視する、すなわち現在であればデフレ問題視するインセンティブ構造が決定的に不在である。そのようなインセンティブなき「インフレ参照値」を声高に主張するものは、日本銀行に捉われた亡者であるか、少なくとも経済学の理解には遠い。(続く)

2025-04-14

anond:20250414190841

このページもgoo blogってことは消えるんだなもうすぐ

2024-05-17

anond:20240517171638

どゆこと?

25年続いている魚拓サービスblogサービスホームページサービスがあるか探せって言ってるの?

Amebaはまだ20年、goo blogも大昔からある気がしたけど20年らしい

 

個人ホームページで真面目な個人日記なのでリンク貼るのやめとくけど、

1999年から2024年まで書いてる記録とかゴロゴロあるやで

 

1990年代は『キメー』とか『だりぃ』とか『スノボ』とか書いてた人が、

社会人なる子どもに最後お年玉をあげるよ。自分たちの子供として産まれてきてくれた事、無事にちゃんと育ってくれた事に感謝して』とか書いてるの感慨深い

でも妙にネトウヨだったり、やっぱ根本って変わらないなって思ったり

 

あと、毎年家族海外旅行国内旅行に行ってるけど、投資もやって、家買って、車買って、子ども大学行かせて、趣味もやってる人が、

たった1人5000円の食事が高いって言っていて、ワイの金銭感覚って死んでるどころじゃないのかもしれないなって改めて思いました

ビットで決済してるから通帳見れば何に使ったかみれるけど、5000円なんて何に使ったか思い出すの困難だわ

ワイは家族連れだと食事予算はハレの日じゃなくても2万は見るからなぁ・・・

2017-12-04

中国で使えるwebサービス、使えないサービス

中国話題が盛り上がってるので便乗で書いてみる。

使える

はてな

ameblo

goo blog

jugem blog

seesaa blog

nifty blog

wordpress.com

使えない

google提供サービス全部。何故かGoogle翻訳だけ使えるようになった。

Facebook提供サービス全部。Instagramダメ。whatsupは最近規制されるようになった。

twitter。ちなみにwechatからtwitterクロスポストする機能があり、それ経由なら投稿はできる模様。

tumblr。2年前は見れたが、エロが多過ぎて規制された様子。

Yahoo.jp検索サービスYahoo Blog検索最近ダメになって在中日本人ダメージが大きい。検索ブログ以外のサービスは使える。

Fnancial times,Bloomberg,BBC,NewYork timesなどの欧米著名ニュースサイトは見れない

livedoor blogエロが多いから?

Fc2提供サービス全部。エロが多いから?

excite blog。こんなマイナーサービスがなぜわざわざ規制されているのかよく分からない。

Line。有名な話。中国SIMが刺さっているとVPN通しても使えない。ここまでアクセスが難しいサービスは他にないので、金盾というよりLINE側が弾いているような気がする。なおLineキャラは今でも結構人気がある。

所感

規制対象サービス名前を口にしようものなら即逮捕」「中国人オープンインターネットがあることを知らされていない」といったディストピアイメージを持っている人もいるかもしれないが、金盾による規制はそこまで厳格なものではなく、政府規制しているサイトがあることや、VPNを通じたらそれが見れることは市民常識TVドラマFacebookが映ったり、おしゃれなカフェはインスタの公式アカ持ってたり、海外スターのインスタ画像ネットニュースで紹介されたりという感じです。海外の友人が多い人は多少の不満を持っているが、中国製代替サービスを使えば同じようなことができるので普通の人はそんなに不満を覚えていないのが実情。

報告は以上です。他にこれはどう?っての聞いてくれたら出来るだけ回答しようと思います

2016-07-24

あるハンドルさんのまとめ

  • tuna.be
    • jyounetu.tuna.be

↑に「生きざまを見よ!」とあるので、見てみたら別の意味ですごかった。

いわゆる optimisation なのだろうかな。

ちなみに顔写真は↓

  • imagenavi.jp/search/detail.asp?id=10029493

スパム判定にかかるようなので、http 等は削る)

 
ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん