制裁を課す側へのしっぺ返しとなる対ロシア制裁
2023年3月2日
Moon of Alabama
「欧米」政治家連中とは違い、特定の外国関係政策がもたらすかもしれない結果について私は考えてみたい。
2022年3月9日に私はこう予測した。
制裁の反動は「欧米」をロシアの要求を受け入れるよう駆り立てるだろう
何年もの間アメリカは多くの国々に不満を感じさせる政策を推進している。今アメリカがロシア「懲罰」の結果を緩和するための支援を必要とする中、それら政策がしっぺ返しを食らわせている。「欧米」がロシアに課した制裁の二次的影響も同様だろう。
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最初の[地図]は領空でロシア航空機を禁止した国々を示している。ロシアはお返しにそれらの国々の航空会社に領空を閉鎖した。それは典型的にロシア領空を通ってアジア往路/復路を飛行するアメリカやEU航空会社にとって飛行時間も費用も増大するだろう。アジア諸国の航空会社がこのルートで、アメリカやヨーロッパ航空会社に対して容易に競争で勝てるだろう。
一年後ファイナンシャル・タイムズとフォーチュンはやっとこの問題に気がついた。
中国が再開するにつれ、中国航空会社には「不当な優位」があると航空会社言う。彼らはロシア上空を飛行するのを許されている。
金曜日に「もしあなたがロシア上空を飛行する中国航空会社を持っていれば彼らは我々に対し不当な優位がある」とエールフランス-KLMのCEOベン・スミスがファイナンシャル・タイムズに述べた。スミスはパリからソウルまで飛行する飛行機に対しロシア領空を避けるため「飛行時間が三時間」増えたと不平を言った。
ロシアのウクライナ侵略の前、アジアをヨーロッパや北アメリカの目的地と結び付けるため航空便はロシア上空を飛行することが多かった。だが昨年二月ヨーロッパと北米の政府がロシア航空会社が欧米上を飛行するのを禁止すると、ロシアは報復として多くの欧米の航空便にロシア領空使用を禁じた。
そこでヨーロッパやカナダやアメリカの航空会社はロシアを避けるため異なる経路を飛ぶことを強いられている。より長い飛行は、より高い経費と排気を意味し、より多くの燃料を消費する。より長い飛行は飛行乗務員に、きつい飛行予定と就業時間限度を越えることを強いる。
それでも中国を含めいくつかの非西側国の航空会社がロシア領空を飛び続け、ヨーロッパと北アメリカの目的地への、より早く、より安い便を提供するのを可能にしている。
ヨーロッパの航空会社は今北京が何年ものコロナ時代の隔離から再開するにつれ、彼らが復活する中国旅行の波に取り残されるのが心配だ。(帰国する中国観光客を含め全ての国際便到着者が検疫検査場で何週間も過ごすのを必要とした後中国観光事業は急落した。)
「飛行という点で、中国の地方都市で収益を上げるのは非常に困難だろう」とフィンランド航空CEOトピ・マナーが先週ファイナンシャル・タイムズに語った。ロシアの領空閉鎖はヘルシンキを北アジアとヨーロッパを結ぶ便のハブにしようという航空会社の努力を台無しにし、フィンランド航空に打撃を与えた。
国を代表するこの航空会社にロシアが領空使用を制限する前、これはフィンランド航空で最も利益がある路線だった。
Alex・Macheras @AlexInAir-2022年2月27日、UTC 11時09分
フィンランドとロシアにはフィンランド航空に週に80プラスの往復便がシベリア上空飛行を保証する合意があり、それはロシア領空通過がフィンランド航空に与える「アジアへの最短ルート」で文字通り彼らの事業の中核/独自の強み/稼ぎ頭/彼らの全てだ。
これは予測が容易だった。大多数のフィンランド航空株を所有するフィンランド政府は大変な敗者だ。
長期投資は正道だが、永久に全ての株を所有すべきことを意味しない。我々は仲間の投資家が苦労して手に入れた金を失うのを見るのは本当に嫌いだ。その時株価が95%下がったのでフィンエアOyj(HEL:FIA1S)株を5年間持っていた人全員比喩的に傷を癒やすのを強いられるはずだ。株価下落は先週中継続し、約6.4%下落した。
中国の航空会社が依然ロシア上空の飛行を許されることがどうして今「不公平なの」かは興味深い。一体誰がその不公平をもたらしたのだろう?
ヒント:それは中国や中国の航空会社ではなかった。
これがロンドンから香港までの現在のブリティッシュ・エア便だ。経路は少し奇妙ではないだろうか?
拡大する
これはロンドンと香港間の理想的経路だ。それはイギリス政府がロシア航空会社に制裁を課す前、ブリティッシュ・エアが飛んでいた経路だ。
そう。より高い価格とより長時間の飛行は全く「不公平だ」。一体誰がそれを変えることができたのか不思議に思う。
それを恐れてはいけない。制裁のたわ言は近いうちには止まるまい。
四人のアメリカ当局者と他の情報提供者によれば、アメリカはウクライナでの戦争で、北京がロシアに軍事支援を提供すれば、中国に新たな制裁を課す可能性について友好同盟諸国に打診している。
まだ準備段階にあるこの協議は、様々な国々、特に裕福なG7諸国の支持を集め、あり得る制裁への支持を調整することを目的としている。
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ワシントンがどのような具体的制裁を提案するか明確ではない。会話はこれまで公開されていない。
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中国のロシア支持に対処するバイデン政権の最初の措置は、財務省を含め、幹部や外交レベルにおける非公式活動を含むと、この問題に詳しい情報提供者が述べた。一年前のウクライナ侵略後ロシアに課した制裁の中核となる最も協力的な諸国集団と共に、当局は北京に対してあり得る動きのための基礎を敷いたと彼らは述べた。
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金曜日ホワイトハウスでバイデンがドイツのオーラフ・ショルツ首相と会う際、ロシア・ウクライナ戦争における中国の役割が議題にあると想像される。その前に水曜と木曜ニューデリーで、ロシアや中国やアメリカを含め多数の国々の外務大臣にこの戦争は論じられるだろう。
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関連する外交圧力の一環として、戦争の一周年を記念する2月24日のG7声明でワシントンは「第三国」に「ロシアの戦争に物質的支援を提供するのをやめるか、さもないとひどい代償に直面する」と呼びかける表現を勝ち取った。
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アメリカが世界第二位の経済大国である中国に制裁を課す際に直面する課題の一つは、ヨーロッパとアジアの主要経済国への完全な統合で、これが交渉を複雑にしている。ドイツから韓国に至るまでアメリカ同盟諸国は中国を遠ざけるのには気が進まないのだ。
ともあれ。ショルツや他の愚かな「指導者連中」がこれにだまされるのを我々は保証できる。連中があえてアメリカに「邪魔するな」と言う前に、連中は自分たちの国を破壊するだろう。
彼らの有権者がこれに対してて連中を罰するよう願おう。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2023/03/sanctions-on-russia-come-back-to-bite-their-issuers.html#more
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プーチン大統領と親しいウクライナ人有力政治家メドヴェドチュク氏と家族が人質交換で救出された。ご本人はロシア語で感謝をかたるが、女性による英語訳が聞ける。
Viktor Medvedchuk || Vladimir Zelensky is a dictator , ‘There is another Ukraine’ exiled leader
この戦争はアメリカが主導しNATO諸国とともに挑発し、ロシアに侵略させ、交渉拒否し紛争永続を狙うものである以上、ロシアには好むと好まざるにかかわらず完勝する以外に選択の余地は無いとマグレガー氏。大本営広報部も知りながら決して報じない事実。
インド訪問時飛行機を降りるドイツのベアボック外相に対する冷淡な対応とロシアのラブロフ外相に対する丁寧な対応を対照する報道番組。
German FM cold-shouldered in India? Berlin clarifies after 'warm reception' to Russia's Lavrov
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国は東アジアの安全保障政策構築上、米・日・韓の強固な関係の構築をめざす。特に対中。この中、徴用工問題が阻害要因。米国は大統領選挙で米国との関係重視の尹錫悦を支援。バイデンは「米の緊密な同盟国間の新章」として 元徴用工「解決策」を歓迎。
「本日午後3時から、岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏インタビューを生配信します!」
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