半年以上かけて準備してきたイベントが終わって、やや燃え尽き気味の空犬です。
本と書店と音楽のイベント「ブックンロール2012」、昨日、無事に終えることができましたので、ご報告と御礼を。事前の天気予報がころころと変わるなか、幸い、天候にも恵まれ、たくさんの方にお集まりいただくことができました。昨日会場に駆けつけてくださったみなさま、本当にありがとうございました。
予想を大幅に上回るたくさんの方々にお集まりいただいたため(会場のキャパを3倍を超えていました……)、会場が、狭くて、暑くて、息苦しくて、おまけに立ちっぱなしでと、お客様には大変な思いをさせてしまいました。また、わざわざかけつけてくださったのに、会場に入れず、外にいることになってしまったり、あきらめて帰ってしまわれたりされた方もいらっしゃると聞きました。これはひとえに主催者の判断ミスで、お詫びの言葉もありません。主催者として、心からお詫び申し上げます。
幸い、イベント自体、とくにトークの部については、たくさんの方から、おもしろかった、参考になったという感想をいただくことができました。ツイッターなどに流していただいたブックンロールの感想は、キーワードとハッシュタグで検索して、片端からチェックしています。うれしいなあ……(涙)。1つ1つにコメントをお返ししたいところですが、数が数ですので、まとめてのお礼で失礼します。みなさん、本当にありがとうございました。(自分ではできないので、スタッフのだれかに頼もうかなあと思っていたら、こんなすてきなまとめを早速作っていただきました。「ブックンロール2012」。ゴロウさん(@bookseller56)、ありがとうございました。)
会場が前述のような状況だったため、トークの部を観られなかった、という声をたくさん頂戴しています。来られなかった方はともかく、せっかく来ていただきながら観られなかった、というのはあまりにも申し訳ありませんので、そのようなみなさんに動画をお見せすることができないか、現在、スタッフと相談して、方策を練っています。詳細が決まりましたら、あらためて、ご来場くださったみなさまには別途ご連絡差し上げます。少しお待ちください。
おかげさまで、寄付のお金も、目標をはるかに上回る額となりました。現在集計中で、正確な金額が出ましたら、あらためてご報告しますが、昨年の倍ほどの金額になりそうです。
当日の様子は、写真などの整理ができましたら、あらためてレポートする予定です。
本日、荻窪にて、本と書店と音楽のイベント「ブックンロール Book'n'Roll 2012」を開催します。
ブックンロール Book'n'Roll 2012
~上を向いて歩こう~
日時:2012年6月29日(金)
OPEN 19:00 START 19:30(~22:30)
19:40ごろ ライヴの部 START
21:15ごろ トークの部「何でも見てやろう」START
場所:ルースター・ノースサイド(東京・荻窪)
杉並区上荻1-24-21-B1 03-5397-5007
http://ogikubo-rooster.com
チャージ:1000円+ドリンク500円
ライヴは19:40ごろから21時過ぎまで、トークは21:15ごろから22:30ごろまでを予定しています。その後は、閉店までドリンクタイムとなります。予約は不要です。途中からの入場もOKです(ただし、途中からの場合、会場が混雑している場合もありますので、あらかじめご了承ください)。
本好き書店好き音楽好きのみなさま、出版・書店業界関係者のみなさま、出版・書店業界に興味をお持ちのみなさま、ぜひ気軽に遊びにきてください。
本日の様子、集まったお金の寄付先などにつきましては、後日、この空犬通信でレポートします。
今月、来月と、気になる「書店本」がいくつか続きます。
*『世界の夢の本屋さん2』のリンク先は昨年刊の最初の巻。
書店好きには、どれもほんとに楽しみな本ばかりですよね。『月刊佐藤純子』は6/30、『世界の夢の本屋さん2』は7月中旬、『書店員が本当に売りたかった本』は7/19、発売予定。いずれも、入手したら、またくわしく紹介したいと思いますので、とりあえずはご案内のみ。書店に関心のあるみなさんはチェックをお忘れなく。
本と書店と音楽のイベント「ブックンロール Book'n'Roll 2012」まで、2日となりました。
ブックンロール Book'n'Roll 2012
~上を向いて歩こう~
日時:2012年6月29日(金)
OPEN 19:00 START 19:30(~22:30)
19:40ごろ ライヴの部 START
21:15ごろ トークの部「何でも見てやろう」START
場所:ルースター・ノースサイド(東京・荻窪)
杉並区上荻1-24-21-B1 03-5397-5007
http://ogikubo-rooster.com
チャージ:1000円+ドリンク500円
出演:
(トークの部)
淺井 康雄(ブックポート203緑園店)
上田 砂由里(BOOKS隆文堂)
長谷川 仁美(BOOK EXPRESSディラ大宮店)
花本 武(BOOKSルーエ)
比嘉 栄(三省堂書店新横浜店;司会)
(ライヴの部)
長谷川バンド(BOOK EXPRESSディラ大宮店長谷川さんのバンド)
C調ボーイズ(夏葉社島田さんのバンド)
みぎたとしき(ソロ)
ブックスピストルズ(「吉っ読」のバンド)
その他、トークの内容、出演者のプロフィールなどにつきましては、以前の記事、こちらとこちらもよろしければご覧ください。
「一緒に行く人がいないんだけど……」「1人で行っても大丈夫? 楽しめる?」といったご質問をいただきました。まったくなんの問題もありませんので、イベントの中身にご興味をお持ちいただけるようでしたら、ぜひお越しください。前半はライヴ、後半はトークで、演し物が多めのため、間の休憩なども少なめにしてあります。イベント終了後までは、話し相手がいなくて手持ちぶさた、ということはあまりないかと思います。
イベント終了後は、閉店時間までドリンクタイムを予定しています。そのときは、もしよろしければ、わたくし空犬(司会・案内として前で話す時間があります)かスタッフ(会場でわかるよう、ホルダーをぶらさげています)にお声をかけていただけれと思います。知り合いがいらっしゃらないという方は、お声おかけいただければ、同じジャンルや似たお仕事の関係者をご紹介したりすることもできるかと思います。また、出演者に話がしたいという場合も、遠慮なく、直接お声おかけいただければと思います。スタッフはほぼ全員、お客さんも(昨年の様子から想像するに)多くが出版・書店関係者ですので、この業界に興味のある方であれば、話し相手には困らないと思います。
今日の時点の天気予報は、残念ながら雨ですが、天候にかかわらず、元気に開催します。雨の場合は、駅からの道中、どうぞ気をつけておこしください。それでは、6/29(金)、荻窪にて、お待ちしております。
先日、往来堂書店で買ってきた本を簡単に紹介します。めずらしく新書ばかり3冊、まとめて買いましたよ。
最初の2冊は空犬好みの東京本。文庫や新書で出る東京本、とくに、昭和に関わる本はついつい買ってしまいます。ちょうど往来堂書店、入り口入ってすぐのフェアコーナーでは、東京本のフェア(正確なタイトルは失念)が開催中。新刊の『ロスト・モダン・トウキョウ』はそちらに並んでましたよ。
さて、書名もすてきなこの『ロスト・モダン・トウキョウ』、帯には《銀座、日本橋、羽田、夜景、鉄道…。絵葉書で遊覧!/幻の帝都、なつかしの東京散歩》というコピーが踊っています。《戦前から戦後、昭和三十年代にかけての東京のモダン建築群と古きよき風景。住時の絵葉書に遺る、今は失われた光景の美しさを貴重なコレクションで紹介。銀座、日本橋、上野、浅草、羽田などの街並みや、夜景。鉄道、遊覧バスにまつわる趣きのあるエリアを十四の景観別にまとめた》という内容。
昭和好き、モダン好きにはわくわくする中身ですねえ。230点に及ぶという図版がすべてオールカラーで収録されているのもうれしい。まさに、紙上《美的時間旅行》の趣き。
次のソフトバンク新書、書名の「レスタウロ」とは聞き慣れないことばですが、イタリア語で「修復」の意だとか。本書の内容説明から引くと、《都市・建築・美術の分野で、「歴史的な価値を損なわずに再生する」行為を意味》するのだそうです。本書は、そうした「レスタウロ」によって甦った《"古さと新しさが共存する"東京のお洒落なレトロスポット50箇所》を紹介するガイド本。
こちらも図版が豊富でオールカラーなのがうれしいところ。帯の写真にあるJR東京駅のほか、《明治・大正の洋風建築、駅舎、アール・デコの美術館、洋館レストラン、古民家カフェ、廃校活用のギャラリーやホテル、団地や木賃アパートの再生、名門大学のキャンパス、ヴィンテージマンション、運河沿いの倉庫、街並み保存、レトロ商店街、路地や横丁》などが取り上げられています。すずらん通りにある建物のなかでも、品よく古びたたたずまいのファサードでひときわ目を引く文房堂や、山の上ホテル、学士会館など、神保町界隈から複数の建物が登場しているあたりも、神保町好きにはうれしいところ。
戦前の様子が紹介されている新書の東京本で、カラー図版が豊富で、というと、別のお店で買った本ですが、最近だとこれもありました。
《戦前の地図では、皇居はほとんど空白地として描かれてきた。戦後の地図にも、不可解な地形が表示されている。わずかに残された地図と空中写真を手がかりに、皇居の建物・地形の変遷を追う》という本書、副題にある通り、謎解きの楽しみにあふれています。内容紹介の続きにある《東京に残る近代化の名残》を訪ねるというのがいいですね。
とにかく図版が豊富で、お得感のある3冊です。ひと昔前の東京の姿に興味のある本好きには良さそうですよ。
ジュゴンで1冊の新書ができるとは海獣好きにはうれしいですねえ。《ムーミンのような愛らしい姿で、ときには“人魚”と間違われることもあったジュゴン。ジュゴンはどんな海に棲み、何を食べているのか。そして、どんな恋をして、子供を育てているのだろうか。絶滅の危機にあるジュゴンの進化と生態、人とのかかわりの歴史を紹介しながら、保護のこれからを探る》という本。
文章はやわらかめで読みやすく、すらすら読めます。海獣、水族好きはぜひ。
↑「往来っ子新聞」97号。100号まであと少し。
「往来っ子新聞」97号では、ご覧の通り、『千駄木の本屋さん』を大きく取り扱ってもらいました。ちなみに、わたくし空犬は、「往来っ子新聞」、初登場です。ブックンロールの案内も載せてもらえました。うれしいなあ。
ちなみに、お隣は、「吉っ読」で往来堂書店の15周年記念お祝い会を開いたときに駆けつけてくれた、ブックピックオーケストラの功刀貴子さん(@kunugie)。「往来堂とわたし」という文章を寄せていらっしゃいます。往来堂関連の文章が並んで掲載されることになったわけです。ちょっとうれしい。
【“モダン、レスタウロ、ジュゴン……最近往来堂書店で買った新書たち。そして、「往来っ子」についに登場”の続きを読む】
朝日新聞夕刊の短期連載記事「本屋さんの逆襲」、全4回がWebで読めるようになったので、あらためて紹介したいと思います。(日付は、Webにアップされた日ではなく、夕刊掲載時。)
記事は、実際に読んでいただきたいので、ここで部分を引用したり内容を紹介したりはしませんが、紹介されているお店だけ、リストアップしておきます。
第1回は、代官山 蔦屋書店、松丸本舗(丸善丸の内本店)、往来堂書店。第2回は、早稲田大生協ブックセンター、丸善丸の内本店。第3回は、中島書店、Chez moi(シェ モワ)(東京堂書店)、オリオン書房イオンモールむさし村山店。第4回は、三省堂書店有楽町店、三省堂書店新横浜店、中原ブックランドTSUTAYA小杉店、啓文堂書店三鷹店。
第1回が、こうした新聞記事や雑誌の特集などで取り上げられることの多いお店だったせいか、「またか」「目新しいことはない」という意見も見聞きしました。その後、2、3、4回のセレクトを見ると、結果的には「いつもの」お店ばかりが取り上げられた連載ではなかったわけですが、最初のお店のセレクトが有名店だったこと、キーワードが「文脈棚」だったこと、さらに、第2回が掲載された6/19には、対向面の「文芸/批評」欄にも、「本の迷宮にようこそ」と、松丸本舗の「文脈棚」にふれた松岡正剛さんのインタビュー(聞き手は、「本屋さんの逆襲」第1、3回の書き手の方)という「文脈棚」をさらに強調する記事が掲載されていたことなどから、一部の方に「またか」感を感じさせることにしまったのかもしれません。
たしかに、一部のお店を特別扱いすること、「文脈棚」の手法を強調することなどに、どうもなあと複雑な思いをいだく方もいるでしょう。でも、たとえ、「いつもの」話題でも、いつものお店の話でも、それでもいいではないですか。だって、いろんなタイプのお店があることは、書店で働いていたり、書店が好きで出入りしていたりする我々にはわかっているわけですから。外向けに書店のことを取り上げるならば、これでいいと、ぼくは思います。そして、何度でもこういうことは活字にしてほしいと思っています。だって、新しい読者はいつも生まれているわけで、知らない人はいつだっているんですよ。おもしろいものを売ったり、おもしろい売り方をしたりする本屋さんがあることを、何時間もいたくなるような本屋さんがあることを。そのおもしろさは、お店の大きさには関係ないことを。
だから、ぼくも、このブログを(しょっちゅうくじけそうになってるんですが……)、もう少しがんばって続けて、何度でも書店のことを書いていこうと思っているのです。また同じようなことを書いてるよとか、同じようなお店を取り上げてるよ、と思われるかもしれないし、それ以前に、こんな弱小ブログですから、そもそもあんまり読まれてもいないかもしれない。でも、何度でも書こうと思う。本屋さんって、こんなにおもしろいんだぜ、ってことを。
こんな弱小ブログの何倍も何十倍も影響力のある大手新聞には、そのおもしろさを紹介するという主旨であるならば、書店の記事は何度もで取り上げてほしい。別に、有名店に偏っていても、わかりやすいキーワードによっかかっていても、それでもいいと思います。こんなふうに取り上げてくれるのは大歓迎です。
大歓迎……なんだけど、でも、気になることもあります。ぼくが気になるのは、たとえば、こういう書き方です。
《ネットにおされ、書店は1日1軒のペースで閉店している。黙って消えてなるものか。本屋さんの新しい試みが始まっている》。
これ、第1回の結びの文なんですが、この「1日1軒」云々という書き方、書店関連のニュースを追っかけている人なら、ほかでも最近見たことがあったな、と思い出す人も多いでしょう。新聞記事ではないし、表現もちょっと違いますが、これ。「本屋を襲う“倒産ラッシュ”!1日1店が店じまい」(5/24 ZAKZAK)。
【“本屋さんは「逆襲」しているのだろうか”の続きを読む】
こんな本を買いましたよ。(以下、久しぶりにお届けする、空犬通信のネタでもっとも不人気の「特撮」ネタです(苦笑)。訪問者数激減覚悟でお届けします。お好きな方だけ、どうぞ。)
【“『大伴昌司「大図解」画報』刊行……そしてこの夏は特撮関連展示がいっぱい”の続きを読む】
昨晩は、ブックンロールの出演者&スタッフのみんなとの、イベント本番前、最後の集まりでした。まもなく閉店となる「いせや公園店」に集合、大部屋の片隅で、当日配布するフリペ他の資料を折ったり切ったりまとめたり封筒詰めしたりの作業をしながら、楽しく飲みました。
↑いせや公園店。写真ではよく見えませんが、右奥の階段のほうに、ずらーっと人の列が続いています。同店は長く利用してきましたが、こんなに行列してるところ、見たことない……。最近は連日こんな感じだそうです。
↑居酒屋の大部屋、空いていた卓を作業台にして、フリペやチラシのセット作業中。この数、この種類、ご覧ください。これらを全部セットにしたものを、当日、会場にお越しのみなさんに配布します。
ライヴの部に出演予定のみんなの練習の進み具合なども報告しあいました。出演者は全員、(腕のほうはともかく)やる気だけは十分過ぎるほどなのですが、そのなかでは、夏葉社の島田さんがすごい。得意そうに見せてくれたてのひらには、激しいドラムの練習によるスティックだこがたくさんできているではないですか! 写真に撮らせてもらえばよかったなあ(笑)。
いま、島田さんが、本業以外にもっとも力を入れているのがこのバンド活動なので(なにしろ、昨日の会でも、来年どうするかみたいな話を、もうしてましたから;笑)、夏葉社のファン、島田さんのファン、両方のファンのみなさんは、ぜひ島田さんの勇姿を見にきていただければと思います。出版関連のトークイベントなどで見せる姿とは、まったく別人の島田さんが見られますよ(たぶん)。
というわけで。本と書店と音楽のイベント、「ブックンロール2012」は来週、6/29(金)です。本好き書店好き音楽好きのみなさんのお越しを、関係者一同、お待ちしております。
6/29のイベント「ブックンロール」のトークの部に出演する書店員さんのお店を紹介する記事、3回目の今日は、BOOK EXPRESSディラ大宮店とBOOKSルーエです。BEXの長谷川仁美さん、ルーエの花本武さんは、この空犬通信にはこれまでに何度も登場いただいている、いわば常連さん。なので、あらためての紹介は要りませんよね。とくにこのための取材も行っていませんので、紹介はごく簡単にしたいと思います。
まずは、長谷川さんのいるBOOK EXPRESSディラ大宮店から。長谷川さんは、上野店時代の活躍のイメージが強いと思いますが、同店が改装で閉店になるときに離れた後は、東京駅の京葉ストリート店へ、その後、エキュート品川サウス店の立ち上げに関わり、2011年の12月から大宮店に勤務しています。現在は、ジャンルの担当などは持たずに、全体を見る立場にあるそうです。
ディラ大宮店は、JR大宮駅北改札内、新幹線口の前あたりに位置するお店です。30坪。サイトには、《駅周辺では一番早く開店する書店です。雑誌や文庫はもちろん、コミックも新刊や映像化作品を中心に取り揃えております。またお子様が新幹線の中でも読めるような児童書も取り揃えております。新幹線北乗換口の前にございますので、新幹線乗車前に、また鉄道博物館へ行かれる際に、ぜひともお立ち寄り下さい》という説明があります。
長谷川さんによれは、お店の主力は、ラノベ、コミックなど。新幹線口前という立地から、もっと旅行・出張など、ビジネスマンが多いのかなと想像していたので、ちょっと意外な感じ。客層は、上野のときのようにおじさん一色(ほんとにそういうお店でした)というわけではなくいろいろな年齢層にばらけている感じのようで、学生も多いそうです。
大宮は、実は隠れた書店激戦区。駅の周辺に、主要チェーンを含む複数のお店が軒を連ねています。最後に大宮を訪問してからちょっと時間がたっていますので、最新の情報かどうかはわかりませんが、Web「大宮駅+書店」で調べてみると、リブロ、池田書店、三省堂書店、ヴィレッジヴァンガード、ジュンク堂書店など、けっこうな数の書店がヒットします。通常なら、エキナカにあると、周辺のお店に比べて立地的に有利な立場に立てるはずですが、大宮の場合、駅構内に、リブロという強力なライバルがいたりします。
実際、リブロはかなり手強い存在のようで、大宮店のライバルは、長谷川さんによれば、やはり「リブロ! 近づきたい、というお店があるとしたらリブロ」だとのこと。
そんなお店でがんばっている長谷川さんについては、過去に、なんども空犬通信の記事に登場してもらっていますし、ブックンロールにも連続出場をはたしています。あえてここでは彼女の紹介を繰り返すことはしませんので、よろしければ、空犬通信の過去記事をぜひご覧いただければと思います。長谷川さんが登場する記事は何本もありますが、たとえば、ディラ上野店が改装のため閉店になる直前の様子をレポートしたこちら、とか。
BOOKSルーエについては、さらに説明の必要がないですね。空犬通信にもっとも頻繁に登場している書店の1つですからね。
一応、同店を利用したことがない、同店のことをぜんぜん知らない、という方のために、基本的な情報をまとめておきます。BOOKSルーエは、JR中央線吉祥寺駅北口から徒歩2、3分、吉祥寺のメインの商店街であるサンロードの中程に位置する、路面店です。地上3階、地下1階の4フロアで、売り場面積は240坪。非チェーンの独立店。
お店の様子については、ルーエで買った本を紹介したり、お店のフェアを紹介したり、この空犬通信には頻繁に登場していますので、それらの記事をご覧いただければと思います。
ぼくが常時出入りしている書店は、そうだなあ、私用・仕事合わせて、30、40店ぐらいあるかなあ。品揃えや雰囲気が好きなお店、仲良しの書店員さんがいるお店、仕事でお世話になっているお店……ぼくにとって大事な書店はいくつもあるのですが、そのなかでも、このBOOKSルーエは、特別なお店の1つです。
6/29のイベント「ブックンロール」のトークの部に出演する書店員さんのお店を紹介する記事、2回目は、BOOKS隆文堂です。
BOOKS隆文堂は、中央線西国分寺駅南口を出てすぐのビル、西国分寺LEGA(レガ)の2階にあるワンフロア店。150坪(85坪;参照した資料の誤りでした)。今回、トークに出演する上田砂由里さんは、同店で文庫担当を長くつとめるベテラン書店員。上田さんに、文庫コーナーを中心にお店を案内してもらいました。
(以下は、6月初旬の取材に基づく文章です。フェアや店頭の様子は現在のものと変わっている場合があります。店内の写真はすべて許可を得て撮影したものです。ブックンロールのトークでのプレゼンに関わるフェアや棚の写真ははずしてあります。)
なお、BOOKS隆文堂については、作家・碧野圭さんの書店訪問ブログ「めざせ!書店訪問100店舗」に、詳細なレポートがあります。取材内容がどうしても重なってしまいますので、今回は、内容があまり同じようなものにならないよう、碧野さんの記事でもふれられている点など、一部を簡単にしました(そのため、前回のブックポート203緑園店の紹介記事よりも短くなっています)。ですので、ぜひ碧野さんのブログ記事と合わせてご覧ください。「No.126 BOOKS 隆文堂(東京都国分寺市)」(4/17 めざせ!書店訪問100店舗)。
↑このような形状・配置のお店です。
↑お店の顔、ともいうべき、レジ裏のスペース。そんなに大きなスペースではないのに、並べ方のせいか、実際のサイズよりもスペースが大きく見えます。面陳がはえるスペースです。
写真右は、上田さんのおすすめ本。おもしろそうな本なんだけど、タイトルだけではいったいどんな本なんだかよくわからない『ゴロツキはいつも食卓を襲う』を、多面陳列と、手書きのPOPやイラストのコピーなどを組み合わせて、うまく見せています。
ぼくが、このBOOKS隆文堂のことを初めて意識したのは、ある雑誌で、POPを多用して、おもしろい売り場を作っている店として紹介されていたのを目にしたのがきっかけです。何年前かなあ、もうずいぶん前のことです。今では、POPの多用だけでは話題にはなりにくいかもしれませんが、当時は、POP王や有隣堂の梅原さんの本も出ていないころのこと、POPが林立する売り場の様子は、当時からいろんな書店を見るのが好きだった書店好きの目に、相当にユニークなものに映りました。
いまも、POPは店内のあちこちで多用されています。売り場のサイズを考えると、かなり多い。POP密度の高い店だと言えます。上田さんによれば、売りたいものをわかりやすく見せていくやりかたは、お店の方針とのことで、それがとくに文庫売り場には顕著にあらわれているようです。
↑文庫売り場、棚前の平台ににぎやかに並ぶPOPたち。拡大した写真だとわかりやすいと思いますが、版元の用意した出来合のPOPは、ゼロではないですが、少なめで、その多くが、お店独自の手作りPOP。本に合わせて、色づかいや形状、素材などに工夫がこらされているのがわかります。実物だと、もっと手作り感・工作感が伝わってきますよ。これだけの数が並んでいても、また、これだけ、サイズやタイプの異なるPOPが並んでいても、実際の店頭を見ると、ちっともうるさい感じがしないのが、不思議なぐらい。
おもしろい手作りPOPがいくつも目についたので、POPの単独の写真も撮らせてもらおうかと思ったのですが、上田さんによれば、「POPはそこに、本と一緒に立てたときにはえるように作っている。だから、POP単独の写真はではなく売り場の写真で見せてほしい」とのこと。言われてみればそうですよね。というわけで、写真は、すべて周りの様子がわかる状態で撮影させていただきました。
ずいぶんといろいろなバリエーションのあるPOPですが、これらのPOPを作るにあたって、何か、他の書店員さんから学んだり、デザインの勉強をしたりしたのかどうか、上田さんに質問してみました。お店には以前、まさに「POP職人」と呼ぶべき書店員さんがいたそうです。その書店員さんは、読んでいる本はもちろんのこと、本を読んでなくてもすらすらPOPを書けちゃう、というタイプだったそうで、POP作りに関しては、その方に大きな影響を受けたそうです。正確な時期のことはわかりませんが、ぼくが雑誌で見た、POPをたくさん使ったにぎやかな売り場の店として紹介されていたのは、その方がPOPを手がけていた時代のことだったのかもしれません。それがきっかけでお店に興味を持ち、その数年後に、その方に影響を受けた書店員さんにPOPの話をうかがっているのだから、なにやら不思議な縁を感じますね。
ちなみに、文庫コーナー以外では、担当外ということで、POPを書いたり、セレクトに口出ししたりはあまりされないそうですが、店長さんが担当されているという文芸については、頼まれて書くこともあるとか。上田さんのPOPの腕が見込まれているのでしょう、店長さんは現状よりももっとたくさんPOPを立てたいようで、上田さんに文芸作品のPOPを書いてほしいと依頼がくることもけっこうあるようです。
↑文庫のレギュラー棚のそばに、夏の100冊など、大きなフェアにも使われる、文庫のメインの平台があります。写真左のように、版元のフェアに使われることもありますし、写真右のように、お店のイチオシ作家や作品のコーナーにあてられることもあるようです。
右は、一昨年の本屋大賞受賞作家、東川篤哉さんと『謎解きはディナーのあとで』を中心とする特集コーナー。写真に見える地図は上田さんの手作りのもので、そのこまかな作り込みぶりは、実物を見ると驚かされること請け合いです。ちなみに、東川さんは地元にお住まいとのことで、お店にも客として寄られたりすることがあるそうです。そんな縁もあって、東川さんの色紙が見えるほか、上田さんの作った『謎解きはディナーのあとで』特集フリペには東川さんの直筆コメントなども載せられています。
↑時代ものの文庫もよく売れるお店とのことで、このように、佐伯泰英さんだけで、独立した棚、しかもけっこうなサイズの棚ができています。シリーズものが多い作家ならではのこと、愛読者がついている証拠でしょう、発売日に関する問い合わせが非常に多いということで、写真右のような案内を棚の上に掲示しています。お客さん向けの情報ですが、このようにしておくことで、文庫担当がいないときに問い合わせを受けても、他のスタッフが対応できるというメリットがあります。このあたり、外向けと内向けの情報をうまく組み合わせた手法は、前回のブックポート203緑園店の棚作りにも出てきていましたね。
↑BOOKS隆文堂では、お店独自のフリペ「読書三昧」を発行しています。A4判白黒片面。上田さんがすべて一人で担当していて、全部手書き。(写真左端)。啓文堂書店の「クロネコ通信」もコラボ配布されています。
フリペは、2011年7月の創刊。最初は月刊で始めたそうですが、現在は隔月にしているとのこと。昨年秋ごろから、フリペで取り上げた本が動くようになってきたので、ひと月で終わらせてしまうのはもったいない、ということで、2か月継続させることにしたのだそうです。フリペと売り場、フリペと売上が、いい関係にある好例ですね。通常号のほかに、過去に、特集号を出していて、先に特集コーナーにふれた、『謎解きはディナーのあとで』が最初の特集号。今回、ブックンロールのトークに合わせて、2号目となる特集号を作られるとのこと。これは楽しみだなあ。特集号2号目は、ブックンロールで配布の予定で、イベント終了後は、お店の店頭でも配られることになると思います。
【“BOOKS隆文堂……ブックンロール出演者のお店を紹介します 2”の続きを読む】
ブックンロールまであと1週間ほどとなりました。今日から3回に分けて、6/29のイベント「ブックンロール」のトークの部に出演する書店員さんのお店を紹介してみたいと思います。まずは、ブックポート203緑園店。(今回は長文です。)
(以下は、5月末ごろの取材に基づく文章です。フェアや店頭の様子は現在のものと変わっている場合があります。店内の写真はすべて許可を得て撮影したものです。ブックンロールのトークでのプレゼンに関わるフェアや棚の写真ははずしてあります。)
ブックポート203緑園店は、神奈川県横浜市にあるお店。相鉄線の緑園都市駅の駅前、スーパーやドラッグストア、ファミレスなどが集まるエリアの一角にあります。周囲は住宅街で、近くにフェリス女学院があります。駅には緑の見えるテラスのような場所が設けられていたり、駅前には「四季の径(みち)」と名付けられた散歩道があったりと、地名の通り、緑の豊かな印象の街です。
お店はワンフロアで、160坪。20坪ほどの文具売り場が併設されています。今回、トークに出演する淺井康雄さんは同店の店長さん。淺井さんに店内を案内してもらいました。
↑同店の“顔”の1つ、フェアコーナーの様子。
このフェア棚では、ぼくが訪問したときは、河出の澁澤他を中心とした「耽美&猥褻」、お隣では、別冊太陽のフェアなどが展開中でした。失礼ながら、このような立地・規模のお店にしては、いささか高尚な感じにも思えるのですが……などと淺井さんに聞いてみたところ、お嬢様学校を抱える閑静な住宅街という立地とお客さんの年齢層の関係もあるのでしょうか、知的な本を好む年輩のお客さんや、女性客が多く、客単価も高めとのこと。チェーンの他の店舗と比べると、来客数は低いのに客単価は高いという数字が出ているようです。
フェアについて、「ふつうは知らない本、ぴんで売るのはむずかしい」と淺井さん。だから「関連本を集めて、そのなかでお客さんの興味を引くようにして売っている」のだそうです。今回はお見せできませんが、このフェア棚では、今回のブックンロールのトークに関連するフェアも展開中なのですが、そのフェアの組み立て方、本の選び方・並べ方を見ると、淺井さんの思いが、なるほど、実際に棚に反映されているのが実によくわかります。
実際、知的好奇心の高いお客さんが多いのでしょう、講談社学術文庫のフェアなども売れるといいます。また、ハードカバーが売れるお店でもあるとのことで、なるほど、文芸やノンフィクションの平台を見ると、単に、新刊、最近の売れ筋を平積みにしただけの並びにはなっていないことが、一目でわかります。自分でわざわざ探して買ってくれるお客さんが多いといいますから、お店側にしてみれば、棚の作りがいがありますね。
↑文芸棚。文芸棚のクジラのフィギュア(?;お店の自作)に色紙にPOPにとにぎやかなエンド台。
↑この規模のお店に、夏葉社とミシマ社のコーナーが設けられていること自体が驚き。こういう本が売れるお店なのです。おもしろいのは、このような棚は、お客さんから聞かれたときに、お店のスタッフがすぐに案内できるようにと、お客さん向けでありつつ、かつ、お店のスタッフ向けでもあるということ。
↑文芸の向かいはノンフィクション。棚に見えるエンジ色は、後述するジャンル表示で、きめこまかなジャンル分けがされていて、さがしやすい。前述の、わざわざ自分で探してでも買うというタイプのお客さんへの配慮が見られる、丁寧な棚作り。
店内には、あちこちにPOPが立っています。この立地やお店の感じを考えると、かなり多めに感じられるこれらのPOPは、淺井さんが自身で手がけたものが多いようです。自分は「監督タイプ」だと話す淺井さんによれば、フェアの選書や、POPの文言は自分で考えるけれども、イラストや描き文字は得意なスタッフにまかせるようにしているとのこと。POPは、ご自身は手書き文字よりもフォントのほうが好みなので、やさしい感じを出したいときは、スタッフの方によるイラストや手書き文字にしたりと、本の種類や用途で使い分けているとのこと。そのせいもあってか、店内のPOPは、実にバラエティに富んだものになっていて、画一的な感じがしません。
↑店内のPOPの例。手書きタイプ(左)、ワープロ文字タイプ(中)、イラストとの複合タイプ(右)。基本的にはお店で用意するようにしていて、出版社が用意した出来合のものは少なめとのこと。そういう出来合のPOPでも売れるものだけにしているそうです。
↑文庫棚のエンドでは、吉本隆明の追悼フェアが展開中。この立地の、この規模のお店としては、やや力が入りすぎているぐらいのフェア。下に見える、女子アルバイトおすすめ作品とのコントラストも(ねらったものかどうかはわからないが)お見事(笑)。
↑レジ斜め前あたりの、お店のメインのフェア台。JAZZに、図書館戦争に、ふつうの新刊にと、一見、雑多な感じだが、硬軟とりそろえた幅の広いセレクトになっていて、このフェア台を一周すれば、お店の品揃えが大まかにわかるような作りに。手作りのパネルやPOPなどの工夫も見逃せない。
↑文庫棚の一部。文庫の並べ方は、チェーンで共通ではないそうで、同じブックポートでも、ともえ書店や大和店は作家の五十音順だが、緑園店は社(レーベル)別とのこと。
文庫棚の平台では、写真のように、一部の本が、平積みではなく、縦に立てられています。平台に小棚が使われているのが、写真でわかるでしょうか。これは、限られた平台のスペースを十分に活かすための策。新刊をすべて平にはできない、かといって、棚に差すと新刊だとわからない。それを解消するため、このように、透明なブックエンドのような小棚を使って、平台で「差し」の状態を実現し、点数をかせいでいます。
↑文庫のジャンルガイド。以前に、同じブックポート203の鶴見店の様子をレポートしたことがあります。その記事で紹介しましたが、ブックポート203は、棚のジャンルガイドの表示がとてもこまやかなお店。ただ、これはチェーンで規格ややり方を厳密に統一しているわけではなく、ある程度、お店の自由にまかせられているとのことです。淺井さんによれば、ジャンルガイドを、どれぐらいこまかく入れるか、どのようなものにするかは、鶴見店や他のお店に合わせるのではなく、お店独自にしている部分も多いのだとか。
文庫、雑誌、実用書では、お客さんが見やすいことはもちろん、商品の出し入れや補充などお店の方が取扱やすいことも考慮して、ガイドの形状やサイズを変えています。いずれも写真のように手作りで、使わなくなった無料冊子類を流用したり、100円ショップなどで購入したビデオケースやリングバインダーを利用したり、それにラベルシールを貼るなど、大変な手間がかかっています。背にあたる部分に文字が見えるタイプのもののほか、下敷き状のものも使われています。なお、文庫棚にも、当初はこまかくジャンルガイドを入れていく予定だったそうですが、棚に入れられる商品の数が減ってしまうのでやめたそうです。ふだん、なんとなくお店で目にしている小道具にも、こんなふうに工夫がこらされているわけですね。
【“ブックポート203緑園店……ブックンロール出演者のお店を紹介します 1”の続きを読む】
本と書店と音楽のイベント「ブックンロール Book'n'Roll 2012」まで、あと10日ほどになりました。
ブックンロール Book'n'Roll 2012
~上を向いて歩こう~
日時:2012年6月29日(金)
OPEN 19:00 START 19:30(~22:30)
19:40ごろ ライヴの部 START
21:15ごろ トークの部「何でも見てやろう」START
場所:ルースター・ノースサイド(東京・荻窪)
杉並区上荻1-24-21-B1 03-5397-5007
http://ogikubo-rooster.com
チャージ*:1000円+ドリンク500円
出演:
(トークの部)
淺井 康雄(ブックポート203緑園店)
上田 砂由里(BOOKS隆文堂)
長谷川 仁美(BOOK EXPRESSディラ大宮店)
花本 武(BOOKSルーエ)
比嘉 栄(三省堂書店新横浜店;司会)
(ライヴの部)
長谷川バンド(BOOK EXPRESSディラ大宮店長谷川さんのバンド)
C調ボーイズ(夏葉社島田さんのバンド)
みぎたとしき(ソロ)
ブックスピストルズ(「吉っ読」のバンド)
その他、トークの内容、出演者のプロフィールなどにつきましては、前回の告知記事、また前々回の告知記事もよろしければご覧ください。
今回も、昨年同様、予約などは必要ありませんので、当日、直接会場にお越しください。それでは、6/29(金)、荻窪にて、ブックンロール出演者+スタッフ一同、本好き書店好き音楽好きのみなさんのお越しを心からお待ち申し上げております!
最近、吉祥寺の書店、BOOKSルーエ、リブロ吉祥寺店、啓文堂書店吉祥寺店の3店の書店員さん数人でたまに集まって、お酒を飲みながら、本や書店のことをあれこれおしゃべりしています(最近、さらに、お隣三鷹の啓文堂書店三鷹店からも参加者が)。「吉っ読」は、「吉祥寺書店員の会」などと名乗りながら、このところ、ちっとも「吉祥寺書店員の会」らしい活動ができていなかったので、これ幸いと、「吉っ読拡大版」などと自称して、楽しんでいます。
で、わいわいやっているうちに盛り上がってしまって、この3店で、合同フリペを作ろうということになり、こんなのができました。じゃーん。
↑こちらが第一号。
フリペの名前は、「ブックトラック」。表紙のイラストはおなじみ、「吉っ読」のキャラクター「ぶっくん」です。各店の有志が一筆寄せています。吉祥寺つながりということで、吉祥寺の一人出版社、夏葉社の島田さんの文章も載っていますよ。BOOKSルーエ、リブロ吉祥寺店の2店で配布中です。西荻窪のbeco cafeにも置いてもらう予定です。また、6/29に開催のイベント「ブックンロール」でも配布を予定しています。
ちなみに、フリペの名称になっている「ブックトラック」、表紙に説明を入れてありますが、書店員さん、司書さんには説明不要ですよね。本を入れて運ぶ、キャスター付きのワゴンというか、移動棚です。それに、book to luckと、ちょっと無理やりではありますが、英語をあてています。リブロ吉祥寺店のKさんが考えてくれました。
というわけで、吉祥寺書店フリペ「ブックトラック」、店頭で見かけたら、ぜひ手にとってみてくださいね。
なお、吉祥寺にはたくさんの書店がありますが、うちこの3店で集まっているのは、何も他のお店を無視しているとか、入れないようにしているとか、そういうことではまったくありません。お店によってはなかなか知り合うチャンスがなかったり、知り合いがいても、酒席に来てもらえなかったり、いろいろあって、たまたまこのような組み合わせになっている、ということです。こんなふうに、近くの書店同士で、お酒を飲みながら情報交換したり、一緒にフリペを作ったり……そういうことに興味のある吉祥寺および中央線沿線の書店員さんがいたら、大歓迎なので、ぜひblogのコメント欄やツイッターでご一報ください。
【“吉祥寺の書店3店合同のフリーペーパー「ブックトラック」ができました”の続きを読む】
あまり数はないのですが、新刊書店の開店・改装・閉店関連をまとめます。
- 6/ 8 【リニューアル】リブロ池袋本店
- 6/23 【オープン】ゲオ釧路星が浦店(110)
- 6/28 【閉店】ビッグウィル上本町店(260)
- 6/28 【オープン】ジュンク堂書店上本町店(260)
- 6/29 【オープン】蔦屋古淵駅前店(35)
- 6/29 【リニューアル】BOOKSなかだ北の森店(150)
- 6/30 【オープン】ゲオ江別大麻店(79)
- 6/中 【オープン】ビックカメラ新宿新店
- 7/ 5 【オープン】こまつ書店東根店(280)
リブロ池袋の改装、関連記事はこちら。「リブロ池袋本店、売場リニューアルを記念誌ミニセミナー」(6/13 文化通信)。改装は「趣味・生活/雑貨」とリファレンスがある、書籍館地下1階で、リニューアルオープンは6/8。記事によれば、《同日から、リニューアルを記念した連続ミニセミナーを開催している》とあり、「立ち見が出るほど」だというミニセミナーの盛況ぶりが写真入りで紹介されています。
ゲオの釧路は、昨年12/19に閉店したブックシティナウ星が浦店の居抜きとのこと。「居抜き」は、要するに、そのまま、ということですから、通常、すぐに後に入りたい、オープンしたい、ということで、閉店から短期間で新店がオープンになる場合が多いようですが、このケース、居抜きにしてはずいぶん間があいているのは、何か事情でもあったのでしょうか。
こまつ書店は、山形県内で展開しているチェーン。東根店は、サイトには《北村山・西村山地区で最大規模》とありますね。一般のお客さんにはあまり関係がない、というか、わからない話かもしれませんが、こまつ書店の既存店(5店あります)、取次は大洋社なんですが、この新店はトーハンの帳合店なんだとか。
帳合変更と言えば、つい先日も、この件が新聞他で報じられたばかりですね。「トーハン、明屋書店と資本・業務提携」(6/7 新文化)、「明屋書店、トーハンと提携 生き残りへ株式40.8%譲渡」(6/8 読売新聞)。明屋書店のサイトにも次の文章があがっています。「株式会社トーハンとの資本・業務提携に関するお知らせ」。
読売の記事を引きます。《フランチャイズを含む84店舗を15都道府県で運営する明屋書店(松山市)が7日、発行済み株式の40・8%を出版物取次大手のトーハン(東京都新宿区)に譲渡し、資本・業務提携すると発表した》。
《厳しさを増す書店の経営環境を改善しようと、明屋側が昨年末、ネット注文した書籍を店頭で受け取れるシステムなど情報戦略で先駆けるトーハン側に、グループ入りを打診した》。
明屋書店は日販の帳合店ですが、新文化の記事によれば、《日販からトーハンに帳合変更していくという。トーハン帳合店は現在8店》とのこと。
あまり、「出版不況」「書店の苦戦」といった、わかりやすいキーワードで簡単にまとめてしまうことは避けたいのですが、これだけ書店の閉店が続くと、既存チェーンの勢力分布図を塗り替えようという取次の動きは今後も出てくるでしょうね。この数年、あちこちで行われている、出版社がらみのグループ化・提携などの動きも、同じ流れにあると言えそう。こういう「大文字」の話は素人の手に負えませんので、誰かがきちんとまとめてくれるといいのですが。
あと、このリストだと、「ジュンク」がらみの2件も気になります。6/28のビッグウィル上本町店の閉店とジュンク堂書店上本町店のオープンは別の案件ではなく、前者の屋号変更+改装とのこと。書店関連に興味のある方なら、このニュースを覚えているかもしれません。「【近鉄百貨店】書店運営の子会社をジュンク堂に売却」(2012/3/29 DF online)。
ジュンク(CHIグループ)がビックウィルを買収したことを報じるニュースです。ビッグウィルは《「近鉄ブックセンター」「ブックランキング」などの店名で書店8店舗を展開するほか、「TSUTAYA」のフランチャイズ店を運営して》いる会社。同記事によれば、近鉄百貨店の売却は《2014年春の阿倍野新本店のオープンに向け、書籍売り場の充実を図るため》とされています。
【“リブロ、ジュンク、ビックカメラ、帳合変更……新刊書店の開店・閉店いろいろです ”の続きを読む】
吉祥寺のBOOKSルーエと立川のオリオン書房で、最近買った本たちを紹介します。
- 寺内光浩(大光製本所)監修『わたしのつくる本 文庫本を上製本にしてみませんか』(創元社)
- 別冊宝島編集部編『僕たちの好きな明智小五郎』(宝島SUGOI文庫)
- かとうちあき『野宿入門』(草思社文庫)
- 久生十蘭『十蘭錬金術』(河出文庫)
- ジェフリー・ブラウン『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』(辰巳出版)
『わたしのつくる本』は、《文庫本をハードカバー(上製本)に仕立てることができる製本キット》で、《今すぐできる材料一式とテキスト付で、初めてでもプロの製本家のような仕上がり。本の仕組みがよくわかり、本の楽しみ方も広がります》とあります。内容のくわしい紹介が版元のサイトにあがってますので、こちらをどうぞ。動画もありますよ。
↑こんな感じ。色はワインレッド、スカイブルー、マスタードの3色があって、ぼくはワインレッドにしましたよ。
ルーエにしては強気な数が積んであるので、話を聞いてみたら、まだそれほど売れているわけではないみたい。「できたらもってきてくださいよ」と花本氏。「「見本」って書いて、店頭用の見本にするから」って、こちらがお金出したのに、お店の見本に使うのか!(笑) でも、上手にできたら、それでもいいかもなあ。と話したら、「失敗したら、「失敗例」として飾るから、やっぱり持ってきて」って、ダメな見本ってことか!(苦笑) すごくがんばって作って、できた!、すばらしい出来!と思って、ルーエに持っていって、後日、店頭を見てみたら、「失敗例」としてディスプレイされてたら、ショックだよね(笑)。
それなりのお値段がする商品なので、この値段を出してまで、大事な文庫、お気に入りの文庫を上製本に変身させたいかどうかがポイントになりますよね。仮に700円の文庫を上製本化したとすると、2600円強の上製文庫ができあがることになりますね。どんな本かにもよるけれど、親本があるものなら、上製本が買える値段だし、一昔前の文芸書の古書なら、箱入り布クロスの本が手に入るかもしれない値段。文庫の上製というかたちに、どれぐらいこだわりたいかで、この商品の魅力とか必要性のイメージが変わってきそうです。
自分で買って自分の文庫を上製にするのももちろんいいけれど、こういうのはプレゼントでもらうとすごくうれしいかも。
当然、このような商品を買う人は、上製化する本は、思い入れのある1冊、長く読み返したい1冊を選ぶことになるのでしょう。買ったはいいけど、何を上製化するかで、すごく悩んでいます。まちがって、二度と読み返さない、どころか、通読もしなかった雑学文庫を選んじゃったりとかね。あと、秋田書店の大全科とか小学館のコロタン文庫みたいに、紙が分厚いタイプの文庫を間違って選んじゃって、上製にしたらうまく開かないとかね。選書に失敗したら笑うよね、という話を花本氏としてたら、やはり「お店に持ってきて」と。「選書に失敗した例、として飾るから」。
『僕たちの好きな』は、同名の別冊宝島の改訂版。あちらも持ってるけど、まあ、乱歩者としては買わざるを得ません。
『野宿入門』、この本の親本が出たときに、伊野尾書店で行われたイベント「本屋野宿」は話題になりましたよね。本屋プロレスもすごいけど、本屋野宿はさらにすごい(笑)。ついこの前のことだという気がしてたんですが、もう1年半ほど前なんですね。まあ、それでも文庫化としては早めではありますよね。
ぼくはアウトドア的・サバイバル的なあらゆるものとは無縁の典型的な屋内派の人間なので、野宿なんてとても無理、字面を見てるだけで、背中が痛くなってきちゃう超軟弱者なので、この本を読んで何かの参考にしようとはまったく思わないんですが、これ、読むだけなら、ほんとおもしろいよね。本当のアウトドア派みたいな人が読んでおもしろいものかどうかはよくわかりませんが、ぼく同様、軟弱にできている読者のほうがむしろ楽しめそうです。吾妻ひでおさんの一連の日記ものが好きな人にも良さそう。
河出文庫の十蘭、続きますねえ。早くも5冊目。順調に売れているということなんでしょうか。十蘭読みとしてはうれしいですね。収録作については、版元の詳細ページをどうぞ。(短篇集・作品集、とくに、こういう独自に編まれたものについては、オンライン書店の内容説明はともかく、せめて出版元の紹介ページには、やはり収録作品一覧があったほうがいいと思うのですが、どうでしょうか。)
↑もう4号が出ています。「ルーエの紙」。
『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』は日本語版の発売前から、ファンの間では、かわいい、おもしろいと話題になっていましたね。
他愛ないと言えば他愛ないんですが、でも、あなたがスター・ウォーズ者なら、幸せな読書時間を過ごせると思いますよ。育児本のコーナーに置いてる書店もあるって(笑)。ほんとかなあ。ほんとなら、すてきだなあ。これを読んでから、『帝国の逆襲』とか観たら、ダース・ヴェイダーとルークがからむ場面の印象、変わるかなあ(笑)。原文の感じを見たい方は、版元の紹介ページをどうぞ。
この本はオリオン書房ノルテ店で購入したんですが、ノルテ店、店内の様子が少し変わりましたね。
↑店内のフロアマップにはこのような貼り紙が。
【“上製文庫、野宿、十蘭、ダース・ヴェイダーとルーク……ルーエとオリオンで最近買った本たち。”の続きを読む】
一時期、ほんとに大好きで、その作品は手当たり次第、片端から読みました。そして、ものすごく影響を受けました。「SF小説の巨匠、レイ・ブラッドベリ氏死去」(6/7 MSN産経ニュース)。
日本の新聞の訃報はどれも似たような記事ですが、記事でふれられている業績や代表作、記事に添えられた写真などに微妙な違いもありますので、主要紙のほか、いくつか目に付いたものを、リストアップしておきます。
本国では記事の扱いもやはり大きいようですね。
今晩は、なつかしいブラッドベリの本たちを本棚から引っ張りだして、それらを、あちこち読み返しながら過ごすことにします。初めてブラッドベリに出会ったころの、幸せな読書の思い出にひたりながら。ありがとう、ブラッドベリ。
(以下、ブラッドベリの本について、どうでもいい、個人的な思い出を連ねています。そういうだらだら文に寛容な方はどうぞ。)
【“とうに夜半を過ぎて……ありがとう、そして、さよなら、ブラッドベリ”の続きを読む】
本好き書店好きのみなさんの興味を引きそうな、こんなミニコミたちを最近買いましたよ。
まずは『本のある部屋』。はこのなかによれば、《大阪の書店員さんのゆるい繋がり・OSKと連携して、有志で作った》《本好きのための雑誌》で、5月と11月の年2回発行とのこと。A5判32ページで定価500円。雑誌の表4(裏表紙)には「OSK発行」とあるのですが、奥付には「発行:朝日久美子」とあります。どっちが正しいのかな。サイトには、OSKと雑誌の関係について、《OSK自体は雑誌を作ることを目的とした集まりではないので、あくまでもその中の有志に協力していただき制作した、というかんじです》との断り書きがあります。
ちなみにOSKは、大阪書店員の会で、その名の通り、大阪の書店員さんたちの集まり。わたくし空犬も、大阪でOSKのみなさんの酒席に混ぜていただいたことがあるんですが、お店もキャリアも年齢も担当も違うみなさんが、わいわいと本や書店の話を楽しげに交わしあっていて、実にアットホームですてきな集まりなんですよ。
で、そのOSKのみなさんが、特集1「本屋大賞を全力で楽しむ」の座談会に参加しています。単なる本屋大賞讃歌ではなく、けっこう辛口の意見も飛び出したりして、おもしろい読み物になっています。大賞発表前に行われたせいか、話題が大賞作品に偏ることなく、いろんな作品にふれられているのもgoodでした。
特集2は「梅田書店マップで、もっと楽しい本屋巡り」。サイトの案内を引くと、《書店巡りの目的別ルートやら、寄り道スポットやらを詰め込んだマップ》。ケーススタディとして、目的別のおすすめコースなども紹介されています。
そのほかにも、《OSKメンバーで書店員兼イラストレーターのマリ猫さんのイラストページ、座談会の場所提供などでも色々お世話になった珈琲舎・書肆アラビク、森内さんの洋書レビュー、そしておまけ的にわたくしめの「妄想本棚」など》(文中の「わたくし」は発行人の朝日久美子さん)、書名通り、まさに「本がぎっしり詰まった部屋」のような、にぎやかで楽しい1冊になっています。好きな人が楽しんで作ったのが伝わってくる中身ですよね。
次号以降も楽しみだし、知らぬ仲でもなし、ということで、ここは、2つほど注文も。1つは、取り上げる本のバラエティ。今回は特集が「本屋大賞」なので当然、大半が本屋大賞関連の作品・作家の話になっています。次の特集がどうなるのかにもよるでしょうが、違うジャンル、小説以外など、いろいろな本の話をこのメンバー/この雑誌が取り上げているのを読んでみたいものだと思いました。
もう1つ。みなさんが力を入れて作られたマップですが、地元以外のお客さんが使えるようなものにするには、目印(どこで曲がるとか、何の隣とか、何番目の筋とか)をもう少し入れていただければなあと思いました。
ぼくは長く大阪に住んでいた者ですが、それでも、最近の大阪、とくにJR大阪周辺の変わりようは、ついていくのが大変。地下街なんて、目をつぶってても歩ける、ぐらいに思っていましたが、最近はちょっとあやしいことも。土地勘のあるぼくでもそうなので、初めて訪れる方、久しぶりに訪れる方にとっては、お店探しは大変だと思うんですよね。茶屋町とルクアと堂島なんて、けっこう離れてますしね。この地図「だけ」で(つまり、スマホの地図アプリやGPSを併用しないで、本当にこのマップだけをたよりに)、清風堂書店にたどり着くのは、非大阪人にとってはけっこう難しいのではと、正直なところ思いました。
というわけで。本好き書店好きにはおすすめのこの『本のある部屋』、ぜひ実物を入手していただきたいところ。委託店舗リストはこちらにありますが、この文章の執筆時点では、関東では、三省堂書店新横浜店のみのようです。
次の『BOOK5』も創刊号。《本に関わるすべての人へ発信する情報バラエティ誌》とあります。A5判32ページで定価500円と、『本のある部屋』とほぼ同じ体裁ですが、こちらは横型。
特集は「ひとりでつくる、みんなでつくる」。対談(『趣味と実益』の平山亜佐子さん×『おてもと』の猪俣貴寛さん)、インタビュー(編集室屋上の林さやかさん)、エッセイ(夏葉社の島田潤一郎さん)の3本立てになっています。いずれもおもしろいんですが、なかでも、島田さんのエッセイ「何もしたくない。」には、思わず笑ってしまいました。先日の記事で紹介した3人会での島田さんはまさにこのエッセイのノリなんですよ。
《誰にも言いませんが、僕はこういうことを日々考えています》などとしながら、妄想ベストイレブン(サッカー好きの島田さんは、好きな作家でベストイレブンをつくったら、などとよく妄想するそうです)の話をじゃんじゃん披露してますが、《誰にも言いませんが》も何も、鈴木さんとぼくは、3人会でこの話を聞いて、何度も大笑いさせてもらってますから(笑)。夏葉社のファンにはおすすめの一文です。
ほかに、書店好きが気になりそうな記事を拾うと、「古本屋ツーリスト」の小山力也さんによる「新刊屋ツアー・イン・ジャパン」(ジュンク堂書店新宿店の閉店が取り上げられています)、元ジュンク堂書店で現在は沖縄で「市場の古本屋」うらら書房を営む宇田智子さんの「古本屋開店記」なども。
『Sanpo magazine』は、前2者に比べると、しっかり雑誌然とした感じ。A5判126頁で、950円。表紙にも厚手のしっかりした紙が使われています。版元の大散歩通信社は、古本者なら、山本善行さん『古本のことしか頭になかった』、高橋輝次さん『ぼくの古本探検記』などの版元として覚えている人も多いでしょう。
【“本のある部屋、BOOK5、Sanpo magazine……本好き注目のミニコミ3点”の続きを読む】
吉祥寺の一人出版社、夏葉社の島田さん、いまは下北沢に移転してしまいましたが、知り合ったときは事務所が吉祥寺にあったアルテスパブリッシングの鈴木さん。お二人とは、吉祥寺の出版関係つながりということで、「3人会」などと称して、よく吉祥寺で一緒にお酒を飲んでいます。
3人で飲みに行くと、当然のことながら、お互いの仕事のこと、お互いの手がけている本のことに話が及びます。いろいろ話していると、今手がけているもの、これから出るものだけでなく、こんな本作れたらおもしろいよね、なんて願望・空想・妄想混じりの話になることもしばしば。いわば、飲み屋で「企画会議」をやっているわけですね(笑)。で、これが楽しい。
しばらく前に3人で飲んだときも、例によっていろいろとおもしろい話が飛び出しました。こういうのを聞いてると、イベント好きの血が騒ぐというかなんというか、これを内輪の飲み話だけで終わらせておくのはもったいない、トークイベントのネタか何かに使えないか、なんてことを考えてしまうわけです。で、そういうのが好きなわたくし、空犬が、早速このようなイベントを考えてみました。じゃーん。
beco talk vol.1 公開編集会議
「島田さん、『本屋さんの本』を作りませんか?」「はい、つくりたいです!」
日時:2012年7月27日(金)
OPEN 19:00 START 19:30(~21:30)
場所:beco cafe(東京・西荻窪)
チャージ:500円(ドリンク代は別となります)
出演:島田潤一郎(夏葉社)、鈴木茂(アルテスパブリッシング)、空犬(吉っ読)
イベント名がやたらに長いんですが、これが正式名称です。トークの内容は、《吉祥寺に縁のある出版関係者&飲み仲間3人が、「復刊ものでない」(ここがポイント)夏葉社本を、それも、無謀にも本屋さんをテーマにした本(ここもポイント)を、勝手に企画します》というもの。
お金とって、酔っぱらいの与太話、聞かせるのかよ……そう思いますよね、ふつう。たしかに、元は飲み話ではあるんですが、これ、けっこう島田さんが本気になってまして、かなり具体的な話になってるんですよ。で、そういうのが好きなぼくもけっこう本気になってしまったりしてまして、この前の飲み会なんて、企画書作っていきましたから(笑)。島田さんに頼まれたわけでもいないのに。
今回は、これまでの話をベースにしながら、さらに企画を実現に近づけるため、3人であれこれ「具体的な」相談をします。体裁とか分量とか、書き手とか、費用とか、売り方とか。そして、もしも現役の書店員さんや、その他、本の関係のお仕事の方がお客さんとして来てくださった場合は、ぜひお客さんの意見も参考にしたいと思っています。
当日のトークで、どこまで何をどうするか、みたいな具体的な話はまだしていないのですが、単なる与太話に終わらせるつもりはありません。企画しておいて自分で言うのもなんですが、出版や編集に興味のある方にはけっこうおもしろい話になるんじゃないかなあと思っています。もしかしたら、夏葉社の新刊企画が立ち上がるその場に立ち会えることになるかもしれませんよ。
なお、今回は、あくまで、「非復刊本」の企画で、それも、「本屋さんの本」を想定しています。夏葉社の企画というと、今度は何を復刊するのか、○○という作品を復刊してほしい、●●という作家を取り上げてほしいというリクエストをお持ちの夏葉社ファンの方も多いかと思います。申し訳ありませんが、今回のトークでは、復刊ネタの話は、一切しませんので、その点はあらかじめご了承ください。
トーク自体は1時間ほどで、トーク終了後は、閉店後まで出演者も残ってのドリンクタイムとなります。夏葉社、アルテスパブリッシングの本について話がしたい、島田さん、鈴木さんに聞きたいこと、話したいことがある、という方はぜひ残って、一緒にお酒とおしゃべりを楽しんでいってください。
当日、フードはおつまみのみとなります。しっかり食べたいという方は、あらかじめ軽く食べてからお越しになるほうがいいかもしれません。
席の数があまり多くありませんので、申し訳ありませんが、事前に予約していただくかたちとなります。beco cafeに直接、
電話(03-6913-6697)
メール(w.bookendless [at] gmail.com)
twitter(@bookendlss)
のいずれかでご連絡ください。(*twitterでご連絡される場合は、通常ツイートで連絡先などを流さないよう、ご注意ください。ちょっと面倒ですが、@をとばして、フォローしてからDMで連絡をとるようにしてください。)
それでは、7/27、beco cafeでお目にかかりましょう。
追記(6/10):このイベントは、おかげさまで予約で満席となりました。予約してくださったみなさま、興味を持ってくださったみなさま、ありがとうございました。
【“夏葉社の公開編集会議?!……夏葉社の「非復刊」新刊企画を勝手に考えるトークイベント”の続きを読む】
紀伊國屋書店新宿南店で、先日、おもしろいフェアが始まったので、紹介します。「Visual Editions ブックフェア」がそれ。お店のくわしい情報はこちら。「【新宿南店】 ロンドンの出版社 『VISUAL EDITIONSブックフェア』 素晴らしい姿で綴られた物語 」。(以下、店内の写真はお店の方に断って撮影したものです。)
場所は、6階洋書売り場コミュニティーガーデン(洋書売り場と語学書売り場の間あたりのスペース)フェアテーブル。フェアで紹介されている書籍は全部で4点、上の写真にある通り、テーブル1つにおさまってしまう小規模なものなんですが、これが実に濃い。
フェアタイトルにあるVisual Editionsは、2009年に設立されたロンドンの出版社。そのVE社が刊行した、Visual Writingなる《視覚的要素が言葉と同様に鍵となるような物語の表現方法》(チラシの説明より)で著された作品が集められています。チラシに《本が「紙」で良かったと思う》というコピーが見えますが、まさに、見る人にそのコピーのような感慨を抱かせずにはいられないような、「紙の本」の可能性に全力で挑戦しているかのような、強烈な本ばかりです。
言葉では説明しづらいので、まずは現物を見ていただきましょう。4点のうち、最新刊だという『Kapow!』(Adam Thirlwell)を買ってきました。
↑ギフトラッピングされたものと、ラッピングなしの2種が売られています。ラッピングペーパーは、お店でつけたものではなく、版元特製だそうで、内容に合わせてあるんでしょうか、4点それぞれ別のものになっています。この『Kapow!』は、ご覧の通り地図。カイロ(?)の地図に、ロンドン(?)の地図がコラージュされたもの。
↑本体は一見、ふつうのペーパーバック。ところが、中をあけると……。
↑このような感じ。本文に窓があいていたり、横組みに縦組み、斜め組が乗ったり交差したり重なったり、丸や三角の形に組まれた箇所があったり、ページがシート状に広げられるようになっていたりと、ほぼ全ページにわたって、タイポグラフィの遊びが繰り広げられています。
文章自体は難解なものではなく、拾い読みしてみたかぎりでは、「ふつうに」読めそうではありますが、この作品に関しては、個々の文章が平易かどうかを言ってもあまり意味はなさそうですね。改段落のない文章がずっと続いているところに、まったくあさっての方向の文章が重なったりしているわけですから、ちゃんと読もうと思ったら、レイアウトの遊びを楽しむ余裕と集中力の両方があったほうがよさそう。でも、英文読解の練習じゃありませんからね。あまり難しいことを考えずに、本文を眺めているだけでも楽しめます。
残り3点がこれまた強烈で、上の本が4点のなかで比較的「おとなしい」と感じられてしまうほど。綴じられていないページが箱に収まっていて、どこからでも、どの順でも読めるようになっている「本」(『Composition No.1』)、バロウズ流のカットアップではなく、既存作品の文章の一部が「物理的に」切り取られて創られた/造られた作品(『Tree of Codes』)、古典文学(『トリストラム・シャンディ』)のレイアウト・組版をビジュアル的にさらに激しく冒険的にアレンジしたもの(『The Life and Opinions of Tristram Shandy, Gentleman 』)。
↑『Tree of codes』は、『Extremely Loud and Incredibly Close』(邦訳『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』)のジョナサン・サフラン・フォアの作品。これは、同氏の署名入りポスター。
文章で説明されても何のことだかよくわからないと思いますし、自分でもうまくこれらの本のありようをまとめられているとは思えないので、ぜひ店頭で実物を手にとってみてください。版元のサイトや紀伊國屋書店のフェア紹介ページでも本の内容、造本や紙面の様子がくわしく紹介されていますので、遠方でお店に行けない方はそちらをご覧いただければと思いますが、Webで見るのと、実物を見るのとでは、衝撃がぜんぜん違うと思いますので、ぜひ現物を手にされることを、強くおすすめします。
洋書読み、とくに英語圏の最先端の文学にふれたいという方、少し前の名前なら、たとえば、レイモンド・フェダマン、ドナルド・バーセルミ、マーク・Z. ダニエレブスキー(『紙葉の家』)、最近だと、サルバドール プラセンシア(『紙の民』)といった作家・作品に関心のある方にはおすすめです。また、洋書は読まない、読めないという方でも、あなたが「モノ」として本を愛する方、ブックデザイン・装丁・造本・印刷などに興味のある方ならば、ぜひ実物をご覧になるといいかと思います。フェアは、6/30まで。
【“本が「紙」で良かった……紀伊國屋新宿南店の「Visual Editions ブックフェア」がおもしろい”の続きを読む】
新刊書店の開店・改装・閉店関連です(かっこ内の数字は坪数)。
●オープン
- 6/ 2 エキサイティングガールズストア香林坊109(30)
- 6/29 オークスブックセンター土浦ピアタウン店(85)
- 6/29 東京堂書店ふじみ野店(150)
- 6/29 未来屋書店ボンベルタ成田店(151)
- 7/上 宮脇書店宜野湾シティ店(130)
《ヴィッレジヴァンガードから女の子の好きなものを詰め込んだニュースタイルショップがスピンオフ!》(香林坊109の案内より)という「エキサイティングガールズストア」は、女性に特化した商材を集めたというヴィレッジヴァンガードの新業態店で、広島に次ぐ2店舗目とのこと。広島の店舗については、こんな記事があります。「広島に女性版「ヴィレッジヴァンガード」-フジグラン広島店内に全国初の新業態」(2011/10/5 広島経済新聞)。
もうずいぶん前の話ですが、一時期、金沢に仕事の用事があったので、数年続けて通っていたことがあります。その頃、香林坊109の地下には、大型のワンフロア店、喜久屋書店が入ってたんですよね。カフェも併設で、地元作家(金沢はゆかりの作家がたくさんいますからね)の在庫も充実した、とても居心地のいいお店で、今も印象に残っています。金沢と言えば、しばらく前、4月末に福音館書店が閉店になったばかり。
今回の「エキサイティングガールズストア」は、純粋な一般書店や、福音館書店のような専門ジャンルの書店とは趣がかなり異なるタイプのお店ではありますが、それでも、書籍の扱いのあるお店ができるのはうれしいことですよね。
さて、今回リストアップした新規店のなかで、書店好きがもっとも気になるのは、東京堂書店の新しいお店でしょう。この記事を書いている時点では、Webには告知などは出ていませんが、東京・中野(東中野)と埼玉・ふじみ野市に新規店ができるらしいことは、本店の改装のときに予告されていましたね。
お店が入るのは、ソヨカふじみ野というショッピングセンターの2階。地図で見ると、東武東上線ふじみ野駅が最寄りのようです。まったく縁のないエリアなので、商業施設の様子も、周辺の雰囲気も想像がつきませんが、写真で見ると、典型的な郊外型の大型ショッピングモールのように見えます。東京堂書店と言えば、イコール神保町の本店の雰囲気。つまり、そうした郊外の大型商業施設とはまさに対極的とも言えるイメージが強いお店だけに、こういう商業施設内で、神保町とはまったく客層の異なるエリアで、東京書店がどんなお店造りをするのか、どんな品揃えにするのか、興味津々です。カフェも併設のようです。
宮脇書店は、沖縄県宜野湾市、「サンエー宜野湾コンベンションシティ」の2Fに入るお店。東急ハンズなども入る大型複合商業施設で、施設自体のオープンは7/3となっている別資料もありました。
●リニューアル
- 5/24 TSUTAYA町田旭町店(33)
- 6/ 1 宮脇書店ブックスフリーウェイ新見店(115)
- 6/ 4 ブックスなにわ仙台泉店(270)
- 6/15 平安堂雑貨館(50)
- 6/15 TSUTAYA新大久保店(86)
- 6/22 アバンティブックセンター三田駅前店(235)
それぞれ、改装のポイントを簡単に。TSUTAYAは書籍売り場が新たに設けられたとのこと。新見の宮脇は95坪からの増床。仙台のブックスなにわは婦人・実用などが強化されたとのこと。
平安堂雑貨館は、その名の通り、平安堂チェーンのお店。元の店舗がどこにあって、どんな様子だったのかがわからないので、くわしいことが書けませんが、移転して書籍の扱いを開始するとのことです。
新大久保のTSUTAYAは、道路拡張工事に伴い休業中だったのが再開に。三田のアバンティは、コミック・ラノベを増強とのこと。以上、地縁のないエリアのお店ばかりだったもので、いつも書店情報を寄せてくださる知り合いの方からの情報を参考にさせていただき、まとめました。
●閉店
- 5/31 BOOKSうかいや書店飾磨店
- 7/16 真光書店南口店
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今日は家族で西荻窪へお散歩に。今日明日と開催中のチャサンポー(西荻茶散歩)を楽しんできましたよ。
西荻は頻繁に降りている割には、いくところはいつも決まっていて、飲食店だとbeco cafeや戎、書店だと今野書店、颯爽堂、音羽館など、同じところばかり。今日はふだんは行けない/行かないお店やエリアをあちこち散歩できて楽しかったんですが、家族と一緒だったので、本の関係は、古書店の盛林堂書房しか寄れませんでした。
チャサンポーがどんなイベントで、どんなところを回ってきたかを書いてると長くなるので、その盛林堂での収穫、それも探偵関係についてのみ記します。
盛林堂は中央線沿線の古本好きには説明不要のお店ですよね。昭和の文学や探偵小説が好きな向きなら、店内に一度足を踏み入れたら、手ぶらで出てくるのが困難な、すばらしい品揃えのお店。せっせと通いたいところなんですが、閉店がやや早めなので、会社帰りにはなかなか寄れないのが残念なところ。
今日は、店内の一部の棚を使って「西荻街角ミニミニふるほん市」が開催中でした。参加店は、お店のツイートによれば、《蟲文庫、ひぐらし文庫、善行堂、おこりおやじ(林哲夫)、あやかしや、聖智文庫、アカミミ古書店》と、古本好きが反応しそうな名前がずらり。さらに、ショーウィンドーでは、ミニ展示「山王書房店主関口良雄と昔日の客」も。後で、「写真撮影大歓迎」というツイートを見かけたんですが、写真を撮ってこなかったのが残念。
↑古本好きの間で話題を呼んでいて、気になっていた目録「盛林堂の本棚」も無事入手(隣の文庫はサイズ比較のためのもの)。特集は「山王書房店主関口良雄と昔日の客」。フルカラーの、実に手の込んだ目録で、ほんと、すばらしすぎる……。広げると、内側も書影入りの目録になっていて、こちらがまた、並んでいるのがすてきな本ばかり。まとめ買いしたい……。実物になかなかお目にかかれない本の書影もありますから、眺めているだけでも楽しいです。野呂邦暢のコバルト文庫は1万円超かあ……(ため息)。
↑本日のメインの収穫。Webで見かけて以来、ずっと欲しかった、渡辺温『兵隊の死』(暢気文庫)。全集も文庫ももちろん持ってるけど、これは買うよね。サイズ比較のため、隣に創元推理文庫を並べてみました。
もう1点は、会計のときに、レジで、お店の方から、「これも探偵小説ですよ」と教えていただいたもの。橋本五郎『廣告燐寸』(十三舎)。おお、なんと、橋本五郎ではないですか。渡辺温の豆本というのも十分驚きですが、橋本五郎の豆本を造ろうなどという方いるとは。本気でびっくりしてしまいました。しかも、これ、単行本未収録作だというのです。
橋本五郎と言えば、一般的な知名度はともかく、「レテーロ・エン・ラ・カーヴォ」「疑問の三」などで、我々探偵者にはおなじみの名前。探偵小説のアンソロジー以外に、今は論創ミステリ叢書がありますから、割に手軽に読めるようになりましたね。橋本は2巻ありますが、『廣告燐寸』はいずれにも収録なし。
↑こちらです。
これが、また凝った造りの豆本で、マッチ箱に入っていて、中にはほんとにマッチも入ってるんですよ。いやあ、これはすごいなあ。紙は、こういうのも含めて楽しいんだよね。小さくしたり、マッチ箱に入れてみたり。素材に凝ってみたり。作品については、版元、十三舎のサイトにくわしい説明がありますから、そちらをご覧ください。
これは、渡辺温の豆本と違って、その存在も知らなかったし、お店の方に声をかけてもらわなかったら、そのまま気づかずにお店を出ていたかもしれない。こういう出会いは、ほんと、うれしいなあ。十三舎といえば、これも買いました。海野十三『ペンで征く』(十三舎)。
【“驚愕の探偵豆本をゲット……西荻窪の盛林堂がいろいろすごい”の続きを読む】
今週は連日の書店回り(もちろん、お仕事です)、楽しかったけど、週の終わりの今日になって、腕と足が大変なことになっていることに気づき、うんうんうなりながらお酒を飲んでいる空犬です。
あちこちの書店で、おもしろそうなフェアに出会ったんですが、全部にふれてると、きりがないので、今日回ってきた池袋の2店、リブロとジュンクで目についたフェアをご紹介します。
まずは、リブロ。1階、Cartographiaでは、「坂口恭平『独立国家のつくりかた』(講談社現代新書)刊行記念」として「坂口恭平の独立国家をつくるための20冊」が展開中。
坂口恭平さんの名前(『0円ハウス』(リトルモア)の方ですね)にぴんとくる方、『独立国家のつくりかた』を読んだ、または読もうと思っている方には、なかなか興味深いセレクトになっているのではないかと思いますよ。国家論といったかたい本ばかりでなく、SFに落語に児童文学にと、幅広くセレクトされているところがポイント。
傍らで展開中の東京本のフェアも、個人的に好きな東京本がたくさん含まれた、楽しいセレクトになっていて、思わず隅から隅まで見てしまいました。この、Cartographia、毎回興味深いテーマ設定やセレクトがされるコーナーですが、担当のYさんに会えたので、話をうかがったところ、夏以降にも、何やらおもしろそうな企画が控えているようですよ。くわしいことをオープンにできるようになったらあらためて取材させてもらう予定なので、お楽しみに。人文好きは要チェックですね。
2階の芸術書フロアでは、アルテスパブリッシング、創業5周年記念のフェアが。吉祥寺(から事務所は離れてしまったんですが)出版飲み仲間のスズキさんがひとこと寄せたフェア小冊子も。
同じ2階、芸術書フロア、レジ脇の壁面スペースでは、「チェコ絵本バザール」が。《トゥルンカやラダなど、近年人気のチェコ絵本のバザールを行います。商品は全て、海外で買い付けを行った一点ものです。会場には、チェコの絵本の挿し絵や雑貨などもございます》というこのフェア、数はそれほど多くはないものの、クラシックなたたずまいの絵本、素朴なタッチの絵が並んでいて、絵本やイラストが好きな人にはいいと思いますよ。絵本の挿絵がバラ売りされていて、しかも値段がけっこうリーズナブルなのもうれしいところ。
B1の文学書の売り場では、「現代企画室がいざなう「ラテンアメリカ文学の森へ」フェア その奥深き、豊穣な世界」が開催中。
現代企画室は、ラ米文学読みには説明不要の版元ですね。プイグ、パス、マルケス、ビオイ・カサーレス、バルガス・リョサらを含む「ラテンアメリカ文学選集」やサバト、オネッティらを含む「セルバンテス賞コレクション」を刊行している出版社。このフェアは、現代企画室の出版物を中心に、白水社、新潮社、水声社といった他の版元の作品も集めた、けっこうなボリュームのフェア。この本、まだ生きてたんだ!、というようなタイトルを含め、大型書店のラテンアメリカ文学棚でも、なかなかここまではそろっていない、というぐらいのセレクト。ラ米文学読みはもちろん、海外文学好きで、ラ米文学をのぞいてみたい、という方にもぴったりのフェアになっているのではないかと思います。
3階、語学書売り場のレジ脇では、「ちょっと変わった英和辞典あります」フェアが。しばらく前に出た『犯罪・捜査の英語辞典』(三省堂)が、翻訳ミステリー好き、とくに原書読みの間で話題になったようですが、同書のほか、食・スポーツ・クリシェ・しぐさなど、変わり種や専門分野の英語辞典が並んでいます。『舟を編む』効果のせいか、新聞やWebにも辞書関連の記事が出ることが多いようですし、新たに辞書に興味を引かれたという読者もいるでしょう。そういう方に、辞書という書物の裾野の広さを知ってもらうには、ぴったりのフェアかも。
次はジュンクへ。1階のフェア台では、「3・11以降の〈旅〉サウダージ・ブックスの本+α」が開催中。サウダージ・ブックスとは、《《旅と詩》をテーマにする非営利のスモール・プレスです。小出版の活動を行うほか、書物やアートにかかわる社会活動、イベント企画などをしています》。フェアの内容は上のリンク先を見てみてください。後援は、吉っ読にも縁の深い、鎌倉の出版社、港の人。
同じく1階、常設の「愛書家の楽園」、現在展開中のVol. 006は「老人たち」。
8階、語学書・児童書売り場、案内カウンターそばの窓際では、「本屋さんイチオシの100冊」が展開中。
「本屋さんイチオシ」とは、店頭で配布されていたフェアのチラシによれば、《2011年に創刊した読売KODOMO新聞の人気書評コーナー。全国各地の本屋さんが、「子どもたちにぜひ読んでほしい」というイチオシの児童書を毎週2冊紹介しています》というもの。店頭では、フェアのチラシと、ふだんは有料の『読売KODOMO新聞』5/31号が無料で配布されていましたよ。同じ8階では、「「よりみちパン!セ」学校・開校記念」フェアも。
これらを全部見てたら仕事にならないので、何が行われているかだけチェックしたら、あとは泣く泣く離脱。いずれも後日、ゆっくり再訪したいと思います。
あと、前回の記事でふれた、東京堂書店の展示2件もついでに紹介しておきましょう。本日、6/1に始まった「杉本一文原画展」、昼休みに早速見てきましたよ。
【“リブロ、ジュンク、池袋で見かけたおもしろフェア……東京堂で始まった杉本一文原画展と本の雑誌関連展示”の続きを読む】
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