外交を称賛しながら、ロシアとの戦争をかき立てるイギリスのジョンソン
Finian Cunningham
2022年2月9日
Strategic Culture Foundation
イギリス人の二枚舌は、外交の徳を称賛しながら、ロシアとの軍事的緊張を高めるボリス・ジョンソン首相より厚いものはない。
今週ジョンソンはタイムズ紙に論説を書き、ウクライナを巡り増大する緊張がアメリカNATO軍事ブロックとロシア間の全面戦争にエスカレートするのを阻止する上で「外交が勝利する」と信じていると述べた。
これは、ジョンソンがイギリスが更に多くの海兵隊員、戦闘機と軍艦を東ヨーロッパに配備する計画だと発表しながらのことだ。イギリスは既に「ロシアの攻撃」に対する防衛とされるもので兵器と特殊部隊をウクライナに送る上で、ヨーロッパのNATO同盟諸国に先行している。
今週ジョンソンが提案しているのは、イギリスのヨーロッパに対する「揺るぎない」支持の誇示と彼が呼ぶものでポーランドとバルト諸国に更に多くのイギリス軍配備だ。これは気高い勢力というイギリスのイメージを磨き上げるための身勝手なスタンドプレーだ。
ウクライナを巡る緊張を緩和する努力で、フランスのエマヌエル・マクロン大統領がロシアのウラジーミルプーチン大統領との本格的協議のため今週モスクワを訪問した。来週、ドイツのオラフ・ショルツ首相もプーチンとの協議のためモスクワ訪問予定だ。
そこで我々は、ロンドンが、ロシアとの軍事的緊張を高めることによって、外交が確実に失敗するよう最大限の努力をしているように思われるのを目にしている。
ジョンソンとリズ・トラス外務大臣は、ウクライナ侵略をあえてすれば、血まみれの大虐殺に直面するという恐ろしい警告をロシアに出すのに忙しかった。モスクワは繰り返し侵入を計画していることを否定した。ところが、トラスは、軍ヘルメットを被り戦車に乗った姿をイギリス報道機関に撮影させていた。彼女はロシア外務大臣セルゲイ・ラブロフとの協議のため数日中にモスクワ訪問予定だ。冷ややかな会談になるのは確実だ。クレムリンがなぜこのような無能で不誠実なイギリス特命使節をもてなすのか不思議だ。
ロンドンは、いつもの通り、ワシントンの命令を実行しているのだ。ほぼ三カ月前、アメリカがロシアをウクライナ攻撃のかどで非難しプロパガンダ攻勢を開始して以来、ロシア攻勢とされるものに関するワシントンのメッセージをイギリスは声高に展開している。
プロパガンダとメディア心理作戦は老いたイギリス帝国が疑わしい技能を多少維持している分野だ。多分、英語マスメディアの普及はイギリス人に生得の優位を与ている。
ロンドンが巧みに利用する上で優れているように思われるのは、ポーランドやバルト諸国に既にある意欲的な生来のロシア嫌いを活気づけることだ。最近のイギリス軍配備は、ウクライナと同様、これら東ヨーロッパ諸国集中している。この動きはロシア侵略のヒステリーを高めるのに役立った。
先週ジョンソンが、ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相と同じ日に、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とキエフで会ってにいたのは重要だ。モラヴィエツキは、モスクワに対し一層劇的な制裁を要求する東ヨーロッパでも最も激しいロシア嫌いの意見の持ち主だ。
「ウクライナを侵略した場合」ロシアに対する先制的制裁に対するこれら団結したNATOとヨーロッパの立場の見解をジョンソンは強化している。ジョンソンは制裁「する準備ができている」べきで、ロシアと欧州連合間のノルド・ストリーム2ガス供給パイプラインの終了を含むべきだと述べた。
注目すべきことに、ドイツとフランス、欧州連合の二大経済は、緊張をエスカレートさせた場合のノルド・ストリーム2終了について話すのをいやがっている。ベルリンとパリは、アメリカに率いられたNATOブロックとロシア間の行き詰まりの解決策として、はっきり外交的方法を見いだそうとする傾向がある。
ここに辛らつな皮肉がある。イギリスは2016年のブレグジット国民投票後に欧州連合を去った。ボリス・ジョンソンは欧州連合から「支配を取り戻す」というスローガンでブレグジットを主張する主導的人物だった。
今イギリスは公式にヨーロッパ・ブロックから外れているとは言え、依然ロシアとの関係でEUに激震を及ぼすことが可能だ。ロンドンは、ウクライナと同様、ロシア嫌いの東ヨーロッパ諸国を武装化することで、ロシアの戦略的エネルギー貿易を破壊するための制裁を推進することで、対モスクワ敵意枢軸を動員しているのだ。
実際、イギリスは、ロシアとの危険な緊張をかき立てることで、意図的に自分の国際的重要性を水増ししているのはほぼ確実だ。
ウクライナを巡る危機は、ロンドンにほう助され、ワシントンが人為的に膨らませたものだ。ヨーロッパのエネルギー問題とロシアと中国に関する外交問題を支配するのが、ワシントンと信頼できる手先イギリスにとっての暗黙の狙いだ。そして、その狙いを巧妙に実現する上で、ブレグジット後公式に去ったブロック欧州連合の問題に干渉するために並外れた力を手に入れるべく、イギリスは身勝手に東ヨーロッパのロシア嫌いを利用した。
ロシアの安全保障上の懸念は外交手段を通して理性的に穏やかに交渉されるべきだ。ウクライナのNATO加入についてのモスクワの反対理由は完全に正当だ。
だが、ボリス・ジョンソンや同類の他のロンドン冷戦戦士が「ロシア侵略」に関する法外なわい曲の中、東ヨーロッパへの挑発的な武器供給で戦争の緊張に拍車をかけており、外交が勝る可能性はほとんどない。
更なる辛らつな皮肉は、ヨーロッパでの戦争を刺激する上で、イギリスの極悪非道な歴史的役割だ。第二次世界大戦の歴史の通常のプロパガンダ版と違って、ソ連を攻撃するため密かにナチスドイツを動員し、その過程で、名目上の「同盟国」ポーランドや他の国々を犠牲にしたのはロンドンだった。現在、ロンドンは、ロシアに対する戦争への道をお膳立てしながら、「ロシア侵略」からヨーロッパを守ると宣言している。
Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
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戦車上の写真で有名なイギリス外務大臣のロシア訪問結果は子どものおつかい。失言。凡人政治。
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