最近の購入本、それも古本で買ったもの(の一部)を紹介します。
- 木村荘八『東京の風俗』(冨山房百科文庫)
- 檀一雄『花筐・光る道』(旺文社文庫)
- 獅子文六『てんやわんや』(新潮文庫)
- 浅尾典彦『アニメ・特撮・SF・映画メディア読本 ジャンルムービーへの招待』(青心社)
木村荘八は東京ものの著作がたくさんあって、いろいろ持ってるのですが、これはなんとなく買いそびれていたもの。冨山房百科文庫は、文庫となってますが、サイズは新書版。薄田泣菫の『茶話』上中下巻や『泣菫随筆』、佐藤春夫の『退屈読本』上下巻などを収録している、奇跡のような叢書。ただしこれらはいずれも品切れで、シリーズ中、生き残っているタイトルはわずかのようですが、ジュンク堂書店やブックファースト渋谷店など、マイナーな文庫・新書もばっちり並べている店で、わずかに残った“現役”本がまだ棚にささっているのを見かけると、ただ棚にあるというだけで妙に感慨深いです。
【“東京、火宅、獅子、ジャンル映画……最近買った本たち。”の続きを読む】
いつのまにかDVD化されていました。
- 『メトロポリス フリッツ・ラング コレクション/クリティカル・エディション』(監督:フリッツ・ラング)
SF映画ファンにはいわずもながの名作。ぼくも大好きな作品です。マリアのジャケを見るだけで(上のDVD、そして下のサントラのジャケをご覧ください!)、ぐっときます。
発売は紀伊國屋書店。紀伊國屋書店って、けっこう渋い映像作品を出してますよね(しかし『エル・ゾンビ』出すなんてね。これ、いつか取り上げたいです)。さすがに自社の発売商品ということか、紀伊国屋Book Webでは、本作の内容紹介が、Amazonなどに比べるとずいぶんくわしいものになっています。
【“メトロポリス、祝DVD化!、しかしながら……”の続きを読む】
こんな作品が文庫になりましたね。
元版が晶文社ミステリの1冊として刊行されたのが2002年ですから、この手の翻訳ものとしては、けっこう早い文庫化、でしょうか。早川書房の「異色作家短篇全集」をこよなく愛する空犬としては、シリーズ続編を作るなら必ず入れたい異色作家の1人。でも、まとまって読む機会に恵まれずにいたのが、晶文社から2冊も本が出ることになり、刊行当時は大喜びしたものです。無気味とか奇想とか異色とか、内容紹介に踊るそんな文字にひかれる方はぜひご一読を。
ところで、今月の角川文庫の新刊、カーシュ以外にもなんだか気になる作品が多くて、まとめ買いしてしまいました。
【“カーシュが文庫化、そして角川文庫新刊まとめ買い”の続きを読む】
以前に、分厚すぎる文庫たちを紹介したことがありましたが、いやはや、またものすごいのが登場しました。
写真集ということで、本文用紙に厚めの紙が使われていることもあり、持ち重りのする造りで、ぼてっとした質感は本というより中身のつまった箱か何かのよう。
2002年に、同じ版元から出ていた写真『新宿』のサイズを文庫判に落とした、増頁再編集版。元版はこちら。
写真は門外漢で、写真集をうまく紹介するなんて、当方にはできるはずもないのですが、とりあえず多少は雰囲気を伝える努力をするとすれば、とにかく、奇妙な迫力と猥雑さが全編に満ちあふれまくっています。ボリュームのせいもあって、一気読みすると疲れます。でも、不快な“疲れ”ではなくて、見終わっても、また気になる写真をぱらぱら拾い見したくなるような、そんな力を持った本であるような気がします。
◆今日のBGM◆
『新宿+』をぱらぱらやっていたら、なぜか、この盤のジャケが頭に浮かんできました。ジャケだけでなく、タイトルも、まさに新宿そのもの。無理無理にこじづけるわけではないですが、こちらも、『新宿+』同様に、暴力的なボリューム感に満ちまくった1枚で、通しで聴くと疲弊します。
先日読み終わった、『はい、こちら国立も天文台』(新潮文庫)は、やや小言爺的愚痴っぽいノリであるのをのぞけば、なかなかに楽しい読み物でした。本文を読み終えて、ふと解説の名前を見ると松本零士。
前から読みたいなあと思っていた、天文入門の古典、荒木駿馬の『復刻版 大宇宙の旅』(恒星社厚生閣)。書店で見つけられず、ネットで注文したのが届いたので見ると、帯の絵と文は松本零士。絵はメーテルと鉄郎で、コピーにはこうあります。
《この本に巡り合えなかったら/確実に自分の歩む道は/違ったものに/なっていただろう。》
大宇宙を舞台にした数々の名作で子どもたちを熱狂させまくり、彼らの目を夜空に向けさせた、SF少年にとっては神様のような人がこの絶賛ぶり。かつて松本漫画を読みまくった元小学生としては見逃すわけにはいきません。
後者はまだ途中ですが、なるほど、しっかりした内容のものは時の経過に耐えうるものであることがよくわかる1冊です。50年以上前の本(初版は1950年)、それもフィクションならともかく、宇宙論の本が今なおおもしろく読めるというのは、ある意味驚異的なこと。本作りに関わるものとして、このような本が残せたらどんなにか幸運なことだろうと、思わずにはいられません。
そういえば、最近、梅図かずおや大城のぼるらの古典漫画をばんばん復刻している小学館クリエイティブから、松本作品も復刻されていますね。たまたまいただいたりしたので、最近の漫画は読まないぼくも、かつて慣れ親しんだ巨匠たちの初期作品なら、というので、先頃読んだばかりです。
- 松本零士(松本あきら)『宇宙作戦第一号』(小学館クリエイティブ)
- 松本零士(松本あきら)『緑の天使』(小学館クリエイティブ)
旭太郎・大城のぼるの『火星探険 復刻版』(小学館クリエイティブ)の帯、それに付録にも松本零士の名前が見えます。
【“今さらなぜ!?……突然訪れたマイ“松本零士”ブーム”の続きを読む】
少し前の話になるのですが、以前の日記で紹介した日書連(日本書店商業組合連合会)主催の懸賞論文「私の書店論」、特選1名・入選3名の受賞が決まったようですね。
特選を受賞されたのは、以前に、これもこのブログでそのユニークな文庫特集やブックリストの件を紹介した札幌の書店、くすみ書房の久住邦晴氏です。おめでとうございます。以下、特選と入選作をリストアップしておきます。サイトで文章も読めます。
【“「私の書店論」の特選・入選決定です”の続きを読む】
このコピーにピンとくる方は30代以上の世代でしょうか。なつかしい角川文庫の映画化作品にからめたコピーですね。なんの作品のときのものかは忘れましたが。
その角川文庫/映画で、一大ブームをまきおこしたのは横溝正史の一連の作品。なかでも、『犬神家の一族』は、原作も映画も、『八つ墓村』や『悪魔が来たりて笛を吹く』などと並ぶ、横溝もの代表作の1つであり、もっとも有名な作品の1つでしょう。そのリメイクがまもなく公開になりますね。
- 『犬神家の一族』(監督:市川崑)
- 横溝正史『犬神家の一族』(角川文庫)
今回のリメイクは、監督市川崑・主演石坂浩二のコンビが変わらない、というのがミソ。ならば、デジタルリマスター版でいいじゃん、などという意見もあるようですが、まあ、リメイクでもう一度話題になって旧作を知らないファンが観る機会ができる、というのならばそれはそれでいいかなあ、と思います。それにしても、珠世が松嶋菜々子っていうのはどうもなあ……。
【“「読んでから見るか、見てから読むか」……それが問題だったりすることもする”の続きを読む】
本は読めさえすればいい、という本好きの方もいるようですが、わたくし空犬の場合、このブログでもたびたび言及しているように、本は、中身はもちろんのこと、装丁・デザイン・造本、すべて込みで楽しみたいほうです。なので、東京近郊でブックデザイン関連の展覧会があるとたいてい駆けつけます。
まもなく始まるもので、こんなのを見つけました。
中身は、《「ブックデザインはどこまで魅了できるか」をコンセプトに、装丁家と装画家が架空のカヴァー100点を作成、展示する。 》というものだそうです。「架空の」というところがポイントでしょうか。装丁に関心のある向きは、忘れずにレッツゴーです。
【“装丁/カバーの力”の続きを読む】
同じ生誕百年でも、安吾に比べるといささか目立たない感じではありますが、竹中英太郎も、関連イベントあり、関連出版ありで、ファンにはうれしい1年になりましたね。今度はこんな本が出ました。
竹中英太郎の伝記です。帯のコピーはこんな感じ。
《ヴェールを脱ぐ謎の絵師/乱歩・正史・久作に寄り添い、耽美、怪奇な画風で時代の寵児となった英太郎は、突然絵筆を折って満州に渡り消息を絶つ。叛逆の青春……息子・労との戦後までを活写する。》
Amazonのサイトには挙がっていないようですが、大型書店なら扱いがあるでしょう。版元の弦書房のサイトで通信販売されているようです。ちなみに、ぼくは書肆アクセスで入手。
弦書房は、夢野久作の日記や著作集の版元として知られる葦書房と同じ、九州は福岡の出版社で、こちらにも夢野久作/杉山茂丸関連の出版物がありますね。
竹中といえば、今年の春には、備仲臣道『美は乱調にあり、生は無頼にあり 幻の画家・竹中英太郎の生涯』(批評社)も出ましたし、9/27の日記で紹介した通り、生誕100年記念画集も刊行されていますから、ファンにはうれしい刊行ラッシュとなりました。
【“夢を吐く絵師……竹中英太郎伝が刊行”の続きを読む】
特に理由はないのですが、今日は書店でなんだか気になる雑誌が目について、気づいたらこの通り、まとめ買いしてました。
- 『國文学』2006年12月号 特集「中上健次 尖鋭なまなざしで世界を切る」(學燈社)
- 毎日ムック『神田神保町古書街ガイド 吟遊書人』(毎日新聞社)
- 『映画秘宝』2007年1月号(洋泉社)
- 『この映画がすごい!』2006年12月号(宝島社)
- 『文蔵』2006年11月号 特集「「本屋さん」の歩き方」(PHP研究所)
【“中上、神保町、映画、本屋さん……今日買った本たち。”の続きを読む】
いやあ、東京創元社の中井英夫全集、とうとう完結ですね。
- 中井英夫『月蝕領映画館』中井英夫全集12(創元ライブラリ)
約10年かけての刊行。ほんと、関係者のみなさんには今さらながらにありがとうと言いたい思いです。まさにファン必携、感涙の中身です。本シリーズは、文庫としては値段が単行本並みと高め(最終巻は二百数十ページで1890円)ですが、この内容であれば、しかも読者が限定されるであることを考えれば、まあしかたのないことでしょう。
刊行当初は、全10巻+別巻1の構成でしたが、最終的には全12巻に落ち着きました。どちらかというとコンパクトな本が好きなので、三一書房の作品集に手が伸びずにいた身には、文庫版全集の刊行は、中身の点でも、造本の点でも、物理的な点でも大歓迎。先頃、光文社文庫に収録された江戸川乱歩全集と並んで、探偵・幻想好き読者にとっては、文庫版個人全集の決定版の1つとなることでしょう。
完結を待って買い控えていた方もいるかもしれません。そういう方は、この貴重な文庫全集が店頭から消えてしまう前に、大急ぎでまとめ買いすべきでしょう。
◆今日のBGM◆
ラーセン=フェイトン・バンドもフル・ムーンもいいですが、このアルバムのニール・ラーセンもすばらしい。旧友バジー・フェイトンのほか、参加メンバーもgood。いかにもフュージョンなメンバーや音作りなのでもっと古くさく聞こえるかと思いきや、ジョージ・ベンソンがカバーしている「ウインドソング」やタイトルトラックなど、楽曲もさほど古びていません。大名盤、とは言えないものの、でも、ときどきアナログ盤を引っ張りだしたくなる1枚です。
先日、近くで農協主催の催事があり、金魚すくいが出ていました。娘がやりたいというので、一緒にやってみました。
以前、娘が初めて金魚すくいに挑戦したときは、やはりぜんぜんダメでした。今回も手つきは相変わらずあぶなかっしいのですが、運でもよかったのか、成長による上達なのか、たちまち小さなのをすくいあげてしまいました! 本人も大喜び。結局、釣果(?)はその1匹だけでしたが、取れた数にかかわらず2匹もらえるとのことで、こうして我が家に金魚が2匹やってくることになったのです。
小動物を飼うことを子どもが小さいうちに一度は体験させたいと思っていたので、今回の金魚ゲットはちょうどいいチャンス。というわけで、ホームセンターに出向き、金魚飼育セットを購入、二十数年ぶりに自宅で小動物を飼うことになりました。とはいえ、共働きで、しかも動物を飼い慣れているわけではない我が家のことですから、あまり大袈裟なことはできません。飼ってきたのは、お店にあったもので、いちばん小さいサイズのもの。こんな感じです。
【“我が家に金魚がやってきた! ついでに金魚をめぐる本たち。”の続きを読む】
今日はお出かけの家族を見送りに、羽田空港に行ってきました。
とりたてて旅行好きなわけではないのですが、空港とか、鉄道駅でも東京駅とか上野駅とか、旅の起点になるような場所って、独特の魅力があるものです。飛行機は、毒蛇が数千匹仕込まれていたりしたらナンギだし(←いないって)、蛇がいなくてもできれば乗りたくないのですが、見てる分には大好き。というわけで、せっかく久しぶりに空港にやってきたので、しばし探索、ちょうど昼時だったので、飛行機の見えるカフェで、ランチ&ビール&読書をしてきました。
ハワイのNo.1ビールだというコナビールなる見かけないビールがあったので、試してきました。3種のうち、エールタイプで飲みやすいというBig Wave Golden Aleを選んだところ、なるほど、すっきりした感じで、昼ビールにはぴったりです。
書店好きとしては書店のチェックも欠かせません。羽田空港には、山下書店と有隣堂、田辺書店が入っています。山下書店は、文庫コーナーを出版社ではなく作者別にばらした並べ方。規模といい立地といい新刊の売れ線だけかなと思いきや、文芸ものなんかもけっこうそろっています。
文庫は持参していましたが、空港で読む本は空港で買いたい、それも、飛行機か空港がらみの文庫、たとえば『羽田空港の謎』とか『ジャンボジェットの操縦法』とか、そういう本にしたい、ということで、山下書店でしばらく物色するも、残念ながら見あたらず。かわりに、壁をぜいたくに使った新刊の面陳コーナーから、こんな2冊と、雑誌1冊を抜いてきました。
- タダシ☆タナカ+シュート活字委員会『新日、K-1、PRIDE☆タブー大全』(宝島社文庫)
- 山前譲編『文豪の探偵小説』(集英社文庫)
- 散歩の達人MOOK『トーキョー喫茶時間』(交通新聞社)
【“格闘技、探偵、喫茶店……空港で買った本たち。”の続きを読む】
- キネマ旬報 復刻シリーズ『大伴昌司コレクション『世界SF映画大鑑』『怪奇と恐怖』『世界怪物怪獣大全集』』(キネマ旬報社)
- 『ひし美ゆり子写真集 YURIKO 1967-73』
先日の日記に「大伴関連本はすべて手元に置いておきたいけれど、けっこういい値段がついている本もあって、なかなか簡単にはそろわない。」などと書いたばかりですが、どういう偶然か、最近、大伴関連で入手困難本の1つだと思っていたこれを、ヤフオクで比較的安価に入手できました。
なにしろ、帯のコピーが
《60'sのSF・怪獣・怪奇映画の傑作たちがぎっしりつまった玉手箱/伝説の編集者“大伴昌司”が手掛けた幻のムックがいまここに蘇る》
ですから。空犬が買わずして誰が買う、という感じの本ですよね。ああ、よかった、入手できて。
タイトルにある『世界SF映画大鑑』『怪奇と恐怖』『世界怪物怪獣大全集』の3冊のムックがセットになったもので、最初の2冊が昭和44年、最後のが昭和42年の刊です。
中身は……ああ、これはくわしく書けば書くほど、せっかくこのブログにお寄りいただいたみなさんのうち、少なくはないであろう、この手の話題に縁のない方々が、音を立てて地平線の彼方へと歩み去ってしまいのが目に見えそうなので、やめておきます。でも、とにかく、よくぞこんなものを復刻してくれたと、今さらながらに版元の英断に感謝したくなるような、特撮・SF・怪奇者感涙必至の中身であることのみ記しておきます。
【“大伴コレクション、アンヌ隊員……最近買った(届いた)本たち。”の続きを読む】
「人の移り変わりはしかたない、もの」の続きです。
昨日、有隣堂ルミネエスト新宿店におじゃまして、Yさんとおしゃべりしていたら、驚くべきことを知らされました。なんと、来年1月でルミネから撤退してしまう、というのです。別の書店に変わるわけではなく、書店自体がルミネエストからなくなってしまうとのこと。なんと……。
「神奈川の本屋さん」という印象が強く、都内在住の身にはなんとなくなじみのなかった有隣堂が身近な存在になったのは、やはり新宿や恵比寿など山の手線内に店舗ができてからのこと。特に、新宿は通勤経路ということもあり、ぼくにとって有隣堂と言えばルミネエスト新宿店、という感じでした。
有隣堂ルミネエスト新宿店は決して大きくはないワンフロア型の書店ですが、店内のレイアウトも見やすく、特集やイベントに工夫もこらされ、そして何より、空犬お気に入りのフリペ「うーりん新聞」で独自情報発信にもつとめるなど大型チェーンらしからぬところもあり、しかも(一度酒席をご一緒しただけですが)お店のみなさんもいい方ばかりで、個人的には訪問するのが楽しいお店の1つでした。それだけに、なんとも残念な話です。開店1周年おめでとうの記事を書いたのは、つい先月のことなのになあ……(泣)。
↑「うーりん新聞」第7号。あと2号?……ぎりぎりまで続けてほしいものです。
【“新宿書店地図に異変、あり(?)”の続きを読む】
ふだんよく出入りしている書店さんで、いつも応対してくださる担当のみなさんのことについて、ちょっと書いておきたいと思いながらなかなか書けずにいたところ、ちょうどふだんよくのぞくサイトのお二人が関連するテーマについてお書きになっていたのが目にとまりました。
ブックスルーエの花本さんは、「ルーエからのエール」の第11回「H川書房、T橋さん」で、「なじみの営業さんが異動してしまうのはさみしいもの」であることについて書いています。もうお一人、「本屋でバイト」の結さんは、「好景気?」で書店さんでのリストラについて書いています。いずれも、人の出入り、移り変わりの話なので、わたくし空犬も、今回は書店さんの担当変更の件について書いてみます。
この日記で報告している通り、ぼくが、純粋な客としてではなく、版元の人間として名乗って、ふだんよく出入りしている店は都内に複数あります。書店のみなさんとは、ふつう、
a)新刊の案内をしたり、注文をもらったり、といった“営業”的な仕事
で接することが多いのですが、少し親しくなると、
b)類書や他社新刊の動きを教えてもらったり、企画の相談に乗っていただいたり、複数の書名案や装丁案を絞り込むのに協力していただいたりといった、“編集”的な仕事
の話ができるようになることもあります。
aはどんな書店でもやりますが、bは、やはり「少し親しくなると」がないとできません。また、当然、相手の方がそのジャンルの本に関してある程度知識や経験がないと、こちらが聞きたいことを聞けない、というのもあります。それに(これも大きいのですが)やはり人間関係なので、相手がベテランだから、本のことをよく知っている方だかと言って、だれとでもこういう話ができるわけではないのです。つまり、広義の“相性”の問題があるんですね。
新刊が出るたびに通い、そのうち、顔と名前も覚えてもらい、話が少しできるようになって、新刊にかこつけなくてもお店に出入りできるようになる、その段階になると、仕事がやりやすくなるだけでなく、やはり気分的なものが違います。そのうち、さらに慣れてくると、こちらが何かを頼んだり尋ねたりするだけでなく、書店員さんのほうから、質問や頼まれ事が出てくるようになることがあります。それも、自分の担当本・担当ジャンルのことであればある意味当然かもしれませんが、それ以外のことで相談されたり、担当本・ジャンルに全然関係のない話ができるようになったりするようなことまであるのです。
後者のようになるには、やはりある程度、こちらが信用なり信頼なりを得ていないとありえないでしょうから、書店が好きで出入りしている人間としては、これほどうれしいことはありません。
【“人の移り変わりはしかたない、もの”の続きを読む】
岡崎武志さんといえば、「均一小僧」の別名通り、稀覯本など我々には別世界の古書ではなく、庶民的な視点で古本のおもしろさを紹介してくれる「古本ライター」。古書全般のナビゲータとして、古本者の多くにとっては、重要かつ大事な書き手の1人だろうと思います。彼の古本エッセイに出てきた本や古書店に惹かれて、あんな本を探してみたり、こんな古本屋を訪れてみたり、均一箱を探検する楽しみを発見したり、そんな経験のある方も多いはず。
そんな岡崎さんのブログ、「okatakeの日記」は、わたくし空犬も愛読していたのですが、残念なことに閉じられることになったようです。経緯は昨日付の最終書き込みでふれられており、詳細はわかりませんが、コメントに関するトラブルのようです。
そのうちに本ブログで紹介しようと思っていたのですが、幸いというかなんというか、岡崎さんが最近始められた連載もあるようなので、以下の2本を紹介しておきます。
【“始まったり終わったり……岡崎武志さんの新連載とブログ閉鎖”の続きを読む】
先ほど、ふとカウンタを見たら、なんと、10,000を超えているっ! 自分のサイトのことなのに、えええええーっ!っと大げさに驚いてしまい、ビールをこぼしてしまいました。
ほんと、6,000超えのときも驚きましたが、私的なことだらけで、本のサイトのくせに特殊映画の話過多の、自動駄文垂流装置と化しているこのようなブログに、たくさんの方が訪問くださり、コメントをくださったりしていることに、驚きつつも、あらためて感謝しています。ありがとうございます。特に、コメント常連のみなさんには、ほんとに感謝です。今後は、あんまり頻繁すぎて読者の方々の負担とならぬ程度に、毎日更新、がんばりますので、これからもよろしくごひいきに願います。
- 辻仁成『太陽待ち』(文春文庫)
- 泉麻人『家庭の事情』(光文社文庫)
- 笙野頼子『愛別外猫雑記』(河出文庫)
- 中村航『リレキショ』(河出文庫)
- 茶木則雄『帰りたくない! 神楽坂下書店員フーテン日記』(光文社知恵の森文庫)
- 岩波書店編集部編『読書を楽しもう』(岩波ジュニア新書)
- 辻由美『図書館であそぼう 知的発見のすすめ』(講談社現代新書)
- ミドリ・モール『ハリウッド・ビジネス』(文春新書)
これ、ぜーんぶ田村の均一から。『帰りたくない』は書店ものということで。「神楽坂下書店」とは、もちろんミステリー専門(といっても、他のものも置いてるけど)書店、「深夜プラス1」のこと。『読書を』も『図書館で』も既読だけど、手元になさそうなので、ダブったらだれかにあげよう、いや、こういう「本の本」は将来娘にあげるのにとっておいてもいいかな、などと思ったもので。
【“猫、書店、読書、図書館、ハリウッド……今日買った本たち。”の続きを読む】
11/5の日記で、空犬のお気に入り作家の1人、多和田葉子さんの新刊『アメリカ—非道の大陸』(青土社)が出たこと、そして刊行記念としていくつかのイベントがあることを紹介しましたが、そのうちの1つ、「ミッドナイトセッション」『アメリカ—非道の大陸』刊行記念 多和田葉子さんトークショー&サイン会に行ってきました。
場所は、東京・神保町の三省堂書店神田本店。よくイベントに使われていた1Fは今や雑誌売り場、「特設会場」なんてあったかなあ、と思ったら、フロアの一部に座席を設けた、ほんとの「特設」でした。照明の落ちた閉店後の店内に、一部だけ抑え気味の照明に照らし出された空間ができています。先日の日記で紹介した映画『白日夢』にも深夜のデパート店内を愛染が徘徊する印象的なシーンがありましたが、大型店舗の薄暗いフロアは昼間見慣れた空間でもいきなり異質な感じになっていて、なんだかどきどきします。今回のイベントにある意味ぴったりな空間です。
定員は50人でしたが、ほぼ埋まった感じでしょうか。男女が半々、男性は年齢が高め、女性は低めでの印象。空犬は、運良く最前列に座れました。ちょうど多和田葉子さんの真正面です。ラッキー! わー!
最初に青土社の編集担当者から多和田葉子さんとゲストの2人の紹介があり、続いて、多和田さんの朗読。『アメリカ』の第1章、冒頭部分でした。多和田さんの朗読はかねてからぜひ聞いてみたいと思っていたので、いきなり大満足。
ところが、その後がややもたつき。トークのゲスト&ナビゲータが越川芳明氏だったのですが、彼のしゃべりが全然“ナビゲート”になっていなくて段取りが悪く、ちょっといらいらさせられます。もっと作家の言葉を引き出してほしい! 関係ない話をしないでほしい! そんなことを心の中で叫びながら聞く羽目になりました。
かつて米文学を熱心に読んでいたときには、先端米文学の紹介者・翻訳者としてお世話になった人なので、あまり悪くは言いたくないのですが、この方、“トランス・アメリカ”が最近のキーワードの人なので、ちょっと危惧はしていたのです。すると、やはり入国審査だの国境だの人種だの、異文化テーマに話が偏りがち、しかも、自分の読後感や印象をだらだら部分的に話すだけで、テーマを抽出して多和田さんに話をうまくふることがぜんぜんできていないし、さらには、読んでない人もいるだろうからなどと、ファン向けの刊行記念イベントなのに妙な気を遣って物語の細部にふれないように語ろうとするので、上っ面な話に終始してしまう。そんな人が船頭なので、多和田文学のファンなら聞きたいはずのテーマがいくつもちりばめられた作品についての話なのに、そちらの方面に話がいっこうに流れていかない。ほんと、いらいらしました。アメリカだからとアメリカ文学者を持ってきたんでしょうが、人選ミスだったのではないでしょうか。
でも、相手がこんなふうでも、多和田さんが口を開くとぱっと場の雰囲気が変わります。単に話がおもしろいおもしろくない、というだけでなく、言葉の力がぜんぜん違うのです。下手なまとめをすると越川氏の二の舞なので、細部にはふれませんが、この人からあの作品群が生まれてくるのか、そんなことを納得させるそんな話ぶりと中身でした。
最後の質疑応答では、越川氏よりよほど多和田文学に親しんでいると思われる数人の読者から、興味深い質問が寄せられていました(空犬も1つ質問しました)。露文専攻で在独とヨーロッパのイメージの強い作家がなぜアメリカなのか、タイトル「非道」にこめられた意味は何なのか、2人称を用いた意味は、翻訳と創作の関係は、実話に基づいたエピソードの虚構性は……といった具合に、多和田文学の核心にふれるテーマがぽんぽん出てきます。今回は青土社主導のイベントで、録音もされていたようですから、おそらくそのうちに『ユリイカ』に対談が掲載されるのではないかと思いますので、多和田ファンは要チェックです(越川の下手なナビゲートが文章化にあたってどのように“手入れ”されているのか、大いに興味があります、なんて書くとちょっと意地悪に過ぎるでしょうか)。
最後はサイン会。座っている場所がよかったので、一番最初にもらえました。残念ながら、話を交わせるような雰囲気ではなかったし、日付も宛名書きもなしでサインのみですが、それでも大満足。東京堂で買うサイン本もいいですが、やはり直接もらうと感激もひとしおです。
【“多和田葉子さんのトーク&サイン会に行ってきました!”の続きを読む】
先日11/8の日記で、気になる映画(祭)を取り上げた際に紹介し忘れてしまったのですが、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで「美の改革者 武智鉄二全集」が開催中ですね。
誰もがピンとくる名前ではないと思いますが、原作が谷崎で、武智本人のリメイクに続編にと都合3作がある『白日夢』の監督と言えばわかる方もいるでしょうか。特集のサブタイトルに「谷崎×エロス×アヴァンギャルド」とあるのですが、雰囲気や作風はまさにこのコピーに集約できる感じです。
1964年作ではなく、主演コンビが愛染恭子と佐藤慶の1981年版。冒頭の歯科医の診察室でのシーンこそ、妖しくエロティックな感じではあるものの、その後、全編の半分か6割ほどでしょうか、延々と行為(本番だとされています)が続くハードな描写は、当時話題になったのも当然かと思わせるものではありますが、正直なところ、今の目で見ると退屈。主演の愛染は全編のほとんどが裸なんですが、あんまり見せっぱなしなのもどうかという感じ、さらに個人的な好みもあって愛染にぜんぜん魅力が感じられないせいもあって、何度か途中でダウンしかけました。
武智作品を観るなら、わいせつ図画公然陳列罪に問われ、三島や大島渚らの協力も得て結局裁判で無罪となったという『黒い雪』を観てみたかったのですが、そちらはかなわず。
と、個人的な好みで書きましたが、愛染にぐっとくる方が観れば印象はまったく変わってくるでしょうし、なにより、武智作品はいずれもDVDにもなっていないようで、そうそう観る機会があるとも思えませんので、愛染ファンはもちろん、武智の名を聞くばかりで観る機会のなかった映画ファンはこの機に観ておくもいいかと思います。シアター・イメージフォーラムでは11/17まで、ほかに名古屋、大阪もあるようですから、詳細は上記サイトをどうぞ。
【“白日夢、渥美マリ、交渉人……最近観た映画たち。3(邦画編)”の続きを読む】
最近(といっても、少し前に観たものも含まれてますが)観た映画、続きです。今回はホラー編、10/12の日記で紹介したこの2本。
多くのホラー者から今年最大の目玉と目されていた『ホステル』ですが、いやはや、噂、前評判に違わぬ劇薬でした。ものすごく痛い映画です。舞台が東欧なのも、こんなことが起こっていても不思議ではないというリアリティと、得体のしれない無気味さ(いずれも、ある意味現地の人々に失礼な勝手な印象ですが)を醸し出すのに役立っています。
皆殺しで後味の悪い結末になるのかと思えば、意外にも生存者が出るのは、最初から続編が計画にあったからなんでしょうか。激痛ホラーの日本代表、三池崇史(イーライ・ロスが最大のリスペクトをはらっている監督の1人なんだとか)が役者としてちらっと出演しています。
【“ホステル、ミート、トニー・ジャー……最近観た映画たち。2(ホラー&アクション編)”の続きを読む】
最近、映画関係は禁欲気味で、取り上げるのはおさえていたのですが、観た映画がちょっとたまってきちゃったので、3回に分けて、ごく簡単に報告してみます。まずはおバカ編、先日の日記で紹介したこの2本から。
これ、最高でした。全編に笑い、それも爆笑というよりはくすぐり系の笑いの地雷が埋め込まれているのに、ブラック兄貴のノリに合わないのか、ヘスのオフビートな感覚がダメなのか、それとも英語にスペイン語が混じる言葉の問題なのか、とにかくどういうわけか、館内の他のお客さん、くすりとも反応しません。1人でわはははとやるのも嫌なので、こっそり笑うのに大変苦しい思いをしました。特に、イグナシオ(ジャック・ブラック)のタッグパートナー、「ヤセ」(メキシコ人俳優ヘクター・ヒメネス)が登場するシーンとか、イグナシオが試合前に美人シスター、エンカルナシオンへの思いを自作の歌で熱唱するシーンなんて、もう最高! 思い出すだけで笑えます。
【“ナチョ、蛇……最近観た映画たち。1(おバカ編)”の続きを読む】
- 向井透史『早稲田古本屋街』(未来社)
- 水木しげる『不思議旅行』(中公文庫)
- 小松左京『やぶれかぶれ青春記』(旺文社文庫)
- 川端康成『伊豆の踊子・骨拾い 川端康成初期作品集』(講談社文芸文庫)
- 『ギターマガジン』2006年12月号(リットーミュージック)
『早稲田』は以前の日記で紹介した『早稲田古本屋日録』の著者による2冊目の単行本。エッセイ的読み物の前著と違って、今回は、早稲田古本屋街の古書店主たちに取材した、ルポ的な中身。早稲田古書店各店が開店するまでの経緯、二代目店主、古本市と、早稲田古書街が今のかたちになるまでの貴重な記録になっている。
【“早稲田、不思議、青春、川端……今日買った(届いた)本たち。”の続きを読む】
以前の日記で河出書房新社が創業120周年だと紹介しましたが、中央公論新社も同じく創業120周年ということで、あちこちの書店で中公文庫のフェアが開催されているようですね。
120周年記念に合わせた名著の限定復刊や、看板雑誌『中央公論』やなつかしい文芸誌『海』の財産を活かした120周年記念刊行タイトルもあるようで、なかなかにぎやかで、本好きの興味を引くラインナップになっているようです。
なお、「中公文庫創刊120周年記念」となっているのをネットで見かけましたが、120周年は、創業1886年の中央公論新社本体のほうです。文庫は、1973年の創刊。
中公文庫といえば、岡崎武志、坪内祐三らプロの本読みや古本者からの支持が非常に高い文庫。今回の『中央公論社創業120周年記念企画』5点にも、本好きの興味を引きそうな、いかにも中公文庫らしいタイトルが並んでいるので、ちょっと紹介しておきます。
- 中公文庫編集部編『中公文庫解説総目録1973~2006』
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まもなく始まるロードショーや映画祭、特集上映のうち、気になったものをいくつか紹介します。
『悦楽共犯者』『ファウスト』……「チェコの鬼才」シュヴァンクマイエルと言えば、その作風を表すのに、シュール、シニカル、幻想的、狂気、哲学的、ブラック、問題作、などといったキーワードが使われがちな作家です。つまり、あきらかに数としては多くはないが、しかし熱狂的なファンから愛される、そんなタイプの映画作家だろうと思います。そんなマイナーポエットの関連作が2本も同時に公開されるようです。
『ルナシー』は精神病院が舞台の「哲学的ホラー」だそうですから、シュヴァンクマイエルらしい、ちょっとアブない感じのする作品です。『キメラ』のほうは、シュヴァンクマイエルの創作の秘密にせまるドキュメンタリーのようです。1時間足らずの作品のようですが、ファンには、ある意味で実作以上に興味深い作品になるかもしれません。いずれも11/18(土)から、『ルナシー』は新宿K's cinemaとシアター・イメージ・フォーラムで、『キメラ』はシアター・イメージ・フォーラムのレイトショー公開になります。
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明日あさって、11/8(木)、9(金)は、ジョアン・ジルベルトの日本公演ですね。
↑朝日新聞掲載の広告
初来日は2003年のこと。そのときは、まさか!、という感じで、文字通りの「奇跡」かと、多くの音楽ファンを感涙の渦にまきこみまくったものでしたが、神様、すっかり日本を気に入ってしまったようで、まさかの翌年連続公演が実現。うれしい一方で、なんだかありがたみが薄れた感じがする、などといってはご本人、関係者一同のみなさんに失礼に過ぎるでしょうか……。
日本では今なおお洒落なカフェミュージックのボサノヴァも、現地ブラジルでは過去の遺物扱い。ジョアンが国内でどのような立ち位置にいるものか想像もつきませんが、確実に言えるのは、世界でもっとも神様に手厚いのは日本だということでしょう。また来たくなるわけです。
というわけで、広告には「最後の奇跡」なんて文字も見えますが、はたして、今回が「最後」になるかどうか。
【“また来ちゃったりして……ジョアン・ジルベルト、最後(?)の奇跡”の続きを読む】
我ながらなんという組み合わせか、と思わぬでもないですが、偶然、このような購入リストになってしまった。
- 『熊野大学文集 牛王』2006年4号「中上健次生誕60周年記念号)(熊野JKプロジェクト)
- 大伴昌司『OH!SF映画 先駆的SF特撮映像論』(朝日ソノラマ)
『牛王』は「うしおう」ではなく「ごおう」。サイトの説明によれば、『牛王』とは
《熊野大学東輝彦氏が発起人となり、02年度夏期セミナー参加者有志によって創刊された文集です。03年度夏期セミナーでも寄稿者を募ったところ、多くの方が参加を申し出られ第2号が、04年度セミナー参加者からも第3号が刊行されました。》
だとのこと。
この号は約260弱が全編中上健次特集にあてられていて、ファンには読み応えのありそうな中身になっている。最後の小説「青い朝顔」、未発表発言が収録されているほか、瀬戸内寂聴、北方健三、立松和平、青山真治、紀和鏡、いとうせいこう、渡辺直美、中上紀らが稿を寄せている。
それにしても、「生誕60周年」だから、中上が生きていれば還暦なんだ……。熊野大学と中上に興味のある向きは、ブログ「天地の辻」もどうぞ。
【“熊野、中上、大伴、SF……今日買った(届いた)本たち。”の続きを読む】
先日、新刊書店の児童書売り場をうろうろしていたら、こんなものを見つけて、思わず即買いしてしまいました。
- ルネ・ゴシニ作、ジャン・ジャック・サンペ絵『プチ・ニコラ もうすぐ新学期』(偕成社)
- ルネ・ゴシニ作、ジャン・ジャック・サンペ絵『プチ・ニコラ サーカスへいく』(偕成社)
「帰ってきたプチ・ニコラ」というシリーズ名がついているのは、「プチ・ニコラ」シリーズが同じ偕成社からすでに出ているからで、これは、単行本未収録作品を集めた別シリーズのようです。全5巻のシリーズだそうですから、続刊も楽しみです。
【“なつかしい本に再会! 帰ってきたプチ・ニコラ”の続きを読む】
原作発表から50年を経ての新訳として刊行時に話題になった、2005年刊の若島正訳版『ロリータ』が早くも文庫になりましたね。
- ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ』(新潮社/新潮文庫)
若島版以前は『ロリータ』といえば大久保康雄訳の新潮文庫。若島訳の単行本が出たときには、大久保訳版にたくさんつけられていた訳注が一切ないことが賛否両論を呼びましたっけ。そのあたりの経緯について、若島本人の弁は、「図書新聞」での沼野充義氏との対談で読めます。
【“若島訳『ロリータ』早くも文庫化……今日買った本。”の続きを読む】
空犬のお気に入り作家の1人、多和田葉子さんの新刊が出ました。
「[本]のメルマガ」 vol.266(2006.11.05.発行)によれば、以下のような刊行記念イベントが行われるようです。
- 「ミッドナイトセッション」
『アメリカ—非道の大陸』刊行記念 多和田葉子さんトークショー&サイン会
ゲスト:越川芳明
日時:2006年11月13日(月)20:30~22:00(開場20:15)
会場:三省堂書店神田本店内・特設会場
定員:50名
参加費:500円
電話予約&問い合わせ:三省堂書店神田本店1F 03-3233-3312
参加方法は、11月10日(金)までに、書籍を購入のうえで申し込みをとのこと。事前申込制で、当日の参加および途中入場不可はとのことですからご注意を。
内容は《ヨーロッパの人間がアメリカに行くという旅の経験をめぐってのトークショー》だそうで、トークショー終了後にサイン会もあります。
- 「旅がらすの物語」
『アメリカ—非道の大陸』刊行記念 多和田葉子さんトークショー&サイン会
ゲスト:管啓次郎
日時:2006年11月17日(金)19:00~21:00(開場18:45~)
会場:青山ブックセンター本店内・洋書コーナー
定員:50名
電話予約&問い合わせ:青山ブックセンター本店 03-5485-5511
受付時間: 10:00~22:00
参加方法は、事前に電話で予約をしたうえで、青山ブックセンター本店にて当日までに『アメリカ—非道の大陸』を購入すると整理券がもらえるとのこと。
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