ふだんよく出入りしている書店さんで、いつも応対してくださる担当のみなさんのことについて、ちょっと書いておきたいと思いながらなかなか書けずにいたところ、ちょうどふだんよくのぞくサイトのお二人が関連するテーマについてお書きになっていたのが目にとまりました。
ブックスルーエの花本さんは、「ルーエからのエール」の第11回「H川書房、T橋さん」で、「なじみの営業さんが異動してしまうのはさみしいもの」であることについて書いています。もうお一人、「本屋でバイト」の結さんは、「好景気?」で書店さんでのリストラについて書いています。いずれも、人の出入り、移り変わりの話なので、わたくし空犬も、今回は書店さんの担当変更の件について書いてみます。
この日記で報告している通り、ぼくが、純粋な客としてではなく、版元の人間として名乗って、ふだんよく出入りしている店は都内に複数あります。書店のみなさんとは、ふつう、
a)新刊の案内をしたり、注文をもらったり、といった“営業”的な仕事
で接することが多いのですが、少し親しくなると、
b)類書や他社新刊の動きを教えてもらったり、企画の相談に乗っていただいたり、複数の書名案や装丁案を絞り込むのに協力していただいたりといった、“編集”的な仕事
の話ができるようになることもあります。
aはどんな書店でもやりますが、bは、やはり「少し親しくなると」がないとできません。また、当然、相手の方がそのジャンルの本に関してある程度知識や経験がないと、こちらが聞きたいことを聞けない、というのもあります。それに(これも大きいのですが)やはり人間関係なので、相手がベテランだから、本のことをよく知っている方だかと言って、だれとでもこういう話ができるわけではないのです。つまり、広義の“相性”の問題があるんですね。
新刊が出るたびに通い、そのうち、顔と名前も覚えてもらい、話が少しできるようになって、新刊にかこつけなくてもお店に出入りできるようになる、その段階になると、仕事がやりやすくなるだけでなく、やはり気分的なものが違います。そのうち、さらに慣れてくると、こちらが何かを頼んだり尋ねたりするだけでなく、書店員さんのほうから、質問や頼まれ事が出てくるようになることがあります。それも、自分の担当本・担当ジャンルのことであればある意味当然かもしれませんが、それ以外のことで相談されたり、担当本・ジャンルに全然関係のない話ができるようになったりするようなことまであるのです。
後者のようになるには、やはりある程度、こちらが信用なり信頼なりを得ていないとありえないでしょうから、書店が好きで出入りしている人間としては、これほどうれしいことはありません。
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