くすぶるウクライナ。強欲な「実業家」父と息子チーム!
くすぶるウクライナ。強欲な「実業家」父と息子チーム!
2019年10月11日
Henry Kamens
New Eastern Outlook
最近、興味が刺激されるためではなく、アメリカ大統領選挙との関係のため、ウクライナで一体何が起きているのか、支援という見せかけの下、アメリカによって、いかに事が進められているかについて、多くの人々が短期集中講座を受けている。
ジョー・バイデン前合衆国副大統領、特に息子ハンターの後ろ暗い取り引きを調査するようウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領に圧力をかけたと言って、民主党は今トランプを非難している。
ずばり要点を言って、トランプは、この主張は、全て彼の二期目の立候補を阻止するため、投票箱では得ることができない優位を民主党が得ようと意図する「魔女狩りのたわごと」ときっぱり切り捨て、どんな非行も否定した。
これは全て本当かも知れない。だが、これまでの10年にわたりウクライナでは、余りに多くのことが起きた。例えば、オバマ政権やCIAや他の連中は、実際、政府を乗っ取るため、大勢の反ロシア分離主義者ナチに資金を供給したのだ。それからクリミアは不安と反撃で、ロシア加入を票決し、飛行機が墜落し、誰も今まで真実を語らなかった。
皆様がウクライナについて、これまで読んだものの大半が間違っており、それも、ブラウン大学スラブ研究のウラジミール・ゴルステイン教授が言う通り、控えめな表現だ。彼はモスクワで生まれ、1979年、アメリカに移住した。だが主流マスコミは、アメリカとそのパートナーによる失策や災難を洗脳、正当化するため報道を多く報じている。
一体どういうことなのか
少なくともアメリカ人のため、複雑な問題を単純にすれば、ウクライナで起きた全てが、2016年の民主党全国委員会電子メールのハッキングと大統領に選ばれたコメディアンと関係があるのだ。
民主党は、彼らの政治資金団体の一部から、彼ら自身の失敗から注意をそらし、資金集めをするために、ウクライナ・カードを使いたいと思ったのだ。共和党も、民主党と平均的なウクライナ人に対して同じカードを使いたいと望んで、「我ら人民」は彼ら両方が立ち去ることを願いながら、双方の間で、身動きできずにいる。
切り札
話は、2014年早々の、当時の「EUくそくらえ」ヨーロッパ・ユーラシア担当国務次官補ビクトリア・ヌーランドと、駐ウクライナ・アメリカ大使ジェフリー・パイアットの電話会話にさかのぼる。当時、会話のすぐ後、バイデン副大統領はウクライナの選挙で選ばれた政府をアメリカの支援を得ての打倒「実現に一役買う」上で役割を演じていた。
それはこの話題で最大の犯罪だが、代替メディアは、しっかり文書化しているものの、独立政府の違法な打倒を、全ての当事者が見落としていることは語られていない。
だが突然「ドナルド・トランプが、もしウクライナ政府が、彼の再選での勝利を支援するのを拒否したら、ウクライナへの軍事援助を保留すると脅したことを我々が知った今、下院民主党議員の4分の3以上が弾劾調査支持で登場したのだ」。この情報がばれたタイミングは大いに疑わしく、この情報がどう漏れたのか、誰が漏らしたのかという点では、ホワイトハウス内の関係筋だったのは明らかだ。
このような声明は信頼できないが、より大きな構図を考えると、議論の余地がある問題だ。誰が弾劾されるか、されないか決めるのは上院だ。「When Democrats Turn Out」は、民主党が選挙で歴史を作り続けるのを可能にすべく、全国の有権者を活性化させる運動だが、弾劾を決定することはできない。
トランプが、様々な罪で大統領の座から追いだされるのに値するのは言うまでもないが一番薄弱な罪は、彼の大言壮語、ふるいのように情報を漏らさない信頼できるスタッフを選んでいないことだ。
トランプに「取り引きの手管」を教えることができるジョー・バイデンと彼の「実業家」息子ハンターに対する最近の非難合戦は別として、ウクライナは他の連中の権益用プレイステーションに過ぎない。薬物検査で失格し、海軍から追い出された後、ハンター・バイデンが彼の名を、外見上明白ないかなる公表もせずに、ウクライナのガス企業ブリスマ・ホールディングスに雇われたのを公然と認めるのを大半の人々は望んでいない。
アメリカに公認され支援されたクーデターにより、ウクライナの親ロシア派前大統領が打倒された二カ月後、2014年4月に彼の新しい仕事が始まった。ウクライナの正統大統領の排除前と、その間と、その後、新たに据えたアメリカ傀儡政権を支援するアメリカの取り組みに、ハンター・バイデンの父親は大いに関与していた。
収賄や、ロシアによるオランダ旅客機撃墜と主張されるものへの対処や、東部地域での一般人に対する砲撃などのため、ウクライナは信頼性を大きく損なった。
飛行機撃墜の調査に従事したオランダ関係筋はこう語っている。
「我々の調査はウクライナとの共同調査だった。多くの不確実な問題がある。彼らによれば撃墜したのはロシアだ。だが私はそれがロシアではなかったと確信している。彼らは決してそれほど愚かに行動しないだろう。[メディア]はロシアを非難するが、実際の証拠は見せず、根拠がない主張だけだ。彼らは嘘をついている。知っていると主張する全員が、ウクライナ自身が、ウクライナ戦闘機で撃墜したのだ。」
『燃えるウクライナ』
ウクライナで起きたことの多くは、きちんと文書化されているが、それらはアメリカやウクライナを肯定的な視点で描いていないため、間もなく欧米の多くによって、ロシアの宣伝にすぎないと切り捨てられた。世界的に有名な映画・ドキュメンタリー制作者オリバー・ストーンが示している通り、それは現実からほど遠い。
ストーンの『燃えるウクライナ』は、2004年のオレンジ革命や、2014年の蜂起と民主的に選出されたヤヌコーヴィチの暴力的な追放をもたらした、この地域における深い分裂を歴史的な視点でみている。欧米メディアは「大革命」として報道したが、実際には、超国家主義集団とアメリカ国務省によって書かれ演出されたクーデターだった。
それ以来起きていることが東西間の不和の種であることが証明され、内部問題は一層激化した。これらは更に、ロシア語に対する全面的攻撃と、超インフレによって悪化し、既に社会から取り残された人々を一層の貧困に追い込み、最も優れた人々にも、そこそこの人々にも、EUで彼らの運を試してみるよう強いたのだ。
この結果は肯定的ではなく、続く頭脳労働者と熟練労働者の流出は長期的な悪影響をもたらすはずだ。即座のとばっちりは地域の大衆だけでなく地域全体が受けるのだ。
個々の要因は余りにうまく合っている。当初オバマとジョー・バイデンは、ヨーロッパ諸国に、彼らと団結して、ロシアに対抗し、アメリカがウクライナでしている全てを支持するよう圧力をかけた。そこでバイデンとそのチームは報酬を与えられなければならず、彼らは冷戦後のもう一つの戦利品を分けるという考えで、パブロフの犬のように気持ちが高ぶったのだ。
どういうわけか無能で不祥事を起こした息子が、ウクライナの主要ガス企業重役になった。もちろん、ジョー・バイデンが、ハンター・バイデンの怪しい活動を調査し始めたウクライナ検事総長を、10億ドルのアメリカ援助を彼の辞任に関連づけて追い出したのを自慢した後でさえ、これは利益相反ではあり得なかった。
子供が学問や他の功績が勝ち取れなかった場合、政治家が息子や娘の職を大企業で見つけるのは珍しいことではない。それは子供を片づける一つの方法だ。
1991年、ウィリアム・ケネディ・スミスが強姦罪で告発された時、彼の家族は「辺ぴな場所」のアルバカーキで、彼に医療インターンの新しい仕事を見つけた。スミスは役職に適任だったが、他の女性たちが彼に対して申し立てた類似の告訴から、無罪になった強姦犯人としてさえ、彼が患者の近くに行くのを不適格にすべきだった。にもかかわらず、彼の親類と政治的な支持者たちが世界の至るところに埋めて売る地雷の被害者を更生させる彼自身のキャリアを積むことが可能だったのだ。
これらの任命が、支援と結び付けられて、政権を形成したり、打倒したりするために使われる時に問題が起きるのだ。彼が父親を困らせ、大統領選出馬に損害を与える可能性が低いウクライナでのハンター任命は、支援受け入れの一つの条件だった。実際そうしたように、ウクライナが他に、この支援を求めれば、ハンターは帰国し、彼の問題も持ち帰らなければなるまい。そこの貧しい人々は将来のアメリカ大統領の息子ではなく、ウクライナ人に過ぎないのだから、ヤヌコーヴィチ排除ということになる。
白い太陽、黒い夜
ウクライナの現在の苦い体験と、そこで演じられているゼロ・サムゲームは、古いソ連映画『砂漠の白い太陽』のある場面を強く思い起こさせる。
「すぐ殺されたいのか、それとも最初少し拷問されるのを望むか。俺は最初、拷問されるほうが良い。」
映画全体は、現在のウクライナ、特に気候や政治や科学についての議論に、関連している。強欲やな政治家や戦争屋を選出し、連中の師弟を権力の座に任命し続けるのは、我々の生き残りにとって非常に良くない。このような連中はロシアや他の世界を瀬戸際に押しやることの危険を見ず、自身の儲けしか心配しない。
映画の赤軍軍人は(映画の21:30で)、彼を捕らえた民族主義者と白軍ギャングから、どうやって逃れるか考えるため、時間を適切に使い、拷問を選んだ。だが文明世界と単純な人々は、ウクライナや他の不安定地域で、彼らのリーダーがそこにいることになった混乱から一体どうやって逃れられるだろう?
文脈を無視して解釈されているとは言え、一回の電話会話に関して起きたことは、我々が悩まされる中、少なくとも、最終的脱出を計画する多少の猶予を我々に与えてくれる。トランプは我々に苦悩と逃げるべきディストピア不毛地帯の両方を与えたのかもしれないが、彼の介入がなければ、我々はそれらすら持てなかったかもしれないのだ。
アメリカと、そのヨーロッパ・パートナーが約束したり、行ったりした支援と民主主義構築は、ウクライナでは決して効果的ではなかった。彼らは、ウクライナ政府に、行動に責任をとったり、国民の実際のニーズに対応したりするよう奨励しなかった。
結果は、国内での更なる分裂だ。元々、政治的、経済的に混迷していた国が、益々不安定にされ、より広範な地域をその泥沼に引き込むのだ。たとえそれが問題を作っても、そうしたこと全てを、いつもの通り、何らかの現地人に固有の欠点のせいにできるので、アメリカは満足なのだ。
それは全て問題の根源、アメリカと同盟国が代理を使ってしているあらゆること、つまり侵入と干渉を、ロシアなどの他者を、いけにえとして問題を負わせる道具としてのウクライナや他の国々の役割に帰結する。
問題は、バイデンやオルブライトやクリントン夫妻やブレアなどの連中が、それをどのように実行するかを知っていることだ。彼らは欧米の技能を持っている。彼らは手段を選ばず、彼らの国で彼らの専門職のトップに就いたのだ。つまり既にジョージアのような国で実行したように、ウクライナやアルバニアやイラクのような新たに解放された国で、連中がノウハウを実践しようと望むのは決して驚くべきことではない。
ウクライナはそのために存在するのだろうか? これが主権国家の役割だろうか? 我々が現地の人の欠陥について語るなら、そうした欠陥は実際一体どの国にあるのだろう?
Henry Kamensはコラムニストで中央アジアとコーカサス専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/10/11/ukraine-smolders-greedy-businessman-father-and-son-team/
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『砂漠の白い太陽』、一度見たような気がする。ネットでは英語字幕つきのものはみられないようだ。
雨の音で眠れず、睡眠不足。『利根川治水の変遷と水害』という本を読んだばかりで、利根川氾濫の可能性を想像していた。千曲川、阿武隈川、川越の越辺川氾濫。下記IWJインタビュー再配信も拝聴した。お二人こそ正論。
※問題だらけの治水事業! 豪雨被害は天災ではなく人災!? 大都市圏を豪雨が襲うリスクに迫る! 岩上安身による拓殖大関良基教授+ジャーナリストまさのあつこ氏インタビュー 2018.7.21
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/427924
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