今日も『「本屋」は死なない』を付箋片手にメモを取りながら読み進めています。そのうち、ちゃんとふれたいなあと思いつつ。すぐには無理そうなので、今日は久しぶりに買った日本人アーティストの新譜の話でも。
◆今日のBGM◆
- 鈴木祥子『You Take Me,You Make Me』
これまでBGMとして取り上げてきた音楽、ふだん空犬通信で取り上げる音楽からすると、こういうのは意外だとか言われるんでしょうね。実際、よく言われる。でも、好きなんですよ、鈴木祥子さん。
で、その鈴木祥子さんの新作は、アルバムではなくて、マキシシングル。全7曲中3曲はミックス違いとインストだから、実質4曲入りで、2曲が《鬼才・西山大輔主宰の新進気鋭の劇団「AND ENDLESS」の記念公演の為に書き下ろした新曲》(内容紹介より)なんだそうですよ。
【“鈴木祥子さんの新しいシングルが出ましたよ”の続きを読む】
神保町で開催中の神田古本まつりは3日目。この土日は、神保町ブックフェスティバルも開催されています。昨年は雨に降られてしまいましたが、今年は好天も好天、ちょっと暑いぐらいでしたね。たくさんの人で盛り上がっただろうなあ。行きたかったなあ。
さて。先日の記事で、ブックオカのことを書きました。10/20から1か月、福岡は天神がまさに本一色になる、ブックイベントです。前回は今年も難しそうだと書いたんですが、迷ったすえに、1日だけのぞいてくることにしました。
2日、仕事をしてから夜に福岡入り、3日は1日かけて、一箱古本市や天神の書店を回り、その日の最終便で東京に帰ってくるという強行軍。
実際に使えるのは3日の夕方までの数時間ですから、どの程度見てくることができるのかわかりませんが、1軒でも多くの書店を見てきたいなと思っています。
現地では、今回、ブックオカを一緒にどうかと、震災前から(去年から?)誘ってくださっていた作家の碧野圭さんと合流、少しだけ同行させていただく予定です。あと、福岡の書店員さんや、他のエリアから来た書店員さんたち、とくにツイッターやブログでやりとりのある方にお会いできるとうれしいなあ。
そうそう、ブログやツイッターといば、ブックオカに行きたい行きたいと何度も書いていたせいでしょうか、ある方からブックオカのパンフレットをいただいてしまいましたよ。
毎年、ブックオカはこうした制作物のデザインもすてきなんですが、今年のはすごいなあ。A5判でなんと64頁もある! 内容の充実ぶりもすごいんですよ。冒頭が『書店員タカクラの本と本屋の日々。』の高倉美恵さんによるパンクな文章(笑;ほめ言葉です、もちろん)というもすごいし、書店・出版関係者がたくさん寄稿しているし、書店員の座談会はあるし、ジュンク堂仙台ロフト店の佐藤純子さんの「月刊佐藤純子」が「出張」してきているし(しかも、見開き!)、書店員のおすすめ本はあるし、ブックオカのイベント紹介はあるし、地図は載ってるしで、もう大変。とっても読み応えのある冊子になっています。こんなのを作っちゃうなんて、それも無料配布物として作っちゃうなんて、すごいなあ。
事前にじっくり読んで準備しておかなくては。なにしろ、初めて行く街で、1日しかないですからね。道に迷ったりお店探したりしてる余裕はないだろうからなあ。といっても、きっと迷うけど(苦笑)。
ブックオカから無事戻ったら、この冊子、西荻窪のブックカフェ、beco cafeのフリペコーナーに置かせてもらおうかな。福岡に行けない本好き、ブックイベント好きのみなさんが読めるようにね。
というわけで、今から楽しみでしかたないんですが、ちょっと残念なのはとにかく滞在時間が短いこと、それと、リブロ天神店の開店前の日程になってしまったこと。滅多にいけない街ですし、気になる新店の予定もあるのだから、本当ならば開店後にタイミング合わせて、3日ぐらいかけて行ければいちばんいいんですが、まあ、ぜいたくは言えませんね。
あと、この1日半を捻出するために、ただでさえ大変な仕事が、さらにものすごいことに(今日も仕事……)なっているんですが、まあ、それは自分で決めたことだから、がんばらないとね。
ブックオカの様子は、帰ってきてすぐには難しいかもしれませんが、この空犬通信にもレポートをあげる予定です。行きたいけど行けない、という方は、そちらをご覧いただけるとうれしいです。
また重要な書店関連本が出ましたね。
まだ読み始め、最初の2章ほどを読んだだけなんですが、ああ、そうだよなあと同感したり、悲しくなったり、さびしくなったり(書き方ではなく、書かれている内容に)……とにかく、ふだん書店について考えたり思ったりしながらも文章化できずにいることが、明晰な文章で描かれていて、軽くショック、他のことが考えられなくなっています。自分とほぼ同世代の人が、こんなふうに書店のことを書けるんだからなあ。自分が書店のことに関する駄文をこの駄blogにつらねている意味などまったくないよなあと、そんな気にさせられることしきりです。
この空犬通信できちんと紹介するためにと思って、いまも、メモをとりながら続きを読んでいるんですが、でも、たぶん、大したことは書けないだろうな。っていうか、下手なことは書かないほうがいいのかも。そんなふうに思いながら読み進めています。
新刊書店に関心のある方には必読の1冊です。
書店の開店関連ニュースです。これ、事前に噂を聞いていなかったので、びっくりしました。「松本・旧野口ビルに書店大手ジュンク堂が入居へ 年内にも」(10/27 信濃毎日新聞)。
大型出店については、だいたい事前に噂が書店・出版関係の知り合いルートから流れてきたりするものなんですが、今回は、事前情報ゼロでした。忙しくて、書店に行く回数が激減なので、業界の知り合い、ジュンク堂の知り合いと話をする機会が少なかったからなのか、それとも、ほんとに急に決まったことなのか、よくわかりませんが、それにしてもこの時期にこの規模の新店情報が出てくるとは、驚きました。
記事を引きます。《昨年6月から空きビルとなっている松本駅近くの旧「野口ビル」(松本市深志、ベルモール25)に、書店大手のジュンク堂書店(神戸市)が出店を計画していることが26日、分かった。売り場面積約3300平方メートル、書籍数約100万冊を予定しており、計画通り出店すれば県内で最大規模の書店となる。早ければ年内に営業を始める。》
まだ確定ではないという感じの書き方ですが、こうして地元紙の記事に、具体的な数字入りで出ていることからして確定と見て間違いないのでしょう。広さは、坪換算で約1000坪。前後に大型出店がないならともかく、この10月に静岡・甲府があって、さらに仙台もあって、それで年内に1000坪クラスというのだから、いやはや、すごすぎる。
記事の続きを見ます。《ビル地下1階~地上2階のほぼすべてが、ジュンク堂になる予定。改修と品ぞろえに通常3カ月ほどかかるが、エム・ケー・ケー側が改修を急ぐ。》
《工藤会長は「書店は街のインフラ。松本市街地の空洞化を防ぐ意味でも、人が常に出入りし、専門書が手に入る店舗にしたい」と説明。藤巻社長は「ビルを活用したい一心で入居をお願いし、応じてもらった。改修を急ぎ、クリスマスに開店が間に合うように全力を尽くす」としている。》毎度のことながら、この、「市街地の空洞化」を大型書店の出店によって防ぐという考え方には異論もたくさんありそうですが、それはともかく。
松本は降りたことがある、という程度で、ぜんぜん土地勘がないので、どこにどんなふうに書店があるのかないのかすぐにわからないのですが、調べると複数の書店がありますね。記事には、今回の出店地については、《旧野口ビルは、駅前商業地の一角にある商業ビル。1979(昭和54)年築の鉄骨・鉄筋コンクリート造りで、地上8階、地下1階。昨年3月まで隣接する百貨店の井上(松本市)が3~6階を借り、3、5階は連絡通路で井上ビルに接続していた。当時の所有会社が破産申請した影響で十数店あったテナントも昨年5月末で退去を強いられ、空きビル状態が続いていた。》とあります。松本駅周辺の既存の書店との位置関係、商圏の重なり具合などがどうなっているのか、気になるところです。
そして、今日27日は、甲府店のオープンの日でもありました。「岡島のジュンク堂 きょうオープン」(10/27 読売新聞)。
《約2600平方メートルの売り場面積は県内書店最大といい、約80万冊が並ぶ。レジ前の一角には、辻村深月さんら県内出身作家や山梨県に関連する約300冊をそろえたコーナーも設置した。》
《26日には内覧会が開かれ、宮島雅展・甲府市長が「中心街活性化の起爆剤になる」と期待感を示した。堀内理店長(31)は、「県外やインターネットでしか手に入らなかった専門書も多くそろえた。地元に愛される書店にしていきたい」と述べた。》
山梨・甲府といい、長野・松本といい、これまであまりジュンク堂の名前とは縁がないというか、結びつきの弱いエリアでした。静岡もそうでしょう。そういう、ジュンク堂の名前が知られていなかったエリアにも、着実に進出をはたしてきていますね。今後、丸善/ジュンクの出店戦略がどんなふうになっていくのか、大いに気になるところです。
今日から神田古本まつり。一年前に書いた記事を見てみると、昨年は雨に降られちゃったんですよね。今年は、天気に恵まれ、初日は快晴。出店されるお店の方にとっても、我々客・ファンにとっても、うれしい天気になりましたね。天気予報によれば、日月はくもりマークになっていますが、期間中、雨は大丈夫そうな感じ。よかったよかった。
このところ、昼休みに、残業帰りに毎日、露店の台ができあがっていくのを目にしていたんですが、途中の過程もいいものです。こんな感じ。
今日は、これらが本でいっぱいになっています。朝、出版健保に行くついでがあったので(インフルエンザの予防接種を受けたのです)行き帰りに、開始前の様子をのぞいてみたんですが、10時にならないうちから、もうたくさんの人が集まっていましたよ。朝の神保町の様子はこんな感じ。
↑神保町交差点の青空古本市の様子です。10時前とは思えませんよね。
↑こちらは、靖国通り沿いにずらりと並ぶ露店を違う角度からパチリ。写真のお店は、ブルーシートがかかっていますが、この時間、すでに棚がオープンになっているところもけっこうあって、たくさんのお客さんが本を見始めていました。ぼくも一緒になって見ていきたかったんですが、さすがにそこは昼休みまでガマン。
こういうとき、神保町に職場があるっていいですよね(笑)。我が身の幸運を喜ばねばなりません。というわけで、早速昼休み、靖国にずらりと並ぶ露店、それに、神保町交差点と岩波ブックセンター脇の通りの青空古本市を探検してきましたよ。
もちろん、小一時間では十分に見られるはずもないのですが、そこは勝手知ったる身の強さで、新古が中心っぽいところはとばして、興味のありそうなところを、店名や棚の「色」や雰囲気でセレクト、見るべきところをピックアップして、効率よく回ります。ふふふ、神保町歴、長いからね、これでも(笑)。で、そんなふうにして見て回って目についたものを、ここであれこれあげてしまうと、これからいらっしゃる方の楽しみを奪ってしまうことになってはいけませんから、控えますが、でも、迷ってる方もいるかもなので、ちょっとだけ。(以下、何があった、とか、何を買ったとか、そんなことばっかり書いてますので、興味のある方だけどうぞ。)
【“神田古本まつり、初日の様子を見てきましたよ”の続きを読む】
小中学生のころ、大好きで、とても熱心に読んだ作家の1人でした。
『夜と霧の隅で』での芥川賞受賞と『どくとるマンボウ航海記』の刊行がともに1960年、後者はベストセラーになっていますから、昭和30年代後半から40年代にかけては、よく読まれたのでしょう。ぼくが物心ついたときには、北杜夫さんの本が、本好きではあったけれど、とりたてて文学寄りなわけでもなかった両親の本棚にずらりと並んでいましたからね。
『怪盗ジバコ』『楡家の人びと』『幽霊』『酔いどれ船』『月と10セント』『南太平洋ひるね旅』……こうして書名をあげるだけでなつかしくてたまらない気持ちになるような本たちです。いずれも、初版ではなかったけれど、単行本でした。それらの単行本は処分してしまったので、後から文庫で買い直した数点をのぞくと、手元にないのが残念ですが、今でも表紙はよく覚えています。
ぼくがこれらを手にしたのは小学校の高学年から中学生にかけてのころ。大人の小説に初めてふれるわくわく感を感じさせてくれつつも、子どもにも読める楽しい本が多くて、今にして思えば、日本の現代文学を読み始めるのにとてもいい入り口になってくれたのではないかと、そんな気がします。
一連の本のなかで、とくに好きだったのは、『さびしい王様』ほかのさびしいシリーズ。なかでも最初に読んだ『王様』は、お話も、装画も、書名も、とにかくすべてがとても気に入ってしまって、長らく北杜夫さんの作品のなかではパーソナルベストでした。これ、うちの子にも読ませたいなあ。
小学校の途中で乱歩にはまり、探偵とかミステリーのほうに偏りがちだった田舎の小学生の本の趣味を、ぐっと広げてくれた、そんな作家の一人だったのだなあと、今になって思います。
北杜夫さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。今晩は、我が家の本棚から、なつかしい本を引っ張り出して、北杜夫作品に出会ったころのことを思い出しながら楽しみたいと思います。
本日も残業でよれよれの空犬です。仕事の愚痴は書くまいと、つい先日も決心したばかりなのに、毎回こんなふうに始めてるなあ(苦笑)。さすがに、朝から晩までゲラと格闘の日々が続くとね、さすがにね。20代のころみたいには無理もきかないし。ふう。
こんなときぐらい、ブログの更新はさぼって、せめて、夜、寝るまでのわずかな時間ぐらい、好きな本と音楽とお酒でのんびり過ごせばいいのに、と、我ながら思うんですが、どうしても紹介しておきたい本が出てしまったので、書いておこう。久々の乱歩ニュースでもあります。
- 森英俊・野村宏平編著『少年少女 昭和ミステリ美術館 表紙でみるジュニア・ミステリの世界』(平凡社)
乱歩者・探偵者は、書名だけでわくわくせざるを得ない1冊ですが、この表紙、ご覧くださいな。光文社版の「少年探偵 江戸川乱歩全集」の『青銅の魔人』ですよ。絵はもちろん、松野一夫さん。ぼくはポプラ社版全集(絵は柳瀬茂さん)世代で、思い入れもポプラ版にほうにあり、文庫化されたときは大喜びで全巻そろえて、ボックスまでゲットしちゃった話はこの空犬通信にも書いちゃったりしています。光文社版は数冊しか持ってないんですが、光文社版の絵もいいんですよねえ。もうこの表紙だけでのけぞりますよね。
で、くるりとひっくり返して、表4(裏表紙)を見ると、クイーンにルパンにオヨヨ、さらに、おおー! 我が偏愛探偵作家の1人、香山滋の『少年探偵Z9(ゼットナイン)』ではないですか! 香山はレコクターではない空犬がめずらしく蒐集対象としている数少ない作家の1人なんですが、何しろ、本が高くって、ちっとも蒐集が進んでません。これも、古書展・店で見たことあるけど、どっちも万だったから、もちろん未所有。こういうところに出てくるだけで、うれしいなあ。
……とまあ、そんな個人の古本悔しい話はともかく、表紙からしてこのノリですよ。探偵者としては、中を開けるのがうれしいようなこわいような、そんな本ですよね。オールカラーで、昭和の探偵者なら驚喜しそうなシリーズ・作品の書影がぜいたくに紹介されています。まさに、書名に偽りなし、探偵者なら必ず手元に置いておかなければならない、必携必読の1冊だと思いますよ。
ぼくは、本の見た目やたたずまいが気になるほうで、好きな作品は、装丁や造本込みで、まるごと楽しみたいタイプです(関係ないけど、音楽もそうです。だから、いまだにアナログ盤にこだわっていたりするんですが、それはまた別の話)。この空犬通信で何度も書いてきているとおり、乱歩はぼくにとっては、超をいくつつけても足りないぐらいの特別な作家なんですが、作品を読むだけなら、光文社文庫版全集があれば、それでいいんですよね。でも、それだけではやっぱりものたりないのです。乱歩の少年ものは、ぼくにとっては、やはりポプラの、あの表紙と一体になってるんですよね。
そういう、本の中身と、モノの記憶やモノへの思い入れを分離しがたいタイプの本読みにとっては、このような本はまさに宝物となるでしょう。あわてて読むような本ではありませんから、これからしばらく、毎晩、お酒を片手に、ゆっくりゆっくり眺めていきたいと思います。昔読んだ本をなつかしく思い出したり、入手できぬ本への憧れを募らせたりしながら。
例によって、どんな本がどう取りあげられているか、といった、本の内容にはあんまりふれてませんが、中で紹介されている書影のサンプルも含めた、くわしい内容の紹介は、本書の企画・編集にも携わっているという藤原編集室のサイト、〈本棚の中の骸骨〉の、こちらのページで見られますので、値段で迷っている方はぜひチェックしてみてください。
なお、乱歩のことばっかり書いてますが、書名に、そして表4にある通り、世界のも日本のも、「ジュニアミステリ」の範疇に属するものが広く取りあげられていますから、乱歩者以外の方にもいいと思いますよ。
乱歩関連では、この本もありますね。
- 紀田順一郎『乱歩彷徨 作家の戦中戦後を解読する』(春風社)
10月中旬刊行予定、というのを新刊案内で見かけたので、毎日のように書店をのぞいているんですが、まだ出ていないのかな。これも刊行が楽しみな1冊です。紀田さんと言えば、今月の新刊として、こんな本も出ています。
2008年度日本推理作家協会賞を受賞した同社刊の『幻想と怪奇の時代』の続編的な1冊のようです。こちらにも、乱歩を取り上げた文章がありますから、乱歩者はチェックをお忘れなく。海野や虫太郎、久作らにふれた文章もありますから、乱歩者というより探偵者のみなさんはチェックを、と書いたほうがいいかもしれませんね。
あと、乱歩関連のニュース、そして、乱歩と言えばこの人の、正史関連のニュースもまとめて紹介しておきましょう。
【“少年少女昭和ミステリ美術館に感涙”の続きを読む】
今日は書店関係のうれしいニュースを。千駄木の書店、往来堂書店さんが来月、15周年を迎えます。
ユニークな品揃え・棚作りで知られる同店ですが、広さは20坪ほどで、なんでも置けるタイプの本屋さんではありません。路面店ですが、駅前というわけではなく、立地的にものすごく恵まれているというわけでもありません。そんなお店が、15周年を迎える、それも、ただ続けてきたというだけでなく、地元のお客さんや地元外の本好きの熱く厚い支持を得ているというのは、ほんとにすごいことですよね。ひとえに、店長の笈入さんをはじめとする、スタッフのみなさんの日々の努力の賜物ですよね。少し早いですが、おめでとうございます。
往来堂さんと吉っ読とは何かと縁がありまして、この夏に行ったイベント、ブックンロールに店長の笈入さんに登場いただいたほか、ルーエと往来堂でコラボフェアを実現したり、お互いのフリペに寄稿しあったりなども実現しています。そんな縁もありますので、ここはぜひ我々吉っ読でもお祝いをしようということになりました。
日時は、11月25日(金)、19:30ごろから、場所は吉祥寺で。お店は未定です。当初は仲間内で、と思っていたんですが、往来堂さんの15周年記念となれば、一緒にお祝いしたい、という出版・書店関係の方もいらっしゃるかと思い、店長笈入さんご自身の希望もあって、参加を募ることにしました。往来堂さんの15周年を一緒にお祝いしたいという出版・書店関係の方、ご一緒にいかがですか。
会は、往来堂書店の方、吉っ読のメンバーが中心ですので、共通の知り合いの方が来てくださるといちばんうれしいのですが、往来堂に興味を持ってくださる方であれば、笈入さんと会ったことがない、話したことがない、という方でも大丈夫です。笈入さんは、いい機会なので、ふだんお店でお話するチャンスのなかった版元の関係の人や、同業の方ともお会いしたいとのことですよ。ただ、あまり大げさな会になると、吉っ読の手には負えなくなってしまいますので、出版・書店関係者の方のみとさせてください。
参加を希望される方は、この空犬通信のコメント欄か、もしくはツイッター(@sorainu1968)にてご一報ください。その際、初めての方は、こちらからご連絡のとれるアドレスを残してください。コメント欄でご連絡くださる方は、「管理者にだけ表示を許可する」のチェックをお忘れなく。お店の手配の関係がありますので、11/1(水)ごろまでにご連絡いただけるとうれしいです。
神田古本まつり、いよいよ来週からですね。以前の記事で紹介してますが、もう一度あげておきましょう。
第52回東京名物神田古本まつり
会期:10月27日(水)~11月3日(木・祝)
会場:神田神保町古書店街
神保町ブックフェスティバル
会期:10月29日(土)、30日(日)
会場:すずらん通り・さくら通り他
ふだんから神保町に出入りしている人はともかく、初めてだったり久しぶりだったりする方には、こんな情報源がありますから、事前に、または来られたときに、チェックするといいですよ。
- 神田古書店連盟『神保町公式ガイド(メディアパルムック)』Vol.2(メディア・パル)
- 『神田神保町古書街2012(毎日ムック)』(毎日新聞社)
↑写真は神保町の公式ガイドのほう。
- 『おさんぽ神保町』12号
- 『千代田の秋まつり2011公式ガイドMAP』
- 『神保町が好きだ!』第5号
この3冊はいずれも無料の冊子。神保町の書店店頭や「本と街の案内所」のほか、飲食店などにも置いてありますよ。
↑神保町ブックフェスティバルの案内。
【“神田古本まつり、来週からです……そして、竹尾PAPER SHOW2011も”の続きを読む】
昨日会社帰りに寄った吉祥寺BOOKSルーエで、同店のフリーペーパー「ルーエの伝言」42号をゲット。
特集がインターネットという、今さら感全開なテーマで、いったい何事かと思ったら、表紙に「なにが起きても変じゃない特大号」などとある(笑)。なんとなくわかった気にさせられますね。ならないか。わたくし空犬も久しぶりに寄稿していまして、特集の主旨にはまったく沿っていないものと思われる、この空犬通信についての、短文を書いています。
- 鶴田謙二『冒険エレキテ島』(講談社)
- 鷲巣義明『ジョン・カーペンター 恐怖の倫理』(洋泉社)
- 別冊映画秘宝『『電人ザボーガー』&ピー・プロ特撮大図鑑』(洋泉社)
鶴田謙二さんと言えば、先日の記事で、画集『FUTURE』がもうすぐらしいよ、などと書いたばかりのところに、書店店頭でコミックの新作にばったり。これはうれしいなあ。なにしろ寡作な人ですからね。こうして新作にばったり、ということ自体がとにかく少ないもので。うれしいなあ。鶴田謙二さん、大好きなんですよ。ほんとに。
これで純粋な新作だったらなおうれしかったんですが、タイトルでファンならすぐにお気づきの通り、高価なボックススタイルでしばらく前に刊行された『漫画BOX AMASIA』(講談社)に収録されていたものですよね。ただ、単行本の巻末を見ると、同ボックス作品に「アフタヌーン」掲載作品を合わせて収録されたというし、あちらは判型がB5、こちらはA5で、あちらはカラーのポスターもついていたのが、単行本はないけどカバーがすてき、ってことで、結局鶴田謙二ファンとしてはどっちも持っていなくてはいけないのだなあ。
なんか、これに似たようなこと、最近書いたなあ、と思ったら、ザ・スミスのコンプの記事で、おんなじこと書いてますね。まあ、作者や出版社にいろいろ考えもあるのでしょうし、こうした売り方を否定するわけではないですが、豪華なボックスで出したものを、また別のかたちで、というのはファン泣かせですよねえ。しかも、ザ・スミスや、今回のように、どっちか持っておけばいい、と割り切りにくいような中身の場合にはとくに。
とまあ、いろいろ書きましたが、鶴田謙二ファンは即買いですよね。この表紙だもの。こまかいことはどうでもいいよね。
好きな人の本が続きます。次のジョン・カーペンターは空犬が偏愛する映画監督の1人。『ハロウィン』『遊星からの物体X』は何度観返したかわからないぐらい、大好きな作品。このところ忙しくてぜんぜん映画館に映画も観にいけてないんですが、カーペンターの新作だけは逃すわけにはいかないってんで、『ザ・ウォード 監禁病棟』も観てきましたよ。銀座シネパトスで(大好きな映画館です)。そんな監督の本が出たら、これは買わないわけにはいきません。
監修は、カーペンターと言えばこの方、鷲巣義明さん。作品解説にインタビューにと、全編にカーペンター愛が満ちまくった文章を寄せまくっています。カーペンターの本としては過去に、ファン必携の1冊『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(フィルムアート社)と、鷲巣さんが編んだホラー映画監督論『ホラーの逆襲 ジョン・カーペンターと絶対恐怖監督たち』(フィルムアート社)がありますが、両方持っている人はもちろん、持ってないカーペンター作品のファンは、最新作『ザ・ウォード』までのフィルモグラフィを一望できる基本図書としては、これはおさえておくべきでしょう。
ちなみに、『ザ・ウォード 監禁病棟』、この空犬通信でもとくに取りあげることはしなかったんですが、久しぶりに劇場で観るカーペンターの新作はなかなか見応えありでしたよ。この手の作品を好きでたくさん観てきた方だと、途中で展開がちょっと読めちゃうかも、というところもありますが、それも気にならないレベルでしょう。主役のアンバー・ハードも大熱演です。
【“鶴田謙二、カーペンター、電人ザボーガー……最近買った本たち。”の続きを読む】
最近、お仕事(本業の編集のほうです)が忙しくて、毎日へとへとでよれよれの空犬です。blogやツイッターには本業の愚痴だのなんだのは書かないようにしようと決めていたんですが、気づけば毎日のように、やれ疲れた、やれへとへとだ、って書いてますね(苦笑)。猛省。
まあ、ただ、忙しいのは事実で、別に忙しいこと自体はいいんですが、書店を回ったり、帰りに一杯やったり、映画のレイトショーを観てきたりができないのが、とくに書店を回れないのが残念。最近、書店の店頭の様子を紹介する記事が少ないのはそのせいなのです。読書時間も、いつも以上に十分とれていないんですが、そんななか、こんな本たちを読みましたよ。
- 植村昌夫『シャーロック・ホームズの愉しみ方』(平凡社新書)
- グレッグ・イーガン『プランク・ダイヴ』(ハヤカワ文庫)
- 円城塔『これはペンです』(新潮社)
『シャーロック・ホームズの愉しみ方』は少し前に購入本として紹介しましたね。早速読んでみたんですが、これ、おもしろんだけど、ちょっと変わった構成の本でした。というのも、単著の新書なのに、本の半分ぐらいは、英語圏のホームズ文献のいろいろの翻訳の引用なんですよ。それらが、ホームズ文献としては有名だったり定番だったりするもののようで、そういうものを解説付きでまとめて読めるのはうれしいんですが、でも、このバランスで、著者表示は「編」でも「編訳」でもなく、単著扱いっていうのはいいのかなあ。まあ、でも、たしかに、「編訳」とするには翻訳のバランスが少ないし。
後半は、ライヘンバッハの死闘をホームズが生き延びることになった「バリツ」について、柔術・柔道関連の長い考察があったりします。そうした本の構成、バランスからすると、初心者がガイド本として手にとると、ちょっととまどいそうな中身になっている気がしますが、それなりに読み込んでいるファンにはおもしろく読めそう。
刊行前から楽しみにしていたグレッグ・イーガンの日本オリジナル短篇集4作目、『プランク・ダイヴ』。最初の1編、「クリスタルの夜」がいきなり好みのノリ。ハミルトンの「フェッセンデンの宇宙」を思い出さずにいられない内容で、しかも、それがイーガン的にハードな味付けと最新科学の裏付けとでブーストされているので、これがおもしろくないわけがない。
この、生命を、世界を、宇宙を俺様の手で、という神の視点/マッドサイエンティスト的な創造ものはSFの定番なわけですが、このテーマが好きな人は、いきなり引き込まれると思いますよ。それにしても、このテーマの古典と言っていい「フェッセンデンの宇宙」を書いたのが、キャプテン・フューチャーものエドモント・ハミルトンというのが、なんというか、おもしろいですよね。深淵なことに無縁っぽい(失礼!)スペースオペラが代表作な作家が、こんなすごい作品を書いてそれが古典として残ってしまうんだからなあ。「フェッセンデンの宇宙」は同題の河出書房新社「奇想コレクション」で読めますが、ぼくは、「ちくま文学の森」11巻、 「機械のある世界」で読むのが好きです。
そうそう、キャプテン・フューチャーと言えば。もう出ないものとあきらめかけていた、鶴田謙二画集『FUTURE』がとうとうこの11月に刊行されるようですね。新作や連載ものならともかく、刊行の終わっているシリーズの装画集が出ないとは、何かトラブルでも、とあきらめかけていましたからね。これはうれしいなあ。鶴田謙二さんの絵、大好きなんですよ。鶴田謙二さんが装画に使われているだけで気になりますからね。SFでなくても。
脱線しました。さて、3つめの『これはペンです』。純文系の作品で、ストレートなSFではありませんが、SF読みが読むといろいろおもしろいところが目につきそうな、そんな作品集になってます。
表題作は芥川賞の候補にもなったんですよね。その選評を取り上げた記事、たとえば、「「投票で過半数に達せず」 芥川賞は「該当作なし」 芥川賞講評」(7/14 MSN産経ニュース)を見ると、円城さん作品については、こんなふうにあります。《芥川賞の範疇ではなく、SFとかそういう種類のところで読めばすばらしいかもしれない、という選考委員もいる一方で、読んで全然分からないという選考委員もいた》。日本文学を代表する賞の選考委員の読み方がこんなふうでは、純文学好きも、SF好きも、どちらも苦笑もしくはため息をつかざるを得ませんよね。
表題作もおもしろく読みましたが、個人的には、2編目の「良い夜を持っている」が大変好みな感じでした。超記憶力がテーマで、頭の中で独自の都市を造ってしまうという「父」には、イーガンの短篇集1編目の神の視点/マッドサイエンティストものに通じるところがあるようなないような、という感じで、読んだばかりの本がつながるようで、ぞくぞくするような読書体験が得られましたよ。
つながるといえば、この作中には、ホームズ/ワトソンネタも出てきます。続けて読んだ3冊が、こんなふうにつながるのは、ほんとにうれしい偶然で、読書が倍楽しくなりますね。
で、その、「良い夜を持っている」、ものすごくおおざっぱにまとめると、記憶や言語を巡る作品なんですが、ぼくは昔から「記憶」をテーマにする文学作品や映画に目がないもので、超記憶力の持ち主が出てくる、というだけで、幸せな読書時間を過ごせましたよ。
円城さんの作品は、SF読みが読んでも何が書いてあるのかさっぱりわからない(悪い意味ではなく)ものもありますが、この2作は、少なくとも、ふつうには読めます。リーダビリティは円城作品としては高いほうに入るでしょう。それでも、やはりむずかしいことには変わりなく、こうしたテーマやこうした書き方を七面倒だと感じる方もいるでしょう。でも、逆に、このノリ、この文章が合う人ならきっと2編とも楽しめると思いますよ。とくに、この2編目のラスト。言葉をこねくり回しているだけの人には、このようなラストは書けませんからね。
というわけで、イーガン(とくに「クリスタルの夜」)が気に入った人には円城さん(とくに「良い夜を持っている」)を、円城さんが気に入った人にはイーガンを、おすすめしたいです。そうだ、あと、円城さんの作品が気に入った方には、今年ハヤカワ文庫JAで復活した、神林長平さんの『言壺』もいいんじゃないかなあ。何が似てる、ということでもないですが、テーマやノリに共通するところがあって、続けて読んだらおもしろいかも。合わせて、おすすめしておきましょう。
日本を代表する地域ブックイベントの1つ、ブックオカ。いよいよ明日、10/20からですね。
始まったときから、毎年、行きたい行きたいと言い続け、思い続けているんですが、なかなかチャンスがなくて、書店好きとしては実に悔しいことに、まだ一度も参加したことがありません(泣)。この空犬通信でも何度も取りあげているのになあ……。
で、今年は、作家の碧野圭さんが行かれるので一緒に、などと早くから話していたので、今回は必ず……のはずだったんですが、仕事が忙しくて、今年もちょっとむずかしい状況に(涙)。同行させてくださるという方もいるし、ツイッターやブログを通して知り合いもできたし、会いたい書店員さんもいるしで、まさに機は熟した感じ、今年はほんとにチャンスだったのになあ。残念。
というわけで、碧野さん(ほんと、ごめんなさい!)、そして、空犬通信をお読みくださっている書店好きの方で、ブックオカに行かれる方は、ぜひ空犬の分まで楽しんできてください。そして、コメント欄その他で、現地の様子を教えていただけるとうれしいです。
さて、そのブックオカ。今回もたくさんの気になるイベントがずらりですが、そのなかに、書店フリペ好きには気になる、こんな企画がありますよ。「「書店フリペ」の世界展 ~全国の書店員がつくった小さな偏愛メディア」。おお、なんと! 書店フリペの盛り上がりがついに九州にまで! すごいなあ。
内容は、《全国各地の本を愛する書店員が作ったフリーペーパーが集結する特別企画!》というもので、会期は、ブックオカと同じ、10/20~11/20、会場は、TSUTAYA福岡天神、ジュンク堂書店福岡店、丸善博多店、紀伊國屋書店福岡本店、ブックスキューブリック箱崎店、リブロ福岡西新店、Read cafeの各店だそうです。
気になる参加フリペ/店ですが、展示予定のフリーペーパーをサイトから引くと、このような感じ。
なまら三省堂 (北海道・三省堂書店札幌店)
ブンブンコ通信 (東京・三省堂書店有楽町店)
えびやきコ通信 (東京・三省堂書店海老名店)
池店別冊(東京・リブロ池袋本店)
月刊佐藤純子(宮城県・ジュンク堂書店仙台ロフト店)
MAG Cup(千葉・三省堂書店船橋店)
ハセガワしんぶん(大阪府・長谷川書店)
炎の文庫日誌 (島根・ジュンテンドーブックセンタージャスト高津店)
文庫の歩き方 (岩手・さわや書店フェザン店)
BBP Business Books Pistols (東京・丸善丸の内本店)
次読むならこれにしやぁ~!(愛知・精文館書店中島新町店)
ハセガワしんぶん(大阪府・長谷川書店)
やっぱりえほんっておもしろい(福岡・丸善博多店)
ながしょ通信 (熊本・長崎書店)
これはすごいなあ。おなじみのフリペ群に混じって、まだ読んだこと、見たことのないものもある! これらが一堂に会している様子はさぞ壮観だろうなあ。見たいなあ。
というわけで。ブックオカは今年も楽しそう。たくさんの本好き、書店好きで盛り上がるといいですね。……ああ、やっぱり、それこそ一日でも、半日でもいいから、行きたいなあ……。
先日10/14に行ったイベント、beco reco vol.2の売上を、本日、寄付してきました。
寄付先は先日の記事に書きました通り、仙台で活動している「こどもとあゆむネットワーク」。こちらにある通り、いろいろな活動をしている団体ですが、これらの活動のうち、小学校他、児童関係の施設に本棚を届ける「本棚プロジェクト」に使っていただくお金として寄付しました。
この「本棚プロジェクト」の内容、これを選んだ経緯については、以前の記事に書きましたので、そちらをご覧ください。前回の寄付の後、仙台にある子どもの本とおもちゃのお店「横田や」の店主、横田さんから、小学校に本棚の入ったところを写した写真を送っていただきましたので、紹介しておきます。
↑こちらが、以前の記事でも紹介した、寄贈本が床置きされている様子。
↑本棚が並ぶとこのような感じになります。本棚がこうして並んでいる、当たり前の光景が、本当に、本当にうれしいです……。
1万5千円で、この本棚1つです(送料・設置も込みで)。我々のような素人がお遊びのようなイベントで集めたお金ですから、額はわずかなものかもしれません。でも、そのわずかな額でも、こうして、被災地の子どもたちが本にふれられる環境を、少しでもよくするのに役立てるかもしれない……ということが、こういう写真を見ると、すごく実感できますよね。
というわけで、あらためて、イベントに集まってくださったみなさま、ありがとうございました。みなさんのご協力で集めたお金は、このような活動に寄付させていただきました。
この空犬通信で何度も告知してきました、音楽とお酒とトークのイベント、beco reco Vol.2。昨日無事に開催できました。参加くださったみなさま、ありがとうございました。
吉っ読 presents beco reco Vol.2
~東北のお酒を片手に音楽を楽しもう
UKパンク&ニューウェーヴ編~
日時:10月14日(金)19:30~21:30
場所:beco cafe(東京・西荻窪)
出演:鈴木茂(アルテスパブリッシング)
島田潤一郎(夏葉社)
空犬(吉っ読)
チャージ:500円(ドリンクは別です)
前回に引き続き、今回も、チャージ全額とドリンク・おつまみの売上げの一部を被災地支援活動に寄付することにしていました。集まったお金は、お客さん14人、関係者6人の計20人で、13,000円となりました。第1回の売上を上回ることはできましたが、残念ながら目標額の15,000円にはわずかに届きませんでした。お店と相談の結果、お店と企画者である空犬とで少し足して、15,000円を寄付することにしたいと思います。
寄付先ですが、前回は日本赤十字にしましたが、今回は、ブックンロールのときに寄付した、「こどもとあゆむネットワーク」にします。「こどもとあゆむネットワーク」を選んだ理由やその活動内容については、こちらの記事をご覧ください。
【“音楽とトークとお酒のイベント、beco reco Vol.2、無事に終わりました”の続きを読む】
記事で紹介した書店情報の修正とお詫びを1件。10/13付の記事でふれた三省堂書店東京駅一番街店。文中に、《聞けば、元、大丸東京店で店長をされていた方が、新店舗の店長をつとめるとか》と書きましたが、新店舗の店長をされる方は、大丸東京店にいらっしゃったのはたしかですが、店長さんではなかったとのご指摘を、三省堂書店の関係の方からいただきました。本文には訂正とコメントを入れてありますが、念のため、記事にしてお知らせする次第です。関係者のみなさまに、お詫びいたします。
同店の求人はこちらで。
先月からずっとフロアレイアウトや商品構成の変更が続いていた、神保町の書泉グランデと書泉ブックマート。営業しながらの作業ということで、途中で見るより、棚が落ち着いてからにしようと思っていたんですが、そろそろフロアの様子も落ち着いてきたようなので、今日の昼休み、ちょっと時間をかけて、2店を上から下まで、じっくり見てきましたよ。
↑改装に関する貼り紙。グランデ・ブックマート連名で、10月中旬に新装オープン、となっている。右は、ブックマート店頭の貼り紙。
↑こちらは、グランデ店内にあった、別の貼り紙。ブックタワーも入った3店の連名になっていて、フロアの担当の方だろうか、手書きでいろいろ書き足されて、「教育・保育書・学習参考書の取り扱いを終了することになりました」とある。これは、このフロアのジャンルの話で、グランデ・ブックマート全体では、ほかにも扱いのなくなったジャンルがいくつもあるようだ。
↑左がグランデの、右がブックマートの、フロア別の商品構成案内の貼り紙。以前の様子を知る人なら、これを見ただけで、かなり大きな変更・入れ替えがあったことがわかるだろう。
↑今回のリニューアルで、グッズはどうなったかな、と思ったら、人気のカバー・袋・チラシは変わりないようで、ちょっと安心。(いつもは断るカバーを、今日は確認のためにわざわざかけてもらったのでした。)
以前に、新宿のアニメイトのオープンを取り上げた記事で、そのアニメイト傘下になった書泉のことも取りあげ、次のように書きました。
《書泉と言えば、神保町を代表する新刊書店の1つ、ランドマークの1つですよね。神保町の大型書店は、ほかに三省堂書店神保町本店、東京堂書店がありますが、オールラウンダーの三省堂、文芸・人文などの品揃えでうるさがたの本好きに人気の東京堂に比べ、書泉の2店は、コミックや写真集や鉄道関連など、コアでオタでマニアックな品揃えで知られるお店。かわいいしおりやカバー、とってのついた袋も人気がありますよね。3店がそれぞれ徒歩で2、3分ほどの距離にありながら、見事に棲み分けができていたんですよね。》
今回のリニューアルで、グランデ・ブックマートとも、思い切って取り扱いジャンルを絞り、「コアでオタでマニアックな」路線をさらに強化、というか特化した、ということなんでしょうか。たしかに、路線としてはわかる気がしますよね。いくらたくさんの書店が共存している神保町とはいえ、ひと昔前ならともかく、今の出版・書店状況下では、似たような商品構成・規模のお店が同一商圏に並んでいるのは、やはり苦しいでしょうからね。
ジャンルを絞り込んだことで、在庫点数的には相当減少したのでしょう。スペースに対して、商品が少ないからか、以前の、ぎっしり型の棚やフロアレイアウトに比べ、全体にすっきりしたレイアウトになり、面陳の商品が増えた印象があります。元もと、他のお店では、面や平にならない/しないような本をそのように並べていたお店ですが、それがもっと顕著になった、という感じでしょうか。
今回のリニューアルで、グランデとブックマートをもっとはっきり分けるのかなと思ったら、そういうわけでもなく、重なったままのジャンルもけっこうありますね。音楽書は、グランデの2階、ブックマートの地下の両方にありますし、特撮も、グランデの2階、ブックマートの4階の両方にありました。おもしろいのは、量的にはグランデのほうが多いのに、ブックマートにしかない特撮本があったりすること。マニアは両方チェックしなきゃいけない、ってことですね(笑)。
なんか、マニアっぽい、オタっぽいジャンルや本のことばかり強調して書いていますが、でも、ふつうの(という言い方もちょっと変ですが)ジャンルの本もいいんですよ。たとえば、自然科学のうち、(空犬の大好きな)動植物の関連の棚を見てみます。グランデの2階にあるのですが、これがなかなかの充実ぶり。
三省堂書店神保町本店の自然科学の棚も好きなんですが、あちらとはちょっとノリの違う、濃い棚になっているんですよね。児童書コーナーがないので、児童書に分類されてしまう図鑑類が一般の本と一緒になっているのもいいし、海外文学の棚にあることが多い『ある小さなスズメの記録』が鳥類の本と一緒に並んでいたりなど、他の大型書店でも見かけない本がなにげなく並んでいたりするのもいい。生きもの本のうち、野鳥関係はとくに充実しています。ちょうどフロアの入り口のフェア台で、書籍のほか、カレンダーやらDVDやらソフトやらも合わせた野鳥関係のフェアも展開もされていましたよ。この通り、動物や鳥、魚の好きな向きなら、うれしくなってしまうような品揃えになっているんですよ。
そのグランデ、地下にはアイドル写真集のコーナーがあったので、地下に降りる階段の壁際には、グラビアアイドルたちのポスターやチラシが壁面を埋め尽くさんばかりに貼られていて、ぼくはコミックを/音楽本を/映画本を/特撮本を探しにいくだけなんだけどなあ、困ったなあ、と、ぜんぜん困っていないのに、そんなふうに思わされる、男子的にはすてきな空間だったんですが、今回のリニューアルで、地下は格闘技がメインのフロアになったので(コミックはそのまま)、階段の壁面は格闘技、それもプロレスがメインのポスターやチラシで埋め尽くされていて、以前の様子からのあまりの落差に、思わず笑ってしまいました(笑;長い文章ですみません)。だって、今まで半裸の女性たちがずらりだったところに、ファイティングポーズをとった猪木とかがいるんだよ(笑)。今回のリニューアル、個人的にいちばんツボだったのは、この空間の変わりっぷりかも(笑)。
【“いろいろ変わりました……書泉グランデと書泉ブックマート”の続きを読む】
今日も残業でよれよれの空犬です。お酒でも飲んで、すぐにもダウンしたいところなんですが、書店関係のことでふれておきたい件がいくつかありますので、ちょっとがんばって更新します。まずは雑誌の書店関連記事から。
『散歩の達人』(交通新聞社)10月号で、書店発フリーペーパーといえばこのお店、三省堂書店海老名店が取りあげられていますね。フリペコラボのフリペたちが大きな写真入りで紹介されているほか、店内のあちこちで見られる楽しいPOPなどが紹介されていますよ。
同誌は書店フリペに理解があるのか、以前にも書店フリペを大きく取りあげてくれたことがあり、書店トークイベント「ブックンロール」でフリペを取り上げた際に資料として使わせてもらったこともあります。またこのような感じで、書店と書店フリペを取りあげてくれると、書店好きとしてはうれしいですよね。
『週刊ポスト』(小学館)不定期連載「復興の書店」の第5回が10/21号に掲載されています。今回は、「ジュンク堂の「阪神」と「東北」」というタイトル。仙台の話が中心で、佐藤純子さんも登場しています。ところで、この連載、テーマ的にも分量的にもむずかしいだろうことは十分にわかったうえで、あえて書きますが、新書でもムックでも、ぺらぺらでもなんでもいいから、本にまとめてくれるとうれしいなあ。
新刊書店の開店・閉店関連は、しばらく前の記事、こちらとこちらにまとめましたが、その後にわかったものなどをいくつか紹介します。
来週10/20(金)に閉店となる、東京駅の新刊書店、栄松堂書店東京駅一番街店については、先の記事で紹介しましたが、噂されていた通り、跡地に書店が入るようです。新しいお店は、三省堂書店東京駅一番街店。広さは85坪で栄松堂と同じですから、あのスペースがそのまま使われるようですね。オープンは10/31。栄松堂が20日閉店ですから、わずか10日ほどでの開店となります。
三省堂書店は、この8月に大丸内のお店、大丸東京店が閉店になったばかり。今度のお店は、改札の外ですが、駅の建物内、それも1階ですからね。大丸の上の階に比べ、アクセスの良さは圧倒的ですよね。大型店とはまた違った、ふだん使いに便利な、コンパクトでバランスのいいお店になるといいなあ。
聞けば、元、大丸東京店で店長をされていた方が、新店舗の店長をつとめるとか。(この情報、違ってるとのことで、ご指摘をいただきました。訂正のうえ、関係者のみなさまに、お詫びいたします。)そのようなつもりはないのかもしれませんが、三省堂書店としては、リベンジのチャンスと言えるかも。リニューアルから1年を待たずに閉店となってしまい、おそらくは志半ば、という感じであったろう栄松堂さんの分まで、がんばってほしいものです。期待しています。
同じく、閉店した書店の跡地に別書店が入るケースではこれも。10/2に閉店となった北海道は札幌の、丸善ら・がぁーる新札幌DUO店の跡地に、文教堂書店新札幌DUO店が【開店】となります。開店日は10/25(火)。こちらも、サイズは、本200+文具50坪で、売場面積は丸善のときと変わらず、スペースをそのまま利用するようです。
あとは、以前にリストアップしたこの秋冬の開店・閉店で漏れていたもの、その後でわかったものをリストアップしておきます。(かっこ内は坪数)。
- 10/1 (土) 【開店】exciting girls store(エキサイティング ガールズ ストア) (85)
- 10/28 (金) 【リニューアル・増床】ヴィレッジ・ヴァンガード下北沢(127)
- 10/28 (金) 【開店】芳林堂書店 センター北店(100)
- 11/4 (金) 【開店】丸善 日比谷図書文化館店(10)
- 11/25 【開店】福家書店 アリオ倉敷店(360)
- 12/上旬【開店】紀伊國屋書店 ゆめタウン徳島店(?)
【“復興の書店、三省堂東京駅、文教堂新札幌他……新刊書店いろいろ”の続きを読む】
連日、朝から晩までゲラと格闘、ふらふらのよれよれなんだから、そんなときぐらいまっすぐ帰ればいいものを……我ながら、ほんとにそう思います。書店にまったく行けないのならともかく、昼休み、毎日、神保町をうろうろしてるわけですからね(苦笑)。それでも、寄っちゃうんだよなあ、BOOKSルーエには。で、花本氏やS店長としばしおしゃべりして、何冊か本を買う。時間と体力に余裕があれば、買った本を片手に一杯やっていく。それだけで、帰り道の気分がぜんぜん違うからなあ。
最近は吉祥寺に着く時間が遅いので、BOOKSルーエ以外のお店に寄れないのがちょっと残念ですが、でも、この時間までやっていて、しかも知り合いがいる地元のお店の存在はほんとうにありがたいです。で、そのBOOKSルーエで昨日買ってきた本たちです。
- ジュリアン・シモンズ『コナン・ドイル』(創元推理文庫)
- 植村昌夫『シャーロック・ホームズの愉しみ方』(平凡社新書)
前者は、「復刊フェア2011」の1冊。これ、以前持っていたんですが、手放しちゃってて、あるとき読みたいなあと思ったら、品切れで、残念な思いをしたことがあったんですよね。図版が多く、しっかりした本文紙が使われているので、200頁もないのに1000円近い、ちょっと高めの本なんですが、まあ、そこはしかたない。
後者は、そのドイルの代表作、ホームズものの入門書。ホームズ関連の本はそれなりに読んでいるので、新刊案内にこの書名を見かけたときは、いまさら新書で入門書でもないかな、と思ったんですが、入門書は入門書でも、帯に「異色の」とあり、《登場人物は、エリオット、マクルーハン、セイヤーズ、漱石、嘉納治五郎、英国皇太子、ウィンストン・チャーチル等々。》とあるのを見たら、ちょっと気になりますよね。
ところで、この2冊、ただの偶然なんでしょうが、前者の奥付が9/16、後者が9/15と、ほぼ同時。いいタイミングで揃いましたね。並べて平積みにしているようなお店はまだ見たことがありませんが、うまく目につくところに並んでいたら、まとめ買いが期待できそう。新刊の後者はともかく、前者は、文庫でホームズを読んでいる読者にも知らない人がいそうな本ですからね。うまく、そういう人の目にとまるといいですね。
以前の記事でご紹介しました音楽とお酒とトークのイベント、beco reco Vol.2、いよいよ今度の金曜日です。念のためということで、最後のご案内を。
吉っ読 presents beco reco Vol.2
~東北のお酒を片手に音楽を楽しもう
UKパンク&ニューウェーヴ編~
日時:10月14日(金)19:30~21:30
場所:beco cafe(東京・西荻窪)
出演:鈴木茂(アルテスパブリッシング)・島田潤一郎(夏葉社)・空犬(吉っ読)
チャージ:500円(ドリンクは別です)
イベントの詳細は、前回の記事をご覧くださいね。席の数があまり多くありませんので、申し訳ありませんが、事前に予約していただくかたちとなります。おかげさまで残席あとわずかとなりました。そんなに大きくないお店ですので、立ち見というわけにいきませんから、満員の場合、お店に入れない場合があります。できましたら予約をお願いします。予約なしで来られる方は、事前に、お店に電話で空きを確かめてからお越しください。
予約は、beco cafeに直接、
電話(03-6913-6697)
メール([email protected])
twitter(@bookendlss)
のいずれかでご連絡ください。
3人とも選曲を終え、当日かける曲も決まりました。自分で言うのもなんですが、定番あり、知る人ぞ知るマイナー曲ありで、なかなか幅の広い、おもしろそうなセレクションになりましたよ。「パンク」というだけで苦手に思ってしまう人がいるかもしれませんが、「ニューウェーヴ」のほうは、言ってみれば何でもありのジャンルですからね。いろいろなタイプの曲・アーティストを入れられるんですよ。なので、絞るのが大変なぐらいに候補が出てきて、実に楽しい選曲作業になりました。
というわけで。10/14、音楽好きお酒好きのみなさんのお越しを、たくさんのすてきな音楽と東北の地ビールを用意してお待ちしております。
◆今日のBGM◆
オールドロックファンの間で、最近話題の再発ものといえば、ピンク・フロイドですよね。
【“beco reco vol.2、今週です……そして、The SmithsのComplete BOXが届きました!”の続きを読む】
今日もやっぱりよれよれの空犬です。blogやツイッターには、本業のあれこれ、とくに愚痴めいたことは書きたくないのですが、このところ、ずっといっぱいいっぱいの状態が続いてまして、しかもこれがしばらく続くものだから、もう大変。別に多少忙しいのはいいんですが、書店に行く時間を十分にとれないのが残念。今日は、用事があったので、大急ぎで池袋の3店、旭屋、ジュンク、リブロを回ってきたんですが、ただ用事を済ませてくるだけ、みたいになってしまって、なんか、かえってさびしい気も……。
そんな状態なもので、blogの更新もけっこうしんどかったりするんですが、でも今日はちょっとがんばって、書店フリペの紹介を。このブログで紹介するために、自分で見つけたり、教えてもらったり、送ってもらったりした書店フリペの情報はせっせと自分でまとめているんですが、これがもう大変な数で、なかなかまとまりません。
これだけあちこちで盛り上がっていて、離れているエリアの書店フリペもたくさん読むことができるようになっても、(当たり前のことではあるんですが)知らない書店フリペってまだまだあるんだなあと、そんなことをあらためて実感しています。というのも、今日、こんなすてきな書店フリペの存在を教えられたからなのです。岩手県盛岡市の書店、東山堂の三ツ割店で発行している『TOM』がそれ。
フリペのサイトがあって、そちらにはこんな紹介文があります。《『TOM』は、東山堂の店頭で配布される本の情報誌として、三ツ割店で誕生して4年目を迎えました。書店員がおすすめする本の紹介や、実在のスタッフをモデルにしたコミックエッセイなど、すべて手書きの誌面は、時代に逆行した超アナログのフリーペーパーとしてお客様の注目を集めています。》
残念ながら、実物は見たことがないんですが、サイトにあがっている最新号やバックナンバーを拝見すると、いやはや、これが実に楽しいフリペになっているではないですか。
最新号の体裁を見ると、全12頁、上の紹介にもある通り、オール手書きで、実際のサイズはわかりませんが、A5判でしょうか。色紙(かどうかはわかりませんが)に黒1色で刷られているようです。
中身のほうも、本の紹介はもちろんですが、コミックはあるし、本の紹介にぜんぜん関係ないページもあるし、イベント紹介はあるしと、なかなかにぎやかな中身になっています。レイアウトや見せ方にも工夫があって、ぱらぱら眺めていて楽しい紙面になっています。
4年目を迎えたとありますが、お客さんに支持され、長く続いているのもうなずける内容ですね。機会があったら、ぜひ、実物を見てみたいものです。同店のご利用の方はもちろんご存じだろうと思いますが、近隣の本好き書店好きの方も、ぜひこの楽しいフリペを、店頭で探してチェックしてみてください。
あと、ずっと紹介したいと思いつつ、機会を逸していたこちらを。大阪寝屋川市のTSUTAYA寝屋川駅前店で発行している『ぶんこでいず』。まずはこの紙面をご覧くださいな(写真は、8月号)。
フリペの作り手の方に、紹介したい本、書きたいこと、伝えたいことがたくさんあって、それがもうぎゅーぎゅーに詰まってる感じが、じゃんじゃん伝わってきますよね。いやはや、すばらしいです。
体裁は、A4モノクロ両面で、部分的な切り貼りをのぞき、ほぼすべて手書き。読みやすい文字でこまかいところまでぎっしり書き込まれているほか、イラストに描き文字にと、地の模様にと、ディテールもすごいことになっています。担当されているのは、ネコ村(マリ猫)さん。これ、お一人で作っているのかなあ。だとしたら、すごいなあ。
タイトルに文庫とあり、文庫売り場からお送りします、と本文にもある通り、内容は、文庫の話題オンリー。今回はちょうど夏文庫の季節ということで、表は大手3社の夏文庫の話題、裏は、新刊情報とスタッフの方のおすすめとになっています。
ちゃんと確認してませんが、おそらくフリペコラボには参加されていないお店だと思いますので、関東では入手が難しいかもしれません。関西の方は、ぜひぜひ、同店で実物をゲットしていただきたいところですが、他のエリアの方で、実物をどうしても見たい!という方は空犬通信にご一報ください。
最後にこれも。以前の記事で紹介した、東京立川市のオリオンパピルスで発行しているフリペ、というか小冊子、『無暦』。その創刊準備02号がしばらく前にできたようです。
【“TOM、ぶんこでいず、無暦……書店フリペを紹介します”の続きを読む】
最近は本業の仕事が忙しくて、日中、書店を回ったりという余裕がなかったんですが、今日はちょっと用事があったので、八重洲ブックセンターと丸善丸の内本店へ行ってきました。
八重洲ブックセンター、理工書のフロアの壁面では、7月に出た林完次さんのすてきな本、『すごい夜空の見つけかた』と、海野和男さんの『図鑑 世界で最も美しい蝶は何か』2点(どちらも草思社)の写真展をやっていました。『すごい夜空の見つけかた』は新刊案内に書名を見かけたときから気になっていた本ですが、この写真を見るとほしくなってしまうなあ。日高敏隆先生の『新編 チョウはなぜ飛ぶか フォトブック版』が同じワゴンに並んでいたのも、ちょっとうれしい。
そういえば、八重洲ブックセンターでは、岩淵悦太郎『悪文 第3版』(日本評論社)があちこちに並んでたなあ。理工書のフロアの新刊台にもあったよ。お店でプッシュしてる本なんでしょうか。これ、悪文の例がいろいろ引いてある、なかなかおもしろい本で、この古めかしい、雰囲気のある装丁とあいまって、実にいい味を出している1冊です。別に文章の仕事をしている人でなくても、ことばに興味がある人にはおもしろいかも、の本ですよ。
丸善丸の内、1階でフリペBBPをチェック。次の号がそろそろかなと思ったら、ちょっと早過ぎたようで、まだVol.4(9月号)が並んでいました。今日ツイッターでチェックしたら、次号は6日からの配布のようです。
東京駅と言えば、先日の記事で閉店を取りあげた、栄松堂書店ものぞいてきました。平日の午後のお店は、けっこうお客さんも入っていて、貼り紙がされているわけでもなく、棚が空いているわけでもないので、言われなければ、今月中に閉まってしまうお店だとは思えない感じ。こういう機会でもなければ、ということで、レジ脇にある電車グッズなどをしっかり見てきました(と言っても、何があって、どう充実しているのかはさっぱりわからないんですが;苦笑)。大型店とは別に、こういうサイズのお店が駅にあるのって、利用者にとってはうれしいと思うんだけどなあ。
電車グッズと言えば、書店とは直接関係ないけど、東京駅の丸の内側地下に、何かグッズコーナーができてましたね。一時的な、フェアか何かなんでしょうか。平日の午後なのに、年輩の男性客がたくさん集まってましたよ。
さて。昨日、一昨日と書店の話題を取りあげ、リブロが閉店になる広島と、丸善&ジュンクがオープンになる静岡の件を紹介しましたが、関連する新聞記事が出ていましたので、紹介しておきます。
【“吉祥寺BOOKSルーエで、文春文庫のこっち系フェア、そして辻征夫”の続きを読む】
昨日アップした、書店の開店閉店関連の記事、追記と修正です。まず、コピペのミスで、閉店関係で紹介予定だったはずのものが1件、落ちてしまっていました。
パルコの中に入っていたお店ですよね。まもなくオープンの天神店と入れ替わるような感じでの閉店となってしまいました。
開店関連では、甲府にできるジュンク堂書店の名称を「岡島店」としてしまっていましたが、正しくは「甲府店」でした。開店日は、27で確定のようです。
もう一件、新規オープンの情報をいただきましたので、紹介しておきます。
- 11/11 オープン 有隣堂テラスモール湘南店(450)
450坪ですから、けっこう大きめですね。これは、同日グランドオープンとなる商業施設テラスモール湘南のなかにできるお店のようです。商業施設のサイトを見ると、かなり大きなモールのようですね。駅でいうと、東海道線の辻堂で、北口直結、となっています。
このあたりは、東京西部在住者にはなかなか縁のないエリアで、しばらく前に神奈川書店回りをしたときも足をのばせなかったため、エリアの書店事情をまったくといっていいほど知りません。
調べると、辻堂にも書店はあるようで、駅周辺のお店への影響はもちろんですが、ジュンク、有隣堂、宮脇ほか、複数の書店が競合する隣駅、藤沢周辺のお店への影響もあるでしょうね。個人的にもちょっと気になるので、お店ができたころに、このエリアの書店回りでも計画してみようかなあ。
この土日は結局、連続で休日出勤。書店員のみなさんが使うのを見聞きする「連勤」ということばを思い出してしまいました。大した激務でもないのに弱っちいことを書くようですが、休みなしだとやっぱり40過ぎのオヤヂにはきついですね。次の週末が遠い……。
で、昨日、朝、会社に向かっていたはずが、なぜか間違えて、気がついたら早稲田に来ていました。不思議なこともあるものです。こうなったら、しかたありません、早稲田青空古本祭をのぞいていかないわけにはいきませんよね。というわけで、1時間だけ、と自分にいい聞かせて、ざっと見てきましたよ。
天気は曇り空。涼しくて気持ちいいぐらいの感じでしたが、雨を心配した方が多かったのでしょうか、それともお昼前後の時間だったからなのか、会場の人出はまあまあといったところ。
暑くも寒くもなく、ぎゅうぎゅうの混雑でもない、ということで、これはゆっくり見られるぞと、喜んで見始めたはいいんですが、やはり、さすがに仕事のことが気になって、落ち着いて見ることができません。気になる本はいくつも目についたにもかかわらず、結局、何も買い物できぬままに早々に離脱することになってしまいました。何やってんだか(泣)。
早稲田青空古本祭は6日まで。再訪できるチャンス、あるかなあ……。帰りがけに、あゆみBOOKS早稲田店ものぞいてきましたよ。
地下鉄の出口からすぐの路面店で、45坪。ほどよいサイズの店に、バランスのいい品揃え、みやすいディスプレイで、利用しやすいお店です。入り口入ってすぐ、左側の壁面は、新刊や話題書が並び、フェアも展開されています。この日は「時間」というテーマのフェアで、科学読み物などにまじって、フィクションもあり、SFでは、『夏への扉』『時をかける少女』といった時間ものの定番が並び、その横には時間もののアンソロジー『時の娘』も並んでいましたよ。SFと言えば、文庫棚のエンドではゼロ年代SFのフェアが展開中でしたから、お店にSF好きの方でもいるのかな。
時間フェアの隣では、芸術書の話題書が面陳に。お店の規模からすると、ぜいたくと言っていいようなスペースの使い方がされています。大判の本がこうして面で並ぶのはいいものですね。そのなかに、空犬通信大プッシュの『世界の夢の本屋さん』が入っているのが、これまたうれしい。
【“早稲田青空古本祭、そしてあゆみBOOKS早稲田店”の続きを読む】
書店の開店閉店関連の話題をいくつかまとめて紹介します。今年の1月にリニューアル、その、なかなかにユニークな店舗の様子をこの空犬通信でもレポートした、東京駅の書店、栄松堂書店東京駅一番街店が、なんと10/20に閉店になってしまうとのこと。リニューアルから1年を待たずに閉店とは……うーん。
八重洲側に八重洲ブックセンターを、丸の内側に丸善丸の内本店を抱える東京駅の書店です。立地的には抜群とは言えないもの、先のレポートにも書いた通り、大型書店とは違った個性的な品揃えで、いい感じのお店になっていたように思っていただけに、今回の閉店はショックです。
栄松堂書店と言えば、昨年は横浜駅の相鉄ジョイナス4階にあった相鉄ジョイナス店が閉店になっています(跡地には、リブロが入っています)。ほかに、蒲田東急店がありますが、ここは、Wikiにもあるように、オークスブックセンターを展開している東京ブッククラブの店舗で、くわしい事情は知りませんが、栄松堂書店の名前だけが残っていて、実質的には栄松堂書店とは関係のない店舗になっているそうです。ということは、今回の閉店で、栄松堂書店はなくなってしまうことになるんでしょうか。そうじゃないといいなと思いながら書いていますが、もしも違うとか、そうだとか、くわしい事情をご存じの方がいらっしゃったら、ぜひご教示ください。
書店の閉店は、どこのどのようなお店でも残念なものですが、一時期、複数店舗を展開していたチェーンの最後のお店が閉店してしまう、そのチェーンがなくなってしまう、というのは、ほんとにさびしいことですよね。昨日、書店情報をやりとりしている知り合いの方からこの件を知らされ、複雑な気分になってしまいました。関係者のみなさんや出入りしていた版元の担当者がいまどんな思いでいることか……言葉もありません。
跡地には別の書店が入るようだとの話もありますが、この件はまだ確認がとれていないので、具体的なことがわかったら、あらためて取りあげることにしたいと思います。
もう一件、都内の書店の閉店情報を。人形町(駅で言うと水天宮前)にあるBOOKS PISMOが、10月いっぱいで閉店になるそうです(註:ツイッターでは報告しましたが、その後、閉店が早まり10/16に閉店となったそうです)。人形町はふだんあまり用事というか縁のない街で、同店も、行ったことがある、という程度、自分ではあまり利用していないお店だったので、くわしいことや最近のお店の様子はぜんぜんわからないのですが、100坪強ぐらいの、使いやすそうな感じのお店だった印象があるだけに、ちょっと残念です。人形町には文教堂人形町店がありますが、うまく共存できていたようだという話も聞いていたんですが、売上の問題なのでしょうか。跡地にはドラッグストアが入ると聞きます。なんというか、さびしいことです。
閉店の話題だけというのもなんなので、オープンの件も。いろいろ話題を呼んでいる新静岡の商業施設セノバに出店するMARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店、いよいよ来週、5日のオープンですね。MARUZEN&ジュンク堂書店名義としては5店舗目。広さは675坪。十分に大きいお店ですが、ジュンク/丸善関連のお店としては小さいと感じてしまあたりがなんというか妙な感じ。
「MARUZEN&ジュンク堂 新静岡店グランドオープン!」(10/5 ジュンク堂書店)によれば、このようなコンセプトなのだそうです。
《じっくり本を選んでいただくための"座り読みスペース"を用意するとともに、棚や内装も落ち着いた雰囲気になるようこだわっています。書店とは、人と本が出逢う場所です。本には様々な情報・知識・文化が詰まっています。つまり、著者や編集者の思いや思想、研究結果などが凝縮されているということです。であれば、書店とは、人と人とが出逢う場所であると言い替えることができるでしょう。そのための最良の空間を、我々は造り上げたいのです。そのために欠かせないのが、豊富な商品知識を持つ"書店員のプロ"です。笑顔での接客はもちろん、どんなお問い合わせにも対応できるよう、日々研鑽を重ねています。》
ジュンク/丸善関係では、同じ10月には甲府岡島が控えています。こちらはジュンク堂書店名義。広さは780坪。開店日がまだ告知されていないようですが、27だか28だかに決まった、という話も聞いていますが、確定なんでしょうか。
ジュンクと言えば、びっくりするような話も聞きました。震災後、イービーンズの仙台店が場所を移して復活したり、アエルの丸善が増床・改装、ジュンク堂的なお店に様変わりしたりと、いろいろ動きの激しい仙台駅周辺。もと仙台店が入っていたイービーンズ、耐震工事中とのことでしたが、まもなく新装開店、そのなかに、なんとジュンク堂書店(なのか、MARUZEN&ジュンク堂書店なのかはわからないのですが)が4フロア、1400坪で入るというのです。
耐震工事、半年ぐらいでできちゃうものなのか、と思ったら、少し前の記事ですが、「解体は旧館4階以上 仙台・イービーンズ 10月にも開店」(5/24 河北新報)によれば、耐震工事は全館ではなくて、建物の一部なんですね。この記事にも10月新装開店とあります。
いろいろな戦略があってしかるべきだし、基本、自由競争な世界なわけですから、書店の出店について、それが同一商圏の他店、とくに非チェーンの小さなお店に大きな影響を与えたりするのでないかぎり、批判的なことは書きたくありませんし、書くつもりもありません。でも。それでも、今回の件が、もし本当なんだとしたら、それはちょっといくらなんでもなあ、という気がしないでもありません。
イービーンズに復帰するらしい、ということはすでに聞いていましたが、まさかこの規模になるとは……。1400坪って、超のつく大型店舗を複数かかえるジュンク/丸善の店舗のなかでも、トップクラスのサイズですよ。都内の新宿・渋谷クラスの街にできるとか、周囲も含めて相当広いエリアに書店がないような街にできるのならともかく、仙台は以前のレポートにも書いた通り、すでにたくさんの書店を抱える街ですからね。しかも、仙台駅周辺は、ジュンク堂書店仙台店、ジュンク堂書店仙台ロフト店、丸善仙台アエル店と、同一チェーンのお店が3店もあって、現時点ですでに、総床面積が1500坪強と、ものすごいことになってますからね。仙台、どうなっちゃうんだろう……。
あとは、最近の開店・閉店、すでに記事で紹介したものもありますが、ざっと一覧にしておきます(かっこ内の数字は坪数)。
- 9/29 オープン 正文館書店長久手フレンドタウン店(同日オープンの商業施設内)
- 10/14 オープン コーチャンフォー北見店(1707)
- 10/27
or 28? オープン ジュンク堂書店岡島甲府店(780) - 11/18 オープン リブロ天神店(350)
- 11/? オープン 蔦屋書店(TSUTAYA)代官山店(300)
- 9/30 閉店 紀伊國屋書店MOVIX京都店
- 10/2 閉店 丸善ら・がぁーる新札幌DUO店
- 10/2 閉店 リブロ広島店
紀伊國屋書店MOVIX京都店および丸善ら・がぁーる新札幌DUO店のスタッフ・関係者のみなさま、おつかれさまでした。前者は行ったことがあるという程度、後者はついに一度もお店を見ることがかないませんでした。その意味では利用者でもなんでもないのですが、でも、一書店好きとして、お店を支えてきたみなさんが、また別のお店で活躍できることを、心から願っております。
今日はめずらしく休日出勤などしてしまったもので、へとへとでよれよれの空犬です。今日から早稲田青空古本祭が始まっています。そんな日に、しかも天気のいい土曜日に、会社にこもってたなんてなあ……。それはさておき。久しぶりの乱歩ニュースです。
先日、「日本の古本屋メールマガジン」その107・9月26日号を読んでいたら、「江戸川乱歩と東京古典会」が掲載されていましたよ。書き手は、小林書房の小林光寿さん。
それによれば、10/2(日)、3(月)の2日間、東京古書会館で、東京古典会創立100周年記念として、「和本シンポジウム」が行われるのだそうです。名前の通り、《「和本」にスポットを当てたイベント》とのことで、《慶應大学・立教大学・東京古典会がコラボし実現した貴重書展が、2Fでは浮世絵版画の摺りの実演が、そして7FではTV等でも活躍中の、東京大学大学院教授ロバート・キャンベル氏と、直木賞作家木内昇氏のトークライブが行われ》るのだそうですよ。
いろんな本が好きなほうではあると思うんですが、さすがに和本は弱い、というか、ほとんどまったく知らないといっていい世界。でも、乱歩がからんでくるとなると、話は別。もちろん、乱歩者としては、乱歩の膨大な蔵書・コレクションのなかに、和本がたくさん含まれていることは当然知識として知ってますし、各種の乱歩展や資料類で目にしています。で、先を読み進めてみると、地下ホールでは、「江戸川乱歩と東京古典会―購入記録にみる和本蒐集の軌跡」が展示されるとあるではないですか。気になる中身のほうは。
《江戸川乱歩―今なお多くのファンを持つ昭和を代表する探偵小説家ですが、和本の蔵書家でもあった事はあまり世間には知られていないかもしれません。「仮名草子、浮世草子、八文字屋本などが主で、西鶴の小説のめぼしいものはほとんどそろっている。その他日本、中国の怪談書、探偵小説の先祖である裁判物語など。ほかに江戸末期の草双紙がどっさりある」(『読売新聞』昭和29年2月7日)という乱歩の900点を超える和本コレクションは、幻影城と命名された土蔵の中に収められていました(現在は立教大学蔵)。そして、このコレクションの最大の特徴は、蔵書の1点1点に詳細な購入記録が残されており、乱歩直筆の「和本カード」として保存されている事でした。》
《幻影城と命名された土蔵の中》に収められたものが見られるとなれば、これはもう乱歩者が駆けつけないわけにはいきません。
《今回の展覧会では、蔵書と「和本カード」をセットで展示し、その購入記録から当時の乱歩の和本蒐集の足跡を追ってみようという試みがされております。しかも、購入記録から判別する購入先は、 OB及び現役の東京古典会会員がほとんどでした。「弘文荘」「木内書店」といったOB会員から、「浅倉屋書店」「琳琅閣書店」といった現役会員の店舗名が、蔵書の購入金額と共に「和本カード」に記されているのです。東京古典会の歴史に、生の資料で直に触れる事ができる、まさに創立100周年記念イベントにふさわしい展覧会といえるでしょう。》
いやはや。これはすごいなあ。購入記録から収集の軌跡を追うだなんて、まさに古書のプロフェッショナルならではのアイディアですよねえ。これは見たいなあ。楽しみだなあ。
この「和本シンポジウム」について、こんな記事もありますよ。「神田で「和本シンポジウム」-「東京古典会」100周年で」(9/28 神田経済新聞)。こちらの記事では、乱歩がらみのくだりはこんな感じ。《和本の熱心なコレクターだった江戸川乱歩旧蔵の西鶴コレクションなど約30点を展示する「江戸川乱歩と東京古典会-購入記録にみる和本蒐集の軌跡」を行う》。
紹介が直前になってしまったうえ、開催が2日間だけなので、遠方の方には難しいかもしれませんが、乱歩者はぜひ古書会館に駆けつけてください。2日が12時~18時、3日が11時~16時30分で、入場無料とのことです。
↑乱歩の蔵書と言えば、もちろん、乱歩者は全員持ってますよね、これ。新保博久・山前譲『幻影の蔵 江戸川乱歩探偵小説蔵書目録』(東京書籍)。しかし、よくこんな本、出せたよなあ(苦笑)。
本の半分以上が、蔵書目録なので、乱歩や探偵小説史に興味のない方(がそもそも、手にとるはずもないだろうが)には退屈極まりない本でしょうが、乱歩者にはたまらん1冊ですよね。幻影城の様子や、古書価がいくらになるのか想像もつかないような超のつく貴重本の書影を堪能できる巻頭のカラーグラビアを眺めるだけで、ほんと、うっとり。
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