大好きな写真集が、新装版になって復活しました。
- Andre Kertesz『On Reading』(W.W.Norton)
↑これが今回の新装版。手元の本は、ISBNが同じなのに、なぜか表紙の写真が違ってます。刷によってカバーのデザインを変えたりしたのだろうか。謎。
アンドレ・ケルテスの『オン・リーディング』。オリジナルは1971年の刊行。わずか64ページ、小冊子程度のボリュームの、白黒写真集。
タイトルの通り、いろんな人が、いろんなところで、いろんな格好で、いろんなものを「読んでいる」、そんな姿をとらえただけの写真集なんですが、これがねえ、いいんですよ、ほんとに。本好きが高じると、他人が本を読んでいる姿を見るだけでも、うれしくなっちゃったりするんですよねえ。ここで、うんうん、とうなずいてくれた方なら、100%、幸せな気分になれること請け合いの1冊ですよ。
中身が好きなので、あまり気にしてませんでしたが、ぼくが持っているPenguin版はペーパーバックで、ただでさえ薄い本がほんとにぺらぺらな感じ。もともとの経年劣化だけでなく、おそらくはもともとの印刷クオリティもあまりよくなかったのでしょう、写真も、全体にちょっと眠いような印象の紙面でした。
↑これがPenguinのペーパーバック版。
それが、今回はハードカバー。表紙の写真セレクトも変わり、まず、モノとしての本のイメージが格段によくなりました。
造本を変えただけではないようです。元のと比較しながら見ていくと、写真の順が入れ替わっているなど、内容も「編集」されているようなのです。で、クレジットを見ると、写真の点数が元の61点から73点にと増え、全体のボリュームもアップ。
さらに、写真の「色味」もずいぶん変わっています。内容紹介には、《"On Reading" is reissued with striking new duotone reproductions. 》とあります。duotoneは「2色アミ版」ですが、新版のためのまえがきには、今回の印刷により、ケルテスのオリジナル写真と彼のヴィジョンにより忠実になった、と書かれています。写真の技術的なことはよくわかりませんが、少なくとも、写真の美しさの違いは素人目にもあきらか。
というわけで、本書をお持ちでない本好きには絶対的におすすめの1冊ですが、Penguin版をお持ちの方も、ぜひ買い直されることをおすすめします。この本、気づくタイミングがちょっと遅れて、時期を逸してしまいましたが、これ、相手が本好きなら、まさにクリスマスプレゼントにもぴったりの1冊だと思いますよ。