更新をサボっている間に、もう12月ではないですか。12月……誕生月だし、クリスマスもあるし、冬休みもあるしで、子どものころから1年でいちばん好きな月なんですよねえ。さすがに誕生日が楽しみな年齢ではなくなったし、クリスマスも子どものイベントになって久しいんですが、やっぱりこの時期特有の、街が華やかでにぎやかになる感じはいいものですよ。本好きや書店仲間、映画好きたちと、今年のイベントやパーソナルベストをネタに飲むお酒もおいしいしね。
さて。この年になると大事でないことはもちろん、大事なこともどんどん忘れちゃったりしてナンギなことですが、11月の終わりと言えば。昨年の今日のことは忘れられません。吉祥寺ロンロン2階にあった、「ロンロンの本屋さん」こと、弘栄堂書店が閉店したのでした。あれから1年かあ……。
吉祥寺ロンロンも改装中。弘栄堂書店の跡地に入っていたブックファースト吉祥寺店も閉店、ロンロンのリニューアルオープン後に書店がどうなるのかは、まだ同店のサイトにもアナウンスがありませんね。
そういえば、吉祥寺ロンロンという名前自体もなくなっちゃうんですね。「『アトレ吉祥寺』誕生!」。アトレのサイトの情報によれば、《2010年4月 吉祥寺ロンロンは『アトレ吉祥寺』としてリニューアルオープンします》なんだそうです。
【“ロンロンがアトレに?!……吉祥寺の変化と新刊書店”の続きを読む】
休日の午後は、これぐらいゆるめのムックたちがちょうどいい感じです。
- NBW友の会『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)
- 別冊映画秘宝『『イングロリアス・バスターズ』映画大作戦!』(洋泉社)
- 『バルタン星人 不滅のダークヒーロー』(コスミック出版)
中央線沿線といっても、ぼくが個人的に思い入れがあるのは、高円寺~三鷹間で、中野は街としては微妙な感じなんですが、でも、中野ブロードウェイは好きで、たまにうろうろしたくなります。
その中野ブロードウェイの本が出ました。内容紹介には、《中野ブロードウェイの史上初、公式BOOK》とあります。「公式」なんだ。公式サイトにもちゃんと案内が出ていますね。
【“ブロードウェイ、イングロ、バルタン……最近買ったムックたち。”の続きを読む】
3連休ですね。昨日の午後と今日、たまたま家族が用事でおでかけだったりしたもので、家でのんびりとDVD三昧。ちょっとマジメな書店がらみの記事が続いたので、今日は趣味丸出しの映画の話でも。
『The Whip and the Body』(監督:マリオ・バーヴァ)『野獣死すべし』(監督:村川透)『Attack of the 50 Ft. Woman』(監督:ネイザン・ハーツ)↑『Attack of the 50 Ft. Woman』はジャケを見せたいので、なぜか検索で引っかかってきた洋書をあげてあります。輸入DVDはこちら。
ホラーに松田優作に特撮、まあ、いつものジャンルです。以下、それぞれの作品について、どうでもいいことを書いてますので、このジャンルに寛容な方のみ、続きをどうぞ。
【“鞭、野獣死すべし、巨大女……最近観た映画たち。”の続きを読む】
フリペのことを書いた記事の最後にちょっとだけふれていたんですが、やっと紹介できますよ。ジュンク堂書店新宿店から、こんなフリペが生まれましたよ。
その名も「淳久文藝倶楽部」。タイトルといい、描き文字といい、デザインといい、レトロでいい感じですね。大きさはB7判と、文庫判よりも一回り小さいサイズで、8頁。内容は、文芸書の紹介が中心。全編手書きです。発行店名や発行日、発行人などの記載はないのですが、ぼくが聞いているところでは、新宿店独自で作成・発行されたもので、手がけているのは同店の文芸担当のみなさん、この11月にできたばかりのもののようです。
ジュンク堂には、『書標(ほんのしるべ)』という、PR誌と同じスタイルの月刊誌があって、なかなかユニークな特集が組まれたりして、そちらはそちらで読み応えがあります。それに比べると、「淳久文藝倶楽部」はまさに手作り、まさにミニコミ、という感じで、担当の方の肉声や熱意がより伝わりやすいかたちになっています。
チェーンのお店が独自に何かを発信するのはけっこうむずかしい面もあるのではと想像されますが、それだけに、先日紹介した「キノブンガク」や、この「淳久文藝倶楽部」のようなミニコミが出てくるとうれしいですね。このようなかたちでの情報発信は大歓迎。月刊なのか季刊なのか、刊行ペースの記載はありませんが、ぜひ定期的に出し続けてほしいものです。
ジュンク堂書店新宿店の店頭にて、無料配布中です。同店を利用されている方は、ぜひ探してみてください。
ほんとは、オープンすぐに取り上げたかったんですが、ちょっと時期を逃してしまいました。半月ほどになりました。
新文化の記事のほうから引きます。《商品面では「提案型売場の構築」を始め、商品量を充実。改装前と比べ、「趣味・生活」「学習参考書・語学・辞典」は1・4倍、「コミック」は3倍に在庫を増やした。》1.4倍というのもすごいですが、コミックの3倍はすごいですね。フロアの様子など、くわしいことは、リブロのサイト、サイト内のWebチラシなどをどうぞ。
グランドオープンとはいえ、書籍館のほうはずっと改装しながらも営業していましたから、Webなどにも「どこが変わったの?」なんて意見もあるようですが、西武百貨店の地下を抜けていった別館(元のイルムス館)地下は、ずいぶん印象が変わりましたよね。駅のほうから来ると、ポスターなどにも使われていた、新刊が面陳された半円形のような棚がまず目にとびこんできますが、なかなか印象的で、いい感じ。
元の雑誌があったあたりには、文芸書・文庫・新書などがまとまり、元の文庫のあたりに雑誌が移動。児童書は位置はそのままですが、棚のアレンジのせいか、見通しがよくなって、イメージも明るくなり、名前も「わむぱむ」。前のごちゃごちゃ感(←ほめ言葉)もけっこう嫌いじゃなかったんですが、親子連れには改装後のほうがいいでしょう。先日訪問したときは、子どもが二人ほど、通路に寝転んで本を読んでました(笑)。居心地がいい証拠です。
【“新刊書店の新しい試み その4……リブロ大変身”の続きを読む】
少し前に、新刊書店の新しい試みとして、三省堂書店の例と、丸善の例を紹介しましたが、その続き。
まずは紀伊國屋書店。もう報道や店頭でご存じの方も多いでしょう。こんなサービスが始まりましたね。
↑左は、店頭のポスター。早速入会してきました(右)。
サービスの内容については、サイトを見ていただくほうが早いでしょう。
チェーン全店で一気に、ではなく、新宿と札幌で先行開始とのこと。来年2010年にはオンラインの「紀伊國屋書店BookWeb」でもポイントが使えるようになるようです。他県で使う機会はあまりないからいいとして、ぼくのように、オンラインもリアルも両方使うという人はけっこう多いと思いますから、「紀伊國屋書店BookWeb」と店頭のシステムが早く一緒になるといいなと思います。
ポイントカードは、すでに三省堂書店が始めていますが、そのときよりもメディアで話題になっている気がするのは、やはり業界最大手がポイントシステム導入に踏み切ったというのが大きいんでしょうね。
【“新刊書店の新しい試み その3……紀伊國屋ポイントカード”の続きを読む】
乱歩関連ニュースです。今回は2つありますよ。まずはこれ。
先日、少年乱歩シリーズ完結の記事で少しふれましたが、紀伊國屋書店新宿本店で、全店フェアが始まりましたよ。
場所は、2階文庫売場です。こうして並ぶと圧巻ですねえ。最新刊4巻だけではなく、既刊にもすべて「ついに完結!」の統一帯がかかっています。
収納ボックス入りの全巻セットもあります。全26巻で、14,700円也。えいや、と買える値段ですよね。完結を待って大人買いを考えていた人がいたら、この機を逃す手はありません。ちょうど時期的には、クリスマス、約ひと月前。お子さんへの、または、ご自分へのクリスマスプレゼントにぴったりではないですか!
【“少年乱歩全点フェア、そして、D坂翻刻掲載雑誌”の続きを読む】
さすがに風邪っぴきのときは中断してましたが、ふだんは、毎晩寝る前に、こんな本を少しずつ読んでます。
ナボコフと言えば、言葉の選び方、構成、自著の翻訳の出来など、自作のあらゆる面に徹底的にこだわった人。ナボコフの、そうした自著への執着というか執念というか、そういう面が書簡集にもあらわれていて、とてもおもしろい読み物になっています。
『ロリータ』の訂正リスト(著者本人が校正・校閲した結果)をエージェントに送ったときの書簡なども、リスト込みで収録されています。これだけでも、決して安価とは言えない本書を手にとる価値があるというもの。
↑左が続き。ナボコフの書簡集には右も。
【“ナボコフの未発表長編、まもなく米英で発売”の続きを読む】
寝込むほどの容態ではぜんぜんなくて、見ようによっては元気だったりもするぐらいなんですが、鼻水と咳が止まらないので、結局土日も、ずっと家に引きこもり。
むずかしい本はさすがにしんどいので、こんな本たちを、ぱらぱらやって過ごしました。
つい先日、風邪の日は児童文学だよね、みたいなこと書いたはずが、いつのまにか、このような次第に……なんか、ビジュアルばっかり(苦笑)。いつになくコミック率が高いのは、まあ体調のせい、ということで……。
依然、風邪っぴきの空犬です……。熱はぜんぜん出ないのに、鼻と喉だけがつらいという、妙に不快な状況が続いています。
こんなときは早く帰ればいいものを、BOOKSルーエに花本氏を訪ね、忘年会の相談を。金夜ではありますが、さすがに今日はノンアルコール。
いろんなところで買うことにしている東宝特撮映画DVDコレクション、第4回配本をルーエで購入。さらにこんな文庫も。
- 中島健一郎『スケッチで楽しむ 東京の坂道散歩』(新人物文庫)
ふだんはチェック対象外っぽいレーベルですが、こんなところからも出てるんですねえ、東京文庫。空犬来店を待ってたかのように、平積みになってたものですから、やむなく即買い。
東京は起伏の多い街で、坂をテーマにした東京本は過去にもいくつも出ています。この本は、写真ではなくスケッチで街を描いているのがポイントで、ぱらぱら見たかぎりでは、素朴なタッチはなかなか悪くない。著者は歯医者さんとのこと、本職の絵描きの手になるものでないため、かえって味のある1冊になっているようです。
そうそう、ルーエで最近買った東京文庫といえば、これがありました。「【文庫】『大人の東京散歩』鈴木伸子著」(10/11産経新聞)
同記事には、《「『昭和』を探して」の副題の通り、食や文化の話題など、モダン・レトロの香りが満ちている。銀座、丸の内から、巣鴨、錦糸町、大塚へ。寄り道や食べ歩き、歴史探索…。都市遊覧の楽しみが広がる。》などとあり、これだととても良さそうに思えるんですが……これ、ちょっとがっかりな1冊でした。
気に入らない本は取り上げないが原則なんですが、好きなテーマで、しかも好きな街が取り上げられていたりするこの本に、これはどうか、なんて記述が複数あったので、ちょっとだけふれることにします。(以下、このテーマに関心のない方にとっては、些末でしかないようなことについて、いろいろ書いていますので、興味ある方のみお読みください。)
【“おもしろそうな東京本、そして、ちょっとがっかりな東京本”の続きを読む】
創刊のときには、乱歩者をひとり残らずうれし泣きさせまくったであろう、ポプラ社の江戸川乱歩少年探偵シリーズ、とうとう完結ですね。
↓ちょっと大変だったけど、並べてみました(残りは末尾にまとめました。順番は適当です)。
完結を記念してこんなプレゼントも。「江戸川乱歩少年探偵シリーズ全26巻完結記念 特製記念グッズをプレゼント!」。えっと、賞品はなになに……
【A賞】小林少年フィギュアストラップ 500名様
【B賞】オリジナルポストカード26枚セット 500名様
【C賞】全26巻収納ケース 500名様。
……収納ケース?! ほしいっ! ほしいです!
【“少年乱歩文庫シリーズ完結です”の続きを読む】
風邪でダウン中の空犬です。マスク着用・手洗いもうがいも怠りなしの毎日なのに、今シーズン2回目のダウン。インフルエンザじゃなくて、ただの風邪というあたりが、運がいいと言うべきか、かえって情けないと言うべきか。嗚呼。
風邪のときは、だまって寝ているのがいちばんなんですが、寝疲れするとちょっとだけ本を読みたくなります。風邪のときは、児童文学を読むのがいちばんと書いていたのは、金井美恵子だったか、松浦寿輝だったか、両方だったか。前回の風邪っぴきのときは、重い本は読めないのに、賢治はさくさく読めました。
で、今日は何を読んでいるかというと。ミルン&シェパードでなければ、石井桃子約でなければ要らない、誰もが続編を望んでいるわけではない、などとさんざんえらそうなことを書いたくせに、結局買ってしまったこれを読んでたりします……。
- David Benedictus(作)・Mark Burgess(絵)『Return to the Hundred Acre Wood』(Egmont Books Ltd)
↑左が英版(Egmont)、右が米版(Dutton Juvenile)。ぼくは英版を買いました。
表紙からしていかにもそれらしいではないですか。中をぱらぱらやってみると、クリストファー・ロビンこそ、ちょっと雰囲気が違いますが、ほかのレギュラーたちの絵はかなり忠実(クリストファー・ロビンは、女の子みたいに描かれていて、本人もそれが嫌だったなんて話もありますから、意図的に、ふつうの男の子風にしたのかも)。見返しの地図も、今回ようにアレンジはされていますが、元の雰囲気のまま。
で、肝心のお話、文章のほうはというと……ああ、ちゃんとプーの文体だ! まだ最初の2章ぐらいしか読んでないけど、でも、とりあえず安心して読めるのは間違いありません。
【“結局買ってしまったプー続編を読みながら”の続きを読む】
タイトルに「活字」を、それも広義の活字(≒文字(で書かれたもの))ではなく、狭義の活字を含む特集が、同時期に別の雑誌で実現するなんて、めずらしいですよねえ。
『考える人』は、グラビアに注目。現在も活版印刷を手がける内外文字印刷株式会社で、職人さんが作業している様子が紹介されています。堀江敏幸さんのエッセイ「光を吸い込むくぼみ」が実際に活版で組まれていて、活字が組まれて様子と、それで印刷した紙面の両方を見ることができます。
『群像』は、活版印刷を続けていた唯一の文芸誌だったのが、今月号で創刊以来の活版印刷をやめ、オフセットに切り替えるのだとか。で、この特集。こちらも、カラーグラビアこそないけれど、特集「活版印刷の記憶」の扉デザインを菊地信義さんが担当、松浦寿輝さんのエッセイ「言葉をいとおしむ」と、活版印刷現場の探訪記「活版印刷の終着駅を前に 凸版印刷川口工場・印刷博物館・菊地信義事務所」が掲載されています。
【“活字からWeb、活版印刷、書店統合……最近買った雑誌たち。”の続きを読む】
帰りの中央線車内でのこと。偶然、隣に座った女性が読んでいた文庫に、なつかしいカバーが。弘栄堂書店のカバーだったんですよ。思わず話しかけそうになってしまいました……。
その弘栄堂も、ブックファーストも今はない吉祥寺で下車、BOOKSルーエに花本氏を訪ねます。「空犬さんがお探しの本、ありますよー」と連れていかれた新刊台には、『日本幻想作家事典』が。きゃー、やめてー。だから、出会わないようにしてるんだってば……。間違えて買っちゃったらどうするの。彼に勧められた本は、タイトルも中身もよく見ぬままにレジに持ってちゃったりするので、ほんと、あぶないところでした……。
さて。先日、新文化(の本紙のほう、2009年11月5日号)を読んでいたら、記事にルーエの名前が出ているではないですか。連載「レジから檄」で、書き手はBOOK EXPRESSディラ上野店の長谷川さん、タイトルは「コラボ新聞発刊」。
長谷川さんは、記事中で、《世の中には新聞を作らずにいられない人間というのがいる》と書いています。そして、《ブックスルーエの花本武氏もまたその業を背負う書店員であった》とも。この空犬通信には何度も書いていることですが、ぼくは、書店独自の情報発信が大好きなので、そのような人たちにはどんどん出てきてもらいたいものです。
【“新聞=フリペを作らずにはいられない人たち”の続きを読む】
娘と立川で映画を観た帰り、オリオン書房ノルテへ。やっぱりオリオンのノルテはいいなあ、いつ来ても。毎回書いてることですが、品揃えや平台・フェアの様子がどうのこうのだけではなく、通路の広さや棚の高さ、ジャンルの配置など、店の空間自体がいいんですよねえ。居心地が良くて、今日も2時間近くも長居してしまいました。
- プリーモ・レーヴィ『天使の蝶』(光文社古典新訳文庫)
- ジャンニ・ロダーリ『パパの電話を待ちながら』(講談社)
- 岩高爆音部『爆音ギター女子図鑑』(PHP研究所)
『天使の蝶』は紀伊國屋書店新宿本店Eくんに教えられた1冊なので、ほんとは彼の店で買いたかったんですが、彼の店を含め、ぼくがふだんよく行く店にはなぜかなくて。先日取り上げた工作舎のプラネタリークラシクスにも入っている、化学と幻想の間をつなぐような創作をものした作家ですね。
偶然イタリア作家、しかも光文社古典新訳文庫つながりでもある作家が続きます。《この本を知っている人と知らない人とでは、人生が違ってくると私は思う。》という、江國香織さんによる絶賛コメントが帯にあるこの本は、児童書コーナーで平積み本に。童話集となっているんですが、でも、このおかしみを楽しめるのは、むしろ大人かなとも思います。短くて、不思議で、シュールな話が満載。
【“イタリア作家2人、爆音ギター女子……今日買った本たち。”の続きを読む】
20年前の今日11月6日。ある俳優が亡くなりました。ふと駅の売店で目にしたスポーツ新聞の見出しがとうてい信じられず、ふだんまず買ったことのないスポーツ新聞を買い、その一面に大きく取り上げられた記事を読んで、あまりのショックに、駅でしばらく動けなくなってしまったのを、今でもようく覚えています。
だから、この映画は、今日、観にいく必要があったのですよ、個人的には。
2009年は、松田優作の没後20周年、生誕60周年の年。その節目の年の命日に、「最初で最後の公式ドキュメンタリー」(予告編より)とい作品が公開されるのです。これはファンとして観にいかないわけにはいきません。
映画の内容については、公式サイト、「松田優作20thメモリアルプロジェクト SOULRED」他、いろんなところで書かれてますから、あえてふれません。とにかく。映画としての出来云々は抜きにして、ある年齢から上の男子の心の中にデフォルトで設置されている優作スイッチが激しくONに振り切れること必至の作品です。
あなたが、なんの但し書きも条件付けもなしの「松田優作ファン」なら、もう全速力で映画館に駆けつけてください。そこまでのファンでなくても、優作の主演作を3つあげられるなら、印象的な場面や台詞を3つあげられるなら、もう迷わず、館にレッツゴーです。空犬通信、全面的かつ強力プッシュの1本です。
これだけで終わりにしたいところなんですが、多少の感想や、ちょっと物足りなかった点なんかにもふれたり、個人的な思い出を書いたりしますので、以下、興味がある方だけご覧ください。(ストーリーがある作品ではないので、ネタバレ的な心配はないと思いますが、内容にふれます。)
【“30代以上の全男子必見です……『SOUL RED 松田優作』”の続きを読む】
『明智小五郎読本』『芋虫』『東宝特撮総進撃』……このところ、空犬好みの新刊が続いてますが、どういうわけか、またまた探偵だのSF/ホラーだの幻想だのって、空犬好みの本が続けて刊行されます。うれしいけど、なんか高額本ばっかりで、お金が大変……。以下、正確には「購入したい本リスト」です。
- 東雅夫・石堂藍編著『日本幻想作家事典』(国書刊行会)
- 石田一『フォーレスト・J・アッカーマン ホラーSFコレクション博物館』(キャッスルカンパニー)
- 川北紘一『平成ゴジラクロニクル』(キネマ旬報社)
『日本幻想作家事典』、ぼくの好みからすれば、本来なら迷うことなく購入してしかるべき本なんですが、うーん、これ、1991年刊の『日本幻想作家名鑑』(幻想文学出版局)の増補改訂版なんですよねえ。別冊幻想文学として出たこの本も、けっこうな値段出して買ったのになあ……。
ただ、3倍以上の分量になっているというし、「怪奇幻想漫画家事典」と「怪奇幻想映像小史」が附録として収録されているというから、別物と考えるべきか。それにしても8000円弱はなあ……。はあ。キケンなので、店頭で遭遇しないように気をつけてます……。
【“日本幻想、アッカーマン、ゴジラ……空犬好みの本が続いて大変です”の続きを読む】
『パノラマ島』の次は、これがきましたか……。
『パノラマ島綺譚』が、第13回手塚治虫文化賞「新生賞」を受賞したこともあってのグレードアップ、でしょうか、今回は、上製本(ハードカバー)です。
前作『パノラマ』もそうでしたが、乱歩初期の怪奇幻想短篇のうち、「鏡地獄」「人間椅子」「芋虫」といった視覚的な妄想度の高い作品って、ビジュアル化がむずかしいと思うのですよ。熱心なファンであればあるほど、頭の中で、独自の乱歩的妄想世界が構築されているはずで、少しでもずれると、ピンとこない、これは(自分の考える)乱歩ではない、といったことになりかねないからです。
で、本作ですが、丸尾末広さんのエログロワールドが前作以上に遺憾なく発揮されていて、なんだかすごい世界になっています。細部の書き込みがすごくて、読み飛ばせなくて、ついつい絵の隅々まで見入っちゃうもので、読み終わったら、もうへとへとです(悪い意味ではなく)。間違いなく、乱歩世界ともっとも相性のいい漫画家でしょう。って、マンガのことをよく知らないくせになんですが、でも、乱歩者をそう思わせる迫力に充ち満ちた作品なのです。乱歩者は必携必読かと。
【“『パノラマ島』に引き続き乱歩コミック化……『芋虫』”の続きを読む】
みなさん、もちろん毎号、発売日に買ってますよね。何をって、もちろん、これですよ。これ。東宝特撮映画 DVDコレクション(デアゴスティーニ・ジャパン)。
いやあ、これはもう、2週ごとに特撮新作がかかるようなものですよ。独り深夜映画の楽しみが増えました。
このシリーズ刊行に合わせた企画なんでしょうか、こういう本も出ちゃったりして、もちろん、発売日に買わなくてはならないので、ほんと大変です。
↑表紙もそれらしくて、ステキです。
こういう本が出るのはうれしいんですが、さすがに特撮文献はもう家族にあきれられるぐらい所有しています。当然知ってる作品の知ってる話ばかりだろうと、パラ読みのつもりで手にとったら、秘宝のいつもの人たちのほか、黒沢清や朱川湊人といった方々も特撮愛あふれる文章を寄せていたりして、結局最初から最後まで、スチルや本文はもちろん、写真に添えられた小さなキャプションまで、ぜーんぶ、熟読してしまいました。何やってんだか……。
【“東宝特撮な日々”の続きを読む】
啓文堂書店吉祥寺店で、こんな本を購入。
しばらく前から同店で開催中のフェア、博物文学フェア <科学>と<幻想>をむすぶきらめく本の星座で面陳されていた1冊です。
工作舎、好きだったなあ。大学生のころに、好きな出版社を聞かれたら、確実に五本の指に入っていたはず。それぐらい、工作舎の本は大好きでした。
当時から、「ブンガク好きで、ちょっと自然科学に興味あり」といった読書傾向でまさに「〈科学〉と〈幻想〉をむすぶきらめく本の星座」に惹かれていたわけで、そんな青二才の興味のありようにぴったりだったんですよ、同社のラインナップが。かっこいい装丁、落ち着いた紙面(精工舎の活字)、大好きな土星をあしらった版元のロゴ(単行本にはさまれていた新刊目録のタイトルも「土星紀」)……全部ひっくるめて好きだったなあ。いまは移転して別の場所にありますが、工作舎の本の奥付で、「渋谷区松濤」なんて地名も覚えたほどです。
【“夜の魂を求める巡礼”の続きを読む】
さて。昨日見てきた石井一孝CDデビュー10周年記念コンサート『Swing in the midnight blue~君の瞳にうつる僕に乾杯~』のレポートを。
今回は、石井一孝さんが初めてジャズ・ナンバーに挑戦するというライヴ。演奏は、ピアノとパーカッションのみの、アコースティック・セット。ピアノは林正樹さん、パーカッションは菅原裕紀さん。
当日演奏された曲を、思い出せるかぎりあげてみます(演奏順はこの通りではありません)。
- 「ナイト・アンド・デイ」
- 「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」
- 「ドント・ノウ・ホワイ」
- 「スペイン」
- 「ボルサリーノ」
- 「夜が明ける前に」
- 「同じ傘の下で」
- 「ハッピー・バースデイ」
- 「マイ・メランコリー・ブルース」
- 「忘れじのおもかげ」
- 「アルフィー」
いわゆる王道的なジャズ・スタンダードに、石井一孝の考える「ジャズ」的世界に属する曲、そして自身のオリジナル曲を取り混ぜた、曲調の幅の広いリストになっていますね。
【“祝CDデビュー10周年! 石井一孝さんのライヴに行ってきました”の続きを読む】
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