まもなく始まるロードショーや映画祭、特集上映のうち、気になったものをいくつか紹介します。
- 『ルナシー』(監督:ヤン・シュヴァンクマイエル)
- 『シュヴァンクマイエルのキメラ的世界 幻想と悪夢のアッサンブラージュ』(監督:ベルトラン・シュミット、ミシェル・ルクレール)
『悦楽共犯者』『ファウスト』……「チェコの鬼才」シュヴァンクマイエルと言えば、その作風を表すのに、シュール、シニカル、幻想的、狂気、哲学的、ブラック、問題作、などといったキーワードが使われがちな作家です。つまり、あきらかに数としては多くはないが、しかし熱狂的なファンから愛される、そんなタイプの映画作家だろうと思います。そんなマイナーポエットの関連作が2本も同時に公開されるようです。
『ルナシー』は精神病院が舞台の「哲学的ホラー」だそうですから、シュヴァンクマイエルらしい、ちょっとアブない感じのする作品です。『キメラ』のほうは、シュヴァンクマイエルの創作の秘密にせまるドキュメンタリーのようです。1時間足らずの作品のようですが、ファンには、ある意味で実作以上に興味深い作品になるかもしれません。いずれも11/18(土)から、『ルナシー』は新宿K's cinemaとシアター・イメージ・フォーラムで、『キメラ』はシアター・イメージ・フォーラムのレイトショー公開になります。
これは、以前の日記で紹介したBOW映画祭で上映された作品の一部をアンコール上映するもので、吉祥寺バウスシアターで開催中です。
今回は12作品のみ、空犬一押しのエリセは2作とも今回のセレクトには含まれていませんでした。残念。11/17(金)まで。日比谷で見逃した方は全速力でレッツゴーです。
安吾と言えば、今年2006年は生誕百年。安吾関連本などもいくつか出ているほか、書店によっては安吾コーナーをもうけて代表作と一緒に並べているところもあるようですね。「有隣」466号も安吾特集でした。
この映画祭で上映されるのは、『負ケラレマセン勝ツマデハ』『桜の森の満開の下』『不連続殺人事件』『カンゾー先生』『白痴』の5作品。
監督や主演やテーマでの特集上映はよくありますが、原作者ってのはめずらしいでしょうか。11/25~12/1、これもまたシアター・イメージ・フォーラムにて。
↑この作品で麻生久美子の名を知りました。これがデビューとは思えぬ存在感。
- 「第八回西荻ブックマーク『第七官界彷徨 尾崎翠を探して』上映&浜野佐知監督トークショー
文芸関係の映画が続きます。副題の通り、監督浜野佐知の講演会も行われるようです。2007年1月13日(土)の午後2時から。場所は、西荻地域区民センター・勤労福祉会館。JR荻窪からも西荻窪からもちょっと離れていますから、沿線・近隣以外の方は、地図やバス経路を確認してから行かれるといいでしょう。
『女が映画を作るとき』(平凡社新書)で名前を知った監督ですが、女性としてはめずらしくピンク映画をたくさん撮ってきた人なんですね。尾崎の原作もおもしろいし、原作と監督の組み合わせもいいし、出演、特に女優陣が、白石加代子、吉行和子、宮下順子、白川和子らと気になる顔ぶれだしで、ぜひとも観てみたい作品です。