年末年始もお仕事の、小売り関係のみなさんには大変申し訳ない気もするんですが、冬休みを満喫中の空犬です。
この空犬通信をお読みになってくださるみなさま、今年もありがとうございました。だらだら書きで、長さの割に情報量の少ないブログが細々と続いているのは、イベントなどでお会いした折にいつも読んでるよと声をかけてくださったり、コメント欄で情報をくださったりするみなさんのおかげです。なにしろ、この書き手は割にしょっちゅう、しかも簡単にくじけそうになっているものですから(苦笑)、そういうのがなかったら、もうずいぶん以前にたたんでいたことだろうと思います。あらためて、ありがとうございます。
空犬通信ですが、冬休みの間は更新をお休みし、来年は仕事始めの1/6から再開したいと思っています。ふだんは、文章書きに時間がとられて、本を読む時間が十分にとれないという、本と本屋さんを紹介するブログの書き手としては、まったく、本末転倒としか言いようのない毎日を送っているものですから、休みの間ぐらいは、本とじっくり向き合おうと思うのです。
どうせなら、読む本も、ブログで紹介するための本や、本の本・本屋本・業界本はのぞき、純粋に趣味のものお話ものばかりにしようと、長めの小説を中心に、休みの間に読みたい本を、傍らに積み上げています。ふだんの積ん読本と違い、さあ読むぞ、とセレクトして積み上げた本たちは、背を眺めているだけで、楽しい気分になれますね(笑)。
2013年も、本と本屋さんの周辺では、いろいろなことがありました。本屋さんに関連する出来事で、個人的にいちばんうれしかったのは、『本屋図鑑』を出せたこと、そして、それが幸いにも比較的好評をもって受け入れられたこと。取材その他で協力くださった書店員のみなさま、本書をたくさん売ってくださった書店のみなさま、本書を買ってくださった本屋好きのみなさま、刊行記念イベントを開催してくださったり当方を呼んでくださっりしたみなさま、あらためてありがとうございました。
本屋さんに関連する出来事で、いちばん残念だったのは、海文堂書店が閉店になってしまったこと。いまでもまだぴんとこない感じがしています。まもなく手にできるであろう『ほんまに』15号に掲載されている、海文堂を愛したみなさんの文章を読むのが、とても楽しみですが、一方で、これで、海文堂書店のことにひとつの区切りがついてしまうような気もして(もちろん、それは「いいかたちで」という意味で、なんですが)、同時に、少しさびしい気にもさせられたりしています。
来年も、本のこと本屋さんのことを応援する文章を書いたり、本のこと本屋さんのことに関する情報を発信したり、本のこと本屋さんのことに関するイベントを企画・主催したり、など、自分にできることを自分にできる範囲で、続けていきたいなあ、と、なんとなく思っています。空犬通信と、空犬企画のイベント、来年もどうぞよろしくお願いします。
2014年は、本に関わるすべての方にとって、いい年になるといいですね。どうぞ、良いお年を。
12月もあと数日ですね。年末と言えば、大掃除。
本は買うのも読むのそれなりに多いほうで、蔵書もそれなりにはあるほうなんだろうとは思いますが、読み終わった本は割にドライに処分もするほうなので、自宅は、本の雑誌に連載されていた蔵書家のみなさんのような「魔窟」にはまったくなっていなくて、いたってシンプルなもの。本のことばっかり書いてるくせに大したことないな、と思われそうなぐらいにしか本はありません(たぶん)。
それほどカオスな部屋にはなってはいないのですが、でも、冷静に部屋の中を見渡して見ると、本棚の前にはけっこう本が積み上げてある。いや、「けっこう」だとだいぶ控え目で、「かなり」という言うべきでしょうか。
今の家に越してきたのは、数年前。以前に住んでいた家にも書斎的なスペースがあったんですが、本棚とそこからあふれだした本で、人の出入りもままならない状態になっていたものですから、引っ越しを機に本棚を新調、天井までの背の高い造り付けのものにしたのです。よっしゃ! これで、あふれ返っていた本が全部入るぞ!、全部入れるぞ!と、張り切っていたんです。ところが……ぜんぜん、入らなかった(泣)。
床に積み上げられた「はみ出し本」の山を見たときはさすがに呆然としましたよ。で、決意したわけです。これは、一大蔵書整理をしなければならんなと。(引っ越し前にやっとけよ、って話ですよね。そうすれば、引っ越しの手間や費用もずいぶん違ったのではないかと……。)
で、かなり思い切った整理をしました。それまで、好きな作家の作品は、単行本と文庫の両方で持っているなんてのは当たり前で、それほど好きでもないのに、全集までそろえている、なんて作家もいました。そういう重複をどれか一つに絞り、残りをえいやと、「出す」ほうに分けていく。どんどん分けていく。もちろん、重複がなくても、もういいかな、と思ったら、やはり「出す」本行きです。
ぼくは古い探偵小説や古いSFが好きなんですが、好きなジャンルほど、重なりや無駄買いが多いのです。作業を始めた当初は、自分が要らない本を仕分けたら、古本屋さんにも引き取ってもらえないような、雑本の山ができるのではないかと想像していんですが、終わってみると、当初の想像とは違った感じの本の山ができていました。仕分けされたものの半分以上が探偵やSF系のもので、自分でいうのもなんですが、なんとなく、いい感じなのです。分量も、数百冊はある。これなら、ちゃんと古本屋さんにも引き取ってもらえそうだぞ。
こうなると、やはり、その辺の新古書店に、というわけにはいきません。そういう分野に強い古本屋さんに引き取ってほしい。というわけで、当時、よく目録や古書市でその手の本の買い物をしていた、自由が丘の西村文生堂さんに来てもらいました。で、査定をしてもらったところ、これがなんと、けっこうな額になったんですよねえ。自分の読書人生で、本を処分する際に、値付けがあまりにも低くて泣きそうになったことは何度もありますが、予想していたよりもいい値段がついてびっくりした、という経験はこのときの1回きりしかありません。(今なら、そんなわけにはいかないでしょう。)
【“大掃除と本棚の整理”の続きを読む】
西荻窪のブックカフェ、beco cafeで、ほぼ毎月開催している出版・書店関連テーマのトークイベントbeco talk。2014年1月は2回開催となりましたが、2月も2つめのイベントが決まりました。
'Scapes presents beco talk special
いま、岡山のブックスポットがおもしろい!
〜書店・古書店・ブックカフェで歩く岡山〜
日時:2014年2月12日(水)
OPEN 19:00 START 19:30(〜21:30)
会場:beco cafe(東京・西荻窪)
会費:1000円(ワンドリンク付)
出演:内田剛(三省堂書店)、空犬(本屋図鑑編集部)
企画:空犬通信
主催:'Scapes スケープス編集部
*定員のため、予約受付終了しました。
2014年1月に発売される『スケープス 'Scapes』第5号(ユニライフ・コミュニケーションズ)に、岡山のブックスポットを取り上げた特集「本がつなぐ街 岡山」が掲載されます。特集号刊行を記念して、「POP王」こと内田剛さんと、特集の文章を担当したわたくし空犬が二人で、岡山のブックスポットの魅力を大いに語り合います。
雑誌『スケープス』の特集、「本がつなぐ街 岡山」については、
こちらの記事をご覧ください。
雑誌の特集では、ブックカフェ・古書店など岡山のブックスポットを6店、取り上げています。オールカラーで12ページとボリュームもある特集なのですが、取り上げたお店はいずれもすてきなところだったため、書きたいこと紹介したいところがたくさんあり過ぎて、記事にはすべてを盛り込むことができませんでした。
トークでは、記事に書けなかったことや、(ぼくが撮影したへたな写真ではありますが)記事では見せられなかった店内外の様子などもお見せしつつ、岡山のブックスポットの魅力を存分に紹介したいと思います。
記事では、一般新刊書店は取り上げることができませんでしたが、いくつかお店を見てきましたので、トークの後半では、岡山の新刊書店事情についても、ご報告したいと思います。
トークのお相手をしてくださるのは、「POP王」または「アルパカ書店員」こと三省堂書店の内田さん。内田さんは、岡山出身でも、岡山在住経験があるわけでもないのですが、聞けば、並々ならぬ関心と愛着とを岡山にお持ちだとか。内田さんには岡山の魅力はどこにあるのか、という話はもちろんのこと、岡山駅には、まだできて数年の三省堂書店もありますから、同店の立ち上げや競合店との関係など、書店事情的なことについてもくわしいお話がうかがえそうです。
【“岡山のブックスポットがおもしろい!……岡山書店事情を語るトークイベント”の続きを読む】
書店の開店・閉店関連情報、今年最後のまとめです。今回は件数は少なめで、とくに業界的に大きな話題を呼びそうなニュースはありませんが、12月末ですからここでいったんまとめ、ご紹介したいと思います。(店名の後ろのかっこ内の数字は坪数。)
●オープン
- 12/17 COSP Asia幕張新都心店(25;千葉市美浜区)
- 12/21 ゲオ佐野高萩店(150;栃木県佐野市)
- 2014/1/27 スタンダードブックストアあべの店(50;大阪市阿倍野区)
- 2014/3/16 未来屋書店イオンモール和歌山
COSP Asiaは聞き慣れない名前ですが、サイトによれば、《「生活の中でもっとキャラを楽しもう!」をテーマに様々なキャラクターグッズを開発する「コスパ」のアジア各国向け店舗、それがコスパ・アジアです》。空犬通信で取り上げるべきお店なのか、ちょっと微妙な感じですが、コミック・文庫など書籍の扱いがあるようです。
今回の新規案件で、本好き書店好きの関心をいちばん引きそうなのは、ハルカス完成後、ますます激戦の度合いを深めているあべのエリアに出店するスタンダードブックストアでしょうか。同店は、心斎橋、茶屋町に続く3店目。求人サイトに出ている以上の情報がなく、くわしいことはわからないのですが、どのようなお店になるのか、これは楽しみですね。
未来屋書店は、イオンモール和歌山内にできるお店。関連記事、「イオンモール和歌山、来春グランドオープン-「H&M」「FOREVER21」も出店へ」(12/10 和歌山経済新聞)によれば、ヴィレッジヴァンガードも入るとのことです。
●リニューアル
- 12/5 しんどう書店沼ノ端店(36;北海道苫小牧市)
- 12/17 青馬堂書店本店(;横浜市鶴見区)
- 12/19 文教堂西台店(100;板橋区)
- 2014/1/20 北大生協書籍部クラーク店(90;札幌市)
- 2014/2/上ジュンク堂書店那覇店(1,900;那覇市)
しんどう書店は、新規オープンではなく、移転ということになるのでしょうか。関連記事はこちら。「苫小牧市沼ノ端に複合施設の1階店舗オープン ホクレンショップ、しんどう書店、苫信」(12/5 苫小牧民報社)。
記事の一部を引きます。《苫小牧市の不動産会社グリーンサプライが沼ノ端中央に建設した複合施設の1階が5日、オープンした。ホクレンショップ沼ノ端店を核テナントに、しんどう書店沼ノ端店、苫小牧信用金庫沼ノ端支店が入居。同社の星野邦夫会長は「地域の拠点として多くの住民に利用してもらいたい」と話している》。
《複合施設は80戸のサービス付き高齢者住宅(サ高住)と1階店舗で構成する。店舗の床面積はホクレンショップが1780平方メートル、しんどう書店が120平方メートル、苫信330平方メートル》。
青馬堂書店のリニューアルは、サイトの情報によれば、《デュエルスペース新設、16席常時完備。24時まで毎日遊べるのは川崎近辺では青馬堂だけ!!》とあり、ゲーム関連なんでしょうか、「デュエルスペース」がなんなのかがわからない当方には、何がどう新しくなったのかよくわかりません……。
北大生協は、売り場面積が縮小になったそうです。逆に、那覇のジュンクはもともと1500坪あったのが、さらに増床になるのだとか。地下1階に入っていたスーパーが撤退し、その跡地に増床。増床分400坪の内訳は、書籍250坪、文具150坪なのだそうです。
それにしても、那覇市の規模を考えると、はたして2000坪に近いクラスの書店がはたして必要なのかどうか、営業的に成立するのかどうか……。毎度のことながら、大型店出店や大型店増床のニュースには、書店好きにとっても、手放しで喜べないものもあり、複雑な思いをさせられることがしばしばです。
●閉店
- 2014/1/11 啓文堂書店神田駅前店(;千代田区)
- 2014/5/11 喜久屋書店熊本店(420;熊本県熊本市)
【“スタンダードあべの、啓文堂書店神田駅前、喜久屋書店熊本……新刊書店の開店・閉店いろいろです”の続きを読む】
クリスマスと言えば。我が家では、毎年イブに読むことにしている本があります。トールキンの『サンタ・クロースからの手紙』(評論社)です。今晩も、子どもが寝る前に、親子で一緒に読みました。今も、目の前に開いています。
この本について、簡単に紹介する文章でも書こうかな、と思ったら、もう何年も前のことですが、こんな文章を書いていました。「サンタ・クロースからの手紙」(2006/12/23 空犬通信)。なんだか、文章の感じが今と違っていて、読み返すとはずかしいですが、まあ、本の紹介にはなっているでしょう。
さて。クリスマスイブ直前の3連休、そしてクリスマスイブが終わりましたね。この数日の間に、書店の店頭では、たくさんの本が、贈り物として、ギフトラッピングされたことでしょう。
本が、クリスマスプレゼントとして、たくさんの方に、とりわけ、子どもたちに、届けられるところを想像するだけで、本好きとしては、そして本を仕事にしている者としては、なんだかうれしくなります。この4日間は、書店員のみなさんにとっては、一年でもっとも忙しい4日間だったろうと思います。おつかれさまでした。みなさんのおかげで、たくさんの、本との幸せな出会いが生まれたり、これから生まれることになったりするはずです。
さて、クリスマスにはやはり本を贈りたいね、という話を書こうと思っていたんですが、去年のイブに、そのような趣旨の文章をすでに書いていました。「クリスマスには、本を」(2012/12/24 空犬通信)。書きたいと思っていたことが、全部書いてある(笑)。さすが、本人だなあ。
クリスマスと誕生日には、我が子には必ず本を贈るようにしています。ほかに欲しいものがあるときも、必ず本は添えるようにしています。この年齢になると、本は、もらうより、贈るほうが楽しいし、うれしいんですよね。ぼくは自分で本を選んだり買ったりするのが好きなので、そもそも人から本をもらうこと自体(献本はまれにありますが、個人的な贈り物としては)ほとんどありません。唯一の例外が、娘からの贈り物で、彼女は毎年、パパの誕生日には本を、それも、手作りの本を贈ってくれます。先日(12月生まれなんです)も、今年の分をもらったんですが、これが、もう(親ばか丸出しでなんですが)、ほんとにすばらしい出来なのです。
毎年手作りしてくれますから、年を追うごとに、文章も製本技術も進歩しています。今年のは凝っていて、4分冊になっていました。サイズは文庫の半分ほどの豆本。クロス装を模したのでしょう、厚紙の表紙には、きれいな色のフェルトが貼ってあって、これが4冊とも違う色になっているのです。中身は、すべて手描き。イラストもたくさん入っています。お話4つは独立しているのですが、各編の書名の一部を合わせるとメッセージになっているという。とても小学生が一人で創った/造ったとは思えない仕上がりになっていて、びっくりさせられました。うれしくてうれしくて、毎晩読み返したり、眺めたりしています。
この「誕生日」本と、娘のサンタ「への」手紙(娘は、毎年、サンタさんからプレゼントをもらうだけではなく、サンタさんへのプレゼントと手紙を用意しているので、それを、深夜、パパサンタが引き取っているのです。厳密にはパパ宛ではないのですが、まあ、そこは気づかないことにして……)があれば、今年も1年、なんとかがんばれそうな気がするのです。
ちなみに、先ほど、枕元にプレゼントを置いてきました。代わりに、サンタさんへのプレゼントと手紙をピックアップ。早速開けてみると、手作りのクッションが入っていました。添えられていた手紙には、サンタの体調を気遣うようなことばのほか、贈り物について、「そりにしいてください」とありました(泣)。今すぐ、そりが欲しいと、サンタさんにそりをリクエストしたいと、心から思いました……。
めっぽう寒いクリスマスナイトになりました。足元がしんしんと冷え、こうして駄文を綴っているとからだがぞくぞくします。今晩、深夜に、サンタに変身するみなさん、風邪など引かれませんよう。
明日の朝、子どもたちの幸せな笑顔が、あちこちでたくさん見られますように。そんなことを思いながら、もうしばらく、サンタ「からの」手紙と、サンタ「への」手紙を眺めていようと思います。
しばらく前のことになりますが、こんな本を買いました。
山之口貘さんは、(詩心に欠ける当方としては異例なぐらいに)大好きな詩人。どこが、とか、どういうふうに、とかはうまく説明できないんですが、とにかく好きなのです。大好きな詩人の本は迷わず買いたいところですが、全集、それも新版の全集です。やや値段が高いのと、所有本(旧版を所有しています。下の写真右)との重なりとから、ずっと迷っていたのですが、ある人のことばがきっかけで、えいやと買ってしまいました。
↑旧版と並べてみました。
何を言われたのかと言うと、こんなことを言われたのです。
「(山之口貘全集は)続きが出るかどうかもわからない。だから、応援しないといけないんです」。
こういうこと(つまり、迷わず買いなさい、ということ)、ふだんは言う側書く側でありたいと思っているのに、他の人から背中を押してもらうことになるとは! うれしいような、ちょっと悔しいような、そんな気分にさせられました。で、こんなことを言われたら、買わないわけにはいきませんよね。だから、すぐに買いにいきました。
そんなふうにして手にした『新編 山之口貘全集』なんですが、これ、ほんと、買ってよかったです。新刊案内を目にしたときから、朗読CDがついている、というのと、既刊詩集未収録詩篇を収録というのが気になっていたのですが、未収録詩篇は予想以上にたくさん収録されているし、朗読CDはやっぱりうれしいし、手にしてみると見た目以上に装丁・造本もすばらしいしで、旧版とはまったく別の全集であることがわかりました。買って大正解でした。当方と同じ理由(旧版所有)で迷っている方には、迷わずにお買いになるよう、強くおすすめしたいです。
ところで。「全集」を新刊で買ったのは久しぶりのこと。「全集」って、よほど好きな書き手でないと買おうとは思いませんし、好きな作家であれば、それまでに単行本や文庫をそれなりに持っているでしょうから、コンプリートしたいという強い思い入れがあるか、単行本未収録作品がカバーされているなどの趣向がないかぎり、ただの「ファン」ぐらいではなかなか手が伸びませんよね。多くの本好きのみなさんも、全集に関しては、おそらくは同じような感じをお持ちなのではないでしょうか。
全集自体の存在意義や価値の変遷もありますよね。ひと昔前と今とでは、「全集」の重みや位置付けがまったく違いますからね。古書店の店頭や古本市での売られ方を見ると、多くの全集が信じられないような値段で売られてます。「信じられない」というのは、「信じられないほど高い」ではなく、「安い」のほうです。
我が家にも、いくつか「全集」のそろいがあります。ほんとに好きな作家のものがわずかに数種あるだけなんですが、それらは、ほんとに好きで買ったものなので、なかにはそれなりの値段を出して入手したものもあります。それらの、今の古書価を見ると、泣きたくなりますからね。欲しいときに欲しい本を手に入れるのが、本好きにとっての幸せな買い物だと思うので、その後、値段が上がろうが下がろうが、本来は気にすべきではない、ということは十分にわかってはいるのですが、たとえば、香山滋全集(我が家の本棚に並ぶ全集のなかでも、もっとも思い入れがあって、もっとも大事にしているものの1つです)の値段の下がり方などを見ると、ため息のひとつも出ようというものです。
そんな、世間的な価値というか位置付けというか、そういうものの下落の度合いが甚だしいのが「全集」なんですが、それでも、こんなご時世に、あえて「全集」を世に問おうという版元がある、それも複数あるのだから、驚かされますし、尊敬の念もいだきたくなります。
網羅的に調べたわけではありませんが、自分がツイッターで紹介したことがあるものをさらってみただけで、こんなに出てきました。
【“「全集」っていま、どうなっているんだろう”の続きを読む】
朝日新聞別刷「be」には、「beランキング」という連載があります。しばらく前の回で「わたしの好きな本屋さん」というテーマが取り上げられていましたね。「地元の書店、生き残ってくれ!」という大きな見出し付きの記事でした。
回答者数は1758人。これは、朝日新聞デジタルの会員に登録している読者で、引用されている読者の方の年齢が比較的高めのことからもあきらかなように、年齢層のバランスがとられた均質的な調査ではなさそうだと考えたほうがいいでしょう。
そのような前提を確認したうえで、ランキングを見てみます。1位は紀伊國屋書店で、2位はジュンク堂書店。以下、上位には大型チェーンが並びます。アマゾンは3位で、上位に入ったオンライン書店としては、楽天ブックスもあります(10位)。
記事には《巨大書店だけに人気が集中したわけではない。最大3店まで選べるアンケートだったので、大手チェーン書店と、町の本屋を組み合わせて選ぶ人がほとんどだった》とあり、地元の書店への思いのあらわれた読者のコメントがいくつも引かれています。
ところで。こんな書店ブログを書いたり、『本屋図鑑』などという本に関わったりしているもので、ぼくもよく「好きな本屋さん」について聞かれます。「好きな本屋さんはどこですか?」と。先日も、書店関係のトークイベントに出演させていただいたんですが、やはり聞かれました。簡単な質問に見えますが、これが、なかなかむずかしい質問なんですよねえ。
「よく利用する本屋さんはどこですか?」であれば、すぐに答えられます。日中の長い時間を過ごす神保町の本屋さんと、吉祥寺・三鷹周辺の本屋さんをあげることになるからです。もちろん、それらの多くはイコール「好きな本屋さん」で、だったら先の質問にも簡単に答えられるじゃないか、と言われてしまいそうですが、ふだんなかなか行けないけど、でも好き、というお店もありますから、「ふだんよく行く=好き」とまとめてしまうのも、なんだか落ち着かない感じがするのです。
【“「わたしの好きな本屋さん」”の続きを読む】
当初、12/20の発売となっていましたが、12/26の発売になったそうです。
↑↑海文堂書店を最後に訪れた日に平野さんからたくさんいただいてきた『ほんまに』Vol.15のチラシ。
《海文堂通信=月刊「海会」(カイエ)から【神戸】と【本】をテーマに誕生しました》(サイトより)という『ほんまに』。復刊第一号となる第15号の特集は、「新刊書店と本の話 [街の本屋]海文堂書店閉店に思う」。
海文堂書店の平野さんが、「ほんまに日記」で、こんなふうに紹介しています。《売れっ子美女作家複数参加。難解学者に切れ者編集者、女子の古本屋、現役男前&美人で才女書店員に、ポンコツ元書店員……、特選ミソと少しだけク○がごった煮、「ほんまに」でしか、「ほんまに」だからこそ、のラインナップ。詳細続報》(「ほんまに 第15号」)。
寄稿者と内容については、平野さんが「ほんまに日記」で、ゲラの写真と文章の一部を引きながら紹介していますので、下記の記事をご覧ください。ちなみに、夏葉社島田さんとわたくし空犬の本屋図鑑編集部も寄稿しています。
《予約受付は今のところ「くとうてん」サイトのみ》で、《なかよしの本屋さん、古本屋さんに置いてもらえるようお願いをします》とのことです。サイトはこちら。「ほんまに」は、以前は、首都圏だとジュンク堂書店などでも買えましたが、今回はリアル書店の扱いはどうなるんでしょうね。書店での扱いがわかりましたら、またこの記事に追記したり、ツイッターでお知らせしたりしたいと思います。
というわけで、『ほんまに』復活号となるVol.15の書店特集、海文堂書店と、町の本屋さんとに関心をお持ちの、たくさんの本好き本屋好きのみなさんに読んでいただければと思います。楽しみです。無事刊行されましたら、あらためて取り上げたいと思います。
先日、仕事の用事の書店回りで、久しぶりに大宮まで足を延ばしてきました。前回、4月に大宮で書店回りをしたときは、地域でいちばんの老舗、押田謙文堂本店に寄ってくるのを失念してしまうという失態をやらかしてしまいましたので、今回は最初に訪問。以下、大宮駅周辺の新刊書店のうち、押田謙文堂本店と、ロフト閉店後、高島屋7階に移転、改称リニューアルとなった、ジュンク堂書店大宮高島屋店の、2店の様子を紹介します。
押田謙文堂本店は、JR大宮駅を、ルミネ・高島屋・旧ロフトなどがある東口側に出て、駅前の通りを少し歩いたところにある路面店。大宮で長く営業してきた老舗で、教科書販売店ですから、学生時代にはこの店にお世話になったという地元の利用者も多いでしょう。
↑押田謙文堂本店の外観。いかにも昔ながらの町の本屋さん、というたたずまいですが、複層階の店舗なので、外観の印象よりも実際は大きく、資料によれば300坪とあります。1〜3階が売場で、4階が事務所ですから、それらを総合した数字でしょうか。
1階には、雑誌や実用書・ビジネス書・新書などの書籍類が並んでいます。2階にはコミックと文庫、文房具が、3階には、児童書・学参・教科書と理工系の専門書などが並びます。
どの階も、フロアには年数を経ていい具合に古びた什器が並んでいて、落ち着いた雰囲気です。本の量も、圧迫感はなく、さりとて不足感もない、という感じの適度なもの。駅前にあったらいいなあ、と思わせる、とてもバランスのいいお店です。
教科書取扱店ということもあってか、2階の文具も、おしゃれ文具ではなく、昔ながらの学習文具や事務文具が中心の品ぞろえになっています。小学生が使うノート類が平積みで何種類も並んでいたり、文庫の棚のすぐ隣に、これも小学生が書き方の授業で使うものでしょう、毛筆がずらりと並んでたりするのが、今どきの書店内の文具売場とはまったく違う雰囲気で、なんだかなつかしくて、ほっとさせられました。必要もないのに、学習ノートや筆を買いそうになってしまいます。
ちょうどぼくが訪問していたときに、文具売場で、買い物中の年輩男性がいました。店員さんに、ペンの太さ細さ・種類・値段など、いろいろ質問しまくっていて、決して不快な感じやクレームっぽい感じではないものの、ペン1本にいったい何分かけてるんだ、と言いたくなるぐらいの粘り方。これでは店員さんはかなわないだろうなあ、と、最初は店員さんに同情しながら聞いていたんですが、でも、おそらくは、そんなに特別なやりとりでもないのでしょう。このような地元客に頼りにされてきたお店だということであり、これが町の本屋さんの日常なんだろうなあ、と、途中からはそんなふうに思えてきました。駅ビルに入っているような忙しいタイプのお店では見かけない光景ですからね。
書皮がどのようなものか、買い物をして確かめたかったんですが、この日は荷物が多くて、文庫1冊の買い足しさえためらわれる状況だったので、買い物は断念。また大宮に行く機会があったら、再訪したいと思います。
続いて、今回の大宮訪問の主目的である、ジュンク堂書店大宮高島屋店へ。ロフト大宮店の閉店後、大宮高島屋ビルの7階に移転・改称してリニューアルオープンとなったのが今年の6月のこと。リニューアル後のお店を訪ねるのは、今回が初めてです。
↑高島屋の外観。ジュンクの垂れ幕が出ていて、外からも書店が入っているのがよくわかります。
ロフト時代は2フロアでしたが、今回の大宮高島屋店はワンフロア。資料によれば570坪ですから、前回紹介した松戸のお店と同じぐらいの、つまりジュンクとしては中規模クラスにあたるサイズです。商業施設(デパート)内のワンフロア型という店舗のタイプも同じ。
【“押田謙文堂、ジュンク大宮……久しぶりに大宮の書店を回ってきましたよ”の続きを読む】
しばらく前のことになりますが、紀伊國屋書店新宿本店の現店長、西根さんに、直々に教えていただきました。まもなく、書店好きには見逃せない、こんな番組が放送されますよ。
放送は12/20、22:55〜23:20。サイトから番組の内容紹介を引きます。《毎回、さまざまな「3日間」を切り取り日本の今を描く番組。今回は大都会の中心にある書店にカメラを据え、本を手に取る人たちそれぞれの事情に耳を傾けてみた》。
NHKの番組ですので、《大都会の中心にある書店》という書き方になっていますが、お店は紀伊國屋書店新宿本店です。同店がどんなふうに取り上げられるのか、内容紹介の続きを引きます。
《雑誌や小説、画集に専門書。さまざまな世界が、1か所にギュッと凝縮された書店。ネットでの売買が盛んになっても、本との偶然の出会いを求めて書店に足を運ぶ人は後を絶たない。店頭に並ぶ売れ筋商品からは今の日本が見えてくる。「自分を変える」。そんな言葉で次々売り出される啓発本に仕事帰りの人たちが群がり、日々の暮らしに疲れた人たちが「スピリチュアル関係」の本を手に取る。活字の森で出会った人々の人生を見つめた》。
これだけだと、お店がどんなふうに取り上げられるのか、よくわかりませんし、お店よりも「人」のほうにスポットがあたったものなのかな、という感じもしますが、いずれによせ、期待が高まりますよね。
これまでも、あちこちで書いたり話したりしていますが、ぼくは、高校卒業まで大阪にいたもので、紀伊國屋書店梅田本店には、簡単な文章にはまとめられないし、まとめたくないぐらいの、大きな影響を受けています。さらに、上京後、八重洲BC、三省堂書店神保町本店(当時は「神田本店」)、リブロ池袋本店など、東京の大型書店のあちこちに出入りするようになりましたが、紀伊國屋書店新宿本店は、梅田本店に出入りし、東京の出版文化・書店文化に憧れていた身にとっては、特別なお店でした。今もそうです。
そのような、30年来の紀伊國屋書店利用者にとって、このような番組が気にならないわけがありません。というか、ものすごく楽しみです。というわけで、書店に関心のあるみなさんはぜひ見てください。番組については、放送後に、あらためて空犬通信でご紹介したいと思います。
放送は、あさってです。書店に関心のあるみなさま、どうぞお見逃しのありませんよう。
【“NHKの番組で大型書店が取り上げられるようです”の続きを読む】
先日、仕事の用事で、久しぶりに千葉方面の書店回りをしてきました。まずは松戸へ。新京成で津田沼へ出て、船橋、西船橋、最後は南行徳へ。けっこうな移動距離と店数で、さすがにへとへとになりましたが、見たかったお店を訪ねたり、会いたかった人に会えたりして、収穫大でした。
今回は、仕事の用事での書店回りということで、(最後に登場する1店をのぞき)店内を取材させてもらったわけではないので、大した情報はないのですが、久しぶりのエリアなので、松戸を中心に、回ったお店の様子をごくごく簡単に紹介しておこうと思います。(店内写真はすべてお店の方に断って撮影したものです。写真は12/10の様子で、お店の様子は変わっている場合があります。)。
まずは松戸から。松戸駅周辺には、複数の新刊書店がありますが、最初に訪ねたのは、7月にオープンしたジュンク堂書店松戸伊勢丹店。今回が初訪問です。
↑商業施設内のお店ですので、写真は、エレベータ前からの1枚だけ。
同店は、松戸伊勢丹店、8階にあるワンフロアのお店。560坪は、ジュンク堂書店としてはそれほどのサイズではありませんが、デパート内のワンフロア店舗としては、十分過ぎるサイズです。ちなみに、伊勢丹松戸店の新館6階には、以前は紀伊國屋書店松戸伊勢丹店が入っていましたが、ジュンクオープンの前月、6/30で閉店となっています。
開店から半年弱、そろそろ店内の様子も落ち着いたころだろうということで、池袋から異動になった知り合いに、お店の様子を聞いてみたところ、専門書が十分に置けなくて、ジュンクらしくないお店になっているかも、と話してくれました。いやいや、ジュンク池袋や丸善丸の内と比べればたしかにそうかもしれませんが、ジュンク以外では見たこともないサブジャンルのプレートがずらりと並ぶ専門書の棚を見れば、デパート内のお店としてはもう十分過ぎるほどではないかという印象を受けました。
もちろん、専門書や、デパート内に目立つ年輩客向けの本だけではありません。コミックや学参の量も、いかにもジュンクとしかいいようのない棚の本数・本の点数になっています。後述しますが、この品ぞろえは、中の人にとっては不満のあるものかもしれませんが、周囲の新刊書店にとっては影響がかなり大きいようです。
これまでの書店レポート記事にも何度も書いていますが、新店を訪ねる際には、必ず、そのお店がどんなふうに目に入るか、地元客や初めての訪問客にわかりやすい案内がされているかどうか、を確認するようにしています。
今回、JR松戸駅から伊勢丹へは、行きは線路寄りの道を、帰りは商店街を歩いたのですが、開店から半年経っているせいか、とくに駅や途中の道みちにそれらしい案内が見当たりませんでした。駅にもなかったようです。(見落としている可能性もありますが、書店が目的でやってきた客の目につかなかったのだとしたら、それはそれで問題でしょう。)
↑こちらが伊勢丹の外観。書店の存在を示す垂れ幕や看板の類はありません。また、入り口付近などにも、「本」の案内は出ていないようでした。右は、駅のコンコースからの光景ですが、ブックオフの案内が非常に大きく出ているのがわかるかと思います。これと比べても仕方ないかもしれませんが、あまりにも告知が控え目に過ぎるのではないかなあ、と思いました。
この件を、この後訪問した松戸の他の書店でも聞いてみたところ、開店当初は、駅や電車の車内にも案内がたしか出てたよ、などと教えてくれた方もいらっしゃいました。だとすると、半年ほどで、それらの案内がすべてなくなってしまった、ということでしょうか。
お店の案内というのは、新規オープン時だけに必要なわけではありません。人の流れは当然変わりますし、たまに街を訪れる人だっているわけです。書店は、ふらり客に来てもらうことも重要なわけですから、ふだんそれほど書店の存在を気にしていないような人にも店に来てもらうためには、「本」の看板やそれに類するものがあったほうがいいはずです。たとえば、同じジュンクで、次回のレポートで紹介予定の、大宮高島屋店(旧大宮ロフト店)は、今年の6月に、同じくデパート内にリニューアルオープンしたお店ですが、下の写真にある通り、施設の側面に大きく垂れ幕が出ています。また、この後、ふれる松戸駅西口側にある良文堂もリブロも最近オープンの店ではありませんが、ちゃんと、駅から店名や「本」が目に入るような案内が出ています。
商業施設の上層階にある店が、足元の人の流れから切り離され、なかなか認知してもらえない、上に上がってきてもらえない、という話は、あちこちで耳にします。もう少し、本屋さんが上にあるよ、というアピールをしなくていいのだろうかと、そんなことが気になる訪問でした。
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来年発売になる雑誌の書店特集に寄稿させていただきました。
『スケープス』は、旅をテーマにした雑誌で、サイトには《「まだ見ぬ風景に出会いたい」そうした気持ちは、人生の時間を積み、さまざまな風景を得て、さらに強くなってゆくようです。いわば、旅は人生の好奇心そのものなのかもしれません。そんな好奇心に応える雑誌》とあります。
隔月刊で、現在は12月号が発売中ですが、来年1/4発売の次号、第6号の国内特集が、書店関連のものになっています。《国内特集は岡山。本屋さんやギャラリー、カフェなどを巡り、本にかかわる人々と出会います。"本を通して楽しむ旅"の提案です》。この特集記事のテキストを担当しました。
特集のタイトルは、「本がつなぐ街 岡山」。ブックカフェ、古書店など岡山のブックスポットを写真と文章で紹介する、12ページにわたる記事です。どんなお店を、どのように取り上げたかは、ぜひ実物でご確認いただければと思います。
写真は、写真集『浅田家』など、ユニークな家族写真で知られる写真家、浅田政志さん。最初は、ずいぶん意外な人選だなあと思ったのですが、これがすばらしい写真になっていますので、ぜひお店の写真のほうも楽しみにしていただければと思います。
↑浅田政志さんとは、スケジュールの都合で1日しか取材の同行ができなかったんですが、とても楽しい一日になりました。取材は9月で、前月の8月に出たばかりの『家族写真は「 」である。』を持っていったら、こんなこりにこったサインをいただいてしまいました。
取材した各店については、スペースの関係で、記事には書ききれなかったこともあります。浅田さんのとは比べものにならない、下手なスナップ程度のものではありますが、自分で撮った写真もありますので、掲載誌が出ましたら、記事の補足と取材裏話の披露の意味も含め、各店の様子を空犬通信でも紹介したいと思います。
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久しぶりの乱歩ニュースです。しばらく前、昼休みに、書泉グランデで購入した本です。
「ほんまに」の連載をまとめた、探偵者にはうれしい1冊。兵庫県神戸市の出版社の刊行物で。 地方小出版のこの本を、(1冊ではあったけれど)新刊台で面陳にしていた書泉はすごいなあ。(そういえば、同じころ、書泉では郷原宏さんの『日本推理小説論争史』が売上ランキングでたしか5位以内に入っていたけど、探偵小説・ミステリー好きの店員さんでもいるのかな)。
内容紹介を引きます。《日本の創作探偵小説の揺籃期から昭和の戦前・戦後を経て現代まで、神戸という街は、探偵小説を育む独特のエネルギーを持ち続けた。稀代の探偵小説愛好家・読書家である著者が多くの資料と体験に基づき、生まれ育った街の魅力と関連するミステリー作品を紹介する》。
《「新青年」、「ぷろふいる」など往年の名雑誌の紹介・再評価から始まり、懐かしの江戸川乱歩、横溝正史、西田政治らの神戸での逸話、山本禾太郎、酒井嘉七、戸田巽など神戸在住作家たちの活躍を描く。神戸のミステリー案内も兼ねる珠玉のエッセイ/書評を満載した貴重な記録》。
これは、乱歩者、そして探偵小説好きには見逃せない1冊ですよね。
ところで、この『探偵小説の街・神戸』、先に書いたように、神保町の書泉グランデで購入したのですが、この本、できれば、海文堂書店で買いたかったなあと、そんなことを思わずにはいられませんでした。奥付は、10月1日。刊行があともう少し早ければ、最後に訪問したとき(ぼくが同店を最後に訪問したのは、9/22)に、海文堂で買った、たくさんの思い出本の1冊にできたのになあ。そんな、詮無いことを、本を手にするたびに、ページを開くたびに思うのです。
JR三鷹駅の北口側、駅から徒歩少しの三鷹通り沿いに、この春オープンした、古本 ギャラリー 喫茶 点滴堂。ずっと気になっていたんですが、時間・曜日がなかなか合わなくて訪問できずにしました。先日、やっと訪ねることができましたので、ごくごく簡単にご紹介を。
JR三鷹駅を北口側に出て、正面の道、中央通りをまっすぐ進みます。しばらく行くと、斜め前に武蔵野警察署が見える五叉路に行きあたります。オリジン弁当のある角を左に、少し駅側に戻るような感じで曲がって少しのところに看板が出ています。
↑こちらが看板と入り口。
↑階段はこんな感じです。階段のステップの下に見える「本」は、実際に本が置いてあるわけではなくて、本の背の柄の壁紙です。壁面にもたくさんのポストカードやフライヤーが。
階段を上がり、2階にある店内に足を踏み入れます。店内は、想像していたよりも、そして外から見た感じよりも本が多めで驚きました。しかも、店内の本のテイストが見事にそろっています。ひとことで言うと「ガーリー」な品ぞろえ、ということになるのでしょうが、それにしては、ところどころに、ちょっといい具合にそのような路線からはみ出た本があったりして、なかなかおもしろいセレクトになっています。
壁面の1つがギャラリースペースになっていて、ぼくが訪問したときは、ちょうどその日に始まったばかりの「猫町展」という猫関連の展示が開催中で、女子客2人がずいぶん熱心に見ていました。
↑「猫町展」の案内葉書とショップカード。
店内には、テーブルとイスがいくつかあり、お茶を飲めるようになっています。メニューはコーヒーと紅茶のみで、アルコールはありません。
居心地の良さそうな、とてもすてきなお店で、よく選ばれた古本やギャラリーに展示されている作品に囲まれながら、ゆっくりと読書タイムを過ごしたい向きにはぴったりのスペースに思えます。ぼくのようなオヤヂがソロで行くには、古本の棚を見るだけならいいんですが、お茶飲みながらの長居は(とくに、この日のように店内に女子がいるときは)なんとなく肩身が狭く感じるかもしれませんが、まあ、そこは好みの問題で、気にならない人には気にならないでしょう。
品ぞろえや店内の雰囲気については、古ツアさんこと古本ツアー・イン・ジャパンさんの情報が非常にくわしいので、行く前にもう少しくわしく様子を知りたい、という方は、ぜひそちらをあたってから行かれるといいでしょう。
なお、営業日と時間がやや変則的なので、近くの方はともかく、遠方から行かれる方は、必ずチェックしてから行かれるといいと思いますよ。
三鷹と言えば、線路と交差するように玉川上水が流れ、上水端は遊歩道のようになっていて、散策にもぴったり、ジブリ美術館や井の頭公園にも歩けますし、緑も多いし、駅周辺に書店も複数あるし、古書店や中古レコードの良店もあるしで、なかなか住みやすい街なんですが、お隣に人気タウン吉祥寺があるせいもあってか、ちょっと地味な印象を持たれている方も多いでしょう。
そんな三鷹を盛り上げようということなのかどうかわかりませんが、今年は、この点滴堂のほかにも、吉祥寺名物の三鷹版、ハモニカ横丁ミタカが、点滴堂と同じ、北口側にできています。また、11月には、これから紹介する、「三鷹駅前まるごと絵本市」というブックイベントが開催されたりもしています。
この「三鷹駅前まるごと絵本市」は、関連記事「三鷹駅界隈で「三鷹駅前まるごと絵本市」-絵本関連のフリマワークショップも」(11/19 吉祥寺経済新聞)によれば、《三鷹駅前周辺の商店等と連携し、「絵本でにぎわう」をテーマに世代を超えた地域のコミュニケーションの場を目指すイベント》で、名称の通り、三鷹の街を絵本関連のイベントで盛り上げようというもののようです。期間は11/24〜30で、すでに終了してしまっていますが、サイトに、参加店やイベントの一覧などが残っていますので、雰囲気を知りたい方はそちらをご覧になるといいでしょう。
【“三鷹に新しいブックカフェとブックイベントが……点滴堂と「三鷹駅前まるごと絵本市」”の続きを読む】
新刊案内で見かけて以来、ずっと気になっていたこの写真集を、先日入手しました。
内容紹介によれば、《「本物の骨」から作成したスタイリッシュに輝く標本を、動物骨格写真の第一人者が撮り下ろし、標本作製の稀有な専門家である獣医師がその機能美を完全解説する、「アートとサイエンスの融合に成功した。学術的にも図鑑並みの世界を体験出来る。ワールドクラスの大型写真集」》という内容。図鑑好き、動物学の本好きには大変気になる内容ですよね。《魚類から哺乳類に至る各動物群の骨格標本129種218点および詳細な解説を収録》だそうです。
さて、期待しながら手にとった本書ですが、実際に中を見たらびっくりしてしまいました。想像をはるかに上回るすばらしさだったからです。いやあ、これはほんとにすばらしいなあ。表紙の写真(コブラです)でいきなり目を奪われますが、中を開くと、さらに驚愕させられたり、うっとりさせられたりすること必至の写真がいくつも並んでいます。白黒の、それも、骨の写真が最初から最後まで続く本だというのに、見ていて、まったくあきません。
技術的なことはわかりませんが、生物を骨だけにして、それを実際の骨格通りに組み立てて撮影したものなのだそうです(先日のbeco talkに出演してくれた早川書房の山口晶さんが編集担当で、もう少しくわしい話をしてくれたはずなんですが、悲しいかな、素人の理解力では文章で再現できません……)。でも、写真を見ると、よく恐竜展なんかで、復元骨格モデルを展示するのに使われているような、支柱や糸(ピアノ線・針金)などが写っていませんから、いったいどうやってこのようなかたちにし、それを維持して撮っているのか、ほんとうに不思議です。
新刊案内で見かけたときは、とてもおもしろそうな本だけど、値段がちょっとネックかなあ……などと思いましたが、実際に中の写真や本の造りを見てみると、値段も納得で、むしろ、実物を手にしてしまうと、1万円を切っているのがすごいことに思えるようになりました。
写真集『REAL BONES 骨格と機能美』、生き物の本・図鑑などが好きな人には強くおすすめしたいし、ちょっとタイプは違うけど、『[新世界]透明標本』(小学館)や、『世界の美しい透明な生き物』(エクスナレッジ)に引かれた人にもいいかもしれないなあ、などと思いました。
ちなみに、朝日新聞デジタル版に本書の写真特集が掲載されていて、そちらで中の写真が見られます。Webで見るのもいいですが、まずは、書店の店頭で、実物を手にし、この美しい表紙とボリューム感を確かめたうえで、(シュリンクなどされていないか、見本が出ているかして可能ならば)中の写真のいくつかを見てみてほしいと思います。圧倒されること間違いありませんから。
紹介のタイミングが遅くなってしまったせいで、終了3日前のご案内になってしまいましたが、《出版を記念した写真展「REAL BONES G」も、12月14日(土)まで東京・銀座のArt Gallery M84で開催されている。入場無料。詳細はこちらから》とのことです。
西荻窪のブックカフェ、beco cafeで、ほぼ毎月開催している出版・書店関連テーマのトークイベントbeco talk。来年1/17に開催するトークイベント「「町には本屋さんが必要です会議」町本会立ち上げ、公開企画会議」は、おかげさまで、たくさんの本好き本屋好きの方に興味を持っていただけたようで、わずか1日で予約が埋まってしまいました。ありがたいことです。
予約受付終了後、もっと広いところでやってくれ、とか、続編はないのかといったお問い合わせも、いただいていましたので、2月に、続編を開催することにしました。。
beco talk vol.14
「町には本屋さんが必要です会議」
〜町本会立ち上げ、公開企画会議 Part 2〜
日時:2014年2月28日(金)
OPEN 19:00 START 19:30(〜21:30)
会場:beco cafe(東京・西荻窪)
会費:1000円(ワンドリンク付)
出演:笈入建志(往来堂書店)、島田潤一郎(夏葉社)、空犬(本屋図鑑編集部)+ゲスト(?)
*出演者は予定で、特別ゲストが参加することになるかもしれません。
*予約受付中です。
1/17とまったく同じ話をするわけではありません。1/17の話を受けてのパート2という位置付けで、1/17のパート1で出た話題を、さらにふくらませたり、具体的にしたり、という感じになるかと思います。
ですので、1/17の回にご参加くださる方にも楽しめるものにしたいと思いますし、もちろん、2月の回だけを聞いても、町本会が何をしようとしているのかがわかるようなトークにしたいと考えています。
1/17は予約がとれなかった、間に合わなかった、という方は、ぜひ、2月の回にお越しいただければと思います。なお、1/17のキャンセル待ちの方を優先しますので、予約受付開始時点で、残席がわずかとなっています。ご興味のある方は、なるべく早めにご予約いただけるとうれしいです。
【“「町本会」の公開会議、続編を開催します”の続きを読む】
書店の開店・閉店関連情報のまとめです。前回のまとめからあまり日が経っていませんので件数自体はとても少ないのですが、重要なニュースを含みますので、いったんまとめてご紹介したいと思います。(店名後ろのかっこ内の数字は坪数。)
●オープン
- 1/24 ふたば書房東京丸ビル店(78;東京・千代田区)
京都のふたば書房は、東京初出店。場所は丸ビル4Fで、11/24に閉店となった青山ブックセンター(後述)の跡地とのことです。出店について、ふたば書房の社長さんのアカウント(@booksfutaba)の、12/1付けのツイートで、こんなふうに報告されています。《念願の書店部門が東京進出を決めました!場所は東京駅前 丸ビル4F。青山ブックセンターさんの後を引き継ぎ、来年1月24日(金)のOPENを予定。店舗デザインは京都マルイ店同様、アンジェが担当します。なかなか素敵なパースが上がって来てました。ふたば書房東京丸ビル店にご期待ください!》
関連記事は、こちら。「ふたば書房、東京に雑貨併設型書店 北欧文具なども販売 」(12/5 日経新聞)。《新店は丸ビル4階で、売り場面積は約260平方メートル。従業員は10人近く配置する。売り場の2割を文具や雑貨に充て...》とあります。
あと、すでに紹介済みで、新規案件ではありませんが、追加情報が出たということで、これも紹介しておきます。長らく工事が続いている京王線吉祥寺駅の駅ビルですが、こんな記事が出ました。「東京都武蔵野市、京王井の頭線吉祥寺駅「キラリナ京王吉祥寺」来年春開業!」(12/3 マイナビニュース)。
記事を引きます。《京王電鉄はこのほど、建替え工事を進めている井の頭線吉祥寺駅の駅ビルについて、2014年春に商業施設「キラリナ京王吉祥寺」として開業すると発表した》。
《「キラリナ京王吉祥寺」は地上9階、地下2階。敷地面積約3,400平方メートル、延床面積約2万8,000平方メートルで、施設のコンセプトは「いろんな私に出会える、私のお気に入り」。30代女性をターゲットとして想定し、仕事帰りや家事・育児の合間に、あるいは休日に夫婦やカップルで訪れる施設をめざすとのこと》。
まだオープンの時期は「春」とだけで、何月なのかもわかりませんが、名称が決まり、おおよそのフロア構成が発表されたことで、イメージが一気に具体的になった感がありますね。「キラリナ」というのは、調べた範囲では京王関連の商業施設としてはこれまでは使われたことのない名前。この吉祥寺が初めてかつ唯一のものになるのでしょうか。
気になる啓文堂書店吉祥寺店ですが、ショップについてふれた部分を引きます。《1〜6階は、これまで吉祥寺になかったファッションやオーガニックコスメ、ライフスタイル雑貨を中心にフロアを構成。7階は書籍・サービス、8・9階はホビーのフロアとなる。館内の各所にカフェを配置するほか、屋上に憩いの場となる庭園を設けるなど、ショッピングの合間にゆっくりと過ごせる施設も用意。地下1階には、質や目新しさにこだわった食品フロア「フードパルク」が新たにオープンする》。
啓文堂書店は7階に入るとありますね。フロアサイズはわかりませんが、どの程度の広さになるのか、同じ階に「サービス」とあり、何とフロアを分け合うことになるのか、気になりますね。「キラリナ」について、京王グループのリリースはこちら(PDFファイルもあります)。
【“ふたば書房、三省堂神保町、岡山ビブレ……新刊書店の開店・閉店いろいろです”の続きを読む】
12月になりましたね。(今回は、とくに書店にも、書店本にも関係のない、身辺雑記的というか雑談的な話題です。)
【“どこで本を読むか、それが問題、であることもある”の続きを読む】
(広義の)本の本、本屋さんの本の紹介、続きです。
『読む時間』は、本好きの間で長く愛されている写真集"On Reading"の日本版。今回の版、谷川俊太郎さんが書き下ろした「読むこと」という詩が巻頭に掲載されているとのこと。ちなみに、『On Reading』は、以前、マガジンハウスから『オン・リーディング』の書名で、日本版が出ていましたね。『On Reading』はぼくも大好きな写真集で、この本(原書)については、もうずいぶん前ですが、こんな紹介文を書いたこともあります。
写真は、先日参加した人文会でお会いした創元社の方からいただいた『読む時間 ON READING』のすてきなポストカード。
副題が気になる『日本語に生まれて』は《すみません,本屋さんはどこですか.世界中どこにいっても,必ず訪れるのは本屋さん.南太平洋諸島からロンドン,エストニア,オーストラリア,どこへ行ってもそう訊きながらめぐり歩く旅の中で,見えてきた「日本語」の姿とは? ユーモア溢れる文章にのせて,世界の中の「私たちが今いる場所」へと,深い問いを投げかける》というもの。書店がメインテーマの本ではないのかもしれませんが、読んでみたくなる1冊です。
『街を変える小さな店』は京都の書店・恵文社一乗寺店の店長、堀部篤史さんの著書。《京都の人気書店「恵文社一乗寺店」の店主が、自身にとって「地元になくてはならない」「京都らしい」と感じる個人店の現場を見直し、街の本屋が生き延びるヒントを探る》という1冊。
【“写真集、書斎、昭和の出版、書店特集雑誌……本の本、本屋本のいろいろ”の続きを読む】
(広義の)本の本、本屋さんの本は、読むのが好きだというのもありますが、『本屋図鑑』のような本を手がけたり、このような書店blogに文章を書いたりしている身には、貴重な資料でもあります。なので、なるべくこまかく情報は追いかけるようにしていて、ある程度まとまったらこのblogで紹介する、というのを続けているのですが、なにしろ、数が多くて、とてもカバーしきれません。
網羅からはほど遠いのですが、最近目についたものをまとめてご紹介します。まずは、児童書を含む図書館関連から。
『世の中への扉 図書館のトリセツ』は、子ども向けの図書館ガイド。《読めば、図書館に行きたくなるガイドブック登場。本のさがし方から、調べ学習や自由研究の悩みを解決! とことん図書館を使いこなす方法を、お教えします》という内容。文章は読みやすいし、イラストもかわいいし、大人の目で見てもなかなかおもしろそうですよ。
『絵本は語る はじまりは図書館から』は、《地域で家庭文庫を主宰しながら、30年以上図書館活動にかかわり続けてきた著者が、図書館の魅力を描いた「絵本」の数々を紹介する。また、市民の要求とそれに応える図書館の実践例、図書館に関する世界の「宣言文」等も掲載。参考として、図書館にまつわる海外&国内の児童文学のリストを付した》という1冊。図書館が舞台になっている児童向けの作品はいくつか思い浮かびますが、こうして本にまとまるほどたくさんあるとは。どんな作品が取り上げられているのか、気になります。
『子どもの本 100問100答』は少し前の本ですが、《子どもの本に関わる質問や疑問を100問にまとめて答えた「子どもの本ハンドブック」。子どもに本を読んでほしいと願っている人や図書館、家庭文庫や読書推進に関わる諸団体のための手軽で便利な相談ツールとして編集した》という内容で、なかなかおもしろそうなので、遅ればせながら紹介を。毎日新聞の書評にも取り上げられていましたね。「本はともだち:「子どもの本100問100答」 専門家の知識と経験を一冊に」(11/27 毎日新聞)。
【“図書館、古書店、ノンフィクション……本の本、本屋本のいろいろ”の続きを読む】
海文堂書店が閉店してから、今日で2か月が経ちました。海文堂書店については、同店を最後に訪問した直後に書いた記事に、こんなことを書きました。《いつもなら、自分で撮ってきた下手くそな写真の整理が終わったら、いそいそと書店レポートの記事にとりかかるところですが、今回は、なんというか、いつものだらだら書きの駄文にまとめてしまうのが、なんとなく気が進まない感じです》。《たくさんの写真を前にしながら、何もできずに、何も書けずにいます》。でも。
夏葉社の写真集が完売したいま(重版の予定は現在のところなし、と聞いています)、たとえ素人の下手な写真とはいえ、Webで見られるような記録として残しておくことに、多少なりとも意味が(とくに同店のことを気にしながらも閉店前に訪問がかなわなかった方々にとっては)あるかもしれない、そんなふうに思えてきました。
だから、海文堂書店を最後に訪問したときのことを、写真を中心にまとめてみました。そういう趣旨ですので、文章は最小限にしました。ちなみに、海文堂書店については、12月に復活することになった、「ほんまに」(くとうてん)に寄稿させていただくことになりましたので、お店への思いは、そちらに書きました。(といっても、ここ数年はろくにお店に顔を出せていない客とも呼べない存在だったので、ただの昔話なのですが……。)よろしければ、そちらもぜひ手にとっていただければ、と思います。
(写真は9/22の様子です。店内写真はすべてお店の方に断って撮影したものです。写真の点数が多いので、2回に分けます。)
まずは、商店街の様子と外観から。
【“海文堂書店の9月22日 その1”の続きを読む】
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