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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

往来堂書店の名物フェア「D坂文庫 2015春」を見てきましたよ

しばらく前の記事で紹介した、往来堂書店の名物フェア「D坂文庫 2015春」を見てきました。


往来堂書店 D坂2015春 看板往来堂書店 D坂2015春 1

↑今回もポスターのイラストはミロコマチコさん。今回は「もぐら」です。


往来堂書店 D坂2015春 2

↑場所はいつもと同じく、入り口を入ってすぐのフェア棚。こうして、フェアの統一帯のかかった文庫が数十点、ずらりと並ぶと壮観ですね。


今回は、店頭での出会いを大事にしたかったので、同店がツイッター(@ohraido)でハッシュタグ「#D坂文庫2015春」で流している情報もなるべく見ないようにして、素に近い状態で見に行きました。選書メンバーには常連といっていい人もいますから、これはあの人が選んだのかなあ、などと選び手の顔が思い浮かぶようなものもあれば、D坂に並んでいること自体が意外な感じのするタイトルもあり、また、同じ作家の違う作品をたまたま選んだ方がいたりと、並んでいるのを見るだけで楽しいです。


前回の記事で取り上げた丸善の「はじめての海外文学」のときにも思いましたが、やっぱり、書店の店頭で実際に本が並んでいるのを見るのはいいものですね。


往来堂書店 D坂2015春 3

↑すぐ脇には、南陀楼綾繁さんの『谷根千ちいさなお店散歩』(WAVE出版)の、こんな特設ワゴンが。往来堂書店だけで、640超! すごい数字です。こちらにもD坂文庫の冊子が。


D坂文庫から本を買うと、ミロコマチコさんの絵の入ったオリジナルブックカバーがもらえるということだったんですが、それも忘れてしまったし、さらに、選書コメントの入った小冊子をもらってくるのも忘れてしまいました。何をやってんだか。みなさんはぜひ忘れないようにしてくださいね。ちなみに、3冊買うと、オリジナルメモ帳がもらえます。


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丸善津田沼店で開催中のフェア「はじめての海外文学」を見てきましたよ【更新】

しばらく前の記事でご紹介したフェア「はじめての海外文学」。記事で紹介したお店はもちろん、それ以外のお店での開催が追加で決まるなど、さらに広がりを見せているようですね。


フェアの企画者である酒井七海さんのお店、丸善津田沼店を訪ね、フェアの様子を見てきましたので、簡単にご紹介したいと思います。(店内写真はすべてお店の方に断って撮影したものです。写真は2/21の様子で、フェアの開催場所や内容、店頭の様子は変わっている場合があります。)


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フェアの場所は、同店正面入り口のエスカレータを上がって、右手奥、レジの正面です。写真をご覧いただければおわかりの通り、かなり大きなスペースを使って展開されています。点数の多いフェアで、本とPOPがこんなふうに並ぶと壮観ですね。並べることができなかった本(品切れ)があるそうで、これでも全点ではないそうです。


台の上に歩道橋のように枠(お店の方の手作りです)をわたして、それにポップが添付されています。POPが大きくて、少し本が見えにくくなってしまったと、酒井さん。たしかに、本の視認性という点ではそうかもしれませんが、POPの文言を読みたい人にはこれぐらいの大きさのほうがいいかもしれませんね。それに、POPの間から、書影がのぞいている様子もなかなか味わいがあります。


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↑このアングルで見ると、手作り感と、本の並べ方がよくわかります。


150221 はじめての海外文学 帯

↑こちらは本にかかっている統一帯。


台の手間、中央には、フェアの冊子が置いてあります。こちらは無料配布で、この冊子だけをお持ちになるお客さんも多いようで、順調にはけているのだそうですよ。フェアのガイドとして使えるだけでなく、フェア終了後も海外文学の読書ガイドとして使えるようなものになっていますからね。店頭をご覧になったら、ぜひ冊子をチェックするのを忘れずに。


150221 はじめての海外文学 3

このフェアは複数店舗で開催中で、これまでフェア開催店をいくつか訪ねて、店頭の様子を目にしてきましたが、ここまで大きな規模で開催さいているお店はありませんでした。そこは、企画者のお店、力の入れようが違います。さすがという感じですね。


2/16付の読売新聞夕刊でフェアの様子が取り上げられています。記事には同店のランキングが載っているのですが、なるほど!というものから予想外のものまで、隣り合っているのが不思議に思えるような組み合わせの、興味深いランキングになっています。ちなみに、同店の1位は、ダニロ・キシュ『若き日の哀しみ』(創元ライブラリ)で、「ダントツの1位」(酒井さん)なのだそうですよ。


このフェアの仕掛け人、丸善津田沼店の酒井七海さんが、3/27に西荻窪のブックカフェ、beco cafeで開催されるトークイベントに出演、「はじめての海外文学」フェアの話をします。「beco talk vol.22読みたい! 売りたい! 海外文学〜フェア「はじめての海外文学」を振り返る〜」。いくつかメディアなどにも取り上げられて話題を呼んでいる同フェアですが、酒井さん自身がフェアについて、まとまった話をする機会はそんなにないと思います。海外文学読みにも、海外文学の売り手や作り手にも参考になりそうな話がたくさん聞けそうなこのトーク。いや、参考云々以前に、酒井さんの話はとにかく楽しい(取材の日は、イベントの打ち合わせも兼ねたものだったんですが、時間が足りなくなるぐらい、盛り上がってしまいました)ので、本好き本屋好きのみなさんは、ぜひ聞きにきてください。


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LIVE 酔舎バンド&フレンズ……久しぶりに、出版・書店関係者によるライヴイベントをやります!

出版・書店関係者によるライヴイベントのご案内です。


    LIVE 酔舎バンド&フレンズ
    日時:4月17日(金)
    OPEN 19:00 START 20:00(〜22:00)
    場所:ルースターノースサイド(東京・荻窪)
    03-5397-5007
    会費:800円(ワンドリンク付き)
    出演:TAMI'S BAND、みぎたとしき、酔舎バンド

出演者は全員、広義の本に関わる仕事をしている、(「元」も含めた)出版・書店関係者です。会場は、過去に「ブックンロール」を開催したことのある、JR/地下鉄荻窪駅から徒歩数分のライヴハウス、ルースター・ノースサイド。


予約・事前連絡不要のイベントですので、ぜひ気軽に遊びに来てください。イベント終了後は、荻窪の飲み屋で懇親会を予定しています。出演者だけでなく、お客さんとして来てくださった方も参加できるような、にぎやかな会を考えていますので、ぜひ夜の予定も余裕を持ってきていただけるとうれしいです。


出版・書店関係者の方はもちろんですが、業界外の方も大歓迎ですよ。というか、むしろ一般の方、本好きの読者の方に来ていただけると、とてもうれしいです。ぜひ音楽とお酒を一緒に楽しみましょう。


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『本屋会議』のすてきな紹介動画が……小橋めぐみさんの「本のめぐみ」で紹介されました

『本屋会議』(夏葉社)がメディアで紹介されたことを報告する記事をアップしたその日に、別のところで紹介していただいたものに気づきました。なんだかタイミングの悪いことになってしまいましたが、とてもうれしい紹介動画なので、『本屋会議』関連が2日連続になりますが、紹介したいと思います。





ぼくはテレビを観ないもので存じ上げなかったんですが、小橋めぐみさんは、読書家で知られる女優さんとのことで、「本のめぐみ」のプロフィールには、《本を読むことが何より好きで、読書感想や日々を綴るオフィシャルブログは好評を得てい­­る》とあります。ブログは、こちら


その小橋めぐみさんと、青山ブックセンター本店の書店員、山下さんのお二人が、おすすめ本を紹介するのが「小橋めぐみの 本のめぐみ」(北青山チャンネル)


『本屋会議』をセレクトし、すすめてくださったのは山下さん。うれしいなあ……(涙)。ありがとうございます。小橋めぐみさんはこんなふうにコメントしてくださっています。「これ、ほんとにいい本で、この本もすべての本屋さんに1冊ずつでも置かれてほしいなと思いました」。「本好き中学生の三年間」や、ウィー東城店の写真にもふれるなど、お二人とも『本屋会議』について、とてもとてもうれしい紹介をしてくださっていて、書き手の一人として、感激してしまいました(涙)。


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本屋さんが『本屋会議』のことを書いてくださると、ことのほかうれしいのです

12月に本を出すと、(本の実力や注目度はともかくとして、タイミング的なことだけで言うと)その年のベストとか収穫とかにはまず取り上げられませんし、では、1年後のそういうまとめに取り上げられるかというと、時期を逸して忘れられてしまった感が強くなるのか、そちらにも取り上げられず、結果として、なんとなく埋もれてしまうことがあります。


この本は、そういう時期的なことに加え、『図鑑』のとき以上に読者を選ぶ内容なので、書評とか収穫とか、そういうのに取り上げられることはないだろうなあ、などと半分あきらめていたら、うれしいことに、雑誌・WEBで、こんなふうに取り上げられました。



前者、毎日新聞のほうは、『サンデー毎日』2月8日号に掲載されたもので、書き手は、ガケ書房(京都)のうめのたかしさん。


自分にとっての「町の本屋さん」はお父様が働いていた本屋だったといううめのさんは、こんなふうに書いています。《その店は住宅街を通り抜ける道路に面しており、目の前にはバス停があった。親戚のおばが経営している10坪ほどの、いわゆる小さな町の本屋さんだった。いろいろ理由があって店を閉じたのが、ちょうど20年前。神戸の震災があったのでよく覚えている(父の両親は芦屋に住んでいて被害に遭っていた)》。


《私がいま本屋に勤めているのを聞いて、地元の友人は、「親が本屋さんやったもんね」と言うのだが、まあそれはあるかもしれない。小さい頃から本が常にそばにある環境で育った。本で不自由した記憶がない。でもいまは町の小さな本屋はどんどんなくなって、中心街や車でしか行けない郊外の本屋しかなくなっている。そういう環境では、人はどう育つのだろう》。


《いますぐそこにあること。それは親が子にかける愛情と一緒で、すぐそばにあることが大事なんじゃないかと思った。客と店、双方にとって、手の届くような関係性が》。


後者、「本よみうり堂」の「書店員のオススメ読書日記」で取り上げてくれたのは、大盛堂書店(渋谷)の山本亮さん。こちらは、わたくし空犬にとってはさらにうれしい内容になっていて、一読、感激してしまいました。


《本書は全国各地で本屋関連のイベントを企画している、出版元の夏葉社・島田、編集者・ライターの空犬、東京千駄木の書店「往来堂書店」店主・笈入各氏の文により、今昔(といっても「たった」数十年くらいの前の話だ)の本屋のインタビューや取材から現場の様々を描いている》。


ちょっと長くなりますが、当方の担当したパートにふれてくれた後半部分を引きます。


《そして、中でも個人的には空犬氏の文章に興味を惹(ひ)かれた。少年時代である1970年代からの氏の本屋、読書体験から現在に至る状況までを概観したものだが、本に関する書籍だけではなく、当時の業界紙の掲載文や統計を通じて紐(ひも)解く意義深いものに仕上がっている。一時の感情に傾かない素晴らしい分析と文章だ》。


《一見特徴のない本屋(金太郎飴書店としているが)が実は年少者、地元にとってなくてはならない場であったということ、書店経営が今だけではなく、昔も難しいものだったという指摘は興味深い。そして、現在の業界全体として苦戦する状況に対し、次のように記している。「そのような犯人捜し行為は『昔はよかった』という後ろ向きの感慨となんら変わるところがないからだ。『昔はよかった』にはしない。してはいけないし、すべきではない。本屋は本屋のままでいい。何を求めることもしないし、すべきでない。我々がいますべきは、何か足りないものを探して、その足りないものを埋めるべく、だれか(本屋)に詰め寄ることではない」》


《何が正解か分からないし、決して正解のあることではないだろう。だが、本屋があるということは、そこに働く人間がいる。そして、集まる人たちがいる。他の職種にも当てはまるかもしれないが、そういった基本的なサイクルを無視してはいけない。寄稿された3人の筆力(そして最終章の広島の中学生の本に対する想(おも)いを綴(つづ)った文章は必読だ)が、一般の方の心に、強く何かを投げかけているのではないだろうか。どんな時、場所でも「やり方」というものがある。そのことを再確認させてくれる一冊だ》。


『本屋会議』を取り上げてくれたのが、お二人とも書店員であることを、本書の書き手の一人として、心からうれしく思います。


至誠堂書店、図書館と書店、ガケ書房……書店関連のニュースをまとめました

週に一度の書店関連ニュースのまとめです。 (昨年まで平日朝にツイートしていた出版・書店業界情報のうち、書店関係をまとめたものです。網羅的に調査したものではなく、新聞報道・Webのニュースなどを目についたものをまとめたものです。)



《ポプラ社は1月28日、東京・新宿区の同本社でポプラコミュニケーションセミナー「『本と生きる』刊行記念 肥田美代子先生講演会」を開》いたそうですが、どんな内容だったのか、気になりますね。



《日本電子出版協会(JEPA)は3月3日15〜17時30分、東京・新宿区の研究社英語センターでセミナー「長尾真前国会図書館長に聞く『電子図書館と電子出版の今後』」を開催する》。一見、書店には関係のない話題に思えるかもしれませんが、前項の記事にもあるように、図書館の動向、図書館と書店の関係は書店に関心のある人には無視のできない話題です。これが電子化によりどう変わるのかは、やはり書店関係者、書店に関心のある人もおさえておくべきなのかもしれません。



「でるべんの会」は《出版業界の有志による勉強会》。ぼくもゲストのゲストみたいな立場で登壇させていただいたことがありますが、先日、「珍書ビブリオバトル」に出演した社会評論社のハマザキカクこと濱崎誉史朗さんが2月の会に登場。企画の話もおもしろいんですが、濱崎さんは売り方にも関心が強く、いろいろアイディアを持っている人なので、書店関係の方にも参考になるところが多いと思います。2/20(金)、東京・千代田区(水道橋)の貸会議室「内海」で。



《東京地裁や東京高裁が入る裁判所合同庁舎の地下1階にある》本屋さん、至誠堂書店が登場する記事です。至誠堂書店は《霞ヶ関に店を構えて約50年の老舗》ですが、場所が場所だけに、一般の本好きの方がふらりと訪ねられるような店ではないので、名のみ聞けど実は知らない、という本屋好きも多いでしょう(ぼくもそうです)


《裁判所の下にある至誠堂書店には連日、弁護士や裁判官、書記官らが、ひっきりなしに訪れる。法律書がメインだが、息抜き用の一般週刊誌やファッション誌も置かれており、一般の客も歓迎とのことだ》。どんなお店なのか、雰囲気を知ることができますよ。



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じんぶん大賞、キノベス、KAIDAN BOOKS……紀伊國屋書店でフェアをいろいろ楽しんできました

先日の記事で紹介した「紀伊國屋じんぶん大賞2015」。立派な冊子もいただいていたんですが、やっぱり店頭に本が並んでいるところを見たい!ということで、フェア開催店のうち、紀伊國屋書店新宿本店を訪ね、フェアを見てきましたよ。(店内写真はすべてお店の方に断って撮影したものです。写真は2/14の様子で、お店の様子は変わっている場合があります。)


150214 じんぶん大賞フェア ポスター150214 じんぶん大賞フェア

↑左が案内ポスターで、右が店頭の様子。3階のレジ前、フェアスペースで、コラボフェアと一緒に展開中です。


じんぶん大賞のフェアは紀伊國屋書店の47店舗で開催されるそうですが、うち、コラボブックフェアが開催されているのは新宿本店のみのようです。


じんぶん大賞2015 小冊子

小冊子に特別対談が掲載されているお二人、大澤聡さんと大澤真幸さんによる選書フェア「『全体性』と『参照軸』が喪われた時代に――2014年の人文書を振り返る」と、東大院生有志による選書フェア「現代(いま)』を動かす人文書――東大・研究者のタマゴが選ぶ50冊」の2つ。


点数も見応えもありますから、端からチェックするだけでもけっこう時間がかかります。時間に余裕を見ておでかけになるのがいいでしょう。


この時期このフェアに限ったことではないのですが、紀伊國屋書店新宿本店は、あちこちで気になるフェアが展開されていて、頻繁に足を止める羽目になり、店内をさっと通り抜けることができません。2階には、「キノベス!」のフェア棚もありますし、階段で展開されている話題のフェア「本があれば一生たのしい KAIDAN BOOKS」の棚もあります。さらに、SF読みには、「SFが読みたい!」2015年版の上位ランキング本のフェア棚も。いやはや、いったい何冊買わされることになるのかと、うれしい悲鳴です。


キノベス 2015 表キノベス 2015 裏

↑店頭で無料配布されている「キノベス!」の冊子。1位『紙つなげ!』の著者、佐々涼子さんの特別寄稿も掲載されていますので、『紙つなげ!』の愛読者は要チェックです。


150214 KAIDAN BOOKS ポスター1150214 KAIDAN BOOKS ポスター2150214 KAIDAN BOOKS壁面

↑「本があれば一生たのしい KAIDAN BOOKS」、階段の壁面はこのような感じになっています。2階にもフェアコーナーがありますが、階段を上り下りしながらこれらを読んでいくほうが楽しいかもしれません。


KAIDAN BOOKS 冊子

↑2階のフェア棚には、80歳までの紹介本情報がぎっしり詰まった無料のペーパーも。


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未来の読者たち

今日は、ずっと本にふれていた一日となりました。


すてきなお店を2件取材して(後日、訪問記をアップします)、紀伊國屋書店新宿本店で見応えのあるフェアを見て、リブロ池袋本店の古本まつりで買い物をして、知り合いの書店員さんたちとおしゃべりもしてと、本的には大変に充実した一日でした。


なかでも、うれしかったのは、リブロ池袋本店の児童書売り場「わむぱむ」の前で行われていた『新 妖界ナビ・ルナ11』(講談社青い鳥文庫)の池田美代子さんのサイン会に偶然行き会わせたこと。小学生に人気のこのシリーズ、うちの子も一時期熱心に読んでいたので、ぼくも数冊、一緒になって読んだことがあります。


ぼくが通りかかったのは、サイン会が始まる前、小学生中学年から高学年ぐらいの女の子たちが列を作っているところでした。我々のような本に関わる仕事をしている者にとっては、未来の大事な読者です。その子たちが、本を持って、たくさん並んでいる。その光景を見ているだけで、なんともうれしくなってしまいました。


大好きな本なのでしょう、胸のところで両手でぎゅっと抱きしめるようにして本を抱えている子の姿もありました。我々、出版社や書店の仕事って、こういう子どもたちに本を届けることなのだなあ、なんてことをあらためて思ったりしました。


大人向けの本だと、どの店にもサイン本が当たり前のように並ぶようになり、ありがたみという点では昔ほどではなくなってしまっているのかもしれません。でも、子どもの本やYAでは、どこにいってもふつうにサイン本がある、ということはありませんから、やはり子どもたちにとっては貴重な機会なのでしょう。いつだったか、三省堂書店神保町本店で行われていた、ジュブナイルミステリーの人気作家、はやみねかおるさんのサイン会を見かけたことがありましたが、そのときも、熱心な子ども読者でいっぱいになっていて、偶然お会いした担当の書店員さんがうれしい悲鳴をあげていたのを思い出しました。


今日のサイン会にどきどきしながら並んでいたあの子たち、大好きな本にサインをもらうことができたあの子たちは、きっと、これからもずっと本好きの読者でいてくれるだろう、本屋さんに通い続けてくれるだろう、そんなふうに思えたのでした。


今年もやります! ブックンロール!

この数年、毎年6月に開催してきた、本と書店と音楽のイベント「ブックンロール」。今年はどうしたものかと、開催自体、ちょっと迷っていたんですが、複数の方に背中を押していただいたこともあり、あと少しだけがんばろうかなということで、今年も開催することにしました。


「ブックンロール2015」、日程は6/26(金)、会場は昨年と同じ、阿佐ヶ谷ロフトAです。これまで同様、トークの部とライヴの部の2本立てで、トークの部の出演者は全員、現役の書店員です。昨年は「それでも「本屋」で、生きていく」をテーマに、30代の書店員に話をしてもらいました。今年のテーマと出演者については現在、あれこれ考えているところです。詳細は、もう少し先になりますが、後日、空犬通信とツイッターとでご案内します。


なお、空犬の企画・主催での「ブックンロール」は今回で最後の予定です。最後の回にふさわしい出演者を集まっていただき、多くの方に楽しんでいただけるようなイベントにしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。


珍書プロデューサーがアイディアの源泉を開示?!……ハマザキカクさんがでるべんの会に登場します【更新】

先日、2/7に阿佐ヶ谷ロフトAで開催された「珍書ビブリオバトル」。バトラー(ビブリオバトルの出場者)ではなく、司会として参加してきたんですが、いやー、最後の最後までものすごいノリのイベントでした。珍書の人でもビブリオバトルの人でもない当方が司会なんて大丈夫かな、と思っていたんですが、むしろそれがよかったようでした。イベントの(ついでに言えば、当方の司会ぶりの)評判も悪くないようで、ほっとしています。


150207珍書ビブリオバトル 看板

さて、その「珍書ビブリオバトル」の出場者の一人で、今では「珍書プロデューサー」としてすっかり有名になった感のあるハマザキカクさんが、来週、こんな会に出演するそうですよ。「2015年2月勉強会:ハマザキカク流 オリジナリティのある企画の見つけ方・立て方・通し方」(1/18 でるべんの会(出版関係勉強会)blog)。


ぼくもゲストのゲストとして呼んでもらったことのある出版勉強会「でるべんの会」。勉強会開催はずいぶん久しぶりですよね(ブログによれば2013年8月以来だとか)。ブログから情報を引いて、会の詳細まとめます。こんな会です。


    でるべんの会2015年2月勉強会
    ハマザキカク流 オリジナリティのある企画の見つけ方・立て方・通し方
    日時:2月20日(金)19:00〜20:45(18:45受付開始)
    場所:貸会議室「内海」(水道橋)
    料金:勉強会参加料 1,000円 懇親会参加料 4,000円(予定)
    講師:ハマザキカク氏(社会評論社編集者/『ベスト珍書』著者)

内容のほうは、タイトルにすべて集約されているような気もしますが、念のため、ブログの一部をひきます。《今回は社会評論社の編集者のハマザキカクさんに「ハマザキカク流 オリジナリティのある企画の見つけ方・立て方・通し方」と題してお話を伺います》。


《氏が今までどうやって変な企画を見つけ、アイディアをどういう切り口で書籍化したのか。情報収集や発想のコツだけでなく、理解が得られにくい企画を会社で進める方法、書店でフェアを展開する際のコツについてもお話し頂きます》。


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紀伊國屋アミュプラザおおいた、ブックスタマ高円寺、仙台書店状況……書店関連のニュースをまとめました

週に一度の書店関連ニュースのまとめです。 (昨年まで平日朝にツイートしていた出版・書店業界情報のうち、書店関係をまとめたものです。網羅的に調査したものではなく、新聞報道・Webのニュースなどを目についたものをまとめたものです。)



読者の投稿記事です。記事に店名が出ていないのですが、先日の記事でもふれた白楽のブックス玉手箱のことですね。《駅前の本屋さんが突然、店じまいをしました。シャッターに貼られた紙には、店主が急逝したこと、急な閉店のおわびとこれまでのお礼、また残務処理の日付が書かれていて、ご家族の誠実さが感じられました》。


《3日後、その前を通ると、貼り紙の余白に、細かい文字でメッセージが書き込んでありました。その数日後には、シャッターに新しい紙が貼られ、感謝やさびしさの言葉で埋め尽くされていました。そばにはメッセージを書くためのボールペンまで用意されていました》。


《絆というのは、歩いていく道の前にはなく、静かに誠実に歩いて振り返った後に見えるものだということを改めて教えていただきました。そしてこの町に住んで良かったと感じました》。



紀伊國屋書店アミュプラザおおいた店のオープンは4/16、場所は《大分市要町に開業する大型商業施設「アミュプラザおおいた」》内とのこと。


プレスリリースによれば約450坪の広さ。《「INSIGHT by BOOKS KINOKUNIYA」コーナーでは、初の試みである、ボックス型の提案スペース「KINO LAB.(キノラボ)」を設置し、お客様の知的好奇心を刺激するフェア、イベント、空間を提案していきます》とあるのが気になりますね。


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まもなく始まります!……往来堂書店の名物フェア「D坂文庫 2015春」

本好きの間ではすっかり定着した感のある往来堂書店の名物フェア「D坂文庫」。選書だけでなく帯・冊子・特典などにも工夫のこらされた書店独自の文庫フェアとして、年に2度の開催を楽しみにしている方も多いでしょう。早いもので10回目になるという「D坂文庫 2015春」がまもなく、2/10(火)に始まります。


本稿執筆時点では、お店のサイトには情報があがっていませんが(前回、「D坂文庫 2014・冬」についてはこちら、2/7付の同店のメルマガ「往来堂ももんが通信 262号」によれば、このような内容です。


《今回も往来堂書店にご縁のある方々に「心の一冊」をおすすめしていただきました! 五十数点ならぶ文庫本たちには、それぞれにおすすめコメントが入った手作り帯がつきます》。


もちろん《全ラインナップの紹介文が掲載された小冊子も無料配布》とのこと。《この小冊子、読み物としてもとても面白いものです》。ほんとにそうなんですよねえ。店頭に並ぶ本を見るのはもちろん楽しみなんですが、この冊子で、選者のみなさんのコメントを後でじっくり確認するのも楽しみなんですよねえ。


D坂文庫と言えば、フェアの本を買うとついてくるおまけを楽しみにしている人も多いでしょう。《お買い上げの方には「D坂文庫 2015春」特製のオリジナル・ブックカバーを差し上げます。3冊以上ならオリジナルメモ帳をプレゼント。今回も、絵本作家のミロコマチコさん書き下ろしのデザインです。ミロコさんが春をイメージした動物とはなんでしょうか? お楽しみに》。


ここ数回は毎回選書に参加させてもらっているんですが、今回も1冊選ばせてもらいました。何を選んだかは、お近くの方はぜひ店頭で、遠方で来られない方はサイトで、チェックしてみてくださいね。


フェアが始まったら、店頭の様子を取材させてもらう予定で、後日、記事で取り上げますので、お店に来られない方はそちらもご覧いただければと思います。


またまた珍書・ヘンな本だらけの1冊が……『ヘンな本大全』が発売になりました【更新】

珍書、ヘンな本を扱った本と言えば、昨年刊行された、ハマザキカクさんの『ベスト珍書 このヘンな本がすごい!』(中公新書ラクレ)がありますが、またまたヘンな本だらけの1冊が刊行されました。



へんな本大全 書影

版元の紹介によれば、このような本です。《人知れず世に送り出されている奇書珍書たち。装丁・造本といった見た目がユニークな本から、一見普通だけれど読むとツッコミどころ満載の奇書まで、近年に国内で刊行された“ヘンな本”に、各界の目利きが鋭いツッコミを入れる。驚愕、必笑、絶句、唖然の愛すべきディープインパクト本150冊を一挙紹介する、怒涛のブックガイド》。


中を見てみると、まさにタイトル通り、全編ヘンな本だらけの1冊です。ジャンル別に章が分かれていて、それぞれの章に「○○が選ぶヘンな□□本」という項目が並んでいます。本のセレクトと紹介は、吉田豪さん、辛酸なめ子さん、高野秀行さん、北尾トロさん他、錚々たるメンバー。


今週末、2/7(土)に阿佐ヶ谷ロフトAで行われる「珍書ビブリオバトル」の出演者のうち、巻頭の「珍書大賞ハマザキカクが選ぶ珍書大賞2014」を担当しているハマザキカクさんのほか、暗黒通信団さん、とみさわ昭仁さんも登場しています。その他の選者・寄稿者やテーマなど詳細は、版元のサイトで目次が見られますので、そちらをどうぞ。立ち読みもできますよ。


珍書マニア、ヘンな本好きはもちろんですが、自分では買わないけど、でも世の中にどんなへんてこ本があるのか、ちょっとのぞいてはみたい、という方にもぴったりな1冊になっているようです。ぜひ本屋さんで手にとってみてください。「珍書ビブリオバトル」の会場にも持っていって紹介する予定です。


ところで、洋泉社MOOKは、昨年の本屋ムック、『本屋はおもしろい!!』に続いて、今回は珍書ムックということで、本関係が続いていますが、続刊も期待したいですね。


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「紀伊國屋じんぶん大賞2015」が発表されました【更新】

もう5回目なんですね。「「紀伊國屋じんぶん大賞2015 読者と選ぶ人文書ベスト30」発表」(共同通信PRワイヤー)。人文の世界ではすっかり定着した感がありますね。


じんぶん大賞2015 小冊子

↑店頭で無料配布される小冊子。大賞の受賞コメント、ランキングと選書コメント、対談などが収録されています。


「じんぶん大賞」については過去にも空犬通信で取り上げていますし、本読みの方には説明不要かもしれませんが、念のため、プレスリリースから引くと、《2013年12月〜2014年11月に刊行された人文書を対象とし、2014年11月5日〜12月5日の期間に読者の皆さまからアンケートを募》って選ばれたも。この賞では《「人文書」とは、「哲学・思想、心理、宗教、歴史、社会、教育学、批評・評論」のジャンルに該当する書籍(文庫・新書も可)》と定義されています。


なお、昨年の同賞のことを覚えている方は、「あれ、前回、第4回は「紀伊國屋じんぶん大賞2013」だったのでは?と思われるかもしれませんが、それについては《今回からフェア開催の年号に合わせるべく、第5回目は「紀伊國屋じんぶん大賞2015」と表記します》と説明されています。参考までに、2012年(現在の方式でいうと2013年)のフェアを取り上げた記事はこちら、2013年(同じく2014年)のフェアについてはこちらをどうぞ。


今回のランキングは以下の通りです(以下、ベスト30のうち、上位10点のランキングを引きます。店頭や冊子での出会いを楽しみにしている方はご注意ください。ランキングと開催店の一覧はプレスリリースのものをそのまま使わせていただきました。)


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「2014年出版販売金額、キノベス、いわた書店……書店関連のニュースをまとめました

週に一度の書店関連ニュースのまとめです。 (昨年まで平日朝にツイートしていた出版・書店業界情報のうち、書店関係をまとめたものです。網羅的に調査したものではなく、新聞報道・Webのニュースなどを目についたものをまとめたものです。)



《NPO法人全国万引犯罪防止機構(万防機構)は1月20日、東京・千代田区の主婦会館で臨時総会を開催し、喫緊の課題である高齢者万引対策、防犯画像の取扱い、集団窃盗の情報の取扱いに関する提言案を決議……》。



《書店調査会社アルメディアによると、2014年1〜12月の新規書店開店数は217店、前年比1・4%減、新規店による増床面積は4万8215坪、同8・5%減、転廃業撤退による閉店数は656店、同6・0%増……》。



児童ポルノの関連で、大手書店が家宅捜索されるというのは業界でも初めてのことでしょうか。《インターネットの通販サイトで子どものわいせつな写真集の販売を放置していたとして、愛知県警が児童買春・児童ポルノ禁止法違反(販売幇助〈ほうじょ〉)の疑いで、ネット通販大手のアマゾンジャパン(東京都目黒区)の本社や、関連会社「アマゾンジャパン・ロジスティクス」の物流センター(千葉県市川市)を23日に家宅捜索したことがわかった》。


詳細を見てみます。《少年課によると、昨年夏、アマゾンが管理する通販サイトで18歳未満の少女の裸など児童ポルノが疑われる写真集が売られているとわかり、捜査を開始。児童ポルノにあたる少女の写真集を販売したとして、9月に都内の古書店経営者と店員の男2人を同法違反(販売目的所持)の疑いで逮捕。その後も児童ポルノにあたる写真集を所持していた疑いで、愛知や福岡などの書店や個人計約10業者を検挙した。いずれもアマゾンのサイトを使って商品を販売していたという》。これを見ると、実際に販売した業者はすでに逮捕されていますし、この事件も昨年、報道されていましたね。それから数か月たって、今回の家宅捜索になった、ということなんでしょうか。


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