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2024-12-03

お前がアダムイヴだったとき、蛇に唆される食い物は林檎ではなく

家系ラーメン

飲み食べするより匂いのほうが美味なもの

コーヒー

カレー

・苺、林檎

焼肉

シュークリーム

どんなプロンプト打ったらそうなるんでしょうね?

元増田カジュアルメモひとつも難しいことを書いてないが、増田anond:20241203143657)にはこちらの方が向いてるかもしれない

 

対話が成立しない際にある、価値観とか、知識とか、IQとか、コミュニケーション問題とかの前にある、認知の仕組みの問題

Honey Crispという品種りんごを見て、その黄色味に注目し、「黄林檎」と表現するのは個人価値観知識問題で、特に気になるところはないです。

こうした発言をする人と問題なく会話は成立する思います

 

だけど、Honey Crispを見て「これはりんごではない」と言う人については、認知の仕組みに問題がある気がします。

極端に表層的な学習を行い、それに気づけていない可能性とかありそうです。

こうした認知のズレを持つ相手との会話の成立は難しく、まず「どのような形状や状態りんごと見なされるのか」から話を始める必要があります

 

もっとも、この世のどこかにHoney Crispのように見えるが実際にはりんごではない果物実在する可能性や、見た目が同じでも研究の結果「りんごではなかった」となる可能性も、ゼロではないです。その場合、「りんごではない」という主張は成立するので、「りんごではない」発言する人について、この増田内ではOKします。 

 

 

しかし、「サッカーボールボールだが、ラグビーボールボールではない」という発言する人についてはどーでしょーか?

個人的には、哲学的な問いを仕掛けてきてる?概念境界の話や、本質主義 vs. 構成主義みたいな話がしたいの?

ラグビーボールボールカテゴリーに入れて話を進めて貰うのは無茶な要求ですか?と言った気持ちになる。

 

 

この問題を別の話に置き換えてみましょう

 

- A、B、C、Dとディーラーがいる。

- ディーラートランプの山からカードを1枚ずつ取り、決まった場所にセットする。カードが何かを確認した後に公開する。

- 正解を当てるまでゲームは終わらない

- 24枚目のカードがセットされたところで状況が進む

 

A:「セットするときチラッと見えたけど、ダイヤのKで間違いない。ハートのKはすでに出ているし、見間違えるはずがない。回答はダイヤのKでいいよな?」

B:「当たるか外れるかは1/2だからダイヤのKでいいよ。」

 

- 幸運なことに24枚目のカードダイヤのKだった。

 

C:「やっと終わったか。このゲーム考えたやつ、バカだろ?マリカーやろうぜ。」

D:「これはダイヤのKじゃない。」

 

 

##各発言について:
・Aについて

Aは観察した事実を述べており、問題なく対話可能です。ただし、状況によっては、Aの動体視力や観察力について確認裏付け必要になるかもしれません。

 

・Bについて

Bは残りのカード枚数という前提条件を無視し、「当たるか外れるか」の1/2に単純化して発言していますが、対話可能そうです。ただし、状況によっては、なぜそのような単純化を行ったのか確認をする必要があるかもしれません。

 

・Cについて

CはダイヤのKを当ててクソゲーが終わったことへの率直な感想を述べています対話自体問題なさそうです。ただし、状況によっては、発言が周囲の空気を読めていない、配慮に欠けていると受け取られる場合があります。たとえば、Aが精力的にゲームを進行していた場合、Cの発言不快感を招く可能性も考えられます。これはコミュニケーション上の配慮問題であり、Dのような「認知の仕組みのズレ」とは異なります

 

・Dについて

Dは「これはダイヤのKではない」と主張しています理由を聞くと、自宅のトランプカードのKとフォントが違うからだと言います。Dとの対話は困難を極めます

  

 

##嘘のような本当の話:

Dのような発言をする人は、現実存在します。本人に皮肉ギャグを言っているつもりはありません。意図的に話を混ぜ返しているわけでもないです。

ただ特定の細部に過剰に焦点を当てているだけです。

りんごではない、ボールではないと同じノリです。

 

Dの視点のものがすべての場面で悪いとはまったく思わないです。でも、この文脈でのDの発言は、対象への理解が極端に浅いか認知の仕組みに問題があると解釈するのが自然よね?

実際、Dと対話を続けるには、トランプカード基本的な形状、ダイヤというスートの概念、Kというランク概念を一から説明する必要があって困難を極める。

 

 

これでも難しい人がいるみたいなのでさらに補足

対話本質的に成り立たない理由は、Dが提示する論点現実や共有された前提(コンテクストから逸脱しており、対話が成立する土台そのものを欠いているからです。

 

A、B、Cの発言はたとえ偏りや誤解があったとしても、それぞれ一定範囲内で共有された認識価値観に基づいており、訂正や調整を経て合意に近づける可能性がありますしかし、Dの場合認知の仕組みそのもの問題があり、前提を共有するために基本的概念から再構築しなければならず、その労力が極めて大きいのです。

 

多くの人が「価値観の違い」「IQ問題」「知識の不足」「コミュニケーション能力の欠如」に原因を求めがちですが、Dのようなケースはそれらの問題を超えており、根本的には認知のズレによって引き起こされていると考える方が適切です。

 

例として:

 

1. 価値観の違いなら、Aのように「ダイヤのK」と主張しても、議論裏付け解決可能

2. IQ知識の不足であれば、Bのように「1/2」と単純化していても説明次第で改善可能

3. コミュニケーション軽率さは、Cのような態度に現れるものの、感情修正配慮で調整可能

 

しかし、Dの「フォントが違うからダイヤのKではない」という主張には、認知のもの根深問題があり、共通認識にたどり着くまでに膨大な時間と労力が必要となります

この問題認識しない限り、議論本質からずれてしまい、解決にたどり着けないことが多いと言えるでしょう。

2024-12-02

対話が成立しない際にある、価値観とか、知識とか、IQとか、コミュニケーション問題とかの前にある、認知の仕組みの問題

Honey Crispという品種りんごを見て、その黄色味に注目し、「黄林檎」と表現するのは個人価値観知識問題で、特に気になるところはないです。

こうした発言をする人と問題なく会話は成立する思います

 

だけど、Honey Crispを見て「これはりんごではない」と言う人については、認知の仕組みに問題がある気がします。

極端に表層的な学習を行い、それに気づけていない可能性とかありそうです。

こうした認知のズレを持つ相手との会話の成立は難しく、まず「どのような形状や状態りんごと見なされるのか」から話を始める必要があります

 

もっとも、この世のどこかにHoney Crispのように見えるが実際にはりんごではない果物実在する可能性や、見た目が同じでも研究の結果「りんごではなかった」となる可能性も、ゼロではないです。その場合、「りんごではない」という主張は成立するので、「りんごではない」発言する人について、この増田内ではOKします。 

 

 

しかし、「サッカーボールボールだが、ラグビーボールボールではない」という発言する人についてはどーでしょーか?

個人的には、哲学的な問いを仕掛けてきてる?概念境界の話や、本質主義 vs. 構成主義みたいな話がしたいの?

ラグビーボールボールカテゴリーに入れて話を進めて貰うのは無茶な要求ですか?と言った気持ちになる。

 

 

この問題を別の話に置き換えてみましょう

 

- A、B、C、Dとディーラーがいる。

- ディーラートランプの山からカードを1枚ずつ取り、決まった場所にセットする。カードが何かを確認した後に公開する。

- 正解を当てるまでゲームは終わらない

- 24枚目のカードがセットされたところで状況が進む

 

A:「セットするときチラッと見えたけど、ダイヤのKで間違いない。ハートのKはすでに出ているし、見間違えるはずがない。回答はダイヤのKでいいよな?」

B:「当たるか外れるかは1/2だからダイヤのKでいいよ。」

 

- 幸運なことに24枚目のカードダイヤのKだった。

 

C:「やっと終わったか。このゲーム考えたやつ、バカだろ?マリカーやろうぜ。」

D:「これはダイヤのKじゃない。」

 

 

##各発言について:
Aについて

Aは観察した事実を述べており、問題なく対話可能です。ただし、状況によっては、Aの動体視力や観察力について確認裏付け必要になるかもしれません。

 

Bについて

Bは残りのカード枚数という前提条件を無視し、「当たるか外れるか」の1/2に単純化して発言していますが、対話可能そうです。ただし、状況によっては、なぜそのような単純化を行ったのか確認をする必要があるかもしれません。

 

Cについて

CはダイヤのKを当ててクソゲーが終わったことへの率直な感想を述べています対話自体問題なさそうです。ただし、状況によっては、ゲームを考案した人や功労者であるAへの配慮が欠けている点に注意が必要かも知れません。

 

Dについて

Dは「これはダイヤのKではない」と主張しています理由を聞くと、自宅のトランプカードのKとフォントが違うからだと言います。Dとの対話は困難を極めます

  

 

##嘘のような本当の話:

Dのような発言をする人は、現実存在します。本人に皮肉ギャグを言っているつもりはありません。意図的に話を混ぜ返しているわけでもないです。

ただ特定の細部に過剰に焦点を当てているだけです。

りんごではない、ボールではないと同じノリです。

 

Dの視点のものがすべての場面で悪いとはまったく思わないです。でも、この文脈でのDの発言は、対象への理解が極端に浅いか認知の仕組みに問題があると解釈するのが自然よね?

実際、Dと対話を続けるには、トランプカード基本的な形状、ダイヤというスートの概念、Kというランク概念を一から説明する必要があって困難を極める。

2024-11-09

このスコア見て疑わないのが林檎信者

2024-11-07

ライブ】20241107 (生)林檎博'24−景気の回復

・ふーん、静岡椎名林檎ライブやるんや ほなちょっと応募してるみるかウィンとサンドウィッチマンのノリで応募したら当たったので当日まで半信半疑半分・夢見心地半分で過ごし今日…ってワケ…

・当日の午前中、思ったより心が落ち着いてるな…と思ったけどなんかいつもより世界キラキラしとるな…ってなった

愛野駅エスカレーターの時点で心臓がドキドキしとる…自分って認識してるより椎名林檎の事、好き、なんや…って思ったけど愛野駅階段ハード過ぎるだけだわ

ライブティシャツ買おうとしたけど生地があまりペラ過ぎてやめた ¥4000までならわかるけどこの生地デザインで¥6000は価値観に合わなかった

チケット代も今まで参加したライブで一番高いチケ代+手数料計¥14080+新幹線代でえれえ金額かけてるから冷静になってしまった…

ライブ本体感想

VIP席のうしろ ナイス席や!

東京のでっけえ箱に比べるとそもそもキャパが小さめなのでどの席もステージを見やす良席でスナイパーの席は無かったが、

「より近い席」人を羨んでしまう心が無いと言ったら嘘になるのでこれが「上を見続け、羨み続けてしま人間の心…」ってなった 己の恵まれた現状を認識に現状で目一杯楽しめ!と己に言い聞かせた 人生

・オープニングの映像で「生の椎名林檎がこの世に存在あまつさえ生歌を聴くことができる」という事実に感動し、今まで椎名林檎の歌を聴き続けた己の人生にうっとりし涙したがその後は割とスンッとしてた

エコパアリーナ椅子があるし座っての観劇やろなぁと思ったらみんな普通に立ってた…

キョロキョロして立った

面白くは無かったけど、

決してクオリティか低いとかいう訳ではなく

私は「今」の椎名林檎じゃなくて「昔」の椎名林檎が好きだったんだな…と思った

3/5は「し、知らない曲ですね…」ってなり1/5は「聴いたことはありますがそこまで刺さらなかったのでそんなにリピはしてない曲ですね…」ってなった

・貝のベッドで歌ってくれてる段階でスンッてなって女豹のレオタードの段階で上記の気付きを得た

・19:00上映で、18:20頃に会場に入って「19:00になったら本当に椎名林檎が目の前に現れる…?!」ってソワソワハァハァしてる時間がいっちゃんおもろかった

・赤安が大爆破する前に緋色弾丸曲の生歌…聴きたかった…という気持ち半分と生歌聴けて嬉しすぎて呼吸数爆増〜!が同時に来た

・油(聴衆)が大炎上(熱狂)したくてフツフツしているが決定的に沸く火種が投下されずフツフツした状態継続したライブだった 

アンコールの2曲(自由に道連れ・東京オリンピック映像の曲)を序盤にやってたらもっと沸いてた

主語デカくしてんじゃねーぞ」と思ったけど椎名林檎旗の振りが明らかになんか…こう…揺蕩う川のような…各々一生懸命フリフリしてるような…スポーツとかライブで盛り上がった聴衆の動きの一体感は… やっぱ途中盛り上がってなかったんやなってなった

まさかの「二次創作」で強めの流れ弾が来たわ…そして「二次創作はいくらクオリティが神、ましてや椎名林檎日本で指折りのトップアーティストだが二次創作元ネタが刺さっていなければ刺さらないのはどんなに作り手が神でもそういうものなんだな」かつ「目茶苦茶楽しそうに二次創作する椎名林檎」「二次創作は本人が楽しくて公式様にお目溢し頂ければそれでええんじゃ!」(椎名林檎ほどの神アーティストになると二次創作から二次創作を依頼されるかもしれませんが…)といつ二次創作の「核」を再認識させて頂いた

最初椎名林檎も、齢かな…と思って見てたけど、

ライブライブ生中継(表情アップ)してくれたんだけど、椎名林檎の目を伏せて口を横に引き結ぶ笑い方、目茶苦茶魅力的な表情だな…と思った

特にアンコール金髪ボブボクサー、目茶苦茶可愛かった1番好き YUKIみたいなビジュアル髪型衣装も目茶苦茶似合ってた

やきう

やきうそもそもまり…とクサクサしていたが「青春の輝き」生歌+背景の雷鳴轟く野球グラウンド萌えに直撃(通常の晴天の野球グラウンドにしないところが流石椎名林檎ライブ背景作る神クリエイターさんの仕事やでぇ!ってなった) というか野球ジャンルの◯◯◯◯のイメソンに「青春の輝き」は妄想してると感情が溢れすぎてしまうため禁止カードとして封印していたのに椎名林檎から最高の環境で直撃させられてしまうと…椎名林檎声帯、直撃すると生歌一曲でもう心揺さぶられて泣いちゃうからほんまダメ

椎名林檎の呼吸音とか口のニチャ音をきけたので「マジ実在する人間なんだ…」って思った

・えっ紙吹雪排出口が1箇所だけ?

・おまいら、「熱狂した」ってことにしようとしてねえか?

まさか浴室をやってくれると思わなんだ

ありがたすぎて拝んだ

緋色弾丸の曲と浴室と青春の輝きはハンチョウパフェ回の「甘いものロックオンした幼児の眼」で自我シャットダウンして視覚聴覚をひたすら研ぎ澄ませていた 興奮しすぎて呼吸数が異常に多くなっていた

・新アルバムコラボアーティストライブに来るんやろうなぁ…と思ってた AIが来てた?

トークとかするんやろなぁ…椎名林檎たそはどんなトークするのかな?ニチャア…してたけどトークはなく「歌唱100%」の密度が凄まじい時間が目の前を通り過ぎていった プ、プロ仕事すぎる

・色々ゆうとりますけど「椎名林檎ライブに行く」のは死ぬまでにやりたいことリストのかなり上位だったので行けてよかった 

あとは倉橋ヨエコライブに言ったら本当に「ライブに行きたいアーティストコンプリートだが倉橋ヨエコチケとれんからコンプは難しそう

(それも「昔」の倉橋ヨエコが好きなんであって「今」の倉橋ヨエコの事は「普通」と思っていないか?)

2024-11-06

anond:20241106140729

脳漿炸裂ガールだの悪林檎だのシュガーソングだの

どれも全く重要ではないし音ゲー初出ですらねーだろアホか?

無双でも入れとけよ

2024-10-07

ガーミンとかで良くないか

哀れな林檎信者www

あと本人が使いこなせない物を買い与えるのもどうかと思う。1週間使ってタンスにしまって終わりだな。所詮お前の自己満足だもんな anond:20241007064046

2024-10-02

林檎と梨を地面に置くと梨の方に多くの蟻が集まる

ナシ寄りのアリ

 三四郎は、その不思議な事を、すぐ話せばいいと思うのに、与次郎は平気なもので、一人でのみこんで、一人で不思議がっている。三四郎はしばらく我慢していたが、とうとう焦れったくなって、与次郎に、美禰子に関するすべての事実を隠さずに話してくれと請求した。与次郎は笑いだした。そうして慰謝のためかなんだか、とんだところへ話頭を持っていってしまった。 「ばかだなあ、あんな女を思って。思ったってしかたがないよ。第一、君と同年ぐらいじゃないか。同年ぐらいの男にほれるのは昔の事だ。八百屋お七時代の恋だ」  三四郎は黙っていた。けれども与次郎意味はよくわからなかった。 「なぜというに。二十前後の同じ年の男女を二人並べてみろ。女のほうが万事上手だあね。男は馬鹿にされるばかりだ。女だって自分軽蔑する男の所へ嫁へ行く気は出ないやね。もっと自分世界いちばん偉いと思ってる女は例外だ。軽蔑する所へ行かなければ独身で暮らすよりほかに方法はないんだから。よく金持ちの娘や何かにそんなのがあるじゃないか、望んで嫁に来ておきながら、亭主を軽蔑しているのが。美禰子さんはそれよりずっと偉い。その代り、夫として尊敬のできない人の所へははじめから行く気はないんだから相手になるものはその気でいなくっちゃいけない。そういう点で君だのぼくだのは、あの女の夫になる資格はないんだよ」  三四郎はとうとう与次郎といっしょにされてしまった。しかし依然として黙っていた。 「そりゃ君だって、ぼくだって、あの女よりはるかに偉いさ。お互いにこれでも、なあ。けれども、もう五、六年たたなくっちゃ、その偉さ加減がかの女の目に映ってこない。しかして、かの女は五、六年じっとしている気づかいはない。したがって、君があの女と結婚する事は風馬牛だ」  与次郎は風馬牛という熟字を妙なところへ使った。そうして一人で笑っている。 「なに、もう五、六年もすると、あれより、ずっと上等なのが、あらわれて来るよ。日本じゃ今女のほうが余っているんだから風邪なんか引いて熱を出したってはじまらない。――なに世の中は広いから、心配するがものはない。じつはぼくにもいろいろあるんだが、ぼくのほうであんまりうるさいから、御用で長崎出張すると言ってね」 「なんだ、それは」 「なんだって、ぼくの関係した女さ」  三四郎は驚いた。 「なに、女だって、君なんぞのかつて近寄ったことのない種類の女だよ。それをね、長崎へ黴菌の試験出張するから当分だめだってわっちまった。ところがその女が林檎を持って停車場まで送りに行くと言いだしたんで、ぼくは弱ったね」  三四郎ますます驚いた。驚きながら聞いた。 「それで、どうした」 「どうしたか知らない。林檎を持って、停車場に待っていたんだろう」 「ひどい男だ。よく、そんな悪い事ができるね」 「悪い事で、かあいそうな事だとは知ってるけれども、しかたがない。はじめから次第次第に、そこまで運命に持っていかれるんだから。じつはとうのさきからぼくが医科の学生になっていたんだからなあ」 「なんで、そんなよけいな嘘をつくんだ」 「そりゃ、またそれぞれの事情のあることなのさ。それで、女が病気の時に、診断を頼まれて困ったこともある」  三四郎おかしくなった。 「その時は舌を見て、胸をたたいて、いいかげんにごまかしたが、その次に病院へ行って、見てもらいたいがいいかと聞かれたには閉口した」  三四郎はとうとう笑いだした。与次郎は、 「そういうこともたくさんあるから、まあ安心するがよかろう」と言った。なんの事だかわからない。しかし愉快になった。  与次郎はその時はじめて、美禰子に関する不思議説明した。与次郎の言うところによると、よし子にも結婚の話がある。それから美禰子にもある。それだけならばいいが、よし子の行く所と、美禰子の行く所が、同じ人らしい。だから不思議なのだそうだ。  三四郎も少しばかにされたような気がした。しかしよし子の結婚だけはたしかである。現に自分がその話をそばで聞いていた。ことによるとその話を美禰子のと取り違えたのかもしれない。けれども美禰子の結婚も、まったく嘘ではないらしい。三四郎ははっきりしたところが知りたくなった。ついでだから与次郎に教えてくれと頼んだ。与次郎はわけなく承知した。よし子を見舞いに来るようにしてやるから、じかに聞いてみろという。うまい事を考えた。 「だから、薬を飲んで、待っていなくってはいけない」 「病気が直っても、寝て待っている」  二人は笑って別れた。帰りがけに与次郎が、近所の医者に来てもらう手続きをした。  晩になって、医者が来た。三四郎自分医者を迎えた覚えがないんだから、はじめは少し狼狽した。そのうち脈を取られたのでようやく気がついた。年の若い丁寧な男である三四郎は代診と鑑定した。五分ののち病症はインフルエンザときまった。今夜頓服を飲んで、なるべく風にあたらないようにしろという注意である。  翌日目がさめると、頭がだいぶ軽くなっている。寝ていれば、ほとんど常体に近い。ただ枕を離れると、ふらふらする下女が来て、だいぶ部屋の中が熱臭いと言った。三四郎は飯も食わずに、仰向けに天井をながめていた。時々うとうと眠くなる。明らかに熱と疲れとにとらわれたありさである三四郎は、とらわれたまま、逆らわずに、寝たりさめたりするあいだに、自然に従う一種快感を得た。病症が軽いからだと思った。  四時間、五時間とたつうちに、そろそろ退屈を感じだした。しきりに寝返りを打つ。外はいい天気である。障子にあたる日が、次第に影を移してゆく。雀が鳴く。三四郎はきょうも与次郎が遊びに来てくれればいいと思った。  ところへ下女が障子をあけて、女のお客様だと言う。よし子が、そう早く来ようとは待ち設けなかった。与次郎だけに敏捷な働きをした。寝たまま、あけ放しの入口に目をつけていると、やがて高い姿が敷居の上へ現われた。きょうは紫の袴をはいている。足は両方とも廊下にある。ちょっとはいるのを躊躇した様子が見える。三四郎は肩を床から上げて、「いらっしゃい」と言った。  よし子は障子をたてて、枕元へすわった。六畳の座敷が、取り乱してあるうえに、けさは掃除をしないから、なお狭苦しい。女は、三四郎に、 「寝ていらっしゃい」と言った。三四郎はまた頭を枕へつけた。自分だけは穏やかである。 「臭くはないですか」と聞いた。 「ええ、少し」と言ったが、べつだん臭い顔もしなかった。「熱がおありなの。なんなんでしょう、御病気は。お医者はいらしって」 「医者はゆうべ来ました。インフルエンザだそうです」 「けさ早く佐々木さんがおいでになって、小川病気から見舞いに行ってやってください。何病だかわからないが、なんでも軽くはないようだっておっしゃるものから、私も美禰子さんもびっくりしたの」  与次郎がまた少しほらを吹いた。悪く言えば、よし子を釣り出したようなものである三四郎は人がいいから、気の毒でならない。「どうもありがとう」と言って寝ている。よし子は風呂敷包みの中から蜜柑の籠を出した。 「美禰子さんの御注意があったから買ってきました」と正直な事を言う。どっちのお見舞だかわからない。三四郎はよし子に対して礼を述べておいた。 「美禰子さんもあがるはずですが、このごろ少し忙しいものですから――どうぞよろしくって……」 「何か特別に忙しいことができたのですか」 「ええ。できたの」と言った。大きな黒い目が、枕についた三四郎の顔の上に落ちている。三四郎は下から、よし子の青白い額を見上げた。はじめてこの女に病院で会った昔を思い出した。今でもものうげに見える。同時に快活である。頼りになるべきすべての慰謝を三四郎の枕の上にもたらしてきた。 「蜜柑をむいてあげましょうか」  女は青い葉の間から果物を取り出した。渇いた人は、香にほとばしる甘い露を、したたかに飲んだ。 「おいしいでしょう。美禰子さんのお見舞よ」 「もうたくさん」  女は袂から白いハンケチを出して手をふいた。 「野々宮さん、あなたの御縁談はどうなりました」 「あれぎりです」 「美禰子さんにも縁談の口があるそうじゃありませんか」 「ええ、もうまとまりました」 「だれですか、さきは」 「私をもらうと言ったかたなの。ほほほおかしいでしょう。美禰子さんのお兄いさんのお友だちよ。私近いうちにまた兄といっしょに家を持ちますの。美禰子さんが行ってしまうと、もうご厄介になってるわけにゆかないから」 「あなたはお嫁には行かないんですか」 「行きたい所がありさえすれば行きますわ」  女はこう言い捨てて心持ちよく笑った。まだ行きたい所がないにきまっている。  三四郎はその日から四日ほど床を離れなかった。五日目にこわごわながら湯にはいって、鏡を見た。亡者の相がある。思い切って床屋へ行った。そのあくる日は日曜である。  朝飯後、シャツを重ねて、外套を着て、寒くないようにして美禰子の家へ行った。玄関によし子が立って、今沓脱へ降りようとしている。今兄の所へ行くところだと言う。美禰子はいない。三四郎はいっしょに表へ出た。 「もうすっかりいいんですか」 「ありがとう。もう直りました。――里見さんはどこへ行ったんですか」 「にいさん?」 「いいえ、美禰子さんです」 「美禰子さんは会堂」  美禰子の会堂へ行くことは、はじめて聞いた。どこの会堂か教えてもらって、三四郎はよし子に別れた。横町を三つほど曲がると、すぐ前へ出た。三四郎はまったく耶蘇教に縁のない男である。会堂の中はのぞいて見たこともない。前へ立って、建物をながめた。説教掲示を読んだ。鉄柵の所を行ったり来たりした。ある時は寄りかかってみた。三四郎はともかくもして、美禰子の出てくるのを待つつもりである。  やがて唱歌の声が聞こえた。賛美歌というものだろうと考えた。締め切った高い窓のうちのでき事である。音量から察するとよほどの人数らしい。美禰子の声もそのうちにある。三四郎は耳を傾けた。歌はやんだ。風が吹く。三四郎外套の襟を立てた。空に美禰子の好きな雲が出た。  かつて美禰子といっしょに秋の空を見たこともあった。所は広田先生の二階であった。田端小川の縁にすわったこともあった。その時も一人ではなかった。迷羊。迷羊。雲が羊の形をしている。  忽然として会堂の戸が開いた。中から人が出る。人は天国から浮世へ帰る。美禰子は終りから四番目であった。縞の吾妻コートを着て、うつ向いて、上り口の階段を降りて来た。寒いみえて、肩をすぼめて、両手を前で重ねて、できるだけ外界との交渉を少なくしている。美禰子はこのすべてにあがらざる態度を門ぎわまで持続した。その時、往来の忙しさに、はじめて気がついたように顔を上げた。三四郎の脱いだ帽子の影が、女の目に映った。二人は説教掲示のある所で、互いに近寄った。 「どうなすって」 「今お宅までちょっと出たところです」 「そう、じゃいらっしゃい」  女はなかば歩をめぐらしかけた。相変らず低い下駄はいている。男はわざと会堂の垣に身を寄せた。 「ここでお目にかかればそれでよい。さっきからあなたの出て来るのを待っていた」 「おはいりになればよいのに。寒かったでしょう」 「寒かった」 「お風邪はもうよいの。大事になさらないと、ぶり返しますよ。まだ顔色がよくないようね」  男は返事をしずに、外套の隠袋から半紙に包んだものを出した。 「拝借した金です。ながながありがとう。返そう返そうと思って、ついおそくなった」  美禰子はちょっと三四郎の顔を見たが、そのまま逆らわずに、紙包みを受け取った。しかし手に持ったなり、しまわずにながめている。三四郎もそれをながめている。言葉が少しのあいだ切れた。やがて、美禰子が言った。 「あなた、御不自由じゃなくって」 「いいえ、このあいからそのつもりで国から取り寄せておいたのだから、どうか取ってください」 「そう。じゃいただいておきましょう」  女は紙包みを懐へ入れた。その手を吾妻コートから出した時、白いハンケチを持っていた。鼻のところへあてて、三四郎を見ている。ハンケチをかぐ様子でもある。やがて、その手を不意に延ばした。ハンケチ三四郎の顔の前へ来た。鋭い香がぷんとする。 「ヘリオトロープ」と女が静かに言った。三四郎は思わず顔をあとへ引いた。ヘリオトロープの罎。四丁目の夕暮。迷羊。迷羊。空には高い日が明らかにかかる。 「結婚なさるそうですね」  美禰子は白いハンケチを袂へ落とした。 「御存じなの」と言いながら、二重瞼を細目にして、男の顔を見た。三四郎を遠くに置いて、かえって遠くにいるのを気づかいすぎた目つきである。そのくせ眉だけははっきりおちついている。三四郎の舌が上顎へひっついてしまった。  女はややしばらく三四郎をながめたのち、聞きかねるほどのため息をかすかにもらした。やがて細い手を濃い眉の上に加えて言った。 「我はわが愆を知る。わが罪は常にわが前にあり」  聞き取れないくらいな声であった。それを三四郎は明らかに聞き取った。三四郎と美禰子はかようにして別れた。下宿へ帰ったら母から電報が来ていた。あけて見ると、いつ立つとある

anond:20241002010446

九  与次郎が勧めるので、三四郎はとうとう精養軒の会へ出た。その時三四郎は黒い紬の羽織を着た。この羽織は、三輪田のお光さんのおっかさんが織ってくれたのを、紋付に染めて、お光さんが縫い上げたものだと、母の手紙に長い説明がある。小包みが届いた時、いちおう着てみて、おもしろくないから、戸棚へ入れておいた。それを与次郎が、もったいないからぜひ着ろ着ろと言う。三四郎が着なければ、自分が持っていって着そうな勢いであたから、つい着る気になった。着てみると悪くはないようだ。  三四郎はこのいでたちで、与次郎と二人で精養軒の玄関に立っていた。与次郎の説によると、お客はこうして迎えべきものだそうだ。三四郎はそんなこととは知らなかった。第一自分がお客のつもりでいた。こうなると、紬の羽織ではなんだか安っぽい受け付けの気がする。制服を着てくればよかったと思った。そのうち会員がだんだん来る。与次郎は来る人をつらまえてきっとなんとか話をする。ことごとく旧知のようにあしらっている。お客が帽子外套給仕に渡して、広い梯子段の横を、暗い廊下の方へ折れると、三四郎に向かって、今のは誰某だと教えてくれる。三四郎はおかげで知名な人の顔をだいぶ覚えた。  そのうちお客はほぼ集まった。約三十人足らずである広田先生もいる。野々宮さんもいる。――これは理学者だけれども、絵や文学が好きだからというので、原口さんが、むりに引っ張り出したのだそうだ。原口さんはむろんいる。いちばんさきへ来て、世話を焼いたり、愛嬌を振りまいたり、フランス式の髯をつまんでみたり、万事忙しそうである。  やがて着席となった。めいめいかってな所へすわる。譲る者もなければ、争う者もない。そのうちでも広田先生のろいにも似合わずいちばんに腰をおろししまった。ただ与次郎三四郎けがいっしょになって、入口に近く座を占めた。その他はことごとく偶然の向かい合わせ、隣同志であった。  野々宮さんと広田先生あいだに縞の羽織を着た批評家がすわった。向こうには庄司という博士が座に着いた。これは与次郎のいわゆる文科で有力な教授であるフロックを着た品格のある男であった。髪を普通の倍以上長くしている。それが電燈の光で、黒く渦をまいて見える。広田先生坊主頭と比べるとだいぶ相違がある。原口さんはだいぶ離れて席を取った。あちらの角だから、遠く三四郎と真向かいになる。折襟に、幅の広い黒襦子を結んださきがぱっと開いて胸いっぱいになっている。与次郎が、フランスの画工は、みんなああいう襟飾りを着けるものだと教えてくれた。三四郎肉汁を吸いながら、まるで兵児帯の結び目のようだと考えた。そのうち談話だんだん始まった。与次郎ビールを飲む。いつものように口をきかない。さすがの男もきょうは少々謹んでいるとみえる。三四郎が、小さな声で、 「ちと、ダーターファブラをやらないか」と言うと、「きょうはいけない」と答えたが、すぐ横を向いて、隣の男と話を始めた。あなたの、あの論文を拝見して、大いに利益を得ましたとかなんとか礼を述べている。ところがその論文は、彼が自分の前で、さかんに罵倒したものから三四郎にはすこぶる不思議の思いがある。与次郎はまたこっちを向いた。 「その羽織はなかなかりっぱだ。よく似合う」と白い紋をことさら注意してながめている。その時向こうの端から原口さんが、野々宮に話しかけた。元来が大きな声の人だから、遠くで応対するにはつごうがいい。今まで向かい合わせに言葉をかわしていた広田先生庄司という教授は、二人の応答を途中でさえぎることを恐れて、談話をやめた。その他の人もみんな黙った。会の中心点がはじめてできあがった。 「野々宮さん光線の圧力試験はもう済みましたか」 「いや、まだなかなかだ」 「ずいぶん手数がかかるもんだね。我々の職業も根気仕事だが、君のほうはもっと激しいようだ」 「絵はインスピレーションですぐかけるからいいが、物理実験はそううまくはいかない」 「インスピレーションには辟易する。この夏ある所を通ったらばあさんが二人で問答をしていた。聞いてみると梅雨はもう明けたんだろうか、どうだろうかという研究なんだが、一人のばあさんが、昔は雷さえ鳴れば梅雨は明けるにきまっていたが、近ごろじゃそうはいかないとこぼしている。すると一人がどうしてどうして、雷ぐらいで明けることじゃありゃしないと憤慨していた。――絵もそのとおり、今の絵はインスピレーションぐらいでかけることじゃありゃしない。ねえ田村さん、小説だって、そうだろう」  隣に田村という小説家がすわっていた。この男は自分インスピレーション原稿の催促以外になんにもないと答えたので、大笑いになった。田村は、それから改まって、野々宮さんに、光線に圧力があるものか、あれば、どうして試験するかと聞きだした。野々宮さんの答はおもしろかった。――  雲母か何かで、十六武蔵ぐらいの大きさの薄い円盤を作って、水晶の糸で釣るして、真空のうちに置いて、この円盤の面へ弧光燈の光を直角にあてると、この円盤が光に圧されて動く。と言うのである。  一座は耳を傾けて聞いていた。なかに三四郎は腹のなかで、あの福神漬の缶のなかに、そんな装置がしてあるのだろうと、上京のさい、望遠鏡で驚かされた昔を思い出した。 「君、水晶の糸があるのか」と小さい声で与次郎に聞いてみた。与次郎は頭を振っている。 「野々宮さん、水晶の糸がありますか」 「ええ、水晶の粉をね。酸水素吹管の炎で溶かしておいて、両方の手で、左右へ引っ張ると細い糸ができるのです」  三四郎は「そうですか」と言ったぎり、引っ込んだ。今度は野々宮さんの隣にいる縞の羽織批評家が口を出した。 「我々はそういう方面へかけると、全然無学なんですが、はじめはどうして気がついたものでしょうな」 「理論上はマクスウェル以来予想されていたのですが、それをレベデフという人がはじめて実験証明したのです。近ごろあの彗星の尾が、太陽の方へ引きつけられべきはずであるのに、出るたびにいつでも反対の方角になびくのは光の圧力で吹き飛ばされるんじゃなかろうかと思いついた人もあるくらいです」  批評家はだいぶ感心したらしい。 「思いつきもおもしろいが、第一大きくていいですね」と言った。 「大きいばかりじゃない、罪がなくって愉快だ」と広田先生が言った。 「それでその思いつきがはずれたら、なお罪がなくっていい」と原口さんが笑っている。 「いや、どうもあたっているらしい。光線の圧力は半径の二乗に比例するが、引力のほうは半径の三乗に比例するんだから、物が小さくなればなるほど引力のほうが負けて、光線の圧力が強くなる。もし彗星の尾が非常に細かい小片からできているとすれば、どうしても太陽とは反対の方へ吹き飛ばされるわけだ」  野々宮は、ついまじめになった。すると原口が例の調子で、 「罪がない代りに、たいへん計算がめんどうになってきた。やっぱり一利一害だ」と言った。この一言で、人々はもとのとおりビールの気分に復した。広田先生が、こんな事を言う。 「どうも物理学者は自然派じゃだめのようだね」  物理学者と自然派の二字は少なからず満場の興味を刺激した。 「それはどういう意味ですか」と本人の野々宮さんが聞き出した。広田先生説明しなければならなくなった。 「だって、光線の圧力試験するために、目だけあけて、自然を観察していたって、だめだからさ。自然献立のうちに、光線の圧力という事実印刷されていないようじゃないか。だから人工的に、水晶の糸だの、真空だの、雲母だのという装置をして、その圧力物理学者の目に見えるように仕掛けるのだろう。だから自然派じゃないよ」 「しか浪漫派でもないだろう」と原口さんがまぜ返した。 「いや浪漫派だ」と広田先生がもったいらしく弁解した。「光線と、光線を受けるものとを、普通自然界においては見出せないような位置関係に置くところがまったく浪漫派じゃないか」 「しかし、いったんそういう位置関係に置いた以上は、光線固有の圧力を観察するだけだからそれからあとは自然派でしょう」と野々宮さんが言った。 「すると、物理学者は浪漫自然派ですね。文学のほうでいうと、イブセンのようなものじゃないか」と筋向こうの博士比較を持ち出した。 「さよう、イブセンの劇は野々宮君と同じくらいな装置があるが、その装置の下に働く人物は、光線のように自然法則に従っているか疑わしい」これは縞の羽織批評家言葉であった。 「そうかもしれないが、こういうことは人間研究上記憶しておくべき事だと思う。――すなわち、ある状況のもとに置かれた人間は、反対の方向に働きうる能力権力とを有している。ということなんだが、――ところが妙な習慣で、人間も光線も同じように器械的の法則に従って活動すると思うものから、時々とんだ間違いができる。おこらせようと思って装置をすると、笑ったり、笑わせようともくろんでかかると、おこったり、まるで反対だ。しかしどちらにしても人間に違いない」と広田先生がまた問題を大きくしてしまった。 「じゃ、ある状況のもとに、ある人間が、どんな所作をしてもしぜんだということになりますね」と向こうの小説家が質問した。広田先生は、すぐ、 「ええ、ええ。どんな人間を、どう描いても世界に一人くらいはいるようじゃないですか」と答えた。「じっさい人間たる我々は、人間しからざる行為動作を、どうしたって想像できるものじゃない。ただへたに書くから人間と思われないのじゃないですか」  小説家はそれで黙った。今度は博士がまた口をきいた。 「物理学者でも、ガリレオ寺院釣りランプの一振動時間が、振動の大小にかかわらず同じであることに気がついたり、ニュートン林檎が引力で落ちるのを発見したりするのは、はじめから自然派ですね」 「そういう自然派なら、文学のほうでも結構でしょう。原口さん、絵のほうでも自然派がありますか」と野々宮さんが聞いた。 「あるとも。恐るべきクールベエというやつがいる。v※(アキュートアクセント付きE小文字)rit※(アキュートアクセント付きE小文字) vraie. なんでも事実でなければ承知しない。しかしそう猖獗を極めているものじゃない。ただ一派として存在を認められるだけさ。またそうでなくっちゃ困るからね。小説だって同じことだろう、ねえ君。やっぱりモローや、シャバンヌのようなのもいるはずだろうじゃないか」 「いるはずだ」と隣の小説家が答えた。  食後には卓上演説も何もなかった。ただ原口さんが、しきりに九段の上の銅像悪口を言っていた。あん銅像をむやみに立てられては、東京市民が迷惑する。それより、美しい芸者銅像でもこしらえるほうが気が利いているという説であった。与次郎三四郎九段銅像原口さんと仲の悪い人が作ったんだと教えた。  会が済んで、外へ出るといい月であった。今夜の広田先生庄司博士によい印象を与えたろうかと与次郎が聞いた。三四郎は与えたろうと答えた。与次郎は共同水道栓のそばに立って、この夏、夜散歩に来て、あまり暑いからここで水を浴びていたら、巡査に見つかって、擂鉢山へ駆け上がったと話した。二人は擂鉢山の上で月を見て帰った。  帰り道に与次郎三四郎に向かって、突然借金言い訳をしだした。月のさえた比較寒いである三四郎ほとんど金の事などは考えていなかった。言い訳を聞くのでさえ本気ではない。どうせ返すことはあるまいと思っている。与次郎もけっして返すとは言わない。ただ返せない事情をいろいろに話す。その話し方のほうが三四郎にはよほどおもしろい。――自分の知ってるさる男が、失恋の結果、世の中がいやになって、とうとう自殺をしようと決心したが、海もいや川もいや、噴火口はなおいや、首をくくるのはもっともいやというわけで、やむをえず短銃を買ってきた。買ってきて、まだ目的遂行しないうちに、友だちが金を借りにきた。金はないと断ったが、ぜひどうかしてくれと訴えるので、しかたなしに、大事の短銃を貸してやった。友だちはそれを質に入れて一時をしのいだ。つごうがついて、質を受け出して返しにきた時は、肝心の短銃の主はもう死ぬ気がなくなっていた。だからこの男の命は金を借りにこられたために助かったと同じ事である。 「そういう事もあるからなあ」と与次郎が言った。三四郎にはただおかしいだけである。そのほかにはなんらの意味もない。高い月を仰いで大きな声を出して笑った。金を返されないでも愉快である与次郎は、 「笑っちゃいかん」と注意した。三四郎はなおおかしくなった。 「笑わないで、よく考えてみろ。おれが金を返さなければこそ、君が美禰子さんから金を借りることができたんだろう」  三四郎は笑うのをやめた。 「それで?」 「それだけでたくさんじゃないか。――君、あの女を愛しているんだろう」  与次郎はよく知っている。三四郎はふんと言って、また高い月を見た。月のそばに白い雲が出た。 「君、あの女には、もう返したのか」 「いいや」 「いつまでも借りておいてやれ」  のん気な事を言う。三四郎はなんとも答えなかった。しかいつまでも借りておく気はむろんなかった。じつは必要な二十円を下宿へ払って、残りの十円をそのあくる日すぐ里見の家へ届けようと思ったが、今返してはかえって、好意にそむいて、よくないと考え直して、せっかく門内に、はいられる機会を犠牲にしてまでも引き返した。その時何かの拍子で、気がゆるんで、その十円をくずしてしまった。じつは今夜の会費もそのうちから出ている。自分ばかりではない。与次郎のもそのうちから出ている。あとには、ようやく二、三円残っている。三四郎はそれで冬シャツを買おうと思った。  じつは与次郎がとうてい返しそうもないから、三四郎は思いきって、このあいだ国元へ三十円の不足を請求した。十分な学資を月々もらっていながら、ただ不足だからといって請求するわけにはゆかない。三四郎はあまり嘘をついたことのない男だから請求理由にいたって困却した。しかたがないからただ友だちが金をなくして弱っていたから、つい気の毒になって貸してやった。その結果として、今度はこっちが弱るようになった。どうか送ってくれと書いた。  すぐ返事を出してくれれば、もう届く時分であるのにまだ来ない。今夜あたりはことによると来ているかもしれぬくらいに考えて、下宿へ帰ってみると、はたして、母の手蹟で書いた封筒ちゃんと机の上に乗っている。不思議なことに、いつも必ず書留で来るのが、きょうは三銭切手一枚で済ましてある。開いてみると、中はいつになく短かい。母としては不親切なくらい、用事だけで申し納めてしまった。依頼の金は野々宮さんの方へ送ったから、野々宮さんから受け取れというさしずにすぎない。三四郎は床を取ってねた。  翌日もその翌日も三四郎は野々宮さんの所へ行かなかった。野々宮さんのほうでもなんともいってこなかった。そうしているうちに一週間ほどたった。しまいに野々宮さんから下宿下女を使いに手紙をよこした。おっかさんからまれものがあるからちょっと来てくれろとある三四郎講義の隙をみて、また理科大学の穴倉へ降りていった。そこで立談のあいだに事を済ませようと思ったところが、そううまくはいかなかった。この夏は野々宮さんだけで専領していた部屋に髭のはえた人が二、三人いる。制服を着た学生も二、三人いる。それが、みんな熱心に、静粛に、頭の上の日のあたる世界をよそにして、研究をやっている。そのうちで野々宮さんはもっと多忙に見えた。部屋の入口に顔を出した三四郎ちょっと見て、無言のまま近寄ってきた。 「国から、金が届いたから、取りに来てくれたまえ。今ここに持っていないから。それからまだほかに話す事もある」  三四郎ははあと答えた。今夜でもいいかと尋ねた。野々宮はすこしく考えていたが、しまいに思いきってよろしいと言った。三四郎はそれで穴倉を出た。出ながら、さすがに理学者は根気のいいものだと感心した。この夏見た福神漬の缶と、望遠鏡が依然としてもとのとおりの位置に備えつけてあった。  次の講義時間与次郎に会ってこれこれだと話すと、与次郎はばかだと言わないばかりに三四郎をながめて、 「だからいつまでも借りておいてやれと言ったのに。よけいな事をして年寄りには心配をかける。宗八さんにはお談義をされる。これくらい愚な事はない」とまるで自分から事が起こったとは認めていない申し分である三四郎もこの問題に関しては、もう与次郎責任を忘れてしまった。したがって与次郎の頭にかかってこない返事をした。 「いつまでも借りておくのは、いやだから、家へそう言ってやったんだ」 「君はいやでも、向こうでは喜ぶよ」 「なぜ」  このなぜが三四郎自身はいくぶんか虚偽の響らしく聞こえた。しか相手にはなんらの影響も与えなかったらしい。 「あたりまえじゃないか。ぼくを人にしたって、同じことだ。ぼくに金が余っているとするぜ。そうすれば、その金を君から返してもらうよりも、君に貸しておくほうがいい心持ちだ。人間はね、自分が困らない程度内で、なるべく人に親切がしてみたいものだ」  三四郎は返事をしないで、講義を筆記しはじめた。二、三行書きだすと、与次郎がまた、耳のそばへ口を持ってきた。 「おれだって、金のある時はたびたび人に貸したことがある。しかしだれもけっして返したものがない。それだからおれはこのとおり愉快だ」  三四郎まさか、そうかとも言えなかった。薄笑いをしただけで、またペンを走らしはじめた。与次郎それからはおちついて、時間の終るまで口をきかなかった。  ベルが鳴って、二人肩を並べて教場を出る時、与次郎が、突然聞いた。

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「あの女は君にほれているのか」

 二人のあとから続々聴講生が出てくる。三四郎はやむをえず無言のまま梯子段を降りて横手玄関から図書館わきの空地へ出て、はじめて与次郎を顧みた。

「よくわからない」

 与次郎はしばらく三四郎を見ていた。

「そういうこともある。しかしよくわかったとして、君、あの女の夫になれるか」

 三四郎はいまだかつてこの問題を考えたことがなかった。美禰子に愛せられるという事実のものが、彼女の夫たる唯一の資格のような気がしていた。言われてみると、なるほど疑問である三四郎は首を傾けた。

「野々宮さんならなれる」と与次郎が言った。

「野々宮さんと、あの人とは何か今までに関係があるのか」

 三四郎の顔は彫りつけたようにまじめであった。与次郎一口

「知らん」と言った。三四郎は黙っている。

「また野々宮さんの所へ行って、お談義を聞いてこい」と言いすてて、相手は池の方へ行きかけた。三四郎は愚劣の看板のごとく突っ立った。与次郎は五、六歩行ったが、また笑いながら帰ってきた。

「君、いっそ、よし子さんをもらわないか」と言いながら、三四郎を引っ張って、池の方へ連れて行った。歩きながら、あれならいい、あれならいいと、二度ほど繰り返した。そのうちまたベルが鳴った。

 三四郎はその夕方野々宮さんの所へ出かけたが、時間がまだすこし早すぎるので、散歩かたがた四丁目まで来て、シャツを買いに大きな唐物屋へはいった。小僧が奥からいろいろ持ってきたのをなでてみたり、広げてみたりして、容易に買わない。わけもなく鷹揚にかまえていると、偶然美禰子とよし子が連れ立って香水を買いに来た。あらと言って挨拶をしたあとで、美禰子が、

「せんだってありがとう」と礼を述べた。三四郎にはこのお礼の意味が明らかにわかった。美禰子から金を借りたあくる日もう一ぺん訪問して余分をすぐに返すべきところを、ひとまず見合わせた代りに、二日ばかり待って、三四郎は丁寧な礼状を美禰子に送った。

 手紙文句は、書いた人の、書いた当時の気分をすなおに表わしたものではあるが、むろん書きすぎている。三四郎はできるだけの言葉を層々と排列して感謝の意を熱烈にいたした。普通の者から見ればほとんど借金の礼状とは思われないくらいに、湯気の立ったものであるしか感謝以外には、なんにも書いてない。それだから自然の勢い、感謝感謝以上になったのでもある。三四郎はこの手紙ポストに入れる時、時を移さぬ美禰子の返事を予期していた。ところがせっかくの封書はただ行ったままであるそれから美禰子に会う機会はきょうまでなかった。三四郎はこの微弱なる「このあいだはありがとう」という反響に対して、はっきりした返事をする勇気も出なかった。大きなシャツを両手で目のさきへ広げてながめながら、よし子がいるからああ冷淡なんだろうかと考えた。それからこのシャツもこの女の金で買うんだなと考えた。小僧はどれになさいますと催促した。

 二人の女は笑いながらそばへ来て、いっしょにシャツを見てくれた。しまいに、よし子が「これになさい」と言った。三四郎はそれにした。今度は三四郎のほうが香水相談を受けた。いっこうわからない。ヘリオトロープと書いてある罎を持って、いいかげんに、これはどうですと言うと、美禰子が、「それにしましょう」とすぐ決めた。三四郎は気の毒なくらいであった。

 表へ出て別れようとすると、女のほうが互いにお辞儀を始めた。よし子が「じゃ行ってきてよ」と言うと、美禰子が、「お早く……」と言っている。聞いてみて、妹が兄の下宿へ行くところだということがわかった。三四郎はまたきれいな女と二人連で追分の方へ歩くべき宵となった。日はまだまったく落ちていない。

 三四郎はよし子といっしょに歩くよりは、よし子といっしょに野々宮の下宿で落ち合わねばならぬ機会をいささか迷惑に感じた。いっそのこと今夜は家へ帰って、また出直そうかと考えた。しかし、与次郎のいわゆるお談義を聞くには、よし子がそばにいてくれるほうが便利かもしれない。まさか人の前で、母から、こういう依頼があったと、遠慮なしの注意を与えるわけはなかろう。ことによると、ただ金を受け取るだけで済むかもわからない。――三四郎は腹の中で、ちょっとずるい決心をした。

「ぼくも野々宮さんの所へ行くところです」

「そう、お遊びに?」

「いえ、すこし用があるんです。あなたは遊びですか」

「いいえ、私も御用なの」

 両方が同じようなことを聞いて、同じような答を得た。しかし両方とも迷惑を感じている気色がさらにない。三四郎は念のため、じゃまじゃないかと尋ねてみた。ちっともじゃまにはならないそうである。女は言葉でじゃまを否定したばかりではない。顔ではむしろなぜそんなことを質問するかと驚いている。三四郎は店先のガスの光で、女の黒い目の中に、その驚きを認めたと思った。事実としては、ただ大きく黒く見えたばかりである

バイオリンを買いましたか

「どうして御存じ」

 三四郎は返答に窮した。女は頓着なく、すぐ、こう言った。

いくら兄さんにそう言っても、ただ買ってやる、買ってやると言うばかりで、ちっとも買ってくれなかったんですの」

 三四郎は腹の中で、野々宮よりも広田よりも、むしろ与次郎非難した。

 二人は追分の通りを細い路地に折れた。折れると中に家がたくさんある。暗い道を戸ごとの軒燈が照らしている。その軒燈の一つの前にとまった。野々宮はこの奥にいる。

 三四郎下宿とはほとんど一丁ほどの距離である。野々宮がここへ移ってから三四郎は二、三度訪問したことがある。野々宮の部屋は広い廊下を突き当って、二段ばかりまっすぐに上がると、左手に離れた二間である。南向きによその広い庭をほとんど椽の下に控えて、昼も夜も至極静かである。この離れ座敷に立てこもった野々宮さんを見た時、なるほど家を畳んで下宿をするのも悪い思いつきではなかったと、はじめて来た時から、感心したくらい、居心地のいい所である。その時野々宮さんは廊下下りて、下から自分の部屋の軒を見上げて、ちょっと見たまえ、藁葺だと言った。なるほど珍しく屋根に瓦を置いてなかった。

 きょうは夜だから屋根はむろん見えないが、部屋の中には電燈がついている。三四郎は電燈を見るやいなや藁葺を思い出した。そうしておかしくなった。

「妙なお客が落ち合ったな。入口で会ったのか」と野々宮さんが妹に聞いている。妹はしからざるむねを説明している。ついでに三四郎のようなシャツを買ったらよかろうと助言している。それから、このあいだのバイオリン和製で音が悪くっていけない。買うのをこれまで延期したのだから、もうすこし良いのと買いかえてくれと頼んでいる。せめて美禰子さんくらいのなら我慢すると言っている。そのほか似たりよったりの駄々をしきりにこねている。野々宮さんはべつだんこわい顔もせず、といって、優しい言葉もかけず、ただそうかそうかと聞いている。

 三四郎はこのあいだなんにも言わずにいた。よし子は愚な事ばかり述べる。かつ少しも遠慮をしない。それがばかとも思えなければ、わがままとも受け取れない。兄との応待をそばにいて聞いていると、広い日あたりのいい畑へ出たような心持ちがする。三四郎は来たるべきお談義の事をまるで忘れてしまった。その時突然驚かされた。

「ああ、わたし忘れていた。美禰子さんのお言伝があってよ」

「そうか」

「うれしいでしょう。うれしくなくって?」

 野々宮さんはかゆいような顔をした。そうして、三四郎の方を向いた。

ぼくの妹はばかですね」と言った。三四郎はしかたなしに、ただ笑っていた。

「ばかじゃないわ。ねえ、小川さん」

 三四郎はまた笑っていた。腹の中ではもう笑うのがいやになった。

「美禰子さんがね、兄さんに文芸協会演芸会に連れて行ってちょうだいって」

里見さんといっしょに行ったらよかろう」

「御用があるんですって」

「お前も行くのか」

「むろんだわ」

 野々宮さんは行くとも行かないとも答えなかった。また三四郎の方を向いて、今夜妹を呼んだのは、まじめの用があるんだのに、あんのん気ばかり言っていて困ると話した。聞いてみると、学者だけあって、存外淡泊である。よし子に縁談の口がある。国へそう言ってやったら、両親も異存はないと返事をしてきた。それについて本人の意見をよく確かめ必要が起こったのだと言う。三四郎はただ結構ですと答えて、なるべく早く自分のほうを片づけて帰ろうとした。そこで、

「母からあなたにごめんどうを願ったそうで」と切り出した。野々宮さんは、

「なに、大してめんどうでもありませんがね」とすぐに机の引出しから、預かったものを出して、三四郎に渡した。

「おっかさんが心配して、長い手紙を書いてよこしましたよ。三四郎は余儀ない事情で月々の学資を友だちに貸したと言うが、いくら友だちだって、そうむやみに金を借りるものじゃあるまいし、よし借りたって返すはずだろうって。いなかの者は正直だから、そう思うのもむりはない。それからね、三四郎が貸すにしても、あまり貸し方が大げさだ。親から月々学資を送ってもらう身分でいながら、一度に二十円の三十円のと、人に用立てるなんて、いかにも無分別とあるんですがね――なんだかぼくに責任があるように書いてあるから困る。……」

 野々宮さんは三四郎を見て、にやにや笑っている。三四郎はまじめに、「お気の毒です」と言ったばかりである。野々宮さんは、若い者を、極めつけるつもりで言ったんでないとみえて、少し調子を変えた。

「なに、心配することはありませんよ。なんでもない事なんだから。ただおっかさんは、いなかの相場で、金の価値をつけるから、三十円がたいへん重くなるんだね。なんでも三十円あると、四人の家族半年食っていけると書いてあったが、そんなものかな、君」と聞いた。よし子は大きな声を出して笑った。三四郎にもばかげているところがすこぶるおかしいんだが、母の言条が、まったく事実を離れた作り話でないのだから、そこに気がついた時には、なるほど軽率な事をして悪かったと少しく後悔した。

「そうすると、月に五円のわりだから、一人前一円二十五銭にあたる。それを三十日に割りつけると、四銭ばかりだが――いくらいなかでも少し安すぎるようだな」と野々宮さんが計算を立てた。

「何を食べたら、そのくらいで生きていられるでしょう」とよし子がまじめに聞きだした。三四郎も後悔する暇がなくなって、自分の知っているいなか生活ありさまをいろいろ話して聞かした。そのなかには宮籠りという慣例もあった。三四郎の家では、年に一度ずつ村全体へ十円寄付することになっている。その時には六十戸から一人ずつ出て、その六十人が、仕事を休んで、村のお宮へ寄って、朝から晩まで、酒を飲みつづけに飲んで、ごちそうを食いつづけに食うんだという。

「それで十円」とよし子が驚いていた。お談義はこれでどこかへいったらしい。それから少し雑談をして一段落ついた時に、野々宮さんがあらためて、こう言った。

「なにしろ、おっかさんのほうではね。ぼくが一応事情を調べて、不都合がないと認めたら、金を渡してくれろ。そうしてめんどうでもその事情を知らせてもらいたいというんだが、金は事情もなんにも聞かないうちに、もう渡してしまったしと、――どうするかね。君たしか佐々木に貸したんですね」

 三四郎は美禰子からもれて、よし子に伝わって、それが野々宮さんに知れているんだと判じた。しかしその金が巡り巡ってバイオリンに変形したものとは、兄妹とも気がつかないか一種妙な感じがした。ただ「そうです」と答えておいた。

佐々木馬券を買って、自分の金をなくしたんだってね」

「ええ」

 よし子はまた大きな声を出して笑った。

「じゃ、いいかげんにおっかさんの所へそう言ってあげよう。しかし今度から、そんな金はもう貸さないことにしたらいいでしょう」

 三四郎は貸さないことにするむねを答えて、挨拶をして、立ちかけると、よし子も、もう帰ろうと言い出した。

「さっきの話をしなくっちゃ」と兄が注意した。

「よくってよ」と妹が拒絶した。

「よくはないよ」

「よくってよ。知らないわ」

 兄は妹の顔を見て黙っている。妹は、またこう言った。

だってしかたがないじゃ、ありませんか。知りもしない人の所へ、行くか行かないかって、聞いたって。好きでもきらいでもないんだから、なんにも言いようはありゃしないわ。だから知らないわ」

 三四郎は知らないわの本意をようやく会得した。兄妹をそのままにして急いで表へ出た。

 人の通らない軒燈ばかり明らかな路地を抜けて表へ出ると、風が吹く。北へ向き直ると、まともに顔へ当る。時を切って、自分下宿の方から吹いてくる。その時三四郎は考えた。この風の中を、野々宮さんは、妹を送って里見まで連れていってやるだろう。

 下宿の二階へ上って、自分の部屋へはいって、すわってみると、やっぱり風の音がする。三四郎はこういう風の音を聞くたびに、運命という字を思い出す。ごうと鳴ってくるたびにすくみたくなる。自分ながらけっして強い男とは思っていない。考えると、上京以来自分運命はたいがい与次郎のためにこしらえられている。しかも多少の程度において、和気靄然たる翻弄を受けるようにこしらえられている。与次郎は愛すべき悪戯である。向後もこの愛すべき悪戯者のために、自分運命を握られていそうに思う。風がしきりに吹く。たしか与次郎以上の風である

 三四郎は母から来た三十円を枕元へ置いて寝た。この三十円も運命翻弄が生んだものである。この三十円がこれからさきどんな働きをするか、まるでわからない。自分はこれを美禰子に返しに行く。美禰子がこれを受け取る時に、また一煽り来るにきまっている。三四郎はなるべく大きく来ればいいと思った。

2024-09-17

『チー扶余抄』より「異傳タケ記」

車は田ゐの道に重き轍刻みて、静かに旅の媼なむ揺らしける。

「などかは感謝しはべりぬべきや。歩みもままならぬ身に幸ひなる助けにて治療も給へける。さこそは全能の天帝の御わざなれば、慈悲深きあがきみをば遣はし給ふべかんめり。」

御者の翁、前ぞ見据えてなほ黙(もだ)せる。

「あがきみもぞ、天帝の信奉者におはしはべるや…かくの如く見受けはべり。」

媼の眼差し、もだしたる御者の背へ、さらには荷台にて古びたる聖典に止まりぬ。まさに御者との時をぞ映しためる。

御者静かに「然り…信じはべり」とて、さらに「されど、天帝はただ…人のさだめをば弄びたまひはべり。」媼の微笑み穏やかに「まさしく深遠なる御弁(わきま)へにはべらむ」。

車進み行くも道塞ぐ巨木現れ、はからずに停まりにけり。媼は「あなや、如何にしはべらむ。なまむつかし」と言ふものを、御者の降りて巨木に手おきつれば、巨木の姿消えにけり。

「たぐひまれなる奇跡かな。大木の忽然と去りぬ」とも、御者は「ただ除きたるのみ」と冷ややかなりき。媼感じては「為し難くはべり」とて続けるに、「若きとき、あがきみ冒険者にはべるべかめり。かくはべりぬべし。常よりかかる勘がふ外れざらんものなれば。」

今は昔、御者の翁なるタケなむ、悪辣なる徒党の一味にて後ろ暗き途にありたり。その中に、ハンブン、ミノル、コゲ、エンディといふ者なむありにける。

ある夜半、逆巻くせせらぎうち響く中にて、タケが天帝の御姿ぞ冒涜せしものから、どちの一人に目覚ましく、「タケ、何ぞしたるや。これ御姿にて神聖なり。」

タケの「もだせよ。などかは心にかける者あるべき」とて、エンディ怒れるに「わぎみのわざ、此方ぞ汚しつる」と言ひ初めけり。タケは「さあらば、天帝とこそ争へ」とあしらふ。さらエンディは「けしからず」と争ふ。他のどちの言ひけるに、「タケ、かかるわざによりて宛て行なひ給はらものなり。」タケは嘲りて「天罰など、あり得ぬ事なり」と答ひき。

「などかうは然様に言い閉ぢしや」と問はれければ、タケの顔苦々しく、「幼きときの友、祈りて粮料(れうれう)乞ひたるも、飢えにてこそはかなくなりにけれ。おはせしかば、かれをば救ひ給ふべかりしを」と言ひくくむ。「故に、天帝なむあらぬ。」タケの言い腹立ちやまず。

エンディは「されど、などて天帝とこそ争へと言ひしや」と惑ふ。嘲りて「天帝とあらざらば、誰と争ふべし」とて鼻まじろきをしたり。別のどち更に問ふ。

ミノル、わぎみの信ずる神が貶められたり。公腹(おほやけばら)ぞ示さむや」

「あれは我が信奉する神にはあらず。争ふなどよしなしごとなり」

また他のどち「はかなきことなり」と痴(をこ)がる。コゲ、ハンブンに向かひて「如何にせむ?」

「タケよ、いでや行かむ」「行かむや」

ハンブンのきもちやまず、「わぎみ、いつとなし、かかるわざぞ続けむ」とて聖典に添へおきつつ、「天帝祈りや崇拝をもって我らをば救ひ給はず」とぞ言いける。

驚きて「何と」と問い返されしものから、ハンブンは「天帝、見守れども助け給はず。相応の苦難を授け給ふばかりなり」と語る。タケは「などかくはするぞ」とて憤(むつか)るもまた、別のどちも「ハンブン、わぎみの信じたることなるのみや」と疑ふ。

「信ぜず。長きにわたり、さかしらなる大人天帝ぞ正しきとせむがための理(ことはり)なるも、をかし。民草を実(まめ)ならしむるためなれば、ひとへに侯(こう)がため。」

タケも心得ずして「無道なり」。タケを見据へ「いつとなく、かかる愚れ愚れしきわざ続けむや。虚仮なり。」とて言い募られたるものから随ひき。

驕れる一味、共に暗き世々を存(ながら)へ、つひに国王に背きつるも、久しからず、さだめのまへには闇の錦にて甲斐なし。はらからも勇敢なれど潰えて多く命を極め、ただタケの独りながらへり。

荒き風吹く夜、タケ、あばらやのやうなる塔の上にて立ち尽くす。「ああ、はらからは儚くなりにけり。かの激戦の只中にて残りたるは我が身なりけり。」

からずにかつてのはらから言葉胸にかすめる。「タケ、わぎみぞ儚くなり初めぬべき。」また他のどちも「かくの如き無謀をもって、ながらへらるるや」などといふ。息つかして去りにけり。

のちも浮かれ漂よひ続け、果てに綺麗なる殿に辿り着きけり。

宿直人は「何為むや。これホドギャ殿なり。よしなくしてえ立ち入られず」と問い詰めけり。タケは「ホドギャとはたそ。よそよそしきことなりけり」と鼻まじろきをする。宿直人をば斬り伏せ、殿の中に忍び込みけり。

いへのきみのホドギャはそれを見るに、郎従に「害せよ、害せよ!かのやじりきり誅せよ!」とげぢす。タケ、襲ひかかる者ども薙ぎ払いて、宝物手に入れるや去りぬ。

「若きとき冒険羇旅(きりょ)、けしゃうの物と戦ひもありけり。国王軍とも。人ともけしゃうの類ひともすずろなり。などかは戦ひのただ楽しかるべき。しかうして一人など甲斐なし。はらからのありてこそ、戦ひも人生も。」

自らの手中の宝物見るにうち捨て、虚ろにも「今、全て空し。同胞のなかりしかばあやなし」とて座り込みつつ、去りにし日々に禅定したり。

朝(あした)に起きれば、手の宝物をばうち溢(あぶ)し、またひとたび漕ぎ出だしけり。官軍が陣の前に立ちつつ、「これこそ別れ路、いざ華々しく行かめ。この戦ひもって死なば、黄泉にてはらからに会ひ得るか知らぬ」とぞ呟きし。林檎かじりつつ、陣への攻撃決めなむとも、にわかに腹痛に襲はれ、放りて蹲れば呻きたり。「腹ぞ…痛き…」

通りがけの田夫これを見て、恙なしやと寄りてみるに、「もだせよ」と返さるるも構はず。タケが傍にて宝物のありけるを覚える。「得難き宝なり。さりとも。」

車に乗らせ、町へと向かふ折、言ひけり。「憂ふなかれ。かの町に名医おはしはべり。犬の便秘さへ治したるほどにはべり。」タケは苦しみつつ、「なぜ宝もち去らざりぬや。やうれ、盗みつべかりしを……いづこにか連れて行かむとす」と尋ねけり。

田夫は笑ひつつ答へける、「臥したる者より銭(あし)盗みて去りぬと天帝に告げなば、さぞよろしからむや。然れど参る折、そのよしぞ聞こし召しせば、何をか仰せらるるや。」

さなるや…」

聖典出してタケに「わぎみにこそ必要なれ。これを誘へ。」

「何と」

田夫は微笑みて「誰によりてもわぎみにこそせんいちなれ」とて聖典渡しけり。

かくありて、そののちも、幾度となく官軍が陣落とさなむとすれど、天候や体調、あるいは人の干渉に憚られ、阻まれにたり。つひに絶たむとて木に縄吊るして佇むなどもありけり。

「くびる者の心もちなむ弁へ知らぬ。今こそ…」

くくらむとするや、崖より岩ぞ転がり落ちて木をば折りたる。驚き嘆けば咳き込み、「またしても阻まれるなど、などてならむや…」倒れたる木に目を懸け、田夫より授かりたる聖典に触れり。

天帝よ、みましは真におはし侍るや?などかうは此方をぞこの世にしばしとどめ給はむ!

聖典開けど徒らなれば、めくる音のうち響くのみなるかな。

ふと眼裏にハンブンが言葉(けとば)思い起こされにけり。「天帝、見守れども助け給はず。相応の苦難を授け給ふばかりなり。」また、田夫のはかなしごとも。「あれぞ試練なりし。天帝は見守り給ふのみなり」とも。タケは覚えたりけむか、「そよや…まことさなりけり…」と呟く。かくて聖典ぞ抱きて案じゐたりき。

「再びえあはれぬどちたち、今ここにあるべし…話しあたふべかめり」

かつてのはらからよりの教へぞ思ひ出さなむとて聖典や草子ぞ読み耽る。植物の覚え深きどちがため、植物抄、論文の類ひ尋ね取りけり。

はらからものに通じたりき。過ごしたる日々思ひ出さむとて、からく関はる草子尋ね取りては読み耽けなむ」

しかうして今、タケは御者の翁となりぬ。

はらからに再び会ひてしがな。それのみぞ生きる希望なるを、さあるべくしてほかに無し。されど、今や誰にもえ会はれず。生おぼえなるに、かんばせもえ思ひ出されず……夢にも。誰一人とて。死にても、憶えの中にても、もはやえかなはざるなり」と感じけり。

にわかに媼がタケに銃を差し付けり。かつてタケにより懸想人を害されし者なるなり。媼言ひけるに冷たく、「今なお日次ぎ思ひ出しはべり。わぎみらに害されたる懸想人。かんばせ、息通ひ、声などの覚え、昨日のやうなり。」

タケは「な外せそ。抗ふまじ。かかる暗き道閉ぢ給へ」と受けれど、媼の手震へより引金え引かれず、射られざりき。「今もなほ…」

媼は動じて見つめたり。

「わごぜのみならず。常なり。独りになりてより、かくのごとし。我をば害さなむ者、鞘よりつるぎ抜けず、弓のつる切り折れ、悉く阻まれたり。天帝さらにどうなきを、我が人生ぞ閉ぢ給ふまじ。」

媼打ちひしがれれば、タケはかく語りき。

「今もなほ、わぎみが報いより我への罰ぞ選び給ひたる。これ天帝の思し召しなるらむ…」

2024-08-29

saebou先生文句言いたい人たちってしょうもない論点のすり替えしか

saebou先生文句言いたい人たちってしょうもない論点のすり替えしかできんの?

片一方で「切り裂く」という意味言葉肯定的評価しておきながら、もう片一方で「切り刻む」という言葉通報レベル否定的侮辱として捉えるのはあまり一貫性がなさ過ぎ、ご都合過ぎではないでしょうか。

https://megalodon.jp/2024-0829-1434-16/https://note.com:443/uncheakonga/n/ndb968cd6224b

明らかに用途単語が使われてるわけだが、なぜ同じ用途だと思ってるのか謎。果物林檎の話してたらiPhoneMacAppleだと思うのか?こいつは

2024-08-03

Siri最近百人一首を素直に読んでくれなくなって悲しい

これまでは、「Siri短歌を詠んで」というと、ランダム百人一首を読んでくれて、結構重宝していたんだ。

それが最近アップデートから、「いい考えとは思えません」とか「まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしときリンゴ、いいですよね」みたいなことを3回のうち2回位は言い出して素直に百人一首を読んでくれなくなり困っている。何か上手な聞き方があるんだろうか。

2024-07-19

アークナイツやり直そうとしたけど無理だった

挫折ポイント1 連携コード無くした😭

最初挫折ポイント

公式に問い合わせれば再発行して貰えるらしいが、そこまでしてもらって無課金で遊ぶのはちょっとなと思う。

でもすでに十分キャラは揃っている(シルバーアッシュエクシアエイヤ・シージ・シャイニング・サリア持ち)のに課金してガチャする気もないし、月パス買っても速攻で飽きそうだしなあという気持ちがね。

助けてもらってお礼しないのも嫌だけど、そのために買う気のないものお金払うのもなって。

トイレ借りたいけど特にコンビニで欲しいものがないような心境

挫折ポイント2 未だにスキップなし⏩️❌️

オート周回追加と聞いてやったぜと思い調べてみたが、どうも単に今までの周回機能に6回まで連続再生出来る機能が増えただけらしい。

おいおい俺が求めているのはブルアカみたいな感じのはいはいポチーやぞ?

10年以上前に出たアイギスですらとっくにやってることをなんでお前はやらないんやー!

挫折ポイント3 今見るとゲーム画面やステージセンスが古い👴

最新ステージ動画を調べて思ったんだが、リリース当時は洗練されていた画面も今見るとかなり古臭いなと。

あとステージの構築自体もあまり新鮮味を感じないというか、ただ敵が固くなっただけ感が強い。

林檎ちゃんでゲージ回復してサリアにカルシウムオッスオッスしてもらいつつエイヤで焼くだけのゲームのままではコレ?

うーん。

それに飽きたから辞めたわけだが、また同じことをやり直しても3日で飽き直すだけな気がするぜー。

挫折ポイント4 育成要素がダルい🤮

俺が辞めてる間に装備品要素が追加されていたらしいんだが、これから漂うダルオーラがかなり濃厚。

暫くはキャラパワーで無理やり突き進めそうな気はするんだが、それでもいつかは毎日チマチマ回して装備品を強化しないといけないんだろうな。

めっちゃ面倒だわ。

崩壊シリーズみたいにお試しキャラだけでストーリークリア出来るとかそういう感じでよくね?(もうなってたらゴメン)

挫折ポイント5 あんま話進んでない?🤔

聞いた感じだとまだまだ「謎が謎を呼びさらなる謎が広がるぜ!惑星テラ・・・一体何が起きているんだ・・・」みたいな感じらしい。

おいおい劇場版コナンを年一で見ても一向に黒の組織が潰れなそうなあの感じかよと。

それじゃあんま復帰するのもなあ。

やっぱこういい感じの切れ目の所、「アークナイツ完!こっから先は番外編だぜ!」みたいな辺りまで進んでから一気読みでええかなあってね。

なんか今やってもまたすぐ連携コードなくして再々発行してもらいそうだわ。

だって端末切り替える時にもうずっとやってないゲームの引き継ぎとか普通に忘れるやん?

2024-06-18

anond:20240618151511

まあなんか矛盾は色々あるけど

猿の惑星とか2001年宇宙の旅の冒頭とかああいうののイメージかな…っては思ってました。

あと引用されてた記事見てたけど

ナチス服装の話とかでマリリンマンソンMV思い出してて

林檎奥様ももちょっと早ければな…時代が遅かったんや…って思いました。

そいえばマリリンマンソンさんがBLMの時にX(旧Twitter)で「何が起こってるの…」って怯えたようなツイートしてたことを思い出したりしてました。

あっあとme tooされてたこととか。

2024-06-17

anond:20240617140930

音楽やってたミセスうんたらかんたらが歴史知識があったとは思えない

あのMV企画して内容を作ったやつがいミス・ユニバースジャパンメンバー3人はおかのしたって感じで撮影

出来上がったものをチェックして、なんか猿とか知らんけどポップでいんじゃね!

そして公開へ

あの内容を考えたやつが悪い

セスチョメチョメ林檎の連中本人に非はない

2024-06-13

林檎奥様のMVちょっと時代が遅すぎたな…あと5年早かったらそこまで怒られなかったのにな。

2024-06-09

アメリカ食べ物

anond:20240608112012

まずいまずいと言われるが、私はアメリカ食生活を楽しんだ方だと思う。飲食店は気に入った店を月に数回利用する程度で、ほぼ自炊していた。

野菜

洗浄済みのサラダ菜の巨大パックにお世話になった。安価果物トマトアボカド缶詰の豆。冷凍ブロッコリーは潰してパスタに。豆腐普通に売られている。キャベツ大根白菜ネギモヤシ蓮根ゴボウえのき等は韓国スーパーで買える。

肉類

肉は安い塊を買って煮込むかローストしておく。ちょっと奮発すればスペアリブ(丸ごと)、羊、鴨肉もスーパーで買える。ポーランド系精肉店を見つけてからポーランドソーセージにどハマりした。安いし生で齧れてめちゃくちゃ旨い。

魚介類

魚は厳しかった。冷凍エビスモークサーモン以外は普通スーパーでは難しい。韓国スーパーでも少しマシという程度。日本コールドチェーンのありがたみを思い知る。スーパー真空パックサーモンタラ匂い消しの香草と一緒に焼いたりした。どこにでもある瓶詰めの酢漬けニシン押し寿司にしたのは我ながらいいアイデアだった。

乳製品

断然良かったのが乳製品スーパーで買えるおろしたてパルミジャーノに慣れたらクラフトパルメザンには戻れなくなる。バターは言うに及ばず、ブッラータブリー、ゴルゴンゾーラなど本当に旨かった。安いうまい冷凍ピザ、500g近いパックがスタンダードの各種アイスクリーム乳製品恩恵だ。

パン

日本食パン存在しない。パン屋は町まで出ないとない。スーパーで買えるマッズい薄切りトーストパンホットサンドにすれば食える。ベーグルも安いが私は好きでないため何とも。高級スーパーサンフランシスコサワードゥは直径20cm以上あるが4ドル程度で買えて無茶苦茶うまかった。

調味料スナック

マヨケチャップの美味さも無視できない。もともとキユーピーの酸っぱさが口に合わなかったので、アメリカのフワッとしてマイルドマヨに衝撃を受けた。カレールー韓国スーパーで安く買える。スナックは1袋がデカい。ポテチトルティーヤシリアル系は種類豊富なので好みの味を探せる。

甘いもの

一番飢餓感を覚えたのはスイーツかもしれない。ドーナツはともかく、売られているケーキが甘すぎる。乳製品が安いのをいいことに、これは自作でしのいだ。冷凍パイ生地タルト生地が安くて旨いので、アップルパイパンプキンパイチェリーパイ簡単に作れる。クリームチーズマスカルポーネチーズケーキティラミス作ってみた

その他ハマったもの

スーパーでお手頃に買えるものを挙げる。ドライフルーツナッツアーモンドミルクアーモンドペースト。瓶入りカレーペースト冷凍餃子やMochiと呼ばれる雪見だいふく等、冷凍食品各種。日本ほど多くないが、季節に出回る野菜果物。生のクランベリー日本では手に入らない。搾りたてサイダーノンアルコール100%林檎ジュース)は秋のご褒美。まだまだあるがこの辺で。

[]2012.5

https://anond.hatelabo.jp/20240609080227

https://web.archive.org/web/20170710060735/http://ashihara-hina.jugem.jp/?month=201205

お祝い☆           

2012.05.31 Thursday23:42

週末、友人の結婚パーティーに行きまして。

くじ引き?の賞品で「ジャイ子入浴剤」を貰いましたよ。

「キミは、ハイ、コレ。」って渡されたので、多分漫画家つながり。

ジャイアンのアツアツ風呂」とセットだったんだけど、

はるばる和歌山から参加した別の友人に、プレゼントしておきました。

私は、乙女風呂を堪能しようと思います

ちなみに、一等賞は「生ハム脚ごと!!」だったのですよ~。

こんなの貰ったら、祭りだな!祭り

結婚パーティーはいつも、主催者個性が感じられて楽しいです。

久々の友人にも会えて嬉しかった。ほんとにおめでとう~!

おめでたい続きで、お友達作家さんが「講談社漫画賞」を受賞されまして。

とってもおめでたいので、ちょっとだけレストランで前祝い。

字画多過ぎるかな?と、漫画賞名はずしたら、シンプル過ぎるプレートに

なっちゃいましたけど。まずはささやかに。祭りはこれからですよ!

ちなみに、テリーヌ専門のお店だったのです。

  

  

なんて色鮮やかで繊細な!女性で集うのに、ぴったりなお店でしたよ。

私が食べたのは、鱧とホタテテリーヌ、二品。

幸せを堪能したので、しばらく引きこもり

地味な生活に戻りまーす。

2

日記---

にくきゅう。

2012.05.25 Friday12:20

うちに、ニャンコが来ましたよー。

やたら懐っこくて、仔犬みたい。こんなもの??

私のお腹の上で、仰向けでバンザーイ!してお腹放りだして

グーグー寝ているよ。

肉球

どうでもいいけど、家の階段から軽く滑り落ちて、尾骶骨打ちました。(私が)

血出とるがな。こんなんばっかり。

2

日記---

ブルー バレンタイン

2012.05.17 Thursday03:18

最近ライアン・ゴズリングが好き過ぎて、オロオロしながら

ドライヴ」と「スーパー・チューズデー」をハシゴしてきましたよ。

下絵頑張るぜ!週間なのにな。

役によって、ものすごくカッコ良く見える時と、心底情けなくカッコ悪く見える時とが両方あって、

(旬のイケメンに対してなんだか失礼)、コロコロ全く別人に見えたりもして、

そこがスゴイな~って思うのですよ。好き。

単純に、出演作が軒並み好みだってのもあるんですけど。

個人的に、1番インパクトあったの、この映画

ブルー バレンタイン

生々しくて、ある意味とってもエグいんだけど、

尚更「キラキラした瞬間」が胸に焼きついて離れない。

ウクレレタップダンスのシーンが、とってもキラキラ

こんなにいたたまれないエンドロールを初めて観たよ。

同時に終わる恋なんてない、罪悪感と執着と惨めさと、愛着嫌悪感

どちらか一方、もしくはどちらの立場経験したことある人

多いんじゃないかなあ?結婚してても、してなくても。

少女漫画のその後、みたいな映画です。

少女漫画の延長、みたいな物語も好きだけど。

ドライヴ」は、THE・任侠映画でしたよ。

古くて新しい、スタイリッシュキッチュな、ちょっと不思議映像美。

主人公クール過ぎて、殺傷能力高過ぎて、少し滑稽にも映る。

面白かったけど。。R15指定で、暴力描写過多、

実は、血みどろ超苦手なので、ビクビクしながら薄目開けて観ましたよ~。

金槌コワイ。音楽良かったな。

もう一度確認したいシーンが数ヵ所あるんだけど、多分もう観れない。。

精神的に痛いのは平気なんだけど、物理的に痛いのはイタイイタイ!

1

本・映画---

植毛♡

2012.05.11 Friday10:02

花とハーブの種をいっぱい買いました。

からこれらを屋上の芝生の上に、てきとうにふり撒く(蒔く、じゃなく、撒く)

という暴挙に出ます

あとは勝手に逞しく、すくすく育ってくれたらいいのになあ~~~と

祈りつつ、そっと見守る雑な方法で育ててみる予定。

雑草が、すくすく育ってるので、ハーブだってすくすく育つ。。ハズ。

芝生のハゲてるとこにも種をパラパラ

たぶん、頼めば芝生を張りかえて貰えると思うんだけど、

めんどくさいので、ハーブパラパラ。植毛♡

勝手に元気に育ちますように!

1

日記---

三池かんとく?

2012.05.08 Tuesday00:21

先日の南国旅行で、6日間部屋で流しっぱなしだった音楽が、

んもー頭からはなれなくってですねえ。。

アメリカ資本の、リゾートホテル備品CD

私、洋楽疎いので、誰の曲だか分からんで。メモも取らずに帰って来ちゃって、

しまった~失敗した~~って思ってたんですが。

たまたまレンタル借中の映画Crazy,Stupid,Love」を観てたら、

barのシーンで聞き覚えのあるその曲が。。。!

Miike Snowの「ANIMALMark Ronson Remix)」って曲でした。

検索かけてみたら、結構有名っぽいですね。(疎い)

これを聴いたら、あっという間にリゾート気分ですヨ!

おそらく私だけ。パブロフの犬的に。

当分ヘビロテだな~。

アーティスト名「Miike」は、三池崇史監督由来だそうですね。

三池監督と言えば、大森南朋出演「殺し屋イチ」ですよ。。(脱線

映画Crazy,~~~」も、キュートでみっともなくて愛しくて切なくて、大好き。

ちょっと出来過ぎなストーリー展開なんだけど、可愛いから無問題

かわいい最強。

少年少女カップル?の、ラストシーンが、ちょっとたまんないです。

ちなみに邦題「ラブ アゲイン」。。

原題ままのが、全然いいのにな~。

映画サントラも気に入ってる♡

2

本・映画---

同窓会

2012.05.04 Friday01:44

連休中に、関西高校同窓会があったのだけれども。。

4月に遊び過ぎたので、今回はパスしました。残念!

皆、元気かなあ?

高校生の頃って、自分の扱い方に少し困ってた気がする。

表面的には、淡々としてたと思うけど。

自意識過剰だったんだろうな。

ほとんどそれで、カタがつくような。

今もまだ、残ってるとこあるけど。

最近、ハマってるもの色々

チョコレートパンケーキチョコっていうかココア)    

  

林檎ヨーグルト(無糖ヨーグルトかけただけ。)

餃子作ること。(食べるのにハマってるわけじゃない。)

   

    

            市販の皮  V.S 手作りの皮(焦げてる)

   

市販の方が美味しくて、ムキ―!\(◎o◎)/!(負けず嫌い

「SABON」のスクラブシャワーオイル

レモンミントジンジャーオレンジ、すごいいい香り

あとは、ライアン・ゴズリング

写真上手になりたいなあ。

もっと美味しそうに撮ったり、綺麗に撮ったりしたい

2024-06-07

職場の先輩がASDぽくて辛い

こんなことを書くのは良くないと思っている、わざわざ口に出したりネットに書くようなことではないのもわかっている。あまりにも辛いか愚痴らせてほしい。

前提としてその人が発達障害であろうが、グレーゾーンであろうが、自分がその先輩と親しくしていることと、一緒に働いていくことに対しては何も関係ない。

自分の論としては、すべての人間が大なり小なり、言動思考にクセや特徴を持っていて、相手によって対応を変えるのが、社会の中で生きていくということだと思っている。そうして生きている。

それでも今、めちゃくちゃ辛い。

ちょっと愚痴を言わせてほしい。


自分職場ではベテラン指導者として若手と組ませて、チームプレイ仕事を覚えさせるスタイルをとっている。

10年くらいOJTが続くイメージ。長いよね。

1年ちょっと前に所属が変わって今の組織にきて、例の先輩と組まされて、最初、おや?と思った。

とにかく会話が成立しない。

最初は「まだお互い慣れてないもんな」とか「自分質問の仕方が変なのかな、聞き方変えよう」とか思ってた。

AorB、YESorNOの質問をしても「Aです」「YESです」しか返ってこない。他の先輩だったら、「Aです。何故ならば〜」が続くのに。

その人から業務指示をもらって、途中でその指示の理由が気になって質問しても、「?書いた指示通りにやってくれればいいから」と指示の上塗りされて終わる。いやそれはさっき聞いたんですよ。

「○○が知りたいんですが」→「そうなんだ、知りたいんだね」

「○○が知りたいんですが、ご存知ですか」→「はい、知ってます

「○○について、ご存知だったら教えてくれませんか」→「今なんでそれ調べてるの?」

みたいな感じ。ちなみに、「何故今それを知りたいのか」を確認すると、納得して引き下がる。いや、俺はまだ困っているのだが……?

1の答えを知るために10質問して、それでやっと求める答えが得られれば御の字という感じ。

その人の中では答えが繋がっているんだろうが、指導中に話がめちゃくちゃにすっ飛ぶのも辛い。「今なんの話をしていますか?」を5分間で10回は聞いてしまう。

例えば、自分アップルパイの作り方を知りたくて、「紅玉を使う時ってレモン汁は入れた方がいいんですか?」と聞いたとする。

他の先輩であれば、「酸味の強い林檎の時はレモン汁は必要ない」「紅玉は酸味が強い」というふたつの情報ベースに「だから必要ないよ」と教えてくれる。

その先輩だと、良くて「要らない」

下手すると「酸味があるから」だけ答えて、レモン汁が要るのか要らないのか答えてくれなかったりする。するとこちらも、「酸味?今なんの話をしていますか?」になる。

それか、「今回はなしのままで」とか。どうして要らないのか今理解しないと、次回も同じ質問を繰り返すことになってしまうんだけど……。

アップルパイの例えわかりにくい?ごめんなさい。



それからとにかく、業務上のこだわりが強い。多分、業務以外でもとんでもなくこだわりが強い。

自分入社するより何年も前に貸与廃止されて、返還すべきPCをまだ使っている。何度注意されても最新のPCを使わない。

何度上司に言われても、グループで共有している業務計画ファイル自分業務を記入しない。

何回お願いしても打ち合わせ等に自分を連れて行かない。担当しているプロジェクト情報を周囲にまったく開示しない。

その先輩が風邪で休んだりすると、先輩のプロジェクトには全部自分代打で入るのだが、先輩から情報普段まったく降りてこないので、かなり困る。武器も防具も持たずに戦場に立たされている。

自分はずっと困っている。

質問しても求める答えがほぼ得られないことと、業務情報が降りてこないこと、これは、仕事をする上でかなり厳しい。凄まじいストレス

本人には悪気はまったくなくて、どちらかというと穏やかで優しくて、一緒に働いていて気持ちのいい部類の人だと思う。

声を荒らげているところは見たことがない。

自分お腹が鳴ったら横からクッキーチョコをくれる。質問の答えはくれないのに。

帰り際には「明日夕方雨だから、傘を忘れないように」とか言われる。業務状況は共有してくれないのに。

じゃあ他の人に質問すれば?という話だが、自分自身が抱えているプロジェクトの前任者がその先輩であるとかそういう兼ね合いもあり、その人しか知らない情報自分が求めているシーンが多い。バカストレス

この仕事ではよくある話なんだけど、一日中指導者の先輩とだけ会話するとかザラにある。本当に耐え難い。一事が万事上記調子なので。




一年以上、「どんな聞き方をしたら求める答えにすぐ到達できるのか」「どういうお願いをしたらこの人は業務状況を共有してくれるのか」について、ずっと考えた。考えて考えて考えて、一年間ずっと上司にも相談しながらいろんなことを試した。

結果疲れ果てた自分ストレスで体調を崩した。そこで初めて、「どうしてこの人は会話が上手くいかないんだろう」「どうしてこの人は人に言われたことが出来ないんだろう」と思うようになった。

その瞬間、気がついた。

あ、これもしかして最近よくネットで見る、ASDってやつでは。

からどうという話ではない。その先輩に診断がおりてほしいとかじゃないし、自分対応は変わらない。

自分は変わらずその先輩のことが好きだし、その先輩と一緒に働いていくことはずっと苦痛だと思う。

ただもうちょっと早く気がついたら、ちょっと違ったかもしれないなと思う。主に自分現在の体調について。

ストレスで夜全然寝れなくて、基本的毎日寝不足で、毎日身体のどこかしらに痛みを感じながら身体を引きずって出社している。

もう少しはやく諦めたかったな……。

ちなみに上司には一年以上ずっと相談してきたし体調崩し始めたあたりから指導者と若手の組み合わせを変えられないか相談もしたんだけど、「会社って、上司も部下も選べないじゃん」との答えだった。退職待ったナシである

この仕事はかなり好きなので全然辞めたくないんだけど、そろそろ体調も限界だし、辞めるしかないのかな……。

マジで辛いです。ここまで読んでくれてありがとう。こんなものを読ませてごめん。

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