長めの記事を続けてあげたので、週末ぐらいお休みにすればいいのですが、ジュンク新宿のことは今日のうちにどうしても書いておきたいので、大型書店の改装・閉店関連3件をまとめて、ごく簡単に(と始めて、簡単に済んだ試しはないのですが;苦笑)。
まずは、昨日リニューアルオープンとなった東京堂書店。
↑リニューアルオープン当日、昼ごろの様子。右端は、入り口脇に出ていたカフェのメニュー。
楽しみに待っていた本好きがたくさんいたのでしょう、お昼ごろの店内は、なかなかの賑わい。カフェのレジには行列ができていましたよ。店内には、出版営業らしい雰囲気の方々が目についたほか(知り合いにもばったり)、ぼくが訪れたときは、ちょうど、同店をひいきにしていることでよく知られる作家、逢坂剛さんの姿もありました。お祝いに駆けつけた出版・著述関係者も多かったんでしょうね。
店内の様子、見た目的にはかなりがらりと変わっています。什器の色が濃いめのものになり、照明の感じもおさえめになっているのでしょうか、もともと派手な雰囲気のお店ではありませんでしたが、以前よりもさらに落ち着いた感じになっています。
↑しおりもこの通り、厚めの紙を使ったかっこいいものに。裏はフロアガイド。
ただ、お店がおしゃれに走ったとか、今風になったというわけではないのが、東京堂書店らしいところ。小出版社の全点フェア「TOKYODO PRIME COLLECTION」のコーナーも健在で、第6弾は、月曜社。その月曜社のブログで、店内の様子がくわしくレポートされています。「東京で初めての月曜社全点フェア@東京堂書店神田神保町店」(3/30 ウラゲツブログ)。店内の写真がたくさんあがっています。全点、健在と言えば、ウェッジ文庫のコーナーも残っていたなあ。ちょっとうれしくなりますね。
気になるカフェスペース「paper Back Café」ですが、席数はそれほど多くはないものの、本に囲まれた落ち着いたスペースになっています。作家が選ぶ本を並べる棚がありました。これは常設のようですね。いまは4/2にトークイベント&サイン会が予定されているという、作家、中村文則さんが選んだ本が並んでいます。
今回の新しいお店、全体にいい感じで、これまでの同店のファンをがっかりさせることなく、新しいお客さんのもアピールできそうなものになっていると思います。ただ、1点だけ気になったことを。同店の名物といえば、「軍艦」と呼ばれる平台。他のお店では平積みになりにくいようなものも含め、本好きが喜びそうな本がぎっしりと並ぶ平台は、毎日通っていても見飽きない、見応えのあるものでした。今回の改装で、以前は、右側入り口を入ってすぐのところにあった「軍艦」は、フロアのほぼ中央、レジの真ん前になりました。
サイズ的には、ちょっと小ぶりになった感じでしょうか、ざっと見ただけの印象ですが、以前のものよりも点数やぎっしり感は少し減った感じがします。台の上には、「“知”の泉」というプレートがかかげられていました。それはいいのですが、ちょっと気になったのは、この平台、レジ側の通路がすごく狭いんですね。ここは、上に書いた通り、やはりお店のメインの平台。同店のファンなら、この平台の周りは長居してじっくり見たいと思うはずですが、長居するにはちょっと窮屈な感じ。レジ前が混んでいるときなど、大丈夫なのかなあと心配になってしまいました。ぼく以外にも、同店を以前から利用している方が複数、同じような感想をもらしていましたので、もしかしたら、気になっている人がけっこういるかもしれません。同店の1階の様子は、こちらで見られます。
初日はやはり買い物をしたい、それも東京堂書店らしい本を買いたいと思い、この2冊をピックアップ。
岡崎武志さんの新刊『ご家庭にあった本』(筑摩書房)と、柳澤愼一さん『明治・大正スクラッチノイズ』(ウェッジ文庫)。岡崎武志さんは新刊が出たら必ず買うことにしている数少ない書き手の1人。東京堂なら当然サイン本が、と思って、この日のオープンを待っていたんですが、残念ながら見当たらず、通常本を。逆に、まさかこんなサイン本が、というのが『明治・大正スクラッチノイズ』。著者の柳澤愼一さん、昭和一桁生まれですが、プロフィールにも《「死亡説」を見事に吹き飛ばした》などとあるとおり、ご存命なんですよね。復刊ものを多く含むウェッジ文庫に入っていることもあって、サイン本があるだけでなんだか意外な感じ、うれしい驚きです。サインのないほうは誰かにあげようということで、この本、すでに持ってるのに、買っちゃいました。
ところで。店内にいるとき、2000円以上お買い上げで、カフェで使える券をプレゼント、なる、店員さんの案内が聞こえていた気がしたんですが、なぜかもらえなかったなあ。直前でなくなってしまったのか、業界の関係者と思われたりして、もらえなかったのかなあ……。
偶然、大型書店の改装が重なりました。先日の記事でも紹介していますが、紀伊國屋書店の2店、新宿本店と新宿南店も、ほぼ同じタイミングでリニューアルオープンとなっています。関連記事はたくさんありますが、たとえばこちら。「紀伊國屋書店、新宿本店と新宿南店を改装オープン 」(3/30 共同通信PRワイヤー)。
↑高島側から見た様子(左)。フェアなどに使われていた、高島屋寄りの一画が、タリーズになっています。
高島屋からの連絡通路がある3階にカフェができ、旅行ガイドと雑誌のフロアになっています。文芸は上の4階にあがり、文庫・新書とまとまりました。
南店のリニューアルの3大ポイントの1つに「日本最大級の「洋書フロア」で異文化に触れよう。」というのがあがっています。もともと売り場面積の大きい洋書売り場でしたが、隣接する語学・辞書などの売り場との間にも広くスペースをとり、とてもぜいたくにスペースを使った売り場になりましたね。
同店の洋書売り場、問い合わせレジの前あたりに、洋書の新刊台があります。片側がフィクション、片側がノンフィクションで、サイズといい、見せ方といい、前述の東京堂書店の「軍艦」に通じるものがある台ですが、レジに対して垂直の向きだったころに比べると、周りが広々した感じになりました。これぐらいゆったりとってあるといいのになあ。
そして、この日のメインの目的、ジュンク堂書店新宿店へ。今日は、朝から春の嵐が吹き荒れ、電車も止まったり遅れたりと大変な一日でした。ふつうなら、家に引きこもっているところですが、無理して出かけたのは、やはりジュンク堂書店新宿店の最終日の様子を見たかったからです。
同店の最後のフェアについては、その熱い内容もあって、あちこちのメディアで取り上げられていましたし、写真入りで詳細に伝えているサイトなどもありますから、それらについてはふれません。同店の思い出についても、書き出すときりがないし、過去に書いたこととも重なるので、今回はあえてふれません。
ジュンク堂書店新宿店で最後の買い物。今日はいっぱい買うぞと最初から決めていました。どうせならば、やはり特撮の棚(7階の映画棚と8階の実用書の棚の両方をもちろんチェックします)とか、書店関連の棚(7階の読書論の隣と6階のマスコミ関連の棚の両方)とか、宇宙とか生物とか格闘技とか、自分の好きな棚、得意な棚から本を選びたい。今日は連れてこられなかったけど、うちの子のお気に入りのお店でもあったから、代わりに児童書も何冊か買いたい。あっという間にかごはいっぱいになりました。
かごからあふれんばかりの本の総額は無料配送額を余裕で超えていたけれど、帰り道は雨で荷物が心配ではあったけれど、最終日でただでさえ閉店に伴う作業がたくさんあるはずなのに「送りますか?」と店員さんは聞いてくれたけれど、もちろん、持って帰ってきましたよ。
がらがらになってしまった棚を目にするのはやはりさびしかったし、残念ながら、お世話になった担当さんにも会えなかったけれど、最後の最後まで、楽しい買い物をすることができました。ジュンク堂書店新宿店のみなさん、最後まですてきなお店をありがとうございました。
この空犬通信を始めてから、たくさんの書店の閉店を取り上げてきました。閉店直前の様子を目にしたことも、最終日に居合わせたこともあります。お店の閉店直前の光景は初めてのことではありませんが、何度立ち会っても慣れるものではありません。今回のジュンク堂書店新宿店の閉店、ふだん使いのお店を失うという意味において、また、複数の知り合いがいるというお店を失うという意味において、この喪失感は、吉祥寺の弘栄堂書店のとき以来かもしれません。ほんとに、ほんとに、残念です……。
【“ありがとう、ジュンク堂書店新宿店……そして、東京堂書店と紀伊國屋書店のリニューアル”の続きを読む】
大阪書店回りレポート、3回目は、今回の旅で出会った書店フリペをまとめて紹介します。フリペコラボ店で入手したものもあるため、大阪以外のエリアのものもあります。
まずは大阪のお店から。最初は、堂島のジュンク堂書店大阪本店で見つけた「実用書新聞」を。
A4横置き、両面印刷で、表紙のある側は、地に地形図の旧図がしかれています。広げた裏側、本文のほうは、上の写真右にある通り。手書きで、スポーツノンフィクション『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』から料理書まで、広義の「実用書」が数点紹介されています。文字は欄外のメッセージをのぞいて手書き。
今回入手したのは、第7号(2012年3月)。同店は大阪に来るたびに必ず顔を出すところですが、このフリペのことは初めて知りました。実用書の平台の隅に、小さく(八折り)畳まれて、ずいぶん控え目に置かれていましたし、レジ回りなど他の目につきやすいところには置かれていないせいか、気づかない方もいそう。興味のある方は、気をつけて探してみてください。
次は、長谷川書店の「ハセガワしんぶん」。
A4両面を四つ折りにした文庫判。1色ですが、号によって色が異なります。全編手書きで、いい具合に力の抜けたイラスト、手書き文字がとてもいい感じ。内容は本の紹介はもちろん、お店のフェア・特集の紹介、さらに福岡のブックオカのことが載っていたり、夏葉社特集があったり、なぜかハムやお酢ドリンクの作り方が載っていたりと、なかなかバラエティに富んでいて楽しいです。
サイズといい、本の紹介から脱線気味なところといい、全体に肩の力がほどよく抜けている雰囲気といい、我らがBOOKSルーエの「ルーエの伝言」に通じるものを感じます。
↑ブックファースト梅田店の文庫・新書の新刊情報紙、「B.G.M.」は、過去に何度か紹介していますね。通算号数も47号と、長くがんばっているフリペの1つ。
↑こちらも、空犬通信ではおなじみ、TSUTAYA寝屋川駅前店の「ぶんこでいず」。店頭では、最新号単体での配布のほかに、このように、バックナンバーのセットも配布中。先日の記事で紹介した「ぶんこでいず」の棚に並んでいます。
次は京都からこちらを。JR京都駅の駅ビル専門店街「ザ・キューブ」の地下に入っている三省堂書店京都駅店。同店で出しているのがこちら。
「三省堂書店京都駅店オススメ通信」、コミック情報の「コミカル通信」、文庫情報の「旬庫の友」の3種。1つのお店で、ジャンル別に2種出しているというお店はほかにもありますが、3種というのは、ぼくの知るかぎりこのお店だけで、非常にめずらしい例ではないでしょうか。初めて店頭で3種に出会ったときは、三省堂書店ですから、当然、フリペコラボで他店のものだろうと思ったら、全部同店のものだったので、びっくりした記憶があります(ちなみに、同店には他店のフリペは置いていないようでした)。
「オススメ通信」は、A5判8頁、1頁に1冊、大きく紹介さているのが特徴で、全部ではありませんが、著者の直筆メッセージが含まれているのが目を引きます。ちなみに、今回入手した11号には、橋本長道さん、澤西祐典さんのお二人が登場。「コミカル通信」は、A3横置きを折りたたんで冊子状にしたもの(『日販通信』の書店フリペ特集でも図解入りで紹介されていた方法)。オール手書きで、イラストも入っています。それに、A3の紙に手書きで書かれた発売日のわかるコミック新刊案内と、「僕等がいた」のチラシ(版元小学館のカラーチラシ)が輪ゴムでまとめられていました。手がかかってるなあ。「旬庫の友」は文庫判12頁、こちらもオール手書き。
フリペコラボ店で手に入れた、大阪・京都以外のお店のものから、まずは三省堂書店のものを3種。
「本と暮らし」は愛知県一宮市の三省堂書店一宮店発行のもので、副題に「実用書だより」とあります。A4横置き片面1色のシンプルな造りながら、かわいい手書き文字とイラスト、見やすいレイアウトでコンパクトにまとまっています。新刊におすすめ本にコラムにフェア情報にと、それぞれが短文ながら情報量が多く、それでいてごちゃごちゃした感じがしない、とてもバランスのいい紙面だと思います。
「ほん屋っこしんぶん」は、三省堂書店名古屋高島屋店発行のもの。A4横置き片面1色というシンプルな造りは一宮店と同じ。毎回そうなのかどうかはわかりませんが、今回入手した5号には、新刊紹介や発売カレンダーはなく、全面が特集「ご朱印をめぐる旅」にあてられ、関連本数点が紹介されています。こちらもオール手書き。
「新書かわら版」は三省堂書店新宿店のもの。A4横置き片面1色は上2店と同じながら、こちらはすべてワープロ文字。新書のランキングや注目新刊が紹介されています。「presented by 新書ガールズ」とあります。神保町本店にも「新書ガールズ」のペーパーがありますね。
↑フリペコラボ店では、大阪・京都以外のフリペも入手できます。こちらは、過去に空犬通信でも取り上げたことのある、啓文社コア福山西店の「明日読む本は、これにしよう!」。6号と、順調に通算号数を伸ばしています。「文芸&ミステリ担当フリーペーパー」とありますが、ノンフィンクションも紹介されています。ちなみに、こちらは、書店フリペではめずらしく、早くから電子書籍化されていることでも知られています。フリペは、紙で読むのが味があっていいと思うのですが、コストの問題から印刷時にはモノクロにせざるを得ないのを、電子版だとカラーで見せられるなど、メリットもありますね。電子版はこちらで。
次のは、フリーペーパーというか、立派な小冊子ですね。和歌山のイハラ・ハートショップで発行しているもの。
【“実用書新聞、ハセガワしんぶん他の書店フリペたち……大阪書店回りレポート その3”の続きを読む】
大阪書店レポ、まだフリペ編が残ってるんですが、その前にちょっと別件を。先日寄ってきた、吉祥寺・BOOKSルーエ、2階で展開中のフェアを紹介します。まずは「図書館フェア」。
『TOKYO図書館紀行』(玄光社)を中心に、その名の通り、図書館関連本を並べたフェアです。担当花本氏いわく「40分ぐらいで作った」という、手抜き感あふれ過ぎるフェアフリペ「図書館~愛書家の楽園~」がいい感じ(笑)。
ちなみに、この日は、本が並んでいる空間を見ているだけでも好き、という向きにはたまらないと思われる1冊、『TOKYO図書館紀行』と、フェアコーナーにはなかった図書館本、『みんなでつくろう学校図書館』(岩波ジュニア新書)を購入。
ルーエ2階、レジ前では、「春のちくまプリマー新書全点各1冊売逃フェア」も展開中です。
この写真をご覧ください。やる気があるのかないのかわからない、適当なイラストの踊るPOPがいいですよねえ(笑)。フェアは、棚2列に収まるという、ほどほどの規模のもの。このサイズの全点フェアというのはなかなかいいなあ。花本氏いわく、この手のフェアは今後もやりたいとのこと、ぜひ他の版元からも提案していただきたい、とのことですよ。
ところで。最近、購入本の報告をしていなかったので、しばらく前のもの含めて、BOOKSルーエで買った本をあげてみます(ものすごーくたくさんあるので、ごく一部です)。
- 前田建設工業株式会社『前田建設ファンタジー営業部1 「マジンガーZ」地下格納庫編』(幻冬舎文庫)
- 前田建設工業株式会社『前田建設ファンタジー営業部2 「銀河鉄道999」高架橋編』(幻冬舎文庫)
- 「銀座百店」編集部編『私の銀座』(新潮文庫)
- 西村賢太編『藤澤清造短編集』(新潮文庫)
- 飴村行『粘膜戦士』(角川ホラー文庫)
- 初見健一『昭和ちびっこ未来画報 ぼくらの21世紀』(青幻社)
- 井田茂『系外惑星 宇宙と生命のナゾを解く』(ちくまプリマー新書)
- 神林長平『いま集合的無意識を』(ハヤカワ文庫)
ルーエ2階、階段をあがって左奥に、花本棚としか呼びようのない、担当花本氏の趣味でまとめられた一画があります。ぼくはよくこの棚から本を買うんですが、『前田建設ファンタジー営業部』の2冊は、この棚の平台から抜いたもの。レジに持っていったら、「ぜったいに空犬さんが買うと思ってた!」と花本氏。「だから、そっちの棚(=花本棚)にしか積んでない」って、どこまで狙い撃ちなんだか(笑)。
この2冊は、親本が出たときから気になってたんですが、特撮の科学をありえないだの無理だのと、上から目線で語るタイプのものだったらやだなと思って、なんとなく手を出さずにいたもの。続編で新刊の単行本『前田建設ファンタジー営業部3「機動戦士ガンダム」の巨大基地をつくる!』を買っちゃっていたこともあったので、文庫化を機に既刊2点もそろえて、早速読み始めました。いやはや、これはおもしろいや。
先に書いた通り、特撮やアニメの科学をありえないだの無理だのと、上から目線で語るタイプは苦手なんですが、こちらのシリーズは作品への愛があって、実現しようという姿勢も大まじめで、まだ冒頭の少ししか読んでませんが、ちょっと感動してしまいました。ノリは、飲み屋のオタ話なのに、読み物としてこんなにおもしろくできるのかと。マジンガー、999、ファーストガンダムと、作品のセレクトも、いいところをついてますよね。このノリで、特撮ネタもやってほしいなあ。ウルトラ警備隊の基地とか。MATの海底基地も、実現困難度が高そうでおもしろそう。
これらの本に反応した人が好きそうなのが、『昭和ちびっこ未来画報』。これも花本棚から抜いたもの。これ、ほんと、すばらしいです。内容紹介には、《本書には一九五〇~七〇年代の間に、さまざまな子供向けのメディアに掲載された《未来予想図》が収録されています》とあります。《当時、21世紀を図解した記事はその大半が空想、夢想、妄想に基づいた荒唐無稽のトンデモ未来観のオンパレードでした》と続くんですが、このトンデモ未来観がいいんだよね。文庫としては高めの値付けも、図版たっぷりなので気になりません。レトロフューチャーなものが好きな人なら必読必携ですよ。
先の前田建設ファンター営業部もそうだし、この本もそうだけど、こうした、しばらく前の未来観・科学観を、あり得ない、無理だ、と切り捨てたりばかにしたりするのは簡単です。でも、それを、大人が楽しめるかたちにまとめるのが、企画の力であり、編集の力だと思うんですよね。
版元のサイトで、中のビジュアルの一部を見ることができますので、未見の方はそちらをチェックしてください。同書の内容紹介は、こんなふうに結ばれています。《ぎっしりと詰まった想像遺産の数々をお楽しみ下さい》。《想像遺産》……すてきなことばではないですか。ねえ。
2月に落ち着いたばかりの長かった激務の日々、その疲れがまだ残っているのかなんなのか、今日は原因不明の熱で、めずらしく一日伏せってしまった空犬です。お出かけできない一人きりの半日、さあ、たまっている読みさし本(ものすごい数なのです……)、片端から読むぞ!と思ったんですが、熱で頭が重いときって、ぜんぜん本の内容が頭に入ってこないんですよね……。
さて、今年に入ってから何回目でしょうか、またまた案件がいくつかたまってきたので、新刊書店の開店・改装・閉店関連ニュースを紹介します。
●オープン
- 3/17 アニメガ市原店
- 3/28 宮脇書店イトーヨーカドー古河店(茨城県古河市)
- 3/29 文教堂書店小山駅ビル店(150)
- 4/ 2 吐夢書店日大駅北店(20)
- 4/ 5 大垣書店高野店(130)
- 4/ 7 スクラム大館店(70)
- 4/10 ブックポート203大和店(100)
- 4/11 ときわ書房本八幡スクエア店(100)
- 4/13 オークスブックセンター大袋ピアシティ店(125)
- 4/21 ホームカミングイオンモール福津
- 4/26 宮脇書店刈羽店(72)
- 4/26 柳正堂書店オギノバリオ店(135)
- 4/27 未来屋書店手稲山口店(117)
- 4/27 八重洲ブックセンター丸井柏店(270)
- 4/27 アニブロゲーマーズ小倉店(30)
- 5/22 三省堂書店東京ソラマチ店
- 6/? Books Tokyodoふじみ野店(埼玉・ふじみ野市)
- 8/? Books Tokyodo中野?店(東京・中野区)
数が多いので、気になる件ついてのみ、少し補足を。まず、目を引くのは大垣書店。高野店は、昨年11月末で閉店した旧丸山書店高野店の跡地に、後継テナントとして入居するお店。「大垣書店&cafe」は、同チェーンとしては初めてとなるカフェ併設の業態で、関連記事、「大垣書店&cafe」 北大路に4月5日オープン」(3/26 京都新聞)には、《くつろげるカフェを組み合わせて実店舗の集客力アップを目指す》とあります。約130坪のうち、99坪が書籍類のスペースとなるようです。
気になるブックカフェですが、《精算前の書籍類は持ち込めない》とのこと。サイン会や個展などイベントにも使われるスペースになるようです。
八重洲ブックセンターは、本店以外の支店が10店と比較的の小規模のチェーン。千葉は「イトーヨーカドー八千代店」の1店のみで、今回の柏は、千葉で2店目ということになります。柏駅周辺には、浅野書店、文教堂他数店の新刊書店があり、同じ丸井内にはヴィレッジヴァンガードもあります。
話題の「東京ソラマチ」は、東京スカイツリータウンの商業施設。三省堂書店、広さなどの詳細がわかりませんが、東京タワーには入っていなかった新刊書店が入るのやはり書店好きにはうれしいですね。水族館やプラネタリウムが含まれているのも、空犬通信的にはうれしいところ。
神保町の本店のリニューアルオープンを明日に控えた東京堂書店の新店が2件。8月の中野区内のお店は、店名が不明なので、?付きにしてあります。以前から中野か東中野にといううわさわは聞こえていたのですが、まさか2店になるとは思いませんでした。「東京堂、ふじみ野と中野区に新店オープン」(3/29 新文化)によれば、両店ともブック&カフェ形式で、《人文系などを選書した「セレクト棚」を配して〝東京堂らしさ〟を演出していく。「セレクト棚」には本店の書店員厳選の書籍などを置く》とのことですよ。(*追記あり)
あと、これは新刊書店ではないのですが、参考情報を。昨年残念ながら閉店になってしまった、三鷹北口の児童書専門店「りとる」の跡地に、「風待文庫」というお店ができています。カフェと小売り併設で、新刊はありませんが古書の扱いもあるそうで、先日、店の前を通ったときには、店頭には絵本の古書が並んでいました。先日のぞいた時は閉まっていたが、開いているときは、りとる時代からの「看板猫」、ビビもいましたよ。風待文庫については、あらためて取り上げるつもりです。
●リニューアル
- 4/14 アシーネマリナタウン店(221)
- 4/26 くまざわ書店松戸店(120)
- 4/27 TSUTAYAアルプラザ城陽店(124)
- 4/27 アニメイト小倉店(50)
- 4/27 メロンブックス小倉店
- 4/28 アニメイト浜松店(50)
このほか、リニューアルでは、空犬通信ですでに何度かふれていますが、明日3/30に装いを新たにしてオープンとなる東京堂書店が楽しみです。写真は、3/28の様子。
同店の書店員さんのインタビュー記事がありました。こちら。「書店の内がわ 老舗のDNA-東京堂書店 店員さんインタビュー」(3/29 本が好き!)。インタビューされているのは、《東京堂書店・神田神保町店店長の深谷さん、別館的位置付けの「ふくろう店」フロア長の佐瀬さん、そして芸術書・人文社会思想系書籍・理工書を担当する畠中さん》。記事中の店内の写真はリニューアル前のものとのことですが、同店のファンは要チェック。
大型書店の改装では、これもすでに紹介済みですが、紀伊國屋書店新宿本店・新宿南店もありますね。3/28付「Kinokuniya Point メール」によれば、《リニューアルの3大ポイント》は、以下の通りだそうです。
《新宿本店》3/30(金)リニューアルオープン!
[1]総合案内係「コンシェルジュ」がお出迎え。
[2]日本最大級の医学・看護書フロア「新宿医書センター」
[3]本の未来を読む「電子書籍体験コーナー」
《新宿南店》3/28(水)リニューアルオープン!
[1]選書の合間に「タリーズコーヒー」で寛ぎのひと時を。
[2]日本最大級の「洋書フロア」で異文化に触れよう。
[3]「super WAKUWAKUコーナー」で本の楽しさ満喫。
東京堂書店、紀伊國屋書店の改装については、オープン後の様子を見てきたら、空犬通信でもレポートしたいと思います。
●閉店
- 3/28 ブックファースト塚口店
- 3/31 田園書房宜野湾店(沖縄)
- 4/ 1 リブロ東池袋店
- 5/? こどもの本のお店・福音館
【“新刊書店の開店・閉店いろいろです”の続きを読む】
大阪書店回りレポートの続き。今回は、過去の大阪レポであまりふれる機会のなかったお店、知り合いの書店員さんが働いているお店を5軒、紹介します。(途中で脱線しているので、ものすごく長いです。)まずは、難波にある波屋書房から。
千日前南海通りにある同店は、大正創業の老舗。20数坪ぐらいでしょうか、一見ふつうの街の本屋さんのたたずまいですが、中に足を踏み入れるとびっくりします。商店街の路面店なのに、コミックなし、アダルトなし。置いてある本の半分ぐらいが料理書など、広義の「食」の本なのです。
ぼくは、食に関心が薄いもので、この品揃えのどこがどんなふうにすごいのかを語れないのが残念ですが、フィクションとノンフィクションがブレンドされ、なかには、書名だけでは食の本とはわからないようなものも混じっている食関連文庫の棚などを見ると、そんな門外漢の身でさえ、なんだかわくわくさせられます。
もちろん、食以外のふつうの本もひととおりそろっていますが、上に書いたように、コミックなど、この規模の一般書店に必ずあるはずのジャンルがなかったりするほか、お店の奥の文庫コーナーには全体の量からすると多すぎるぐらい光人社NF文庫がそろっているなど、お店独自のセレクトがされていることが、お店のあちこちから伝わってきます。
↑辻馬車をあしらったカバーがこれまたいい感じ。
同店のことをチェックするのにWebで検索してみたら、お店の人が感じがどうのこうのといった意見を複数目にしました。先代の店主さんのことでしょうか、昔から出入りしている店で、ぼくは気になったことはないのですが、今はお店の方もとても感じがいいですよね。ちなみに、今回の出張でのべ30店以上の書店を回ってきましたが、店内に足を踏み入れ、お店の方と目があったときに、いらっしゃいませ、と声をかけられただけでなく、会釈までされたのは、このお店だけでした。
関西の料理関係のプロフェッショナル御用達、道具屋筋がすぐ近くにあり、取り扱いジャンル的には好立地ですが、一方、超大型店、ジュンク堂書店千日前店も徒歩1分ぐらいのところにありますから、決してラクではないだろうと思うのですが、個性的な品揃えで、「食」に関心のある本好きが長居したくなるのはもちろんのこと、ぼくのようにそれほど関心のない身にも楽しめるお店になっていますから、ぜひがんばってほしいものです。
次は、長谷川書店を。同店は、阪急京都線の水無瀬駅の近くに、駅前店と島本店の2店がありますが、今回は主に島本店のほうを見てきました。
↑お店の入り口の様子。昔ながらの駅前書店のたたずまいです。右の写真にあるとおり、高架下にあって、電車が通るたびにぐらぐらと揺れるのも、気になるどころかむしろのどかな感じです。
長谷川書店のことは何度も耳にしていましたが、短い出張の間に何かのついでで行ける場所ではなかったため、なかなか訪問する機会がなかったのですが、夏葉社の島田さんから、イベントの話などを聞いて、ずっと気になっていたのでした。
blogで店内の様子や置いてある本のことは目にしていましたし、島田さんから話も聞いていましたが、それでも、店内に足を踏み入れたときはびっくりしてしまいました。このような書き方をすると、東京という書店事情的に恵まれた環境にいる者が上から見ているような感じになってしまうかもしれませんが、あえて正直な印象を書きます。駅前に大きな商業ビルもない小さな駅の駅前で出会えるとはとても思えないような、そんな品揃えの書店なのです。
店に入ると、すぐにフェアが目につきます。このときは、『働くきもち』 と『食べるを考える』。それらも、小さいながらよくセレクトされたフェアですが、棚がこれまたすごい。独立した文庫棚もあるのですが、ジャンル分けされた単行本の棚には同じジャンルの文庫もまとめられています。各ジャンルは、点数こそ多くはないのですが、じっくりとセレクトされたのが伝わってくる並びになっていて、それぞれのジャンルの本の前に、必ず1冊が面になっているのも視覚的に「効いて」います。
雰囲気としては、往来堂書店の棚に近い感じでしょうか。きちんと選ばれた本が並んではいるのですが、かといって、セレクトし過ぎたり、おしゃれに偏り過ぎたりして、一般のお客さんが入りにくくなることがない、この感じ。実際、ぼくが店内にいる間は、おばあさん、小学生の男の子、中学生とその親といった地元のふつうの客が、ふつうの本を、ふつうに手にとったりしていました。年輩のお客さんが、囲碁だったかな、何か趣味の雑誌の入荷日について、店主の方とふつうに話していました。ぼくが子どものころに利用していた街の本屋さん、まさにそのままの風景で、なんだかうれしくなってしまいましたよ。
↑こちらは駅前店。
ぜひ店主の方にお話を聞いてみたかったのですが、お客さんとのやりとりが終わるのを待っていたら、いつのまにか、アルバイトの方と交替してしまったようで、姿が見えなくなってしまい、おしゃべりしそこねたのが本当に残念です。
雑誌の書店特集などでもあまり取り上げられていないようですし、書店好きの口に必ずのぼるという存在でもないかもしれませんが、長谷川書店は、書店好きならわざわざ訪ねる価値のあるお店だと思いますよ。なお、小さなお店ですが、あなたが本好きなら、棚を端から端まで見たくなるタイプのお店だと思いますから、訪問時は、ぜひ時間に余裕を持っていかれることをおすすめします。
↑個性派タイプでは、今回、スタンダードブックストアにも寄ってきましたが、この有名店は紹介するまでもありませんね。
さて、次は、がらりとお店のタイプを変えて。知り合いを訪ね、大阪・茨木市にある郊外店、ハイパーブックスゴウダを見てきましたよ。
サイトにある通り、建物内にカフェ、CD・ビデオ・ゲームの販売・レンタルなどを併設した、複合型の店舗です。
休日にはファミリーが訪れるのでしょう、入り口を入ると、児童書売り場が広めにとってあり、ディスプレイも楽しげなものになっています。雑誌コーナーで、車・バイク関連誌が多めになっているのは、やはりこういう立地のお店ならではでしょうか。
全体に、通路が広めにとってあって、明るい店内は、敷居の低いやわらかめの品揃え。ばりばりの専門書や、かため・古めの文芸を期待したりするとものたりないかもしれませんが、さりとて、ただの郊外店と片づけてしまうのはもったいない、幅の広い品揃えになっていて、店内をうろうろしていてあきることがありません。コミックのコーナーも、壁にいろいろなものを貼り出して見せるなど、とてももにぎやかな売り場になっていました。郊外型のお店というと、画一的な品揃えをイメージする人も多いかもしれませんが、お店や担当の方による、ということですよね。
さて、次は、TSUTAYAを2店。まずは、京阪線寝屋川市駅からすぐのところにある、寝屋川駅前店から。こちらは、以前の記事で紹介したフリペ「ぶんこでいず」の発行店です。
お店は、一見よくあるTSUTAYAのお店の感じですが、店内をよく見ると、文庫の棚の勢いがすごい。とにかく、POPの数がものすごくて、文庫棚全体が、おすすめ本のコーナーみたいになっています。こういうのをうるさいと感じる本好きもいるかもしれませんが、とりあえずおもしろい本をぱっと見つけたい、というむきには、これほど親切でわかりやすい棚もないでしょう。棚の前にいるだけで、担当の方の熱意がばんばん伝わってきます。
別の記事で紹介しましたが、ふりぺ「ぶんこでいず」で紹介した本を並べた棚があるとのことで、早速見せてもらいました。
「ぶんこでいず」で紹介した文庫が並び、ほぼすべてにおすすめコメントがついています。「ぶんこでいず」のバックナンバーも並んでいます。
上の写真、右上に「文庫何読んでイイのか分からない!」とありますが、これが、同店の文庫売り場でターゲットにしているお客さんをひとことで表していますよね。
日本人作家のフィクション、とくにエンタメ系フィクションや雑学文庫は、こうしたノリで貫かれていて、どれも元気がいいのですが、対照的に、海外文学の棚がちょっと元気ないのが目についてしまいました。これだけ、エンタメ系フィクションをじゃんじゃんおしているお店なので、うまくつなげれば、お客さんは海外のミステリーやSFなどにも手を出してくれそうですが、そのあたり、担当のNさんに(あえて)指摘してみると、これからの課題だとか。
とにかく、元気のいい文庫棚を見られるお店です。近隣の方はもちろんですが、フリペ「ぶんこでいず」で同店に興味を持った他地域の本好き書店好きの方がいらっしゃったら、大阪訪問時にはぜひ同店を訪ねてみてください。
お次は、同じ京阪線の枚方市駅からすぐの枚方駅前本店。
同じ沿線で、駅も数駅しか離れていないのですが、これが見事にタイプの違うお店になっています。こちらは、1階がスタバ併設で、2階にはコミックやCDなど。同じビルに、関東で言うところのユザワヤのようなお店が入っていること、また、地下がスーパーであることなどから、女性客が多いとのことで、品揃えも、全体に女性向けのシフトになっているとのことでした。
訪問したのが夕方だったせいもあるのでしょうが、店内はなかなかのにぎわいで、レジにもすぐに行列ができるので、なかなかお店の人に話しかけられないほど。店内には子連れも目立ち、正面とは逆側の入り口近くにある児童書のエリアには、床にしゃがんで絵本を読んでいる親子の姿なども。サイトには、《当店はTSUTAYA発祥の地》との説明がありましたが、なるほど、代表店舗らしいにぎわいだなあ、と感じました。
ちなみに、児童書コーナー、それなりのサイズになっているのですが、おすすめ絵本の棚前はあいているのに、絵本のレギュラーの棚前には文庫の棚があって、スペースがないため、絵本を広げたい親子がちょっと居づらそうにしているのが、目についてしまいました。このスペースで、この混雑ぶりだとなかなかむずかしいかもしれませんが、このスペースの使い方は、もう少し工夫できるかもなあ、などと思ったりもしました。素人の印象に過ぎませんが、一応、記しておきます。
(以下、大阪書店レポとは直接関係ないことをだらだらと書いています。)
【“波屋書房、長谷川書店他……大阪書店回りレポート その2”の続きを読む】
予告だけしておきながら、すっかり遅くなってしまいましたが、先日の大阪出張で見てきた大阪の書店(一部、京都も)の様子を、ごくごく簡単にレポートしたいと思います。「簡単に」と言いながら、だらだらと長くなる可能性が高いので、旭屋書店本店閉店後の周辺書店事情、これまでの大阪書店レポで取り上げる機会のなかったお店の紹介、大阪・京都で出会った書店フリペたち、の大きく3つに分けて紹介したいと思います。
まずは、旭屋書店本店閉店関連の件から。梅田の旭屋書店本店が残念ながら昨年末に閉店となってしまったことは、この空犬通信でもお伝えした通り。ツイッターに「#お前らを育てた本屋」というハッシュタグがあって、「今も昔もこれからも、書店は街の情報発信基地なのだ!! #お前らを育てた本屋 タグまとめ。」でまとめて読めるのですが、本好きのみなさんが、自分を育ててくれた本屋さんの思い出を語っていて、書店好きなら眺めているだけで楽しい気分になれそうなものになっています。ぼくは、このタグで思い浮かぶお店が多すぎて、結局投稿はしていないのですが、もし上げるとしたら、旭屋書店本店は確実に上位の何店かに入れたくなるような、個人的にはそんなお店でした。
↑閉店後の建物の様子も撮影してきたのですが、ぼけぼけでアップできず(泣)。建物には、このような建築計画が貼り出されていました。
同店が、鉄道マニアの聖地としても知られていたのはご存じの方も多いと思います。大阪の鉄道マニアはさぞがっかりするだろうと思っていたら、なんばCITY店に鉄道コーナーが設置されることになったんですよね。空犬通信でも紹介済みですが、あらためて。「なんばCITYの旭屋書店に鉄道コーナー-40坪使い鉄道本・DVD充実」(2011/12/17 なんば経済新聞)。お店による告知はこちら、「なんばCITY鉄道コーナー」。
本店時代の1.5倍もあるというスペースはさすがに広くて、今回のぞきにいって見てびっくりしましたよ。本店時代は、決して広くはない空間にぎゅっと詰まっている感じが、いかにもマニア心をくすぐる感じでしたが、なんばCITYのは、広くて明るいコーナーになっています。なにしろ40坪ですからね(こちらでフロアマップが見られます)。
同店は広めのワンフロア店で、数年前に改装されて以降は、什器やレイアウトがなかなかしゃれたものになっているのですが、鉄道コーナーは、バランスから言うと、かなり大きめになっていますが、見せ方並べ方を過度に「濃い」感じにしていないせいか、お店全体の雰囲気を損なうようなスペースにはなっていないようでした。本店時代のように、囲われた感じがあまりないため、店内をうろうろしているうちに、気づかずに足を踏み入れてしまいそうになるぐらい、他のスペースとの雰囲気の差があまりないもので、マニアの方々には逆にそれを不満に思うもいる方いるかも、などと感じたほど。でも、間口を広げる(必要があるのかどうかはよくわかりませんが;苦笑)意味ではいいのかもしれませんね。
旭屋本店に鉄道関連書籍を求めて集まっていた層は、周囲の書店にとっても、やはり大きな存在に写っていたのでしょう。周辺の書店では、堂島のジュンク堂大阪本店は、鉄道書籍を増やしたということで、「鉄道書棚1.5倍増結記念フェア」なるフェアが展開中でしたし、ブックファースト梅田店では、店内にレイアウト変更の案内があり、それには、「鉄道・乗物売場を拡大し、鉄道グッズの取扱いを始めました」とありました。
紀伊國屋書店梅田本店の方に話を聞くと、やはり鉄道関連は少し増やしたとのこと。ジュンク堂書店梅田ヒルトンプラザ店は、昨年、改装で、2フロアから1フロアになりましたが、ある書店員さんによれば、旭屋書店本店閉店後は、おじさまのお客様が明らかに増えた、とのことでした。梅田の書店にすれば、なんばにお客さんが流れてしまうよりは、ぜひうちで、というのは当然のこと。でも、なんだか、各店が鉄道に一生懸命になっている様子は、ほほえましいというかなんというか、思わずほおがゆるみますよね。
一応、各店の棚を見てはきましたが、鉄分ほぼゼロ、なものですから、以前がどうで、どこが充実したのか増えたのかは、さっぱりわかりません。興味のある方は、ぜひ各書店の鉄道コーナーをチェックしてみてください。
旭屋書店本店は閉店になってしまいましたが、梅田から旭屋がなくなってしまったわけではありません。もともとすぐ近くにあった梅田地下街店、堂島の地下街にある堂島地下街店は元気に営業中。とくに後者は、ジュンクの本店のすぐ近くという立地のせいか、独自色を出そうという工夫の目につくお店です。一見、地下街にある典型的な小規模店なんですが、POPがにぎやかな文庫や文芸書、雑誌などの見せ方も目を引きますし、周辺の会社事情や客層に合わせてのことでしょうか、広告関連の雑誌や書籍が目についたりなど、印象に残るお店です。
旭屋書店本店のそばで、地下の書店で、印象に残るお店で、ということでは、このお店もありますね。地下鉄東梅田駅の改札すぐにある清風堂書店。
これまでのレポートであまり取り上げたことはないのですが、けっこうユニークなお店なんですよね。ふつう、地下鉄の改札近くの地下街の書店、それも中規模以下のお店なら、雑誌・新刊など、だいたいラインナップが想像できますが、こちら、上の写真にもありますが、教育書に力を入れているお店なんですよね。コミックだけが地下1階で別になっていて、それ以外のジャンルは、地下2階のお店にまとまっていますが、お店の半分ぐらいが教育書という、ふしぎなバランスになっています。この立地で、「先生のための本屋さん」を名乗る、半専門書店的な品揃えになったのがどういう経緯によるものなのかはわかりませんが、大都市圏でもめずらしいケースかもしれません。ちなみに、同店には出版部もあり、自費出版も手がけています。
で、旭屋書店の話に戻ります。
【“旭屋書店本店閉店後の周辺書店……大阪書店レポート その1”の続きを読む】
昨晩は、荻窪のブックカフェ、六次元をお借りして、本と音楽のイベント「ブックンロール」の関係者打ち合わせをしてきました。とってもすてきなお店でしたよ。
六次元については、ずいぶん前の記事ですが、ブックカフェの特集雑誌を紹介したときにふれたことがあります。こちら。その記事にも書きましたが、以前から気になっていたお店ではあったものの、変則的な営業時間(金土日の15:00~22:00)のせいもあってなかなか訪問する機会を持てずにいたのでした。昨日は、本来は、お休みの曜日だったのですが、お店の方と知り合いだというスタッフがいたため、幸運にも貸し切りで使わせていただくことになったのです。
荻窪から徒歩数分、お店は「湯~とぴあ」の近くにありました。中は外から見た印象よりも広くて、20人ぐらい入っても大丈夫そう。いい感じに古びた木を使った椅子やテーブルに座ると、気になる本がたくさん並ぶ本棚が目に入ります。昨日は、打合せだったので、ゆっくり本を読みながら飲食というわけにはいきませんでしたが、本好きなら、いくらでもゆっくりできそうな雰囲気です。
小さいお店ながら、イベントにも熱心なお店で、過去のイベントのリストを見ると、本好きが反応しそうなキーワードや人名がたくさん並んでいます。
イベントと言えば、明日3/23(金)に開催される、『製本ナイト』も気になります。《紙と糸を選び、中綴じノートをつくるワークショップ》との内容ですが、こちらは受付終了。明日3/23(金)からは、物々交換書店『FREE BOOKS』も始まるようです。《500冊程のセレクト本から1人何冊でも交換可能。誰かにあげたい本をお持ち下さい。》というこのイベント、入場はドリンク付きで500円、4/1(日)までの開催だそうですよ。
また、メモを取り損ねたので、酔った頭では覚えきれず、くわしいことがわからなくなってしまったのですが、ブックカバー(書皮)関連の展示やトークイベントの予定もあるようですよ。詳細がわかったら、またご紹介したいと思います。
荻窪で本と言えば、先日、3/17に、あゆみbooks荻窪店がオープンとなったばかり。打合せの前のほんの数分ですが、お店をのぞいてきましたよ。
↑フラッシュなしだと無理でした。ぼけぼけ……。
荻窪駅南口側、仲通り商店街を入って、最初の角を左折。KALDIの手前です。開店からまもないせいか、ぼくが写真を撮るために店の前にいた、ごくごくわずかな間に、「へー、こんなところに本屋さんが、できたんだ」なんて、複数の人が口にしているのが聞こえてきました。なかには、わざわざ、「本屋さんができてるよー」と、知り合いか家族なんでしょうか、電話で誰かに報告している人まで。街の人たちが新しい本屋さんを歓迎する感じが伝わってきて、書店好きとしてはうれしくなってしまう光景です。新刊書店の新規オープンはあっても、こうした、商店街の路面店は、それほど多くはありませんからね。地元の人の目にふれて、自然に街の一部となって、認知されていくといいなあと、思わずにいられません。
↑オープニングの案内チラシ。
あんまりじっくり見る時間はなかったため、印象だけ。お店は、あゆみbooksらしい造り。入り口入ってすぐがレジ、その脇には、ジャンル別の新刊ディスプレイ。必ずしも、最新刊の売れ筋ばかりが並んでいるわけではないところがあゆみらしいところで、たとえば、この日は、芸術の「新刊」として、昨年7月刊と半年以上も前に出た、大判で高額本の『世界の夢の本屋さん』が、3冊も平積みになっていましたよ。お店の規模や商品を考えると破格の扱いですね。
文庫や文芸のコーナーがすっきりしているのは、今やどこにいっても当たり前に見かける、POPの類が一切立っていないから。これは開店したばかりだから、なのか、このような見せ方でという方針なのか、まだわかりません。でも、平積みのセレクトなどを見るに、あちこちに考えられた跡が見られましたから、これからが楽しみな感じの棚ですね。
深夜25時までと、遅くまで開いているのも、仕事帰り、一杯飲んでの帰りに書店に寄りたい深夜族にはうれしいですね。お店のサイトの開店告知は、こちら。中央線沿線の、コンパクトなサイズの、深夜までやっている駅前路面店ということで、高円寺店ともども、中央線沿線の本好きには重宝な店になりそうです。
さて、大阪書店回りのレポートはちょっと時間がかかりそうなので、その前にこちらを。しばらく前に、刊行前のイベントの件を記事で紹介した、こちらの新刊が、先日無事に発売となりました。
↑碧野さんにいただいたサイン本。我が家の本棚には、それなりの数のサイン本がありますが、宛名が「空犬」名義のサイン本は、この本だけです(笑)。うれしいなあ。
版元のサイトの内容紹介を引きます。《吉祥寺にある書店のアラフォー副店長理子は、はねっかえりの部下亜紀の扱いに手を焼いていた。協調性がなく、恋愛も自由奔放。仕事でも好き勝手な提案ばかり。一方の亜紀も、ダメ出しばかりする「頭の固い上司」の理子に猛反発。そんなある日、店にとんでもない危機が……。書店を舞台とした人間ドラマを軽妙に描くお仕事エンタテインメント。本好き、書店好き必読!》
親本は、『ブックストア・ウォーズ』という題で出ていたもの。今回の文庫刊行にあたり、改題、内容にもいろいろ変更が加えられています。今回の最大の変更点と言えば、舞台が吉祥寺であることがあきらかになったことですね。未読の方はもちろんですが、親本で読んでいる方も、この文庫版を読むと、いろいろ発見があっておもしろいかもしれませんよ。
この『書店ガール』、以前の記事でふれた通り、刊行前に、西荻窪のbeco cafeで、碧野圭さんご本人が出演し、作品の内容について語るトークイベントを開催しています。
↑beco cafeスタッフ手作りチラシ。
わたくし空犬が企画したものなので、本来であれば、イベント後、すぐに詳細なレポートをあげなくていなくてはならなかったはずなんですが、実は、所用のため、当日、イベント準備と終わってからの打上には参加したんですが、トーク自体には参加できなかったのです(泣)。なので、参加していない身で、レポートも何もなかろう、ということで、書けずにいたのでした。すみません……。
代わりに、ということでもないですが、碧野さんご本人が、ご自分のブログに詳細なレポートを上げていらっしゃるほか、場所を提供してくれた、beco cafeのブログにも写真入りのレポート記事があがっていますので、イベントの様子については、それらをご覧ください。碧野さんの記事は、「イベント終了」(3/16 めざせ!書店訪問100店舗)、beco cafeの記事は、「イベント無事に終了しましたー。」(3/5 beco cafe店長雑録)。
↑当日のお店の入り口。この時点ではまだ刊行されていなかった『書店ガールの』書影が大きく貼り出されていました。
図々しくも打上に参加しましたので、トークに出演された碧野圭さん(残念ながら、トークのお相手をつとめられたミシマ社の木村桃子さんは、先にお帰りになりました)、司会をつとめた、本書の担当編集者でもあるPHPの横田さんに、トークの様子を直接うかがうことができたほか、お客さんも数人の方が残って、打上に参加くださったので、みなさんから感想をうかがうこともできました。
みなさんが、口をそろえて評価されていたのは、木村桃子さんの進行の見事さ、トークのうまさ。碧野さんは、桃子さんが相手でほんとうによかったと、横田さんは、司会として口をはさむ必要がほとんどなかったと、お二人とも大絶賛。トークを聞いていたお客さんは、最後の質疑応答であらためて聞くことがないほど、聞きたかったことはすべてトークで語られていたと、これまた好評価。木村桃子さんにトークのお相手をお願いしたいというのは、碧野さんご本人の希望だったのですが、ほんと、大正解だったようです。
↑その木村桃子さんが、この本のために、このイベントのために、作ってきてくださった、手作りPOP。へたくそな写真で、質感を伝えきれないのが悔やまれるほど、一目見たら、確実に印象に残る、すばらしいPOPです。さすが、元書店員にして、ミシマ社の仕掛け担当と、思わずうならされる仕上がりでした。
【“吉祥寺が舞台の「書店」小説、『書店ガール』が発売になりました”の続きを読む】
2泊3日で、大阪に出張してきました。仕事の用事だったんですが、大阪を中心に、一部京都の書店も含めて、あちこちの書店を回ってきましたよ。回ってきたお店の数、同一店の複数訪問も数えると、のべで30店以上……やりすぎですよね、我ながら。今回は、私費で1日足したので、別に遊んできてもよかったんですが、観光もせずに、全日程、書店回りに費やしてるんだからなあ(苦笑)。書店なんてどこでも同じじゃないか、などと思われている人(は、そもそも、このようなブログをお読みになっていないだろうとは思いますが)からすれば、酔狂以外の何でもありませんよね。
今回は、過去の大阪書店回りレポートでもふれていない、初めてのお店をいくつも訪問できました。すぐには無理そうですが、この3日で回ってきた大阪の書店の様子は、近く、空犬通信で紹介する予定です。メモもお店の写真もすごいことになっていて、まとめるのが大変そうなんですけどね……。
大阪では、たくさんの書店員さんにお世話になりました。ありがとうございました。
今日も書店回りをしてきました。武蔵野エリア在住ということで、ふだん出入りするお店は、どうしても東京西部が中心になってしまうんですが、今日は反対側、江戸川を越えて、千葉方面に足を延ばしてきましたよ。といっても、半日でそれほど回れるわけではありませんから、本八幡、船橋、津田沼の3駅に絞って回ってきました。
ふだん行けないエリアのお店を回ると、発見がたくさんあって、回ってて、ほんと、楽しいですね。とくに、上の3駅のなかでも、津田沼は、駅周辺にいくつもの新刊書店が共存する、書店激戦区。回りがいがありました。先日紹介した丸善津田沼とTSUTAYA津田沼のコラボの様子もチェック、両店の書店フリペコラボコーナーで、いろいろフリペも入手してきましたよ。
仕事の用事で回っているので、詳細にレポートできるほど各店をじっくり見る余裕がなかったのが残念ですが、そのうち、半日か一日休みをとって、ゆっくり、時間をかけて回ってこようかなと思っています。
さて。昨日、あんなにたくさんの開店閉店情報を、やっと、やっとまとめたばかりだというのに、その翌日、またまたいろいろな情報が飛び込んできちゃうんだからなあ(苦笑)。もとより網羅的に調べているわけではありませんし、素人の調査ですから、漏れがあるのは当然なんですが、自分でもちょっと落ち着かないので、漏れたものと、過去にふれたもので追加情報がわかったものなどを、いくつかあげてみます。
- 3/10 【オープン】ときわ書房船橋芝山店プラスゲオ
- 3/12 【オープン】東山堂カワトク店
- 3/26 【閉店】 椿書房本八幡店
- 3/31【閉店】リーヴル和泉狛江店
- 4/ 8 【閉店】東山堂イオンタウン盛岡駅前店
東山堂は岩手県盛岡市ベースの、明治38年創業の老舗書店。カワトク店(川徳店)は、盛岡市内の百貨店「パルクアベニュー・カワトク」内にできたお店で、3/12はプレオープン、グランドオープンは3/17とのこと。関連記事は、「盛岡の老舗書店が老舗百貨店に初出店-駅前SC店との統廃合進める」(3/12 盛岡経済新聞)、お店のサイトの告知は「東山堂川徳店 3/17(土)グランドオープン!!」。
記事によれば、2月に閉店した丸善盛岡店跡地への出店ということで、店舗の状態も引き継いだ、いわゆる居抜きでの出店のようです。4/8のイオンタウン盛岡駅前店(盛岡経済新聞の記事には「マックスバリュー盛岡駅前北通店」とあります)閉店も、店舗の統廃合の一環のようです。
椿書房は、以前の記事でふれていますが、閉店後がどうなるのかが確認できずにいました。今日行ってみたら、跡地にはときわ書房が入ることがわかりました。
↑2か所ある入り口を。右は、店内外に貼り出されている閉店の告知(自動ドアに貼られていたのを撮ったら、ぼけぼけ……)。
貼り紙には、閉店後は、《書籍・プラスゲオの営業はときわ書房が引き継ぎます。ご安心ください》とあります。書店がなくなってしまうことを考えれば、利用者にとっては「ご安心」なことではたしかにあるのですが、長らく同店を利用していた方にとってはやっぱりさびしいニュースであることには変わりはないでしょうね。
久しぶりに見る店内は、あちこちの平台が、お店の担当の方の手がかけられていることがわかるディスプレイになっていて、一日に何店も書店を見て回っている者の目にも、印象的なものに写ります。後を引き継ぐ「ときわ書房」も、船橋の本店他、個性的なお店造りをしているチェーンなので、期待したいところですが、同じJR本八幡駅北口側、駅前のPATIO内に、すでに本八幡店(コミック売り場が、ちょっとびっくりするぐらいにぎやかなお店です)がありますから、そちらとの差異化もポイントになりそうですね。ときわ書房になってのリニューアルオープンの日はふれられていませんでした。
リーヴル和泉狛江店は、昨日ツイッターで教えていただいた情報。狛江は、2店が閉店して、1店がオープン、ということになるわけですね。リーヴル和泉は、正確な閉店の時期はわかりませんが、つつじヶ丘店もあったのが、いつのまにかなくなってしまっていたようなので、この閉店で、「リーヴル和泉」自体がなくなる、つまり、廃業ということになってしまうのでしょうか。2店時代の書皮は、サイト「書皮の名刹」内のこちらのページで見られます。
しばらく前に、都内の大型書店の改装の件を記事にまとめたことがありました。改装の規模がそれほどでもないので、そのときはふれなかったのですが、これも追加しておきましょう。三省堂書店神保町本店で、フロアの一部のレイアウトが変わっています。
↑文具とメガネ売り場の改装の告知ポスター。後者は、エスカレータの途中で撮ったらぼけぼけ……。
3階にあったメガネ売り場が6階へ。メガネ売り場とスペースをわけあっていた3階の文具・雑貨売り場が改装となっています。6階は、メガネ売り場がきたことで、奥の語学・洋書コーナーの一部のレイアウトが変更に。エレベータの前にあった洋書のカウンターがなくなり、エレベータ前のあたりがちょっとすっきりしました。以前に紹介しましったっけ、いま、このエレベータ前には、レトロな装丁と小ぶりな造本がいい感じの、アガサ・クリスティの初版本復刻版が並ぶフェア台があります。
その洋書コーナーの壁際に、メガネ売り場が。洋書の棚の一部は、元の語学書の棚のほうに移動。語学書の棚と並んでいた辞書類は、フロア中央に、少し引っ込んだフェアなどに使われていたスペースが2か所あるうちの、レジ寄りのほうに移動となりました。新学期シーズンということで、現在は辞書フェアが展開中ですが、その奥の壁際の棚が、辞書のレギュラーの棚になったようです。
新刊書店の開店・閉店関連情報の続き、以下は閉店関連です。
閉店
- 2/19 ヴィレッジヴァンガードペルチ土浦店
- 2/20 宮脇書店新潟西店
- 2/24 芳林堂書店祐天寺店
- 2/29 Berlin Booksベルリンブックス
- 2/29 リブレット池袋店
- 2/29 丸善盛岡川徳店
- 2/29 ブックスキタミ上中里店
- 2/29 ブックスローラン
- 2/29 ファミリーブック東村山店
- 2/29 ファミリーブック大泉店
- 3/30 BOOK童夢みまき
- 3/31 旭屋書店ベルビー赤坂店
- 4/30 たんぽぽ館
- 5/15 オリオン書房立川北口店
期や締めの関係があるのでしょうか、2月末の閉店が目立ちますね。
「リブレット」は、上にあげた池袋のほか、全部で4店が閉店になるようです。サイトには「リブレット事業撤退のお知らせ」という案内が出ています。
「ブックスローラン」は西新宿にあるアダルトの専門店。空犬通信で扱っている書店情報は、一般書店が中心で、上のリブレットで扱っているような同人誌や、アダルトなどの専門店にはふだんはふれていませんが、ここは以前は一般書店だったお店で、新刊・古書・専門を問わず、いろいろな書店の書皮を紹介しているサイト「書皮の名刹」でも書皮画像付きで紹介されていたりします。一般書店時代のことを覚えていらっしゃる方もいるかと思い、ふれておきました。
「BOOK童夢みまき」は、長野県東御市が運営する書店と図書室の複合施設で、その書店部分が閉店になるというもの。ドーム型の木造2階建てで、見た目もなかなかすてきな建物で、21坪ほどの図書室は継続のようです。関連記事はこちら。「長野・東御市運営の書店 来月閉店」(2/16 読売新聞)。
旭屋書店ベルビー赤坂店は、赤坂見附の駅ビル、ベルビー赤坂の5階にあるワンフロア店。この記事執筆時点では、旭屋書店のサイトにもベルビー赤坂のサイトにも告知がありませんが、店内に閉店案内の貼り紙が出ているという情報をいただきました。駅からのアクセスはいいし、近隣には大きなホテルや、高校・大学などもあり、ライバル店がすぐ直近にあるわけでもなく、立地・環境的に問題がありそうにも思えません。閉店の事情はわかりませんが、この立地でやっていけないのだとしたら、なかなか厳しい話ですね。
旭屋書店は梅田本店、名古屋ラシック店の閉店と、ファンにはさびしいニュースが続いています。都内は、ここ数年で、銀座、水道橋、渋谷が続けて閉店、今回の赤坂の閉店で、とうとう都内は池袋店1店となってしまいました……。
4月で閉店になる「たんぽぽ館」は、葛飾区青戸の児童書専門店。児童書専門店の閉店としては、昨年末に、個人的にも縁のあった三鷹のお店「りとる」のことを、この空犬通信でも何度か取り上げましたが、たんぽぽ館も、りとるに出入りするようになったのと同じ頃、駆け出し編集者時代に知ったお店の1つで、閉店の知らせも、りとるさんから教えてもらいました。
場所が青戸(駅は京成の青砥)と、ふだん縁やついでのない街なので、行ったことがある、というぐらいにしか知らないのですが、こぢんまりとした(十数坪ぐらいかな)お店は子どもの本がぎっしり。店主の小松崎辰子さんもとてもすてきな方で、子どもの本も書店のこともまだ勉強し始めだったこちらの青臭い話にもいろいろ付き合ってくださったのが記憶に残っています。お店の様子と店主の小松崎辰子さんについては、こんな記事がありました。「~そこにはとても優しい時間が流れていました~ たんぽぽ館」(2011/4/11 東都よみうり新聞社「かーちゃんにまかせ」)。
閉店は、4月末の「予定」とのことです。まだしばらく日がありますから、なつかしいお店の様子を拝見しに、久しぶり訪ねてみたいと思います。近隣の方、児童書好きの方は、このすてきなお店がなくなってしまう前に、ぜひ一度お出かけください。
「オリオン書房立川北口店」は、中野ブロードウェイの立川版といえそうな(規模はかなり違いますが)第一デパート内にあったお店。第一デパートの閉館に伴う閉店のようです。コミック中心に、鉄道・軍事書籍が充実した、濃度の高いお店で、ぼくは個人的にはあまり利用する機会のないお店でしたが、この手のジャンルが好きな方々には支持されていたと聞くお店だっただけに、閉店の知らせにがっかりしているファンも少なくないことでしょう。お店による告知はこちら。「オリオン書房 北口店(第一デパート3F) - 【閉店のお知らせ】。
……ふう。さすがにこれだけあると、まとめるのも大変です。
前回、新刊書店の開店・閉店関連ニュースをまとめたのは2月の半ば。4月を目前にした時期という始まりの季節のせいもあるのでしょうか、わずかひと月ほどだというのに、次から次に情報が集まって、追加・修正を繰り返す羽目になり、なかなかアップできずにいました。切りがないので、いったんまとめます。今回は件数が多いので、それぞれのコメントは少なめにします。(新刊書店の開店閉店に関する情報を寄せてくださったみなさま、ありがとうございました。)
オープン(新規)(かっこ内の数字は坪数)
- 2/17 三洋堂おひさま保険
- 3/ 1 アシーネ赤羽店(135)
- 3/ 1 宮脇書店高知大丸店
- 3/ 2 喜久屋書店JR奈良駅店(150)
- 3/ 4 にじいろのたね(10)
- 3/ 8 ハーベストヴィレッジなんばパークス(20)
- 3/10 ゲオ四街道大日店(70)
- 3/10 ゲオ西帯広店(70)
- 3/14 啓文堂書店狛江店(90)
- 3/15 天牛堺書店コーナン中もず店(200)
- 3/15 アシーネ長崎店(75)
- 3/16 TSUTAYA AZ玉島店(160)
- 3/16 コミックとらのあな蒲田店(40)
- 3/17 TSUTAYA幡ヶ谷店(62)
- 3/17 あゆみBooks荻窪店(60)
- 3/22 くまざわ書店的場店(200)
- 3/22 ヴィレッジヴァンガードフジグラン宇部(39)
- 3/24 TSUTAYA浜松笠井店(115)
- 3/24 ヴィレッジヴァンガードイオン那覇(40)
- 3/28 宮脇書店イトーヨーカドー古河店(118)
- 3/28 ヴィレッジヴァンガードイオン久御山(33)
- 3/30 未来屋書店久御山店(194)
- 3/30 パルネット高石店(105)
- 3/下 未来屋書店上峰店(100)
- 4/17 未来屋書店新船橋店(241)
- 4/上 ブックポート203大和店
- 5/中 宮脇書店清水店(?)(300)
- (時期不明)八重洲ブックセンター丸井柏店
「三洋堂おひさま保険」は、名古屋市瑞穂区の新開橋店1階にできた三洋堂書店の保険ショップ。純粋な新刊書店のオープンとはちょっと違いますが、ショップインショップのめずらしい例としてふれておきます。
「アシーネ赤羽」は北区のダイエー赤羽店内。「宮脇書店高知大丸店」は高知大丸東館5、6階の2フロアで、在庫は県内最大級とあります。関連記事はこちら。「3/1【開店】宮脇書店高知大丸店」(開店閉店.com)。「喜久屋書店JR奈良駅店」は、JR奈良駅高架下の商業施設「VIERRA NARA(ビエラ奈良)」新館内2F。関連記事はこちら。「JR奈良駅の商業施設「ビエラ奈良」に新店16店舗-北側施設開業へ」(2/29 奈良経済新聞)。
「にじいろのたね」は長崎市大橋町にできた絵本と木のおもちゃ、幼児用雑貨などのお店。元幼稚園教諭の方が始めたお店とのことです。写真や開店を伝える記事からは、こぢんまりしたすてきなお店の様子が伝わってきます。関連記事はこちら。「長崎大学前に絵本専門店-元幼稚園教諭が開く」(3/6 長崎経済新聞)。
「ハーベストヴィレッジなんばパークス」はヴィレッジヴァンガード newstyle なんばパークス店のショップインショップなんでしょうか。「HARVEST VILLAGE」については、「20代後半男性向けの雑貨店」と説明があり、書籍の扱いがあるのかなど詳細がよくわかりません。くわしい方がいらっしゃったらご教示ください。
ゲオはレンタルなどの複合ショップですが、この2店は書籍の扱いがあるようです。後者の帯広のお店は、「ザ・本屋さんキャンパ店」の跡地で、店舗は居抜きとのこと。
以前に紹介していますが、開店日が確定でなかった「啓文堂書店狛江店」は、小田急線狛江駅隣接のビル「小田急マルシェ狛江」内、旧狛江ブックセンター跡地にできるお店。別ソースの情報で広さは100坪としていましたが、啓文堂のサイトでは90坪となっています。お店の告知はこちら。「狛江店が3月14日(水)にオープンいたします」。
「天牛堺書店」は関西の古本好きにはおなじみの名前ですが、「コーナン中もず店」は坪数をご覧いただければわかる通り、大型店舗で、新刊書の扱いがあるようです。お店の説明には「児童書・学参を中心とした充実の品揃え」だとあります。
「TSUTAYA浜松笠井店」は「ブックランドあいむ笠井店」の跡地にできたお店で、店舗は居抜きとのこと。
「宮脇書店イトーヨーカドー古河店」は茨城県古河市のお店で、今年1月に閉店となった「NET21かもじや古河IY店」の跡地に居抜きで入ったとのこと。「パルネット高石店」は大阪府高石市のお店で、「BOOKinMITSUI 高石店」の跡地に、これも居抜きで入ったとのこと。
「宮脇書店清水店(?)」は、百貨店「中合清水屋」が新聞報道によれば「売上低迷のため」撤退、リニューアルして再出発となった「マリーン5清水屋」の4階に入ったお店。「庄内最大級の売り場面積」とあります。調べたんですが、正式な支店名がよくわからないので、?付きであげてあります。ご存じの方がいらっしゃったら、ご教示ください。関連記事はこちら。「中合清水屋:新生「清水屋」、来月5日に再スタート 庄内に百貨店残る /山形」(2/29 毎日新聞)。
「八重洲ブックセンター」は、丸井柏店内のワンフロア店で、丸井柏店出店準備室ができていることはお店のサイトなどにも言及があるのですが、出店の時期がよくわからなかったので、とりあえず、上のようなかたちであげておきました。続いて、改装・増床・移転などのリニューアルを。(改装の内容がはっきりわからないものも含めています。)
リニューアル(かっこ内の数字は坪数)
- 2/ 8 BOOKSあんとく荒尾店
- 2/16 文教堂書店市原店
- 2/23 旭屋書店船橋店
- 3/ 1 宮脇書店詫間店
- 3/ 2 精文館書店豊川店
- 3/ 2 文教堂書店新柏店
- 3/ 3 ゲオ札幌北33条店
- 3/ 3 ブックスアルデ近鉄店
- 3/ 7 丸善アークヒルズ店
- 3/15 精文館書店新城店
- 3/15 TSUTAYA3bee村岡
- 3/16 くまざわ書店上福岡東店(145)
- 3/18 アニメイト徳島店(30)
- 3/20 ジュンク堂書店新潟店
- 3/23 うさぎや作新学院前店(150)
- 3/29 デンコードーTSUTAYA仙台南店(170)
- 3/31 ブックスキヨスク神戸店(67)
- 3/30 TSUTAYA 浜町店(210)
【“新刊書店の開店・閉店いろいろです その1(開店・改装)”の続きを読む】
あれから1年。この日は、家族と過ごしたかったんですが、運悪く仕事の用事が入ってしまい、終日お出かけ。
せめて夜は、独り、パソコンからもテレビからもはなれて、いろんなことを考えながら静かに過ごそうと思います。この本をかたわらに置いて。
このところ毎日のように、仕事の用事で、あちこちの書店を回っています。先日、池袋でリブロ池袋本店に寄ったついでに、1階、下りエスカレータ正面の絵宇ペース、「カルトグラフィア」で、3/1に始まった「3.11以後の本と私たち 未来を拓く本の力」を見てきました。選者の顔ぶれも、選ばれた本も興味深いものになっていて、見応えのあるフェアです。選書リストとコメントが掲載された小冊子もありますから、フェアをご覧になった方はそちらもお忘れなく(棚の中ほどにあるので、見落とす人がいるかもなので)。
『「あの日」からぼくが考えている「正しさ」について』をしばらく前に読了したばかりだったこともあり、そして場所が池袋だったこともありで、このフェアを眺めていたら、昨年の「あの日」のことを、思い出さずにはいられませんでした。
いつだかの記事に当日のことは書いたことがありますから、くわしくは書きませんが、ちょっとだけ。昨年の3.11、書店回りで池袋にいたぼくは、ジュンク堂書店で地震にあいました。それも、よりによってエレベータの中で。一歩間違えたら、閉じ込められていたかもしれないわけで、後で青くなったものです。ジュンクはすぐに閉店となり、気になる上の階の様子を確かめることができなかったので、すぐにリブロへ駆けつけました。担当の方のところに顔を出すと、店員さんもお客さんも無事でしたが、棚から本がとびだし、位置がずれてしまっている什器なども。床にちらばった本の片づけを手伝ったりしたことを思い出します。本当に大変なのは、この後なんですが、この時点では、まだ事態のものすごさに気づいていなくて、お店の方と談笑しながら片づけしていた記憶があります。
……と、書き出すと、以前に書いた記事の繰り返しになってしまいますね。とにかく、カルトグラフィアの棚の前で、そんなことを、いろいろ思い出したりしたのです。
で、「3.11以後の本と私たち」。力の入ったフェアなので、もう少しくわしく紹介したいなと思い、担当のYさんにいろいろ話をうかがってきましたよ。
↑店頭の様子。実際の店頭を見てほしいので、写真はあえて1枚だけにしました。ちなみに、上の写真で、『もんじゅくん』の本が大きく展開されているのがわかるでしょうか。2種あるんですが、どちらも売れているそうですよ。POPは自前、本の中のページをあしらった小さなパネル(履歴書?のようになっている)も効いています。
企画は、昨年12月ごろから練り始めたそうです。いろいろな方に、自由に本を選んでもらおう、というゆるやかなしばりながら、当初から「本の力」をキーワードというかコンセプトというか、にしたいという思いはあったそうです。最初は、震災関連でなくても可で、テーマもまったく自由にしていたそうです。
店頭には、選者の方の写真・プロフィールが載っているボードに、その方が選んだ本、(全員ではありませんが)自著がある方は自著が並んでいます。自著のほうは、ご本人ではなく、お店のほうで選んだのだとか。
人選は、担当のYさんとTさんのお二人によるもの。リブロ、それもリブロの人文フロアらしいお名前もあれば、ちょっと意外なお顔も。個人的にびっくりしたのは、オノヨーコさん。よくまあ、こんな大物を、しかもこのメンツの中の1人に選んだなあと、店頭で最初に見たときは、同姓同名の別人かと思ったぐらい(笑)。
ちなみに、Yさんが担当者としてぜひお願いしたかった方は、椹木野衣さん、藤井貞和さん(そういえば、先日、こんなニュースも「鮎川信夫賞・詩集部門に藤井貞和さん」(3/5 読売新聞))、そして瀬名秀明さんだったそうです。本読みには説明不要の方々かと思いますが、どのような方で、どんな本を選んだかは、ぜひ店頭で、または冊子で確かめてみてください。
↑選者の紹介と選書、コメントが収録された小冊子。「小」といってもA5判で20ページもある立派なもの。表紙に池袋本店と福岡天神店の名前が並んでいるように、「カルトグラフィア」は福岡店にもあり、このフェアも2店共通。ただし、並んでいる本が全部同じというわけではないそうです。
このフェアが展開されている「カルトグラフィア」にも少しふれておきます。
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今日は新宿他で書店回りをしてきました。前回の記事で紀伊國屋書店新宿本店の改装の様子をお伝えしましたが、そのとき、棚にまったく本が入っていなかった2階文芸のコーナーは、本が入って、すっきりした売り場ができあがっていましたよ。レジの位置が変わり、フェアスペースなど、フロア中央あたりのスペースの使い方が変わったので、フロアに足を踏み入れたときの印象がけっこう変わりました。
フェアが熱いと一部で話題を呼んでいるらしいジュンク堂書店新宿店にも、もちろん寄ってきましたよ。知り合いの書店員さんに会えたので、しばしおしゃべり。こんなふうに店頭でおしゃべりできるのも、あと少しのことかと思うとさびしいなあ……。『3.11キヲクのキロク 市民が撮った3.11大震災 記憶の記録』の他、山ほど買い物をしてきました。
同店のフェアについては、こんなまとめや記事もあります。ぜひ閉店前の様子を実際に見ていただきたいと思いますが、駆けつけるチャンスのない方は、これらをご覧ください。「閉店する「ジュンク堂」書店員の最後の本気」(NAVER)、「3月31日に閉店する新宿ジュンク堂がアツイ! 書店員が「本当に売りたかった本」を売っている」(3/9 Pouch)。
同店のフェア、多くは3月末か閉店まで継続のようですが、7階の洋書バーゲンは3/20まで。洋書好きはお急ぎあれ。ちなみに、その後、洋書は片づけてしまうようで、閉店までの10日ほどは、洋書棚のエリアはがらんと空いてしまうことになるみたいです。閉店前の光景としてはしかたないものなんですが、棚の数があれだけありますから、あの一角の本がごっそりなくなっている様子を想像すると、それだけでさびしさが増しますよね……。
さて。先日の記事で少しふれましたが、あらためて。一般誌ではありませんが、書店フリーペーパーの特集雑誌が出ましたよ。
特集は「PR誌・フリーペーパーをつくろうよ」。書店フリペについては、これまでに、ベレ出版の書店向け通信「ベレベレ通信」(2011年9月号;サイトからPDFをダウンロードできます)、光文社の書店向け通信「鉄筆」などで特集として取り上げられたことがあるほか、一般誌では『散歩の達人』の記事で取り上げられたこともありました。いずれも、あちこちの書店のフリペを幅広く取り上げ、実際の紙面を写真で見せるなどした、力の入ったものでしたが、今回の『日販通信』は20頁を超えるもので、これまででもっとも本格的な書店フリペ特集といっていいかもしれません。
特集は大きく2部に分かれていて、前半は書店フリペに関するインタビューが2本、後半はいろいろな書店のフリーペーパーの事例紹介。で、そのインタビューに、自分で紹介するのはちょっと図々しいというか、はずかしいというか、なんですが、わたくし空犬が登場、書店フリペについて、あれこれ話しております。しかも、「空犬」名義で。ほんと、すみません……。大手取次のオフィシャルな出版物に、こんなハンドル、そしてこのアイコンで出てしまって大丈夫だったんでしょうか(苦笑)。
インタビュー、書店からは、三省堂書店有楽町店のお二人、杉山さん、新井さんが登場しています。「ブンブンコ通信」や「LOVE三省堂書店!」など、フリペ作りについて、詳細に語ってくれています。フリペの紙面だけでなく、店頭の写真も複数掲載されていて、お店でのフリペの利用のされ方、配布方法がわかるほか、POPやパネルなど、他の拡材との組合せ方もよくわかるので、同店の店頭を実際に見るチャンスのない他地域の方は必見だと思いますよ。
後半の事例紹介で取り上げられているお店とフリペは、さわや書店フェザン店「月刊文庫の歩き方」、啓文堂書店多摩センター店「クロネコ通信」、三省堂書店海老名店「えび通(えびやきコ通信)」、八重洲ブックセンター京急上大岡店「こどもの本」、有隣堂「私がおすすめする本たち」+「コミック編」、精文館書店中島新町店「勝手に課題図書新聞」「次読むならコレにしやあ~!」の6店8種。それぞれ紙面の紹介はもちろん、担当されている方の、きっかけ、こだわり、制作・配布方法などについて、非常に具体的な話が掲載されています。これから始めようと思っている方にとっては、とても貴重な情報になりそう。
書店フリペがどういうものなのか、どんな人が作っているのかがよくわかる、貴重な記事だと思いますので、自分が出ているから、ということとは関係なく、書店好き、書店フリペ好きの方に広くおすすめしたおと思います。
ところで、この『日販通信』、書名の通り、大手取次の日販が出しているものですが、一般の書店では売られていないとのこと。入手方法についてたくさん質問をいただきましたので、日販の担当の方(@NIPPAN_senden)に教えてもらった入手方法を書いておきます。日販以外の帳合の書店さん、個人のお客さんは、直販・郵送で買えるそうです。電話かメールで日販に連絡し、在庫の確認をしてください。在庫ありなら、入金方法などの詳細の連絡があるそうです。連絡先はこちら。
03-3233-4788
[email protected]
興味はあるけれどお店では入手できない、という方は、ぜひ連絡してみてください。
さて。インタビューの内容について、ちょっとだけ、言い訳的な補足をしておきます。
【“『日販通信』の最新号で、書店フリーペーパーの特集”の続きを読む】
新刊書店の開店・改装・閉店関連のニュースがけっこうたまってきたので、そろそろまとめて紹介しなくてはと、記事をまとめているところなんですが、その前に、都内の大型書店の改装の様子をいくつか紹介します。都内では最近、大型書店の改装が続いていますよね。過去記事で紹介したものと重なりますが、ちょっとまとめてみました。まずは、神保町のこちら、東京堂書店。2/24から改装のため一時閉店となっています。
↑閉店中の同店外観(写真は数日前のもの)。シャッターに、改装後の店舗のイメージ図などがはりだされています。
リニューアルオープンは3/30。以前の記事にも同じことを書きましたが、チラシなどで発表されている新しい店舗のファサードは、ロンドンの書店、DAUNT BOOKSを思わせるような、なかなか重厚でかっこいいもの。店内にはカフェスペースもできます。どんなふうになるのか、楽しみですね。くわしくは、サイトの案内をどうぞ。そちらには、オープニングイベントの予定がいくつかあがっているほか、カフェオープニングスタッフの募集もあります。WEB本の雑誌には、「神保町・東京堂書店の大改装がはじまった! その3」もあがっていますね。
それにしても。神保町には、三省堂書店神保町本店も、書泉グランデも、そして、東京堂のふくろう店もあるのに、東京堂書店本店が閉まっていると、書店好きとしては、やっぱりさびしい感じがしますね。3/30を楽しみに待ちたいと思います。次は新宿。以前の記事でも紹介しましたが、紀伊國屋書店新宿店の改装作業が進んでいます。
↑これは数日前のお店の外観。もう改装作業が始まっているときでしたが、この写真だとわかりませんね。改装の案内と、営業中であることを告げる貼り紙とが出ていました。
↑営業しながらの改装ですので、フロアによっては、改装作業の途中の様子を目にすることができます。上の2枚は2階の様子。長年通い続けてきている店ですが、こんなふうに、棚に商品が入っていない状態を目にする機会は滅多にありませんから、新鮮です。書店関係者か、版元・取次などの関係者で開店・改装の応援に関わったことのある方でもないかぎり、書店のこういう様子はなかなか見られませんから、書店好きの方は見ておくといいかもしれません。
↑各所にはりだされている、旧フロアと新フロアの対照表。迷ったらこれを。右は各ジャンル・フロアの連絡先。
↑新刊・雑誌を集めた1階。レジの位置が変わり、フロアの中央あたり、通路側になりました。上の写真(絶えることのない人波の合間をぬって撮影したので、ぼけぼけです……)の貼り紙の向こう側に見えるのがレジ。
改装スケジュール、およびフロアレイアウトの変更については、紀伊國屋書店のサイトで確認してください。以前の記事にあげたものですが、お店のサイトにあがっている改装の案内を。「【新宿本店】店内改装(売場移動)のご案内」(2/13 紀伊國屋書店)。南店も改装がありますので、あげておきます。「【新宿南店】フロアレイアウト変更と改装工事のご案内」(2/14 紀伊國屋書店)。
昨日は、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店にも寄ってきました。本業が忙しくてなかなか顔を出せずいましたので、久しぶりの訪問だったのですが、フロアに足を踏み入れて、びっくり。もともと児童書があった奥のあたり、その一画の棚がガラガラになっているのです。店内の一部が改装作業中とのことでした。
↑トイレのある奥の廊下側から見た様子。右は店内に出ていた改装の案内。
知り合いのSさんに店内で会えたので、改装のことを聞いてみました。棚が空いているスペースには、文具コーナーが拡張、さらに「NHKスクエア」が入るそうです。後者は、NHKの商品を扱うショップインショップのよう。坪数でどれぐらい変わるのかはわかりませんが(と書いたら、後述のサイトの案内に17坪とありました)、フロア全体に占める純粋な書籍スペースはわずかに縮小となるようです。まあ、縮小といっても、元があのサイズ、あの在庫量ですからね。実際には、そんなに変わらない、というか、一般のお客さんが見てわかるような変化ではないかもしれません。改装は営業しながら行われ、改装のための一時閉店はなし、3/9にリニューアルオープンとなるそうです。
【“東京堂、紀伊國屋新宿、M&J渋谷……都内の大型書店の改装が続きます”の続きを読む】
雑誌およびオンラインの記事から、最近目についた書店関係のニュースをいくつか紹介します。この1、2か月の間に、書店での強盗および盗撮だけで、複数の報道がありましたが、書店好きとしては心穏やかに読めないそれらは割愛して、なるべく楽しい記事を中心に取り上げたいと思います。まずは雑誌から。
福岡のエリア誌、『ふくおか経済』2月号に掲載された特集記事「ジュンク堂福岡店を増床、リブロ8年ぶり天神再進出」で、福岡の書店事情がくわしく紹介されています。
7ページにおよぶ特集記事で紹介されているのは、ジュンク、リブロ、TSUTAYA、丸善、紀伊國屋、菊竹金文堂、ブックセレクトKの各店。それぞれ、お店の様子と店長さん社長さんら取材に応えた方が写真入りで紹介されています。
地方限定の専門的な雑誌で、高価なので、ふつうには入手がしづからいかもしれません。周りで手に入らないけど、ぜひ読んでみたい!という方は、コメント欄にてご相談ください。
うち、リブロは、『文化通信BB』2/27号でも大きく取り上げられていましたね。記事は「中規模でおもしろい書店が便利に違いない」。見開き全面を使い、白黒ですが写真もたっぷりの記事になっています。
続いて、この空犬通信でも何度か紹介している『FJ(フィナンシャルジャパン)』4月号を。「ほん・ものがたり」で、往来堂書店が取り上げられています。本を選んだのは幅允孝さん。
『FJ(フィナンシャルジャパン)』の「ほん・ものがたり」、今月号は往来堂書店で、前回は吉祥寺のBOOKSルーエでした。この2書店が、特集記事の新刊書店のパートの冒頭に取り上げられているのが、『男の隠れ家』4月号。特集は「本のある空間、本と過ごす時間」。
特集は4部構成で、「発見がある新刊書店」「古本夢空間」「図書館はワンダーランド」「本と酒と珈琲のある空間 ブックカフェ&ライブラリーバー」と、本好きならわくわくさせられること必至のタイトルが並んでいます。
うち、新刊書店を扱った「発見がある新刊書店」ですが、最近の書店特集でよく見られる、名物書店員さんが中心の取り上げ方ではなく、お店中心の紹介になっています。各店の紹介部分に、書店員さんもわずかに登場しているものの、この手の特集でよくお顔やお名前を見かける書店員さんがずらり、というふうにはなっていないところは、「また書店の特集?」と食傷気味の方(がいるとして)にも、ちょっと新鮮かもしれません。
新刊・古本・図書館・ブックカフェと、本・書店をキーワードにしながら、タイプの異なる本の空間をバランスよく配した特集で、本好きならば見逃せない特集になっていると思います。
雑誌に掲載された書店関連記事・特集のうち、最近のものでもっとも印象的なのは、やはりこれ、『週刊ポスト』3/9号の「16ページ総力特集 こんな本を読みたい、読んで欲しい。本は生活必需品だった 復興の書店」でしょう。カラーグラビアページを16ページも使った特集です。ちゃんと調べたわけではありませんが、一般週刊誌で、これだけのボリュームが、しかもカラーページが、書店特集に割かれたというのは過去に例がないのではないでしょうか。
『週刊ポスト』は、震災後、不定期連載「復興の書店」で、被災地の書店の状況を追い続け、なかなか現地の様子を知る手段も機会もない、他地域の本好き書店好きに、貴重な情報を提供し続けてくれた雑誌ですが、その集大成的な特集ですよね。特集冒頭のグラビア、ジュンク堂書店仙台ロフト店・佐藤純子さんの笑顔がすてき過ぎます。続く、困難を排して次々に復活をなしとげた被災地の書店の様子を伝える記事には、思わず涙をさそわれます。
ここに取り上げられているようなお店は、通常の書店特集、つまり、おしゃれな書店、個性的な書店、とんがった書店、おもしろい書店、ユニークな書店にスポットをあてるようなタイプの書店特集には、おそらくはあまり登場する機会のないお店かもしれません。そのような書店の様子をこうしてまとめて読めることの幸せを思わずにはいられません。これらのお店の取材をされた方、特集をまとめた方々に、お礼を言いたいような、そんな気分にさせられる特集です。週刊誌なので、店頭から消えてしまう前に、入手しておかれることを、書店好きとして書店blogの書き手として、強くおすすめします。
一般誌ではありませんが、これも紹介しておきましょう。日販が出している『日販通信』、次の号、3/5発売の4月号は、書店のフリーペーパーの特集です。自分で書くのもなんだかおこがましい感じなんですが、恐れ多いことに、大手取次のオフィシャルな出版物に、わたくし空犬が登場することになってしまいました。書店フリペについて、あれこれ語っています。これについては、発売後に、あらためてくわしく紹介したいと思います。
純粋な書店関連記事とはちょっと違いますが、これにもふれておこう。『オール読物』3月号(文藝春秋)に、「オール読書会 生まれて初めて読んでみました!」なる記事が掲載、数人の方が読書会形式で『オール読物』について語っています。参加者のなかに、「覆面書店員」として、名古屋の某書店員さんが参加しています。あれ、なんか知り合いの方だったりするような気も……。
小説誌って、小説読みでもなかなか読んでなかったりするものなので、こういう座談会が成り立つのもわかる気がします。読んでいて、新鮮な感じがしたのは、参加者のお一人が、「本にまだなっていない、雑誌の小説があるなんて、はじめて知りました!」と発言されていること。いやはや、我々にとって常識といえることでも、ある方にとっては「!」付きなことなんですね、などと当たり前のことを今さらながら思ったりしながら読みました。
次はWebから。『Lマガジン』のサイト、『Lmaga.jp』に、「新しい本屋のかたち。」なる記事がアップされています。《京阪神の本屋好きにビッグニュース到来! 繁華街からちょっと離れた静かな路地奥や郊外に、こっそり教えたくなる超・個性派な名物書店が急増中です》というこの記事では、天満橋の古書店、FOLK OLD BOOKSTORE、ミシマ社の本屋さん、京都のアートブック・ユリーカが紹介されています。店頭の様子がわかる写真入りでくわしく紹介されていて、本好き、とくにふだん現地に行く機会のない他地域の書店好きは必見でしょう。
Flavorpillというサイトに、「世界で最も美しい書店」20店を選んだという記事が挙がっています。「The 20 Most Beautiful Bookstores in the World」(1/31 flavorpill)。日本語で、このニュースを紹介したものとしては、たとえばこちら。「世界で最も美しい書店」(2/12 ポートフォリオ・オランダニュース)。これは、すばらしいなあ。写真を眺めているだけで、幸せな気分になれますよね。『世界の夢の本屋さん』が好きな方は要チェックですね。
【“雑誌記事・Web記事で取り上げられた書店関連の話題いろいろ”の続きを読む】
このところ、続けて雑誌(含むムック)を買ったので、紹介します。
昨年は辞書小説『舟を編む』の刊行、そしてキノベス1位獲得に、『新明解国語辞典』『岩波国語辞典』の改訂など、辞書がらみの話題が続きました。その流れを受けてのことでしょうか、『ユリイカ』の最新号は辞書特集。『舟を編む』の三浦しをんさんのインタビューも掲載。辞書好きにかぎらず、ことばに興味のある方なら楽しめそうな、内容・分量とも、充実の特集になっています。
1つだけ残念なのは、この特集、この内容で、わざわざこのような文章を載せる必要があるのかなあと、そんなふうに思わざるをえない記事があったこと。誰の何と書きませんが、お読みいただければ(もしかしたら、目次を見ただけで)わかる方にはわかるかもしれません。まあ、それはともかく、読み応えのある特集であることは間違いないので、辞書好きことば好き、そして『舟を編む』で辞書の世界にひかれた方にはおすすめの1冊です。
『週刊ポスト』と『男の隠れ家』については稿をあらためて紹介しますが、とりあえず、この空犬通信を訪問してくださっているような、本・書店に関心のあるみなさんは、店頭からなくなってしまう前に、『週刊ポスト』は必ず買っておいてください。書店好きは必読の1冊です。
『pen+』は、昨年通常号で出て好評だったらしい円谷特集のムック化。一般誌の特撮関連特集って、正直なところを言うと、まったく、これっぽっちも期待していないので、この『pen』も昨年の本誌が出たときは、期待ゼロで手にしたんですが、予想に違い、とても充実した内容で、昭和特撮おやぢが十分に満足できるものだったんですよね。それがムックになると聞けば、それは楽しみに待ちますよねえ。
とはいえ、本誌9/1号を買って持っている身としては、あらためて買うべきなのかどうかは、どれぐらい変更・追加・新記事があるかによります。その点について、サイトには、《新たな記事を20ページほど加え》《本誌ではなかった特別付録として、ウルトラマン&ウルトラセブンの両面ポスターを付けました。また読者プレゼントとして、人気怪獣カネゴンのソフビ人形も用意(20名様分)》とありました。20ページの新記事というのは、購買動機としてはいささか微妙な感じではありますが、そこは充実の円谷特集を掲載してくれた雑誌に敬意を表して、買いましたよ。変更点などの詳細は、こちらに情報があります。「pen+『円谷プロの魅力を探る。ウルトラマン大研究!』ちら見せします。」(2/27 Pen Online)。
最後は今日の昼休みに買った音楽ムック。これを書店で見つけたときは、さすがに驚きました。だって、これ、書名にも特集タイトルにも明記されてませんが、丸ごと1冊、トミー・ボーリンの特集ムックですよ。まさか、トミー・ボーリンが1冊の本になるとは、トミー・ボーリンで1冊の本が成立するとはなあ。なんだかうれしい驚きです。
ギターものの音楽本と言っても、スコアやギタープレイ関連の記事こそありませんが、機材にバイオにディスコグラフィに関連人脈インタビューにと、トミー・ボーリンに関する日本語の情報としては、間違いなく過去に出たもののなかでもっともくわしいものになっていると思われますから、ファンはどうぞお見逃しなく。
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