いよいよ毎夏恒例、3社の夏文庫が始まりましたね。
夏文庫と言えば書店的にはこの3社なんですが、書店のなかには、お店独自の夏文庫フェアをやるところもありますよね。我らが吉祥寺のBOOKSルーエも、同店の利用者にはすっかりおなじみになった感のある「ルーエ究極の50冊」を今年も開催予定とのこと。毎年客として楽しませてもらってきたんですが、今年はわたくし空犬も選書に声をかけてもらったりなんかして、文庫のお祭りを隅っこのほうで一緒に楽しませてもらうことになりました。ほかにも、お店の夏文庫に声をかけてくれるところもあって、ほんと、ありがたいことですよ。これら書店独自の夏文庫フェアは、おいおいこの空犬通信でも紹介していきますので、楽しみにしていてください。
さて、夏と言えば、夏休みもまもなくですよねえ。といっても、我々サラリーマンがとれる休みなんてせいぜい数日。それでもまあ、ないよりはいいわけですし、せいぜい数日、だからこそ、どう過ごすかが重要になるわけです。もちろん、家族持ちとしては、家族と一緒に過ごす夏休みがメインなんですが、やはり一日ぐらいは“自分の夏休み”も欲しい。今日の話は、その“自分の夏休み”の過ごし方です。(以下、我ながら実にくだらない話なので、くだらないことに寛容な方のみ、続きをお読みください。)
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(本稿は2009年6月にアップ予定だった記事がなぜかそのままになっていたものです。あくまで当時の視点でのセレクトになっています。)
【“おすすめ特撮映画リストをあげるとしたら”の続きを読む】
最近では植草甚一があり、絵本がらみの企画展も多く、ほかにも横溝正史、小栗虫太郎、海野十三など世田谷ゆかりの探偵小説関連とか、ウルトラマンの企画展など、空犬好みの企画を過去にいくつも実現してくれている世田谷文学館。来週から、またまたすてきな企画展が始まりますよ。
堀内誠一 旅と絵本とデザインと
会期:2009年7月4日~9月6日
場所:世田谷文学館
(世田谷区南烏山1、TEL 03-5374-9111)
開館時間:10:00~18:00
入場料:一般700円ほか
世田谷文学館のサイトにくわしい情報があるほか、メディアでも紹介されているようですね。「マガジンハウスのアート・ディレクションで活躍-世田谷で「堀内誠一」展」(6/29下北沢経済新聞)。
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毎月買い続けている数少ない雑誌です。
表紙は『トランスフォーマー・リベンジ』のヒロイン、ミーガン・フォックス。世界一セクシーな美女、2連覇なんだそうですが、うーん、そうなのか。なんというか、男前な感じですよねえ(苦笑)。単に好みの問題なんですが、あんまり魅力がわかりらない女優さんの一人です……。
【“トラフォのヒロインがセクシー世界一なんですか……秘宝とルパンリミックス”の続きを読む】
こういうクラシックな怪奇ものも、たまにはいいものですよねえ。
- ローズマリー・ティンパリー他、仁賀克雄編訳『新・幻想と怪奇』(ハヤカワポケットミステリー)
「ホラー」ではなく「怪奇」です。だから、角川ホラー文庫に入っているような、いまどきのホラーとはまったくテイストの違う、クラシックな雰囲気が濃厚な作品群で、『幻想と怪奇』や『異色作家短篇集』を愛読してきた者には、なつかしいような、安心できるような、そんな感じの1冊です。
【““新”なのになつかしい、「幻想と怪奇」”の続きを読む】
中島梓、三沢光晴、忌野清志郎、そしてマイケル・ジャクソン……相次ぐ娯楽界の大物の訃報に言葉もありません……。
国籍も性別も活躍ジャンルも違う人たちですが、みな一流の表現者でありエンターテイナーであった点では共通していたといっていいでしょう。彼らの活躍に、彼らの作品に、どれだけ楽しませてもらい、励ましてもらい、心を動かされ、笑わせてもらい、涙ぐませてもらったことか……まさに最上のエンターテイメントの作り手たち、でした。
マイケル・ジャクソン……音楽好き、なかでも黒人音楽を愛する者にとって特別な名前であることは間違いないのですが、同時に微妙な存在でもあったのではないかと思います。
【“今夜はビート・イット”の続きを読む】
会社帰りに吉祥寺へ。啓文堂書店吉祥寺店にNさんを訪ね、仕事の話をしばし、それから自然科学本の棚や通路で展開中の宇宙関連本フェアをのぞいて、百年へ。
好みの合う古本屋さんがむずかしいのは、好きな本が書棚のあちこちに見つかるのはいいんだけど、たいてい持ってるので買えないこと。「ああ、この本、持ってなかったら、買えるのになあ!」などと、まったくわけのわからぬことを心の中で叫びながら、棚の前で歯がみする四十男。困ったものです……。後藤明生の本がずらりと並ぶ棚なんて、彼の本をぜんぜん見つけられずにいた20年ぐらい前のぼくを連れてきて見せてやりたいですよ。
文庫棚に探偵小説(ミステリー、ではありません)の含有度が意外に高いのもポイント。教養文庫の橘外男傑作選全3巻を探している人、本通信をお読みの方のなかにいませんか? 「ロマンの饗宴」ですよ。今なら棚にありますから、探偵者でまだお持ちでない方は全速力で吉祥寺にどうぞ。ああ、持ってなかったら、ぼくが買うのになあ!
【“またしてもなじみの古本屋さんが閉店に……”の続きを読む】
仕事の用事があって阿佐ヶ谷で途中下車。阿佐ヶ谷は一時期住んでいたこともあって、個人的にとても好きな街なんですが、久しぶりに南口側に出てみるとショックなことが……。
駅前、南口の景色が一変しているのです。ロータリーをはさんで向かいにあった喫茶店アコヒーダや古本屋がなくなってしまっています。車中は寝てるか本かで、車窓を眺めたりしないもので、まったく知りませんでした……。
↑下手くそな写真では、さっぱり様子が伝わりません……。
中杉通りにあった喫茶店「西瓜糖」も、パール商店街にあった古本屋「ブックギルド」もいつのまにかなくなってしまったしなあ。元住人にはちょっとさびしいかぎり。
でも、一方、ぼくが学生の頃から変わらぬものももちろんあって、たとえば、駅前の新刊書店「書楽」や南阿佐ヶ谷の「書原」がそのままなのはうれしいかぎり。中小の書店が大苦戦のここ数年を、この2店が生き延びてきただけでもすごいことだと思わなくてはいけませんよね。今回は、駅から遠いので時間がないとなかなか足を延ばせない書原に行ってきました。
【“阿佐ヶ谷の書原とYomupara探訪、そして対決フェアお祝い飲み会”の続きを読む】
今日は仕事帰りに吉祥寺へ、BOOKSルーエに花本氏を訪ね、おしゃべりしたり買い物したりしてきたんですが、長居したせいか、終わって帰るときには大雨、それも豪雨、雷雨の様相に唖然……。
雨に濡れぬように持って帰るのが大変だった今日の文庫戦利品はこちら。
- 森まゆみ『大阪不案内』(ちくま文庫)
- ボルヘス『創造者』(岩波文庫)
- バラード『クラッシュ』(創元SF文庫)
【“大阪不案内、創造者、クラッシュ……今日買った文庫たち。”の続きを読む】
どなたが書いていたか忘れてしまいましたが、あるエッセイに、昨日と同じ本が鞄に入っていて、それがくやしいだか、はずかしいだか、腹立たしいだか、程度は忘れましたが、とにかくそれが個人的に許せないといった主旨のことが書かれているのを読んで、大いに驚かされたことがあります。えええっ! 昨日と同じ本が鞄に入っているのって、読書人的には「はずかしいこと」なのか……。
↑鞄に入っている文庫・新書たち。いずれも数日目……。
【“読むのが遅い……”の続きを読む】
またこんなんばっかり観て、とか言われそうですが、はい、観てきました。
『チョコレート・ファイター』と並ぶガールファイトものとして、大変に楽しみにしていたのです。ところが……うーん、ボンクラ映画には大変に寛容なほうだと思うのですが、期待が大きすぎたのものあってか、正直なところ、ちょっとがっかり……。
↑このシーンはよかったんだけどなあ……。
以下、そのがっかりの理由含め、映画の内容にふれますので、未見の方はご注意を。
【“『ハイキック・ガール』礼賛(したかった……)”の続きを読む】
ふだんはめったに行けないのに、機会があるなると続くもの。昨日も高崎線沿線に用事があったので、上野を通ったついでに、またまたBOOK EXPRESSディラ上野店へ。
仕事で移動途中の短時間だったので、ざっと一周することしかできませんでしたが、やはり活気と工夫に満ちた本屋さんというのは、いついっても、何度いってもいいものです。後ろ髪を引かれる思いでお店を後にし、通路に出たところで、お店の方のおすすめ本をディスプレイしたウィンドウが目にとまりました。ちなみに、紹介されていたのは、こちらの本です。
いやはや。びっくりですよねえ、これ(笑)。ぼくも好きな本だし、なかなかいいセレクトだと思うのですが、ここ、駅構内の本屋さんですよ。利用者の層の幅広さ、この作品が出たばかりの新刊でも、また現時点でとくに映画化リメイク他のメディア的な話題にあがったものではないことを考えると、ここにこんなふうにフィーチャーされているのが奇跡的なことに思えてしまいます。ちょっと感激……。
【“知らない街では本屋さんを訪ねたい”の続きを読む】
この空犬通信でも何度かご紹介しています、千葉の書店員の方々が中心になった本のイベント「本toちば」。秋のイベント開催に向けてがんばってきたのですが、残念ながらなかなか順調とは言い難い状況で、スタッフや資金の問題で思うように進められずおります。
そこで、本blogをご覧くださっている本好き書店好きの皆様、とくに書店・出版関係の方にお願いです。以下のような方がいらっしゃったら、ご協力いただけませんでしょうか。周りに該当する方がいらっしゃる場合は、この話を伝えていただくか、もしくはご紹介いただけるのでも助かります。
- 書店でのフェアのお手伝いをしてくださる方(POP・帯・チラシなどの配布物作成など裏方的な作業)
- イベントのお手伝いをしてくださる方(作家さんのトークイベントなどで、配布物作成など事前の作業、および、会場案内や受付など当日の作業)
- 原稿を書いてくださる方(千葉関連本の紹介文や、まもなく発行予定のフリペ「本toちば」通信への寄稿、Web連載コンテンツ作成のヘルプなど)
- 編集・デザイン関係の作業を手伝ってくださる方
この他にもいろんな作業がありますので、漠然と何かを手伝いたい、ということでももちろんかまいません。いずれの作業も、謝礼や原稿料をお支払いできるわけではありませんので、原則としてボランティアでのご参加をお願いすることになります。勝手なお願いに聞こえることは十分承知のうえですが、そこは、この本と書店のイベント自体を一緒に楽しんでいただける方にぜひお願いしたと思っています。
【“ヘルプ急募! 「本toちば」一緒にやりませんか?”の続きを読む】
4/18の記事で、すばらしすぎる書店発フリペ「季刊めくる」を紹介しましたが、昨日は、発行店であるBOOK EXPRESSディラ上野店へ行ってきました。
駅構内の書店というと、それだけで「ちょっと本の取り扱いが多い、おおきめのキオスクのようなもの」ぐらいに思ってしまう人もいるかもしれません。他の駅構内のお店はともかく、ここはなんか違うぞ、ということが、通勤客で賑わう店内に足を踏み入れ、文庫棚をざっと見て回るだけですぐにわかります。
おすすめPOPの立ち方、またそれがつけられた本のセレクトがまずすばらしい。版元が用意した出来合のPOP(も、ゼロではないんでしょうが)や、うずくまってどうしたといったどこかで見たようなPOPではなく、お店独自の個性的なPOPがあちこちに立っているのが目をひきます。
- 星野博美『のりたまと煙突』(文春文庫)
- 高山なおみ『帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。』(文春文庫)
↑POPが立ったおすすめ本から選ぼうと決め、この2冊をピックアップ。
【“「ルーエの伝言」+「めくる」=「メクルエデン」?”の続きを読む】
書店回り(仕事)で新宿へ。いつものようにジュンク堂書店新宿店と紀伊國屋書店新宿本店を回ります。
紀伊國屋書店新宿本店といえば、この空犬通信でも紹介済みのフェア「対決!共鳴し合う作家たち」が、昨日の朝日新聞の書評欄で紹介されてましたね。「〈本の舞台裏〉若手書店員のフェア」(6/7付朝日新聞)。
何度も見にきているのに、のぞくとやっぱり長居をしてしまいます。前回よりもあきらかに本の山がでこぼこしているのは順調に動いているからでしょうか。前回はまだあった冊子も見事に品切れ。前は5位までしか表示されていなかったランキングは、今日みたら10位まで表示されていました。意外なものがランクインしていたりするので、どんなものが売れているかは、ぜひ店頭で確かめてみてください。
フェアの仕掛け人の1人Eくんと文庫担当のYさんに会えたのでちょっとおしゃべり。なんでも、これだけいろいろメディアに取り上げられ、けっこう順調に売れてもいるのに、それでもまだ1冊も売れていない本があるのだとか。そんな話を聞いてしまったら、わたくし空犬がそのような本の売上げにご協力しないわけにはいきませんよねえ(笑)。
【“「対決!共鳴し合う作家たち」、あと2日です!”の続きを読む】
栗本薫/中島梓について書かれた記事や文章を読んでいたら、ぼくも独り勝手に追悼読書をしたくなってきました。で、ちくま文庫に入っている中島梓名義の本を再読するか、それとも、書店の追悼フェアで出会った本にしようか、などと考えながら、いろいろ書店を回ってみたところ、忌野清志郎の追悼フェアは見かけましたが、栗本薫/中島梓の追悼フェアって、なぜかあんまり見かけませんでした(別に網羅的に調査したわけではないので、うちはちゃんとやってるぞ!というお店があったらごめんなさい)。
こちらのほうがずっとずっと著作は多いのに……多いから、しかも、その多くが長大なシリーズものだったりするから、コンパクトなフェアにしにくいからなのかなあ、などと思いながら、ちょっと淋しい気もしていたところ、友人編集者に、こんな未読本を教えられました。
- 中島梓『わが心のフラッシュマン ロマン革命〈PART1〉』(ちくま文庫)
これ、実にすばらしいです。まえがきからすでにぐっと引き込まれ、その後ずっと、(心の中で)泣き笑いしながら、そして大いに興奮しながら、読み進めています。こんなおもしろい本を見逃していたとは! 今まで未読であったのが、ほんと、くやまれます。
栗本/中島読者でこの本を手にしていない人がいるとしたら、その多くがおそらくは、書名の「フラッシュマン」(戦隊シリーズの名)を見て、「戦隊なんて興味ないからいいや」と、手が伸びなかったくちではないだろうかと思うのです。かくいうぼくもそうでした。でも、まちがってました。ごめんなさい。
この本は、戦隊シリーズのことを書いたものでも、特撮文化の評論でもなんでもありません。どんな本なのかは、近く、きちんと取り上げようと思います。
◆今日のBGM◆
- Donny Hathaway『Donny Hathaway』
栗本薫/中島梓独り勝手に追悼会のBGMに何がいいかなと考えてたら、どういう脈絡か自分でもよくわかりませんが、「A song for you」がむしょうに聴きたくなりました。今の読書気分にぴったり過ぎる、こんな一節が、耳に残ります。
"You taught me precious secrets of the truth witholding nothing"
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