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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

「わたしの好きな本屋さん」

朝日新聞別刷「be」には、「beランキング」という連載があります。しばらく前の回で「わたしの好きな本屋さん」というテーマが取り上げられていましたね。「地元の書店、生き残ってくれ!」という大きな見出し付きの記事でした。



回答者数は1758人。これは、朝日新聞デジタルの会員に登録している読者で、引用されている読者の方の年齢が比較的高めのことからもあきらかなように、年齢層のバランスがとられた均質的な調査ではなさそうだと考えたほうがいいでしょう。


そのような前提を確認したうえで、ランキングを見てみます。1位は紀伊國屋書店で、2位はジュンク堂書店。以下、上位には大型チェーンが並びます。アマゾンは3位で、上位に入ったオンライン書店としては、楽天ブックスもあります(10位)。


記事には《巨大書店だけに人気が集中したわけではない。最大3店まで選べるアンケートだったので、大手チェーン書店と、町の本屋を組み合わせて選ぶ人がほとんどだった》とあり、地元の書店への思いのあらわれた読者のコメントがいくつも引かれています。


ところで。こんな書店ブログを書いたり、『本屋図鑑』などという本に関わったりしているもので、ぼくもよく「好きな本屋さん」について聞かれます。「好きな本屋さんはどこですか?」と。先日も、書店関係のトークイベントに出演させていただいたんですが、やはり聞かれました。簡単な質問に見えますが、これが、なかなかむずかしい質問なんですよねえ。


「よく利用する本屋さんはどこですか?」であれば、すぐに答えられます。日中の長い時間を過ごす神保町の本屋さんと、吉祥寺・三鷹周辺の本屋さんをあげることになるからです。もちろん、それらの多くはイコール「好きな本屋さん」で、だったら先の質問にも簡単に答えられるじゃないか、と言われてしまいそうですが、ふだんなかなか行けないけど、でも好き、というお店もありますから、「ふだんよく行く=好き」とまとめてしまうのも、なんだか落ち着かない感じがするのです。



東京近郊では、たとえば、往来堂書店はよく行きますし、大好きなお店でもありますが、通勤経路の途中にある店ではなく、神保町から自宅への方角とは反対方向になるので、よく行くとは言っても、やはりふだん行き帰りに気軽に寄れる吉祥寺のお店ほどの頻度で行けるわけではありません。中央線沿線では御茶ノ水と最寄り駅の吉祥寺・三鷹間にある書店を利用する機会が多いのですが、吉祥寺・三鷹よりも先の駅にも好きなお店がいくつもあります。たとえば、西国分寺のBOOKS隆文堂や国立の増田書店や立川のオリオン書房など。ただ、やはりふだんはなかなか行けなくて、好きだなどと言いながらも、けっこう間が空いてしまったりします。


東京近郊以外だとますますそうで、たとえば、先日もblogのレポートで取り上げた、熊本の長崎書店は個人的に大好きなお店ですし、今年のブックンロールに出演いただいた田口さんが店長をつとめる、盛岡のさわや書店も、敬愛してやまないお店の1つです。これも、写真レポートで取り上げたばかりの、神戸の海文堂書店も大好きなお店でした。大阪の隆祥館書店も大好きだし、もう「好き」ということで言えば、絞るのが大変なぐらいに、あげていてきりがないぐらいに、全国のあちこちに好きなお店があります


でも、残念ながら、これらのお店は、ふだん利用しているお店ではないんですよね。こうした東京近郊以外のお気に入り書店の多くは、せいぜい1年に1回行けるか行けないか、だったりするのです。だから、それらを、「好きなお店」として、自分のふだんの書店生活の中心にあるかのようにあげてしまうのはどうかなあ、という気がするのです。


その意味では、やはり「好きなお店」を聞かれたら、ふだん利用しているお店から選びたい。当たり前ですよね。


では、あらためて、「好きな本屋さんはどこですか?」と聞かれたとしたら。うーん、やっぱり難しい。だから、そんなふうに聞かれたら、いちばんよく利用する書店をあげることにしています。平日昼前後に利用する機会の多い神保町の書店なら、東京堂書店。仕事帰りや休日に寄ることが多い吉祥寺の書店なら、BOOKSルーエ。


いつでも寄れる書店が複数あるというのは、幸せなことだなあ、と、あらためて思ったりするのです。

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