中央線沿線の古本好きなら、「おに吉」のことはよくご存じだろう。
「荻窪」「西荻窪」「吉祥寺」の頭文字をとって「おに吉」。個性的な古本屋がたくさん集まっているというので、合同の古本マップ「おに吉古本案内」が出ている。
マップ、というよりは小冊子で、たとえば去年出たVol.3では、エリアの詳細な古本地図だけでなく、穂村弘、三浦しをんのエッセイ、岡崎武志+久住卓也のマンガが1冊で読めると豪華(?)な内容だ。
中央線沿線在住者としては、「おに吉」エリアの充実ぶりはうれしいし、これはこれでいい。だけど、阿佐ヶ谷元住民のぼくとしては、阿佐ヶ谷、それに高円寺だって、古本屋さんの数と質では負けてないのになあ、とかねてから思っていて、おに吉にばかりスポットがあたることに、なんとなくおもしろくない気もしていたのである。
ところが。特集のタイトルが、「特集、古本屋さんができたので。」とあったので、ふと手に取った『彷書月刊』2006年7月号。特集を開くと、なんと、最初の記事が「日本で二番の古本街!? 高円寺・阿佐ヶ谷の新しい古本屋」とあり、この地域の古本屋さんが、新しいところを中心に詳細に紹介されているではないか!
4ページの記事だが、コンパクトによくまとめられていて、阿佐ヶ谷派としてはまさにガッツポーズ、大いに満足の内容。長年不満を抱えてきた身には、まさに溜飲の下がる思いである。中央線沿線の古本好きはもちろん、多少遠い人も、わざわざ足を運ぶ価値のある地域だと思う。ぜひ、この号を手に入れて、阿佐ヶ谷・高円寺古書店探索を楽しんでほしい。
なお、この記事は新規店中心のせいか、地図に載っていない古本屋もあるし、また近隣には、南阿佐ヶ谷の書原のように、古本好きにも楽しめるようなユニークな新刊書店もある。
- 野村宏平『ミステリーファンのための古書店ガイド』(光文社文庫)
- 『全国古本屋地図 21世紀版』(日本古書通信社)
などのほか、いくつか出ている中央線沿線ガイド的なムック本などもあたっておけば、阿佐ヶ谷・高円寺エリアをより楽しめると思う。
なお、『全国』は残念ながら品切れ中。新版が待ち遠しい古本者は、こちらもどうぞ。
- 工藤直子『象のブランコ—とうちゃんと』(集英社文庫)
- デイビッド・セイン『英語即答トレーニング 自然なひとことがさっと口に出る!』(小学館)
- 堀切和雄『娘よ、ゆっくり大きくなりなさい』(集英社新書)
- 江口宏志『表紙とカバー 世界のペーパーバックデザイン』(ピエブックス)
- 『彷書月刊』2006年7月号 特集「古本屋さんができたので。」(彷徨舎)
しばらく前に古本屋で見つけた『HORROR MOVIE1~4 スクリーンネオブックス』(近代映画社)を読んでいる。
20年ほども前の本で最近の作品はカバーされていないが、少し前のホラー映画の定番を知るには割に便利だし、何より写真が多いのがいい。
ホラー映画は今でこそ大好物だが、目覚めるのが遅かったので(長らく怖いのが苦手だった)、本で仕入れた知識ばかりが先行、いわゆる定番で観ていない作品が山ほどある。これからの楽しみが多い、と言えばまあその通りなのだが、ホラー映画好きを名乗るにはちょっとはずかしいぐらい観ている作品が少ない。
なので、レンタルや廉価版DVDで機会があれば、ひと昔前のを今さらながらに観たりしている。前掲書を読んでいて気になったので、
- 『エクソシスト』(監督:ウィリアム・フリードキン、ワーナー・ホーム・ビデオ)
- 『エクソシスト2』(監督:ジョン・ブアマン、ワーナー・ホーム・ビデオ)
をレンタルDVDで観てみた。「今さらながら」としかいいようのないセレクションだなあ、我ながら。
しかし。いやはや、『エクソシスト』、いいね、これ。今さらなんだけど。予想以上にいい映画で驚いた。ウィリアム・フリードキン、やるなあ。
冒頭の異国の発掘シーンから、アメリカに舞台を移して、まだ愛らしい表情を見せる娘と母の仲良しぶりを映し出し、これから何が起こるのかと思わせる。その後の不穏な出来事の連続につながる見事な流れで、それぞれの役者も最後まで迫真の演技でいい。
単なるこけおどしのホラーと違うのは、悪魔に取り憑かれたリーガンとその母、娘を救うカラス神父とその母の、二重の親子の関係をからめてあるなど、人間関係も丁寧に描かれている点か。こわさ、という点ではそれほどでもなかったが、印象的な映画であるのは間違いない。
それだけに、続編の出来にはがっかり。前作の最後で身を挺してリーガンを救った神父2人のうち、カラス神父がまったく無視されたストーリーもどうかと思うし、妙な器具を持ち出して精神感応だの催眠療法だのの話にしたの興ざめ。
ブラッティによる原作(新潮文庫)はもう品切れのようだけど、東京創元社から復刊されていた。ちょっと読んでみたくなった。
- ウィリアム・ピーター・ブラッティ『エクソシスト』(東京創元社)
先日、6月26日付の朝日新聞夕刊に、「町の本屋、存亡の危機 入荷ままならず客減少」という記事が載った。
日本書店商業組合連合(日書連)の質問に全国約2000店の書店が答えたものが「全国小売書店経営実態調査報告書」としてまとまったそうで、そこから、町の本屋の危機的な状況が浮かび上がってきているらしい。
この記事でいう「町の本屋」は40坪以下の中小書店とのことだが、町本屋の現状は、悪い話、悲惨な話、暗い話ばかり。ざっとあげてみる。
- 新刊書籍・ベストセラーはほとんど入らない
- 売上の6割を占めるという雑誌も希望数が入らない。ほとんど入ってこないこともある
- 客数の減少で、経営状態は悪化
- 日書連の加盟店は20年で半減
- 書店経営者の年齢は50代以上が8割と高齢化
- 跡継ぎがないままに自然消滅の可能性も
とまあ、こんな感じ。本好き、本屋好きとしては、まさにため息しか、いやため息さえも出てこないような内容だ。
ぼく自身は、どちらかというと、本に囲まれている感じが好きで、仕事でも趣味でもマイナーな本を含むいろんな本を見る必要があることが多かったりもするので、大型書店を利用することが多い。
でも、やっぱり自分の住む街、利用する駅には小さくてもいいから書店がほしい。子どものときに、本の楽しさに気づかせてくれたのは、やはり町の本屋さんだった。自分の子どもにも、お小遣いを持って自分で好きな本を買ってこられるような、自分の町の本屋さんがあってほしい。
だから、ということでもないが、雑誌や文庫・新書などは、できるだけ地元の書店、それも一店だけじゃなくて、いろいろな店で買うようにしている。本好きが書店を応援しようと思ったら、とにかく、書店で本を買うこと、それがいちばんだし、っていうかそれしかないんだし。
ところで、今年の2月に「あなたをもっと本好きにする、書店員がつくるフリーペーパー」というコピーで『LOVE書店!』というフリーペーパーが創刊されている。発行元は、本屋大賞実行委員会。そう、今回は『東京タワー』で盛り上がった、あの本屋大賞だ。
この『LOVE書店!』、けっこうおもしろい(辛酸なめ子が、吉祥寺のブックスルーエで書店体験、文庫のカバー折りに挑戦、なんて記事もある)。本屋をなんとかしよう、もっと盛り上げよう、書店側からのアプローチがとてもわかりやすいかたちでまとまったものだと思う。ぼくが入手したのは大型書店だが、こういうものは、書店以外のところで簡単に手に入るといいのに、と思う。
ところで、今日の朝日新聞朝刊には、別刷り特集として、大沢在昌、京極夏彦、宮部みゆきの3人がフィーチャーされた「be Extra BOOKS」が折り込まれていた。その鼎談で、3人が書店の問題について、こんなやりとりをしている。
京極 (略)『ウエルカム本屋』『本屋はワンダーランド」とずっと言っているんですが……。
大沢 本屋さんも努力はしているけれど。
京極 手書きPOPでヒットしたり、本屋大賞ができたり。ただ、それはお店に来てくれた人に対しての効果があるのであって、遠くの人を呼ぶまでには至っていない。
宮部 私たちも考えなければいけない。
そう、まさに作家、作品の送り手にも、ぜひ考えてもらわねばならないだろう。特に、この3人のような、横綱クラスの人気作家が、「本屋がワンダーランド」であることをあらためて広めるような何かアイディアを思いついてくれれば、その効果は大きいはず。
- 江口宏志『本屋さんの仕事 太陽レクチャー・ブック』(平凡社)
仕事の用事で立ち寄ったジュンク堂書店新宿店。本に囲まれている感じが好きなので、大型書店が好きだ。なかでも、ジュンク堂はぎっしりの本棚が図書館のようにずらりと並ぶ様子が圧巻で、大好きな書店だ。池袋店はちょっとアクセスが面倒だったのだが、2年ほど前だろうか、新宿にできたので足を運びやすくなってうれしい。ジュンク堂ではふつうなら並んでないような本がいくらも見つかるので、いつ来ても発見があって、あっという間に時間がたってしまう。
◆ ◆ ◆
さて。この日は比較的時間があったので、文学の棚を端から眺めてみた。日本のSFのところなんて、ふだんならとばしてしまう棚だけど、今日はなんとなく見ていたら、「石黒達昌」という名前が目に飛び込んできた。
1994年、一編の奇妙な作品が芥川賞候補になって話題になり、新聞でとりあげられたりもした。「平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに」という作品。長ったらしいタイトルは作品冒頭の一文を便宜的にあてたもので、本来は無題、さらに横組で写真図版などが複数入った理系論文のようなスタイルの作品だった。
当時のぼくはすっかり気に入ってしまって、今もこの作品がおさめられた同題の単行本は大事にしているし、この著者の他の本もしばらくは追っかけていたのだが、いつしか名前を聞かなくなってしまった。
そんな名前に、上に書いたように久しぶりに出会ったというわけ、なんです。
本は、これ。
ハヤカワSFシリーズJコレクションの1冊だ。1編目の「希望ホヤ」から石黒節前回で、余命幾ばくもない難病の娘を、医療の専門家ではない父親が救う話。悪性腫瘍のできたホヤを食べるというのが出てくるが、これを読んで「新化Part2」を思い出す人がいたら、それは相当な石黒読みだろう。
即日読了。作風もテーマも、いい意味で以前そのままなのでうれしかった。これまでは文芸誌中心の活躍で、実はこの本の収録作も、上に紹介した1編と書き下ろしをのぞけば、あとは文芸誌に載ったものだ。でも、こうして「ハヤカワSFシリーズJコレクション」におさめられてみると、まったく違和感がない。むしろ、著者にとっても、読者にとっても、理想的なところにおさまった、と言えるのかもしれない、などと思った。
めんどうなこと、たとえば、こんなようなめんどうなことが、きらいではない。
- 缶ビールをわざわざお気に入りのグラスやマグについで飲む。
- 万年筆、それもインクを吸い上げるタイプの万年筆を使う。
- 好きな音楽を、CDも持ってるのに、わざわざアナログレコードで聴く。
- 買ってきた本に、パラフィン紙をかける。
- 「大人の科学」や子ども雑誌の付録を作る。
- ギターの弦を替える。
めんどう。だけど、めんどうな時間って、けっこう楽しい。
今日も、
ギネスをわざわざグラスについで、
アル・グリーンの『レッツ・ステイ・トゥゲザー』をCDも持ってるのにアナログレコードをわざわざ引っ張り出してきてそれをターンテーブルにのっけて、
ずっと探していて先日ようやく手に入れた『野呂邦暢作品集』(文藝春秋)にわざわざパラフィン紙をかけて、
うっとり眺めたり、している、うちに夜が更けていったりする。
- 石黒達昌『冬至草』(早川書房)
- 鈴木いづみ『鈴木いづみプレミアム・コレクション』(文遊社)
- 村上“ポンタ”秀一『自暴自伝』(文春文庫PLUS)
石黒本については、また別の機会に。ポンタ自伝は、単行本を読んでおもしろかったので。かかわってきたジャンルの広さ、ミュージシャンの数が半端じゃない。日本の音楽シーンに興味ある人は必読。
(前項からの続き)さて、前置きが長くなったのだが、今回紹介したいのは、そういった古本を探す側読む側が書いた本でも、古本を売る側が書いた本でもない。
古本をテーマにした小説。本・古本をテーマにした小説では、昨年出た、紀田順一郎編の2冊
- 『書物愛(日本篇)』
- 『書物愛(海外篇)』(晶文社)
があって、これは本好きならぜひおさえておきたいアンソロジーだ。
で、その日本篇には、ぼくの大好きな1篇、野呂邦暢の「本盗人」が収録されている。これは、その昔、椎名誠選・日本ペンクラブ編『素敵な活字中毒者』(集英社文庫)で初めて読んだときに印象に残った一編。
連作の一編であると知り、以来、十数年の間、この作品が収録されている短編集『愛についてのデッサン』(角川書店)をずっと探してきたのだが、本探しはどちらかというと得意なほうだというのに、しかもそれほどの希少本とも思えないのに、なぜか一度も出会えない。ネットが使えるようになってからも気をつけてみてきたが、手にする機会にまったく恵まれずにいたのである。
それが。なんと。今年になって、みすず書房の「大人の本棚」に納められた。このシリーズは、小沼丹、谷譲次、ヴァルザーなどなど、これまでのセレクションもすばらしいけれど、そこにまた愛すべき1冊が加わった(涙)。
- 野呂邦暢『愛についてのデッサン 佐古啓介の旅』(みすず書房)
この本は、書名にも副題にも「本」「古本」が入っていないから、古本本好きも、知らずにいれば見逃してしまうかもしれない。装丁もいいし、野呂を敬愛する作家佐藤正午の解説もいい。
オリジナルは見たことないけれど、むしろこのみすず版で手にするほうがよかったのではないか、今まで手に入らなかったのは、こうしてみすず版を手にすることになっていたからだ、などと、負け惜しみ混じりの妙な運命論まで持ち出したくなる(1点だけ残念なのは、元の角川版の装丁は司修の手になるもので、野呂本人も気に入っていたらしいので、それは見てみたい)。
中身の紹介はあえてあまりしないけど、古本屋を舞台にした、古本、特に詩集をめぐる連作短編集。古本本者は必読です。
古本好きの多くは、古本について書かれた本も好きなようで、ぼくもその例外ではない。古本本と見ると、たいてい手にしてしまう。去年から今年にかけてだけでも、
- 岡崎武志『気まぐれ古書店紀行』(工作舎)
- 嵐山光三郎『古本買い十八番勝負』(集英社新書)
- 樽見博『古本通』(平凡社新書)
- 角田光代・岡崎武志『古本道場』(ポプラ社)
- 高橋徹『月の輪書林それから』(晶文社)
など、いくつも出ていて、古本本好きとしてはうれしいけど、金銭的にも本棚のスペース的にも大変だ。
古本本は、岡崎武志さんの本に代表されるような、古本探求や古本屋めぐりの楽しさ(あるいはつらさ)を描いたものが気軽に読めるし、本屋めぐりの参考にもなってやはり楽しい。最近は古本屋さんが自身で書いた本も増えて、昨年(2005年)には、東京古書会館で開かれた「古本屋が書いた本」展をのぞいたら、だいたい知ってるはずのジャンルだったのに、予想以上に多くて驚いた。この展覧会の目録はまだ手に入るようだから、古本本好きは持っておくといいかも。
(この項、続く)
大山智弥子『わが夫、大山倍達』(角川文庫)読了。
以前から、吉田豪だったか大槻ケンヂだったか、とにかくこの手の本が好きそうな本読みがおもしろいおもしろいというので気になっていたんだけど、いやはや、たしかにこれはすごいです。
大山総裁のすごさは、空手バカ一代世代としてはもうじゅうぶん過ぎるぐらいに知っていたつもりだったが、なるほど、おくさんもこんなにすごい人だったのかと。特別対談をしている前田日明なんて子ども扱いだもの。
『レコードマップ(’06ー’07)』(学陽書房)をぱらぱら眺める。
表紙には、「20周年おめでとう号!」とある。すでに大学時代には使っていた記憶があるから、創刊号からの読者、というわけにはいかないけど、十数年の付き合いにはなるわけだ。なんだか感慨深い。
あらためて紹介するまでもなく、本書は、音盤探索者にはバイブルだが、なかでも中古・輸入・マイナー盤が好きな者には、なくてはならない1冊だ。
特に、今のようにネットで簡単に全国の中古屋情報が得られたり、オークションや通販が簡単に楽しめたりできなかった時代には、まさに唯一無二の情報源といってよかったと思う。レコマ(と略すらしい)を持って、西新宿や中央線沿線を歩いたり、地方出張のときにその地域のページをコピーして持っていったりと、ぼくもどれだけ活用し、お世話になったかわからない。
レコード好きが登場する巻頭インタビューは、毎号の楽しみの1つだが、今回は20周年記念ということもあってか大物、山下達郎の登場。
この人がマニアなのは前から知ってたけれど、インタビューを読めば、あらためて、そのレコードオタクぶりはもう本物というか重症であるのがわかる。話が、作り手の側というよりも、買う側・聞く側、つまり我々リスナーと同じ目線なのだ(ただし、かけられている情熱やお金は普通人のそれではないが)。ぼくは彼の熱心なファンではないけれど、読んでいると、勝手に友達気分になってしまう。
いつだったか村上春樹のエッセイ『村上ラヂオ』(新潮文庫)を読んでいたら、レコード屋にふれた一編があった。中古レコード屋巡りが好きだという村上は、そのなかで大胆にも、
「世界はまた中古レコード店でもあるのだ」
などと断言している。売れっ子作家をつかまえてなんだけど、このときも、仲間を見つけたようでちょっと嬉しかった。だいたい、レコード屋巡りが好きな人に悪い人はいないのである(たぶん)。
以前にモニターとして情報提供をしたときに、レコマ編集部の編集担当の方とメールのやりとりをしたことがある。やはり年々音盤市場はきびしくなってきているそうで、レコマもいつまで出せるかわからない、なんてさびしい話も出ていたのが2、3年前のこと。それだけに、こうして20周年記念号を手にできるのはよけいにうれしい。
がんばれ、レコードマップ!
追記。レコマのサイトを見つけたが、学陽書房ではなく、本の出版社のもので、紹介されているのも最新号ではなく、前号。レコード店のURLリストはあるが、掲示板もアンケートも空で、ちょっとさびしい内容だ。
http://www.hon-s.co.jp/reco1.html
- 土橋一夫・高瀬康一『Beautiful covers/ジャケガイノススメ』(毎日コミュニケーションズ)
- 編集工房球+本の出版社編『レコードマップ(’06ー’07)』(学陽書房)
iPod大人気のこの時代に、いまどき我ながらどうかと思うけれど、アナログレコードが大好き。なので、ジャケ写・カバーアートがテーマの本と見るとすぐに買ってしまう。
いつか、LP&CDのジャケットデザイン関連本のリストも作成して、ダウンロードでしか音楽を聴かないという方々にも、ジャケットアートのすばらしさ紹介してみたいと思ってます。
斎藤環『戦闘美少女の精神分析』(ちくま文庫)を読了。
映画の出来はともかく、最近の作品で言えば、
シャーリーズ・セロンの『イーオン・フラックス』や、
ケイト・ベッキンセイルの『アンダーワールド・エヴォリューション』、
ミラ・ジョヴォヴィッチの『ウルトラ・ヴァイオレット』などなど、
格好いいオンナたちが格好よく闘いまくる映画に目がないもので、そういう興味で読んでみたのだが、うーん。「闘うオンナ」的興味の視点からはどうにも評しようがないなあ、これ。
いいとか悪いとかじゃなくて、ぜんぜん関心のありどころが違う感じ、という感じでした。
ビールが大好き。根っからのビール党だ。
夏は好きな季節ではないけれど、ビールがいちばんうまい季節なのは間違いないので、それだけで暑いのも我慢できるぐらい。
だから、ビールは毎日飲む。ふだんは日本のビール(麦芽100%のが好きで、YEBISUとMALT'Sが好き)か、ギネスのエクストラスタウトを飲むことが多いんだけど、ネットで見つけたたまたまベルギービールのセットに興味を引かれて試しにと買ってみたのが、今日届いた。
「2005年間売上ベスト10セット(カートン入)」というセットで、商品名通り、ベルギービールの人気どころが10本セットになったもの。飲み屋で何度もベルギービールは飲んでいるはずだが、ぜんぜんくわしくはないぼくのようなベルギー初心者にはぴったりのセットだろう。
早速、中の1本を適当に選び出して試してみる。「オルヴァル(OVAL)」。
うまい。
グルメからほど遠い食生活ゆえ、このうまさを表すことばに乏しいのがなんだが、とにかく、うまい。
知らないビールがあるときはこれで調べる。
索引がないのが不便だが、情報量は十分で、知りたいと思ったビールのことはたいてい教えてくれる便利な本だ。
これによれば、オルヴァルは、「世界でも希有なビールである」だという。トラピストビールと呼ばれるものの1つで、名前もオルヴァル修道院から来ている。アルコールは6.2%とやや高め。味も独特だし、瓶もボーリングピンみたいな形でこれまた独特、同書によれば製法も独特たしいが、読んでもこまかいことはよくわからない。とにかく、「世界で無二の味」なんだそうだ。それはともかく、個人的にもうまいと思う。
ベルギービールは、ロゴ入りの専用グラスがあるそうで、ベルギービールにはまると、グラスにも凝りたくなるものらしい。たしかに、ベルギービールを飲ませる店に行くと、銘柄に合わせて、いろいろなかたちのグラスで出されていたのを思い出す。今回買い物をしたベルギービールJapanでは、グラスも扱っているそうだ。うーん、グラスにまで凝りだすと、きりがなさそうだし、要らぬもの(と、間違いなく思われる)を増やして家族の不興を買うことは避けられない。
ベルギービールは、家では瓶のかたちを愛でるぐらいにとどめて、いいグラスで飲みたくなったら、外に行く、というのが、ぼくのような庶民の飲み方としてはいいのかもしれない。
これが、ベルギービールJapanの「2005年間売上ベスト10セット(カートン入)」!
- 『ギターマガジン』2006年7月号(リットーミュージック)
- 鷲巣義明『デストピア聖典 SF&ホラー映画の黙示録』(フィルムアート社)
- 田中薫『本と装幀』(沖積社)
東京古書会館で開かれている蔵書票展に行ってきた。自分では蔵書票も蔵書印も使わないけれど、見ている分には楽しい。
会場をひと回りして、田中栞さんの『手づくり豆本と私』(紅梅堂)という和装の豆本を買って帰ろうとしたところ。会場の中央に机があって、先ほどから女性が1人、紙を折ったり、切り貼りしたり、何かせっせと作業をしていたのだが、レジの人から「田中さん」などと呼ばれている。もしや、と思って、「失礼ですが、田中栞さんですか?」などと話しかけてみたところ、なんとご本人だった。
一般的には、有名人、というわけではないだろうが、古本好きにはもちろん『古本屋の女房』(平凡社)という滅法おもしろい古本本の著者としておなじみの名前だろう(この本、ほんとにおもしろいので、未読の古本好きがいたら、ぜひ一読を)。ぼくもこの本の愛読者だったので、しばらく立ち話させていただいた。
ぜひ続編をなどとリクエストしたのだけれど、最近は、造本や蔵書票などに関心が傾いているそうで、この日もご自身の手になる蔵書票をいくつも出品されていたし、会場では、手づくり豆本が数種類売られていた。上記の豆本のほかに、『田中栞の古本教室』(紅梅堂)という小冊子も買ったのだが、田中さんの蔵書票が一枚ついていた。田中さんの豆本、蔵書票を手に入れて、さらにご本人の「解説」まで直接うかがうことまでできた。いやはや。
ちなみに、『古本屋の女房』は新刊書店でふつうに買えるが、田中さんの豆本や「古本教室」に興味のある人は、神保町の書肆アクセスへどうぞ。
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