先日11/8の日記で、気になる映画(祭)を取り上げた際に紹介し忘れてしまったのですが、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで「美の改革者 武智鉄二全集」が開催中ですね。
誰もがピンとくる名前ではないと思いますが、原作が谷崎で、武智本人のリメイクに続編にと都合3作がある『白日夢』の監督と言えばわかる方もいるでしょうか。特集のサブタイトルに「谷崎×エロス×アヴァンギャルド」とあるのですが、雰囲気や作風はまさにこのコピーに集約できる感じです。
- 『白日夢』(監督:武智鉄二)
1964年作ではなく、主演コンビが愛染恭子と佐藤慶の1981年版。冒頭の歯科医の診察室でのシーンこそ、妖しくエロティックな感じではあるものの、その後、全編の半分か6割ほどでしょうか、延々と行為(本番だとされています)が続くハードな描写は、当時話題になったのも当然かと思わせるものではありますが、正直なところ、今の目で見ると退屈。主演の愛染は全編のほとんどが裸なんですが、あんまり見せっぱなしなのもどうかという感じ、さらに個人的な好みもあって愛染にぜんぜん魅力が感じられないせいもあって、何度か途中でダウンしかけました。
武智作品を観るなら、わいせつ図画公然陳列罪に問われ、三島や大島渚らの協力も得て結局裁判で無罪となったという『黒い雪』を観てみたかったのですが、そちらはかなわず。
と、個人的な好みで書きましたが、愛染にぐっとくる方が観れば印象はまったく変わってくるでしょうし、なにより、武智作品はいずれもDVDにもなっていないようで、そうそう観る機会があるとも思えませんので、愛染ファンはもちろん、武智の名を聞くばかりで観る機会のなかった映画ファンはこの機に観ておくもいいかと思います。シアター・イメージフォーラムでは11/17まで、ほかに名古屋、大阪もあるようですから、詳細は上記サイトをどうぞ。
【“白日夢、渥美マリ、交渉人……最近観た映画たち。3(邦画編)”の続きを読む】