東京国際ブックフェア、まもなくですね。講演・セミナー・シンポジウムなどのうち、書店関連のものについては、しばらく前にブックフェアについてふれた記事で紹介、リストアップしておきましたから、そちらをご覧いただくとして、そのときにはまだあがっていなかった、こんなシンポジウムが予定されているようなので、追加で紹介しておきます。
7/9(土)の15:00~16:30で、先に紹介した同日午前中の特別講演と同じく、無料ですが事前申込が必要になっています。
内容は、サイトによれば、このようなもの。《東日本大震災から3ヶ月半。被災地に向けては様々な支援が行われています。本シンポジウムでは、被災地域・避難地域の渦中で奮闘している方々をお招きし、現地の実情をお話いただくとともに、私たちができることは何か、そして『本』は何ができるのかについて語っていただきます。》
パネリストは、玄侑宗久さん(作家・東日本大震災復興構想会議委員、福島県在住)、白幡勝美さん(宮城県気仙沼市教育委員会教育長)。ほかに、ぼくが申し込みをした時点では「依頼中」とあって、お店・お名前がありませんが、東北地域の書店さんからの参加が予定されているようです。現地の書店の方の声を聞けるとしたら、これは貴重な機会ですよね。司会は、星野渉さん(文化通信社編集長)。
東北の書店さんがどうなるか気になるところですが、ぼくは申し込みをしましたよ。この日は、午前の講演と、このシンポジウムがあるんですが、途中が中途半端に空いちゃったなあ。別の講演に申し込んでもいいんだけど、一日じゅう話を聞いてるのも疲れそうで。
ところで。前回、ブックフェアにふれた記事の最後にも書いたんですが、ブックフェア来られる書店員の方、とくに関東以外のエリアから参加される書店員の方って、けっこういらっしゃたりするんでしょうか。もしそうなら、ぜひ会場でごあいさつさせていただきたいものです。ちなみに、空犬はというと、7/8(金)の午後は仕事で、7/9(土)に私用で出かける予定です。金か土に来られる書店さんに現地でごあいさつできたらうれしいなあ。金は、帰りに余裕があって、食事したり一杯やったりできる方がいたら、なおうれしいんだけどなあ。土も、どなたかランチを付き合ってくださったりしたら、うれしいんだけどなあ。大げさな会にはしたくないんですが、いい機会なので、もし金か土にブックフェアに行くよ、という方で、時間あるよ、という方がいらっしゃったら、コメント欄か、ツイッターのDMかリプでご一報いただけるとうれしいです。
道中の本を選ぶのは、旅の楽しみの1つですよね。いつもなら、数日前からうんうん悩んだりするんですが、今回は仙台行き自体が直前に決まったので、悩んでいる時間がありませんでした。
で、結局持っていったのは、この2冊。
- 荒木飛呂彦『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』(集英社新書)
- 『仙台 本のはなし』(仙台文学館)
仙台にゆかりのある本にしたいなあ、と思って、たまたま金曜日に買った新書の著者略歴を見たら、なんと仙台出身とあるではないですか。当然、迷うことなく決定。ぼくはコミック読みじゃないので、荒木飛呂彦さんについてはジョジョの人という以外にまったく知識がなく、ジョジョも読んだことがないのですが、仙台出身のホラー映画好きだなんて、なんだか急に親近感がわいてしまいましたよ。
『仙台 本のはなし』には、「街へ出よう、本を探しに。 本好きのためのお散歩MAP」というコーナーがあり、仙台駅周辺のブックスポットが紹介されていて、地図もあったので、ガイドブック代わりに持っていったもの。レポ記事で紹介した店や施設の多くが載っていて、大いに参考になりましたよ。
今回は、ガイドブックの類は買わなかったのですが、この『仙台 本のはなし』ほかに、現地で入手したフリーペーパー「machinavi press」Vol.58の地図、さらに、事前にプリントアウトしておいたミシマガジンの特集「Book! Book! Sendaiに行こう!」の記事と佐藤純子さんによる手書き地図を参考にしました。いずれも、情報的には大変参考になったのですが、地図部分は一長一短で、曲がり角の目印が記されていなかったり、通りの名前がわかりにくかったりなど、土地勘ゼロの短時間滞在者にとっては、なかなか悩ましいところがありました(苦笑)。
↓一箱古本市ではこの地図も買ったんですが、カバーエリアが広すぎて、駅前周辺の、それもブックスポットだけを回りたい身には残念ながら、あんまり役に立ちませんでした。
さて、では、以下、仙台で購入した本をざっと。
- 佐伯一麦『杜の日記帖』(仙台闊歩新書)
- とりのなん子『とりぱん』第11巻(講談社)
『杜の』は仙台在住作家である佐伯さんの8年にわたる日記エッセイ。震災前に刊行されたもので、震災前後はカバーされていないんですが、それだけに、仙台で暮らす作家の日常がふつうに描かれていて、おもしろく読めます。鳥好きには野鳥の話がたくさん出てくるあたりもうれしいところ。帰りの車中はもっぱらこれを読んでました。
『とりぱん』は、人からすすめられたこともあるコミックエッセイで、鳥好きには気になる書名、気になる中身なんですが、なんとなく読まずにいたもの。この第11巻は、帯に《その日。/2011年3月11日、北東北はこんな夜を迎えていた》とあるのを見て、迷わず購入。著者が岩手県出身であることは、さきほど、この本のことを調べているときに知った次第。(佐伯さんの本は仙台本の棚にありましたが、『とりぱん』は、東北関連本やご当地作家コーナーではなく、ふつうのコミック新刊台にならんでいました。)前者に野鳥の話題がたくさん出てくることは知らずに買ったんですが、一緒に選んだ2冊がたまたま両方とも鳥本だったわけですね。
【“仙台レポ第4弾……仙台に持っていった本、仙台で買ってきた本”の続きを読む】
さて、今回の仙台行き、旅の目的は3つありました。1つは、「Book! Book! Sendai」の様子、とくに一箱古本市を見てくること、2つめが仙台駅周辺の書店を見てくること、3つめにしていちばん重要だったのが、寄付先の候補として考えていた「こどもとあゆむネットワーク」の代表、横田やの横田さんにお話をうかがうことでした。3つめについては、稿をあらためますので、今回は1についてレポートしたいと思います。
「Book! Book! Sendai」がどういうイベントか、というところから始めるとまた記事が長くなっちゃうので、それはサイトを見ていただきましょう。空犬通信でも、以前の記事で一度取りあげています。
↑ジュンク堂書店仙台ロフト店の佐藤純子さんのイラストが表紙を飾る「Book! Book! Sendai」のパンフレット。
6/25、当日の仙台は、曇り空。ざーっと降ることはありませんでしたが、完全に晴れ上がることもなく、小雨が時折ぱらつく一日でした。Tシャツだとちょっと肌寒く、長袖シャツを羽織ってちょうどいいぐらい。大雨だったり、逆にかんかん照りだったりしたら、移動がどれだけ大変だったかを考えると、この天気は結果的にラッキーでした。
書店を少しのぞいてから、一箱古本市の会場であるサンモール一番町商店街へ向かいました。会場の商店街はアーケード街だったので、雨天決行。当日も、天気を気にすることなく見ることができましたよ。
↑一箱古本市が始まった直後のサンモール。ぜんぜん会場の雰囲気の伝わりませんね、これでは。我ながらひどい写真です(涙)。
出店数もけっこうあり、開始直後からそれなりにお客さんも集まっているようで、予想よりもにぎやかな様子。絵本をずらりと並べている方、ミステリーマガジンをたくさん並べている方、音楽書や映画書だけを並べている方、オリジナルしおりを配っている方などなど、バラエティに富んだ出店の様子で、端から順に見ていてはいくら時間があっても足りない感じ。
会場で、ジュンク堂書店仙台ロフト店の佐藤純子さんのお姿を見かけたので、ごあいさつ。実は、ちゃんと名乗るのはもちろん、不忍の一箱古本市のときの一瞬をのぞけば、おしゃべりするのも初めて。こちらがあちこちで佐藤純子さんのお名前やお写真を拝見、活躍ぶりをようく知っているのは当然として、あちらもときどき空犬通信をのぞいてくださるとかで、なんだかお互いに初めての感じがしませんでしたよ。
近くの野中神社(こんなところに神社が、と驚くような場所にある小さな小さな神社)のブースを紹介していただき、そこで売っている佐藤純子さん特製カバー付きの古本と、これまたご本人手作りのおみくじを購入。
↑すっかり有名になってしまった佐藤純子さんの手書きイラストカバー。おもしろいのがたくさんあったのですが、脱力度が琴線にふれた吉田健一訳の『ロビンソン漂流記』、新潮文庫を購入。表裏とも「イメージです」って(笑)。カバーをとると、紙の裏には「月刊佐藤純子」。本来のカバーは沢田としきさんのイラストで、その落差も含めて、大いに楽しませてもらいました。これはbeco cafeの空犬文庫棚に置いておくことにしよう。
↑サンモールには、こんな感じの、ひなびたいい横丁が。会場には、Cafeスペースもできていて、飲食できるようになっていたのですが、やはり食事は地元の店で食べたい。ということで佐藤純子さんにランチのおすすめをうかがったところ、この横丁の一軒を紹介されました。ランチもいいですが、時間帯がもう少し遅ければ、買った本を片手に一杯やりたいような、そんな感じの横丁でした。
↑ご本人もぱちり。文章も漫画もおしゃべりもおもしろいし、人柄も笑顔もすてきだしで、あちこちでひっぱりだこなのがようくわかります。
↑いがらしみきおさんの絵に、来場者が寄せ書きをしたもの。佐藤純子さんから、ぜひ何か書いていってくれ、と言われていたのに、忘れてきてしまいました。
ちょっと話がそれました。一箱古本市、仙台外のエリアからの参加者もけっこういたようで、東京・不忍からは古書ほうろうさんが出店されていました。こちらのことは覚えていらっしゃらないだろうとは思いつつ、ちょっとだけごあいさつ。ほうろうさんのところでは、ちょうど同じタイミングでいらしていたつん堂さんにもばったり。ちなみに、古本や書店の話が充実のつん堂さんの日記には、この一箱古本市の様子がくわしく紹介されていますので、古本好きはぜひそちらも見てみてください。
↑古書ほうろうさんにいただいたフリペ「ほうろう通信」。「仙台のみなさま、こんにちは!!」で始まるこのフリペには、一箱古本市発祥の地、不忍ブックストリートからやってきたことなど、お店のことや自分たちのことがイラスト入りの文章でまとめられていて、お店を何度も訪ねている者が見ても、おもしろいものになっています。
この後に予定があったため、実は、一箱古本市は、ざっと流すぐらいにしか見られませんでした。ほうろうさんのところも帰りにもう一度寄ろうと思ったら時間切れ、ほかに東京からは、わめぞのみなさんもいらしていたようですが、寄ることもできませんでした。うーん、残念。
なので、一箱古本市の収穫は、佐藤純子さんのところで買った『ロビンソン漂流記』のみ。古本好きとして、その戦果はいったいどうなのよ、という気がしないでもないですが、まあ、今回は古本以外にたくさん収穫があったということで(笑)。……でも、ちょっとくやしいな(苦笑)。
「Book! Book! Sendai」は、一箱古本市だけではなく、ほかにも興味深いイベント・フェア・ワークショップなどがいくつもあります。うち1つが、書店レポのなかで紹介した「not major, but ... GOOD PUBLISHERS」。ユニークな小出版社の本を集めたこのフェアは、4店で展開されていたのですが、うち3店を見ることができました。翌日の夜までいられたら、「出版者ワークショップ 出張版・仙台編「未来に届ける本づくり」」という、気になるタイトルのワークショップにも参加できたかもなのになあ。
今回は滞在が半日だけだったので、「Book! Book! Sendai」のごくごく一部しか見られなかったのはしかたないですね。でも、そのたった一部を目にしただけでも、イベントの盛り上がりぶり、地元との強い結びつきが伝わってくる、うらやましくなるようなブックイベントでした。また行きたいなあ。
BBSのレポートは以上なんですが、そもそも何故、急に仙台だったのかという、今回の旅の経緯についてもちょっとふれておきますね。
【“仙台レポ第3弾……Book! Book! Sendaiのこと”の続きを読む】
仙台レポート、続きです。今回は一般新刊書店以外のお店をということで、まずは児童書専門店の老舗、横田やから。このお店のみ、今回訪問した仙台駅周辺からは離れたところにあります。タクシーで行ったので、場所の説明ができませんので、お店のサイトをご覧ください。
↑かつて造り味噌屋さんだっという建物は、築100数十年だとか。この外観は、入る前からわくわくしますよね。
外観もすてきですが、中がこれまたすばらしい。お店は横長で、入ってすぐの正面がレジ、左側のスペースには木のおもちゃと赤ちゃん絵本などが並び、より広い右側のスペースは絵本と読み物にあてられています。店内の柱や梁は、年季の入った実にいい色をしていて、そういう建物の部分だけ見ていると、児童書を扱うお店には見えませんが、お店全体として見ると、違和感なく、本やおもちゃが並んでいて、とても居心地のいい雰囲気になっています。お店には、作家の碧野圭さん、広島からこられたウィー東城店の店長・佐藤さんの3人で訪問したのですが、佐藤さんは入るなり、お店のあたたかい雰囲気に真っ先に反応されていて、こういう雰囲気のお店を作りたいとしきりに口にされていました。お客さんだけでなく、同業の方にもそのように思わせるお店だということですね。
この日は、横田さんが代表をつとめる「こどもとあゆむネットワーク」の件でお話をうかがうのがメインだったので、店内をじっくり見たり、買い物したりはできなかったのですが、それでも強く印象に残るお店でした。ここはぜひ再訪したいなあ。
横田さんからは、「こどもとあゆむネットワーク」について、貴重なお話をいろいろうかがいましたので、その件は、別途、ブックンロールの募金寄付の件と併せて、まとめます。
続いて、同じ児童書専門店の老舗、ポランを。営業を始めて30数年というポランは、後述する横田やさんよりも古く(ポランが1年早いらしい)、仙台でいちばん最初にできた児童書専門店なんだとか。
↑右は、表の壁を利用した絵本のディスプレイ。
ビルの1階にあるお店なんですが、道路から引っ込んだ建物の中にあるため、注意していないと通り過ぎてしまいそう。中に入ると、これがびっくりするようなサイズで、5坪もない感じ(3坪ぐらい? 人がいると中に入れないのがちゃんと確認できず)の店内は見事に本でぎっしり。品揃えは絵本が中心とのことで、このサイズに3000冊(お店のサイトの数字より)が並んでいるといいますから、驚きます。
次は古書店を。仙台駅周辺には、いくつか古書店がありますが、今回は時間の関係で全部は回れそうになかったので、1つだけ選ぶならもちろんこのお店をということで、以前からずっと気になっていた火星の庭を訪ねてきました。
岡崎さんの『女子の古本屋』(ちくま文庫)、店主前野さんご本人による『ブックカフェのある街』(仙台文庫)などを読んでいるのはもちろん、その他、古本関係の文脈ではいろんなところで目にする店名ですからね。どんな店かとわくわくで行ったんですが、いやあ、想像通りのすてきなお店でしたね。
店内は、半分が古書スペース、半分がカフェといった感じ。カレーが名物の1つのようで、店内にはカレーのいいにおいが。古書棚にも、好みの本がたくさんあったんですが、例によって、好みが重なりすぎていて、これという本がなかなか抜けない。なんとか買い物をしたくて、大急ぎかつ丁寧に棚を見ていったんですが、ついに時間切れ(この後に、先のレポートに書いた、あゆみBOOKSと、前述の横田や訪問が控えていた)、1冊も買えなかったのが残念すぎる……。カレーもドリンクも試せなかったしなあ。
ここでも、「not major, but... GOOD PUBLISHERS」フェアが開催中。並んでいる本のなかでは、龜鳴屋の本に大いにひかれました。社名からしてあやしいこの版元、自社のサイトの本の案内に「怪しい既刊」という小見出しを付けているぐらいで、すてきにあやしい本をいくつも出しています。
ぼくは、探偵者なので、『稚兒殺し 倉田啓明譎作集』でこの版元の名を知ったのですが、この本がまたすごい本で、手が出ない特装本はともかく、普及本も真っ赤なクロス装(「加賀染縮緬装」だそうだ)で、本のたたずまいからしてただごとでなく、正字正かなで読みにくい本文(というのは組の問題ではなく、文章の問題で)がこれまたすごくて、序文が皆川博子、ブレイク前の西村賢太が稿を寄せている(『藤澤清造貧困小説集』を刊行しているので、その関係か)というおまけもあるなど、なんだかすごい1冊なのです。それでこの社名。そりゃあ、印象に残りますよね(笑)。その龜鳴屋の本が、『稚兒殺し』のほかに、いろいろ並んでる! 素人にしては多すぎるほどの、あちこちの書店に出入りしてきましたが、こんな光景は初めてですから、さすがにちょっと手が震えました。
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昨日6/25(土)、日帰りで、仙台に行ってきました。開催中のブックイベント「Book! Book! Sendai」の一箱古本市と、仙台の書店を見てきましたので、簡単に現地の様子をレポートしたいと思います。まずは、仙台の書店から。
仙台は、書店が充実していますね。「Book! Book! Sendai」内に「仙台ブックマップ」があります。新刊書店だけでなく、文学館や図書館、天文台など、なんらかのかたちで本が置かれている場所の一覧になっているようですが、それによれば、仙台駅周辺には18のブックスポットがあるようです。
仙台に着いて、最初に訪ねたのはジュンク堂書店仙台ロフト店。JR仙台駅、2階コンコースから直結のLOFT内にあるワンフロア大型店。駅構内にある書店をのぞけば、仙台周辺の新刊書店ではいちばん駅に近いお店ですね。
↑店内は撮れないので、外観だけ。
「瀬名秀明書店」「伊坂幸太郎書店」「いがらしみきお書店」「池上冬木書店」ら、仙台にゆかりのある書き手たちの個人書店棚が並ぶ一角や、小さいながらも良書を出している出版社をフィーチャーした「Book! Book! Sendai」のフェア、「not major, but... GOOD PUBLISHERS」略して「グッパブ」の棚など、個性的な棚のほか、レギュラーの棚にもいろいろ工夫が見られ、店内をうろうろするのが楽しいお店でした。レジの近くのフェア台では、近くにある丸善アエル店とのジョイントフェアも展開されていましたよ。
↑個人書店棚には選書リストもあります。写真は、瀬名・伊坂両氏のもの。右は「グッパブ」のリスト。リストは、参加4店が各1頁の4頁。仙台ロフト店のリストには、港の人、夏葉社、羽鳥書店、アルテスパブリッシングなど、空犬通信や吉っ読に縁のある版元の名前が並んでいて、なんとなくうれしくなります。
広い店内に本棚が林立するさまはいかにもジュンクのお店らしい光景なんですが、だだっ広いという感じはなく、本棚の高さのせいなのか、天井の高さのせいなのか、コンパクトにまとまっているような印象を受けました。店内を歩きやすい感じがしたのは、そのためかもしれません。このお店で、「Book! Book! Sendai」の資料をゲット。
仙台には、すぐ近くに、ジュンク堂書店仙台店もあるのですが、震災以降、営業が再開できていない状態です。別の店舗の知り合いに聞いた話では、建物が建て替えになるそうで、仮店舗営業となるようです。在庫は、仮店舗に出せる分をピックアップし、残りは、返品はせず、いったん倉庫に預けることにするのだとか。この件を教えてくれた知り合いは、偶然、この土日に、抽出作業のための仙台に行くのだと話していました。
↑左端の、シートのかかった建物がそうだと思うのですが、違ってたらごめんなさい。
仙台にはジュンクの2店のほかに、丸善もあります。丸善アエル店がそれ。作家の碧野圭さんに聞いたところでは、売上ではこのエリアのNo.1のお店だとか。
↑訪問するのが、いちばん最後になってしまったので、夜の写真です。
売れ筋のものから専門的なかたい本まで、バランスのいい品揃え。地域の売上No.1店だというのもうなずけます。別記しますが、この日はスケジュールがハードで途中あんまり買い物ができなかったので、あとは帰るだけとなったこのお店で、いろいろ本を買ってしまいました。買った本については後ほど。
レジ脇のフェア台では、「防災対策フェア」が展開中。震災関係の本を並べているのはこのお店にかぎったことではありませんが、この丸善アエル店では、レジ脇のフェア台以外にも、お店の入り口を入ってすぐのフェア台のほか、店内のあちこちに、関連の本を並べられているのが他のお店よりも目につきました。
次は、あゆみBOOKS。あゆみは仙台に、仙台店、仙台青葉通り店、仙台一番町店の3店がありますが、今回は仙台店を訪問しました。ちなみに、先の3店は独りで行きましたが、このお店は作家の碧野圭さんが取材のためのアポをとられていたところに、同行させていただきました。
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突然ですが、明日、25日、仙台に行ってくることにしました。
開催中のイベント、「Book!Book!Sendai2011」
を見てきます。そして、先日のブックンロールで集まったお金を、現地で、被災地の子どもたちに本を届ける活動をしている方々に、もしチャンスがあってお会いできたら、直接渡してこようと思っています。
仙台での様子は、ツイッターで報告するほか、この空犬通信でも後ほどまとめてレポートする予定です。
仙台では、いろんな書店を回れるといいなあ。いろんな方に会えるといいなあ。
では、行ってきまーす。
すみません、久しぶりに特撮の話題です。書店ネタを期待されているせいか、特撮の話題は不人気なんですよねえ(苦笑)。わかってはいるんですが、でも好きなもので。書いておきたいもので。苦手な方は以下とばしてください。
さて。しばらく前の記事で、「総天然色ウルトラQ」のことを紹介しましたが、関連のニュースをいくつかまとめて。
まずは、日が迫っているこれを。まもなく、WOWWOWで、「ウルトラQ ハイビジョンリマスター版」の放送が始まるようです。6/27(月)の16:45スタートで、7月中旬まで平日午後連日放送となっています。そして、うれしいことに、《6月26日(日)午前10:00 第1話・第2話先行無料放送》とのことで、ふだんWOWWOWを観ていない人もこのハイビジョンリマスター版を確認できるわけです。これは観ないとね。
ちなみに、「ハイビジョンリマスター版」ですが、先の総天然色とちがって、モノクロのままで、ハイビジョンの画質でリマスターしたもの。白黒にこだわりのある人は、カラーライズされたものよりこちらのほうがいいかもしれませんね。
モノクロは試し観できると、ならば、カラーのほうは、と当然思いますよね。と思っていたら、こんな雑誌が出てました。『Newtype THE LIVE特撮ニュータイプ』。7月号の特別付録DVDが、「総天然色ウルトラQ カラー怪獣図鑑」となっています。BOXは今のところ購入予定がないので、1600円でダイジェストが観られるならまあいいかな、ということで買ってみました。
「怪獣図鑑」とあるから、全怪獣をカラーで見せてくれるのかと思ったら、さすがにそんなに甘くはありませんでした。DVDで観られるのは、ゴメス、ガラモン、リトラ、ゴロー、ペギラ、ナメゴン、カネゴンほか10体ほど。この点はやや物足りなかったのですが、カラー化自体は実に見事で、初代ウルトラマン以降の、昭和円谷特撮の色に、あまりにも自然になっているので、ちょっと驚かされてしまいます。
BOXを買う予定はない、または、迷っている、という方で、スチルだけでなく、動いているところを確認してみたい、という方にはいいかもしれません。
こういう特撮雑誌で特集されるのはわかるのですが、大人向けの一般誌、それも経済誌で特集されているのまであるのには驚きました。『FJ(フィナンシャルジャパン)』8月号がそれ。表紙は、カネゴンをバックに、でっかく総天然色ウルトラQのロゴが踊るもの。カネゴンと宮台真司(特集に対談で登場)が並んでいる電車の中吊りもありますから、それを見かけた方もいるでしょう。
頁数こそ12頁ほど、ボリュームはそれほどでもありませんが、宮台真司と品田冬樹(円谷プロの造形師)の対談も悪くないし、桜井浩子が登場しているのもうれしいし、なにより、全28話のカラースチルが、1つ1つは小さめとはいえ、全話分掲載されているのがうれしい(専門誌の特撮ニュータイプにさえ、全話のスチル掲載はない)。ぼくは経済オンチで、経済誌を手にとることはふだんまずないのですが(この雑誌もいただきもの)、これはちょっと得した気分になりました。
次は展示関係のこちら。「8月24日(水)から渋谷PARCOで「ウルトラQリターンズ 怪獣絵師 開田裕治とTOYの世界」の開催が決定!」(6/10 TSUBURAYA STATION)。
こんな展示のようです。《怪獣絵師と名高い開田裕治、その迫力ある作品とアンティークなタッチのソフビ怪獣たちの数々を展示します。開田氏のこれまでの数々の絵を巨大タペストリーにした、なつかしの昭和テイストのソフビを数多く展示する、会場限定のコレクターズ商品の販売など、世代を越えて昭和ウルトラの世界を楽しめる内容となっています!》
ぜったい行くよね。PARCOだし、この内容なら会場がちびっこだらけで、オヤヂソロがいたたまれない気持ちになることもきっとないよね(笑)。会期は、8/24~9/7、場所は、渋谷PARCO B1ロゴスギャラリーで、入場無料とのことです。
【“総天然色ウルトラQ続報、そして8月には渋谷PARCOで怪獣展”の続きを読む】
久しぶりに書店の開店関連ニュースです。まずは、北海道のこちらから。「三省堂書店 留萌出店へ 市民グループが誘致 地方小都市へは異例」(6/17 北海道新聞)。
記事を引きます。《大手書店の全国チェーン三省堂書店(東京)は16日、留萌市内に出店を決めた。道内では札幌、旭川、函館に続き5店舗目で7月下旬のオープンを目指す。同社が人口2万5千人規模の地域に店を設けるのは全国的にも異例。》
《店舗は市内南町4のマックスバリュ留萌店内に構え、床面積約530平方メートル。10万冊の書籍のほか、CD、DVDも取りそろえる。営業時間は午前10時~午後8時で、従業員は地元から8人を採用予定。》
記事にもある通り、このクラスの地方都市にナショナルチェーンが出店するのはめずらしいケースですよね。とくに、最近は、地方の出店というと、大型店のニュースばかりでしたから、坪換算で160坪のお店の出店はちょっと新鮮な感じです。
先日のブックンロールのトークでも少し話題にしたのですが、新刊書店の店数と規模の関係については、この空犬通信でもご紹介しているように、お店の数が減少する一方で、総売り場面積は微増となる傾向にあり、ざっくり言うと、中小のお店が減って大型店化が進んでいる状況。そんななか、地方都市の「街の本屋さん」的なお店を、全国チェーンがになうことになるというのは、なんだかうれしいニュースですよね。しかも、書籍だけではなくCD・DVDと合わせてだとはいえ、約160坪とありますから、駅ビルなどに入っている小・中規模ワンフロア書店ぐらいあるということですからね。地元の本好きはきっと喜んでいることでしょう。
めずらしい小規模店の出店の話の後は、やはりこれにふれないといけません。大型出店の話題というと、最近は、コーチャンフォーや宮脇など、一部の地方チェーンの件をのぞくと、CHIグループの独擅場という感じでしたが、広さの点でも店舗の点でも、ある意味CHIグループ以上の影響なり衝撃なりになるかもしれないと思わせるニュースがこちら。「TSUTAYAに大型書店併設 「ついで買い」狙う CCC、既存店の5倍の面積で 」(6/23 日経新聞)。
まずは、記事を少し見てみましょう。《カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、DVDレンタルなどを手掛ける「TSUTAYA」で、大型書店を併設した複合店を展開していく。売り場面積を既存店の5倍の6000平方メートル前後とし、その半分を書籍・雑誌の販売にあてる。出版市場は縮小傾向をたどっているが、品ぞろえが豊富で販売効率の高い大型書店で顧客を囲い込み、レンタル事業との相乗効果を狙う。》
大型書店を併設した複合店、それも6000平米! いやはや。それはまたスケールの大きな話です。続きを見ます。
《TSUTAYA既存店の平均売り場面積は約1200平方メートル。半分でCDなどのレンタル事業を、残り半分で書店やCD・DVDの販売を展開する。新型の複合店では書店の売り場だけで3000平方メートルをあて、既存店の7倍にあたる35万冊の書籍・雑誌をそろえる。店舗の残り半分でCD・DVDレンタルのほか、文具などを販売。コーヒー店も併設する。》
文中の数字を確認しておきます。6000平米というと約1815坪、3000平米は約907坪、1200平米は約360坪です。つまり、書籍・雑誌売り場だけで、大型出店が毎回話題になる丸善/ジュンクの新店と同規模となるわけですね。いやはや。気になるのは、いつ、どこに、どんなペースで、ということですが、その点については、以下のようにあります。
《2012年3月期中に5店程度を新設する計画。トップカルチャーが今年8月に前橋市に1号店を出すほか、来年3月には埼玉県久喜市に出店。CCCも東京都渋谷区に新店を建設中で、5年後に全国では郊外型を中心に計80店程度に増やす考えだ。》
5年間で80店! 毎年16店?! これがすべてこの記事にあるような大型店舗なんでしょうか。だとしたら、CHIグループの戦略以上に、書店の大型化を一気に加速させる事態ですよね。なんと。
このような短期間での大型出店で、採算面、売上予測面がどうなっているのかも気になるところですが、それについてはこんなふうになっています。
《TSUTAYAのチェーン店舗数は現在約1400で、書店併設型は約650店。11年3月期のチェーン店舗売上高3639億円のうち、書店は前の期比7.3%増の974億円で、CD・DVDレンタルの1757億円に次ぐ収入源。今回の大型複合店の出店をテコに5年後に書籍・雑誌販売、レンタルともに2000億円の売上高を目指す。》
TSUTAYAが、書籍・雑誌の世界でいまや老舗全国チェーンをおさせて業界のトップにたっていることは業界紙だけでなく、全国紙でも報じられていましたし、空犬通信でも取りあげました。それにしても、なんというか、すごい話です。数字とか出店ペースとか、そういうところだけ見ていると、とても書店の話とは思えない感じです。
そういえば、この方針と同じ流れにあるのでしょうか。トップカルチャーが「蔦谷書店」のプレスリリースとして、こんなのを出していましたね。「既存店リニューアルオープンのお知らせ~3店舗にカフェを導入、BOOK&CAFEスタイルを推進~」(4/28 トップカルチャー)。
【“新刊書店の大型化に拍車が?!……TSUTAYA出店戦略に関する気になる記事”の続きを読む】
今日は久しぶりに中央線・阿佐ヶ谷で途中下車。開店をずっと楽しみにしていた古本屋さん、古書コンコ堂に寄ってきましたよ。
場所は、JR阿佐ヶ谷駅北口、ロータリーを抜けて、正面のイトーヨーカドー(かつては東急ストアだった)が入っているビルを抜けて、中杉通りの一本西の通りをまっすぐ、貸本屋さんや熱帯魚屋さんを過ぎ、徒歩数分で、道の左側に見えてきます。
お店のサイトは準備中のようなので、東京の古本屋の情報、「中央線・阿佐ヶ谷駅(北口)に「古書コンコ堂」が新規オープン!」(東京の古本屋)を引いてみます。
《6月20日、阿佐ヶ谷駅(北口・中央線総武線)から徒歩5分の場所に、新しい古本屋が誕生しました。 20坪近い広い店内は、真新しい木の棚の香りが落ち着いた雰囲気を演出しています。品揃えは、店主が修業した「音羽館」(西荻窪)を連想させます。》
音羽館で修行した店主が開いたお店、しかも品揃えのテイストが音羽館を思わせるものだなんて、それだけで中央線沿線の古本好きは行きたくなるでしょ。
品揃えについては、《「音楽、文学、サブカル、絵本、旅の本、女性向けの本に力を入れます」と店主の天野さんの弁です。》とあります。新古本が少なく、アダルトや少年少女コミックがなく(コミックは、文芸的というかガロ的というか、そういうのはあり)、全体に渋めながら、絵本やデザイン関連の本などもあって、古本おじさんも、ガーリー本好きも、どちらも楽しめるような感じになっているところなど、音羽館を思わせるところがあるのはたしかですね。ほかにも中央線沿線だと、荻窪のささま書店とか、三鷹の上々堂あたりの雰囲気と通じるところがあるようにも思いました。
で、実際に見てきた印象ですが、いやあ、これが予想通りというか予想以上にいいお店だったなあ。新古本っぽい本は少なめ、ひと昔前の古本らしい古本が、リーズナブルな値段で並んでいます。いかにも本好き、それも中央線沿線の本好きが好みそうなジャンルや作家のセレクトになっていて、とくに小説のそれは、こちらの好みにばっちりで、うれしくなってしまいましたよ。ここで、今日棚で出会った作家や本を思い出せるかぎり並べてもいいのですが、東京近郊の人はぜひお店を訪ねて、実際に棚に並んでいる本たちに出会ってほしいので、控えておきます。
新刊書店でも古書店でも、棚があまりにも自分の好みに近いと、持ってる本との重なりのせいで、なかなか本を買えなかったりすることがあります。この日も、好きな作家の名前が次から次に出てくるのはいいのですが、持ってるものも多くて、なかなか棚から抜けない。「ああ、これ、持ってなかったら買えるのになあ!」と、例によって、変な悔しがり方をしながら棚を眺めることになりましたよ。
それでも、けっこう買っちゃったかなあ。作家や本の名前はあげずにおくと書きましたが、少しは書いておくかな。今日買ったのは、野呂邦暢の持ってない単行本と(ちなみに、サイン本もあったぞ。買おうと思えば買えない値段ではなかったけど、今日はパス)、旺文社文庫の百鬼園先生もの(百鬼園先生の著作じゃなくて、対談とかアンソロジーとかの関連本)をいくつか、などなど。買わなかったけど、気になったのは、世田谷美術館で植草甚一展をやったときの図録(これ、買い逃してたんだけど、古書、5000円ぐらいするんだよね)が、相場よりもやや安めの値段で複数ありました。あと、北園克衛の詩集もあったなあ。ガラスケースじゃなくて、ふつうの棚にあったよ。翻訳ものだと、ナボコフの『アーダ』上下とか、探してる人いるんじゃないかな。
営業時間は12時から夜10時までで、定休日は火曜日だそうですが、東京の古本屋の頁には、《当面は無休の予定です》とあります。中央線沿線の古本好きは要チェックのお店です。おすすめ。
このところ、続けていくつか書店フリペを紹介してきましたが、またまたおもしろそうなのが登場しましたよ。じゃーん。「明日読む本は、これにしよう!」。
発行は、啓文社コア福山西店、作成されたのは、同店で文芸&ミステリーを担当している、「団長」こと、まさむねさん(@mmmichy)。6/20付けで、Vol.0(試作号)となっています。紙面は、こちらで見られますよ。体裁は、B4判横置きで、文章はすべてワープロ打ち。おすすめ本の紹介やランキングのほか、読み聞かせ会など店内イベントの紹介もあります。
ちょっとユニークなのは、《啓文社コア福山西店の店頭に実際にある本を、その本を売りたい理由とともに紹介します》という「今月の「この棚にある本」」というコーナー。説明にある通り、店頭の棚の写真が掲載されていて、そこに写っている本についてのコメントが掲載されています。この号で紹介されているのは、《2302番(文芸話題書)の上から二段目の本です。「本」「読書」に関連した注目本を置いています》。このやり方だと、店内のいろんな棚を紹介できておもしろいですよね。単に書影を並べるよりも、本屋さんの棚の雰囲気が伝わってくるし、言及されている本以外の、周りの本も目に入るのの書店好きにはうれしいところ。
配布は、コア福山西店のみでしょうか。発行頻度については、《不定期》なので《「目に留まった日が発行日」((C)ニコリ)だと思って下さい》とあります。この内容ならば、読みたいという読者が出てきそうで、そうなると、「不定期」だなんて言ってられないかもしれませんよ、団長(笑)。
ツイッターを駆使する書店員さんたちの間で、フリペの話題が盛り上がったのがきっかけで、こうして非書店員の空犬まで便乗させてもらい、ふだんは行けないエリアのお店で発行されたフリペを手にすることができたり、それこそ、読んでとわざわざ送ってきてくださる方がいたりするのは、ほんとにうれしいことです。このマイナーな駄ブログで紹介することにどれぐらい効果があるのかははなはだ疑問ですが(苦笑)、こんなふうに紹介させてもらったり、周りのフリペ好きたちに印刷&配布したりしますので、これぞというフリペをお作りの書店員さんがいらっしゃいましたら(ほかにも、きっといると思うのです)、ぜひご一報いただけるとうれしいです。
フリペの話題なので、すでに紹介済みのこれらについてもちょっとふれておきましょう。まずは、三省堂書店有楽町店の「ブンブンコ通信」。残念ながら、ブックンロールでの配布は準備が間に合わなかったのですが、データを提供いただいていたので、お礼がてら、他のフリペをお届けに、今日お店におじゃましてきたのです。GAKUさん(@bun_bun_ko)さんにお話をうかがったところ、いまのところ3か月連続で発行できているので、ぜひ月刊のペースを維持したいとのことでしたよ。6月号はページ数も増えてパワーアップ、このクオリティで定期発行を維持するのは大変だと思いますが、読者としては楽しみですよね。
店頭では、フリペ三種が並ぶ様も見てくることができました。ほんと、数か月前までは考えられなかった光景で、書店フリペをずっとプッシュしてきた身としては、(大げさに聞こえるかもしれませんが)感慨ひとしおでした。
続いて、丸善丸の内本店。BBP=Business Books Pistolsのdiesukさん(@diesuk)を訪ね、ブックンロールで配布させていただいたお礼ということで、フリペセットを届けてきました。BBPですが、すでにツイートを目にされた方も多いと思いますが、片面だったのを両面にページ増を考えているとのことで、発行頻度は月刊にしたいとのことでしたよ。最初の号は、完成時点での配布となりましたが、今後は月初を目安にしたいとのこと。月初めに同店1階を訪問するときは、ぜひBBPの新しいのがないかどうかのチェックをお忘れなく。
今日は午後、長時間の書店回りでへとへと、ただでさえやせっぽちなのに、脱水気味でいつもより縮小サイズで帰宅した空犬です。このところ、ブックンロール関係の記事が続きましたので、これからはまた、書店の開店閉店改装情報、おもしろフェアや書店フリペなど、訪ねた書店のレポート、買った本の話など、いつものノリに戻したいと思います。
以前の記事で紹介した、週刊ポストの不定期連載、「本に生かされた人々の記録 復興の書店」。被災地の書店の様子が気になる書店好きは必読といっていい良記事で、続きを楽しみにしていたのですが、第2回が、先日6/20発売の7/1号に掲載されましたね。「「本に生かされた人々の記録 復興の書店 第2回 移動書店の人びと」。
今回は、ヤマト屋書店、宝文堂(現在は宝文堂ブックサービス)が取りあげられています。《「書店が全くなくなってしまったが地域にこそ、本を送らなければ嘘だろう」》という思いから、トーハン東北支店と地元書店の協力で実現した、文字通り、まさに被災地を「移動」する書店の様子が紹介されています。
本文に引かれている書店やトーハンの方々の声や、現地でのエピソードはいずれも読む者の心をはげしく揺さぶるもので、何度読み返しても、涙が出ます。印象的な文章を引用したいところですが、前回同様、やはり今回もぜひ本記事をあたっていただきたいので、引用は控えます。本好き書店好きには広くすすめたい記事ですが、とくにあなたが本に関わる仕事をしているなら、この記事は必読ですよ。週刊誌ですから、次の号が出て店頭で入手しにくくなる前にぜひチェックを。ふだん週刊誌、とくにおじさん週刊誌は買わないんだ、という方も、この記事一本のために買う価値ありと言い切ってしまいます。本の仕事にかかわっていてよかった、と、そんなふうにあらためて思わせてくれる良記事です。
移動書店のほかに、被災地での営業再開を告げる書店員からの声として大いに話題を呼んだ、ジュンク堂書店仙台ロフト店の佐藤純子さんの「私たちはまた本屋さんになりました」(4/5 私は本になりたい)が全文掲載されています。このようなかたちで、書店員の個人ブログが週刊誌に全文掲載されるのはめずらしいことだと思いますが、雑誌に載ったことで、ふだんblogを読まないような方の目にも広くふれることになるといいですよね。とっても、すてきな文章なので。このすばらしい文章に、何か困る点があるとしたら、それは読むたびに、すぐにも書店に駆けつけたくなってしまうことぐらいでしょうか。さんざん書店を回ってきたくせに、いま読み返したら、また書店に生きたくなってますからね。
ついでに、東北の書店の様子を伝えてくれる記事を、ほかにも紹介しておきましょう。まずは、昨日アップされたこちら。「写真でみる原発被災地域の状況」(6/21 新文化)。新文化は、3/11以降、いろいろなかたちで被災地の書店の様子を紙面で、また、Webで伝えてくれていますが、この記事は、6月17~18日に、福島・南相馬市、相馬市、飯舘村などで取材されたときのものだそうです。いずれの写真も印象に残るものですが、なかでも、先日、全国紙でもその閉店が報じられた福島県飯舘村の村営書店、ほんの森いいたての写真は何度見ても涙が出そうになります。こんなキャプションが添えられています。
《全国唯一の村営書店として営業してきた、ほんの森いいたて。計画的避難区域に指定されたため、6月15日で休業となった。店舗のガラスには、高橋みほり副店長(左)とスタッフら手製の「きっといつか再オープンするぞ!!」の文字》……地元のみなさんはもちろん、全国のたくさんの本好き書店好きが「再オープン」を待っていますよ。
【“『週刊ポスト』「復興の書店」第2回が掲載されました”の続きを読む】
ブックンロールの会場では、当日受付で、資料として、以下のものを配布しました。
●ブックンロール関連
- 「Book'n'Roll Vol.3」チラシ
- 「非活字文庫フェア選書リスト」
- 「酔舎BAND スーパー列伝!」
●書店フリーペーパー関連
- 「いま、書店発フリペがかなりおもしろい!」
- 「炎の文庫日誌」2011年6月
- 「クロネコ通信」No.1
- 「勝手に課題図書新聞」2011年6月
- 「Business Books Pistols」
- 「往来っ子新聞」83号
- 「ルーエの伝言」
●その他
- 「不忍ブックストリートMAP 2011~12」
- beco cafeショップカード(しおり)
- 「べこのとも」
- 「ムロマチ新聞」vol.0
- 夏葉社新刊『星を撒いた街』チラシ
- 「ミシマガジン」Vol.25
- 「模索舎月報」2011年6月
うち、書店にフリペについて、ちょっと補足を。ツイッター書店員のみなさんの間で、最近フリペの話題が盛り上がっていること、それが、お店・チェーンの枠を超えたコラボ構想にまでふくらんでいることについては、すでにふれました。この動きを、ツイッターを利用していない人にもぜひ知っていただきたいと思い、このフリペコラボ構想の中身がわかる資料として用意したのが、「いま、書店発フリペがかなりおもしろい!」。三省堂書店海老名店のHさんこと比嘉さんによる文章、「「フリペコラボ!書店」募集のお知らせ」(2011/6/17三省堂書店公式ブログ)を全文引用させていただき、以下のようなリードをつけてまとめたものです。
《吉っ読では、書店発フリペ(=フリーペーパー)をずっとプッシュしてきましたが、ここにきて、なにやら書店フリペがこれまでにない盛り上がりを見せています。あちこちの書店で、次々に新しいフリペが作られ、それがお店やチェーンの枠をこえて、店頭で一緒に並べられるといった、今までは考えられなかったことまで実現しています。そのような動きをさらに進めようというのが、この「フリペコラボ!書店」構想。企画をされた三省堂書店海老名店の比嘉さんの文章をご紹介します。集まれ、フリペコラボ書店! 来たれ、フリペ書店員!》
これに、ブックンロール直前に配布の可否が確認でき、データや印刷物の用意が間に合った書店フリペをいくつかつけて、一緒に配布することができました。以前の記事でくわしく紹介済みのものはそちらをご覧いただきましょう。「炎の文庫日誌」はこちらを、「クロネコ通信」はこちらを、「勝手に課題図書新聞」はこちらをどうぞ。「往来っ子新聞」と「ルーエの伝言はこのブログをお読みくださっている方にはもうおなじみですね。
「Business Books Pistols」、略称BBPは、《ビジネス書のブックアドバイザー》、diesukさん(@diesuk)が、まさにブックンロールの直前に完成された(といっても、別にイベントに合わせられたわけではなく、偶然ですが)もの。タイトル通り、ビジネス書にスポットをあてたものになっています。偶然といえば、名前が吉っ読バンドのそれとかぶってしまいましたが(苦笑)、まあ、こちらはイベントのときだけの名称だし、1年以上前から使っている名前ということで、許していただきましょう。
さて、体裁は、A4横置きで、タイトル・見出し・ランキングなどの一部をのぞき、本文は手書き。イチオシ本、おすすめ本のほか、「今月の名言」というコラムがあるあたりがビジネス書のフリペらしい感じ。情報のぎっしり詰まった1枚になっています。配布は、丸善丸の内本店のみでしょうか。配布の様子が公開されています。こちら。あと、PDF版をこちらからダウンロードできます。
このほか、フリペコラボの話題が盛り上がるきっかけとなったフリペの1つ、「ブンブンコ通信」の最新号についても、配布OKの確認とデータとをいただいていたのですが、入手がイベント当日で、残念ながら配布のための準備が間に合いませんでした。残念! お店で入手されるのがいちばんいいと思いますが、ブックンロールに来られた方で、ぜひ配布してほしかった!、有楽町にも川崎にもなかなか行けない、という方にはお送りしますので、ご一報ください。
書店フリペではありませんが、最後の「模索舎月報」についても少し。会の途中から配布を始めたようなので、入手されていない方がいらっしゃるかもしれません。タイトル通り、《一般の書店にあまり置かれない少部数・自主流通のミニコミや新聞をとりあつかう本屋》(月報より)である模索舎の月報。Web版もあります。このお店で扱う「ミニコミ」は、先に紹介してきた書店フリペとはちょっとノリが異なるものですが、書店発フリペのように、かぎりなく個人に近いかたちの情報発信に興味のある方なら、おもしろいものが見つかるかもしれませんよ。
当日、予想以上のお客さんに集まっていただけたために、おそらく資料のセットをお渡しできなかった方がいらっしゃるのではないかと思います。こちらで増刷できないものもありますので、全部はご用意できませんが、資料セットをご希望の方にはお送りしますので、コメント欄かツイッターでご一報ください。
トークのレポート続き、後半で取り上げたフェアの話です。フェアを題材にして、今度は、街の本屋の、棚作り・品揃え以外の工夫を見てみようというわけです。冒頭に、みなさんから、お店でのフェアについて、まずは一般的な話をうかがいました。どちらもユニークなフェアを次々に手がけているお店、フェアにもいろいろこだわりがあるようです。さらに、往来堂の「D坂文庫」、ルーエの「ルーエ究極の50冊」という、それぞれのお店が毎年行っている定番のフェアについても紹介してもらいました。そうした毎年恒例のフェアについて、長谷川さんが、自分はあきっぽいので毎年恒例のフェアを続けられるだけですごい、と話していたのも印象に残りました。
その後、5月の1か月間をかけて実際に行った往来堂とルーエの合同フェア「非活字文庫フェア」を例にして、フェアをどんなふうに決めたのか、選書をどうしたのか、どんなふうに売れたのか、何が売れたのか、誰が買ったのか、などについて具体的な話をしました。
この「非活字文庫フェア」の開催期間や内容については、以前の記事で取りあげていますので、そちらをご覧ください。全体についてと、ルーエの様子についてはこちらで、往来堂は、こちらで、いずれも店頭の写真も含めてご覧いただけます。ちなみに、この「非活字文庫フェア」、当初は3店合同として企画したのですが、諸事情により長谷川さんのブックエキスプレスは参加できなかったため、以下フェアについては、フェア参加2店の話が中心です。
最初に、フェア全体の紹介を空犬が行い、その後、フェアのテーマの発案者である花本くんから、どのようにテーマを選んだのかを説明してもらいました。その後、各店のフェアの様子や、お客さんの反応などについて、報告してもらい、その間、空犬が2店を取材させてもらったときに撮影した写真のプリントアウトを会場で回してもらいました。
同じテーマのフェアでも、選書(30点のフェアで、半分は共通、半分は各店独自枠とした)にも、店頭での展開の様子にもそれぞれのお店の独自のやり方、個性が出ていて、おもしろいですね。どんなフェアだったかをより具体的に知っていただくため、過去の記事では伏せていた選書リストを以下に上げます。
【“ブックンロール3のレポートです……非活字文庫フェア編”の続きを読む】
トークの後半の前に、ライヴのレポートです。ライヴの出演バンドは、C調ボーイズ(夏葉社島田さんのバンド)、ブックスピストルズ(吉っ読のバンド)、酔舎バンドwithみぎたとしき(出版・書店関係者のバンド)の3つ。それぞれのバンドについては、以前の記事でくわしく紹介していますので、そちらをご覧ください。(以下、まだ写真の用意ができていないため、文章のみのレポートです。後日、写真が整理出来次第、この同じ記事に、写真を追加します。)
まずは、トップバッターのC調ボーイズ。先の記事に《楽器歴ほぼゼロ、バンド経験もほぼゼロ、バンドのメンバーでさえ確定していなかったというのに、出演を快諾してくれました(笑)。さすが、自分の出したい本を出すために出版社を立ち上げてしまった人だけあって、趣味の面でもやることがまさにチャレンジャーですよね(笑)》と書きましたが、島田さんだけでなく、バンド自体も予想通りというか、想像以上に相当にチャレンジャーな感じでした(笑)。脱力気味のトークと、一生懸命感にあふれまくる演奏で、3つのバンドのなかで、いちばんあたたかい拍手をもらっていたかもしれません。
これがデビューとは思えない出来だとか、そんなことはあえて書きませんが、音楽が巧拙を超えた何かであることが強く伝わってくる、いい演奏で、このステージを見て、バンドっていいな、と思った人が出てきてもおかしくないと、そんなふうに思わせるステージでしたよ。
島田さんは途中のMC(曲間のトーク)で、まもなく出る新刊『星を撒いた街』の宣伝もしていました。当日持参した束見本((註:本文が刷られていない見本)と注文書付きのチラシを回していました。「番線印(註:注文書におす書店のハンコ)をお持ちの書店員さんは押してください」などとマジメな顔で話すので、会場は大受け。いくら熱血書店員でも、そんなの持ち歩いてるわけないじゃん(笑)。すると、今度はボーカルの、ミシマ社渡辺さんが、「ミシマ社の本は番線を押すと買い切りになってしまうのですが」(註:ミシマ社は取次を通さない、書店との直接のやりとりで知られる出版社)などとやるものだから、これまた話がわかる業界の人たちの笑いを誘っていました。どうしても長めになる二人のトークに、三省堂書店の雨宮さんと篠崎さんのお二人が、早く曲やるよ、と横から突っ込みを入れる様子がこれまたおかしくて(笑)。
ちなみに、このバンドがおもしろいのは、ステージだけじゃないんですよ。ライヴの場合、開場前の時間を使って、バンドのサウンドチェックとリハーサルをするんですが、C調ボーイズ、ばらしちゃうけど、脱走してましたから(笑)。開場まであと30分を切っちゃった、となっても現れない。進行役としては、本気でやきもきさせられましたが、後で聞いたら、他のバンドのリハを聞いたら、おじけづいちゃって、みんなでアルコールに逃避してたんだそうです(笑)。どうりで、トークがおもしろかったわけだ。
2番目は、我らが吉っ読のブックスピストルズ。昨年に続き、2回目のステージです。ノリは前回と同じですね。ドラムがいないので、リズムは打ち込み(今回は、空犬がNintendo DS+KORG M01を使って、せっせとがんばりました)、それにおもちゃパーカッションや鍵盤ハモニカが乗るという、おもちゃバンドである点は昨年と同じ。でも、練習を重ねた成果もあって、演奏自体は前回よりずいぶんパワーアップできましたよ。自分で言うのもなんですが。
ブックスピストルズのレパートリーは、受け狙いの有名曲(インスト、歌もの両方あり)と、ルーエ花本氏のポエトリーリーディング。とくに、ポエトリーリーディングは、意外にも(というと花本氏に失礼ですが;笑)評判がよくて、コアなファンに大人気、これを目当てにブックンロールに行く!なんて人がいたぐらい。
バンド経験者は一人だけというのは島田さんのところと同じ(あちらは雨宮さん、こちらは空犬)、最初は演奏が成り立つのか、というレベルでしたが、練習を重ねるごとにみんなが腕をあげていくのがわかって、なんだか中高生のころみたいで、楽しかったですね。残念ながら、初めてのライヴハウスに超満員のお客さんということで、ちょっと雰囲気にのまれてしまったのか、ミスの目立つ演奏になってしまったのがやや悔やまれるところですが(言い訳するわけではないですが、最後のスタジオ練習ではけっこういい出来だったんですよ)、全体としては悪くなかったんじゃないかなあ、などと思っています。
この日も、いちばん受けたのは、ルーエ花本氏のポエトリーリーディング。「YMOナンバーにのせて行うポエトリーリーディング」と、文章化すると、トンデモ以外の何物にも思えませんが(笑)、やってみるとけっこうそれらしく聞こえるんですよ。これまでにはなかったことなんですが、詞の内容が受けたようで、ところどころ笑いまで起こってたのには、びっくり。
ちなみに、ブックスピストルズの今回の演目ですが、オープニングは「ルパン三世のテーマ」、クロージングは「ルパン三世 愛のテーマ」という構成にしてみたんですが、気づいていただけたかなあ。まあ、こんなところに凝ってもしかたないんだけど(苦笑)
最後は、酔舎バンド with みぎたとしき。前2つのバンドは、このイベントのためのバンドでしたが、こちらは、音楽好き・楽器好きのバンド経験者たちが集まったバンドで、ふだんもときどき集まったり、別のイベントに出たりしています。3つもバンドが出るのに、初めてです、2回目です、みたいなバンドだけ、というのもちょっとお客さんに失礼かも、ということで、参加してもらいました。このバンドのメンバーについては、みぎたとしき氏が作成、当日配布した「酔舎BAND スーパー列伝!」というペーパーがありますので、会場で入手された方はそちらをどうぞ。
【“ブックンロール3のレポートです……ライヴ編”の続きを読む】
あらためて、昨日、東京・荻窪で行った吉っ読のイベント「ブックンロール」Vol.3の様子をレポートします。(以下、まだ写真の用意ができていないため、文章のみのレポートです。後日、写真が整理出来次第、この同じ記事に、写真を追加します。)
今回のブックンロール、書店がテーマのトークがメインであるのは昨年夏と同様ですが、今回はライヴのパートを増やし、以下のように、トークとライヴが交互になるような構成としました。
ライヴ1 C調ボーイズ(約20分)
トーク1 「街の本屋ですが何か?」前編(約30分)
ライヴ2 ブックスピストルズ(約30分)
トーク2 「街の本屋ですが何か?」後編(約30分)
ライヴ3 酔舎バンドwith みぎたとしき(約30分)
昨年のように、最初にライヴをやってしまって、その後にトークとするなど、前半後半に分けてしまうのとどちらがいいか、ちょっと迷いつつの実施だったので、トークとライヴが交互の構成がおもしろかった、あきなくてよかった、という感想を聞けてちょっとほっとしております。
トーク&ライヴの2部構成のうち、まずはトークの様子から。昨日のトークは、「街の本屋ですが何か?」というタイトルで、往来堂書店とBOOKSルーエという、非チェーンの独立系書店2店にスポットをあてて、街の本屋さんについてのいろいろを語ってもらおう、というものでした。トークの出演者は以下のお三方。司会進行は空犬がつとめました。
- 笈入建志さん(往来堂書店)
- 長谷川仁美さん(BOOK EXPRESSエキュート品川サウス店)
- 花本武さん(BOOKSルーエ)
まず順に自己紹介と自店の紹介から始めてもらいました。その後、本題に入る前に、書店事情にそれほどくわしくない方もいるかもしれないということで、街の本屋さんが置かれている状況がわかるよう、最初に空犬が、現在の新刊書店の数が約15,000で、減少傾向にあること、一方、大型店の新規出店が相次ぐ傾向が続いており、総床面積は微増傾向にあること、つまり、おおざっぱに言うと、大きな店が増えて小さな店が減っている、という傾向にあることを説明しました。
笈入さんと花本くんには、お店の客層や、休日と平日の違い、それらをお店作り、棚作りにどう反映しているのか(またはしていないのか)といった話をしてもらいました。千駄木=平均年齢が高い、吉祥寺=若い子が多い、だからいかにもそれぞれの客層にあった本が売れるという面は一応はあるものの、そんなに単純な話でもない、ということが具体的に聞けました。若い子が来る来ないの流れで飛び出した、笈入さんの台詞、「女子高生が来ればおじさんも来る」は名言でしたね(笑)。真偽のほどはよくわかりませんが(笑)。
そして、そのような客層に大して、どう棚を作っていくのか。往来堂は編集棚ということばを業界に知らしめたお店の1つですし、対するルーエも、2階、とくに花本氏が手がける棚は「濃い」ことで知られています。往来堂が書店特集雑誌などのメディアに取りあげられる際に、同店の仕入れや棚作りには必ずふれられますから、ここでは繰り返しませんが、笈入さんの口から直接棚作りの話が聞けると、文章で読んでいても、そして打合せのときに個人的に話を聞いていても、やっぱりおもしろく聞けてしまいます。しかも、花本くんの話と続けて聞くと、2店の違いや個性がより際立つ感じで、印象的な話でした。
笈入さんの話を受けて、花本くんがどんな棚作りの秘技を披露してくれるのかと思ったら、「他の棚で置けないような変な本がぼくのところに集まってくるんですよー。そういうのをしかたなく置いている“ふきだまり”みたいな本棚をおもしろいと言ってくれる人がいるんですよー」(大意)と、とぼけてるのかなんなのかよくわからないことを言って会場の反応を誘っていたのが印象的でした(笑)。この流れで飛び出した花本くんの台詞、「おもしろい棚ができた時点で、書店員は喜んでもいいんじゃないか」は、後で観客としてご覧になっていた知り合いの書店員さん複数から、印象に残る台詞だとされてましたよ。
【“ブックンロール3のレポートです……トーク編”の続きを読む】
ブックンロールを終えて、放心状態の空犬です。来られなかった方、遠方から応援くださった方のために、当日の様子をお伝えする記事を一刻も早く書きたいところなのですが、写真の整理に少し時間がかかっているため、レポートは明晩になるかもしれません。もうしばらくお待ちください。
事前の告知記事で予告していました通り、今回は、ポスト3.11のイベントということで、集まったお金は被災地支援として本の関係の活動をされている団体に寄付したいと考えていました。ですので、トーク&ライヴレポートの前に、以下、まずは、収支のご報告をしておきます。
昨日は関係者・出演者をのぞくと、63人のお客様にお集まりいただくことができました。出演者を入れると80人(!)。そりゃあ、キャパ50の会場では窮屈なわけですよね……。混雑した会場で窮屈な思いをされたみなさま、とくに立ち見になってしまった皆様には、あらためてお詫び申し上げます。
入場料が¥63,000、受付に置いておいた募金箱に寄付いただいたお金が¥10,066、出演者で出し合ったお金から会場費をのぞいたお金が¥6,000、吉っ読Tシャツの売上から制作費を除いた分が¥1,600、合計で¥80,666、端数がなんなので、空犬がさらに募金を追加して丸めましたので、最終的な額は、¥81,000(!)となりました。目標額は5万円だったのですが、それを大幅に上回ることができました。自分で言うのもなんですが大健闘と言える結果だったのではないかと思います。主旨に賛同し、ご協力くださった皆様にあらためて御礼申し上げます。ありがとうございました。
このお金は、近く東北行きを予定されている作家の碧野圭さんや、東北の書店・本関係の知り合いに相談のうえで、吉っ読関係者で再度検討し、どちらに/どのように募金するかを決めたいと思います。募金先や使途が決まりましたら、またこの空犬通信で報告します。
吉祥寺書店員の会「吉っ読」主催の本・書店・音楽のイベント「ブックンロール」Vol.3、昨日無事に開催することができました。会場に駆けつけてくださったみなさま、ありがとうございました。出演者のみなさま、おつかれさまでした。また、配布用にフリーペーパーを提供くださった書店のみなさま、ありがとうございました。
当日の様子は、トークとライブの2つに分けて、今晩にでもレポート記事をアップします。ご協力いただいた募金の額についても併せてご報告します。
レポート記事をアップする前に2つお詫びがあります。イベントには、こちらの予想を超えるたくさんの方にお越しいただくことができました。昨日の会場は着席でキャパ50、満員になったらいいなあ、ぐらいに思っていたのですが、最終的には、関係者も入れると、80人ほどの人数になっていたようです。そのため、多くの方に立ち見でご覧いただくことになってしまいました。こちらの読みの甘さで、せっかくお越しいただいたみなさんに気持ちよくご覧いただくことができなかった点につきましては、お詫び申し上げます。
もう1点、司会だのなんだので出ずっぱり、会場を回ったり出入り口に立ったりができませんでした。そのため、せっかくお越しいただいたのに、ごあいさつし損ねてしまった方がたくさんいらっしゃるかと思います。大変失礼しました。よろしければ、ツイッターや、今晩以降にあげるblogの記事へのコメントで、ご感想ご意見など聞かせていただけるとうれしいです。
ブックンロール直前で、まだまだ準備しなくちゃいけないことが残っているんですが、イベントの前にどうしても、この件だけ紹介しておきたくて。明日、会場では話題になっている書店フリペをいくつか配布しますが、「炎の文庫日誌」「クロネコ通信」に加え、精文館書店中島新町店で発行されている「勝手に課題図書新聞」が加わり、3紙となりました。いいタイトルですねえ(笑)。
↑左が表、右が裏。色味が暗いのは撮影環境の問題です。
いろいろな書店フリペを見てきましたが、やはり多いのは、文芸や文庫の新刊を紹介するもの。フリペ=フリー(無料)とはいえ、たくさんの人に手にとっていただくには間口を広げないといけないわけで、その点、文芸や文庫はやりやすい。作るにはジャンル限定のほうがまとめやすい気もするのですが、限定すればするほど、手にとるお客さんの数もしぼられてしまい、結局宣伝告知効果も薄れてしまう、という問題がありますから、ジャンルや対象を限定したフリペって、なかなかむずかしいのだろうと思うのです。
そのような、文芸・文庫が主流のフリペ群にあって、この「勝手に課題図書新聞」が中高生に対象をしぼっているのは、それだけでユニーク。取りあげられているのは、表がYA的な読み物数点、裏が読書感想文の書き方ですから、ジャンルとしては、「児童書・学参」の中間のような感じ、でしょうか。YAがフリペで取りあげられることはあるでしょうが、フリペの文章の半分が読書感想文指南にあてられているというのはめずらしいケースではないでしょうか。けっこうたくさんのフリペを見てる空犬も初めてです。
その読書感想文指南の面を見てみましょう。「イケてる読書感想文の書き方!?」とあって、5段階にわけた手ほどきがされているのですが、書き方もマジメ一辺倒ではなく、ユーモアがあってとていもいいんですよ。読みながら付箋を貼るのに書いておくのは「「コイツ嫌い!」とか」でもいいとあったり、「本の後味を楽しむことも大切」と、本好きにとっては当たり前でも、義務感から「読まされている」タイプの読者が忘れがちなことにさらりとふれられていたりとか。なんだか、中高生だけに読ませるのはもったいないなあ。読書感想文に困っている小中高生のいる親御さんにもいいかもしれませんね。本の読み方と作文を教えられる親は、なかなかいませんからね。
作成されたのは、精文館書店中島新町店の久田かおりさん(@bea_rieche)(タイトルにも「時間的書店員ひさだの」と枕詞がついています)。体裁は、A4両面で、1色。文章は手書きではなくワープロ刷りですが、手作り感のあふれるものになっていますよ。発行頻度は年1回。
書店フリペ好きのオトナ、それに本来の対象である中高生にチェックしてほしいのはもちろんですが、お子さん、甥っ子・姪っ子さん、お孫さんなど、回りに読書感想文で苦労している、または苦労しそうな小中校生がいるオトナにもいいと思いますよ。ちょうど季節は初夏、まもなく読書感想文の季節ですしね。
というわけで。この「勝手に課題図書新聞」、ブックンロールで配布が決まっている2紙とも、また、最近の記事で紹介してきた書店フリペともまったく違うノリのもので、とても新鮮で楽しく読ませていただきました。
ところで。昨年のブックロールでもがんばっていいろいろな書店フリペを集めましたが、東京と大阪からそれぞれ数店ずつで、他の地域はゼロでした。今回は、東京のほかに、島根と名古屋と、ふだんは行く機会のないエリア発のフリペが「参加」してくれることになりました。うれしいなあ。
ブックンロール、最後のご案内です。明日6/17、JR荻窪駅北口徒歩数分のライヴハウス、ルースター・ノースサイドにて、吉っ読のイベント「ブックンロール」Vol.3を開催します。開場19:00、スタート19:30です。イベントは3時間ほどで、22:30ごろ終了予定。終了後も、同じ場所で、打上を兼ねてしばらく飲んでいる予定です。当日のタイムテーブルは、こちらをご覧ください。
イベントは、本・書店に関するトークと、出版・書店関係者によるライヴの2本立てです。出演者については、こちらをご覧ください。
会場では、話題の書店発フリペのうち、紹介済みの「炎の文庫日誌」「クロネコ通信」に加え、精文館書店中島新町店で発行されている「勝手に課題図書新聞」も配布することになりました(「勝手に課題図書新聞」がこれまたおもしろいフリペなので、あらためて記事で紹介します)。フリペ好きのみなさんは、そちらも楽しみにしていてください。
予約は不要ですので、どうぞ気軽にお越しください。明日は残念ながら、東京は天気がよくないようですので、どうぞ足元に気をつけておこしください。なお、吉祥寺書店員の会「吉っ読」主催のイベントですが、会場は、吉祥寺ではなく、荻窪ですので、どうぞお間違えのありませんよう。
最後に1つだけ。ブックンロール、明日は、
「本屋さんってやっぱりおもしろいぜ」、
かけつけてくださったみなさんにそんなふうに思ってもらえるようなトークができるといいなあと思っております。出演者・吉っ読一同、明日、荻窪でお待ちしています。
ブックンロールをあさってに控え、直前だというのに、まだ資料類の準備が終わっていなくて、やや焦り中の空犬です。それなのに、今日買ってきた雑誌『レコード・コレクターズ』のキャンディーズ特集に目を奪われたりしているものだから、なかなか終わりません……。
こんな日ぐらい、blogの更新は休めばいいのですが、どうしてもイベント前に紹介しておきたい件があるので、ちょっとだけ。書店フリペの話題、続きと補足です。
書店フリペと言えば、空犬通信では過去に紹介済みのこちらも紹介しておかないといけませんね。リブロ池袋本店で発行している「池店別冊」です。
↑其四号。
文庫判8ページ、基本 、1色のワープロ組の文章が中心ですが、ところどころ使われた色や書影・写真がアクセントになっています。編集人は辻山良雄さん。この「池店別冊」と辻山さんについては、以前の記事でふれていますので、そちらもよろしければご覧ください。本の紹介のほか、本に関わるいろいろな方々のインタビューが収録されていて、夏葉社の島田さんやブックディレクター幅允孝さんが取りあげられたことは以前の記事にも書きましたが、今回は、編集者・丹治史彦さんが登場しています。
次は、できたてのほやほや、まさに、最近の書店フリペの話題の盛り上がりのなかかから生まれたといっていいものを紹介します。啓文堂書店から初(でいいのかな)のフリペが登場です。多摩センター店で文芸&コミックを担当されている西ヶ谷さんが作成された「クロネコ通信」。
「クロネコ通信」……なんとなく親近感を覚えるタイトルだなあ。犬が猫を紹介する構図ですな(笑)。現物を見ていただきたいので、写真はご本人撮影の、あえて粗めのものをあげてあります。
A4の1枚もので、1色。タイトル部と書影をのぞいて、本文はオール手書きです。おすすめ本に、新刊情報、さらにお店のイベントやフェアの告知もあるなど、担当の方の思いがぎっしり詰まった1枚になってますよ。配布は多摩センター店のみの予定で、啓文堂の他のお店では(現時点では)予定はないそうです。配布開始は、6/16より。
ちなみに、タイトルのクロネコというのは、啓文堂書店多摩センター店のマスコットキャラなんだそうです。お店のマスコットキャラがあって、しかもお話会に登場するということは、着ぐるみか何かがあるってことですよね(注:勝手な想像で書きましたが、着ぐるみはいないそうです)。それはすごいなあ(笑)。まさにフリペのキャラにぴったりだ。
先日の、ブックンロールでフリペを配布しますがいかが?と呼びかけに応えてくださった、今のところ唯一の書店/フリペです。感謝です。これだけフリペの話題がツイッターで盛り上がっているというのに、まったく反応がなくて、まあこのblogとツイッターで呼びかけたところでぼくの力ではそんなもんだろうなあと、いささかへこんでたので、これはうれしいなあ。というわけで、「炎の文庫日誌」と一緒に、この「クロネコ通信」もブックンロールで配布しますよ。
すでに紹介済みのフリペについて、少し補足を。一昨日の記事で紹介した、ブックセンタージャスト高津店(島根)の「炎の文庫日誌」、記事執筆時は、関東での配布店は丸善ラゾーナ川崎店(@maruzenkawasaki)のみでしたが、その後、同店とフリペのコラボを早々に実現していた三省堂書店有楽町店(@yrakch_sanseido)でも配布が始まったそうです。店頭の様子の写真はこちら。こちらの予想、想像を大幅に超える書店フリペの広がり、ほんと、すばらしいことですよ。
あと、昨日の記事で紹介したオリオンパピルス発行の「パピルス無暦だより」についても、ちょっと追記を。昨日の記事のあと、早稲田の古本屋・古書現世の向井透史さん(@wamezo)がこんなふうにツイートされているのを目にしました。公開されているものですので、引かせていただきますね(何度かに分けてツイートされたものですが、文章は変えずに、つなぎの部分をのぞいて紹介させていただきます)。
《空犬さん(@sorainu1968 )のブログ(http://t.co/yD9I8ow)を読んでいてビックリしてしまった。立川の書店、オリオンパピルス発行のフリペの名前は「パピルス無暦だより」といい、その誌名は三鷹台にあった古本屋「無暦堂」へのオマージュなのだという》
《無暦さんは自分と同じ日に東京古書会館の古書市場、水曜日の東京資料会に入った同期だった。年は15ぐらい上だったが、温厚で、知的で、それでいて風貌は山賊の親分みたいでw いろいろと面倒をみてくれた。人との付き合いを大事にしながらも自由な人で、まさに「無暦」な感じだった》
《数年後、無暦さんは入院した。ガンだった。中野の病院に入っていたのだが、見舞いに行こうとした日、仕事が遅くなり急遽行くのをやめてしまったのだが、その数日後にお亡くなりになった。あんなにデップリしていた無暦さんは、とても細くなっていた。なんだか、涙が止まらなかった》
《主のいなくなった無暦堂は、古書市場の仲間で整理することになった。本を全て市場で処理しお金は遺族の方に渡した。棚も全部自分たちで壊して店を無に戻した。後にその仲間で無暦さんの墓がある大分に旅行した。とても静かな、山奥にひっそりとあった。緑がキレイな場所だった》
《無暦堂はごく普通の、町の古本屋だった。そんなお店のことをちゃんと憶えている人がいて、人に発信するフリーペーパーの誌名として生き返っている。自分のことじゃないけれど、とても嬉しかった。》
無暦堂さんのことについては、向井さんの古書現世店番日記でもふれられていますので、ご興味のある方はぜひそちらも読んでみてください。紹介はしておきながら、無暦堂さんについてはくわしいことをぜんぜん知らなかったので、お店について興味深い情報を得ることができて、驚いています。あるお店のフリペを紹介した記事に、こんな反応があるなんて、思ってもみなかったことで、紹介した身としても、うれしいかぎりですね。ここでも、フリペを通して、お店や人がつながっているわけです。でも、いちばんうれしいのは、フリペにその名をつけた、作り手の里見さんとフリペに寄稿されたお店の人たちでしょう。向井さん、貴重な情報を、ほんとうにありがとうございました。
さて、フリペの話をもう少し。続いては、先日の記事でお店の様子を紹介したばかりの立川の新店、オリオンパピルス発行のこちら。「パピルス無暦だより」。
創刊準備0号とあります。体裁は、B6判12頁で、クラフト紙の表紙がついています。副題なんでしょうか、表紙には「紙と言葉の密林へ」とあります。さらに、辞書の「パピルス」の項目をアレンジした画像が使われていたりと、デザインにも工夫がこらされています。
前回の記事にも書きましたが、編集人は里見勝治さん。吉祥寺の弘栄堂書店で、「月刊弘栄堂」「吉祥寺上空」といったフリペを手がけてきた人ですね。内容は、全編本の紹介。新旧もジャンルも判型もばらばらで、書き手も、パピルスのスタッフだけでなく、オリオンの他のお店の方も参加しているようです。一見ばらばらな感じがするかもしれませんが、新刊にこだわらず、自分たちのおすすめしたいものを取りあげるというのは、まさにパピルスの品揃えと同じ。お店にぴったりの中身になっていると言えそう。
しっかりした造りと中身に見えますが、作った本人は不満のようで、次の1号はすごいものになると豪語しています(笑)。これは楽しみですねえ。
ちなみに、フリペの名前にある「無暦」ですが、これに反応された方は相当な古本好きのはず。里見さんに由来をうかがったところ、井の頭線・三鷹台駅近くに「無暦堂」という古本屋さんがあったそうで、そのお店へのオマージュなんだそうです。タイトルの付け方まで凝ってる上に渋い。
これも以前の記事でふれていますが、あらためて紹介しておきましょう。フリーペーパーというよりは冊子のボリュームで、特定のお店ではなくチェーン全体の共通冊子という点で、これまで紹介してきた、担当の方による手作りタイプのものとは趣が異なりますが、有隣堂の「私がおすすめする本たち」も、書店発フリペの仲間と言えるかも。いわば、書店フリペをたくさん集めたような中身と分量ですからね。
次は、正確には「書店発」ではないのだけれど、書店フリペとして紹介してもいいでしょう。
デザインとこの描き文字でぴんときた方もいるかもしれませんね。紀伊國屋書店本町店で発行されていた「文芸と文庫通信」が、担当されていたHさんが同店を離れられたために休刊になってしまったことは、この空犬通信でもお伝えしたとおり。その「文芸と文庫通信」が、「続文芸と文庫通信」として復活したのですよ。やった!
作ったのは、もちろん、本町店でフリペ作りに、そして印象的な売り場作りに腕をふるっていたHさん。残念ながら書店を離れてしまったのですが、現在、「青衣茗荷(@aoi_myoga)」名義で、絵を描いたり、このようなフリペを作ったりしているそうです。青衣茗荷さんの作品、最近の活動は、こちらのサイトをご覧ください。「文芸と文庫通信」のバックナンバーも見られますよ。
それにしても、このフリペ復活はうれしい驚きでした。ある日、Hさん改め青衣茗荷さんから、荷物が送られてきたのです。まさか、中身が、お店にいたころに作っていたフリペの続編だなんて思いもよりませんから、本気でびっくり。てっきり、元のお店で置いてもらうつもりで作ったか、製作を頼まれたかしたのかと思ったら、そうではなくて、配るあてもなしに、このようなものを作ってしまったそうなのです。自腹で、自分の時間を作ってフリペを作っている書店員さんは何人も知ってますが、書店を離れてまで、というのはさすがに初めてのケース。好きな作家を、好きな本を紹介したい応援したいという強烈な思いが伝わってきて、ちょっと、ほろっとなってしまいましたよ。
というわけで、超パーソナルに製作されているこのフリペ、配布場所が紹介できないので、ぜひ読みたいという方がいらっしゃいましたら、コメント欄にてご一報ください。お届けする方法を考えます。
【“パピルス無暦だより、文芸と文庫通信……書店フリペがおもしろい! 続き”の続きを読む】
ブックンロール、いよいよ今週金曜日です。予約不要のイベントですので、ぜひぜひ気軽に遊びに来ていただければと思います。
さて、先ほどの書店発フリーペーパーの話を記事にしましたので、その件で、少し補足を。先の記事中で紹介した、ブックセンタージャスト高津店(島根県益田市)の「炎の文庫日誌」、本日6/13から丸善ラゾーナ川崎店さんでも配布が開始されたそうなので、関東近郊の方でも簡単に入手できるようになりましたが、ブックンロールでも配布することになりました。ツイッターで話題の書店フリペがどんなものか気になる、実物を見たい、という方は、ぜひブックンロールに遊びに来てください。
昨年のブックンロールでは、東京・大阪の書店併せて10種以上のフリペを会場で配ったのですが、今回は、そのようなフリペセットはとくに用意していません。予約をとっていないのでわかりませんが、おそらく、駆けつけてくださる方の多くが本好き書店好き、書店・出版関係者という会です。そのような会で配れば、多少は宣伝告知効果もあるのではないかと思うのです。もしも、そのような会で、フリペを配りたい、配ってもよい、という書店員さんがいらっしゃったら、ぜひご一報ください。会場で配布させていただきます。
当日まであまり時間がありませんので、そのまま配布できる実物の場合は60部、もしくは印刷&コピー可能な画像ファイルのどちらかでご用意ください。色紙を使っていたり、カラーだったり、冊子形式だったりなどの場合は、実物が必要になります。単色の1枚ものなど、こちらで簡単に印刷複製が可能なものは、PDF/JPGなどのファイルをお送りくださればこちらで用意します。実物をお送りくださる場合は、前日の6/16必着で、西荻窪のbeco cafeまでお願いします。
なお、準備の関係がありますので、いきなり送らずに、事前にご一報いただけると助かります。このブログのコメント欄か、ツイッター(@sorainu1968)でご連絡ください。
この空犬通信ではたびたび取り上げていますが、わたくし空犬は書店独自の情報発信にとても興味があるもので、書店が独自に出しているフリーペーパー、なかでも担当の方の思いや個性が存分に発揮された、手作り感にあふれるタイプのものが大好き。そうしたフリペとの出会いは、書店をおとずれる際の楽しみの1つになっています。
最近いくつかおもしろいフリペを手に入れたので、まとめて紹介しなくちゃなあ、と思っていたら、このところ、ツイッター書店員さんたちの間で、何やらとみにフリペの話題がにぎやか。そうした話題にお互いに刺激されたのでしょうか、フリペを作ろうという話が出ていたり、実際に作っちゃった方がいたり、それらを送ったの読んだのの、どの店に並べたのといった話が飛び交ったりしています。昔から書店フリペをプッシュしてきた身としては、実にうれしいことになっています。
今度の金曜日、6/17は本・書店・音楽のイベント「ブックンロール」ですが、昨年夏に開催したときは、フリペがテーマの1つでした。その資料として、空犬が個人的にあちこちで集めた書店フリペをセットにして、入場者のみなさんに配ったりしたのです。そのときのフリペ一覧はこちら。「書店発のフリーペーパーはやっぱりおもしろい!」(2010/9/5 吉っ読日記)。
今年のブックンロールでは、特にフリペの話題を取りあげることはしませんが、トークの出演者、笈入さんの往来堂書店は「往来っ子新聞」を、花本くんのBOOKSルーエは「ルーエの伝言」を発行していますし、長谷川さんも、BOOK EXPRESSディラ上野店時代は、「季刊めくる」を発行していたことがあるなど、全員がフリペに関わっている方々ですから、今回も話の流れによっては、フリペのことが出てくるかもしれませんね。
というわけで、今回は、「往来っ子新聞」「ルーエの伝言」以外の、書店発フリペをいくつか紹介します。(以下、フリペ・冊子に、編集人・発行人・担当などのお名前の明記がある場合のみ、文中でお名前を紹介しています。ツイッター発だったり、ツイッターで話題になっていたりるものについては、アカウントを入れたものもあります。)
まずは、書店関連の話題をまとめた以前の記事で紹介済みですが、ツイッター書店員さんたちの間で話題になっていた、というか、このようにフリペが盛り上がるきっかけになったとも言えそうな、このコラボフリペ2点、三省堂書店有楽町店(@yrakch_sanseido)の「ブンブンコ通信」と丸善ラゾーナ川崎店(@maruzenkawasaki)の「最近こんなの読みました」から。
↑前回の記事で紹介したときは入手できていなかったもの。その後、新しい号も出ているようで、またもらいにいかなくちゃ。
「ブンブンコ通信」はA5版4頁でオール手書き。「ブンコ」とあるとおり、新刊文庫の紹介が中心で、書影はなし、文章のみのシンプルなスタイルです。文庫中心ですが、ハードカバーのおすすめもあったり、内容紹介のほかにも、新刊発売予定のカレンダーがあったり、「注目タイトル」として発売日ごとにずらりとタイトルが一覧されていたりと、文庫好きにはうれしい内容になっています。
製作を手がけているのは文庫王子さん(@bun_bun_ko)のようですが、写真のVol.4から「文庫姫」さんも登場しています。(*註:記事を書いたときは、「ミシマ社のミシマガジン「本屋さんの遊び方」で取りあげられていた方ですね」としてしまいましたが、ミシマガジンの記事は、有楽町店の公式アカウントの中の方でした。フリペを紹介するのに、人違いをしてしまうとは……。関係のみなさんには大変失礼なことをしてしまいました。)
対する「最近こんなの読みました」は、A5判24頁とボリュームがあります。こちらは、ワープロ打ちの文章がぎっしりで、紹介本には書影だけでなくイメージ写真が添えられているものがあったり、店頭で使われているPOPを写真で見せていたりと、なかなかにぎやか。こちらにも、文庫の発売予定カレンダーや発売日別の新刊一覧があります。
たくさん取りあげられている本の紹介文末尾には、それぞれ担当の方のお名前が記されていますが、中心になっているのは沢田史郎さん(@ossann46)とのこと。タイプの異なるこの2種のフリペが、2店の店頭で仲良く並んでいるわけです。先の記事にも書きましたが、別のチェーンでこのようなコラボが実現するのは、きわめてめずらしいことではないでしょうか。書店フリペ好きには実にうれしい光景ですよね。
さて、このコラボフリペ、これまでは2店2紙の話だったんですが、資料を集めてこの稿を準備している間に、さらに話がいろいろ進んでいるようで、今日、またまた強力な1紙が加わったようです。
島根県益田市のブックセンタージャスト高津店の「炎の文庫日誌」がそれ。作成されたのは、ツイッター書店員の間ではいまや説明不要の有名人、同店の文庫担当、野坂美帆さん(@nezd03)。野坂さんについては、こんなツイッターまとめがありますよ。これを読んで、「炎の文庫日誌」を読みたい、お店の棚を見てみたい、そんなふうに思わないでいることはまず不可能でしょう。
【“ブンブンコ通信、最近こんなの読みました、炎の文庫日誌……書店フリペがおもしろい!”の続きを読む】
以前の記事で紹介した(移転の件はこちら、開店前の様子はこちら)西荻窪の新刊書店、今野書店が先日6/3に、予定通り、無事リニューアルオープンとなりました。昨日、beco cafeに用事があったので、お店、見てきましたよ。
↑リニューアルの告知チラシ。旧店舗との位置関係がひと目でわかる移転先の地図が載ってます。JR西荻窪駅北口を出て、交番をすぎてすぐのところ。ほんとに近くなりました。beco cafeにもさらに近くになって、個人的にはとっても便利。
↑お店の外観。例によって下手くそな写真ですみませんが、ご存じの通り、この道路、バスに人にと、流れが途切れないもので。ブルーのライトがあざやかで、旧店舗とはずいぶん印象が変わりましたね。店内はさすがにぱちぱちやれないので、外から店内が見えるよう、ちょっとだけ近づいたのが、右の写真。
お店のサイトは、写真が旧店舗のままなので(この記事を書いている6/10夜時点で)、見比べてみるのもいいですね。
↑お店の前にはお祝いの花が。あれ、よく見たら、お隣、吉祥寺の新刊書店、BOOKSルーエのN社長のお名前だ。近隣同業のお付き合いなのかな。
↑看板がわかるようにとってみました。看板の右側に白い柱のようなスペースが見えますが、ここがフェア棚で、チラシに書いてある、山田詠美さんのフェア(ご本人の著書+セレクト本)が展開中でした。
旧店舗は1階と地階の2フロアでしたが、新店舗はワンフロア。入り口を入ってすぐに新刊台、右には雑誌のラック、そして上に書いたフェアコーナー、その奥は文芸のコーナーになっていました。
店内中程は、雑誌の棚が並び、左中央あたりにレジがあります。奥は左が実用書など、文庫の棚が2列ほど並び、右側がコミック、という感じでした。並びもすっきりしていて見やすいし、それでいて、商品数はけっこうあって、たとえば文庫なんて、売れ線だけじゃなくて、古めのもの渋めのもきちんと並べてましたね。まだ、棚が完全に落ち着いていないのか、抜けたままになってたりするところも多少目につきましたが、これからが楽しみだなあと、そんなふうに感じさせてくれる店内でしたよ。
やっぱりこれぐらいの規模の、ふつうの街の本屋さんはいいなあ。大きなお店も好きだけど、やっぱりこういう本屋さんを一周する楽しみは捨てがたいですね。通勤利用駅の駅前にこんな感じの本屋さんがあったら、ぜったいに毎日通うことになると思います。ものすごく特別な品揃えでも、変わったフェアをやっているわけでも、独自の棚編集がされているわけでもないかもしれない。でも、ふだん使いの本屋さんが近くにあるのって、ほんといいよなあと、そういう当たり前のことに気づかせてくれるお店です。
【“リニューアルなった西荻窪の新刊書店、今野書店を訪ねてきましたよ”の続きを読む】
この空犬通信で何度も告知している吉っ読のイベント「ブックンロール」まで、いよいよあと1週間。来週の今ごろは、すべてを終えて打上をしているはず。すべてうまくいって、おいしいお酒が飲めているといいんだけどなあ。
ところで、今回のブックンロール、もともとは昨年から企画していたもので、震災応援イベントとして企画したものではなかったのですが、いくら小規模で内輪のものとはいえ、そこは、やはりポスト3.11のイベントです。自分たちにできることはぜひしたい、ということで、何ができるかを考えてみました。
もとよりこのイベントで収益を上げようなどという気はありませんでしたので、入場料は500円程度を考えていたのですが、これを1000円(しかも、ドリンク代を含まない)と、素人イベントにしては高めに設定させていただきました。募金に回そうということで。
本と書店がテーマのイベントですから、本当なら、会場で物販ができればいいんですが、さすがにキャパ50のライヴハウスでは一箱古本市のようなことはできません。とりあえず、会場では、昨夏のブックンロールで販売した吉っ読Tシャツ(空犬Tシャツではありませんので、念のため;苦笑)を今年も販売します。
↑こんなのです。
色は黒で、吉っ読のキャラ「ぶっくん」とロゴが入っています。サイズはSMLがあります。昨年は1600円で販売したんですが、今年は1枚2000円とさせていただき、制作費をのぞいた差額(たった400円だけど……)を募金に回します。Tシャツが完売したとして、入場料と全部合わせてもまだまだ大した額ではありませんので、受付には募金箱も用意しておこうと思います。
集まったお金の寄付先ですが、ちょっと迷っています。日本赤十字社がいちばん確実だと思うのですが、分配でもめてるなんて記事も見ますし、それに何より、本の関係者が本のイベントで集めたお金です。できれば、直接、本の関係に使われるところに募金したいのです。
被災地の、とくに子どもたちに本を送る活動をされている団体はいくつかあるようですので、そうしたところに募金をと考えています。自分でもいろいろ調べていますので、現時点でいくつか候補はあるのですが、決めきれずにおります。ここがいいんじゃないか、とか、自分のところにぜひ、という方がいらっしゃいましたら、情報をいただけませんでしょうか。
書店・出版関係者のイベントですので、やはり、「本を直接被災地に送る」というやり方にはやや抵抗があるのです。先日の記事でも紹介しましたが、被災地の書店さんたちが復興しつつある状況を考えるならば、やはり現地の書店で本を買ってもらって、それを避難生活を送られている方々、なかでも子どもたちに届けるのがいちばんだと思うのです。こちらで買った本や、中古本を送るのも、もちろん悪いとは思いませんが、現地の書店さんたちにとって何のメリットもないばかりか、現地で本が売れる機会まで奪いかねないことを考えると、できれば避けたい。かといって、分配などの問題を考えると、東京にいる素人、しかも少額の予算しかない我々が自分たちで本を買って配って、なんてことは現実的ではありません。やはり、そのような活動をきちんとされている団体に寄付をするのがベストですよね。
というわけで。被災地支援として、本に関連する活動をされているみなさん、またそういう団体を知っているという方、自分ならこんなふうにできる、という方がいらっしゃいましたら、ぜひ情報をいただけませんでしょうか。
その他、当日、あまり場所をとらず(キャパ50のライヴハウスで、販売スペースはゼロ)に、最小限の準備で販売が可能なものなどがありましたら、ぜひアイディアをお寄せください。
イベントで集めたお金について、翌日にまとめて、このブログで額を報告、その時点で寄付先が決まっていれば、併せてご報告したいと思います。
さて、前回の記事で紹介したオリオン書房の新店、オリオンパピルス。この雰囲気、この品揃えのお店ですから、何も買わずに出てくるなんて、不可能ですよね(笑)。というわけで、短時間の滞在の割にはずいぶん散財してしまったので、うち、2冊だけ紹介します。
↑前回の紹介記事ではふれませんでしたが、吉祥寺のトムズボックスの本を集めてあるコーナーがありました。吉祥寺利用者としては、トムズボックスで買えばいいんですが、このお店で出会えたのがうれしかったので、ずらりと並んでいたなかから太田大八『雑誌「宝石」の挿絵 1952-1960』を。探偵小説・ミステリー好きでも、こんなのが出てるの、知らない人が多いんじゃないかなあ。トムズボックスは何度も顔を出していますが、この本はチェック漏れで、知りませんでした。自分の得意なジャンルで、知らない本に会う機会ってそうそうないので、こういう出会いはうれしいですね。
新聞や雑誌の連載が単行本にまとめられる際、挿絵って割愛されてしまうことが多いのですが、トムズボックスでは、このように、挿絵だけをまとめた本をいくつも出しています。これは古いのを集めたものですが、古いのだけではなく、現代作家・作品のもありますよ。挿絵目当てで、新聞連載記事をスクラップしているような本好きの方っていますよね。そういう方は、トムズボックスの本をチェックしてみるといいと思いますよ。
↑これは、オリオン書房ノルテ店で見かけた話をしばらく前の記事に書いたことがありました。Tomi Ungerer(トミー・ウンゲラー)の『Far Out Isn't Far Enough』。
このほか、雑誌やコミックも購入。さらに、文具・雑貨からも何か買いたかったので、地球儀とか、図書カードとか、シャーレとか、ガリ版印刷機とか、いったいそんなものを買っていつ、何に使うつもりだと自分で突っ込みたくなるようなものたちとさんざん迷ったあげく、なかでは比較的実用的だと思われる、前回の記事で写真入りで紹介した芯ホルダーを購入しました。この持ち重りのする感じ、いいなあ。気に入りました。問題は、何に使うかだなあ。何しろ、エンピツ、ふだん使わないからなあ(苦笑)。
↑初めてのお店での買い物ということで、ふだんはことわるブックカバーをかけてもらいました。オリオンのとも、PAPER WALLのとも違った独自のデザイン。なかなかいい感じですよ。写真にはありませんが、しおりもエンボスのある黒い紙にロゴの入ったもので、シンプルで、なかなかかっくいい。かっこいいと言えば、いただいた名刺の裏側までかっこいいのであった。ぼくは書店に「おしゃれ」を求めたりしないほうなんですが、こういうところがしゃれている、と書くとうまく伝わらないかもしれませんが、きちんと「デザインされている」のはとてもいいと思います。
↑買い物ではありませんが、これもぜひ紹介しておかねばなりません。パピルス独自のフリーペーパーを作るらしいことは、今回案内してくれた里見さんから事前に聞いていたのですが、完成品がこれ。「パピルス無暦だより」。編集人も里見さん。「月刊弘栄堂」や「吉祥寺上空」など、里見さんが過去に手がけてきたフリペをご存じの読者の方もいると思いますが、それらの雰囲気を濃厚に感じさせるこのフリペは必読ですよ。里見さんいわく、今回は0号ということで、これぐらいしかできなかった、ということですが、「これぐらい」にしては何やらずいぶん力が入っています。
次の第1号が本当の意味での創刊号ということで、ものすごく力を入れて作るそうです。「書店のフリペ史に残るものを作るから」と里見さん。な、なんか、すごい自信と熱意だなあ(笑)。書店フリペ好きとしては気になります。最近、書店発フリペがツイッターでも盛り上がっていて、この空犬通信でも、いくつかまとめて紹介する予定で、原稿を準備中なので、内容については、またあらためて取り上げることにします。
なお、パピルスを訪問したという方から、フリペに気づかなかったという話を聞きました。場所は、上の写真にある通り、棚の中にありますよ。レジのところにはたしかなかったはず。なので、同店を訪問された際は、書棚のなかを探して、このフリペを見つけて持ち帰るのをお忘れなく。
以前の記事で、開店前の様子を紹介したオリオン書房の新店、オリオンパピルス。今日、やっと訪ねることができましたよ。ツイッターで見かける同店の感想が好意的なものばかりで、評判になっているようだったので、楽しみにしていたんですが、行ってみたら、そうした評判評価も納得、とてもすてきなお店でした。以下、お店の様子を紹介します。
(以下、店長の小宮さん、人文他のセレクトを担当した旧知の里見さん、文具・雑貨担当の堤さんにうかがった話をもとにしています。写真はすべて空犬がお店の許可を得て撮影したものです。写真がたくさんで、だらだらと長いです。)
6/1にオープンしたオリオンパピルスは、JR立川駅直結の商業施設、グランデュオ立川の6階にあります。お店のリンク先のフロアマップをご覧いただくとわかりますが、女性客を意識したとされる人気ショップがずらりと並ぶなかにあって、約95坪という広さは、ハンズビーに次ぐ広さ、同フロアのメインショップの1つという位置付けでしょうか。
↑エレベータ側から見たところ(左)、お店のサイン(中)、通路から左奥の壁を見たところ(右)。
事前情報として参考にさせていただいた「ウラゲツ☆ブログ」さんの「新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん」(5/16)では、《書籍雑誌:95坪、文房具・雑貨・CD・カフェ:ほか》とありましたが、カフェはありませんでした(同じフロアにタリーズが入っていますが、場所は少し離れています)。
もっとPAPER WALL寄りの感じを想像していたんですが、立川のそれとも、品川のそれとも違って、独自の雰囲気になっています。本と雑貨を完全に分けずに、いろいろなものがいい意味で混在しているし、什器もいい意味でばらばら、足を踏み入れての第一印象は、おもちゃ屋さんみたいでおもしろそう!、でした。(以下、書店好き・本好きが棚を見る楽しみを奪ってはいけないし、実際に店頭で見てほしいので、本の棚の写真はあえて少なめとし、文具・雑貨寄りにしています。)
↑セレクトショップなので、ふつうなら平積み・面陳になりそうもない本があちこちで目に入ります。写真は文芸の棚の一部。話題の『いねむり先生』は1冊だけで、平積みになっているのは色川武大の文庫たち。
文芸のセレクトも、本好きのツボを刺激しそうなものになっていて、ブローティガンの文庫がまとめて平積みになっているのはまだわかりますが、冨山房百科文庫の『退屈読本』上下が平積みになっていたり、というのはうれしい驚き。ほかにも、金井美恵子の文庫がずらりと平積みになっていたり、詩のコーナーでは『珈琲とエクレアと詩人』(港の人)と『北園克衛詩集』が並んで平積みになっていたりと、気になるものを挙げ出すときりがありません。
棚は、文芸・美術・児童など、よくある分類になっているものもありますが、通常の分類に収まらない棚もあります。それぞれの棚には、ジャンルのプレートはありませんが、わかりにくい感じはなくて、なんとなく見てわかるというふうになっています。
↑装丁関連の本が並ぶ台。装丁本好きとしてはうれしくなるセレクトですね。マイナーなものまで、よくそろえてあります。近くには、印刷やリトルプレス関連の本と一緒にガリ版印刷キットが並ぶ台も。
什器にも工夫がこらされています。スチールあり、木ありで、高さも色もタイプもばらばら、なかにはかなり年季の入った見た目の中古のものなども使われているようです。一見不揃いなのに、まったく違和感なく、仲良く並んでいます。
↑什器といえば、たとえばこの写真、棚の背の部分に何やらぺたぺたと紙が貼ってあるのが見えるでしょうか。この棚、写真左には中島義道、佐野眞一らの名が見え、その下の段(写真中)には労働関係が、その下の段(写真右)はナガサキ関連本と松本清張が同居するなど、まとめ方、本のつなげ方のおもしろい棚になっていますが、その棚の背や脇の部分に、直接本とは関係あるのかないのかよくわからないものが貼ってあって、これが見た目にもおもしろいアクセントになっています。
ちなみに、写真左に見えるのは、山田かまちのデッサン展のチケットの実物なんだとか。この棚には、内容的に直接関連のないアナログレコードが飾りに使われていたりしますから、こうした棚の「遊び」もぜひチェックしてみてください。
先にも書きましたが、文具・雑貨は店内でコーナーが完全に仕切られているわけではなく、いい具合に混ざりあっています。本好きが気になりそうなものもたくさん置いてあって、目移りがしてしまい、何を紹介していいのかもわからないので、おすすめのもの、プッシュしているものを担当の方に案内していただきましたよ。以下、文具・雑貨はお店のおすすめを中心にピックアップ。
【“立川の新店、オリオンパピルスはとってもいいお店でした”の続きを読む】
今朝、朝日新聞の新聞広告(全5段)を見ていたら、『週刊ポスト』の新シリーズ「本に生かされた人々の記録 復興の書店」という記事が目にとびこんできました。書店派としてはこのタイトルの記事を読まないわけにはいきませんね。早速購入、読んでみました。
書き手は、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作家の稲泉連さん。不勉強で著書は未読ですが、受賞作『ぼくもいくさに征くのだけれど』(中央公論新社)のほか、『僕の高校中退マニュアル』(文藝春秋)などがある方ですね。
不定期連載ということで、通し番号などは入っていませんが、初回の記事は、「被災地では「御礼状の書き方」が売れている」というタイトルで、ブックポートネギシ社長・千葉聖子さん、金港堂石巻店店長・武田良彦さん、ヤマニ書房エブリア店店長・吉田政弘さんの3店、3人の書店員の方が取り上げられています。
帰りの電車のなかで読んだんですが、まいりました。3店のみなさんの言葉に、電車のなかだというのに、思わず涙が出そうになってしまって……。ぜひ元記事にあたっていただきたいので、今回はあえて文章を引きませんが、各店の小見出しだけ引いておきましょう。「生きてる本屋も殺す気ですか」「何があっても教科書は届けなければ……」「自分で雑誌を買ってきてお客様に渡したい」……この見出しを見て読みたくならない書店好きはいないでしょう。書店に関心のある方は必読です。不定期連載とのことだが、ぜひ続けてほしいなあ。
ポスト、ふだんは書評欄は必ずチェックするものの、それほど熱心な読者ではないのですが、最近では、『AERA』が例の表紙の号で物議をかもしたときに、対照的な前向きな特集号を出して評価されたり、ということがありましたね。「週刊読書人」6/3号に小谷野敦さんが、「新聞・月刊誌がダメな時代に 雑誌本来の姿を保つ『週刊ポスト』」という記事を寄せています。原発関連の報道姿勢についてふれた後に、《概してこのところの『週刊ポスト』は、月刊誌よりよほど充実していて、新聞がダメ、月刊しもダメという時代に、雑誌本来の姿を保っていると思う》と書かれています。当方は不勉強すぎて各紙誌の震災・原発報道の内容を比較することなどまったくできませんが、復興書店にスポットをあてた、このような良記事が出てくるということ自体、同誌の姿勢や小谷野さんの言う充実ぶりとリンクしていると言えるのかもしれませんね。
さて、話戻って、取り上げられている3店のうち、ブックポートネギシの社長・千葉聖子さんは、「新文化」2011/4/28号(ヘッドライン一覧はこちら)で大きく取り上げられていましたね。「3.11大震災/「心をひとつに・・・」書店再生へ決意新た/「ブックポート ネギシ」/大船渡/千葉社長に聞く」がそれ。この記事も非常に印象的でしたね。震災からひと月ほどの時期だったこともあり、会社で震えながら読んだのを思い出します。ポストの記事で興味を引かれた方は、ぜひこの「新文化」の記事も、図書館などで探してみてください。ポストの記事と合わせて、書店に関心のある向きには必読と言っておきます。
【“こういうのが読みたかった……『週刊ポスト』新シリーズ「復興の書店」”の続きを読む】
今日は人に会う用事で、汐留にいました。おやぢの街=新橋界隈なら問題ないんですが、汐留辺りとなると雰囲気一変、来慣れない街で緊張します。ふだん来ない街でちょっとだけできた空き時間で何をしていたかというと、やっぱり書店をのぞいてるんですよねえ。リブロ汐留シオサイト店と文教堂書店カレッタ汐留店をのぞいてきましたよ。
↑例によって、下手くそなぼけぼけ写真ですみません……。
汐留シティセンターの地下にあるリブロは、バランスのいい品揃えのコンパクトなお店。壁際の棚上に本を面陳で並べるなど、棚上の空きスペースをギャラリーのように使っているのが印象的。カレッタ汐留の地下にある文教堂書店のほうは、さすが電通のお膝元ということで、広告・デザイン関連の棚が充実していました。『ブレーン』がこんなに目立つところに複数展開されているお店は初めて見たかも(笑)。徒歩で5分も離れていない2店ですが、見事にキャラの違う店になっていました。汐留には、芳林堂書店もあったはずですが、今日は2店で時間切れ。ふだん行かない街での書店巡りは楽しいものです。
さて。今日も書店の開店関連のニュースです。以前から噂は流れていましたが、なかなか正式に報じられない状態の続いていた、丸善/ジュンクの静岡出店の件です。しばらく前に、こんな記事が出ましたね。「名称は「新静岡セノバ」 静鉄の再開発商業施設」(6/2 アットエス)。
記事の一部を引きます。《静岡鉄道は2日、静岡市葵区鷹匠の新静岡センター跡地に建設中の再開発商業施設の名称を「新静岡セノバ」に決めたことを明らかにした。約150店舗のテナント構成で、10月開業を予定する。既に誘致が明らかとなっていた生活雑貨店の東急ハンズのほか、家電量販店や大型書店などが核テナントになる。》この「大型書店」が丸善/ジュンクだというわけです。
《商業施設や鉄道駅、バスターミナルなどで構成するメーンの建物は地下1階、地上9階建てで、共用部分を除いた店舗面積は3万2千平方メートル。》《県内初進出となる東急ハンズ以外の核テナントは、家電量販店のノジマ、書店の丸善&ジュンク堂、静活(静岡市葵区)のシネマコンプレックス「シネシティ ザート」、食品スーパーのしずてつストア。》と、記事中でブランドが「MARUZEN&ジュンク堂書店」であることが言及されていますね。時期的に見ても確定情報でしょう。
書店についての言及はこれだけで、広さなどくわしい情報はあがっていません。施設全体の店舗面積としてあがっている32,000平米は坪換算で9680坪。500台以上の駐車場のある大型商業施設ですから、MARUZEN&ジュンク堂書店が千坪クラスのものになるのは、ほぼ間違いないでしょう。
MARUZEN&ジュンク堂書店のサイトには告知は出ていませんが、Wikiの「丸善」のページには、《新静岡店 - 2009年1月に新静岡センター建て替えのため一時閉店。2011年10月に新静岡セノバにMARUZEN&ジュンク堂として出店予定。》という記述があがっています。
【“噂の大型出店、確定に……静岡は「MARUZEN&ジュンク」ブランドで10月に”の続きを読む】
一昨日は、この空犬通信でも何度か本を紹介したことのある、鎌倉の出版社港の人さん主催の会に参加してきました。
メンバーは、出版社に書店に編集者にライターにと、みなさん本の関係の方ばかり。さらに、なんと、岡崎武志さん(!)まで。この前は一箱古本市でお目にかかってますし、神保町でもよくお見かけするし、何より、ずっとその著書を読んできているもので、なんだか「初めまして」な感じがぜんぜんしないんですが、でも酒席をご一緒するのはもちろん初めて。なんだか緊張してしまいましたよ。
初めてお会いする方のほうが多い会だったので、非社交的かつ小心な空犬は萎縮しまくりだったんですが、みなさん気さくな方だったので、窮屈な思いをすることなく、楽しい時間を過ごせました。主催の港の人さんとはツイッターでは何度かやりとりさせていただいているというだけで、何の縁もないに等しい当方に声をかけてくれたのは、夏葉社の島田さん。島田さん、サンキュウでした。
↑最後はみんなで寄せ書きまで(笑)。あっ、ぼくは本名を書いちゃったので、その部分、消してあります。
↑岡崎さんは、「「女子の古本屋」による「女子の古本市」~岡崎武志さん著『女子の古本屋』(ちくま文庫)刊行記念~ 」のチラシを配っていました。
その会では、吉祥寺つながりということで、その島田さんと、よく3人で飲んでいるアルテスパブリッシングの鈴木さんも一緒でした。さらに、お会いするのは初めてだったんですが、クレインの文さんにもごあいさつすることができました。そう、第49回西荻ブックマーク「「吉祥寺で出版社を営むということ」~アルテス、クレイン、夏葉社の場合」の3人がそろったわけですね。結局、この3人+空犬で、2軒目まで行ってしまいましたよ。おかげで、飲み過ぎ、翌日は半日使い物にならず(苦笑)。
飲み会の話だけというのもなんなので、同席させていただいたみなさんのうち、アルテスパブリッシングと港の人のことを少し。
【“鎌倉の出版社「港の人」主催の会が吉祥寺で”の続きを読む】
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