またまた書店の開店閉店のニュースです。今日はちょっとおつかれ気味なので、だらだら書きは控えて、簡単に。まずは、改装のために閉店していた、このお店の話題から。「山陽堂書店本日開店!」(5/30 山陽堂書店)。
表参道(北青山)で120年もの長きにわたって続いてきた、説明不要の老舗書店ですね。書店のオープンは本日5/30(月)。今回のリニューアルでギャラリーが併設されることになったようですが、そのギャラリー山陽堂のオープンは、少し遅れて6/3(金)とのこと。ギャラリーの展示、第一回は、「川島小鳥『未来ちゃん』出版展」(ナナロク社主催)だそうです。
羽鳥書店さんのブログに、改装前と改装後のファサードの写真が掲載されていますが、レンガ調のしゃれた感じの外装になっているのがわかります。建物側面の絵はどうなるのかな。ギャラリーがオープンする6/3以降に、訪ねてみたいと思います。
おしらせのところにあがっている文章がすてきなので、ちょっと引かせていただきます。《初代孫次郎じいさんは、私の父の代(3代目)で山陽堂はつぶれると言っていたそうです。》(この文章が掲載されているページに初代の写真も掲載されています。
《けれども、私たち4代目は父の後ろ姿をみていたから山陽堂を続けようと思いました。/オリンピックの道路拡幅工事のころ、おそらく心労が重なって倒れてしまった2代目の祖父、山陽堂への思いはいかばかりだったかと思います。/4代目である私たちも、やっと先達の思いが理解できる年になったのかもしれません。》
《120年間続いてきたということは、それまで山陽堂を支えてくれた人たちが数え切れないほどいてくれたということ。/これからもお客様や出会った人たちに刺激されながら、ギャラリーのある本屋をつづけていきます。》
120年……その歴史が「人」に支えられてきたことを感じさせてくれます。あのような立地で小さな本屋さん(旧店舗は10坪ぐらいか)を続けていくのは、傍目に見る以上に大変なことだろうと思います。これからも、街の顔の1つとして、地元で愛されるお店を長く続けていってほしいものです。
もう1つは、閉店のニュースを。「日本最大級のコミック専門店「COMICS JUNKUDO」町田店が閉店へ」(5/28 町田経済新聞)。このところ出店、それも大型を含む出店話がいくつも続いていたCHIグループ、今回は同グループにはめずらしい、移転や改称などを伴わない純粋な閉店のようですね。
【“北青山・山陽堂がリニューアルオープン……町田のCOMICS JUNKUDOは閉店へ”の続きを読む】
ツイッターでブックカバーの話題が出ていたので、ちょっと書いてみます。本読みのみなさん、本を買うとき、そして読むとき、ブックカバーはどうしてますか? やっぱり、書店でかけてもらった紙のカバーを利用する派が多いんでしょうか。
以前に書いたことと重なるかもしれませんが、ぼくは、書店ではカバーや袋は、できるだけ断るようにしています。エコがどうのこうのと言うつもりはないし、そもそも一人でそんなこと気にしたって何も変わらないかもしれないけど、紙やビニールのムダはないほうがいいし、多少なりとも書店員さんの手間が減るなら、そのほうがいいしね。
当然、買い物のときは、はだかで本をもらうことになるので、昼休み、食事に出るときも、小さな鞄を提げて出ます。昼の神保町で、本屋さん1軒だけ、ということはまずなくて、何軒もはしごすることが多いから、鞄は必須ですよね。はだかの本を外から見えるように鞄に入れているのは、何かとまぎらわしいので、レシートをはさんでおきます。
で、読むときは、本のカバーと帯をはずして、本体に直接、愛用の革のブックカバーをかけて読みます。ブックカバーは、文庫・新書・四六判とサイズ別にいくつか持ってます。革のは、ちょっと高いけど、本にかけたときの見た目やさわった感じもいいし、長く使えるし、使っているとなじんできて愛着もわくし、これはこれでいいものですよ。革は高い、という方には他の素材も。ビニールのは見た目やさわった感じが個人的にはあんまり好きじゃないんですが、クリアファイルのように表紙部分に好きなデザインの紙を入れて使えるものなんかもありますね。あと、布とか帆布のものも。とくに前者は、デザインが豊富で、革に多い黒とか茶一色のはつまらない、という方にはいいかもしれません。
ちなみに、本のカバーと帯をはずすのは、それらに傷や折れができるのが嫌といった神経質な理由ではなく、それらがないほうが革のカバーをかけたときにごわごわしたり、ずれたりする感じがなくて、収まりがいいからです。つけたりはずしたりもしやすくなりますしね。
ほとんどの本はこんなふうにして読んでるんですが、困るのは愛用のブックカバーにサイズが合わないもの。市販のブックカバーは、多少の天地、厚みの違いには対応できるものが多いし、革は使っているうちになじんでくるので、多少の無理はきくんですが、どうしようもないものもあるんですよねえ。その代表選手が、ハヤカワ文庫。ハヤカワ文庫読みのみなさんは、ブックカバー、どうしてますか? やっぱり書店で、ハヤカワ文庫用に天地を調整して折られたものをかけてもらってるんだろうか。なんか、このためにだけ、書店のカバーをかけてもらうのも、そしてそれをとっておいて使い回しするのもなんか嫌なんですよねえ、個人的には。
この駄ブログをお読みいただければすぐにわかると思いますが、SFはけっこう読むほうなんです。ハヤカワ文庫は、中学生の頃からの愛読者で、数ある文庫レーベルのなかでも、好きなものの1つ。だからこそ、トール化はほんとに残念なんですよねえ。書棚に並べたときのでこぼこ、とくにそれが、ディックのように同じ作家だったりすると、もう残念で残念で……って、以前にも書いてるから、版元の方やそういうのが気にならない方は、しつこいよ、と思われるかもしれませんが、それぐらい、このレーベルに愛着があるんですよ。ってことで、多少の愚痴、小言は愛情故のものということで、お許しいただきたく。
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昨日は、イベント関連の用事があったので、beco cafeに寄ったついでに、西荻窪の書店をチェックしてきましたよ。回ってきたのは、新刊書店では、ブックセラーズ西荻店、颯爽堂。古書店は、ねこの手書店とにわとり文庫。あっ、もちろん古書店は、仕事の用事が終わってから寄ったんですよ。
まずは、颯爽堂。JR西荻窪駅北口を出て、駅前の交差点を北に少しいった右側、前を通るだけでお腹が空いてきてしまうお肉やさん「もぐもぐ」の隣。そんなに大きなお店ではないのに(30坪ぐらい)、表にはよくある雑誌ラックのほかに、平台があり、その脇にはイスまで置いてあります。
その雑誌台に『BRUTUS』の書店特集が平積みになっていました。なにやら付箋がたくさん貼ってあるなあ、と思って見てみたら、颯爽堂おすすめのお店に、おすすめと手書きした付箋がたくさんつけてあるのです。自店が雑誌などに紹介されると、その記事やコピーをお店に貼ったり、その雑誌を飾ったりするのはよく見かける光景ですが、同業他店をこんなふうにおすすめしている例はあまりないかも。いいなあ、これ。
黒っぽい落ち着いた色の什器にバランスのいい品揃えで、店内の感じもgood。入り口入ってすぐ右の一角が文芸書や新刊のコーナーで、『おかしな本棚』が面陳になっていましたね。じっくり見たかったのですが、ちょうど品出しの作業中だったんでしょうか。平積みの上に、激しく本が重ね積みされている状態で、ちょっと本をゆっくり見ることができなかったのが残念。
西荻窪の新刊書店と言えば、しばらく前に、移転になる件を記事で紹介した今野書店。新店舗は、駅からすぐ、モスバーガーの前あたり。この日も作業中で、外から中の様子がちょっと見えたので、のぞいてきましたよ。本棚なども入り、書店らしい感じになってきました。オープン前の書店の様子って、ふだん目にする機会はありませんから、本好き書店好きとしては、なんだかわくわくさせられますよね。オープンは、6/3。5/29~6/2がお休みとなります。beco cafeの行き帰りにも寄りやすい場所になりますから、立ち寄る機会も増えそう。楽しみです。
【“颯爽堂、今野書店、にわとり文庫……西荻窪の書店をいろいろ見てきましたよ”の続きを読む】
一昨日紹介しそこねたので、あらためて。往来堂書店(千駄木)・BOOKSルーエ(吉祥寺)の合同フェア、「活字ばかりが文庫じゃない! 2店合同「非活字文庫」フェア!」、今回は往来堂書店の様子を紹介します。
フェアの経緯や、一方のルーエの様子については、こちらとこちらをご覧ください。
以下、お店の様子を、写真入りで紹介しています。お店での出会いを大切にしたい方は、お店を訪問するまで、以下はご覧にならないようにしてください。
【“往来堂の「非活字文庫フェア」も5月末までです”の続きを読む】
昭和特撮を心から愛してやまない空犬です。特撮の話題を取り上げると、訪問者数ががくっと減るのはわかっているんですが、久しぶりだし、一応、本に関係のある話でもあるので、たまにはお許していただければなあと。特撮関連本、それも昭和特撮者なら無視するわけにいかない本が3か月連続で出ますよ。
- 5月:ひし美ゆり子『万華鏡の女 女優ひし美ゆり子』(筑摩書房)
- 6月:樋口尚文『グッドモーニング、ゴジラ』(国書刊行会)
- 7月:『モスラ映画50年大全』(洋泉社)
特撮好きには、うれしいニュースだけど、全部追っかけてたら(って、そうなるんだけど)経済的には大変ですよねえ、これ。とくに、洋泉社はものすごい勢いで特撮関連本出してますよね。
『グッドモーニング、ゴジラ』は筑摩書房版を持ってるんだけど、何か内容上の違い、あるのかなあ。ちょっと気になります。ちなみに、装丁は、樋口真嗣監督だそうです。
この3冊のなかでいちばん気になるのは、なんといっても最初の、アンヌ隊員こと、ひし美ゆり子さんの本ですよね。昭和特撮、とくにウルトラシリーズ、なかでも『ウルトラセブン』がオールタイムベストの特撮作品であるぼくのような者が買わずにいられるわけはありません。すでにひし美さんの本、いろいろ持ってるんですけどね(苦笑)。でも、買います。買うのです。
発売は、5/27なんですが、発売当日、このようなイベントがあるそうです。「「万華鏡の女 女優ひし美ゆり子」出版記念、上映+トークイベント+サイン会」(5/8 CINEMA Topics Online)。
過去にも、『誘惑の女優列伝 ひし美ゆり子』なる特集上映を2回にわたって行っている銀座シネパトス。特撮関連の特集上映も多く、この分野に愛と理解のある館(はこ)ですよね。
で、今回のイベントの内容ですが、未公開の出演作の上映(教育映画『ぼくはSLをみた』)、トークイベント(相手は、共著者の映画批評家・樋口尚文さん)、サイン会の3本立て、だそうです。
限定前売券は書籍代2,310円込みで、4000円。現時点で残っているのかどうかはわかりません。前売りが完売しない場合のみ、当日券が出るそうです。
うーん、本はほしいけど、はて、40男が女優さんの刊行記念のイベントに行ったものかどうか。ああ、でも、気にしなくても、アンヌファンはみんな自分と同じぐらいかそれより上のオヤヂたちか(苦笑)。それはそれで、ね。
最近買った本、といっても、いっぱいありすぎて、全部リストアップするのもなんなので、その一部を。今回はSF2点です。
- 萩尾望都『音楽の在りて』(イースト・プレス)
- パオロ・バチガルピ『ねじまき少女』上下(ハヤカワ文庫)
萩尾望都さんのは、オリオン書房ノルテ店で購入したもの。しばらく前の記事で、『アライバル』のすばらしいPOPの文章を書いた人としてふれたTさんにお店で会えたときに、何か小説でおすすめがあるか聞いてみたところ、すすめられたのがこれ。
萩尾さんの「初めての小説集」として刊行前から話題になってましたよね。70年代、『奇想天外』に掲載されたものを中心とする短篇数編に、うち1本の続篇的内容の短篇コミックが1本収録されています。まだ読み始めですが、ちょっとクラシックな雰囲気のSFで、好みの感じ。萩尾さんのコミック作品は、超のつく有名どころをわずかにかじっている程度、そんな者がおすすめしても説得力ゼロですが(苦笑)、『11人いる!』『A-A’』『ウは宇宙船のウ』といったSF作品を愛読されてきた方なら、手にとってまちがいなさそうな感じですよ。
それにしても、この本、見事にまっ白です。カバーも、本体も。この装丁、よく企画通ったなあ。と、つい造り手目線で見てしまいますが、というのも、デザインの良し悪しはともかく、流通上はこれ、とてもキケンな装丁ですからね。汚れも傷も目立ちますから、一回返品されたら……などと、よその版元の本なのに心配になってしまいますよ。(この本にかぎったことではないのですが)店頭でご覧になる際は、丁寧に扱わないといけませんね(笑)。
次の本、出るのを楽しみにしていたSF者は多いのではないでしょうか。『ねじまき少女』。SFの主要な賞を総なめにしたというふれこみの話題作ですね。SFの主要な賞というのは、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、ジョン・W・キャンベル記念賞で、それぞれがどんな賞かはWikiなどをあたってみてください。これらのほか、『タイム』の「今年の十冊」にも選ばれたのだそうです。
ところで、この本、上下巻なんですが、上巻の帯に《『ニューロマンサー』以来の衝撃!》とあります。『ニューロマンサー』は、SF者には説明不要ですが、サイバーパンク旋風を巻き起こすことになった記念碑的作品の1つですね。ハヤカワ文庫の初版は1986年。ぼくは翌年1987年に読んでいます。なんでそんなにはっきりと覚えているかというと、読んだのが大学1年生のときで、その後、サイバーパンクにどっぷりはまるきっかけになってしまったからなのです。
……と、おじいさんの昔話はともかく、『ニューロマンサー』が出てきたときは、素人の一読者にも、すごいのが出てきたぞ、サイバーパンクってのが今新しい・おもしろいらしいぞ、というのがわかるぐらい「衝撃」があったってことなのです。そういうことを雰囲気的に伝えたいという思いが見える帯の文言なんですが、はたして、この帯の文言、新しい読者、今の読者には、衝撃の度合いがどんなふうに伝わるのかなあ。そもそも、今でも『ニューロマンサー』って読まれてるのかしら。知らなかった新しいSF読みが、この作品、この帯をきっかけに、『ニューロマンサー』も手にとってくれるといいのにな。
脱線が長くなりました。『ねじまき少女』、こちらもまだ読み始め、上下巻なので、感想はまだだいぶ先になりそうですが、出だしはいい感じ。これは読み進めるのが楽しみだなあ。
今日は、往来堂書店の「非活字文庫フェア」の様子を紹介しようと思っていたんですが、その前に、吉祥寺の書店関連のこのニュースを。JR吉祥寺駅、南口側にあるBOOKOFF 吉祥寺駅南口店が、北口側に移転、なんとよりによって、BOOKSルーエのすぐそば、元パチンコ店があったビルでリニューアルオープンとなるそうです。ひえー。
さすがに、このあたりは知り合いも多いし、地元でもあるので、事前に噂が耳に入ったりすることもけっこう多いのですが、今回はまったく聞こえてきませんでしたね。いろいろ事情があったようですが、教えてくださった方も、今日初めて知ったのだそうです。BOOK OFFのサイトにも案内などは出ていませんが、正式な話だそうです。
(以下の話は、資料に基づいているわけではなく、伝聞の伝聞をもとに書いていますので、正確でない点があるかもしれませんが、そのような情報だとしてお読みください。)
現店舗の閉店、新店の開店がいつになるのかは不明です。新しい店舗は現在工事中のようで、工事の様子からするに、そんなに先の話ではなさそうとのこと。現在の店舗が入っているビルは取り壊しだか建て替えだかになるそうです。
現店舗は1、2階の2フロア店。商品の回転が良すぎて、そのために、いついってもめぼしい本、新しい本がない、などと、本好きには評価されているそうです。ぼくは使うことがゼロではないですが、たまにのぞいて品切れ・絶版文庫がないか探す程度なので、お店の品揃えの評価まではできないし、そもそも興味もないのですが、立地からしても、わかる気がしますね。一時期は売上げでも、ブックオフの店舗のなかでもトップクラスだったといいますしね。
新しいお店は3フロアで、1フロアが50坪ぐらい、150坪強のお店になるようです。今よりも広くなりますから、商品構成は今のまま店数自体を増やすのか、これまで扱いのなかった商品(たとえば、小型ゲーム機類よりも大きいハード類とか)を扱うようになるのか、そのあたりも気になるところですね。ただ、先に書いた通り、商品の回転が良すぎて、結果、店頭に売れ筋の本が足りてないような状況に本当にあるのだとしたら、扱う商品をそのままに規模を広げたら、ますます店頭の品薄感が増しますよね。そのあたり、どんな店作りをしてくるのか、気になります。
気になるといえば、いちばん気になるのは、新刊書店への影響、とくに場所的にもっとも近い、というか近すぎるぐらいのBOOKSルーエへの影響です。人の流れが変わりますから、ブックオフに来るお客さんがBOOKSルーエの近くに集まることになる、とも言えます。その意味で、プラスの効果がまったく期待できない、とは言い切れないでしょう。
ただ、やはり一般的にいって、近くに新古書店ができると、マイナス面の影響が懸念されますよね。新刊やコミックの売上げへの影響がゼロで済むとは考えにくいし、あと、大変に残念なことではありますが、転売目的の万引きへの対策もいま以上に必要になるでしょう。
あれだけ心配された、超大型店ジュンクとも共存をはたし、元気に営業できているルーエのことです。いままでなかったのならともかく、少し離れたところにあったブックオフが近くにきたからといって、すぐにどうこうなるとは思えないし、思いたくもありません。大丈夫でしょう。大丈夫だと思う。……でも、やっぱり心配は心配ですね。
ぼくはBOOKSルーエを応援してきた一人として、これからも、というかこれまで以上に、BOOKSルーエを応援していきますよ。今日も、買いたい文庫がたまっていたこともあって、「えー、いっぺんにそんなに?」と驚かれるほどまとめ買いしてきちゃいましたよ。
というわけで。BOOKSルーエを利用されているみなさん、このように近くに新古書店ができちゃったりしますが、これまで通り、BOOKSルーエを、どうぞよろしくお願いします。この件、開店日ほか、詳細がわかりましたら、また報告します。
ルーエついでに。以下、昨日紹介したルーエの店頭の様子を少し補足します。
【“吉祥寺の書店マップにまた変更が……ブックオフが南口側から北口側に移転”の続きを読む】
先日、八王子で書店回りをする機会があったので、すべての用事が終わってから、JR八王子駅の近くにある古書店、佐藤書房ものぞいてきました。あっ、ちゃんと仕事を終えてから寄ってますからね。仕事中に遊んでるわけじゃありませんからね。
先の記事にも書きましたが、同店は中央線沿線の古書店でも、好きなお店の1つ。八王子が通勤と逆方向の街でなければ、もっとしょっちゅう通いたいぐらい。久しぶりにのぞいてみたら、あいかわらず好みの品揃え、あちこちに気になる本が目につき、しかも値段も安め。その後、人に会う用事があったというのに、山ほど買い物してしまいましたよ。その一部をご紹介します。
↑『昔日の客』関連のこの記事にも書きましたが、馬込村文士関連作家のなかでもお気に入りの一人、尾崎一雄。尾崎先生は、タイトルもいいんですよね。『閑な老人』とか『虫のいろいろ』とか。これもいいでしょ、『ある私小説家の憂鬱』。馬込で尾崎でいい書名と言えば、尾崎士郎『明治堕落女学生』も買いましたよ。いいでしょ、この書名。よく見かける本なので、なんとなく買いそびれていたんですが、帯付きの美本が激安だったので。
(以下、同店で買った本の紹介が、だらだらと続きます。)
【“八王子の古書店、佐藤書房はいいお店だなあ”の続きを読む】
今日は、雨のなか、吉祥寺の書店をいろいろ見てきましたよ。このところ、こ忙しかったので、吉祥寺、しょっちゅう来ている割には書店をじっくり見る時間がとれずにいましたので、はしごは久しぶり。啓文堂書店、ブックファースト、リブロ、ジュンク堂書店、BOOKSルーエをこの順で回ってきましたよ。
うち、先日の記事でも紹介済みの「活字ばかりが文庫じゃない! 2店合同「非活字文庫」フェア!」が継続開催中の、BOOKSルーエと、ジュンク堂書店の様子を中心に紹介します。
↑フェアのパネル。上段には『未来ちゃん』が話題の川島小鳥さん、『BABY BABY』がずらり。
往来堂書店(千駄木)との合同フェア、「非活字文庫フェア」については、先日の記事で、写真入りで紹介しましたから、これ以上店頭での出会いの楽しみを奪ってしまわぬよう、今日はこれだけにしておきます。フェアは5/31まで。おもしろ文庫がたくさん並んでますから、まだの方は、ぜひチェックしてみてください。
↑先日訪問したオリオン書房ノルテ店でも、フェア台をにぎわせていた長嶋有さん。やっぱり中央線沿線の人気はすごいんだなあ。BOOKSルーエでよく売れる作家さんのお一人。担当者が力を入れて作ったパネルは、よく見ると、紙の再利用がバレてしまう造りになってますが(苦笑)、サイン本は残部僅少です。長嶋読者はお急ぎあれ。
↑毎年5月ごろになると、出版社の新入社員が書店の実務を経験するためということで、研修を受け入れているお店も多いことでしょう。BOOKSルーエもよく受け入れていて、今年はぴあの方が来たのだとか。で、何か棚作りを経験してもらおうと、海外文学はよく知らないというその方に、あえて海外文学の棚で作ってもらったというのがこのコーナー。「海外文庫フェア 素人さんいらっしゃ~い」とあります。パネルも、選書も、POPもその新人さんの手になるものだそうです。「『マルドゥック』は海外文庫なのか」なんて、そんな突っ込みはとりあえず控えていただいて(笑)。自分の不得手なジャンルで書店の棚(コーナ-)を作るのは、いい経験になったことでしょう。
【“ルーエの「非活字文庫フェア」は5月末まで……吉祥寺の書店いろいろ”の続きを読む】
いつも同じ話題ですみませんが、またまた書店の開店情報です。立川の新刊書店と言えば、オリオン書房。駅の周辺に数店、駅構内にもPAPER WALLがありますが、新たにお店が加わるようです。
今回新たにできるのは、オリオンパピルス(Orion Papyrus)。「オリオン書房」でも「PAPER WALL」でもなく、新しいブランドのようですね。正式名称かどうかと思っていたら、求人サイトなどにもこの名前であがっているところを見ると、これが正式名称なのでしょう。オープンは、6/1、場所はJR立川駅直結の商業施設、グランデュオ立川の6階。現在、同施設は5~7階がリニューアルのための工事中ですが、その中に入るわけですね。広さは、95坪。書籍・雑誌以外に、文房具・雑貨・CDなども扱い、カフェが併設されるようです。「PAPER WALL」を思わせる感じですね。
よく書店情報の参考にさせていただいている「ウラゲツ☆ブログ」さんが、このお店のことを取り上げています。「新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん」(5/16)。同店については、《書籍雑誌のほか、文房具・雑貨・CDを扱う「新しいライフスタイルを提案するセレクトショップ」(オリオン書房さんからの案内文)です。客層のメインターゲットは「20~30代女性と子ども」(Nの出品依頼文より)とのこと。従来の店舗とは明確な差別化があるようです。従来のオリオン書房と新機軸のブックカフェ業態「ペーパーウォール」との中間といったところ》かとあります。
PAPER WALL既存2店が20坪ほどであるのに比べ、100坪弱の今回のお店は、駅前や駅ビルなどの一般書店ほどもあります。カフェスペースとのバランスにもよりますが、セレクトショップ的品揃えのPAPER WALLよりも書籍・雑誌の品揃えを拡大するのか、それとも、書籍・雑誌以外の商品が増えるのか、気になりますね。楽しみなお店です。
そうそう、大崎・五反田の書店について書いたばかりで山の手線の南部エリアの話題が偶然続きますが、品川のPAPER WALLもようやくゆっくり見てくることができたので、ふれておきましょう。
広さは立川のPAPER WALLと同じぐらい(数字上は、わずかに品川が広い)。駅構内の書店として、雑誌や文庫・コミックの新刊など、「ふつう」の本の割合も高い立川に比べると、こちらのほうが「セレクト」された感が強い本の並びになっていますね。品川は、駅構内にBOOK EXPRESSエキュート品川サウス店があり、同じ駅構内といっても、あちらは山の手線のホームから階段をあがってすぐのところにあるのに対し、PWはそこから少し離れたエキュートの、さらに2階、一般書店的な品揃えを張り合ってもしかたありませんから、ある意味当然なんでしょう。
【“立川に、新たなオリオンのお店が……そして、品川PAPER WALLについても少し”の続きを読む】
書店関連の話題のうち、開店閉店以外の情報で、Webやツイッターで目についたものからいくつかピックアップしてご紹介します。
まずは、ツイッターで話題になっていた、こちらを。
《いわゆる「売れ筋」というものが自動的に注文されるシステムです。》《この稼動によって、店舗からの注文は一部を除いてできなくなり、またs-bookやwebまるこからの注文も、してはいけないことになるそうです。》などとされているこのシステム、書店好きとしては非常に気になります。記事全文と、さらには、ツイッターでの書店員さんたちの反応をすべて引用したいぐらいですが、それはこちらがすべきことではないので、興味を持たれた方はこの記事をご覧になったうえで、いろいろ情報をあたってみてください。
《日本最大の書店が昨年オープンするなど、書店“激戦区”の大阪・梅田で、ユニークなアイデアで客を取り込もうとする店舗が相次いでいる》なるリードで始まるこの記事、三省堂書店ルクア大阪店の「ブック&カフェ」や書店内書店、スタンダードブックストア茶屋町の雑貨店のような店造り、紀伊國屋書店梅田本店の書評合戦「ビブリオバトル」が紹介されています。梅田の書店事情の盛り上がりについては、この空犬通信でもMJ梅田訪問記のこの記事をはじめ、何度か取り上げていますが、こうして全国紙で、「不況」を憂うノリ(そういうのが多い)ではないかたちで取り上げられるのは、やはりうれしいことです。
記事の最後には、関西ウォーカーの玉置泰紀編集長のこんなことばが引かれています。《「店舗数が増え、さまざまな趣向を凝らした書店が登場することは客側にとって本へのアプローチがしやすくプラスになる。書店がサロンのように交流の場、文化発信の場として進化していくことも意義深い」》
元気いっぱいの梅田と違い、2か月を過ぎたいまもなお、厳しい話題の多い東北の書店。今朝の朝日新聞にも、作家熊谷達也さんによる「“辺境”“忍耐づよさ”だけでなく(「ニュースの本棚」)、「町から町へ東北の本」(「本の舞台裏」)の2本、東北関連の記事が載っていましたね。ときどき、被災地の書店の営業再開などの知らせを、Webやツイッターで見かけると、それが行ったことのない地域、知らないお店であっても、とてもほっとした気分にさせられますが、一方で、いまなお休業を強いられているところ、連絡のとれないところもあると聞くたびに、心が痛みます。
記事を引きます。《日本出版インフラセンター(JPO)の書店マスタ管理センターは青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県で書店マスタに登録されている書店、大学生協の1253店を対象に、現在営業している書店リストを5月下旬からサイト上に公開する。営業店は約1100店の見通し。これらの情報は日書連、取協、出版社、地方紙、業界紙の情報提供からまとめるもの。随時更新する予定。スタンド販売店、ネット書店、コンビニエンスストア、書店本部・営業所は含まれない。書店マスタ管理センターのサイトはhttp://www.ksmaster.jp/》。
この件、出版関連業の集中する東京にいる我々は当然のことですが、よその地域の話だからといって、無関心でいたり、忘れてしまったりすることのないよう、常に目を向けていたいですね。
この空犬通信ではたびたび取り上げていますが、わたくし空犬は書店独自の情報発信にとても興味があるもので、書店が独自に出しているフリーペーパーの類が大好き。そうしたフリペとの出会いは、書店をおとずれる際の楽しみの1つになっています。
ふつう、この手のフリペは、そのお店が独自で出すもの。他店のフリペを置く例は少なく、同じチェーン内でも、よその支店で出しているフリペを置くような例はほとんど聞いたことがありませんでした。
それでも、たとえば先日、合同開催フェアを紹介した千駄木の往来堂書店と吉祥寺のBOOKSルーエのように、独立系のお店ならば、お互いのフリペを置いたり、お互いのフリペに寄稿し合ったりということも比較的実現しやすいでしょう。吉っ読の飲み会でフリペ好きを引き合わせたり、大阪でゲットしてきたおもしろフリペを東京の書店飲み会で配ったりするのも、そういうコラボがいろんなところで実現すればいいのになあ、という思いからだったりするのです。
で、この記事の件、話題になっているお店とフリペは、三省堂書店有楽町店(@yrakch_sanseido)の「ブンブンコ通信」と丸善ラゾーナ川崎店(@maruzenkawasaki )の「最近こんなの読みました」。どちらも全国チェーンですからね。このような交流は、めずらしいケースではないでしょうか。
【“発注代行、被災地書店営業情報、書店フリペコラボ、ドライブスルー書店……新刊書店の話題いろいろ”の続きを読む】
読書時間と睡眠時間を削ってまで、毎日代わり映えのしない話題の駄文をこんなふうにさらして、自己満足以外にいったいなんの意味があるのかなどと悩みながらも、今日もまたまた書店レポをまとめている空犬です。
先週、5/18、東京・大崎に文教堂書店大崎店がオープンしていますね。場所は、大崎ニューシティの1階で、広さは160坪。
ふだんは降りることのない駅なもので、あまりくわしくないのですが、大崎の書店といえば、文星堂。文星堂大崎ゲートシティ店と、Think Park店、駅前店の3店、でいいのかな。そういえば、かつてはニューシティ内にも文星堂がありましたね。そこに別のチェーンの新店が入ったわけですね。あと、駅にはBOOK EXPRESS大崎店もあります。
大崎で新店と言えば、しばらく前の記事で紹介済みのTSUTAYA大崎駅前店のオープンもまもなくですね。開店日が報じられていませんでしたが、求人サイトなどによれば7/1になったようです。大崎は、大型店こそありませんが、複数の書店があったところに、さらに複数の新店が加わるわけで、商圏の広さを考えればそれなりの数になります。書店的におもしろいエリアになりそうですね。
新刊書店が充実していると言えば、お隣駅、五反田もそうですね。昨日、近くに用事があったので、久しぶりに五反田の新刊書店をチェックしてきましたよ。いくつかお店がありますから、うち、もっとも書店好きの興味を引きそうな、あゆみBooks五反田店を中心にレポートします。
同店は、JR五反田駅から徒歩数分。駅からの途中には、明屋書店五反田店があります。
↑2店は、外観からして、雰囲気がずいぶん違います。
80坪を切るぐらいのスペースに、各ジャンルをバランスよくそろえつつ、雑誌棚にはアダルト雑誌やギャンブル雑誌のコーナーがしっかりあったり、文庫棚では時代小説やアダルト文庫が目立つなど、全体に「お父さん向け」っぽさが目立つ感じの明屋と比べると、あゆみは、一見おしゃれっぽい感じで、客層もお父さんよりは女性やもう少し若い層を意識したような感じ。かといって、過度のおしゃれ感による敷居の高い感じはなく、ジャンルのバランスもいい。書店好き本好きなら、入り口を入るとすぐに、おっ、ここには何かありそうだぞ、と、そんなことを思わせる雰囲気があります。
広さは150坪ほど。奥行きがあること、背の高い棚でスペースを埋める造りでないことのせいか、外から見た印象よりも広く見えます。入り口を入ってすぐ左に、芸術書のコーナーがあります。ガラスのウインドーから日の差し込む明るい一画で、お店のこんないい場所を芸術書にあてているのがまずすごい。
↑芸術書コーナーを外から見たところ。サイトのバナーでもプッシュされている『絵のある岩波文庫』(芸術新聞社)の手書きチラシが貼ってあります。写真で、店内の棚に、大判の洋書がいくつか面陳になっているのが見えるでしょうか。『The Big Book of Breasts 3D』なる、書名そのままの本(いや、中は見てないんですが、きっとそうでしょう;笑)が飾られていたりします。
上の写真は、店外に貼られていたチラシの例ですが、店内にも、この種のチラシやPOPは、あちこちで目につきました。店内に何か所かある平台のセレクトにも工夫や遊び心があってなかなか楽しい。雑誌の平台では、この時点では新刊の『BRUTUS』書店特集と、少し前に出ている『ケトル』書店特集、『本屋さんへ行こう』(エイムック)がまとめて並べてありました。これに、『MOE』の絵本屋さん特集も加えて、一緒に並べたくなったりしますが、雑誌だとタイミングやスペースの問題もあってむずかしいのか、意外に他のお店では見かけませんね(この日だけで、10店ほど回りましたが、書店特集雑誌をまとめていたのはここだけでした)。
そして、コミックコーナーがこれまたおもしろい。コミックはよくわからないんですが、でも、そのよくわからない者にも、楽しさが伝わってきます。POPがあちこちに立っているのはもちろん、平積み・面陳の1冊目が見本になっているものも多く、作者や表紙だけで中身の想像ができないぼくのような門外漢でも安心して選べます。
【“大崎の新店情報……そしてお隣駅、五反田で書店巡り”の続きを読む】
リアル書店派なので、取り上げなくてもいいかなと思いつつ、片方はリアル書店に大いに関係のある件だし、同じ日に案内が届いたのも何かの縁(?)ということで、今日届いた電子書籍関連のストアオープンの案内2件を、簡単に紹介しておきましょう。
- 「「グーテンベルク21」ストア 本日オープン!」(ボイジャーニュース VOL.247 2011年5月20日号)
- 「紀伊國屋書店 電子書籍サービスを本格始動!コンテンツも大幅拡大(Kinokuniya Point メール 2011.5.20)
どちらもメルマガで届いたもの。まずは、「グーテンベルク21」のほうですが、このような内容だとのことです。《世界の文学専門ショップ「グーテンベルク21」ストアが本日5月20日よりオープンいたしました。一度は読んでおきたい世界の名作700タイトルをPC/iPhone/iPadでどうぞ!》
700……タイトル数がちょっと微妙な数字ですねえ。中身はどうなってるのか見てみましょう。《■古典からミステリー、SF、落語まで 700作品をラインアップ■
グーテンベルク21は海外古典文学を中心にSF、ミステリー、落語といった幅広いジャンルを扱う出版社です。今回「VOYAGER STORE」に加わった「グーテンベルク21」ストアでは、グーテンベルク21のすべての作品を順次発売いたします。まずは本日5月20日に第1弾として500作品を販売。第2弾となる200作品は近日中に配信開始予定です。》
第2弾も入れて、やっと1000に届くかどうか、という点数。で、しかも、古典中心ということで、当然目新しさはそれほどありません。ただ、近刊案内をみると、「ガルシア・マルケス全短編」なんてのも入ってますから、今後は、コアな本読みの期待に応えられそうなタイトルもどんどん増えてくるのかもしれませんね。
書店派としてより気になるのは、やはり紀伊國屋書店のほうですね。サービスがすでに昨年から始まっているのは、書店・電子書籍に関心のある方ならご存じの通り。今日告知されたのは、配信対象のデバイスの拡大です。こちらも、Kinokuniya Point メールから、その中身についてふれた部分をちょっと引いてみます。
《紀伊國屋書店では昨年12月から電子書籍の配信・販売サービス「紀伊國屋BookWebPlus」を開始し、パソコン向けに配信を行ってきました。そして、5月20日(金)より電子書籍の配信対象デバイスをスマートフォン、タブレット型多機能端末へと拡大しました。第一弾は、アンドロイドOS搭載のスマートフォンおよびタブレット向けサービスで、ストア・アプリ「紀伊國屋書店kinoppy」(キノッピー)をアンドロイドマーケットで無料配布し、電子書籍を販売いたします。》
《「紀伊國屋書店がアンドロイド向け電子書籍スタート『カラマーゾフの兄弟』、『天地明察』ほか約5,000タイトル」のニュースはこちら。》
「キノッピー」かあ。なるほど(笑)。で、どんなものかというと。《「紀伊國屋書店Kinoppy」は書籍の検索・購入決済・ダウンロードを行う「ストア」、電子書籍を読む「ビューア」、購入した書籍を整理する「ライブラリ」の3つの機能を備えた統合アプリケーションです。電子書籍に加え、プリント版の本の検索・注文も可能で、店舗やオンラインストア「BookWeb」の「紀伊國屋ポイント」も利用できます。》だそうです。
【“ボイジャーと紀伊國屋書店……同じ日に電子書籍ストア関係のニュースが2件”の続きを読む】
持ってる単行本が文庫化された場合、文庫のほうに解説など付録的要素がついていることが多いし、両方で持っておきたい本もあるから、それほどくやしい感じはしませんが、同じ形態・判型で、追加増補版・新装版・改訂版・特装版などが出た場合は、けっこう悔しかったり、購入を迷ったりすることってありますよね。
最近出た本だと、これがそうでした。
ムックがちょっと新しくなったぐらいなら、ふつうはそれほど心動かされないんだけど、よりによって中上だからなあ……。悩ましい。
もちろん前の版を持ってるんだけど、問題は、何が増補されてるのか、ですよね。で、中身、どう違うのかな、とツイッターでつぶやいていたら、版元の方がツイッターで教えてくれました。《『増補新版 中上健次』は、映画「軽蔑」監督、廣木隆一さんのインタヴューを新規収録してい》るそうです。中上のこの映画については、以前の記事で紹介済みで、よろしければそちらもご覧ください。映画の公式サイトはこちら。
そうそう、中上健次と言えば、
青山ブックンセンターの本店に、《中上健次『軽蔑』を看板にしたミニコーナー》があるそうですよ。写真は
こちら。中上ファンは見に行かないといけませんね。
で、この増補新版ですが……たぶん買うことになりそうです、というか買います。表紙も違うしね……。ほんと、ファンにはうれしい悲鳴ですよ(苦笑)。
ところで。最初の話題に戻りますが、本が別のかたちで出るケースで、小説、それもひと昔前の小説愛好家にとって、ちょっと悩ましいパタンがあります。講談社文芸文庫に入るケースですね。
【“新版・増補版はいつも悩ましい……河出の中上健次ムックが新版で復活”の続きを読む】
早いもので、5月も半ばを過ぎ、ふと気がつけば、東京国際ブックフェア(TIBF)まで、あと1か月半ほど。案内自体はしばらく前から目にしていましたが、招待券が、今日会社のほうに送られてきて、もうそんな季節なのだなあと気づいた次第。
今年は第18回、会期は、7月7日(木)~7月10日(日)で、場所は昨年と同じ、ビッグサイト。詳細は、公式サイトでチェックしてみてください。
池袋でやっていた時代からほぼ毎年通っているこのフェア、もちろん今年も出かけていくつもりですよ。ちなみに、昨年訪問したときのレポ記事はこちら。
ブックフェアでは毎回、無料・有料合わせ、いくつかの講演・セミナーが用意されています。詳細は、「東京国際ブックフェア 専門セミナー」を見ていただくとして、たくさんあるうち、書店関連で気になるものをピックアップしてみます。
毎年、会期中の土曜日午前中に行われる特別講演で、今回は、7月9日(土)10:00~11:40。無料ですが、事前申込が必要になっています。
サイトによれば、《電子書籍が大きな話題になる中で、書店が衰退業種のようにみられることもある。確かに書店界全体でみれば、この10年で日本の書店数は大幅に減少し、新規参入が少ないという構造的な問題を抱えているが、現実には今でも多くの人を惹きつける書店は存在する。果たして今後、書店が果たすべき役割とは、そして、魅力の源泉とは何なのかを考えることで、書店の未来像を探る。》という内容。パネリストは、翻訳家の青山南さん、国立情報学研究所の高野明彦さん、大垣書店の大垣守弘さん、コーディネーターはフリーライターの永江朗さん。
木金のどちらかも出かけることを思うと、土曜日の2時間ほどのために、ビッグサイトまで出ていくのはちょっと面倒だったりもするんですが(苦笑)、こんなblogをやっている者としては、「書店について考える」講演と言われたら、やっぱり聞きに行かないとね。
有料の書店員向けセミナーには、このようなものが。
- TB-1≪書店経営≫『書店生き残りの工夫~街の文化を支える「あゆみBooks」の事例から~』
- TB-5≪売り場≫『小さな本屋は街の文化発信基地 ~ブックスキューブリックの10年~』
- TB-6≪売り場≫『お客様を知る力は日本一!の書店員 1500人の趣向を把握し、販売につなげる接客とは?』
1つめ『生き残り』は、7月7日(木)13:20~14:20で、講師はあゆみBooks専務取締役営業本部長の鈴木孝信さん。2つめ『小さな本屋』は、7月8日(金)10:00~11:00で、講師はブックスキューブリック店主の大井実さん。3つめ『お客様』は、7月8日(金)11:40~12:40で、講師は隆祥館書店取締役営業部長の二村知子さん。
出版流通セミナーにも書店に関心のある向きには気になるテーマのものがあります。
【“東京国際ブックフェア、まもなくですね”の続きを読む】
昨年の「ブックンロール」は、トークが中心で、バンド演奏は、吉っ読のバンド「ブックスピストルズ」のみ、それもトークが始まる前のごく短時間、前座のような扱いでしたが、もう少し音楽のパートを増やそうということで、今回は3つのバンドが出演しますよ。
C調ボーイズ(夏葉社、島田さんのバンド)
ブックスピストルズ(「吉っ読」のバンド)
酔舎バンド with みぎたとしき(出版・書店関係者によるバンド)
どんなバンドなのか、以下、簡単にご紹介します。
C調ボーイズ
Vo 渡辺佑一(ミシマ社)
G 篠崎凡(三省堂書店神保町本店)
B 雨宮雅美(三省堂書店神保町本店)
Dr 島田潤一郎(夏葉社)
イベントのオープニングをつとめるのは、ユニークな一人出版社として業界の内外から大注目の夏葉社、島田潤一郎さん率いるC調ボーイズ。渋すぎるその出版物からは想像できないかもしれませんが、島田さんはかなりの音楽好き。このイベントの話をもちかけたら、楽器歴ほぼゼロ、バンド経験もほぼゼロ、バンドのメンバーでさえ確定していなかったというのに、出演を快諾してくれました(笑)。さすが、自分の出したい本を出すために出版社を立ち上げてしまった人だけあって、趣味の面でもやることがまさにチャレンジャーですよね(笑)。
メンバーは、夏葉社の本を精力的に売ってくれた三省堂書店神保町本店から2人、そして出版仲間が1人。驚くべきは、バンド経験があるのは雨宮さんのみ(最初に書いたとき、「篠崎さん」としてしまいました。失礼しました)、他のお2人も島田さん同様、楽器・バンド経験はほぼゼロだということ。この話を島田さんに持ちかけられてから、楽器を買いにいったといいますから、ほんと、類は友を呼ぶというかなんというか、チャレンジ精神にあふれた人の回りにはそういう人たちが集まってくる、ということですね。
C調ボーイズはもちろん、このブックンロールがデビューステージとなります。ジャンルは、ロック。はたして、どんな演奏を聴かせてくれるか、バンドをけしかけた張本人であるわたくし空犬も、とても楽しみにしています(笑)。島田さんの、一人出版社や古本に関するトークは、これからもあちこちで聞けるかもしれませんが、島田さんのバンド演奏が聴けるのは、ブックンロールだけです(たぶん)。
【“ブックンロールの出演バンドを紹介します”の続きを読む】
昨日は、多摩センター他、東京西部エリアで書店回りをしてきましたので、ごく簡単に訪問記を。まずは、開店前からずっと気になっていた、丸善多摩センター店から。
↑場所は、京王・小田急多摩センター駅から徒歩数分。店内は撮れないので、外観を。前回訪問時、同店開店前の写真はこちら(詳細がわかる前に書いた記事なので、文章は今読むとちょっと間抜けな感じではありますが……)。
↑エスカレータを上がった、入り口のあたり。
↑フロアガイド。東西に長いお店なので、3つ折りになってます。
第1印象は、当たり前すぎてなんですが、広いなあ、ですね。昨年来の大型店出店ラッシュで、千坪超というのはもはやめずらしくないような気がしてしまいますが、ワンフロアでこのサイズは、やっぱり広いです。角っこにある、児童書スペースをのぞくと、エスカレータ・出入り口側以外の三方には窓はなく、天井もふつうの高さと、とくに開放的な造りではないため、空間的に広々とした印象はそれほどありませんが、通路の中央にたって、左右を見てみると、はるか彼方に見える壁際までの、その距離感には、やはりちょっとくらくらしますね(笑)。
今回訪問したのは、平日の午後の時間帯。駅から移動してくる途中、三越館内に入ってからも、客層を注意して見てきたんですが、若いお母さんと子ども(未就学児)が目につくほか、年配(高齢、とすべきか)の男女が多いようです。丸善店内の客層もそんな感じですが、若いお母さんの姿よりも、年配の男性の姿が目立ちますね。時間が早いせいか、学生の姿は少ないようでした。
少ないと言えば、フロアにスタッフの方の姿が少ない。初めての訪問ですから、フロアでどなたかに尋ねて担当の方に取り次いでもらおうと思っても、尋ねる相手がいない。レジはお客さんが切れずにいるので、そちらでも尋ねにくい。困ってうろうろしていたら、たまたまヘルプに来ていたという他店の知り合いにばったり会えたのでよかったんですが、そんな幸運がなければ、この日は、あいさつすらできずに退散していたかもしれません。
で、偶然会えた知り合いにお店のことを聞いてみたら、スタッフは少なめで回しているとのことで、オープンからしばらくになるのに、こうしてヘルプ(他にも来ていたそうです)が来ているのは、荷物が処理しきれていなからだとか。実際、お店のあちこちに、作業中と思われる段ボールが目につきました。
このように、こまかく見れば、店内にまだ落ち着かない様子は残っているようでしたが、棚や品揃えの感じ、お店の雰囲気はいつものジュンク堂のそれ、安心して見られるものになっているようで、いくつかのジャンルをざっと眺めてみましたが、分類や品揃えに、大きく気になるようなところはありませんでした。ジャンルのバランスでいうと、コミックがかなり多いような感じを受けましたが、これは近隣の書店との差異化や客層を考えてのことなんでしょうか。フロアガイドで見ると、広さでも、棚の本数でも、やはり多めの印象ですね(上のフロアガイドの写真で、右端に見えている黄緑っぽい部分がすべてコミックです)。
逆に、少ないのは、洋書。しばらく前の記事で、MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店の洋書の品揃えがすごかった、と書きましたが(『BRUTUS』の書店特集でも、同店の洋書の品揃えにふれられていましたね)、今回は「丸善」の看板にしては、洋書は非常に少なめ。なにしろ、フロアガイドのジャンル表示に「洋書」がないぐらいです。これは客層を考えての絞り込みなんでしょうが、年配の男性の姿が目につくこと、店名が「丸善」であることを考えると、そちらを期待している人がいたりはしないのかなと、ちょっと気になったりしました。
ジュンク堂書店では、平台は多用しないお店が多く、棚の端も、平台ではなくて、座り読みスペースになっているところが多いですよね。新宿店がそうだし、昨年できたMJ渋谷も(開店当初こそ、お祝いのお花を飾るのに使われたりしていましたが)そうでした。この丸善にも、棚の端に同様のスペース(台)があるのですが、座り読みスペースにはあてず、平台として使われていました。ただ、このスペース、大人1人が座れる幅+αぐらいのサイズなので、平台としては、ちょっとインパクトにかける感じ。お店全体と、棚のサイズと、棚の本の量を考えると、なんだか平台がちょこんとくっついている、といったふうに見えてしまいます(あくまで私見ですが)。
店内には、児童書スペースの子ども用のものをのぞき、ほかにベンチなどがなく、ジュンクでは定番の座り読みスペースがない造りになっています。フロアのサイズや、年輩のお客さんが少なくないこと、目的買いでないお客さんが多く長時間滞在できるようになっているほうが購買につながりそうな品揃えになっていることなどを考えると、ベンチはあったほうがいいのでは、などと感じましたが、どうでしょうか。実際、疲れてしまったのか、単にエチケットの問題なのかわかりませんが、床に本を広げて読んでいる年輩男性のお客さんを、短い滞在時間中に、別の棚で2人も見かけました。
レジの裏側あたりが、新刊話題書やフェアの棚にあてられていました。フェア棚には地震・震災関連本のほか、「東京の公園にいこう」(うろ覚えです)として、公園のガイドや生き物図鑑などが並び、なかなかいい感じ。
ほかに、丸善のスタッフがおすすめする本、というコーナーもあったのですが、POPなどもとくになく、新旧いろいろの本が面で並ぶだけ、しかも、開始からしばらくになるせいでしょうか、冊数・点数のバランスがちょっとやや乱れ気味に見えなくもない、という感じでした(あくまで、昨日訪問した時点での個人の印象です)。後で、地元の別の書店員さんに聞いたところ、このスペース、オープン時から同じのが続いているようだ、とのこと、スタッフが少ないという先の内部の話と合わせると、棚に手を入れるのが追いついていないのかもしれませんね。棚の本数をぜいたくに使っているスペースだけに、ちょっともったいない気がしてしまいました。
いくつか気になる点はあったものの、それは、言わば書店オタと言っていい、当方のようなものが見て気になるかどうかのレベル。ふつうに見れば、圧倒的な品揃えの書店であることはまちがいありません。同じ商圏にある他の書店にこれまで置かれていなかったであろう専門書がたくさんそろっているのはもちろん、先にふれたとおり、コミックは大変な充実ぶりのようですし(物量的なこと以外はよくわからないのですが)、ファミリーの多いエリアのデパート内の書店ということで、児童書コーナーはとても居心地のよさそうな感じになっているなど、幅広い年齢層に喜ばれそうなお店になっているようでした。
となると、周囲の書店への影響がどんな感じなのかも気になります。まずは、いちばん近い、くまざわ書店丘の上プラザ店へ。
以前の記事にも書きましたが、こちらは、日焼けが心配になるぐらい、窓側に開放部を大きくとった、明るく開放的なお店です。上の写真にもありますが、角度によっては、街路樹の緑が目に入り、いい感じ。がらがらだったらどうしようと思ってのぞいてみましたが、イトーヨーカドー内のお店ということで、施設にお客さんがついているのでしょう、お店にはけっこう人がいて、にぎわっていました。くまざわのカリヨンは今回は寄れず。
前回、リニューアルオープンしたばかりの姿を紹介した啓文堂書店多摩センター店。前回訪問時と、いくつか棚の感じが違っていましたが、そうした日々の手入れで、店内も落ち着いてきたのでしょう。明るくて、本を探しやすい店内になっています。とくに、文庫の多面積みはけっこうな迫力ですよ。
【“丸善多摩センター店を訪問……さらに立川、八王子で書店回りを”の続きを読む】
今日は、午後、書店回り、移動の道中の読書は、書店特集の『BRUTUS』、夜は仲良しの書店員さんと飲みと、書店漬けの一日を過ごしてきた空犬です。
今日の書店回りでは、開店前から何度もこの空犬通信では取り上げながら、なかなか訪問の機会を作れずにいた丸善多摩センター店をやっと見てくることができましたよ。そのレポート、それから『BRUTUS』の書店特集については、明日以降、あらためて取り上げたいと思います。
今日買った本たち。
- 『BRUTUS』No.709(2011/5/16)
- 萩尾望都『音楽の在りて』(イースト・プレス)
本・書店・吉祥寺がテーマのイベント「ブックンロール」、当日まであとひと月となりました。
BOOK‘N’ROLL Vol.3
~街の本屋ですが何か?~
日時:2011年6月17日(金)
OPEN 19:00 START 19:30(~22:30)
場所:荻窪ルースター・ノースサイド
会費:1000円程度(未定;飲食別)
出演:
(トークの部)笈入建志さん(往来堂書店)・長谷川仁美さん(BOOK EXPRESS)・花本武(BOOKSルーエ)
(バンド演奏の部)C調ボーイズ・ブックスピストルズ・酔舎バンド
主催:吉祥寺書店員の会「吉っ読」
開場と開始の時間が変更になりました。開場が19時、開始が19時半です。少しでも多くの方に最初から見ていただけるよう、30分ずつずらしました。もちろん、途中から来ていただいてもまったく問題ありません。
また、当初500円程度としていた入場料についても変更させていただきました。3.11後に開催するイベントです。やはり、出版・書店に関わる者として何かしたいという思いがあり、入場料の一部を募金することを考えています。詳細は、出演者や会場と相談して確定しますので、確定しましたらまたご案内を差し上げます。
当日は、トークのほかに出版・書店関係者が中心になったバンドのライヴもありますが、出演バンドが確定しました。それぞれがどんなバンドかは、記事をあらためてご紹介します。
連休最終日にあげようと思っていた記事なので、今さら感がありありなんですが、途中まで書いたこともあり、また、今晩のネタもありなので、アップしておきます。連休にはこんな本たちを読みましたよ。全部だとけっこうな冊数なので、主なものに絞って紹介します。
- クラフト・エヴィング商會『おかしな本棚』(朝日新聞出版)
- 幸村誠『プラネテス』(講談社、モーニングKC)
- 車谷長吉『人生の四苦八苦』(新書館)
- 中井久夫『災害がほんとうに襲った時 阪神淡路大震災50日間の記録』(みすず書房)
- 『音盤時代』Vol.0(ディスクユニオン)
- 野呂邦暢『ふたりの女』(集英社)
『おかしな本棚』、ツイッターで何度も書きましたが、これ、ものすごーく好みの本で、買ってしばらくは毎日眺めてました。この本については、稿をあらためて紹介したいと思います。
この空犬通信には何度も書いてますが、子どもの頃に読んでいたなつかし漫画(手塚・藤子・松本・石森とかそのあたり)をたまに読み返すような場合をのぞくと、ふだん、コミックはほとんど読みません。そんな非コミック読みなんですが、この『プラネテス』はなんとなく気になって読み始めちゃったんですよねえ。
だって、宇宙SF好きとしては気になるではないですか。デブリ(宇宙ゴミ)の回収業者が主人公だなんて。SFはそれなりに読んできたし、SF映画も相当たくさん観てきましたが、デブリが重要なアイテムとして出てきたり、それを回収・処理する人たちが主人公だったりする作品なんて、ちょっと思いつきませんからね(ぼくが不勉強なだけで、有名作品があったりしたら、ごめんなさい……)。
最初の1編を読んで読むかどうか決めようと思って手にしたら……すっかりやられちゃいましたね。っていうか、ずるいですよ、最初の1編がSF者、とくに宇宙SFが好きな者にはちょっとたまらないようなエピソードになってますからね。ふだんは恋愛ものって苦手なんですが、このラストは泣きましたねえ。
手に取ったきっかけは、ツイッターである方がこの本にふれているのが目に止まった、それだけです。その時点ではまだお会いしたこともない方の、書評やブログでの紹介記事のような長いものならともかく、ひとことに近いような紹介、それだけでふだん読まないコミックを買ってみようとまで思ったんだから、出会いってタイミングなんですかねえ。ほんと、なんでそんな惹かれたのか、自分でも理由がよくわかりません……。
今のところ4巻まで出ているんですが、あっという間に全部読んでしまい、いままた再読しているところです。そうそう再読というのは、今晩、ツイッターでの座談会があるから、それに備えて予習復習しておこうと思って。このツイッター座談会は、三省堂書店海老名店の方が企画されたもの。海老名店のスタッフの方による、座談会の詳細はこちら。「5月14日(土)23時30分より『プラネテス』twitter座談会開催!」(三省堂書店公式ブログ)。「座談会」はわかるとして、その前に「ツイッター」がつくと、どんな感じなのか想像がつかなくなる方も多いと思いますが、そのような方は、ツイッター座談会前回のものが記録としてまとまってますから、それをご覧になるといいでしょう。こちら。
ね、おもしろそうでしょ。ぼくも今晩は夜更かしして楽しもうと思っているんですが、こんな時間(この記事書いているのは夕方)から飲み始めていたりするもので、はて、深夜までもつかどうか(苦笑)。ツイッター座談会、ハッシュタグは、#plnts。
『人生の四苦八苦』、車谷さんのエッセイですが、冒頭から車谷節全開。なにしろ、1編目の最初の文章が、「私は犬が嫌いである」、ですから(笑)。いつもと同じと言えばそれまでなんですが、そのいつもの車谷節(著者を読んでいない人でも、朝日新聞に人生相談欄のノリだと言えば、どんな感じかわかるでしょう)が好きな方は読まざるを得ないでしょう。いつものように、東京堂書店でサイン本を購入。
【“連休中に読んだ本を今ごろ……そして今晩は『プラネテス』座談会”の続きを読む】
全国に行きたい書店がたくさんあるのに、なかなか行けない空犬です。書店だけではなくて、行きたいブックイベントもたくさんあるから大変です。行きたいのになかなか行けずにいるブックイベントの代表格が、名古屋のブックマークと福岡のブックオカ。前者は今年も逃してしまったんですが、後者は、今年こそ行こう、わいわいとにぎやかなメンバーで一緒に行こう、なんて話を、作家で、書店に強力なネットワークをお持ちの碧野圭(@aonokei)さんとツイッターでやりとりしたりしていますので、もしかしたら今年こそ福岡行きが実現するかもしれません。今から、仕事、調整しなくっちゃ……。
さて、このように今や全国のあちこちで盛り上がっているブックイベント。東北にもあるんですよね。今回は、東北のイベントを2つ、盛岡のモリブロ2011と仙台のブックブック仙台を紹介します。
まず、前者のモリブロ2011は、岩手県盛岡市のブックイベント。サイトには、《「本でつながる、気持ちひろがる。盛岡(モリーオ)から。」~緑萌える5月、盛岡で、本を楽しむイベントがはじまります!~》とあります。
イベントのネーミングについては、こんなふうに説明されています。《「モリブロ」という名前は、宮沢賢治が愛したエスペラント語の「モリーオ」と「リブロ」を合わせた造語。「モリーオ」は賢治の作品「ポラーノの広場」に登場する街の名前で、盛岡がモデルと考えられています。そして「リブロ」は「本」を指す言葉です》。
イベントの詳細については、サイトの一覧を見ていただくのがいいでしょう。一箱古本市、コンサート、トーク、出版ワークショップ、展示など、本好き書店好きが関心を持ちそうなものがたくさん並んでいます。「岩手の装丁家たち」なんて、装丁好きとしては気になるなあ。地元の装丁家で展示ができてしまうなんて、なかなかすごいではないですか。
イベントは、もう始まっていて、開催期間は5/1~5/31。公会堂のメインイベントは、5/14、15って、明日あさってだ! 紹介しなきゃと思っているうちに、前日になってしまいました。すみません……。
岩手県盛岡市と言えば、先日紹介したさわや書店の所在地でもあります。さわや書店にはいつか必ず足を運ぶつもりでいるのですが、同じ街でこんなすてきなイベントが開催されているとなったら、時期を合わせていくのがよさそうにも思えてきます。うーん、行きたいお店、行きたいイベントがまた増えてしまって、うれしい悲鳴です。
もう1つ、仙台のブックブック仙台。サイトの説明によれば、《2008年7月に本好きのメンバー10人で「杜の都を本の都にする会」を発足。2009年9月からは「Book! Book! Sendai」の名前でさまざまなプロジェクトを展開中です。》ということだそうです。2011年の開催について、公式サイトも立ち上がっています。「今年も6月の仙台は本の月」をキーワードに、一箱古本市をはじめ、こちらもおもしろそうなイベントが目白押しですね。公式サイトの案内はまだ準備中のものが多く、詳細がわからないものもありますが、「製本講座」「小さな出版社の冒険」「大正100年企画」など、タイトルだけで興味を引かれるものが並んでいますよ。
イベントのメインの1つは、6/25(土)にサンモール一番町で開かれる一箱古本市でしょうか。これに合わせて、碧野圭さんが、広島の書店のお仲間と仙台に行かれるとのこと。一緒にどうかとお誘いをいただいたんですが、6月はこちらも、イベント(ブックンロール)を抱えていますから、今年はちょっと難しいかもなあ……。
一度も行ったことのない盛岡と違って、仙台は仕事で行ったことがあり、駅周辺の書店も回ったことがありますが、それも数年前の話。仙台には、新刊書店以外にも、火星の庭のような気になるお店もありますし、なにより、震災後の街の様子を、書店の今の様子を見てみたい。ああ、仙台も行きたいなあ。
そうそう、仙台と言えば、これも紹介しておきましょう。子どもとあゆむネットワーク。
【“東北のブックイベントが気になります……盛岡の「モリブロ」、仙台の「ブックブック仙台」”の続きを読む】
出版仲間の1人と飲んできて、ゴキゲンで帰宅の空犬です。年齢が違っても、職種が違っても、本の趣味が違っても、それでも、本や書店に関して共通する思いのようなものがある相手とは、実に楽しいお酒を飲めるものですねえ。いい気分で飲み過ぎたので、一刻も早く寝ないと明日がしんどい状態なんですが、今日は、この件についてふれずに寝るわけにはいかない感じです。「新宿三越アルコットが閉店へ 跡地は最大級ビックカメラ」(5/12 Fashionsnap.com)
記事を引きます。《三越伊勢丹ホールディングスは5月12日、「新宿三越アルコット店」の閉店を発表した。2012年3月末をもって営業の終了を予定し、ビックカメラに外部一括賃貸。同館には2012年夏を目処に「ビックカメラ新宿店(仮称)」が出店を予定している。》
百貨店が苦しい状態にあることは、あちこちで相次ぐ閉店や縮小を伝える報道でわかっていたつもりですが、こうして新宿の目抜き通りから、百貨店の代名詞的存在の1つであるお店が消えることになるという報に接する日がくると、やはりあらためて驚かざるを得ませんね。
書店派にとって最大の関心事は、3フロアを占める同施設中最大店舗のジュンク堂書店新宿店がどうなるか、ということでしょう。記事の続きを見ます。
《新宿駅東口エリアに1929年に開店した「三越新宿店」は、2005年に業態転換。テナント集積型の都市型ファッションビル「新宿三越アルコット店」として全館リニューアルオープンした。「LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)」や「Tiffany & Co.(ティファニー)」、「Gap(ギャップ)」、「ジュンク堂書店」などが出店している。面積は約20,000平方メートルで、2011年3月期の売上高は114億8500万円(テナント除く)。三越伊勢丹ホールディングスは「新宿三越アルコット店」の外部一括賃貸にともない、営業を終了することを決めた。》
《ビックカメラは同日、三越伊勢丹ホールディングスと10年間の賃貸借契約を結び、「新宿三越アルコット店」の地下3階~地上8階を利用して最大級の店舗を出店することを発表。数フロアは同社と相乗効果のある他社へ転貸することが検討されている。》
ご覧の通り、施設内の既存店舗がどうなるかについては具体的にふれられていませんが、全館がビックカメラに「一括賃貸」されるとあり、《数フロアは同社と相乗効果のある他社へ転貸することが検討》されているとあることからすると、ジュンク堂書店だけが、今の形態・サイズでそのまま残ることになることはまず考えにくいでしょう。もちろん、ビックカメラと同居している藤沢店(同店は、ビックカメラの7、8Fの2フロア店舗)の例もありますから、新宿店がそのまま残る可能性がゼロとは言い切れないのですが……。
日経新聞にも関連記事がありました。「旧三越新宿店に来夏ビックカメラ 専門店街は閉店」(5/12 日経新聞)。
《三越伊勢丹ホールディングスは12日、東京・新宿の専門店ビル「新宿アルコット」の営業を来年3月末に終了することを明らかにした。跡には家電量販店大手のビックカメラが全館を借り切って来夏に新店舗を開く。アルコットは百貨店の三越新宿店から転換した専門店ビルだが、営業不振でてこ入れを検討していた。》
ジュンク堂書店新宿店は、この空犬通信にも何度も登場しているように、仕事的にも個人的にもとても縁の深い、大事なお店の1つで、仲良しの書店員さんもいますから、お店がこの後どうなるのか、とても気になります。早速、ジュンク堂の知り合いに、この件についてたずねてみたのですが、現場の人も今日知らされたということで、くわしいことはわからない、知らない、とのことでした。明日(5/13)には、なんらかの発表があるらしいということでしたので、まずはその正式発表を待ちたいと思います。明日以降、何かわかりましたら、また記事で取り上げたいと思います。
昨日の楽しい会の影響で、今日もなんだかいい気分の空犬です。
さて、今回も新刊書店の開店閉店関連情報をいくつか紹介したいんですが、その前に、まずはこの記事にふれておきましょう。「【おやこ新聞】まめちしき 「出版不況」ってなに?」(5/10 産経新聞)。タイトル通り、出版不況とは何なのかを、親子のQ&A形式でコンパクトにまとめた記事です。短いので引いてみます。
《Q 最近よく聞く「出版不況(しゅっぱんふきょう)」ってどういうこと?
A 本や雑誌がだんだん売れなくなってきていることだよ。今から15年前(平成8年)には全部で2兆6564億円も売れていたんだけど、その後はほぼ毎年下がり続けていて、2年前(21年)には2兆円も割ってしまったんだ。
Q どうして売れなくなったの?
A いろんな理由が考えられるよ。本をよく読む世代の人口が減ったという指摘もあるし、古本を安く売る店が増えて、新しい本が売れなくなったとも言われている。インターネットで無料でいろんな情報を読めるようになったことも大きい。本屋さんの数も、一番多かった25年前(昭和61年)と比べて半分以下の5000店余りになっているんだ。出版社はパソコンなどで読む電子書籍(しょせき)を増やしたり、売れる本を作ろうと知恵をしぼっているよ。》
一読、新刊書店に関心のある方なら、あれと思われることでしょう。新刊書店が「5000店余り」っていつのまにそんなに減っちゃったの?、ということが。
書店・出版流通を専門に研究している人でもないかぎりは、ざっくりした数字で十分でしょうから丸めて話すと、現在では約15,000店と言われています(アルメディア他の調査より)。たとえば、このような調査・数字があります。「日本の書店数 経済産業省統計とアルメディア調べ」。
新刊書店の数は、記事にもあります通り、統計の取り方によっても差が出ますから、大まかな感じとしては、こんなふうだと思っておくと覚えやすいでしょう(こちらの勘違いや引用ミスなどありましたら、ご指摘ください)。
1980年代初め:約25,000店
1980年代後半~1990年代初め:約27,000~30,000店弱(この頃がピーク)
2000年代初め:約20,000店
2010年:約15,000店
ピーク時の約3万の半分で15,000店。その「1」が落ちたのではないか、というご意見をツイッターでいただきました。最初はそうかな、と思ったんですが、しかし、全国紙の、それも時事的なことを子どもにわかりやすく説明するといった体裁のコラム記事で、万の位の数字を落とす誤字をするかなあ(苦笑)。
ちなみに、日書連(日本書店商業組合連合会)加盟店でみると、現在は5千店台、日書連の加盟店数のピークは1986年です。それにふれた新文化の記事もありますから、ひょっとしてそれを見て書かれたものかなと。ただ、これはあくまで業界団体の加盟店の数で、小売店の実数とは大きな差があります。断り書きなしで、「書店は……店である」などと引用できる数字ではありませんからね。
誤字なのか、ソースを誤ったのか……いずれにせよ、残念なこと。実数と1万もの差がある数字を引いた記事が、「おやこ新聞」という、親が子どもに説明するかのような体裁をとった記事に書かれてしまうというのも困ったものです……。こういう記事を書かれる人にとっては、書店の数などどうでもいいことなのかもしれませんが、その世界で食べている人もいるのだから、気をつけてほしいものです。
さて。書店の開店閉店。まずは、老舗のこちらから。「駅前店15日に閉店 川又書店 茨城」(5/7 MSN産経ニュース)。
《JR水戸駅前の大型書店、川又書店駅前店(水戸市宮町)が15日、閉店する。同社関係者は「(東日本大震災とは)関係ないと聞いている」としており、同社の店舗網の見直しの一環とみられる。/同社は水戸市に本社を置き、県内を地盤とする老舗書店チェーン。同店は午前7時半から営業する珍しい大型書店で、朝の通勤・通学客の利用も目立っていた。/しかし、同社は近隣のJR水戸駅前ビル「エクセル」(同市宮町)にも店舗を構え、商圏が重複することから店舗配置を見直す形となる。駅前店の閉鎖で、同社店舗はエクセル店、県庁店、笠間店の3店となる。/駅前店が入居するビルは、震災で店内にひび割れなどの被害が発生。現在はビルの所有者側が補修作業を進めている。》
川又書店と言えば、『日本の書店百年』(青英舎)にも載っている、明治創業の老舗のはず(同書では、激動の時代を「堅実経営」で乗り切ったお店として紹介されています)。ところが、同店のサイトで会社案内を見てみると、2005年創立とある。おかしいなと思って調べたらこういうことのようでした。「茨城・川又書店、ブックエースに営業権譲渡」(2006/10/04 新文化)。
古い記事なので、別サイトに引用されていた記事を引かせていただきます。《10月1日付で、茨城県を中心に4県でチェーン展開するブックエースが、水戸市などで6店舗を運営する川又書店の営業権を譲り受ける。》
さらにくわしいことを、と思って調べたら、「倒産情報」(日刊TOKO情報 企業動向)に情報がみつかりました。「特別清算開始決定受ける 負債総額12億円内外」。記事の中身を見てみます。
【“川又書店、喜久屋書店、書原、今野書店他……新刊書店のいろいろ”の続きを読む】
今日は、さわや書店フェザン店(岩手県盛岡市)の田口さんを囲む会、通称「さわやナイト」に参加してきましたよ。書店員のみなさんと版元の営業担当のみなさんを中心に40数名もの方が参加、実ににぎやかで楽しい会でした。
(以下、会に参加していない方にはなんのことやらわからない話になっているかもしれません……。)
【“さわや書店さんを囲む会は、本当にすごかった……”の続きを読む】
後日あらためてとしていた、往来堂書店(千駄木)・BOOKSルーエ(吉祥寺)の合同フェア、「活字ばかりが文庫じゃない! 2店合同「非活字文庫」フェア!」を紹介します。
↑左が往来堂書店、右がBOOKSルーエ。
これは、《「文庫」といっても、「文」を集めたものだけが、文庫ではありません。漫画・絵・写真……活字がメインではないおもしろ文庫はたくさんあるのです。そうした「非活字」文庫を集めてみました》という内容のフェア(チラシより)。
↑フェアのチラシ。フェアの書目一覧が載っています。チラシの内容は2店でそろえましたが、見せ方・使い方はお店の自由ということで、サイズも裏面の使い方も違ったものになっています。くわしくはぜひ実物でご確認を。
これまでもフリペにお互いに寄稿しあったり、相手のお店のフェアに協力したりと、いろいろなかたちでコラボしてきた両店。今回のフェアは、テーマから時期からすべて、ゼロから相談して決定、実現したフェアです。ちなみに、わたくし空犬も、企画や選書に、ちょびっとだけお手伝いさせてもらったりしています。そんなフェアがこんなふうに実現して、なかなか好評だと聞くのはやはりうれしいものです。
フェアは両店共通のセレクトが全体の半分ほど。残りは、各店独自のセレクトになっています。フェアの選書は、まずは共通分を相談しながら決定。残りのお店独自セレクトは、両店がお互いに何を選ぶかわからない状態で選んだのですが、すり合わせも何もしていないのに、20点近い本に1冊の重複もありませんでした。さすがです。
本の選び方はもちろん、店頭を見ると、本の並べ方・見せ方などにも各店の個性が出ていて、ユニークなものになっていますよ。どちらかのお店を見るだけでも十分に楽しめるフェアですが、両店を見比べると、楽しみもさらに増すかと思います。フェアは、5月末まで開催予定。まだ20日少しありますので、関東近郊の方はぜひ両店のフェアを訪ねてみてください。
以下、それぞれのお店の店頭の様子を、写真入りで紹介します。お店を訪問する楽しみを奪うことになっていはいけませんので、お店での出会いを大切にしたい方、どんな本があるかは店頭で見るまで知りたくない、という方は、お店を訪問するまで、以下はご覧にならないようにしてください。
【“往来堂・ルーエ合同「非活字文庫フェア」、5月末まで開催中です”の続きを読む】
まだ4回目、というのがなんだか不思議に思えるぐらい、吉祥寺名物として定着した感のある吉祥寺バウスシアターの「爆音映画祭」。この夏のプログラムがサイトで発表になっていますね。上映作品はこちら。
前回の音楽編はピンク・フロイド『ライブ・アット・ポンペイ』が入っていて、びっくりするやらうれしいやらで大変だったけど(結局見にいけなかったけど;泣)、今回もすごいなあ。音楽映画に、特撮に、アクションに、バイオレンスに、カルトに……うわー、好みのがいっぱい、これはたまらんなあ。
最近の作では、『キック・アス』が入っているのがうれしすぎるけど、過去作では、(東宝特撮の4作を別格とすれば)この2作が入ってるのが、個人的にうれしすぎます。どちらも大好き。
- 『エレメント・オブ・クライム』(1984年、監督:ラース・フォン・トリアー)
- 『ハーダー・ゼイ・カム』(1972年、監督:ペリー・ヘンゼル)
【“爆音映画祭、第4回の上映作品がgoodな件”の続きを読む】
ここ数日、夜中に眺めているツイッターでの書店員さんたちのやりとりがおもしろすぎて、寝不足気味、飲み過ぎ、かつ、ぜんぜん本が読めていない空犬です。
その書店員さんたちのやりとり、他愛のないものもたくさんありますが(失礼!)、なかには、現役の書店員の方にはもちろん、そうでない一般の本好き書店好きの方にもぜひ読んでいただきたいような、とてもおもしろいものがいろいろあったりするのですよ。というわけで、そういうやりとりのなかから、いくつか紹介してみます。
こういう説明をつけたおいたほうがいいのか、不要なのかどうかさえよくわからないので、一応補足しておくと、上のリストにあがっているのは、ツイッターで流れたツイートのうち、特定のテーマに関係するものを一連の流れで読めるように、有志の方が、togetter(トゥギャッター)というサービスを利用してまとめてくださったもの(という「まとめ」でいいのだろうか)。
これは……などと内容を説明するのは野暮なので、まずは読んでみてください。上の4つは、(主に新刊書店の)文庫棚の作り方について、5つめは、時代物の小説について、6つめは本を読み始めたきっかけなどについてのやりとりになっています。中心テーマはそうなんですが、いずれの回も脱線や話題の広がりがけっこうあって、その話題の振幅の大きさも含めて、非常におもしろいものになっています。
まとめられたのは、黒夜行さん(@tooorisugari)。黒夜行さんのまとめは、こちら。
このやりとりをしているのは、主に新刊書店の現役書店員さんたち。発言されているのが、いったいどんな書店員さんなのか、ということに興味をおぼえた方は、とみたさん(@tomittel)がまとめられた一連のまとめを読まれるとおもしろいかと思いますよ。これも、読んでいただく以外に説明のしようがないので、書店と書店員と、彼らの本の話、棚の話、お店の話に興味のある方は、のぞいてみてください。
この流れで、こんなものまで作られてますよ。
【“いま、深夜の書店員ツイートがおもしろい!”の続きを読む】
今日は、不忍ブックストリートの一箱古本市に行ってきましたよ。
一箱古本市の開催場所とおすすめルートだけをまとめた地図や資料があればいいのになあ、と思っていたんですが、ちゃんと↓こういうのがあったんですね。
不忍ブックストリートMAPは事前に手に入れていたので、今日、現地ではもらわなかったんですよねえ。買い物をしたときに入れてもらった地図を後で見たら、開催日別に開催場所をまとめた上の地図が入っているのを発見。ちょっと失敗。
失敗と言えば、事前にブログやツイッターで、出店情報をいくつも目にしていたのに、行けばわかるだろうと、メモしておかなかったのも失敗かな。出店者の方は、カードを下げていたり、箱に店名を出していたりするんですが、その場で確認できないこともけっこうあったので。お目当てのところを、ちゃんと回れたのかどうかよくわからない始末。
で、結局どうしたかというと、往来堂書店通いで比較的地理感覚のある千駄木駅で下車、こんなルートで回ってきましたよ。
コシヅカハム→古書ほうろう→旧安田楠雄邸→千駄木の郷→往来堂書店→猫町カフェ29→武藤書店→古書信天翁+深せん(土へんに川)
帰りはJR日暮里駅へ出ました。開催スポットのうち、ギャラリーKINGYOは通り過ぎてしまい、貸はらっぱ音地は大雨のため、回れず。全部回りたかったので、ちょっと残念。
雨といえば、ほんと、今日は参りました。昼前についたときに少しぽつぽつきたので、傘を購入。途中まではほとんど使わずに済んだのですが、猫町カフェを出たあたりだから、15時前かなあ、雨が本格的に降り出して、古書信天翁にたどりつくころには、大雨と言っていい降りになっていました。
夕焼けだんだんのあたりでは、雨水が路面をざあざあ流れ落ちていて、それを見たうちの子が、これ洪水?と聞くほどでしたよ(笑)。そんな雨中の長歩きはよほどこたえたのでしょう、それまで(猫だらけの猫町カフェに大喜びだったこともあって)ご機嫌で付き合ってくれていた子どもの体力気力が一気に限界に達してしまい、予定を大幅に短縮して退散する羽目になってしまいました。
帰りの電車内でツイッターを遡りながら眺めていたら、ツイッターで見かける本好きのみなさんが何人も一箱古本市にいらっしゃっていたことに後になって気づきました。すれちがったり、同じお店にいあわせたりしてたのかも、なんて考えるのも楽しいものです。
終わったばかりで気が早い話ですが、来年も楽しみだなあ。今度こそ、天気に恵まれるといいですね。こちらも、地図や出店者さんの情報など、もっとしっかり準備をしていき、今度こそ全店制覇をねらおうと思います。
大した買い物はできなかったので、報告するほどのこともないんですが、一箱古本市での買い物結果を、戦利品の一部を紹介しつつ、報告しておきましょう。
【“不忍ブックストリートの一箱古本市に行ってきましたよ”の続きを読む】
このところ、開店かリニューアルの話を紹介できることが多くて、書店派としても喜んでいたんですが、久しぶりに、書店の閉店関連ニュースです。代官山の洋書店、hacknet代官山店が、まもなく閉店になるようです。
同店のサイトに、「営業終了のご案内」があがっています。閉店案内の一部を引きます。
《hacknetのオープンから15年、長い間ご愛顧頂き、誠にありがとうございました! 誠に突然ではございますが、2011年5月8日をもちましてhacknet代官山店は、営業を終了させて頂く事となりました。これまで長年にわたり、ご愛顧を頂きました事に、スタッフ一同、心より感謝致しております。》
オンラインショップについては、《引き続き営業致して参ります。お問合せ等もお承り致しておりますので、ぜひご利用下さい》とありますので、あくまで実店舗の営業終了ということで、廃業ということでないようです。
営業終了日まで、「売りつくしセール」が開催されるそうで、その内容については、こうあります。《これまでのご愛顧に感謝致しまして、hacknet代官山店では閉店までの2週間、売りつくしセールを開催致しております。短い期間ではございますが、表示価格より30%offとなっておりますのでお近くにお越しの際には、お立ち寄り頂ければ幸いです。(和書、並びに既にセール価格となっております書籍は対象外となりますので、予めご了承下さい。)
こちらの趣味は、この空犬通信で不必要なぐらいにさらけ出している通り、ほこりっぽかったり、ガキっぽかったりする本に偏っているもので、ビジュアル系の・デザイン系の洋書を得意とするhacknetは、何度か訪問したことがある、という程度、利用する機会はほとんどありませんでした。そんなぼくのような門外漢でさえ、デザイン系の洋書といえば、ぱっとその名が出てきましたから、この世界では有名店・人気店の1つだったと言っていいでしょう。そういうイメージだっただけに、今回の閉店のニュースには、びっくりしてしまいました。
サイトには、閉店の事情などはくわしく書かれていませんが、こんな記事がありました。「代官山のデザイン専門洋書店「ハックネット」閉店へ-B to Bに特化へ」(5/2 シブヤ経済新聞)。
こちらの記事は、同店の歴史、閉店の経緯、取り扱い商品、今後のビジネス、閉店セールのことなどがコンパクトにまとめられていますので、興味のある方は、ぜひそちらをチェックしてください。
ちなみに、記事には、閉店の経緯について、《リーマン・ショック後のB to Cビジネスの落ち込み、今後の東日本大震災の影響を見込んで今回の閉店を決めたという》とあり、今後については、《書籍の卸や「本のある空間」のプロデュース業務などB to Bビジネスに特化し、B to Cビジネスはインターネットのみで展開していく予定》とあります。
MJ梅田の紹介記事では、洋書の充実ぶりにふれたばかりですが、あのようなお店はやはり例外で、洋書店のリアル店舗というのは、全体としてむずかしくなってきているのかもしれませんね。
なかなか書けずにいるうちに、4月が終わってしまいました……。先月初めの大阪出張のときに、見てきた大阪の新刊書店について、今ごろなんですが、レポートします。タイミングを逸してしまいましたので、ごくごく簡単に……。
まず、驚いたのがJR大阪駅。先日の記事にも書きましたが、ここ数年は、いつ訪ねても、駅および周辺のどこかしらが工事中という印象でしたが、今回は大きく様変わりしてました。
↑へたくそな写真で恐縮ですが、JR大阪駅のホーム上あたりを覆うように巨大なスロープというか屋根というかが、できています。
以前にも書いたことがありますが、ぼくは高校卒業まで大阪にいましたので、JR大阪駅は、構内はそれこそ目をつぶっていても歩けるぐらいに思っていたし、自分の出たい方角に最短距離で移動できる自信もあったのですが……そんな古い知識や自信がいつまでも通用するわけ、ありませんよね。そのことを今回、実感させられました……。
話がそれました。今回もキタの主要大型店とミナミのお店の一部を訪ねてきました。いろいろ紹介したいことはあったはずなのですが、ちょっと時間がたってしまったこともあるので、今回のメインであった、MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店の話に絞ります。同店、開店前から何度も記事では取り上げてきたのに、訪れるチャンスがなくて悔しい思いをしてたんですが、やっと訪問することができましたよ。
↑外観は、開店前の前回訪問時にあちこちのアングルからぱちぱちやってきたので、今回は入り口だけ。ほんとは中の様子を撮りたいのだけれど、知り合いのいないお店ではさすがにそんなわけにもいかず……。
第一印象は、(当たり前過ぎてなんのひねりもありませんが)「広いなあ!」でした。池袋や新宿、大阪(堂島)や難波を見ていても、そう感じさせる造りになっています。同じ2000坪前後でも、池袋本店とはボリューム感が違うんですよねえ、うまく言えないけど。本の量、棚の数が圧倒的なのに、それほど圧迫感がないのは、窓が多く開放的な造りになっていること、スペースをぜいたくに使って詰め込み式にしていないこと(とくに、2階のエスカレータ周りの広いこと! 貧乏性なので、ワゴンとかベンチとか、いくつも置きたくなってしまいました;笑)、天井や棚の高さのバランスがいいこと(そのせいか、エスカレータをくだる際に、1つ下の階にずらりと並ぶ棚を斜め上から少しの間だけ見下ろすかたちでのぞけるのもいい感じ)、などがあるのでしょう。
当日は、いちばん上の7階から、各階を見てきました。このタイプのお店には半日でも一日でもいられそうなのですが、さすがにそういうわけにいかず、ざっと眺めるのがせいいっぱい。(以下、店内の様子は、当日の夜にとったメモがあったのですが、ファイルを消してしまったようで、うろ覚えで書いています。また3週間ほど前の話なので、変わってしまっているところがあるかもしれません。)
【“MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店をやっと訪問……大阪書店巡りのレポートです”の続きを読む】
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