先日、X(ツイッター)で閉店がアナウンスされた、東京・阿佐ヶ谷の書楽 阿佐ヶ谷店。
この週末にお店に寄ってみました。店頭に閉店の貼り紙が出ているので、店の前で足を止める人も少なくありません。
↑お店の入り口に大きく閉店の案内が。
ぼくが訪ねたときには、レジに行列ができていました。会計時に、ほんとに閉店?、残念です、ずっと通ってたのに、これまでありがとう、などなど、レジでお店の人とことばを交わしている人がたくさんいました。そのように話しかけたくなる気持ち、よくわかります。
書楽で初めて買い物をしたときのことは今もよく覚えています。大学1年生のときだから、もう30数年前のこと。上京して初めて住んだ街が阿佐ヶ谷だったんですが、その駅前に本屋さんがあるのを見て、うれしくなり、入ってみると、これがなんだかすごい。ふつうの駅前の本屋さんに見えるのに、この海外文学の棚はいったい?!と驚かされたものでした。
奨学金とバイト代でなんとか生活していた大学1年生のころ。連日のバイトで帰りはいつも夜。へとへとの苦学生だったそのころ、阿佐ヶ谷駅前で深夜まで開いている書楽がなかったら、本屋に行く回数は激減していたはず。駅から出て、書楽が開いているのが目に入るだけでうれしくなったものでした。何しろ常に金欠で、そんなにたくさんの本は買えなかったから、お店からすればとりたてていい客ではなかったはずですが、書楽が当時のぼくを支えてくれたお店のひとつであることは間違いありません。その意味で、同店には感謝しかありません。
同店のブックカバーは、黒地に銀の横線で、片方(縦組本の表1側)はローマ字の店名のみが入り、もう片方(縦組本の表4側)に日本語で店名が入るシンプルなもの。シンプルで、そしてかっこいい。
いつもは断るブックカバーを、この日は久しぶりにかけてもらったのでした。
書楽 阿佐ヶ谷店。閉店は来年、2024年1月8日。
- 「阿佐ヶ谷から本屋が消える 太宰治 井伏鱒二も集った街で…」(2023/11/17 NHK)
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