震災関連の記事のうち、書店がらみのものがいくつか続けて目につきました。いずれも大事なもので、早く紹介したいと思いつつ、すっかり遅くなってしまって、ちょっと入手が難しくなっているものもありますが、紹介します。
- 『小説すばる』2011年11月号(集英社)
- 海文堂通信・「海会(カイエ)」別冊『ほんまに』vol.14(くとうてん/海文堂書店)
- 『週刊ポスト』11月18日号(小学館)
『小説すばる』の特集は「ふるさとはどこですか? 3月11日のあと、あなたに浮かんだ場所はありますか」。ルポとして、「盛岡さわや書店フェザン店「震災後の、本屋さん」」が掲載されています。同店の田口さんが登場、震災直後に話題となった同店のツイートのことなどがくわしく語られたもので、震災と書店に関心のある方にとっては必読といっていい内容になっています。
内容を簡単なことばにまとめることはできないし、したくない内容です。バックナンバーも買えますし、図書館などの扱いもあるでしょうから、ぜひ実際の記事にあたっていただきたいなあと、心から思います。
次の『ほんまに』の特集は「東日本大震災と本」。内容についてサイトには、《海文堂書店では「激励の言葉より本を売る」の気持ちで、被災地の出版社のブックフェアを行ってきました。今回、被災地から、作家・編集者・営業マン・書店員にご寄稿いただいています》とあります。
これも、先の『小説すばる』同様、内容の簡単なまとめをするわけにはいかない内容ですので、ぜひ実物にあたっていただきたいと思います。寄稿している方と記事のタイトルだけあげておきます(所属・肩書きは記事通り)。「東北を見つめて」(海文堂書店・平野義昌さん)、「本屋の絆」(作家・碧野圭さん)、「震災と怪談」(荒蝦夷代表・土方正志さん)、「NR出版会の「3・11」後をふり返って」(NR出版会事務局長・天摩くららさん)、「神戸の本屋で働く者として」(海文堂書店・熊木泰子さん)、「月刊佐藤純子」(佐藤純子さん)。
いずれも強く心を動かされる文章ですが、なかでもとくに、個人的には、「月刊佐藤純子」に涙腺を大いに刺激させられたことを報告しておきます。
ちなみに、『ほんまに』のこの号には、「連載:●神戸とミステリー「横溝正史悪魔の手毬唄」」や「本のある街角から「黒岩比佐子さんの肖像」」など、ほかにも興味深い記事があり、さらに、BOOKSルーエの花本氏も寄稿していたりと、個人的な関心と重なる記事が多く、大変に読み応えがありました。過去の号にも、「非カリスマ書店員座談会」が2回にわたって掲載された11、12号など、書店に関心のある者にとっては大いに読み応えのある特集や記事がいくつもありました。
と、毎回気になっていたミニコミ誌の1つだったのですが、残念ながら、今号で休刊とのことです。こんなにユニークでおもしろいミニコミ誌が休刊とはなあ……。ちなみに、『ほんまに』は、いつも東京堂書店かジュンク堂で買っていたんですが、この14号、たまたま東京堂で入手できずにいたら、この号に寄稿している碧野圭さんがお手持ちの分を分けてくださいました。この場を借りて、お礼を申し上げます。碧野さん、いつもありがとうございます。
【“小説すばる、ほんまに、復興の書店……震災+書店関連の特集・記事、さらに、岩手の書店の紹介です”の続きを読む】
どうしてもルーエで買いたい本があったので、残業でへとへとだというのに、帰宅前に、BOOKSルーエに寄って買い物してきました。本日のお買い上げはこちら。
- 鶴田謙二『FUTURE』(東京創元社)
- 仲俣暁生『再起動せよと雑誌はいう』(京阪神エルマガジン社)
鶴田謙二ファンは一人の例外もなく全員そうだと思いますが、『FUTURE』は発売前から(っていうか、最初に告知されたのって、何年前だっけ?)、ずーっと楽しみにしていた1冊。うれしいなあ。それにしても、文庫の表紙画が、ずいぶん立派な本におなりになって……。待った甲斐がありました。帯の《全宇宙の鶴田謙二にファンに捧ぐ》もいいですね。
早速ぱらぱらやりたいけど、なんかもったいないので、今日はガマンすることにしよう。この本が買いたくて、わざわざ帰りにルーエに寄ったのに、我ながら何やってんだかね(笑)。
↑ルーエ3階で展開中の、鶴田謙二さん表紙画本フェア。「キャプテン・フューチャー」はシリーズ全巻平積み! そのほか、SFにジュブナイルにミステリーに、はたまたご本人のコミックにと、鶴田謙二ワールド全開、ファンなら前に立っているだけで超幸せになれること間違いなしのコーナーができあがっていますよ。ファンはぜひぜひチェックを! そして、『FUTURE』全力おしのルーエでお買い求めを!
『再起動せよと雑誌はいう』も、発売前から気になっていた1冊。ルーエの2階で、本の本を集めたフェアが展開中なんですが、その1冊として平積みになっていましたよ。
書名や表紙の感じから、また著者の仲俣さんがぼくより少し上、60年代半ば生まれであることから、もっと「なつかしい」(といっても、60~70年代生まれが「なつかしい」と感じるであろう、という意味での)雑誌(たとえば、『スタジオ・ボイス』『マリ・クレール』『流行通信』『03』(昔の)『宝島』『ホットドッブ・プレス』などの広義のカルチャー誌・若者誌とか、あと音楽誌とか)が取り上げられているのかと思ったら、最近の雑誌、今生きている雑誌が多いようで、休刊雑誌が混じっていてもまだ現役感のある雑誌が中心のようですね。
版元のサイトで「立ち読み」ができるようになっていて、目次や本文の一部が読めますので、取り上げられている雑誌など、くわしい内容についてはそちらをどうぞ。また、著者の仲俣さんによる特設Facebookページが公開中ですので、そちらもどうぞ。
そうそう、なつかしいと言えば。先ほど、本書を読み始めようと手にとり、奥付を見るつもりで、後ろのほうページを開いてみたら、たまたま開いたページ、『Meets Regional』『Lmagazine』『ぴあ』『CITY ROAD』の4誌の表紙が並んでいました。ローカル情報誌・タウン情報誌の代表選手たちですよね。これに『プレイガイド・ジャーナル』が加われば5強という感じでしょうか。これを見て、なつかしい、というか、なんというか、ちょっとフクザツな感じがしてしまいました。4誌のうち3誌が今はなく、しかも、『ぴあ』でさえ生き残れなかったんですよね……。「フクザツな感じ」というのが、何をどう感じたということなのか、うまくことばにできないのですが……。この本を読み終えたら、何か言えたり書けたりするかなあ。
この本については、読み終えてから、あらためて紹介したいと思います。
今年の6月に、往来堂書店の笈入さん、BOOK EXPRESSの長谷川さんをトークゲストに迎え、夏葉社の島田さんにもバンドで出演してもらった、本と書店と音楽のイベント、ブックンロール。来年の開催を決定しましたので、ご報告します。じゃーん。
ブックンロール Book'n'Roll Vol.4
日時:2012年6月29日(金)
OPEN 19:00 START 19:30(~22:30)
場所:ルースター・ノースサイド(東京・荻窪)
杉並区上荻1-24-21-B1 03-5397-5007
http://ogikubo-rooster.com
チャージ:1000円+ドリンク500円(予定)
出演:(バンドの部)
ブックスピストルズ(「吉っ読」のバンド)
C調ボーイズ(夏葉社島田さんのバンド)
(トークの部)未定
場所は前回と同じ、荻窪のライヴハウスです。書店トークの部のテーマや出演者は現時点では未定です。前回、前々回は、こちらでテーマと出演者を決めてからご案内していたんですが、今回は趣向を変えて、アイディアやリクエストを広く募りたいと考えています。こんなテーマでトークをしてほしい、こんな書店員さんに出演してほしいなどのリクエストがありましたら、ぜひこの空犬通信のコメント欄でお寄せください。
また、同時に、イベントを手伝ってくださる方も募集します。イベントは吉祥寺書店員の会「吉っ読」主催ということで、吉っ読メンバーで運営しているのですが、「吉祥寺書店員の会」などと大仰な名前をつけていながらはずかしいことに、わずか数人のきわめて弱小な集まりなのです。なもので、この規模のイベントを仕切るには、やや人の手が足りない状況に、毎回陥っています。本と書店のイベントに関わってみたい、手伝ってもいい、などという方がいらっしゃいましたら、ぜひわたくし空犬か、BOOKSルーエの花本氏までご一報ください。
なお、イベントの性質上、出演の場合もヘルプの場合も、出版社、もしくは書店の関係者の方、出版流通や印刷関係など書籍関連のお仕事の方、ライター・翻訳家など文章にかかわるお仕事の方にかぎらせていただきますので、どうかご了承ください。
開催はまだまだ先のように見えて、実はあと半年少し。毎月1回、打合せを持ったとしても、6、7回しか機会がありません。ヘルプの募集にあまり条件はつけたくないのですが、イベント開催までは、毎月1、2回、平日の夜に、吉祥寺に集まる予定でいますので、少なくとも時間的・地理的にそれに参加できる方、ということでお願いします。
打合せ第一弾として、来年1月に予定している吉っ読の新年会を、「どうするブックンロール2012?!」と題して(いまひねり出しました)、吉っ読+ゲストのみなさんによる、ブックンロール相談飲み会にしたいと考えています。日程は、1月25日(水)、場所は吉祥寺の飲食店。ブックンロールに興味を持ってくださる方がいらっしゃいましたら、まずはぜひ、この吉っ読新年会にご参加ください。詳細は決まり次第、この空犬通信でご報告するほか、過去に、ブックンロールや吉っ読の会に参加してくださった方には直接ご案内も差し上げる予定です。
ちなみに、今年6月に行ったブックンロール3ですが、イベントの主旨や内容についてはこちらに、トークについては、こちらに、ライヴについてはこちらに、収支についてはこちらに記事があります。興味はあるがどんなものだかよくわからない、という方は、ぜひこれらの記事をご覧ください。
それでは、来年のブックンロール、たくさんのアイディアをお寄せいただけることを、そして、たくさんの方がこのイベント実現に手を貸してくださることを期待しつつ、みなさまのご連絡をお待ちしております。よろしくお願いします。
先日の、往来堂書店さんの15周年お祝い会の様子をあらためて。会の告知記事に書きました通り、千駄木の書店、往来堂書店さんが今月、15周年を迎えました。この夏に行ったイベント、ブックンロールに店長の笈入さんに登場いただいたほか、ルーエと往来堂でコラボフェアを実現したり、お互いのフリペに寄稿しあったりも実現するなど、往来堂さんと吉っ読とはこれまでいろいろ縁があったものですから、ここはぜひ我々吉っ読でもお祝いを、ということで企画したのが今回の会でした。
会には、往来堂書店から店長の笈入さん、往来っ子新聞を手がけているHさん、出版社・書店・取次、書く側のお仕事の方など、本と書店に関係のあるみなさん、それに吉っ読メンバーを合わせて30名弱が集まりました。場所は、吉祥寺のいせや総本店。
会には、笈入さんと懇意の方々も駆けつけてくれたのですが、笈入さんにお会いするのは、またはお話をするのは初めてという方も複数いらっしゃいました。吉っ読の集まりに参加するのが初めてという方もいらっしゃいます。複数の「初めて」の組み合わせを抱えての会だったんですが、そんなことを感じさせないような、なごやかな雰囲気の会になり、あちこちで、本や書店の話がにぎやかにはずんでいましたよ。ぼく自身も、この人とこの人が会う機会があるといいなあ、この人に紹介したいなあ、という顔合わせをいくつも実現でき、企画者としてはそれなりの役目を果たせたのかなあ、なんて思っている次第です。
会では、店長の笈入さんに、ひとことごあいさつをいただきました。この夏に行ったブックンロールのトークイベントのテーマでもあった「街の本屋さん」を店長として支えてきた方です。お客様あってのお店だ、ということを強調していたのが印象的でした。同店の名物フェア・定番フェアといっていい「D坂文庫」がこの冬も開催されるとのことで、その紹介もされたのですが、そのなかで、お客様とのコミュニケーションを大事にしていること、そして、こういう参加型のフェアはそうした思いを形にしたものであるとおっしゃっていたのも印象に残りました(以上は、ぼくがアルコールを十分に摂取した状態で聞き取ったものを、一晩以上たってから脳内で再現、無理やり数行にまとめたものなので、必ずしも笈入さんのことばどおりでない可能性もあります;苦笑)。
往来堂のHさんには、先日の記事で紹介した15周年記念グッズ、トートバッグ(力作です)を紹介してもらいました。いくつか実物を持ってきていただいて、会場で販売もしました。3色あるうち、ぼくはチョコブラウン(こげ茶色)のを買いましたよ。持ってこられた分は残念ながら完売とはならなかったようですが、何人もの方が買ってくださったようで、とくに、いちばん人気だというミントグレーは用意した分がはけてしまったとのこと、なかなかの人気ぶりでした。
そのトートバッグのデザインとイラストを手がけたは先日の記事でも紹介したとおり、ミロコマチコさん。そのミロコマチコさんの本を出している版元、港の人のTさんが鎌倉から(!)駆けつけてくれました。ミロコマチコさん『ホロホロチョウのよる』に続く、「四月と十月文庫」の第3弾が出るそうです。有山達也さんの『装幀のなかの絵』がそれ。装丁本に目がない空犬としてはこれは見逃せません。刊行イベントがあるとのことで、こんなチラシを会場で配ってくれました。
↑「話したいことは何もないけれど…バームクーヘン談義」。12/10(土)、青山ブックセンター本店にて。新刊とイベントの詳細は、港の人のサイトをご覧ください。
我々「吉っ読」からも来年の活動・イベントの件で報告したことがあるんですが、それはまた稿をあらためて。
往来堂書店15周年記念、今回のようなお祝い会もいいのですが、それとは別に何かできないかなあ、と……だれに頼まれるわけでもないのに、そんな余計なお世話なことを考えてしまいまして、いまの往来堂書店の姿を写真に撮り、それを冊子にまとめてプレゼントしたら、お店の方にも、またお店を愛するお客様、出入りの版元や関係者の方々にも喜ばれるのではないか、そんなことを思いつきました。というわけで、往来堂書店の「いま」の様子を記録した、写真が中心の小冊子を作成します。事前に笈入さんとも相談し、取材他の了承も得ていましたので、当日、会でこの件を報告するつもりだったのですが、失念してしまったため、会に参加くださったみなさんには事後報告になってしまうのですが、今回のお祝い会の会費からも少しカンパをいただいています。あとは、吉っ読が、というか、わたくし空犬が自費で制作費を捻出、なんとか、来年の前半には完成させたいなあと考えています。この冊子については、詳細が決まり次第、またあらためて、空犬通信で報告します。
というわけで。当日集まってくださったみなさん、ありがとうございました。また、当日、残念ながら参加はされなかったものの、あたたかいメッセージを寄せてくださった書店・出版関係者のみなさん、ありがとうございました。会を無事に終えることができたことを、ここにご報告いたします。
そして、往来堂書店のみなさん、あらためて、15周年、おめでとうございます。20周年も、30周年も、一緒にお祝いできるといいですね。そして、これからも、またイベントやコラボなど、楽しいことでご一緒できる機会をたくさん作れるといいですね。
先日、新刊書店の開店・閉店情報、最近のものをまとめたばかりですが、1件追加、それもかなり驚きの新店情報です。BOOK EXPRESSが六本木に出店とのこと。JR駅以外の場所、それも、JRがそもそも通っていないエリアへの出店というのは、同チェーンとしては初めてのケースでしょうか。驚きです。
場所は、今年6月に閉店となった、青山ブックセンター六本木ヒルズ店の跡地とのこと。同店は、六本木ヒルズWest Walkの4階にあったお店で、売り場面積は約90坪。その跡地に入るのだとしたら、規模もそのままということでしょうか。
BOOK EXPRESSのサイトには、今回の新規オープンに関する告知は今日の時点では出ていないようですが、この情報をくださった業界の知り合いによれば、現地にはすでに出店の告知が出ているとのことですから、確定情報なんでしょう。オープンは12/1とのこと。開店日も確定情報なのだとしたら、もう10日ほどのことですよね。
六本木という街には、個人的に用事もないし、街の感じ自体、それほど得意なわけでもないので、ふだんほとんど足を向けることがないので、最近の様子もぜんぜんわからないんですが、立地的には、新刊書店があっても、それこそ複数あっても大丈夫そうなところですよね。それなのに、有隣堂が撤退、青山ブックセンターも撤退と、こうしたお洒落系の立地にぴったりそうなチェーンが続けてダウンという、書店的にはなかなか厳しいエリアになってしまっているのですが、そういう場所への出店です。しかも、この手の立地にはこれまで縁がないものと思われていたチェーンの出店ですからね。よほど勝算あってのチャレンジ、なんでしょうか。
どんなお店になるのか、そして、このエリアのお客さん、本好きのみなさんからどんなふうに受け入れられるのか、書店好きとしてはすごく気になります。
昨日、休日出勤の帰り、10/21のオープン以来、ずっと行きたかったのになかなか時間のとれずにいた、BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿にやっと寄ることができたので、じっくり見てきましたよ。
以前に、御茶ノ水のBibliophilicを紹介したときは、こんなふうに書きました。
《これはこれでいい感じだと思います。ただ、コアな本好きの目で見ると、ちょっと物足りないかな、という気もします。扱われている商品は、ハンズやLOFT、その他大きめの文具屋さん雑貨屋さんでも見かけるものが多いし、それこそ、新刊書店でもこうしたブックグッズを充実させているところはありますよね。ぼくのように、中古レコード好きが、ついでに本やグッズを同じ店内で見られるのはちょっとうれしいですが、本好きがわざわざこのために見に行くようなコーナーになっているかどうかは、ちょっと疑問かも。これからまた発展していくことを期待して、ちょっときびしいことを書いていますが、サイトにあるように、《本とは何か?など本に関連する様々な「本の本・雑誌」を取扱い、「BIBLIOPHILIC」がお客様の「本のある生活」を更に楽しんで頂けるよう取り組んでいきます。》という路線を目指すのであれば、もう少しグッズの種類・点数、「本の本」の在庫も増やしたほうがいいのでは、という気がします。本好きをうならせるような、そんなコーナーになっていくことを大いに期待したいと思います。》
と、今後の期待含みであえてややきびしいことも書いたんですが、今回の新宿のほうは、いいですよ。さすが「世界初の読書用品専門店「BIBLIOPHILIC」のフラッグシップショップをオープン」をうたっているように、読書用品の数も多く、扱っている書籍の量も幅も増えて、御茶ノ水のそれよりも、読書好きが楽しめそうな空間になっています。
場所は、紀伊國屋書店新宿本店のお隣、ディスクユニオンが入っているカワセビルの3階。ディスクユニオン新宿中古センターの一画を切り取って独立させたような格好になっています。上の写真にあるように、入り口が分けられていて、ディスクユニオンとは店内の直接の行き来はできないようになっています。
右の写真に少しだけ見えますが、入るとすぐに平台があり、本が並んでいるほか、BIBLIOPHILICの猫のイラストの入ったトートバッグが売られています。けっこうかわいいので、もし何も買うものがなければこれを買っていこうかなと思ったんですが、よく考えたら、今週、往来堂書店のトートを買う予定だったんでした。でも、安かったので、誰かへのプレゼント用に買ってくればよかったなと今ごろになって後悔することに。
トート以外にも、猫をあしらった文庫のカバーなどもあります。このマークはかわいいので、もっとグッズがあってもいいかもしれませんね。読書グッズは本のカバーのほかにも、書見台や栞、鞄、ブックスタンド、パラフィン紙、ブックライト、収納ケースなど、かなりいろいろなものがありますよ。ディスクユニオンは、レコード・CDだけではなく、音楽ソフトの収納やメンテ、コレクション用のグッズをたくさん扱っていて、新宿店にはそれだけのフロアもあるぐらいですからね。こういう周辺グッズを扱うのはお手の物、といったところでしょうか。
本も、レコード屋さんの書籍コーナーを拡大した、という感じから脱しきれていない御茶ノ水に比べ、ちゃんと「書店」になっています。本は音楽書が中心で、ジャズ、ロック、J-POPなど、おおまかにジャンルで分けられています。そのほか、映画やデザインなどもあり。大判の写真集などもあれば、楽譜や楽器関連書など実用っぽいものもけっこうあります。おもしろいのは、新刊と中古をコーナーを分けずにあえて混在させていること。中古本は背に値段票がついていて、ビニールがかけてあり、棚から抜かなくてもわかるようになっています。混在なので、本によっては、同一書目が新刊と中古、両方並んで差してあったりもします。このあたりは、本の扱いとして好みが分かれるところかもしれませんが(いちばん心配なのは、お客さんが中古のつもりで新刊を、新刊のつもりで中古を買ったりすることによるトラブルがないかどうか)、おもしろい試みであるとは思います。
音楽書が中心と書きましたが、さすがは書籍関連のグッズを扱うお店、「本の本」の棚もちゃんとありますよ。けっこう幅広くそろえていて、本好きが喜びそうな量と内容になっていました。とくに、新刊書店の「本の本」コーナーでは並びにくい、雑誌の本特集・書店特集のバックナンバーを多くそろえてあるのはgoodでした。こういうのは、店頭から消えてしまうと、古本で探すのも大変で、なかなか出会えませんからね。
内装も、ディスクユニオンのスペースとはあえて感じの違うものをねらったのでしょう。「木」の感じを前面に出した造りで、なかなかシックな感じです。ぼくが訪れたときは、店内のBGMはモダンジャズ。お店の雰囲気に合わせてのセレクトなんでしょうか。(ただ、お隣がディスクユニオンです。仕切りはありますが、壁1枚だし、たしか、上があいていたような。だから、あちらのBGMがじゃんじゃん聞こえてきます。ぼくが訪れたときは、かなりにぎやかな(というか、うるさい)音楽が聞こえてきていたので、こちらのジャジーな雰囲気もこれでは負けちゃうなあ、とも(苦笑)。ぼくはふだんからひんぱんにディスクユニオンに出入りしている客で、店内で、複数の音楽がかかっていて、それが混ざって聞こえてきたり(ディスクユニオンではふつうのこと)もあまり気にならないほうですが、音楽のヘビーリスナー、ヘビーユーザーでない、いわゆる本好きがゆっくり本を選びたい、棚を見たい、と思ったときにどうなのかなと、ちょっとそんなことも気になってしまいました。が、それは余談。)
お店のコンセプトや取り扱い商品などについては、サイトにくわしい案内もありますし、写真入りで、店内の様子も紹介されていますから、そちらをご覧ください。たとえば、こちら。「BIBLIOPHILIC & bookunion新宿」(Wax Poetics Japan)
《今回の「BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿」では、BIBLIOPHILIC」の初の旗艦店として、読書用品から本・読書に関する書籍までオリジナル商品も含め約700点を取り扱い、今後更に商品点数は増えていきます。また「Music for Reading」と題し、ディスクユニオンがセレクトした読書向きのCDも取り扱っています。》
そうそう、気になる店名ですが、「BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿」が正式名称なんですね。うち、BIBLIOPHILICは読書用品を扱うブランドで、「bookunion」は、《音楽とその関連カルチャーの書籍を扱う専門型書店》。第1号が、以前の記事で紹介した、ディスクユニオンお茶の水駅前店の店舗内店舗、というわけです。
《今回はショップインショップではなく商品数も拡充し、約1万冊の音楽関連書籍の品揃えをし、「BIBLIOPHILIC」とのコラボ店としてオープンします。》なるほど。御茶ノ水とは、最初から規模・内容とも違うところを目指してのオープンだったんですね。
なかなかシックでかっこいい内装については、こうあります。《読書用品や書籍という商品にマッチした店舗デザイン・内装にすべく、家具から空間までトータルでデザインすることに定評のある田中裕之氏に設計を依頼。木の素材を生かした店舗デザイン、什器に仕上がっています。》たしかに。記事の写真をご覧いただければ、おわかりいただけるかと思います。これなら、それほど音楽に思い入れのない本好きの方でも、純粋に「書店」として、書籍グッズのお店として楽しめそうですよね。
というわけで。御茶ノ水のときは、本好きがわざわざそのためにいくのはちょっと微妙かも、などと書いてしまいましたが、今回の新宿は、これまでディスクユニオンにあまり縁のなかった本好き書店好きの方も、一見の価値ありだと思います。新宿で書店巡りをする際には、ぜひこの「BIBLIOPHILIC & bookunion新宿」もルートに加えてみてください。
↑猫がかわいい、お店のビニール袋。誰か、猫好きに本をあげるとき用にとっておこう。
【“BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿を見てきましたよ”の続きを読む】
千駄木の書店、往来堂書店がまもなく15周年を迎えるという件は、以前の記事で紹介した通り。15周年記念ということで、お店のオリジナルトートバッグができたそうですよ。「15周年記念オリジナルトートバッグ」。
↑往来堂さんに断って、写真を引用させてもらいました。
サイトの案内を引きます。《ミロコマチコさんデザインの往来堂書店15周年記念トートバッグです。一枚ずつ往来堂スタッフ&ミロコマチコさんでシルクスクリーン印刷しました。お色はエクレアベージュ、チョコブラウン、ミントグレーの三色。容量は約10Lとのことですが、ハードカバーの本が10冊くらい入ります。旅ベーグルは20個くらい入るかもしれません。(未確認)数に限りがございますので、必ず欲しい方はお早めにどうぞ!》
それにしても、《一枚ずつ往来堂スタッフ&ミロコマチコさんでシルクスクリーン印刷しました。(しばらく筋肉痛です)》って(笑)。バッグを作るときも、フェアの冊子や帯、D坂メモ帳らと同じ、あいかわらず手作りにかける気合いがすごいですね(笑)。こういうところも往来堂ならでは、って感じですよね(笑)。
往来堂利用者のみなさん、書店巡り用の鞄を探しているみなさんにはぜひお買い上げいただきたいものです。なお、期間限定(11/18~12/15)で、1万円以上お買い上げの方には無料で差し上げているそうですよ。往来堂のヘビーユーザーは買い物でゲットという手もありますね。
ちなみに、絵とデザインを手がけているミロコマチコさんと言えば、そう、港の人の「四月と十月文庫」の第2弾、『ホロホロチョウのよる』の方ですよね。こういう人選も往来堂らしくてすばらしい。
先の記事に書いた通り、11/25には吉っ読で、往来堂書店15周年をお祝いする会を開くんですが、そのお祝い会でもこのトートバッグは販売予定です。お祝い会に参加されるみなさん、ぜひお買い上げ、お願いします。もしも残念ながら残ってしまった場合は、吉っ読でお預かりし、beco cafeや吉っ読のイベントでも販売させていただこうかなと思っております。ただ、吉っ読Tシャツでさえまだ売り切れずにいるぐらいですから、お世辞にも吉っ読の販売力はあんまり期待できません。ですので、できましたら、11/25は完売を目指したいところです。往来堂応援部隊のみなさま、ぜひご協力、よろしくお願いします。
お祝い会に来られない方、一般のお客様は、往来堂書店の店頭で、またはお店の通販でお求めください。というわけで、往来堂書店15周年記念トート、吉っ読からも、本好きのみなさんに強くおすすめいたします。
早いもので、今年もあと残り、ひと月半ほどとなりましたね。この、年末までのわずかな期間に、新刊書店の開店・閉店関連のニュースが、大きなものも含めていくつか続きますので、11月分につき、把握できているものをリストアップしてみます。(網羅的に調べたものではありません。また、噂段階や、情報を開示できないものなどもあり、確認のとれたものだけをあげています。)
まずは新規オープンから。本日18日は新規・リニューアル合わせて数件が重なっています。
●開店(*リニューアル含む;特記以外は新規オープン)
- 11/18 (金) リブロ福岡天神店
- 11/18 (金) ヴィレッジヴァンガード渋谷宇田川店
- 11/18 (金) ジュンク堂書店仙台本店(*リニューアル)
- 11/18 (金) 喜久屋書店漫画館仙台店(*リニューアル)
- 11/18 (金) 紀伊國屋書店玉川高島屋店(*リニューアル)
- 11/24(木) 紀伊國屋書店ゆめタウン徳島店
- 11/25 (金) 福家書店アリオ倉敷店
- 11/? or 12/? 蔦屋書店(TSUTAYA)代官山店
- 12/16(金) ジュンク堂書店福岡店(*リニューアル)
このうち、空犬通信の記事でこれまでにふれていないのは徳島の件かな。関連記事、「紀伊國屋書店、ゆめタウン徳島店をオープン」(11/10 新文化)と「ゆめタウン、専門店半数が県内初出店 オープンは24日か」(11/10 徳島新聞社)によれば、ゆめタウン徳島は、《4階建て店舗面積約4万平方メートルに3100台分の駐車場を備え、県内商業施設としては最大規模になる》とのことで、紀伊國屋書店は施設の2階に入り、広さは400坪。「子どもが楽しめる店」をコンセプトに、とありますね。
「旗艦店」をうたう、ヴィレッジヴァンガードの新店も気になります。「渋谷センター街に「ヴィレッジヴァンガード」旗艦店-単独出店へ」(11/14 シブヤ経済新聞)によれば、場所は「H&M渋谷」裏手、お店は地下1階で、広さは《約180坪で、従来の店舗平均約90坪の2倍の規模となる》とのこと。
今回の出店について、《これまで、ファッションビルなどからの依頼を受け出店することを中心としてきたが、店舗展開を重ねていくには「路面の開発が必要」と考え、これまで出店が少なかった都心を中心とした「一等地」に広めの店舗を構え、ヴィレッジヴァンガードの持つ「集客力の発揮」を図る》と説明されています。
記事にある《間接照明を多く取り入れた店内は、店舗滞在時間が長くなるよう「迷路のように」構成》といった特徴は、従来のお店の特徴でもあると思うのですが、そこは当然新しい何かが加わっているんでしょうね。同チェーンの代表店舗の1つ、下北沢店、その《売り上げを抜く店舗がいまだにないので、旗艦店として抜いていきたい》という店長さんのことばも紹介されていて、力の要れ具合がうかがえます。ぜひ近いうちにお店を見に行ってきたいと思います。
ジュンク仙台、同エリアの他店とのすみわけについて、ツイッターに流れていた情報によれば、《イービーンズの仙台本店オープンを機に、仙台ロフト店はコミックと実用書を中心とした書店に、ヤマダ電機地下(昔の十字屋さん地下)に7月にオープンした仙台店は、「仙台TR店」に店名を変更し、一般書を主体とした総合書店へとそれぞれリニューアルしました》とのことです。
先日訪問したばかりの福岡・天神からは驚きのニュースも。「ジュンク堂書店福岡店が増床 売り場は国内最大級に」(11/18 西日本新聞)。ジュンク堂の増床は約1500平米、改装後の売り場面積は計6800平米とあります。これは坪換算で約2050坪。東京都心部以外の都市、それもすでに書店が複数存在するエリアの店舗規模としては、まさに驚愕といっていいレベルの数字です。
先日の福岡書店レポートで、ジュンク堂書店の地下に入っていたフタバ図書が閉店になり、地下が空いていたことにふれましたが、その地下2フロアのうち、地下1階部分に広げることになるようです。記事には、《10月末に同ビル地下1・2階で営業していたインターネットカフェなどが閉店したため、地下1階部分を新たに賃借して増床することにした。増床部分には洋書や専門書を中心にそろえる予定で、書籍数は140万冊に増える見込み。文具コーナーやギャラリーなども新設する。地下2階には中国や韓国などアジアの観光客向けの100円均一ショップが入居する方向。》とあります。
本日、11/18にオープンとなるリブロ福岡天神店にとって、店舗規模的にも品揃え的にも同じ商圏では最大のライバルとなるであろうお店が、自店が開店してひと月後にさらにパワーアップして増床リニューアルとなるわけですから、リブロの方にはなんといっていいかわからないニュースですが、天神の「書店戦争」がますます激化することは間違いありませんね。
11月のオープンと言えば、ずいぶん前からこの秋、11月ごろのオープンとされながら、なかなか開店日が告知されないTSUTAYA代官山も気になりますね。全国紙の全面広告を使ったスタッフの募集や、業界で名の知られた方を含む書店員の移籍(転職)の話なども聞こえてくるなど、ずいぶん前から話題になっているだけに詳細が気になるところです。
同店の関係では、この件も話題になっていますね。「約80万枚のRFIDタグを導入した次世代TSUTAYA、代官山に今冬オープン」(11/8 クラウドwatch)。記事を引きます。《NECは8日、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、CCC)が今冬にオープン予定の次世代TSUTAYA店舗「代官山 蔦屋書店」に、UHF帯RFIDタグ約80万枚を用いた販売・在庫管理システムを構築したと発表した。一店舗で約80万枚は国内最大規模となる》。
《新システムは、同店の主要商品(書籍・DVD・CDなど)にUHF帯RFIDタグを装着し、RFID読み取り用の棚アンテナを取り付けた什器(RFIDスマートシェルフ)、RFIDと電子マネーに対応するセルフレジ、RFIDスマートゲートなどを組み合わせたもの。 》開発元、NECのプレスリリースはこちら→「UHF帯RFIDタグ約80万枚を用いた精緻な販売・在庫管理を実現」 (11/8 NEC)。
記事でも、やはり開店日は明らかにされていませんね。
オープンやリニューアルの話だけで終われればいいんですが、そういうわけにもいきませんので、閉店の件も。
●閉店
【“新刊書店の開店・閉店いろいろです。”の続きを読む】
紹介が遅れて、残り日数が少なくなってしまったんですが、書店関連の展示を1件ご紹介します。三省堂書店神保町本店の1階入り口のところで、「創業130周年記念 「三省堂 近代辞書の歴史展」」(三省堂書店公式ブログ)が開催中です。
↑ポスター。
展示内容はタイトルの通り、今年で創業130周年(!)を迎えた出版の三省堂と書店の三省堂書店とが共同で、辞書の歴史を、実物の展示とともに振り返るというもの。『新明解国語辞典』の改訂版刊行、さらに『舟を編む』で本好きの関心が辞書に集まるなか、タイムリーな企画ですよね。
これ、辞書好き、ことば好きにおすすめなのは言うまでもないのですが、書店好きにもおすすめです。というのも、辞書の展示のほかに、壁面を使って、両社の歴史が、写真入りで紹介されているのですが、それらの写真のなかには、三省堂書店神保町本店の昔の姿を写したものがあるからです。
旧社屋の外観もなかなかいい感じですが、さらにすごいのが大正時代の店頭の様子を写した1枚。年若い店員さんは、まさに「丁稚」さんといった風情だし、本が棚ではなく平台の平積みが中心になっていたりするのもおもしろい。セピア色の写真に切り取られた当時の書店の店頭は、現在のそれとはぜんぜん違うもの。あなたが書店好きなら、この1枚を見るだけでも価値あり、かもしれませんよ。
↑店頭で無料配布されている冊子。裏側には、三省堂書店の旧社屋の写真が載っています。中には、展示されている辞書の書影がずらり。残念ながら、書店の写真はありません。
写真はそんなに数があるわけではないし、神保町や書店関連の特集雑誌や本で見ている人もいるかもしれません。その意味では、ものすごくレアなものというわけでもなく、実際、ぼくも初めて見るわけではないのですが、でも、昔の書店の様子を伝える写真を、大きいサイズで、実際の書店の中で見る、というのはなかなかいいものですよ。辞書の歴史、書店の歴史に興味のある方にはおすすめです。展示は11/20(日)まで。
そうそう、三省堂書店神保町本店に来られたら、ぜひこちらもご覧になっていってくださいな。
同店名物のタワー積み。今回は、『謎解きはディナーのあとで2』(小学館)。大人の背ぐらいあって、いつもながらすごい迫力です。写真は、1週間ほど前、ちょうどできたばかりのころに撮らせてもらったもので、ご覧になるタイミングによっては様子が変わっているかもしれませんが、こちらもぜひ。
三省堂書店のことを紹介ついでに、最近のメディアで目についた、三省堂書店関連の記事をあげておきましょう。まずはこちら。「ブックウオッチング:街の本屋さん 三省堂書店京都駅店(京都市下京区)」(11/16 毎日新聞)。
毎日新聞「ブックウオッチング」の連載「街の本屋さん」は書店好きには楽しみな記事の1つ。これまでに、「岩下書店(横浜市金沢区)」(11/2)、「紀伊国屋書店仙台店(仙台市)」(10/19)、「宮脇書店気仙沼店(宮城・気仙沼)」(10/5)があります。
今回の三省堂書店京都駅店は、ぼくもしばらく前に京都出張に行った折に寄ってきたお店。広さは150坪ぐらいでしょうか。京都駅ビル専門店街「ザキューブ」の地下にある、ワンフロア型のお店。
記事タイトルに、「ラリーで巡る「源氏物語」」とあるように、映画公開前にブームが起きているとかで、店内の源氏関連の展示のことが中心で、お店自体のことがあまりふれられていないのが、書店好きとしてはちょっと残念。前回訪問時もごく短時間の滞在で、ゆっくり見られなかったので、次はじっくり見てきたいものです。そのときのレポートにも書きましたが、同店では「月刊旬庫の友」「三省堂書店京都駅店オススメ通信」とフリペが2種も発行されていて、それを発見できたのが、前回訪問時の収穫でした。同店を利用される方はぜひフリペのチェックもお忘れなく。
三省堂書店で、メディアに登場といえば、最近は有楽町店が大活躍ですね。
【“「近代辞書の歴史展」と三省堂書店のいろいろ”の続きを読む】
今年は、書店関連本、雑誌の書店関連特集がたくさん刊行されましたが、この分野を片端からチェックしている書店ウォッチャーとしてはうれしい悲鳴、買うも読むも紹介するもぜんぜん追いついていません……。先日も、こんな書店関連本が出ていましたね。
著者の能勢仁さんは、今年の夏、論創社の「出版人に聞く」シリーズの1冊として、『本の世界に生きて50年』を出されたばかり。まさのこの書名通り、半世紀にわたって、本の世界に関わってこられたこの業界の大先輩。しかも、この論創社の本にくわしいのですが、書店・版元・取次と、新刊書籍流通上の3拠点の仕事を3つとも経験しているという、非常にめずらしい経歴をお持ちの方で、本の世界の書き手・語り手としても貴重な存在です。
この本は、そんな能勢さんによる世界の書店事情のレポート本、『世界の書店をたずねて 23カ国115書店紹介レポート』の続編になるようです。
この『世界の書店をたずねて』については、以前に、『世界の夢の本屋さん』を紹介する記事のなかで、ふれたことがありました。そのときは、『世界の夢の本屋さん』のすばらしさを強調するあまり、世界の書店を紹介する本としてはまったくタイプの異なる本書については、《23か国の115書店が掲載されているという本で、図版もありますし、『世界の夢の本屋さん』にはないアジアの書店などにもふれられていて、書店好きには勉強になる本ですが、残念ながら、この『世界の夢の本屋さん』のようなわくわく感はありません。》と、「わくわく感」がないだなんて大変に失礼な書き方をしてしまっていますが、本書は世界の書店事情を一覧できる資料性の高い本です。上の一文は、あくまで、図版の数や扱いなど、『世界の夢の本屋さん』のような紙上書店内散策を愉しみめる本かどうか、ということで書いたもので、本書の価値を低く見てのものではありませんので、念のため。
さて、言い訳はこれぐらいにして。新刊の内容ですが、サイトにはこうあります。《1995年以降訪ねた書店をまとめたものである。“書店はどうあるべきか”を世界の書店から眺めた能勢書店学の大集成ともいうべき一冊。「時代とともに歩む世界の書店ガイド」をお楽しみいただければ幸いである。》
それにしても、すごいカバーエリアの広さですよね。米英や、中国・韓国はともかく、エストニア、リトアニア、ラトヴィア、インドネシア、マレーシアといった国の書店を訪れる機会なんて、自分ではまずなさそうだし、他にそのような情報が得られる資料があるとも思えませんから、こうした地域が目次に並んでいるだけで、いかに貴重な資料かがわかりますよね。
ぼくは洋書も読まないではないけれど、英語圏のものだけだし、自分の読書のなかではそれはごく一部、やはりぼくの関心は日本語の本であり、そして、その日本語の本を売っている日本の書店なのです。ぼくは『世界の夢の本屋さん』は大好きですが、でも、それはやっぱり本のある空間ををとらえた写真集として楽しんでいる部分が大きくて、あの本を隅から隅まで読み込んで、海外の書店事情に強くなろう、という気はさすがにありません。というか、日本の書店のことで手がいっぱい、頭がいっぱいなんですよね、すでに(苦笑)。
なもので、こうして貴重な資料だと紹介しておきながら、実は世界の書店レポート本については、それほど熱心な読者ではなかったりするんですが、でも、こうして日本の書店のことを書いていると、海外と日本の書店事情を比べる必要が出てくることもありますから、資料としては貴重なんですよね。早く買わなくては。
というわけで。自分でまだ買ってない本を紹介するのもなんですが、書店事情全般に興味のある方、前著の『世界の書店をたずねて』や『世界の夢の本屋さん』で海外の書店に関心を持たれた方にはおすすめの1冊です。
このところ、連日の残業残業で、書店の閉店時間に間に合わないので、帰りがけに書店に寄れず、欲求不満気味の空犬です。今日は、予定よりもちょっとだけ早く、仕事を切りのいいところまで終えることができたので、やれ急げと、猛ダッシュで会社を離脱、吉祥寺でBOOKSルーエに寄ってきました。
残念ながら、花本氏はいなかったんですが、S店長としばしおしゃべり、最近の不在分を取り戻すかのように、何やらたくさん買ってしまいました。
SF読みを長くやっているぼくのような者にとっては、山野浩一さんは特別な名前です。一時期、バラードにどっぷりだったことは、過去の記事に書いたことがありましたが、日本のSF作家でニューウェーブの旗手と言えば、山野浩一さんですよね。『季刊NW-SF』は、世代的には後追いなので、古本屋で探して読んだなあ。あと、バラードの『死亡した宇宙飛行士』もNW-SF社で、これもけっこう入手に苦労したっけなあ。
サンリオSF文庫の創刊に関わっているんですよね。顧問として作品セレクトにかかわったといいます。サンリオといえば、ブライアン・アッシュの大著、『SF百科図鑑』の監修も山野浩一さんですね。
と、こんなふうに、自分のSF読書歴といろいろ交差しているのに、ご本人の作品のほうは接する機会があんまりなくて。著者が少ないうえに、気がついたときにはもう入手できなくなっていて。それがいまこうして、「新刊」で傑作選が文庫で、それも2冊いっぺんに読めるなんてなあ。感激。
大森望さんが「NEW本の雑誌」の記事、「伝説のSF作家・山野浩一の短篇傑作選刊行」で早速紹介しているのはまあ当然として、意外なところでは、SFには無縁そうな(ご本人にもSFやミステリーは読まないとたびたび書いている)坪内祐三さんが『週刊文春』の今出ている号かな、「文庫本を狙え!」でこの文庫にふれていますね。あの欄にSF関連の文庫が登場するのはきわめてめずらしいことなので、未読の方はぜひそちらの記事もチェックを。
例によって、本の内容にはまったくふれていませんが、収録作ほかは、上のリンク、版元の案内を見てください。過去の短篇集をシャッフル、2冊合わせて19編を収録した、文字通りの「傑作選」になっているようですよ。2冊並べて平積みにしたくなる、装丁もgood。
『究極のドグマ』は、『神様のパズル』の続編、と帯にあったので、思わず買ってしまったもの。先日、グレッグ・イーガンの『プランク・ダイヴ』最初の1編「クリスタルの夜」を紹介する際に、「フェッセンデンの宇宙」を思い出させる云々と書きましたが、この『神様のパズル』も、内容紹介に《「宇宙は作ることができるのか?」 究極の問題に、天才女子学生&落ちこぼれ学生のコンビが出す答えとは》とあるように、まさに「フェッセンデン系」の1作。第3回小松左京賞受賞作でもあります。
この「フェッセンデン系」、つまり、「この世界を、生命を、宇宙を俺様の手で作ってやるぜ系」の話って、けっこう好みなんですよね。『神様のパズル』は表紙を見て敬遠してたんですが、読んでみたら、まさにこのテーマど真ん中の話で大変おもしろく読んだ記憶があったので、それで今回も即買いとなった次第。でも、やっぱり表紙はもう少しオヤヂでも買いやすいものにしていただきたいものだなあ(苦笑)。
【“山野浩一、神様のパズル、ショーン・タン……今日買った本たち。”の続きを読む】
ブックオカ&福岡書店レポ、今回は、天神界隈の新刊書店の続きです。(今回もまた、例によって、だらだらと長いです。)
渡辺通り西側、PARCOの裏あたりには商店街が広がっていて、そのなかに、福岡金文堂本店、積文館書店新天町本店、黒木書店天神店がありました。いずれも、商店街内の路面店、そして地元福岡ベースのお店で、うち福岡金文堂は明治の、積文館書店は大正の創業の老舗です。大きな店ではないですが、商店街の買い物客が利用しやすい立地・サイズ・品揃えです。こういう地元のお店が街なかにあるのって、やっぱりいいなあ。
↑左が金文堂、右が積文館。両店とも、とくに金文堂はいかにも「街の本屋さん」というたたずまいで、いいなあ。路面店がこの距離(両店は徒歩1分も離れていない)に複数あるなんて、いい商店街だなあ。どちらも、お客さんでにぎわっているのがまたうれしい。
↑上の2店は、この商店街のなかにありましたよ。
↑上の2店から少し離れたところにもう一軒、黒木書店が。最初、裏(左)から行ってしまって、わー、こんなに入り口が暗くて大丈夫?と思ったら、ちゃんと正面入り口(右)は明るいお店でした。
↑レポートその1でふれた、店名から地元を代表する老舗書店に違いないと期待していったお店(苦笑)。探しあてたお店は、こんなところにありました。まあ、当記事を参考に書店巡りをなさる女子もいらっしゃるかもしれないから、間違えて行っちゃったりしないよう、記録のために一応。
まもなく、このエリアの書店群に、リブロ福岡天神店が加わることになります。11/18オープン。場所は、地元の百貨店、岩田屋本店内で、本館・新館とあるうち、リブロが入るのは本館のほう。商店街からすぐ近くです。
↑こちらが岩田屋本館。
↑岩田屋のフロアガイドには、リブロの名前がもう入っています。フロアの半分ほどを占めていること(330坪)、大催事場と同じフロアであることなどがわかります。
あと1週間ほどですから、きっと開店準備の追込段階なんでしょう。児童書売り場の「わむぱむ」や、人文の「カルトグラフィア」など、池袋本店利用者にはおなじみの売り場・コーナーもできるとのこと。書店員ナイトで、店長さんを含むリブロの関係の方何人かにお会いでき、開店前の様子についていろいろお話をうかがったんですが、話を聞いていたら、ますます楽しみになりました。
今回は2週間違いで、新店を見ることができませんでした。いつかぜひ訪問したいものです。リブロ福岡天神店の関係者のみなさん、がんばってください。東京から応援しています。そして、ものすごーく期待しています。
↑天神地下街にあった積文館書店天神地下街店。お店のサイン(看板)がかっこいいので、ぱちり。
【“ブックオカレポートその4……天神界隈の新刊書店2”の続きを読む】
福岡の書店レポ、あと残りわずかなんですが、ちょっと小休止。今日の昼休みに、東京堂書店で買った本、3点を紹介します。
- 紀田順一郎『乱歩彷徨 なぜ読み継がれるのか』(春風社)
- 北杜夫『船乗りクプクプの冒険』(集英社文庫)
- 北杜夫『怪盗ジバコ』(文春文庫)
福岡の書店回りは別として、最近、書店に行く時間を十分にとれていないので、こうして書店で買った本をふつうに報告する記事もなんだか久しぶりですね。いかんなあ……。
紀田さんの『乱歩彷徨』は以前の記事でも紹介していますが、副題が変わったようですね。なかなか店頭に出なくて、やきもきしながら待ってたんですが、やっと買えました。東京堂なのでサイン本です。発売前からずっと待っていた1冊。今日は同じ記事で紹介した紀田さんの『幻想怪奇譚の世界』(ちなみに、これもサイン本)をちょうど読んでいたところ。2冊続けて紀田さんの新刊を読むことになりますが、楽しみです。
いつものように内容紹介はしませんので、くわしくは、版元のページをご覧ください。目次があがっていますから、乱歩読みならこれで本書のノリはだいたいわかると思います。
東京堂の文庫コーナーでは、北杜夫さん追悼ということで、北杜夫さんの文庫が数点平積みになっていました。そのなかに、なつかしいタイトルを発見、思わず買ってしまったのがこの2点。
『船乗りクプクプの冒険』、ぼくの世代だとやはり長新太さんのイラストが表紙を飾った親本(たしか集英社)をなつかしく思い出しますよね。しばらく前の、北さんの追悼記事のときにふれた『さびしい王様』といい、このクプクプといい、あんなに好きだったのに、どうして当時の本、残しておかなかったのかなあ。今になって、悔やまれます。
今回買ったのは、集英社文庫の新装版で、表紙は荒井良二さん。これはこれでかわいくてすてきな表紙なんですが、やっぱり長さんの絵でほしいなあ。新潮文庫版は長さんの絵のようですが、ここはやはり単行本で探すとするかなあ。いま調べたら、角川文庫版もあるし、旺文社のジュニア図書館とか知らない版もあるし、講談社英語文庫にまで入っている。ネットでぽちりとやるのはつまらないので、古本屋で表紙画や判型を確認するのを楽しみながら探すとするかな。
今日買った文庫は、ルビが子どもでも大丈夫なぐらいにふってあったら、うちの子に、と思ったんですが、さすがに小学生にはちょっとむずかしそうな感じですね。その意味でも、やっぱり単行本を見つけなくちゃね。
『怪盗ジバコ』もなつかしい1冊です。こちらは文春文庫の新装版。装画はヒサクニヒコさん。和田誠さんが絵を描いた版もありましたが、ぼくが持ってた(というか、両親の本棚にあった本なんですが)親本の装画は誰だったのかな。調べてみたら、画像が出てきましたので、引用だけさせていただこう。こちら。これこれ。ソフトカバーでね。なつかしいなあ。この帯の文言もよく覚えてるものなあ。《いかなる探偵小説愛好家もガックリくる》とか書いてあるんだよね(笑)。
ちなみに、この文庫2点のうち、『クプクプ』はすごい刷り数だけど、ジバコのほうは、2009年の新装版第1刷りのままでした。
このところ残業残業で毎晩ふらふらなので、乱歩とか、北杜夫さんとか、昔親しんだ本は、安心して読めるし、飲み慣れた銘柄のビールみたいに、すっと気持ちよくからだと頭の中に入ってくるので、とても気持ちよく、ラクに読めて、ほんとにいいんですよ。寝る前読書にぴったりな本たちを買えた一日でした。
ブックオカ&福岡書店レポの続きです。今回は、天神界隈の新刊書店の様子を紹介します。(以下、例によって、だらだらと長いです。)
天神は、ざっと調べたところ、渡辺通りという大通りをはさんで、ビブレや市役所がある東側にジュンク堂他数軒が、PARCOや西鉄の駅がある西側に福岡金文堂本店他数件が集まっていて、その他、少しこのエリアから少し離れたところに、ブックスキューブリックけやき通り店他数軒が散在しているようでした。この順に紹介します。まずは、渡辺通り東側エリアを。
最初は、メディアモール天神の1~4階を占めるジュンク堂書店福岡店。
↑2日の夜にかけつけた時には、無情にも、目の前でシャッターが(泣)。3日の午後に再訪です。
圧倒的な品揃えといい、きっちりした分類や棚の配置といい、まさにジュンク堂らしいジュンク堂で、お店の感じなどについては、説明はあえて不要ですね。ただ大きい、ただ本が多いというだけでなく、お客さんもたくさん入っています。休日の午後ということで、この日回った書店のなかに閑古鳥がないているようなところは1軒もなかったんですが、そのなかでも、もっともにぎやかだったのがこのジュンク堂でした。
↑店の前の人通りがとぎれず、あわてて撮ったらピンぼけ。
ジュンクならではの専門書の棚から、格闘技やミリタリー、パソコン関係など、硬軟とりまぜあちこちの棚を回ってみましたが、誇張抜きで、どの棚どのコーナーにも必ずお客さんがいるという感じ。近くの福岡ビルにあった丸善がなくなったこと(跡地には後述のTSUTAYA)、近隣に書店は複数あるけれど専門書をそろえた大型店がほかにないことなどがあって、お客さんが自然に集まるかたちになっているんでしょうか。
お店の方に少しだけ話をうかがったところ、客層は、以前は若寄りだったのが、丸善がなくなったことで、そちらのお客さんだったと思われる年輩のお客さんも流れてくるようになり、時代小説などが売れるようになったとのこと。店内の様子を実際に見てみて、なんとなくわかる気がしました。
1階の書店フリペの展示コーナーにはたくさんのフリペが並んでいました。東京や神奈川のお店の、いまやなじみといっていい書店フリペたちが福岡の書店店頭に並んでいる様子を目にすると、それらを自分が作ったわけでもなんでもないのに、なんだかすごくうれしくなってしまいましたよ。ここだけでも写真を撮らせてもらえばよかったなあ……。フリペを作っている書店員さんたちにうれしい報告ができたのになあ。
同じビル地下には、中古本の扱いがあるフタバ図書GIGA天神店が入っていましたが、10月に撤退、閉店とのことで、地下は工事中でした。同じビルに新古書店が入っているというのは、ぼくがこれまでに行ったことのあるジュンクのお店のなかにはたしかなかったはずで、お客さんの流れや売上への影響などがどんなふうなのか興味があったんですが、どうだったんだろう。ジュンク、強し、がここでも証明されたということなんでしょうか。。
↑閉店を伝える貼り紙。別テナントを期待せよとありますから、改装ではなく、完全に撤退した、ということなんでしょう。
お隣のビブレには、アニメイト福岡天神と文教堂ホビー天神ビブレ店が、同じフロア(6階)に仲良く並んで入っています。
文教堂ホビーは、文教堂グループのお店ではあるのですが、サイトの写真をご覧いただければおわかりの通り、プラモやフィギュアなどの専門店で、書籍の扱いはないようでした。ビブレ内ではこのフロアだけが、マニア度の高い空間になっていてましたよ。どちらも品揃えがどうだとかは自分ではまったくわからないんですが、全方位完全網羅型の大型書店の隣のビルに、こういうお店があるのはおもしろいですね。
連絡通路を通って、お隣の天神コアへ。こちらのビルは、BGMの音量はおやじの耳には大きすぎるし、お店もファッション系ばかり、ぼくのようなおやじがうろうろするには居心地悪いことこのうえない商業ビルなんですが、なぜか福家書店福岡店が地下に2フロアで入っています。これが、いやはや、びっくりのお店でした。
2フロア構成の店内は、各フロア、前半分と後ろ半分で雰囲気が違っていて、こんな感じ。
↑渾身の手書きメモ(笑)。当日とったメモは、本人が見てもよくわからない、宇宙からのメッセージみたいな文様だったので、いま、あわてて描きなおしました。
へたくそな図で感じが伝わるかどうかわかりませんが、B1でいうと、手前は流水書房のファッション誌売り場で、奥半分が、書泉ブックマートみたいな感じ。ちょっと違うか。いや、だいぶ違う。流水のファッション誌コーナーにはゴスロリだけで、1列つくったりしないものなあ。無理に他のお店にたとえるとかえって話がややこしくなりそうなのでやめますが、とにかく、フロア前後で雰囲気の濃淡がかなりはっきりした売り場になっているのです。お店の入り口側から見るとふつう(にしてはやや濃いめではあるけれど)に見えるんですが、奥にいくと、とっても濃い空間になっている、という次第。
ファッションビルの地下に、こんなにアダルトやBLがいっぱいの空間があるとはなあ。ふつうの文庫とかも置いてあるんですが、絞りこみ具合がすごい。一般的なレーベルの文庫の量に比べて、ピュアフル文庫(だったっけかなあ、ちょっとうろおぼえ)の点数があきらかに突出して多かったりとか、文庫棚のバランスが相当に独自なものになっています。ラノベやBLの棚は、どの作品がどうとかさっぱりわからないんですが、多面での見せ方とかが派手で、視覚的なインパクトがすごくて、棚の前を歩いているだけでくらくらします。
【“ブックオカレポートその3……天神界隈の新刊書店1”の続きを読む】
ブックオカ&福岡書店レポの続き。今回は、福岡の新刊書店の様子を紹介します。まずは、今回の旅で回ってきた福岡の新刊書店の一覧を。(ほんの少し顔を出しただけ、店内を一周しただけというのも含めています。)
●箱崎・博多駅周辺
●天神界隈
リストは、それぞれの地域内でおおよそ訪問順です。しかし……こうして全部リストアップしてみると、我ながらあきれますよね。何店あるんだ。20店ぐらい? まったく、観光らしい観光もしないで、土地のおいしいものも食べてこないで、いったい何やってんだ(苦笑)。
このほか、博多駅近くのライフセンター 福岡書店は、キリスト教関連書の専門店ということでスキップ(というか、開いていなかった)、天神の天神書店は名前からして、地元を代表する老舗に違いないと、大いに期待して行ってみたらアダルト専門店だったので、これもスキップ(いや、ほんとにスキップしたってば)。
書斎りーぶるは、移転リニューアルを伝える「りーぶる天神、ショッパーズ福岡専門店街閉店で移転リニューアル」(7/28 天神経済新聞)を紹介する記事を自分で記事を書いておきながら、すっかり失念、旧「りーぶる天神」をずっと探していたため、時間と体力が切れてしまい、断念。書斎りーぶるは、《コンセプトは「くつろぎの空間」。「自分の書斎にいるような書店を目指す」》ということで、写真などを見るかぎり、とても良さそうなので、これを訪ね残してしまったのはほんとに残念です。
訪問できたお店全部について詳細なコメントをしていたらいつまでたっても記事がまとまらないうえ、そもそも、こまかな違いを書き分ける力量もありませんので、いくつかピックアップしてご紹介します。なお、このような理由で全部のお店にふれませんが、くわしいことがふれられていないお店がよくなかったとか、書くことがなかったということではぜんぜんありませんので、その点はどうぞご了承ください。
まずは、初日、2日の夜、3日の朝と帰る直前に回った博多駅周辺と箱崎から。福岡に着いて、まず最初に訪れたのはbook select K。博多駅筑紫口から徒歩ですぐのお店で、今年の9月にできたばかりとのこと、ガラス張りの明るくてきれいなお店です。
↑ロゴがきれいに浮かび上がっている正面(左)。面陳が多用されている棚の様子のわかる側面(右)。
【“ブックオカレポートその2……博多駅周辺・箱崎の新刊書店”の続きを読む】
ブックオカと福岡の書店レポートです。新刊書店の紹介は数が多いので、後でまとめるとして、まずは、2日の夜の「書店員ナイトin福岡」、3日の「けやき通り一箱古本市」の様子から。
あっ、そうだ。レポートに入る前に。ブックオカは11/20までです。以下に紹介する書店員ナイトと一箱古本市は終わってしまいましたが、ほかにもまだまだたくさんのイベントがあります。行こうかどうしようか迷っている方がいらっしゃったら、ぜひ足を運ばれることをおすすめします。ぼくも、交通費をかけて、仕事も無理して1日だけなんて、なんだかもったいなあ、と行く前は思っていたんですが、たった1日でも、行ってよかったと心から思えるぐらい、大満足でした。あと2週間ありますからね。あらためて、ブックオカ、おすすめしておきます。
●書店員ナイトin福岡
11/2(水)の夜は、「書店員ナイトin福岡」。今年は特別編「いまこのインディ出版社が熱い!」と題して、川島小鳥さんの写真集のヒットで大ブレイクのナナロク社の村井光男さん、ミシマ社の三島邦弘さんのお二人をゲストに迎えたトークイベントが行われたようです。「ようです」というのは、ぼくはそれには残念ながら参加できなかったため。作家の碧野圭さんにさそっていただき、予約も何もしていないのに、図々しくも、イベント後の二次会に勝手におじゃまさせていただいたという次第です。
知り合いもあんまりいないし、書店員でもないし、しかも予約もしていないしで、気後れしまくっていたんですが、あたたかく迎えていただき、ツイッターでやりとりしていた書店員さんや、まもなくオープンとなるリブロ福岡天神店のみなさんにお会いすることができました。
そして、以前からお会いしたくてしたくてしかたのなかった、『書店員タカクラの、本と本屋の日々』(書肆侃侃房)の高倉美恵さんにお会いすることができました。直前に体調を崩されたとのことで、お酒を一緒に飲めなかったのは残念ですが、でも、とても会うのが初めてとは思えない感じで、いろいろお話させていただきました(音楽との出会いだの、町田康さんのことだの、けっこう濃い話も;笑)。うれしいなあ。初めてご連絡を取り合ってから5年(6年?)越しの実現です。これだけで、仕事でぱんぱんの平日に、仕事を途中で切り上げて飛行機で駆けつけてきた甲斐があったというものです。
参加した時間が遅めで、すでに帰られた方もいたようで、それほどたくさんの方と話ができたわけではなく、ゲストのお二人にごあいさつする機会もありませんでしたが、でも、ずっと会いたかった方々にお会いできて、ほんと、大満足。とても楽しいひと時になりました。
【“ブックオカレポートその1……書店員ナイト&一箱古本市”の続きを読む】
1年ぶりの開催、だそうです。
松屋浅草 第18回古本まつり
会期:11月16日(水)~22日(火)
時間:10:00~19:30
(最終日は~18:30)
会場:松屋浅草3階特設会場
すっかりさびしくなってしまった都内のデパート古本市、こうして続いているのがあるとうれしいですね。
仕事のピークが続いていて、なかなか身動きとれない状況なんですが、これはぜひ見に行きたいなあ。デパート古本市がなくなってしまったりしないよう、やっぱり古本者としては、通って、買い物をすることで、応援しないとね。
というわけで、古本好きのみなさんは、チェックをお忘れなく。
↑ちゃんと目録が届くのもうれしい。
11/2(水)の夜から11/3(木)にかけて、開催中のイベント「ブックオカ」に参加すべく、福岡に行ってきましたよ。
わずか1日の旅ではありましたが、たくさんの方にお会いできて、また福岡の書店をたくさん見ることができて、お腹いっぱい、大満足の旅となりました。書店員ナイト、一箱古本市の様子、博多駅周辺と天神界隈の新刊書店の様子については、この週末にレポート記事をあげたいと思います。福岡で、お目にかかったブックオカの関係者、書店・出版関係者のみなさま、本当にありがとうございました。みなさんのおかげで、とても楽しい滞在になりました。
東京に帰ってきたら、先週から神保町で開催されていた神田古本まつりもちょうど終わったところ。今朝、街を歩いたら、ワゴン・書棚は片づけられ、提灯もはずされていました。これがふだんの光景、当たり前の光景なのに、「まつりの後」というのはなんだかさびしいものですねえ。福岡行きもあっという間に終わってしまい、これで自分にとっての、秋の本関連のおまつりは全部終わってしまったんだなあと、朝からなんだかしみじみした気分にさせられましたよ。
さて、その神田古本まつりと、会期中の土日に開催された神保町ブックフェスティバル。雨に降られてしまった昨年と違い、今年は天気にも恵まれ、ずいぶん盛況だったようですね。新文化の社長・丸島基和さんが連載コラム「社長室」の10/31付記事「えっ、嘘、10万人!!」で、神保町BFの盛況ぶりについて、こんなふうに書いています。
《もの凄い人でごった返していた。メイン会場のすずらん通りは人が多すぎて歩くこともままならない。このイベントは第1回から見させてもらっているが、ここまでの混雑は記憶にない》
《なんでこんなに本を探しているのだろう。普段は「前年を下回って、減収で、赤字で、厳しい」なんてニュースばかりを取材しているのに・・・。》
《出版不況なんて嘘のような光景だった。天気が良かったから? バーゲンだから? 人が人を呼ぶものだから? マスコミの電子書籍報道が多くて本を読みたくなったから? 出版・書店関係者の誰に聞いても疑問は晴れなかった。一体、どういうことなんだ?》
たしかにちょっと不思議。でも、こういう不思議はいつでも大歓迎ですよね。ブックオカの一箱古本市もそうだし、神田古本まつりも、神保町ブックフェスティバルもみなそうですが、ぼくなんて、こうして本好きの人たちがたくさん集まっているのを目にするだけで幸せな気分になってしまいますよ。本の仕事をしていてよかったなあ、本好きでよかったなあ、って。
さて、神田古本まつり、その後の収穫ですが、今回はあんまり買えなかったなあ。昼休みは毎日うろうろしていましたが、それだけだとやっぱり時間が足りない。毎日残業だったので、夕方ゆっくり回れなかったのが残念。でも、前から探していたこんな本を見つけたんですよ。
- 栃木県立美術館編『「本の宇宙」展』(栃木県立美術館)
奥付には、『「本の宇宙」展』とだけありますが、本扉には『本の宇宙 詩想をはこぶ容器 Livre d'artiste Livre objet』と日本語とフランス語の副題の付された書名があがっています。1992年に栃木県立美術館で開催された「本の宇宙」展の図録で、内容的には《現代詩人の作品を美術家と共同でつくりあげた現代版特装本と、前述のオブジェとしての書物(註:この前の部分で「立体としての書物」にふれられている)の両方の作品百三十五点を展覧し、収録した図録》(後述の『書物の達人』より)というもの。
「本の本」は大好きで、コレクションしているわけではないものの、割によく買っているほうなんですが、これはずいぶん以前から我が探求リストに長く載っていながら、なかなか買えずにいた1冊。見つからないわけではなくて、何度も古書展・古書店で見かけたことがあるし、Webでも見かけるのですが、けっこういい値段するんですよね。
【“ブックオカに行ってきました……そして、神田古本まつりの収穫、続き”の続きを読む】
今日は吉祥寺書店員の会「吉っ読」の例会でした。忙しい忙しいって毎日書いてるくせに飲み会かよ、と思われてしまいそうですが、今回は、飲みながらではありますが、イベントだのお祝い事だのの相談がメインの会。今年から来年にかけて吉っ読で関係することになっている諸々について、相談してきましたよ。ああ、早く告知したいなあ。
イベント他については、もう少し詳細がかたまって時期が近づいたら、あらためて告知したいと思います。このところ、仕事漬けの毎日だったので、気心の知れたメンツとの飲み話の楽しいこと。やっぱりこういう時間がないとね。
明日は、半日仕事をしてから、いざ福岡へ、ブックオカに1日だけ参加してきます。
あらためて調べてみたら、福岡の書店事情、さすがの充実ぶりですね。一日しかないし、一箱古本市とか、新刊書店以外にも見たいところもありますから、どこまで見てこられるかわかりませんが、1軒でも多くの書店を見てきて、後日、この空犬通信で、彼の地の書店の様子をいろいろレポートできればな、と思っています。
さて、これから道中の本を選ばなくては。せっかく初めて訪れる街に行くんだから、ご当地作家・ご当地本がいいよね。というわけで、我が書棚を眺めて考え……るまでもありませんでした。探偵者としては、やはり夢野久作でしょう。というわけで、今回の旅のお伴は、夢野久作、現代教養文庫から1冊選んでいくことにします。いつもは、宿泊の伴う移動のときは、必ず複数の、それも読み切れないぐらいの冊数の本を持って出るんですが、今回は、ブックフェアがメインの旅、現地でたくさんの本に出会いたいので、あえて1冊だけにしようと思います。
では、行ってきます。
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