(広義の)本の本、本屋さんの本は、読むのが好きだというのもありますが、『本屋図鑑』のような本を手がけたり、このような書店blogに文章を書いたりしている身には、貴重な資料でもあります。なので、なるべくこまかく情報は追いかけるようにしていて、ある程度まとまったらこのblogで紹介する、というのを続けているのですが、なにしろ、数が多くて、とてもカバーしきれません。
網羅からはほど遠いのですが、最近目についたものをまとめてご紹介します。まずは、児童書を含む図書館関連から。
- 福本友美子・江口絵理『世の中への扉 図書館のトリセツ』(講談社)
- 『絵本は語る はじまりは図書館から』(子どもの未来社)
- 一般財団法人大阪国際児童文学振興財団編『子どもの本 100問100答 司書、読書ボランティアにも役立つ』(創元社)
- 久繁哲之介 『商店街再生の罠』(ちくま新書)
『世の中への扉 図書館のトリセツ』は、子ども向けの図書館ガイド。《読めば、図書館に行きたくなるガイドブック登場。本のさがし方から、調べ学習や自由研究の悩みを解決! とことん図書館を使いこなす方法を、お教えします》という内容。文章は読みやすいし、イラストもかわいいし、大人の目で見てもなかなかおもしろそうですよ。
『絵本は語る はじまりは図書館から』は、《地域で家庭文庫を主宰しながら、30年以上図書館活動にかかわり続けてきた著者が、図書館の魅力を描いた「絵本」の数々を紹介する。また、市民の要求とそれに応える図書館の実践例、図書館に関する世界の「宣言文」等も掲載。参考として、図書館にまつわる海外&国内の児童文学のリストを付した》という1冊。図書館が舞台になっている児童向けの作品はいくつか思い浮かびますが、こうして本にまとまるほどたくさんあるとは。どんな作品が取り上げられているのか、気になります。
『子どもの本 100問100答』は少し前の本ですが、《子どもの本に関わる質問や疑問を100問にまとめて答えた「子どもの本ハンドブック」。子どもに本を読んでほしいと願っている人や図書館、家庭文庫や読書推進に関わる諸団体のための手軽で便利な相談ツールとして編集した》という内容で、なかなかおもしろそうなので、遅ればせながら紹介を。毎日新聞の書評にも取り上げられていましたね。「本はともだち:「子どもの本100問100答」 専門家の知識と経験を一冊に」(11/27 毎日新聞)。
次の『商店街再生の罠』は、《「大型店に客を奪われた」というのは、幻想である。商店街衰退の本当の理由は、「成功例」を模倣する公務員と、意欲の低い商店主にあった。レトロ商店街、キャラクター商店街、B級グルメ商店街、シェア起業、スローフード、民間図書館など数々の事例から、商店街衰退を引き起こす「罠」を見つけ出し、再生へのヒントを提示する》という1冊。図書館がメインのテーマの本ではありませんが、千葉の民間図書館の取り組みの例が出てきます。
また、本の関連ではほかに、水木しげるロードなど、マンガのキャラクターを使った地方商店街振興の例などにもふれられています。書店の事例こそ出てきませんが、商店街のあり方、独立個店のあり方といった、町の本屋さんに直結するテーマについて書かれた本は、書店を取り巻く状況に興味のある方にはいろいろと参考になりそうです。個人的には大変おもしろく読みました。
次はノンフィクション関連の2冊。
- 後藤正治『探訪 名ノンフィクション』(中央公論新社)
- 成毛眞編著『ノンフィクションはこれを読め! 2013 HONZが選んだ110冊』(中央公論新社)
『探訪 名ノンフィクション』は、《柳田邦男『空白の天気図』、立花隆『田中角栄研究』、沢木耕太郎『一瞬の夏』……。一八の名作はいかにして生まれたのか。ノンフィクションの名手による私的ノンフィクション案内》という1冊。目次を見てみたら、「名作」のなかに未読の本もけっこうあるようなので、勉強がてら読んでみようと思っています。
『ノンフィクションはこれを読め!』は昨年に続く《書評サイトHONZのレビュー集第二弾》。《『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』『ランドセル俳人の五・七・五』ほかのお薦めレビュー、岡田斗司夫ロングインタビューなどを収録》というもの。
こちらも、読むと未読のもの、見落としていたものがけっこうあって、勉強になります。ただ、昨年の2012年版が出たときの感想にもちょっと記したことですが、なかには、個人的な印象としては、やや書きすぎではないかなあ、と思われるものもあり(今回のでいうと、とくに冒頭の1編)、ここまで書かれてしまうと、もうこれで完結してしまって(つまり、読んだような気になってしまって)、本に手が伸びない、ということがあるんじゃないかなあ、と、そんなことが少し気になりました。
続いて、古書店もの。
- 鈴木創『なごや古本屋案内』(風媒社)
- グレゴリ青山 『ブンブン堂のグレちゃん 大阪古本屋バイト日記 』(ちくま文庫)
- 小山力也『古本屋ツアー・イン・ジャパン 全国古書店めぐり 珍奇で愉快な一五〇のお店』(原書房)
『なごや古本屋案内』は、ブックマークナゴヤのキーパーソンでもある、シマウマ書房の鈴木さんの著書。《古書店めぐりを楽しむためのガイド本として、名古屋市内を中心に、愛知・岐阜・三重の古書店50店舗の情報を掲載。本や古書店にまつわるエッセイやイラストなど、読み物としても楽しめる内容になっています》。
石橋毅史さん、大島真寿美さん、清水良典さん、諏訪哲史さん、堀江敏幸さん他、エッセイの執筆陣も大変に豪華です。寄稿者と本で取り上げられているお店の一覧は、サイトに目次があがっていて、そちらで確認できます。
「日本の古本屋メールマガジン」の146号の「自著を語る」に、鈴木さんが登場、「『なごや古本屋案内』について 」という一文を寄せていますので、そちらもどうぞ。
『ブンブン堂』は親本を長く愛読してきた、大好きな古本エッセイマンガ。こちらは、稿をあらためて紹介したいと思います。
『古本屋ツアー・イン・ジャパン 全国古書店めぐり 珍奇で愉快な一五〇のお店』は、古書店めぐりが好きな人なら知らない人はいない、利用したことのない人はいない、と言ってもいい、超強力な古書店情報サイト「古本屋ツアー・イン・ジャパン 日本全国の古本屋をダッシュで訪ねて」の主催者、「古ツアさん」こと、小山力也さんの著書。
《2008年5月に突如始まったツアーで訪れた古書店(古書市や古本関連のイベントを含む)は再訪問を含めると現在のべ2000件以上に及ぶ。古書店内の棚構成を克明に記録したブログは、現在最も刺激的な古書店ガイドになっている。本書は特に異様で奇抜なお店、店主が独特すぎるお店、めったに開店していないお店など、あまりガイドブックには載らない個性派を中心に選び構成したベスト版である》。これは楽しみですよね。
「日本の古本屋メールマガジン」の146号の「自著を語る 番外編」に原書房編集部の百町研一さんが登場。本書に関する「『古本屋ツアー・イン・ジャパン』予告編」という一文を寄せていますので、そちらもぜひ。
その他にもいろいろありますが、件数が多いので、ここでいったん稿を分けます。