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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

明日からです……「和本シンポジウム」の「江戸川乱歩と東京古典会」

今日はめずらしく休日出勤などしてしまったもので、へとへとでよれよれの空犬です。今日から早稲田青空古本祭が始まっています。そんな日に、しかも天気のいい土曜日に、会社にこもってたなんてなあ……。それはさておき。久しぶりの乱歩ニュースです。


先日、「日本の古本屋メールマガジン」その107・9月26日号を読んでいたら、「江戸川乱歩と東京古典会」が掲載されていましたよ。書き手は、小林書房の小林光寿さん。


それによれば、10/2(日)、3(月)の2日間、東京古書会館で、東京古典会創立100周年記念として、「和本シンポジウム」が行われるのだそうです。名前の通り、《「和本」にスポットを当てたイベント》とのことで、《慶應大学・立教大学・東京古典会がコラボし実現した貴重書展が、2Fでは浮世絵版画の摺りの実演が、そして7FではTV等でも活躍中の、東京大学大学院教授ロバート・キャンベル氏と、直木賞作家木内昇氏のトークライブが行われ》るのだそうですよ。


いろんな本が好きなほうではあると思うんですが、さすがに和本は弱い、というか、ほとんどまったく知らないといっていい世界。でも、乱歩がからんでくるとなると、話は別。もちろん、乱歩者としては、乱歩の膨大な蔵書・コレクションのなかに、和本がたくさん含まれていることは当然知識として知ってますし、各種の乱歩展や資料類で目にしています。で、先を読み進めてみると、地下ホールでは、「江戸川乱歩と東京古典会―購入記録にみる和本蒐集の軌跡」が展示されるとあるではないですか。気になる中身のほうは。


《江戸川乱歩―今なお多くのファンを持つ昭和を代表する探偵小説家ですが、和本の蔵書家でもあった事はあまり世間には知られていないかもしれません。「仮名草子、浮世草子、八文字屋本などが主で、西鶴の小説のめぼしいものはほとんどそろっている。その他日本、中国の怪談書、探偵小説の先祖である裁判物語など。ほかに江戸末期の草双紙がどっさりある」(『読売新聞』昭和29年2月7日)という乱歩の900点を超える和本コレクションは、幻影城と命名された土蔵の中に収められていました(現在は立教大学蔵)。そして、このコレクションの最大の特徴は、蔵書の1点1点に詳細な購入記録が残されており、乱歩直筆の「和本カード」として保存されている事でした。》


《幻影城と命名された土蔵の中》に収められたものが見られるとなれば、これはもう乱歩者が駆けつけないわけにはいきません。


《今回の展覧会では、蔵書と「和本カード」をセットで展示し、その購入記録から当時の乱歩の和本蒐集の足跡を追ってみようという試みがされております。しかも、購入記録から判別する購入先は、 OB及び現役の東京古典会会員がほとんどでした。「弘文荘」「木内書店」といったOB会員から、「浅倉屋書店」「琳琅閣書店」といった現役会員の店舗名が、蔵書の購入金額と共に「和本カード」に記されているのです。東京古典会の歴史に、生の資料で直に触れる事ができる、まさに創立100周年記念イベントにふさわしい展覧会といえるでしょう。》


いやはや。これはすごいなあ。購入記録から収集の軌跡を追うだなんて、まさに古書のプロフェッショナルならではのアイディアですよねえ。これは見たいなあ。楽しみだなあ。


この「和本シンポジウム」について、こんな記事もありますよ。「神田で「和本シンポジウム」-「東京古典会」100周年で」(9/28 神田経済新聞)。こちらの記事では、乱歩がらみのくだりはこんな感じ。《和本の熱心なコレクターだった江戸川乱歩旧蔵の西鶴コレクションなど約30点を展示する「江戸川乱歩と東京古典会-購入記録にみる和本蒐集の軌跡」を行う》。


紹介が直前になってしまったうえ、開催が2日間だけなので、遠方の方には難しいかもしれませんが、乱歩者はぜひ古書会館に駆けつけてください。2日が12時~18時、3日が11時~16時30分で、入場無料とのことです。


幻影の蔵

↑乱歩の蔵書と言えば、もちろん、乱歩者は全員持ってますよね、これ。新保博久・山前譲『幻影の蔵 江戸川乱歩探偵小説蔵書目録』(東京書籍)。しかし、よくこんな本、出せたよなあ(苦笑)。


本の半分以上が、蔵書目録なので、乱歩や探偵小説史に興味のない方(がそもそも、手にとるはずもないだろうが)には退屈極まりない本でしょうが、乱歩者にはたまらん1冊ですよね。幻影城の様子や、古書価がいくらになるのか想像もつかないような超のつく貴重本の書影を堪能できる巻頭のカラーグラビアを眺めるだけで、ほんと、うっとり。


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