- 伊藤たかみ『八月の路上に捨てる』(文藝春秋)
- 都築響一『賃貸宇宙』(ちくま文庫)
おもしろくなかったり気に入らなかったりする本についてわざわざ取り上げることはしない……このことは、本日記の一応の原則ということにしています。書きたい本、取り上げたい本、紹介したい本はいくらでもあるからです。
【“不満の残る芥川賞受賞作、それに分厚すぎる文庫たち”の続きを読む】
おもしろくなかったり気に入らなかったりする本についてわざわざ取り上げることはしない……このことは、本日記の一応の原則ということにしています。書きたい本、取り上げたい本、紹介したい本はいくらでもあるからです。
5000超えのときもコメントで指摘していただくまで自分では気づかなかったぐらいなんですが(micalionさん、Thanksでした)、ふと気づけば、カウンタが6000を超えていました。
本と書店を応援するなどとしながら、ホラーにSFにモンドに特撮にと特殊映画に脱線を繰り返す、この駄文垂流装置の暴走をあたたかく見守ってくださる読者のみなさんに、あらためて感謝感謝です。出版社勤めだというのに、本の話、書店の話をふつうにできる存在って哀しいぐらい周りに少なかったりするのです。なもので、このブログを始めたおかげで、買った本読んだ本行った書店の話を報告する相手(?)ができて、ブログ管理者としては大変満足している次第です。
というわけで、今後ともよろしくお願いします。
◆今日のBGM◆
西武文化華やかりし頃の回想録的内容だった前著『書店風雲録』に比べると、『繁盛記』ではリアル書店のリアルな姿、つまり書店の「いま」がたっぷりと描かれているので、新刊書店に関心のある人には大いに読み応えのある1冊だろう。出版社の人間としては耳の痛い話題もけっこうあるのだが、そういう点も含め、最後までおもしろく読めた。
この本については、小見出しになっているテーマそれぞれにいちいち感想を記したいぐらいなので、今日は読了の報告のみ、後日、あらためて詳細に取り上げたい。
9/4の日記で紹介した論創社の「論創ミステリ叢書」、シリーズ最新刊がこの2冊です。先行した久山秀子、橋本五郎、山本禾太郎らに比べれば、シリーズ中、比較的よく知られた名ではあるでしょう(実際に読まれているかどうかは別にして、ですが)。
以前の日記でも紹介したことのあるフリペ「本のとびら」(読売新聞社)の03号が配布されています。今回の特集は「棚揃えは、書店からのメッセージ」と空犬好みなので、ちょっと紹介しておきます。
サイトで目次や配布場所が確認できるほか、各記事の全文が読めるようにもなっているので、近くの書店に見あたらないという方はWebで読むのもいいでしょう。
たあやんさんのブログ「古本で毎日元気」を拝見していて、驚きのものを見つけてしまいました。
これは、竹中英太郎の生誕百年記念として湯村の杜 竹中英太郎記念館が刊行したもの。もちろんぼくは即購入、今日本が届きました。この手の情報には常にチェックを怠らないでいたつもりなんですが、たあやんさんの記事がなければ気がつかずにいたかもしれません。たあやんさん、ありがとうございました。
ぜーんぶ田村書店の店頭で拾ったものです。ねらったわけじゃないですが、純文学だらけのセレクションになりました。
丹波哲郎さんが亡くなりましたね。邦画ファンとしては、追悼文を捧げたいところですが、これだけの大物になればいろんな人がいろんなことを書いてくれるでしょうから、ぼくは代わりに、同じころに亡くなったあるアーティストについて書きたいと思います。
そのアーティストの名前はエタ・ベイカー。おそらく空犬通信をお読みになっている方のほとんどが知らない名前だろうと思います。米国ノースカロライナ州生まれのフォーク/ブルースギタリスト。ピードモントスタイルと呼ばれるフィンガーピッキングの名手です。23日、バージニア州フェアファクスで亡くなったそうです。御年93ですから、大往生でしょう。詳細はこちら「米ギタリストのE・ベーカーさん死去」。
【“ある女性フィンガーピッカーが亡くなったのです”の続きを読む】
たまにはちゃんと読んだ本の報告をしておかないと、どんどん特殊映画のサイトになってしまってます……反省。
8/25の日記で紹介した、映画『ブラック・ダリア』がもうすぐですね(10/14より全国ロードショー)。ポスターがなかなかかっこいいと書きましたが、朝日新聞の広告、月間賞(8月)を取っているようで。
今月の『映画秘宝』はブライアン・デ・パルマの特集で、表紙はスカーレット・ヨハンソン。デ・パルマ、原作者のエルロイ、ウィリアム・フィンレイ(!)らのインタビューも読めるので、表紙が新しくなって復活したエルロイの原作本と併せ、映画の予習として要チェックです。
9/21(木)の朝日新聞に「古風な吉祥寺の顔 お別れ 焼き鳥「いせや」14階建てのビルに」なる記事が載っていましたね。老朽化のため、建て替えられることになったそうです。
このいせや、創業は昭和3年と古く、その後いろいろあって、今のかたち、立ち飲み中心の焼き鳥屋になったのは昭和33年だそうです。いい具合に古びた雰囲気のある建物ですが、この年数で火を使う商売だとたしかに地震他が心配になるのもしかたないのかもしれません。
ぼくは常連というほどしょっちゅう顔を出していたわけではなかったのですが、それでも、友人と行ったり、ときには1人で行ったり、最近ではブックスルーエのみなさんと行ったりと、近辺ではなじみの店の1つだったので、やはりなんとなく残念です。
記事には新店舗の完成予定時期は記されていませんが、10月上旬から仮店舗で営業を再開するそうです。現在の店舗の営業は明日25日まで。最終日も、特別なイベントはいっさいなし、なんだとか。明日は会社帰りに顔を出してみようかなあ。たぶんコアな常連さんたちでいっぱいなんだろうなあ。
9/10の日記で紹介したホラーシリーズ、「マスターズ・オブ・ホラー」。全13作のうち3作の感想を記しましたが、この週末、少しまとまった時間がとれたので、残り10作品を一気に観ました。
例によって、ラストやネタにはなるべくふれずに、ひとこと程度の感想を添えるにとどめて紹介します。
先週だけで7冊もの古書店&古書展の目録が届きました。届けば目を通さざるを得ないので、こうも続くとなんだかうれしいような困ったような気分です。
これが届いた目録たちの一部。
今日はうれしい報告です。というか、本と書店を応援するという立場でこのブログを始めた者としては、サイト立ち上げ以来、もっともうれしい報告かもしれません。
今日は、ふだんから親しくしていただいている都内の書店さん数店のみなさんと、ぼくの版元仲間数人とで集まって、「書店さんと版元で飲もう!」会をしてきたのであります。ああ、大仰な名前がついてますが、ただの飲み会です。「ただの飲み会」だけど、でも、ほんと、滅茶苦茶に楽しい会でした。
以前、ルーエさんたちと飲みにいったときの日記にも書いたことですが、版元と書店っていかにも近い存在に見えますが、残念なことに現場では意外にそうでもないようで、ぼくのように編集者を名乗ってしょっちゅう出入りしているのはあまりいないそうです。さらには、書店さん同士のおつきあいもあまりないのだといいます。
こういう話を聞くと、そこここの書店さんに出入りして、本の話ができる書店員さんをいろいろと知ってる身にすれば、いかにも残念な話に思えるのも当然でしょう。こういう人たちが、お互いに本と書店の話をできる場があればいいのになあ……今日の会のきっかけはそんな空犬の「おせっかい」から始まったのです。
昭和50年代に一世を風靡した角川文庫の横溝正史作品。横溝の特別なファンでなくとも、その強烈な表紙画が印象に残っている人は少なくないだろう。その絵の多くを手がけたのが杉本一文。その杉本先生から、銅版画展のご案内をいただいた。
杉本先生もメンバーの銅夢版画工房の作品展、「第9回銅夢版画展」で、場所は銀座のすどう美術館、会期は10月3日(火)~8日(日)。角川横溝ファンは迷わずレッツゴーです。
単なる親ばかかもしれないけど、娘はどちらかというと言葉がしっかりしているほうで、ときどき、はっとするような大人っぽい言葉やむずかしい言葉を口にしたりして、親を驚かせてくれます。でも、そこはやはり4歳児、ふだんのおしゃべりはやっぱりコドモのそれで、とてもかわいいです。
ふつうのおしゃべりももちろんかわいいんですが、なかでもたまらないのは、言い間違い、それも音が入れ替わってしまうたぐいの言い間違い。最近までは、目玉焼きは「めだやまき」でした。これはよくある言い間違いの1つみたいですね。もうその言い方がかわいくてかわいくて、直すのがもったいないので、ぼくも一緒になって「めだやまき」と言ってました。しかし、さすがこの時期の成長速度はすごいです。すぐに、ふつうに言えるようになってしまいました。残念、というと変だけど、でもやっぱり、ちょっと残念。
いつのまにか夏が終わって、朝晩が肌寒い季節になりましたね。今年の夏は天気にめぐまれず、ビアガーデンはあがったりだったことでしょう。世間ではビールの季節は終わりだみたいに思っている人も多いようですが、年中ビール派のぼくには夏が終わろうが秋になろうがまったく関係ありません。というわけで、またしてもベルギービールをまとめ買いししてしまいました。以前、6/17の日記で紹介したのと同じ、「2005年間売上ベスト10セット(カートン入)」というセットです。
ベルギービールJAPANという、そのものずばりのネットショップで買えます。内容は、このセット商品名通り、ベルギービールの人気どころが10本セットになったものです。
【“またしてもベルギービールまとめ買い!”の続きを読む】古いカッパブックスに、田所太郎『出版の先駆者』という本がある。講談社、中央公論、新潮社、文藝春秋、岩波書店、小学館といった、まさに書名通りの版元を取り上げてコンパクトにまとめた、手軽に読める出版史の好著で、時折思い出したように手に取る1冊だ。
この本の中で取り上げられている版元の1つ、河出書房新社が今年創業120周年を迎えたことを、7月に開催された東京国際ブックフェアで配布されていた小冊子で知った。
以前に数度、文芸書をネットや通販で購入したからだと思うが、神保町の古書店、
玉英堂書店から、毎回、目録が送られてくる。先日は、「日本の筆跡」第285号が送られてきた。例によって、ずっしりと持ち重りのする、たいそう立派な目録だ。
造りや中身も立派なら値段も立派で、頒価1,000円也、とある。最近はちっとも目録で買い物をしていないので、このような立派なものがしばしばら送られてきたりするとたいそう申し訳ないのだが、すばらしい目録なので、ここで紹介しておこう。
【“玉英堂の目録にため息をつきながら”の続きを読む】こういう記事を書くと、また特撮の話かと読者のみなさん、特に女子のみなさんに引かれそうですが、でも、あんまりすごいので、やっぱり紹介することにします。
先日、書店でこんなチラシを見付けました。じゃーん。(例によって、写真がへたくそですみません。)
「たのしい幼稚園のテレビ絵本仮面ライダー」全35巻復刻セットです。ご存じの通り、今年は仮面ライダー生誕35周年。このセットが全35冊なのは偶然でしょうが、なんともタイミングのいい企画です。
本好きの友人とのある酒席でのこと、同時に何冊を並行読みしているか、という話になったことがある。世の読書家のみなさんは、はたしてどれぐらいの冊数を並行読みしているものなんだろうか。興味津々。
ぼくはというと、まず毎日の通勤鞄には常に2冊。車中では、座れると寝てしまうときも多いのだけれど、起きてるときはただぼーっとしてるのが苦手だし、なんと言っても往復の車中は貴重な読書時間。1冊だと読み終わってしまうおそれがあるから、常に複数携帯、ということになる。たいてい文庫か新書で、順に読むこともあれば、気分でとっかえひっかえのことも。
一作日、フリーペーパーの話を書いたら、偶然にもブックス・ルーエの花本さんも、同じフリーペーパーの話を書いていました。「新文化」Web版の連載、「ルーエからのエール」の第5回、「愛ラブ・フリーペーパー」がそれ。
フリペといえば、今日はこんな冊子を新刊書店店頭で見つけました。早稲田古書店街地図帖「古本共和国」2006~2007。
先の日記に書いた、新刊書店の個性問題の件、続きです。
以前の日記にも書いたけど、ぼくは、書店は楽しい空間であってほしいし、京極夏彦の言うような「ワンダーランド」であってほしいと心から思っている。だから、雑貨の充実とか、観覧車の設置で、そういう雰囲気が実現されるのであればそれはそれでかまわない。
でも、みんながそんな「個性」獲得に走っちゃったら新刊書店の棚はいったいどうなっちゃうの? と心配に思ったりもする。やっぱり本屋さんには「本」で勝負してほしいのだ。
先の日記で取り上げた『出版業界最底辺日記』の著者、塩山は同書で、個性的な棚作りで知られる往来堂書店を批判的に取り上げて、書店にはイデオロギーなど要らん!という主旨のことを書いている。棚を編集したりなど余計な個性を出すな、探したいものはこっちで探す!ということが言いたいらしい。それはそれでひとつの意見だろう。
編集という仕事がら、辞書をよく使う。なので、こういう記事はちょっと気になったりする。
この数年、紙の辞書の売り上げはずっと下り坂。代わりに伸びているのが電子辞書。この辞書市場の主役交代については、上の記事でもふれられているし、これまでも全国紙の記事などで取り上げられているから、ご存じの方も多いだろう。辞書といえば、かつては、新学期の辞書シーズンには当たり前のように、万、十万、百万の単位で売れていた商品である。それがこんなふうになるなんて、紙の辞書しかなかった学生時代を過ごしているぼくのような身にはなんだか信じられないような状況だ。
さっきの日記の続きです。
すみません、また映画ネタです。今週は映画漬けだったので、許してください。ホラーファン待望のシリーズ、「マスターズ・オブ・ホラー」のセル&レンタルが始まりましたね。
メンツと作品のリストはこちら。