「人の移り変わりはしかたない、もの」の続きです。
昨日、有隣堂ルミネエスト新宿店におじゃまして、Yさんとおしゃべりしていたら、驚くべきことを知らされました。なんと、来年1月でルミネから撤退してしまう、というのです。別の書店に変わるわけではなく、書店自体がルミネエストからなくなってしまうとのこと。なんと……。
「神奈川の本屋さん」という印象が強く、都内在住の身にはなんとなくなじみのなかった有隣堂が身近な存在になったのは、やはり新宿や恵比寿など山の手線内に店舗ができてからのこと。特に、新宿は通勤経路ということもあり、ぼくにとって有隣堂と言えばルミネエスト新宿店、という感じでした。
有隣堂ルミネエスト新宿店は決して大きくはないワンフロア型の書店ですが、店内のレイアウトも見やすく、特集やイベントに工夫もこらされ、そして何より、空犬お気に入りのフリペ「うーりん新聞」で独自情報発信にもつとめるなど大型チェーンらしからぬところもあり、しかも(一度酒席をご一緒しただけですが)お店のみなさんもいい方ばかりで、個人的には訪問するのが楽しいお店の1つでした。それだけに、なんとも残念な話です。開店1周年おめでとうの記事を書いたのは、つい先月のことなのになあ……(泣)。
↑「うーりん新聞」第7号。あと2号?……ぎりぎりまで続けてほしいものです。
思えば、ぼくの学生時代は、新宿の書店と言えば、まずは紀伊國屋書店新宿本店、そして当時はマイシティーだった東口駅ビルの山下書店、西武新宿PePeの上にあった西武新宿ブックセンター、の3店でした。うち1店がすでになく、もう1店もまもなく閉店とは……。街として見れば大型店・中型店がいくつもあるのだから、有隣堂撤退で本を買うのに困る、というわけではありません。とはいえ、やはり新宿東口駅ビルから書店がなくなってしまう、というのは、新宿の利用者としては、特に山下書店時代から通った身には本当に残念でなりません。
でも、新宿の書店事情が、ぼくの学生時代から後退したのかというと、もちろんそういうわけではありません。言うまでもなく、紀伊国屋書店新宿南店とジュンク堂書店新宿店という日本を代表する大型店舗ができていますし、西口・南口のルミネでは青山ブックセンター時代に比べればスペースこそ狭くなったものの、ブックファースト2店ががんばっています。床面積や店の選択肢という点では、当時よりもずっと恵まれた状況になっていると言えるでしょう。しかも、現状でもすでに、広いフロアにぎっしり本がつまった、まさに“本の森”状態のジュンク堂書店新宿店が、来年3月1日には1フロア増えて、550坪の増床になる、というのだからうれしいではありませんか。
ジュンク堂書店の攻勢はさらに続きます。来月12月9日は、盛岡店がオープン、来年3月には新潟店がオープン、三宮店も増床というのですから、いやはや、よく言われるリアル書店の苦戦などどこの話かと言わんばかりの勢いです。所在地・規模・時期など、くわしくは、「新文化」やジュンク堂書店のサイトをどうぞ。
担当の書店員のみなさんは、開店・増床の準備でいろいろ大変なようですが、利用者、特に新規店の地元の本好きにとってはうれしい話でしょう。このブログで、「おめでとう! ……書店、改装・開店*周年記念」、なんて記事を何度も書いて紹介できるよう、ぜひとも各地でがんばってほしいものです。