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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

明日から池袋で円谷特撮の特集上映がありますよ

今日は『マチェーテ』を観てきましたよ。最初から最後まで、(心の中で)大笑い&大拍手。久々に純ボンクラ映画を楽しみました。この作品については、いずれ(って、予告して取り上げるような作品でもないんだけど;苦笑)。そうそう、映画と言えば、最近はまじめな話題、それも書店関係ばっかりだったので、久しぶりに特撮ネタを。


池袋の新文芸坐で、明日12/1から、こんな特集上映が始まるようですよ。「「ゴジラ」「マタンゴ」「獣人雪男」円谷作品を特集上映」(11/29 朝日新聞)。上映館のサイトはこちら、「『定本 円谷英二 随筆評論集成』出版記念 没後40年 特技監督・円谷英二の世界」。チラシのPDFがダウンロードできますが、上映スケジュールの裏面のみで、表がない……。


記事やサイトにある通り、「ゴジラ」「モスラ」「ラドン」らのほか、「マタンゴ」「日本誕生」など怪獣もの以外のもの(まあ、前者は広義の怪獣ものではあるけれど)も含め、計14本。2本立て1300円で、3回通し3000円券もあるようです。


東宝特撮といえば、東宝特撮映画DVDコレクションが刊行中ですが、今回の上映作品のなかには、このコレクションに含まれていない、『阿片戦争』『白夫人の妖恋』(どちらも、特撮者のわたくし空犬も未見です)や、コレクションに含まれていないだけでなく、その内容から上映機会自体が少なくて、当然未ソフト化、今後もソフト化はなさそうな『獣人雪男』も含まれています。


1週間しかないし、作品数も少なめ、基本1作品1日で、予定が合わなければ観られない、というなかなか大変なスケジュールですが、特撮者で未見の円谷特撮が上映作品に含まれているという方は、万難排して池袋に全速力で駆けつけてください。やっぱり、特撮はでっかいスクリーンで観たいものですよね。


ちなみに、特集タイトルの副題にある通り、↓この本の刊行記念なんですね。


  • 円谷英二・著、竹内博・編『定本 円谷英二 随筆評論集成』(ワイズ出版)
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今週も2軒、新刊書店オープンがありますよ

新刊書店、オープン関連の情報です。今週は気になるオープンが2軒あります(ほかにもあるかもしれませんが、情報として知っていて、個人的に興味があるものは、という意味です)。1つは、12/1に札幌にオープン予定の、丸善書店札幌北一条店。以前に紹介したときには、まだ支店名がわからなかったんですが、これが正式店名のようですね。広さは約210坪。ビルの1階、路面店のようです。


札幌は、新刊書店的にはなかなかの激戦区。そんな札幌の新店、それも丸善の新店ということで、どんなお店になるのか、個人的にも興味津々です。ぜひ様子を見てみたいけれど、しばらく札幌に行く予定がありません。仕事で行けたりしたらいいのになあ。


何か情報を、といろいろ見ていたら、くわしい情報を、ウラゲツ☆ブログさんがアップされているのを見つけました。「新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん」(11/10 ウラゲツ☆ブログ)。店名のこと、帳合いのことなど、とてもくわしい記事なので、書店事情に興味のある方はぜひそちらをどうぞ。


札幌は、ちょっと遠くてすぐに駆けつけるわけにはいかないんですが、今週のもう1つは近場です。これもすでにご紹介していますが、啓文堂書店多摩センター店が、同じ12/1にリニューアルオープンとなります(現在は閉店中)。こちらも広くなって(約270坪)、駅の改札階に戻ってくるということで(仮店舗は1階だった)、楽しみ。開店当日の様子を見たいのはやまやまなんですが、当日と直後は、いろいろな版元さんが訪ねてくるだろうし、お店のみなさんも忙しいだろうから、翌週の、お店が落ち着いたころにゆっくり見に行くつもりです。



↑今晩の読書。


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ブックンロール第2弾「わっしょい!理論社」、無事終了しました

先日、11/26(金)の夜は、吉祥寺書店員の会「吉っ読(きっちょむ)」のイベント、ブックンロールの第2弾「わっしょい!理論社」でした。十数人のお客さんが集まってくださり、こぢんまりと楽しい時間を過ごすことができました。当日お集まりくださったみなさま、事前のツイッターでの告知にRTでご協力くださったみなさま、そのほか、いろいろなかたちで応援してくださったみなさま、ありがとうございました。


会の様子は、近日中に「吉っ読日記」でご報告させていただく予定です。また、当日イベント会場で配布した、理論社本紹介冊子に掲載した文章も、「吉っ読日記」にアップしていく予定です。


傑作絵本『100かいだてのいえ』がらみの展覧会が、まもなく吉祥寺で

吉祥寺で、本がらみの美術展が開かれるようなので、まだ少し先ですが、ご紹介しておきます。「『100かいだてのいえ』のひみつ 岩井俊雄が子どもたちと作る絵本と遊びの世界展」


岩井展プレスリリース

↑こちらはプレスリリース。


タイトルにある通り、メディア・アーティスト岩井俊雄さんが手がけて大ヒットとなった絵本、『100かいだてのいえ』『ちか100かいだてのいえ』がテーマの展覧会です。



↑2冊とも傑作。100階を上ったり降りたりの絵本が楽しくないわけがありません。わが家でも、親子両方のお気に入り本です。


会期は、2010年12月23日から2011年2月20日まで。場所は、武蔵野市立吉祥寺美術館。入場料は100円。


プレスリリースによれば、絵本の原画の展示のほかに、以下の内容が用意されているようです。


  • 『100かいだてのいえ』『ちか100かいだてのいえ』ができるまで
  • いわいさんちのあそび
  • みんなで『100かいだてのいえ』を描こう!

このほか、初日には岩井さんご本人が講師をつとめるオープニングトークがあるほか、会期中には、親子向けイベントも用意されているようです。なんだか楽しそう。まだサイトに詳細があがっていませんが、まもなくアップされると思いますので、イベントの日時などについては、美術館のサイトでご確認ください。


『100かいだてのいえ』『ちか100かいだてのいえ』のファンはもちろんですが、もしもまだこの、大人が読んでも楽しい傑作絵本をご存じないという方にとっても、すばらしい本との出会いの場になる可能性が大です。近隣在住の本好き、週末に吉祥寺に遊びにくる方々も、ぜひ武蔵野市立吉祥寺美術館に駆けつけてください。


この展覧会の帰りには、相当に「絵本が読みたい!」気分が高まっていることでしょう。BOOKSルーエジュンク堂書店吉祥寺店、リブロ吉祥寺店などなど、吉祥寺には、美術館の周囲に、いい本屋さんがいくつもありますから、岩井さんの本や、そのほかの絵本たちを、児童書コーナーでぜひチェックしてみてください。少し足を延ばせば、トムズボックスやおばあちゃんの玉手箱など、児童書に強い専門店もありますよ。




↑岩井さんには絵本以外に、こんな著書も。これもおもしろい本でした。事前に読んでおくと、展示内容をより楽しめるかもしれませんが、展示後に読むのもいいかもしれませんね。


「本屋のない町で/私たちは幸せだろうか?」

しばらく前の話題になりますが、書店応援派としては、この広告はぜひ記録に残しておきたいところ。なので、ちょっと今さらな感じではありますが、紹介しておきます。


宝島広告

2010年11月17日(水)、朝日新聞朝刊に掲載された全5段広告。掲載はムック1点のみ、3分の2ほどのスペースを、ご覧の通り、こんなコピーが占めています。
《本屋のない町で
私たちは幸せだろうか?》


大手をはじめ、出版社がみな電子電子と大騒ぎのこのご時世に、あえて《宝島社は、電子書籍に反対です。》とうたう広告を、全国紙に出す……よくやったと拍手の人もいれば、こういうやり方があざといなどと感じられて気に入らない人もいるでしょう。


日米同時新聞広告や、雑誌創刊時の派手なキャンペーンなど、独特かつ派手な宣伝告知は同社のトレードマークのようなもの。個人的には、そうしたやり方に、全面的に好感を持っているわけでも、また同社の特別なファンというわけでもないのですが、でも、
《本屋のない町で/私たちは幸せだろうか?》
《電子書籍に反対です。》
というコピーの広告を全国紙に出すというのは、少なくとも現時点では、他の出版社にはできないことであるのは間違いないので、単純にすごいなあ、と思った次第。



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古書ほうろう、そして往来堂書店でお買い物

昨日、古書ほうろうを訪ねたときのこと。お店に入ってすぐの棚に、「緊急企画」とあって、『昔日の客』と、なかに登場している作家たち、正宗白鳥、尾崎一雄、尾崎士郎らの本がずらりと並べてあるではないですか。




こんな棚を目にしてしまったら、『昔日の客』を勝手に応援している一人としては買わずに出るわけにはいかないよね。というわけで、資料と本で鞄はパンパン、往来堂に寄らなくちゃいけなくて、その後打合せもあるっていうのに、ついついじっくり棚を見始めてしまい、結局買い物まで……。未所有の尾崎本のなかからこれをゲット。


さわがに

↑外箱の装画が本体表紙にも使われています。


この棚、レジのすぐ前なので、支払いのときに、「いい棚ですね」なんて、話しかけたものか、いや、そんなことしないほうがいいのか、なんだかすごく迷ってしまって、でも結局、そそくさと退散。我が身の小心であることよ……。一箱古本市のときも、ずいぶん迷ったんだよなあ。


メインの用事の往来堂書店へ。お店独自のフェア、「あの人に贈りたい本 2010・冬」が先週から始まっています。


往来贈りものフェア1

↑Hさんからは「飾りつけがまだなので……」と言われてたんですが、とりあえずパチり。


これは贈りたいなあ、贈られたいなあ、という本に混じって、これを人に贈るのか!とツッコミをいれたくなるような本も並んでいて、眺めているだけで楽しいです。実は今回、選書で参加させていただいたので、わたくし空犬セレクトの本も1点並んでます。先週金曜に始まったばかりだというのに、早速1冊売れたとのこと。う、う、うれしいなあ。


これからクリスマスにかけてギフト本のシーズンですが、そのギフト包装用のハンコを、消しゴム版画でわざわざ自作しているという話をHさんから聞いて、フリペにフェア帯にフェア景品にと、どこまで手作りが好きな人なんだと、あきれ……もとい、うれしくなりましたよ(笑)。


往来贈りものフェア2

しかも、そういうノリが、Hさんだけじゃないところがすてきです。↑これ、ラックに手作りでつけられた小さな棚なんですが、Hさんが「あれ、これ、誰が作ったんだろう」などと話していたら、お店のスタッフの方が「それ、店長です」って(笑)。笈入さんまで手作り派なんだ。ほんと、DIY全開のお店で、ますます好きになりますよね。


フェアと言えば、こちらもありますよ。「D坂文庫 2010・冬」。こちらにも選書で参加させていただいています。


D坂冬1D坂冬2

この日は時間がなかったので、じっくり見るのは次回の楽しみとし、今回は撮影だけ。選んだ本、売れるといいなあ。


D坂冬メモ

↑今回もありますよ、乱歩メモ帳。まだ買い物してないんですが、参加賞ということで、いただいてしまいました。


往来っ子新聞101125_1往来っ子新聞101125_2

↑いつものように、これらもいただいてきましたよ。最新号は、『海炭市叙景』の特集。




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アトレ秋葉原の三省堂書店の新店も見てきましたよ

さて、次は、先週の金曜日、11/19にオープンしたばかりの三省堂書店アトレ秋葉原1へ。JR秋葉原駅の電気街口を出てすぐ、元のアキハバラデパートあらためアトレ秋葉原1の2階に、お店はあります。


アトレ秋葉原ガイド三省堂アトレガイド

↑アトレのガイドと、三省堂書店の紹介部分。


三省堂アトレ正面三省堂アトレ側面

↑左は、エスカレーターをあがってすぐの、店名の看板と新刊台のあたり。右はフロア中央寄り、お店の側面からもパチりとやったもの。


三省堂アトレ秋葉原1フロアガイド

↑フロアガイド。コミックと、それ以外に大きく分かれています。コンパクトなお店ですが、お店全体のサイズの割に、レジ前の通路が広めに取られていました。秋葉原は昼時がものすごく混雑しますから、そういうお客さんの数や流れも考えてのことでしょうか。


配管むき出しの天井に、かつてのアキハバラデパートっぽい感じをとどめていると言えなくもないですが、施設全体の感じも、入っているお店も完全に今どきのそれで、以前の昭和感濃厚な雰囲気は皆無。秋葉原の駅ビルだというのに、オタクっぽい感じ、電機っぽい感じも周到に避けられている感じです。


たとえば。この立地での新刊書店となれば、鉄道やPC関連書籍はもちろんのこと、あとコミックも、通常の品揃えよりは、秋葉原受けしそうな感じを増やすなど、意図的にシフトしているかと思ったら、とくにそんなことはなくて、鉄道もパソコンもふつうの扱い。コミックは、ジャンルの知識がないので、くわしい分析はできませんが、さすが秋葉原は違うなあ、という感じはとくにしませんでした。


かつて、アキハバラデパート3階にあったアキハバラブックセンター(でしたっけ)が、あきらかに他の街の新刊書店とはぜんぜん違う圧倒的に濃い品揃えであることが店頭を見ただけでどんな素人にも一目瞭然だったのとは、コンセプトからして違うわけですね。


でも、それはある意味、当然かもしれませんね。オタ系の書籍で、周囲のディープなお店と競ってもしかたないですし(実際、たとえば、すぐ近くにK-BOOKSとかがありますしね)、パソコン関連書籍については言うまでもない。駅ビルの、このサイズの新刊書店としては、それよりも全ジャンルをバランスよくカバーしたほうがいいに決まってますからね。


ちなみに、鉄道関係ですが、同じフロア、三省堂書店のすぐ隣に、「トレニアート」なる鉄道雑貨のお店があり、そちらに、鉄道関係の本がけっこう置いてありました。なるほど、そのような棲み分けがされていたのかと得心。


ブックファーストは残念ながら撤退してしまいましたが、秋葉原には、いかにも昔ながらの秋葉原っぽい品揃えの書泉ブックタワー、ヨドバシカメラ内のワンフロアという立地で、在庫数もカバーする分野も圧倒的な有隣堂があります。どちらも秋葉原らしい、いいお店だと思いますが、新刊の雑誌や文庫、コミックをざっと眺めたい、話題の本を手っ取り早く見つけて買いたい、そういうタイプの買い物にちょうどいいサイズと品揃えのお店が、駅から便利なところにないと言えばなかったので、この三省堂書アトレ秋葉原1は、そういうニーズにぴったりなお店になりそうですね。そんな印象を受けました。


前の記事にも書きましたが、秋葉原、かつてのアキハバラデパート時代に比べると、新刊書店にとっては競争の激しいエリアになっていると思います。ただ、秋葉原は、街の規模といい、昼夜/平日休日の人口といい、客層といい、タイプの違う複数の新刊書店が共存してやっていける街だと思うのです。三省堂書店アトレ秋葉原1の関係者のみなさん、それから有隣堂ほか既存店のみなさん、がんばってください。秋葉原が、「書店的にも」おもしろい街になることを、本好き書店好きとして大いに期待しています。


東京駅にできたブックエキスプレスの新店を見てきました

午後、書店回り。気になっていた新店2軒をのぞいてきましたよ。まずは、BOOK EXPRESS東京駅京葉ストリート店から。これは、東京駅に本日オープンしたエキナカ「京葉ストリート」内にできたBOOK EXPRESSの新店。先月閉店した東京南口店のリニューアルと考えていいでしょう。場所も、旧東京南口店の向かいあたりになります。


BEX京葉看板

↑京葉ストリート、オープンのお知らせポスター。


京葉ストリート案内京葉ストリート案内のBEX

↑京葉ストリートのガイド。中を開けて、ブックエキスプレスの部分を拡大したのが、右。


ただ、リニューアルと言っても、場所を移してちょっときれいになった、というレベルではなく、激変、まったくの新規店に生まれ変わったといっていい、変貌ぶりでした。


BEX京葉1BEX京葉2

↑人の流れが絶えないので、撮影が大変。左の写真で中央に見える、スリットの入ったデザインウォールの左右が入り口で、向こう側に雑誌の棚、手前はフェア棚。その左に見えるボックス状の棚はランキングが展示されていました。


BEX京葉3BEX京葉4

↑仕切りのウォールの右側をぱちり。人の流れの合間をぬって急いで撮ったら、1枚は見事にボケボケ……。でも、参考にということで載せておきます。


BEXフリペBEXフリペ裏

↑戻って、ウォールの左側、フェア棚の平台には、なんとこんなフリーペーパーが山積みになっていました。店名と同じ「book express」の「←出発進行号」とあります。ちょっと「LOVE書店」を思わせるような感じのデザインと造りです。中を開けると、「GREEN PAGE」(後述)の説明、コミック、短篇小説、エッセイ、ブックレビューなどが掲載されています。A4判8ページ、オールカラー。


BEXブックカバー

↑リニューアルに合わせてこんなフリペを作っちゃうだけでもすごいのに、ロゴ、それにブックカバー、しおりなどのグッズのデザインも一新されています。これはブックカバーとしおり。


色味の薄い感じで統一された上品な什器といい、照明の感じといい、スペースに余裕をもたせた造りといい、以前のブックエキスプレスとはまったく印象の違う、お洒落な店舗になっています。


そうしたイメージのきわめつけが、店内の奥、レジの脇あたりに設置された、「GREEN PAGE」の棚でしょう。丸い柱をぐるりと本が取り巻くように並べられた棚と、壁際にL字に並べられた棚の2つから成っています。棚と壁の間には、棚と色を合わせた座り読み用の、背のないベンチ(台)が置かれています。


2枚目の店内写真の奥に、少しその壁の棚が見えているのがおわかりいただけるでしょうか。通常の棚板で並行に区切った棚ではなく、松丸本舗チックな(ことばではうまく説明できないのですが)ボックス状に区切ったスペースを並べたような棚になっています(なんか、実際のイメージと違う説明になっていたらごめんなさい)。店内ではさすがに撮影できませんが、twitterに写真があがっていますので、こちらを見てみてください。


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ブックンロール第2弾「わっしょい!理論社」、いよいよ明日です!

何度かこの空犬通信でもご紹介しています、吉祥寺書店員の会「吉っ読(きっちょむ)」のイベント、ブックンロールの第2弾「わっしょい!理論社」、いよいよ明日となりました。


いろいろ大変なことになっている理論社を勝手に応援しようというのが今回イベント。理論社と言えばイコール児童書・YAのイメージが強いと思いますが、実は大人が読んでもおもしろい本がたくさんあります。そういう本たちを、理論社ファンの書店員&出版関係者が、いろいろご紹介したり、おすすめしたりしよう、というものです。


理論社といえば、まど・みちおさんをはじめ、詩の本をたくさん出している版元でもあります。ということで、おすすめ本のトークのほかに、イベント後半には、ポエトリーリーディングも用意しています。朗読は、夏のブックンロールでもポエトリーリーディングを披露した、吉っ読の詩人、ルーエの花本武がつとめます。


イベントの詳細は、今回のイベントの会場である西荻窪のブックカフェbeco cafeのサイトにアップされていますので、そちらをご覧ください。予約の方法、連絡先もそちらにあります。また、内容は重なりますが、吉っ読のサイト「吉っ読日記」にも詳細がアップされていますので、よろしければご覧ください。


ちなみに、まだ空きもあるようですので、迷われている方、ご予定のない方はぜひ。とくに「理論社」という社名、キーワードにぴんとこないという方でも、本好きの方は気軽に遊びに来ていただけるとうれしいです。


読書の秋の金夜に、ブックカフェで、飲み物を片手に、本に関するトークや朗読を聞いたり、集まった本好きのみなさんでイベント後にあれこれおしゃべりをしたり、おいしいお酒を飲んだり(店主おすすめのラムがあります)、お店の本(理論社コーナーを設置してますが、レギュラーの文庫ももちろん読めるようになっています)を手にとってみたり……主催者側の人間が言うのもなんですが、なんだか楽しそうではないですか。ねえ。


第1回爆音映画祭音楽編、吉祥寺バウスシアターでまもなく開催です

吉祥寺の、映画&音楽関連情報です。今週末、11/27(土)から吉祥寺のバウスシアターで、もうすっかりおなじみになった爆音上映の音楽版、「第1回爆音映画祭 音楽編」が開催されるようです。


爆音映画音楽

↑チラシ。


副題に、《ストーンズ、ピンク・フロイド、ドアーズ、モーターヘッド! そして死んだ3人のJの物語。》とあります。それぞれ、どんな作品がかかるのかは、サイトをご覧ください。


ストーンズ爆音

↑ストーンズはこれ。72年の北米ツアーの映像ですよ。チラシの写真がすでにはんぱなくかっくいい……。キース・リチャーズ&ミック・テイラー時代のライヴを爆音で楽しめるという、ギタリスト的には、至宝というか至福というかなんといっていいかわからん、とにかく必見な1本。


極悪レミー

↑モーターヘッドはこれ。「極悪レミー」って、邦題もイカしてるが、原題がこれまたすばらしいので、サイトでチェックを。



↑極悪な人の極悪ぶりを裏付ける参考図版。道ばたですれ違ったり、たまたま入った飲み屋のカウンターで隣り合わせたりしたくないタイプの人たちだ。


まぼろしの世界

↑ドアーズのこれもありました。すべて未発表フッテージのみで作られたドキュメントって、なんかすごいな。



目玉の1つ、ピンク・フロイドの『ピンク・フロイド/ライヴ・アット・ポンペイ』は、DVD現行版ではなく、《当時、世界各所で「フィルムコンサート」用に出回っていたフィルム》なんだそうです。したがって、《フィルムは赤茶けてボロボロ》だけど、《テレビモニタに写った映像とは断然違います》なんだそうだ。以上、チラシの解説より。うわあ、なんか観たくなるなあ。


そんな状態なので、この作品、オープニングの夜と、12/10(金)の夜の2回しか上映予定がない。しかも、フィルムがどうなっちゃうかわからないような状態なので、2回目は、《※作品変更の可能性あり》なんて注記付きの上映予定になってます。


というわけで、オールドロックファンは、吉祥寺バウスシアターに全速力で大集合してください。


大阪新刊書店レポ4……ジュンク、チャスカ

さて、続き、ジュンク堂書店大阪本店を。広めのフロアにずらりと林立する書棚という、今ではすっかり浸透したジュンクらしいジュンクのフロアの代表と言えば、以前はこのお店でしたよね。


店内に足を踏み入れると、はるか向こうに見える窓や壁までの間に、とんでもない数の書棚が並んでいる……その様子には、何度も来ているのに、やっぱりくらくらします。初めてこのお店に来たときは、本当にびっくりしたものです。フロアガイドは、こちら


ところで、2階、エスカレータをあがった正面のスペースに、こんな、屏風型のモニタがありましたが、これ、以前からありましっけ。


ジュンク大阪ビジョン1ジュンク大阪ビジョン2ジュンク大阪ビジョン3

↑お店のロゴだけのときもあれば、映画『ノルウェイの森』のトレイラーになったり、このように松丸本舗の宣伝になったり。


仕事のことはもちろん、紀伊國屋書店梅田本店のことや、チャスカの新店のこともいろいろ聞きたかったんですが、残念ながら、この日は、懇意のKさんには会えず。


梅田ヒルトンプラザ店に寄ったら、ごあいさつしたことのあるTさんに会えたので、お店の今後のことを聞いてみました。まだ決まってないのか、決まっていて下まで降りてきてないだけなのかわからないが、と断り付きでしたが、新文化の記事にあった、フロア縮小や、丸善へのブランド変更などについては、いずれも決定ではないのか、スタッフの方には知らされていないとのこと。少なくとも年内には動きはないだろう、とのことでした。現在のフロアについてはこちらで。


大阪本店、梅田ヒルトンプラザ店両方に言えることですが、同じチェーンの出店とはいえ、また駅をはさんで少し離れたエリアの話だとはいえ、影響がないわけはないでしょうから、梅田駅・JR大阪駅周辺のジュンク/丸善の体制がどのようなものになるのか、要注目です。


大阪書店回りレポ、最後は、まだ「書店」ではないのですが、そのジュンクが出店する(ブランドはMARUZEN&ジュンク堂書店)チャスカ茶屋町をやはり紹介しておきましょう。


チャスカ2チャスカ3チャスカ5
チャスカ6チャスカ7チャスカ8

↑周囲をうろうろして、いろいろな角度から写真を撮ってみました。いやはや、近くで見るとやはりその巨大さは圧倒的ですね。もちろん、カメラマンの腕の問題も大きいのですが、どのようにとっても、なんだか中途半端な写りにしかなりません。


今回、建物のすぐ下まで行ってみてあらためて気づきましたが、立地的には、LOFTのすぐ先、MBSの手前ぐらいですから、紀伊國屋書店梅田本店からは、ほんと、歩いてすぐですね。

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大阪新刊書店レポ3……ブックファースト、旭屋

さて、大阪書店回り3回目の今日は、その他の書店の様子をまとめて。


まずは、ブックファースト梅田店。一昨年訪ねたときの記事にも書きましたが、こちらのお店、店内に本の見せ方の工夫、アイディア、楽しさがあふれていていいんですよねえ。紀伊國屋書店梅田本店や旭屋書店本店と違って、ぼくが大阪にいたころにはなかったお店で、思い出や思い入れのある店ではなかったんですが、いまでは大阪書店訪問にかかせない、大好きなお店の1つです。


ブックファースト入り口

とくに好きなのが、1階、文庫売り場平台の、階段状の平積み。これ、すごいですよ。一度見たら、忘れられないインパクトです。これ、ちょっとでも本が売れたり、お客さんが本をいじったりしたら、美しいかたちが崩れてしまうわけで、その意味では、さらさらの砂を積み上げて城を作りでもするかのような行為にも思えるんですが、それを、一日2回手を入れて(ということを、今回お会いしたFさんに教えられて、初めて知りました!)維持、そんなことを開店以来ずっと続けているそうです。いやはや、すごい。ぼくはこれが見たいので、同店にはなるべく早い時間に行くようにしているほど(同店は、梅田近辺の大型書店のなかではいちばん早い8時開店)。


2階の、壁をギャラリーのように使った展示もいいし、3階のカフェ、奥にある児童書コーナーなどもgood。長く居たくなるお店です。フロアガイドは、こちらで。


同店では、「ブックマーク」と「B.G.M.」という2種のフリペを発行しています。どちらも、このお店独自のもの。吉っ読のイベント、ブックンロールの資料として使わせていただいたことがあったので、お礼とごあいさつにと、「ブックマーク」の作成を担当されているKさんを訪ねたんですが、残念ながらお会いできず。最新号を入手したかったんですが、ちょうど店頭にない時期とのことで、「B.G.M.」のみゲット。


BGMBF梅田

旭屋書店本店は、紀伊國屋書店梅田本店と並んで、思い出深いお店。高校生のころのぼくにとって、大きな本屋さんと言えば、この2店でした。いついってもお客さんでいっぱいの紀伊國屋書店梅田本店も大好きでしたが、ちょっと落ち着いて本がみたいときは、こちらに来たものです(いや、別にこっちが空いている、ということが言いたいのではなくて、あちらの混み具合がすごすぎる、ということです)。フロアの様子はこちらで。


今回、2階の文庫売り場を中心にじっくり見てきたんですが、やっぱりいいなあ、ここは。文庫売り場、壁際、背が高めの棚に天井までハヤカワの青背や創元がぎっしり並んでいる感じなんて、ほんと好き。文芸系の文庫やマイナーレーベルもきちんとそろえている感じで、昨日書いた通り、紀伊國屋書店梅田本店を訪問した後の目で見ると、(もちろん、フロアがそんなに広くないことからくる印象もあるでしょうが)ぎっしり感、本に囲まれている感に、ちょっとうれしくなります。


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大阪新刊書店レポ2……紀伊國屋書店本町店

さて、今度は紀伊國屋書店本町店。ここは、昨日紹介した梅田本店と並んで、大阪に行ったら、必ず訪問することにしている、個人的に大好きなお店の1つ。ちなみに、一昨年に訪問したときの様子はこちら


紀伊國屋本町入口

店内は600坪と広め。元は銀行だったという店内は天井が高く、開放感があります。フロアガイドは、こちら


同店で出しているフリーペーパーが「文芸と文庫通信」。これが手作り感にあふれるすばらしいもので、一昨年の記事でも紹介しているのですが、その後、吉っ読のイベントの際にご提供をお願いしたのが縁で、現在作成を手がけている萩本さんとご連絡がとれ、今回お会いできることになりました。その萩本さん、フリペもすごいんですが、なんといっても、店内のディスプレイがすごい。写真入りでご紹介します。(以下、店内の写真は、萩本さんに許可をいただいて撮影したものです。)


紀伊國屋本町エンド 岸本佐知子縦紀伊國屋本町エンド 岸本佐知子横

↑萩本さんが大好きだという岸本佐知子さんのフェア。ご覧の通り、単に本を並べるだけではなく、布や紙、紐などを使って、エンド台を、まさに「デザイン」しているのです。


紀伊國屋本町エンド 岸本佐知子横拡大

↑ちょっと拡大してみると、ほれ、この通り、色を塗ったり、線を引いたり、いろいろなかたちに紙を切ったりと、細部まで手が込んでいます。


気に入ったもの、いいと思ったものは、とにかく売りたい!そんな思いがあちこちの棚や台からあふれまくっています。気になる本は、必ず帯やカバーをはずして、表紙がどうなっているのかを確認、本文はもちろん、しおりひも(スピン)の色など、モノとしての本の存在感を確かめるのが好きなんだとか。うわあ、わかるなあ、それ。ぼくも同じです。


POPはそんなに好きではない、という萩本さん。「表紙を隠してしまうし、POP台で本が傷むし」。むしろ、カバーが気に入った本は、それを、どうやって見せるか、どうやって活かすかを考えてディスプレイするそうです。そのままカバーのデザインをストレートに見せることもあれば、その絵やデザインのイメージを、自分で他のかたちで再現したり、色や柄を似せたものを作って飾ったり、本によって、どうすればいちばん魅力的に見せられるかを考えるそうです。


紀伊國屋本町エンド 藤谷治紀伊國屋本町エンド 藤谷治2

↑これなんて、いかがですか。目を、足をとめることなく棚前を通り過ぎることは不可能ですよね。写真で見てもすごいですが、書店の店内、棚のはしっこに実際にこれがあると、すごいインパクトですよ。こんな見せ方、ちょっと他で似てるものに遭遇したことがありません。


紀伊國屋本町エンド 朝倉かすみ横

↑好きな作家だと、自然、力が入ります。って、エンドで展開されている作家・作品たちは、いずれも萩本さんのお気に入りばかりなんですけどね(笑)。萩本さん独特の、手書きのレタリングが目を引きます。この独特の手書き文字は、エンド台以外にも、たとえば、壁や柱、文庫棚の上など、あちこちに使われていました。字がすでに、案内プレート兼ポスター兼POPみたいになっているわけですね。


紀伊國屋本町エンド その他

↑飾りは最小限にして、POPなども使わず、積み方と数で、カバーのイメージを見せるタイプのディスプレイも。カバーのよさ、カバーの見せ方を重視する萩本さんらしい並べ方。積み方も、整然と、ではなく、ちょっと乱れたような、独特の感じになっていて、これが、離れたところからでも目を引きます。


文芸の棚は全部写真に撮ってきたかったぐらいなんですが(だって、こんなに工夫に満ちたものすごい空間になっているのに、ご本人は仕事だからなのか、ぜんぜん記録をとっていないというのですよ。もったいない!)、とりあえずはこれぐらいに。これらがすべて、同時に店内にあるんですよ。すごいですよね。


文芸通信63文芸通信63裏

↑最初に紹介したときは、先輩とお二人で作られていたのが、途中から一人で作るようになったという「文芸と文庫通信」、最新号。左が表紙で、右は裏。中がすばらしいんですが、それはぜひ実物を手に入れていただきたい、ということで。


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大阪新刊書店レポ1……紀伊國屋書店梅田本店

先週、11月19日(金)、20(土)の2日間、仕事の用事で大阪に行ってきました。打合せが複数あって、書店回りに使える自由時間はあまりなかったのですが、仕事の合間に、なんとか時間をつくって、新刊書店をいくつか回ってきましたので、レポートします。


まずは、リニューアルなった紀伊國屋書店梅田本店へ。


紀伊國屋梅田右入り口紀伊國屋梅田左入り口

↑正面、左右の入り口。以前の様子をご存じの方ならば、それぞれ、レジが入り口近くに見えていること、店内の照明や什器の色味が変わっていることに気づくかもしれませんが、このアングルだと、言われなければ大規模リニューアルがあったことはわからないかもしれませんね。



紀伊國屋梅田案内図2紀伊國屋梅田案内図1

↑店内と周辺の案内図。店内斜めに通路が走り、それぞれが出会う、三角形の頂点にメインのレジがあります。フロアガイドはこちらでも見られます。


すっきりしたなあ、というのが、店内を歩いてみての感想。とにかく、日本でいちばん混んでる本屋さんですからね。以前は、どの時間帯にどの棚のあたりを歩いてもぎっしり、とくに通勤帰り客でにぎわう夕方あたりはもう大変、っていう感じでした。今回は平日の昼と夜、土曜日の午後と何度か見てみましたが、もちろん混んではいるのですが、大きな荷物を抱えていたにもかかわらず、店内をうろうろするのに困る、ということはありませんでした。通路幅などレイアウトのためなのか、実際にお客さんがいつもより少なめだったのか。


斜めの通路を歩くと、棚が、通路に対して垂直ではなく、壁に対して垂直に配置されているので、面陳になっている書籍の表紙が自然に目に飛び込んでくるし、斜めの通路からの視界も明るい印象になっています。棚は、2種類あるのかな、高さが違うものを場所によって使い分けているようで、もちろん立ち位置にもよりますが、ジャンルなどを示すプレートが見やすいよう工夫されているようで、壁際の棚の上のプレートなども目に入る感じでした。


棚の配置は、どうしても以前の印象で慣れてしまっているので、自然科学はどこ、芸術はどこ、と、探してうろうろしてしまいました。メインのレジの前に、コミックが、新刊を中心に、ちょっと中途半端かな、と思える量を置いているのが個人的には、あれ、という感じでしたが(お店の広さの割にコミックのエリアが小さめになっているのは、阪急32番街にコミックハウス32番街店があるので、そちらとの棲み分けを考えてのことでしょう)、以前よりもすっきりしていますから、慣れれば本を探すには不自由はしないでしょう。


店内がすっきりしたレイアウトになり、以前よりも面陳の本の割合が増えているように感じた、ということは在庫は減っているのかと思いましたが、数的にはどうなんでしょうか。店内では「少ない」「足りない」という印象はとくに受けませんでしたが、この後訪問することになる(ジュンクは別として)旭屋書店本店と比べると、たとえば文庫、それもメジャーレーベル以外の文庫の数などは、梅田本店にしてはちょっとさびしくなったのかな、とも感じました。ただ、あくまで印象です。


別のお店で、同業の方の話も聞いてみましたが、「きれいで、すっきりして、すごくよくなった!」という意見と、「ごちゃごちゃ感がなくなって、おもしろくなくなった」という意見の、賛否、両方が聞けました。両方とも、わかる気がします。



紀伊國屋梅田案内図コミック版1紀伊國屋梅田案内図コミック版2

↑店内の案内図は、上にあげた「オフィシャル」なものがあるんですが、周辺マップのコピーの余白にフェアの案内が手書きされ、32番街店を紹介するコミックが掲載された、こんなペーパーも。


什器や照明の感じ、通路や棚間のスペースなど、全体に店内の雰囲気は明るくて、親しみやすい感じになったのではないかと思います。これまで同店に親しんだ人がとまどったり、がっかりしそうな点もこれといって見当たらない感じでした。その意味では個人的にもちょっとほっとしたりしたんですが、ただ、自分が高校生の頃から親しんできたお店とは違う店になってしまったのも事実で、ちょっとさびしい気もしています。ずっと通っていれば、今回のリニューアルによる変化は気にならないレベルだろうと思うのですが、ぼくのようにたまに来る人間には、激変ですからね。激変といえば、阪急百貨店も新しくなって様変わり、駅周辺も、あちこちが見慣れない風景になっていて、来るたびに、大阪の街を知っているなんて、もう言えないかもなあ、などと思わされたりもしているのですが、それはまあ、おやじの感傷的な独り言、ということで……。


というわけで。紀伊國屋書店梅田本店は、梅田エリアを代表する書店にふさわしい、なかなかに力の入ったリニューアルだったのではないかと思います。まもなく、すぐそばに超巨大書店ができるわけですが、圧倒的な立地の良さを誇る同店の客足や本の売れ方がどう影響を受けるのか、受けないのか、しばらくは要注目、という感じですね。


長くなるので、次のお店、紀伊國屋書店本町店は記事を分けます。


大阪にやって来ました

一日の用事を終え、ビジネスホテルで一服中の空犬です。今日は仕事の用事で大阪に来ています。天気がよくてよかった!と喜んでいたんですが、日中は暑いし、夜は寒いし、しかも雨はふりだすし、資料でぎっしりの重い荷物を抱えている身にはなかなかつらい一日になってしまいました。


今日は仕事の打合せが複数あったので、書店はほとんど回れず。夕刻に紀伊国屋書店本町におじゃまするのがやっとでした。でも、以前から一度お目にかかりたかった書店員さんに会うことができ、いろいろおしゃべりできたのは収穫でした。この件は、明日回る予定のお店の件とあわせ、大阪の書店訪問記として、記事にまとめる予定です。


今日は東京では、三省堂書店アトレ秋葉原のオープンでしたね。ツイッターでいろいろな方の感想を拝見しましたが、やっぱり自分の目で開店当日の様子、見たかったなあ。こちらも、来週のどこかでのぞきに行く予定です。


ところで、この記事、iPadで更新してるんですが(もちろん初めて)、ぼくのようなだらだら書きのタイプには、このキーボードで長文を打つのは苦行ですね(苦笑)。なので、ここらで離脱、コンビニビールで独り乾杯、黒岩比佐子さんの続きを読むことにします。おやすみなさい。

黒岩比佐子さんの訃報にショック……

悲しいニュースです。「ノンフィクション作家、黒岩比佐子さん死去」(11/17 朝日新聞)、「黒岩比佐子さん死去 52歳ノンフィクション作家」(11/18 読売新聞)。死因は膵臓がんとのこと。52歳。がんと闘っておられることはツイートやブログで知っていましたが……ショックです。また、とても残念です。


ご本人のブログ「古書の森日記 by Hisako 古本中毒症患者の身辺雑記」のタイトルにあるとおり、まさに古書の森に生きた方。最近の著作は、そのように古本の世界にどっぷりと浸かり、紙の世界を歩き回った方でないと書けないようなものばかりでした。



↑黒岩さんのお名前に個人的に注目するきっかけになったのがこれ。国木田独歩……もちろん読んではいるし、『武蔵野』の作者ということで、武蔵野の住人には縁がないわけではないのですが、多くの本好きにとっては、「文学史の作家」というイメージでしかないであろう独歩。そのような作家の話が、こんなにおもしろく読めるとは。うれしい驚き、うれしい出会いの1冊でした。




↑『古書の森逍遙 明治・大正・昭和の愛しき雑書たち』という書名が、この本の内容を、そして、黒岩さんの関心のありようを、黒岩さんの書き手としての立ち位置を、それらのすべてを、まさに言い尽くしている感じの1冊。古書が、紙が、そして明治・大正など、ひと昔前の世界が好きな向きなら、そして、わたくし空犬のような出版文化史に興味のある向きならば、ページをぱらぱらやるだけで幸せな気分になれること請け合いの1冊でしょう。




↑遺作となったのがこちら。先月刊行されたばかりの本ですが、すでに新聞・雑誌の書評にも取り上げられ、あちこちで評判になっていますね。たとえば、「パンとペン 黒岩比佐子著 社会主義者の「売文」生涯発掘」(11/7日本経済新聞、評者は紀田順一郎)、「「冬の時代」を生き抜いた、不屈の精神に迫る渾身のノンフィクション」(11/18 週刊文春「文春図書館」、評者は小熊英二さん)などがあります。


内容といい、ボリュームといい、後に書き手の命を奪ってしまうことになる死病との闘いのなかで執筆されたとはとても思えません。ぼくはまだ冒頭、50頁ほどを読んだだけですが、序章ですでにノックアウトされ、わしづかみにされています(先の記事に、この450頁近くもある単行本を旅のお伴にしようか、などと書いたのは、こういう事情によるものなのです)。


先の読売の記事には、こんなくだりがあります。《今年10月下旬、3度目の入院。今月5日夜に更新された自身のブログに「やることはやったから。う~ん、悟りかな」という言葉が紹介されていた。》


「やることはやった」……万全ではない体調のなか、大著を仕上げた黒岩さんの最後の思いがこのようなものだとしたら、もちろんその死は悲しいことに変わりはないけれど、未完に終わらせて無念のままこの世を去るようなことにならずに、ほんとうによかったと、そんなふうにも思えます。黒岩さんがこのすばらしい本を書き上げることができて、そして、その刊行をご自身の目で見ることができて、ほんとうによかったと思います。


一方で、このような見事な本をものすことができる書き手に、あまりにも早過ぎる死が訪れてしまったことを、本当に、本当に残念に思わずにはいられません。『編集者 国木田独歩の時代』『古書の森逍遙』『パンとペン』……新刊が出たら、必ず手にしたくなる書き手は、そんなにたくさんは残念ながらいないのですが、ノンフィクションの分野では自分にとって数少ない「即買い」作家でした。


講談社のサイト、「講談社 書き下ろし100冊 黒岩比佐子 パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い」のページを見たら、黒岩さんのサインが写真でアップされていました。別にサイン本にこだわったりする趣味はありませんが、でも、美しい字で書かれたお名前を見ていると、黒岩さんのサイン本を手にする機会はもうないんだなとあらためて気づかされて、さびしさが募ります……。


先に紹介した書評で、小熊さんは、こう書いています。《視点のユニークさ、緻密な資料収集、そして対象となる人物への愛。評伝の名作を生む要素がみごとに盛り込まれた本である。》そのようなすばらしい本を読み継いで、そのすばらしさを声に出したり、文章に書いたりすることで、いろんな人に伝えていきたいものです。残された読者にできることって、それぐらいしかありませんからね。


黒岩さん、すばらしい本をありがとうございました。合掌。


大阪で書店回りをしてきます

まもなく出張だというのに、昨日は風邪で伏せっておりました……。まだ体調万全とはいいかねる状態なんですが、なんとか復調、予定通り、明日、あさってと、一泊二日で大阪に行ってきます。仕事の打合せがメインなので、自由時間はわずかしかないのですが、大阪の書店を、時間の許すかぎり、1軒でも多く回ってくる予定です。


9月にリニューアルなった紀伊國屋書店梅田本店のチェックは個人的にははずせません。ジュンク堂書店梅田店は、残念ながらひと月後なので、またの機会に。場所と外観はチェックしてくるつもりです。


大阪書店回りの様子は、後日、レポートします。




旅の前日は、お伴本のセレクトに悩みます。とりあえず、決定しているのは、↑これ(左)。ちょっと重いけど、これ(右)も持っていこうかな、と思ってます。


Appleがビートルズ音源の配信、開始?!

いやはや、こういう日がとうとうきましたか。「米アップルがビートルズを配信 78年からの係争決着」(11/16東京新聞)。ついこの前、久しぶりの音楽ネタでビートルズがらみの記事を書いたばかり。妙なタイミングにびっくりしています。


記事によれば、《米アップルが、音楽配信サイト「アイチューンズ・ストア」で、ビートルズの楽曲の販売を近く始めるとウォールストリート・ジャーナル紙(電子版)が15日報じた。アップルはこれまでビートルズ側と係争関係にあり、曲を扱っていなかったが、ビートルズ側や経営難の英音楽大手EMIグループと合意に達した》のだそうです。


さらに、《アップルは同日、サイト上に「明日は忘れられない日になる」と表示、米東部時間16日午前10時(日本時間17日午前0時)に何らかの発表があるとしている。》などと気になることも書かれています。


このニュースを目にした今日、偶然、この本を読んでいました。




さらに、先日紹介した、『バンド・オン・ザ・ラン』のリマスター盤、結局アナログ2枚組を注文しちゃったんですが、それが今日、届きました。MP3のダウンロードが可能なコード付きです。




これから、どんなふうに音楽が聴かれることになるのか、そして、自分はどんなふうに聴いていくことになるのか……ただの偶然が重なっただけとはいえ、アップルのニュース、津田本読書、わざわざアナログで買ったリマスター盤の入手が同じ日になったりしたもので、ちょっと考えさせられる一日でした。津田さんの対談本や、『バンド・オン・ザ・ラン』の旧音源との聞き比べなどの感想は、また後日にでも。

東京堂で多賀新フェア、電子乱歩、日本探偵小説論……最近の乱歩ニュースたち

久しぶりの乱歩ニュースです。神保町、すずらん通りの東京堂書店で、「銅版画家多賀新と江戸川乱歩の世界」なるフェアが開催中です。


東京堂乱歩展

乱歩ファンにはおなじみ、春陽文庫の表紙を手がけた多賀新さんですね。本はこちら。




春陽文庫の乱歩も全点されているわけではないし、オリジナルプリントなどが飾られているわけでもありません。ごくごく小規模のフェアです。でも、まあ、乱歩者はのぞいてみてください。1階エレベータ前にて開催中。




↑この通り、春陽文庫は表紙が妖しくてすてきなんですが、本文に誤字が多い、との声も……。ぼくはふだん読むときは、やはり決定版的内容の光文社文庫全集派なんですが、春陽文庫も、このシリーズではなく、文庫版なのに2段組の、昔の春陽文庫、長編全集全7巻を持ってます。専用の箱があって、いい感じなんですよねえ。


仕事で関係がないわけではないので、新刊案内のたぐいは、紙の本のそれだけではなく、一応、電子のもチェックしています。で、この前、ダ・ヴィンチ電子部を見ていたら、乱歩があがっているのを発見しました。「ミステリーの父・江戸川乱歩のベスト作品集。これであなたも乱歩中毒に!」(11/4ダ・ヴィンチ電子部)。書き手は、朝宮運河さん。本は、創元推理文庫版の『D坂の殺人事件』ですね。お値段は315円なり。


先の春陽文庫、それに光文社文庫の全集のほか、単発の作品集も含めると文庫だけでも数種の版が出ている乱歩文庫。創元推理文庫版の特徴といえば、連載当時の挿絵が掲載されていることですね。


電子版ではその挿絵はどうなっているのかな、と思ったら、《レトロ感たっぷりの挿絵も多数掲載。作品の妖しいムードをさらに引き立てます》という紹介文付きで、ちゃんと挿絵入りのページがサンプルとして紹介されていました。


この短編集、「D坂の殺人事件」「火星の運河」「虫」「お勢登場」など、「ベスト」かどうかはともかく、乱歩入門にはなかなか悪くないセレクトなんですよね。だから、この電子版で乱歩を初めて読んでみよう、なんて方がいたら、入り口にはいいのかも、とは思うんですが、でも、一方で、乱歩のような、昔の探偵ものを電子で読んで、楽しいのかなあ、という気も。


自分が電子で乱歩を読みたいかと言うと、やはり微妙というか、むしろ積極的にそのような読書はしたくない気もします。でも、一方で、300円ほどで、常に自分のiPhoneに乱歩の代表作を常駐させておけるというアイディアには魅力的な面もあります。日常的に必ず複数の本を持ち歩くタイプなので、よほどのことがないかぎり、外にいるときに読むものがなくなってしまうということはまずないのだけれども、万一そのような事態が出来したときにも、乱歩の代表短篇のいくつかが我がiPhoneに入っているというのは、ちょっといいかもなあ、と思ったりするのです。


……まあ、それを言うならば、我が家に山とある乱歩の本のうち、薄い短編集、たとえば新潮文庫版を1冊、常に鞄に入れておけばそれでいいのではないか、と言われれれば、まったくその通りなんだけどね(苦笑)。


ちなみに、同サイトでは、ほかに探偵者の興味を引きそうなものとして、こんなのも紹介されていますよ。「電子書籍でよみがえった、背筋も凍る怪奇実録ノンフィクションの名作!」(11/13)。牧逸馬の『浴槽の花嫁 世界怪奇実話』ですね。紹介者は同じく朝宮運河さん。


「都会の類人猿」「浴槽の花嫁」「肉屋に化けた人鬼」「海妖」と、穏やかでないタイトルが並ぶ作品集、こんなのがiPhoneに入っているってだけで、その異次元な感じがなんだかうれしい気がしますが、まあ、これも作品と容れ物がもう自分のなかでセットになっちゃっているので、やっぱり教養文庫版で読むのがいちばんいいよね(苦笑)。




そうそう、乱歩がらみと言えば、これを本来ならすぐに紹介せねばならぬところだったんですが、すみません、さぼってて、ぜんぜん読めてないもので……。




乱歩だけを取り上げた本ではないのですが、戦前探偵が好きな向きは必読の1冊でしょう。書評も出ているようですので、東京新聞のこれを紹介しておきましょう。「<昭和十年前後>を足場に」評者・川村湊(11/14東京新聞)。


図鑑少年、ひまつぶし、真実日記……今日買った文庫たち。

今日は雨降りの寒い一日でしたね。こんな日ぐらい、まっすぐ帰ればいいものを、雨の吉祥寺でBOOKSルーエに寄って、お買い物。。このところこいそがしくて、ルーエ、久しぶり(といっても、先週行けてないだけなんだけど;苦笑)だったので、なんだかいろいろ買ってしまいました。というわけで、久しぶりの「今日買った本たち。」、購入本から3冊だけ紹介します。


  • 大竹昭子『図鑑少年』(中公文庫)
  • 深沢七郎『生きているのはひまつぶし』(光文社文庫)
  • 町田康『真実真性正日記』(講談社文庫)



『図鑑少年』、親本は小学館から出ていたけど、このたび中公文庫入り。親本は池澤夏樹さんの推薦帯、文庫では堀江敏幸さんが解説。玄人受けする作家と言われるゆえんか。これ、書名がいいよねえ。元図鑑少年としては手にとらざるを得ない。各編の文章といい長さといい、外に持ち出したくなる1冊なので、今回の文庫化はうれしいなあ。今度の出張のお伴、1冊はこれに決定。


深沢七郎の未発表作品集、親本が出たときも、おっと思ったんだけど、なんとなく未読のままでいたら、今回文庫に。ちょうどちくま文庫からも2巻本のコレクションの刊行が始まったし、ちくま文庫復刊にも『滅亡対談』が含まれていたし、なんだかいいタイミング。深沢七郎、小ブームくるか? いいねえ。




↓いちばん好きな七郎本はこれ。




上の七郎本しかり、小川洋子の『原稿零枚日記』しかり、作家の言う「真実真正」な日記などというものほどあやしいものもない。タイトルもあやしいし、《我と我が嘘に疲れ果てた作家が/誰にも見せないと決めて書いた/本当のことだけを綴った日記》なる文句もあやしい(見せないも何も、だいたい、出版されてるし)、それに、このカバー写真がきわめつけにあやしい(苦笑)。人形の額にのぞくは、真実を見る第三の目、ってこと?(笑)




↑町田康さんといえば、あちこちで話題のこれも本日お買い上げ。




↑親本も上げてみました。こうしてみると、装丁の変化、三者三様で、おもしろい。『図鑑』は同じではないがシンプルの極みみたいな方向性はそのまま。深沢本は、まったく雰囲気の違うものに変更。副題がとれたことで、タイトルがより生きましたね。町田日記は同じ写真。まあ、これはこれしかないだろうな(笑)。




気になる新刊書店のオープン&リニューアル

書店のオープンネタです。日程がなかなか発表にならず、気になっていた三省堂書店、秋葉原の新店、11/19(金)オープンであることが先日発表されてましたね。「11月19日(金) アトレ秋葉原1に新規OPEN!」(三省堂書店)。新店の名前は、「アトレ秋葉原1」。「店」はつかないのが正式名称ってことでいいのかな。三省堂書店の企画事業部さんが、開店準備中の同店の様子、写真をアップされてます。こちら。天井と細長いスペースの感じに、秋葉原デパートっぽさが残ってる気がして、ちょっと安心(笑)。開店当日は、出張のため駆けつけることができませんが、翌週の平日どこかで早速訪ねてみる予定です。楽しみ。


都内では、翌週11/25(木)に、一時閉店していたBOOK EXPRESS東京南口店が、「東京駅京葉ストリート店」と名前をあらためて、オープンです。場所は、サイトには、「JR東京駅八重洲南口改札内」とありますが、同じ場所なんでしょうか。お店のサイトには、こんな説明が。


《100のテーマによってグリーンなライフスタイルへの気付きを得られる編集型売り場「グリーンペ-ジ」を併設。/新刊・話題書だけではなく、ゆっくりと過ごして楽しみをプラスした書店となっております。/他のBOOK EXPRESSチェーンとは違ったロゴやしおりなど作製しております。/開業日当日皆様のご来店をお待ちしております。 》


東京駅にはすでに「ヒントインデックスブックエキュート東京店」という、《他のBOOK EXPRESSチェーンとは違った》雰囲気のお店がありますが、こちらはどんなふうになるんでしょうね。


そして、さらにその翌週、12/1(水)には、長らく仮店舗で営業を続けていた啓文堂書店多摩センター店がリニューアルオープン。現在の店舗での営業は11/25まで。200坪超に増床となるようです。


同じ日、札幌では、丸善の新店がオープンです。北海道新聞の記事によれば、坪換算で211坪程度、名称は丸善ですが、運営はジュンク堂書店が行うとあります。札幌中心部への出店は2005年に「札幌南1条店」が閉店して以来、ということでしょうか。札幌は書店の激戦区。このお店も、品揃えに特徴を持たせて臨むようですが、どんなお店になるのか、札幌を訪れる機会があったら、ぜひ見てみたいものです。

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ビートルズ者は忙しい……

『レコード・コレクターズ』、先月はビートルズの赤盤青盤の特集で、今月号は、ポール・マッカートニーの特集と、ビートルズがらみが続きます。




ポール特集は、『バンド・オン・ザ・ラン』のリマスター&拡大盤の発売に合わせてのもの。ビートルズ者のうち、ジョンやジョージ寄りのファンにとって、ポールのソロ・ウイングスの作品って、もちろん持ってるし、きらいじゃないけど、そんなに思い入れもない、っていう位置づけだったりしますよね。ぼくもまあそんな感じです。なので、今回もスルーのつもりだったんですが、特集を読んでたら、なんか『バンド・オン・ザ・ラン』欲しくなってきたぞ。それもアナログで……。見事に踊らされてます(苦笑)。




それにしても、今年はビートルズ者は大忙しですよね。赤盤・青盤のリマスター発売、ジョンはBOX発売、ポールは『バンド・オン・ザ・ラン』のリマスター&拡大盤、ジョージはまもなく『オール・シングス・マスト・パス』のリマスター&拡大盤。



↑うち、赤盤青盤とジョンは見送りの予定。ジョージは……買っちゃいそうだなあ。



音源だけでもいっぱいあって「仕分け」に悩ましい思いをさせられているのに、関連書籍で重要(そう)なものもいくつか続いています。




↑ちょうどこの3冊が、今月の『レコード・コレクターズ』の書評欄で取り上げられています。『ビートルズ事典』はなつかしいなあ。これ、古くからのビートルズ者にとっては必携の1冊ですよね。ぼくは初版を古本屋さんで手に入れたのが最初で、1988年、最初の改訂のときに新刊で買い直しています。さんざん読み込み使い込んだので、もういいやと手放してしまったので、手元にないのが残念。今回の「改訂・増補新版」、買おうかどうかちょっと迷っているところ。


そうそう、レココレの書評ページ、これらビートルズ関連書籍に混じって、なんと『昔日の客』が紹介されています! 先月号でも、同書については少しふれられていたんですが、今回は他の音楽書と同じ半頁のレギュラー書評扱い。すごいなあ。


と、ちょっと脱線しましたが、ビートルズ本に戻ると、こんなすごい本も予定されているようですね。興味あるけど、値段がなあ……。




というわけで、ビートルズ者にはうれしい悲鳴の刊行・発売ラッシュ……。Appleレーベルのリイシューにも買わなくちゃなものがあるしなあ。何を買う買わないで、しばらく頭の痛い思いをさせられそうですよ、ほんと。


神保町の古書店、巌松堂がまもなく閉店です

今日は、11/26に西荻窪のbeco cafeで予定している理論社応援イベント「Bookn'n'Roll vol.2 わっしょい!理論社」の、打合せ・練習・リハを、吉っ読のみんなと一緒にやってきました。becoでは初めてのイベントなので、店内のいすやテーブルのセッティングはどうしようか、ミキサーはどこに置いて、マイクと楽器はどうつなごうか、ケーブルはどうするか、なんてところから始めなくてはいけませんから、準備もけっこう大変だったりします。


吉っ読のみなでいろいろ試行錯誤、苦労のかいもあって、当日のセッティングはほぼ確定、無事にイベントを開催できるめどが立ちました。冊子も完成したし、トークと演し物もなんとか形になってきましたよ。そうそう、演し物と言えば、本の紹介などのトークに続いて、イベント後半では、吉っ読の誇る詩人、花本武(BOOKSルーエ)が、夏のブックンロールに引き続き、今回も朗読(ポエトリー・リーディング)を披露する予定です。前回のパフォーマンスを気に入ってくださった方も、見逃したという方も、それなに?という方も、まとめてぜひ観に来てください!


以上は今日の夜の話なんですが、今日の昼休み、いつものように神保町の書店店頭をひやかしながら歩いていたら、こんなショッキングな貼り紙が……。


巌松堂3

神保町の古書店、巌松堂(正式名は「巌松堂図書」)が閉店とのこと。神保町の、靖国通り並びの古書店、それを代表する老舗の1つが閉店とは……。


巌松堂1巌松堂2

↑巌松堂のファサード。深い藍色に金文字の「GANSHODO」がかっこいい。その上に見える、バルコニーの手すりの意匠もいい感じ。店頭は均一台。


現在、閉店セール中で、単行本が300円、揃いのものは半額。買う立場からすればうれしいけど、でも、神保町の古書店街を、古本屋さんを愛する身としては、ちょっと悲しくなってしまうような値付けのセールが行われています。思えば、神田古本まつりで、店内の商品全点半額などという大胆なセールをやっていたのを目にしたときから、在庫を整理してリニューアルでもするのか、それとも、ひょっとして……と、なんだかおかしい感じはしていたんですよね。でも、まさか、不安が的中してしまうとは……。


セールは11/21までとのことですが、11/6からやっていたようで、今日の昼に見た感じではすでに棚は相当空いてます。あれもあった、これもあったはずと、記憶にあった気になる本を探してみたけど、めぼしい本が残っているはずもありません。それでも、古い文芸書や、本の本など数冊をまとめ買いしてしまいました。たくさん買いすぎて、荷物が重かったので、今日は持って帰ってこなかったから写真で紹介できないのが残念。もう隅から隅まで見たけど、また見に来てしまいそうだなあ。


このお店では、古い文芸書をずいぶんたくさん買いました。わが家の本棚を眺めてみたら、巌松堂で買った本があちこちに見つかりました。小宮山書店や一誠堂と並ぶ、神保町、靖国通り沿いの古書店街を代表するお店がやっていけない時代なんですね……なんだか、ほんとにさびしいものですよ。


同店をこれまで利用されてきた方は、がらがらの棚を目にすると、かえって悲しくなってしまうかもしれないけれど、でも、ぜひ閉店前に、セールにかけつけていただければと思います。




↑この本でも、見開きで大きく紹介されています。もちろん、まもなく閉店になることなど、記事中ではまったくふれられていません。


「当店では、紙の本の海賊版は扱っておりません」

今日は、気落ちさせられる件が複数続いて、ちょっとへこみ気味で帰宅……。こういうときこそ、楽しい話題を取り上げるべきで、なにもこんなときに、あちこちで大きく報道されているこの件を、弱小駄ブログが取り上げなくてもいいんだけど、ちょっとひとこと。このニュース、なんだかね。「米アップルサイトに「1Q84」海賊版 中国語訳」(11/9朝日新聞)。「「1Q84」「容疑者Xの献身」…中国語版 無断で電子化」(11/10 読売新聞)。「村上春樹さん著書、ロシア語の海賊版も アップストア」(11/11朝日新聞)。


記事の一部を引いてみる。《村上春樹さんの「1Q84」や東野圭吾さんの「白夜行」など日本のベストセラー小説の中国語版が、著者や出版社に無断で電子書籍化され、米アップル社のソフト配信サイト「アップストア」で販売されていることがわかった。海賊版の制作者が、単行本を許可なくスキャナーで取り込むなどして電子化したとみられる。売り上げの一部はアップル社も得ているが、著者や訳者、出版社は何も知らされておらず、事実上、野放しの状態だ。村上さん側は「消去を依頼する」としている。 》


《問題の電子書籍はiPhone(アイフォーン)やiPad(アイパッド)で読むことができ、ほとんどが今年7月以降に発売された。アップストアには制作者の連絡先としてホームページのアドレスが掲載されているが、リンクが切れていたり、無関係のページにつながったりして、誰が制作者か簡単には特定できない。 》(11/9朝日新聞の記事より)。


……最初は、やれやれ、としか言いようがないな、って印象だったんだけど、いろいろ記事を読んでたら、違和感と不快感とがじわじわと……。(以下、この問題についての、何のまとめになっているわけでもない、独り言めいた感想なので、いつもの空犬通信の調子にご理解のある方のみお読みください。)


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またまた雑誌で本の特集です

続くときは続くものですねえ。またしても、本がらみの雑誌特集です。本日、早速お買い上げ。


  • 『リバティーンズ マガジン』No.4(太田出版)


↑表紙がちょっとなあ……。



特集は「「本」の未来は僕らの手の中に」。電子書籍寄りの特集で、『OZ magazine』『男の隠れ家』『TOKYO graffiti』などと違い、リアル書店は取り上げられていないようです。



佐野洋子さんがお亡くなりになりました

闘病のことは知っていましたが、それでも、ツイッターで最初にそのことを目にしたときは、やはりびっくりしてしまいました。「「100万回生きたねこ」の作者・佐野洋子さん死去」(11/5 Gigazine)、「佐野洋子さん死去 絵本作家「100万回生きたねこ」 」(11/5日経新聞)。


好きな絵本はたくさんあります。そのなかから、親子でお気に入りのこの3冊を、今晩の追悼読書に引っ張りだします。




代表作2点についてはもう説明不要ですね。『ねえとうさん』は、子持ちのパパにはたまらん1冊。親子で楽しめる幼児向けの本ですが、子どもよりお父さんにいいかも。書名を見ただけで、泣けてきます。


『私はそうは思わない』『嘘ばっか』『友だちは無駄である』『あれも嫌いこれも好き』『役にたたない日々』……絵本以外の作品にもいいのがたくさんありますね。こうして並べてみると、ちょっと意地悪で、ひねくれていて、斜に構えていて、ほんと、「らしい」タイトルばかり……。


谷川俊太郎さんと、いっときとはいえ、夫婦として一緒に暮らしていたなんて、なんだか信じられない話ですよね。その時代に幸せなコラボがいくつか生まれていますが、なかでは、↓これは個人的に好きな1冊。




まもなく理論社を応援する小規模なイベント、ブックンロールを、西荻窪のブックカフェ、becoで予定しているのですが、その理論社からも、佐野さんがらみのこんな本たちが出ていますね。




たくさんのすてきな本を残してくださった佐野洋子さん、ありがとうございました。ご冥福を、心からお祈り申し上げます。


新刊書店、年内の開店(含予定)を一覧にしてみました

さて。前回の記事では新刊書店のデータベースやガイドを紹介しましたが、それらのあり方をむずかしくしているのが、開店・閉店・リニューアルなどの頻度。昨年はとくに意識して記録していなかったので、ちゃんと比較しているわけではないのですが、今年はほんと、多いですよね、書店の開店・閉店ニュースが。今年の秋から冬にかぎっても、ずいぶん開店・開店予定がありますから、10~12月、3か月間の新規開店およびリニューアルで、こちらが把握できているものをちょっとまとめてみます。


  • 10/ 2 文教堂書店広尾店(新規;110)
  • 10/ 5 書原本郷店(新規;49)
  • 10/ 7 啓文堂書店荻窪店(新規;135)
  • 10/ 8 ACADEMIA(くまざわ書店)すみのどう店(新規;280)
  • 10/ 9 MARUZEN&ジュンク堂書店広島店(新規;1200)
  • 10/15 ジュンク堂書店吉祥寺店(新規;1035)
  • 10/22 三洋堂書店中津川店(リニューアル;?)
  • 10/23 文教堂書店熊谷ニットーモール店(新規;210)
  • 10/25 エムズエクスポ盛岡店(新規;800)
  • 10/28 タロー書房(リニューアル;120)
  • 10/29 ジュンク堂書店郡山店(新規;730)
  • 10/29 文教堂書店練馬高野台店(新規;?)
  • 10/? 精文館書店三ノ輪店(リニューアル;?)
  • 11/ 5 大垣書店京都ヨドバシ店(新規;240)
  • 11/10 啓文堂書店府中店(リニューアル;260)
  • 11/13 くまざわ書店下関店(リニューアル;?)
  • 11/20 くまざわ書店八王子南口店(新規;126)
  • 11/25 BOOK EXPRESS東京南口店(リニューアル;?)
  • 11/中 三省堂書店アトレ秋葉原1(新規;?)
  • 11/下 廣文館イトーヨーカドー新曳舟店(新規;160)
  • 11/中 廣文館ゆめタウン安古市店(新規;?)
  • 12/ 1 啓文堂書店多摩センター店(リニューアル;200)
  • 12/22 MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店(新規;2060)
  • 12/? 精文館書店荒尾店(リニューアル;542)
  • 12/? 精文館書店豊明店(リニューアル;790)

関東を中心に、空犬が気づいた範囲で個人的にまとめたもので、網羅的なものではありません。オフィシャルに告知されていないものは、おもにツイッター・blogなど個人の方の情報や、空犬の直接の伝聞に基づいています。(……)内の数字は坪数で、?は発表がないか、わからないもの。複合店の場合、書店部分の割合がわかっているものと、そうでないものが混在しています。関東以外のエリアの情報は漏れもあるかと思います。間違いや漏れにお気づきの場合は、ご指摘いただけるとうれしいです。


いやはや、それにしても多いですね。このなかで気になるのは、最近報じられたこれ。「盛岡に東北最大級の複合型書店-「本が主役」の店内、POPを排除」(11/1 盛岡経済新聞)。


お店は、エムズエクスポ盛岡店。《オープン1週間を経ても、平日の昼間で店前の大型駐車場が常に埋まるほどの盛況ぶりで、ここ数年は閉店や経営縮小のニュースが目立った岩手県の書店業界にとって久々に明るい話題となった。》と、出足、好調のもよう。


記事によれば、スーパーの跡地を改装したとのことで、注目すべきは、9月に、旭川に大型店舗を出店している《北海道内で同様の複合型書店を展開するコーチャンフォー(社名=リラィアブル、北海道釧路市)がコンサルティングに参画し、仕入れや情報共有の面でサポート》するとあること。


で、肝心の書店部分の様子ですが、こんな感じ。《総床面積は800坪で、およそ半分を占める書店部分には約100万冊の書籍や雑誌をレイアウトする。》400坪で在庫100万はすごいですね。《壁、床、天井をオフホワイトで統一した店内は、「書籍や雑誌の表紙を引き立たせる」(佐々木謙一常務)ことからPOP広告を一切置かないのが特徴。》とあり、ただの大きな書店ではなく、ディスプレイにも工夫がこらされているようです。実際、写真を見た感じだと、文字通り白が基調の美しいお店になっているようですね。これはぜひ店頭の様子を実際に見てみたいものです。


美しい店内といえば、都内のこれも気になります。「タロー書房、COREDO室町に移転オープン」(10/27新文化)。記事には、《JR九州旅客鉄道のデザイナーとして知られる水戸岡鋭治氏が什器などを含めた店内デザインを行った》とあり、写真を見ると、什器や照明がなかなかいい感じ。これも見に行かなくては。しばらく前に紹介したアカデミアや、八重洲BCのQuiet Villageもそうですが、最近のオープン/リニューアル店は、店内デザインにも力を入れ、独自性を発揮しようとしているところが多くなっている感じですね。


今年後半の書店新店で最大の話題は、やはり年末、大阪・茶屋町に予定されている、ジュンク堂書店梅田店でしょう。支店名とオープンの日程が決まったようですね。ジュンクのサイトには開店日はあがっていませんが、オープニングスタッフの募集があがっています。


茶屋町T1茶屋町T2

↑吉っ読特派員T氏より寄せられたチャスカ茶屋町の外観写真。あおり視線だと、大きさが協調されますね。


【“新刊書店、年内の開店(含予定)を一覧にしてみました”の続きを読む】

新刊書店のガイド・マップにはどんなのがあるかというと

先日、古本屋さんのガイドのことについて、いろいろ書いたところ、「新刊書店はどうですか?」とご質問をいただきました。


新刊書店は、古本屋さんに比べ、数が多いですし、ここ数年、とくに今年は開店・閉店がすごいペースですから、紙で実用的なかたちにまとめるのはかなりむずかしそう。過去にはブックマップのたぐいがいくつか出ていて、今もありますが、新刊書店のほうこそ、Webに頼るしかない、という感じになってしまっていますよね。


この空犬通信を訪問くださるような方にはわざわざ紹介は不要でしょうが、書店ガイド・マップのサイトで、主なものとしては、こんなのがありますよね。



どれも便利ではあるんですが、残念ながら、どれもパーフェクト、とは言い難い感じのようです。うち、最近リニューアルされた「本屋ナビ」は、新しい情報をよく拾っていて、目立つ漏れもなさそう、使い勝手もなかなかよくて、現時点での書店検索サイトとしてはやはりこれがいちばんでしょうか。ただ、ツイッターやWebで間違いなどの指摘もされているようですね。(たとえば、我が街吉祥寺の例だと、閉店してずいぶんになるラオックスがまだ載っていたりします。)


「あなたの町の本屋さん」は、地域別にリストで出てきて、地図はないものの、情報としては非常に見やすい。ただ、これ、更新、どうなってるんでしょうか。これまた武蔵野市で見ると、まだ「弘栄堂書店」が載ってたりするぐらいだから、情報の鮮度は期待できない感じですね。


「東京都書店案内」はサイトによれば、《この地図には650店以上もある東京都書店商業組合全店(青年部以外の店も含む)と有志が知っている書店、合計1000店以上が登録されています。 しかもそのうち22店舗についてはリアルタイム店内在庫の検索が可能》というもの。情報の更新がきちんとされているならば、よさそうな感じなんですが、やはり武蔵野市で見ると、ジュンクは載ってるのに、ブックファーストのアトレ東館はなし、啓文堂はユザワヤ地下のまま。


ほかに、めずらしい例では、出版社が自社サイトでやっているものもありますね。「書店検索」小学館内)。ただ、これ、どの程度のデータベースになっていて、どういう仕組みなのかなあ。「所在地」の「東京都」「武蔵野市」で検索すると0件、「最寄駅」の「中央線」「吉祥寺」で検索するといくつかヒット。ただし、啓文堂がユザワヤ地下だったり、ラオックスが載ってたりと、こちらも最新情報の反映という点では完全ではなさそう。


ただ、いずれも、だからダメだ、ということではありません。むしろ、現在の新刊書店は状況の変化が早くて、貼り付けで定点観測でも行わないかぎり、完全なものにするのは無理だということを思えば、よくこれだけのものをまとめたな、という労作になってます。だから、あれがない、あれが違う、といろいろあるかもしれないけれど、そういうものなんだ、ということで、「本屋ナビ」をメインにしつつ、自分で情報を補いながら、目的に合わせて、複数の検索サイトを併用するのがいいのではないかと思います。


本として出ているものでは、これがありますね。


  • 東京地図出版編集部 『東京ブックナビ』(東京地図出版)


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「地方の書店は自助努力が足りない」のだろうか

さて、昨日の件。なんだか、ふだん以上に焦点の定まらない文章になってしまっていました。補足のため、関連の新聞記事をあげておきますね。「アマゾン:日本上陸10年 送料無料で攻勢」(11/1毎日新聞)。「アマゾン:通常配送料金を無料に ご当地グルメのコーナーをオープン」(11/1毎日新聞)。「アマゾン、無料配送を本格展開 日本進出10周年で攻勢」(11/1 MSN産経ニュース)。毎日の記事では、アマゾンの予想売上高や楽天の比較、無料化にいたる背景、他の大手通販業者の対抗策などにふれられています。


あと、もう1件、店頭でバーコード読み取り云々の件について、大事な記事を紹介するのを失念してしまいました。もともとは、これを紹介するために、この問題を取り上げたようなものだったのに……。「アマゾンの「ポチ買い」は書店を滅ぼす?」(10/21 マガジン航)。書き手は大原ケイさん。この問題が書店、とくに独立系書店にとってどれほど、そしてどのように脅威なのか、がわかりやすくまとめられています。


で、そのアマゾン。日本のオンライン書店のなかでは、ダントツの売上をほこっているわけですが、書籍およびCD・DVDなどのパッケージメディアを中心に扱う、広義の「オンライン書店」の売上げをランキングで紹介している記事がありましたので、ご紹介します。「ネット書店の売上ランキングと売上金額」(10/27 日本著書販促センター)。書き手は、「出版流通コンサルティング」の冬狐洞隆也氏。


このお名前、当blogをお読みくださっている方なら、ピンとこられた方もあるかもしれません。いつだったかの記事で紹介した、「書店の減少傾向はいつまで続くのか」の書き手の方です。


前回の記事も、書店と関係者の方々に対してやたらにとげのある書き方で、内容も実に不用意なものだったので、批判的に取り上げたのですが、今回も、一読、びっくりしてしまいました。だって、またしても、ずいぶんな書き方がされているのですよ。


(以下、やや批判的な書き方をしています。書店事情にご興味のある方で、そのような文章でもいい、という方だけお読みいただければと思います。)

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送料無料サービス他、Amazon.co.jpについてのいろいろ

Amazon.co.jp(以下アマゾン)の無料配送が正式サービス化が話題になってますね。「Amazon.co.jp、全商品対象の無料配送が正式サービス化」(11/1 Internet Watch)。本家のアナウンスはこちら。「全品無料配送 完全サービス化」(11/1 Amazon.co.jp)。


「これでまた書店離れが加速か……」という、悲観的な反応が多いようですが、たしかに、買い上げ金額に関係なく完全に送料無料というのは、他の商品はいざ知らず、書籍を扱うオンラインショップではどこもやってませんからね。その意味では、たしかに書店関係者の方々が不安に思われるのもわかります。


あえて空犬通信では取り上げてなかったんですが、今日のニュースがあると、しばらく前に報じられたこのニュースが、がぜん、別の意味を持ってきますよね。「Amazon's iPhone bar code scanner takes impulse buying to a new level」(10/12 iPhone Atlas)。日本語の記事はないかな、と思ったら、これが。「アマゾン、iPhoneアプリに「バーコード検索」機能を追加」(9/29 cnet Japan)。


実際のお店で気になる商品を見つけたら、その場でバーコードをチェック。アマゾンのデータベースでヒットしたら、実際に買うのは、アマゾンでどうぞ。そういう購買行動を促す機能でありソフトウェアである、ということですね。通販が対面販売と比べてもっとも弱い点の1つは、実物見本を確認できないこと。電子がどうのといったって、まだまだ本の世界は、サイズや重さ、カバーのデザインや帯の文言、単行本なのか文庫なのかの違い、本文の文字組の印象など、こうしたモノとしての存在感が、読者の購買意欲を大きく左右する商品ですからね。当然、モノを見て、モノにふれられるほうがいいに決まっている。それを、よそさまのお店の店頭だけ借りちゃおう、って考え方ですよね。そりゃあ、小売り側のみなさんにとってはおもしろいわけがない。


ただ、商品が目の前にあって、しかも、他の商品ならともかく、書籍の場合、値段が同じなんだからその場で買えばいいじゃねえか、という気が、当然リアル書店派の我々にはするわけです。誰が、そのような面倒なことをするのだろう、と。でも、こんな方々がいるとしたら、こういう機能にもそれなりのニーズはあるのかもしれませんね。


たとえば、荷物が重くなるのが嫌な人(高級な紙と付録でふくれあがった女性誌などは、仮に1冊でもメリットがありそう)、
急いでる人(立地によっては、昼休み、レジに行列ができてしまう書店もありますよね)、
手持ちがない人(カード決済ならその場でお金要りませんからね)、などなど。ほかには何かあるかなあ。カードのポイントをためている人も、あえてネットのカード決済にしたい、と思うかもしれません。要するに、いますぐその場でその本がほしい、という人を除くと、これ、利用される可能性ってけっこうありそうに思えてくるのです。


つまり。書店に置いてある本が、すべて「店頭見本」化してしまう、ってことだ。考えてみればおそろしい。


でも、大きな声で異論を唱えたりもしにくい気がするのは、自分がそういうことをしていないか、っていうと、実際には、話が新刊和書以外のことになると、似たようなことしちゃってるんですよね……。


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