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2021年11月16日 (火)

CIA長官のモスクワ訪問 アメリカ闇の国家に気を配るようにさせたロシア

Finian Cunningham
2021年11月9日
Strategic Culture Foundation

 ロシアは国家安全保障に対するいかなる更なる挑発も大目に見るまい。今の疑問は以下のことだ。アメリカ・パワーエリートは好戦的行動を変えることができるだろうか?

 先週のウィリアム・バーンズCIA長官による「まれな」モスクワ訪問は注目に値する進展の兆しだ。国際平和への懸念について、ロシア指導部から直接聞くべきだとアメリカ政治支配体制は注意を喚起されたように思われる。

 一方、それは両国関係がどれほど悪化したかを示している。だが他方、モスクワ・ワシントン間の直接会話は対立点を明確化し、エスカレーションを避ける助けになり得る。

 先週ウィリアム・バーンズCIA長官が電撃訪問でモスクワに派遣された。報道によれば、彼はジョー・バイデン大統領に緊急派遣された。二日間のシャトルツアー中に、バーンズはロシア連邦安全保障会議書記ニコライ・パトルシェフと、バーンズと同じ地位の対外情報庁SVR長官セルゲイ・ナルイシキンと、別に会談を行った。二人の人物はロシア国家安全保障の最高位の代表だ。

 加えて、滞在中、CIA長官は、ウラジーミル・プーチン大統領とも電話会話をした。このような電話は極めて異例と思われる。標準的なプロトコルでは、プーチンが、クレムリン補佐を外国高官と議論する代表に指名する。

 だがバーンズは普通の外務高官ではない。この65歳の人物は、以前、駐ロシア(2005-2008)アメリカ大使として勤めた経験豊富な外交官だ。国務省における彼の長い経歴が、最近のアメリカ中央情報局CIA長官という職位と結びついて、バーンズはワシントンの外交政策支配体制-いわゆる闇の国家の権化になったのだ。

 だから彼のモスクワ訪問は、二つの核大国指導部が、直接、面倒な協議に携わった瞬間と見ることができる。6月早々、バイデン大統領が、ジュネーブで、わずか数時間、プーチンに会っただけで、メディアが誇大宣伝をした時より遙かにそうだ。また、この重大な機会に、バイデンが代理人として、アントニー・ブリンケン国務長官や国家安全保障担当補佐官ジェイク・サリバンいずれでもなくバーンズを送ったことにも留意願いたい。

 バーンズのモスクワでの任務に関するアメリカ・メディア報道は、本当の狙いから眼をそらすための物なのは疑いようがない。バーンズが、ウクライナ国境でのロシアの軍事力増強について警告したと報じられている。クレムリンはそれらの主張や、軍の動きとされる衛星画像を根拠がないでっちあげだと切って捨てた。通常、差し迫ったロシアの「侵略」について大いに人騒がせなウクライナ国防省さえ、アメリカ・メディア報道が言うようなロシアの軍事力強化はないと言った。

 もっともらしく思われるのは、クレムリンが、それ以上詳細は言わずに、バーンズとの高レベル会談は「両国関係」と「地域紛争」に関する議論だったと言ったことだ。それはロシア側が重要な国家安全保障の懸念について、そして同様に重要なのだが、万一越えてはならない一線を越えたら、動的にどう対応するか、アメリカにはっきり話したことを示唆している。

 わずか数週間前に、ロイド・オースティン国防長官がウクライナを訪問し、この国防長官は、将来NATO同盟に加盟する可能性を繰り返した。このような進展は、反応を引き起こす越えてはならない一線だと、クレムリンは繰り返し警告している。ウクライナのNATO加盟に関するオースティンの固執は、モスクワを深くいらだたせたに違いない。このアメリカ人連中は、一体どうして、それほど粗野であり得るのだろう?

 モスクワは最近も、もう一つの越えてはならない一線として、黒海でのアメリカとNATO軍の増強を強調した。今後数カ月で、ロシア軍艦が新しい極超音速ミサイルを装備するとプーチン大統領が発表したのも偶然の一致とは思われない。

 他にも重要な背景要因がある。先月、バイデン政権は、幹部外交官ビクトリア・ヌーランドを3日間の訪問のためモスクワに派遣した。ヌーランドはアメリカ政権転覆政策の権化で、最も忘れ難いのが、2014年キエフ・クーデターを画策する上での彼女の役割だ。モスクワで、彼女はセルゲイ・リャブコフ外務次官と会った。ロシア国境でのNATOの攻撃性強化や、二国間関係の緊張増大同様、ウクライナに関するロシアの懸念に、アメリカ側は無頓着だったと報じられた。

 それからモスクワは、NATO連合との外交チャネルを断絶したと発表した。この動きは証拠なしに、スパイ活動をしているとされたロシア外交官のブリュッセルからの追放によって引き起こされた。NATOによる一連の挑発の中で、この動きは、モスクワにとって、我慢の限界と見られたのだ。主にNATOには相互対話をするつもりがないため、この外交チャネルはずっと前から不要になっていた。

 いずれにせよ、モスクワは、取るに足りない人物や反ロシア騒音に対処するのに、うんざりしていることを知らしめたのだ。NATOから歩き去ることで、越えてはならない一線をアメリカは真剣に受けとめ始めた方が良いと、クレムリンは伝えたのだ。

 重大なやりとりという重要な目的には、タカ派ヌーランドの類でさえ国務次官では不十分だ。名目だけ上級のブリンケンのような外交官、あるいは、メッセンジャーボーイのように事前に書かれた話題で働く官僚のサリバンのような、年功序列上、明らかに上の人物でさえ不十分だ。国防総省の名ばかりの長官、オースティン国防長官も、ウクライナとジョージアのロボットのような歴訪中に、書かれた台詞を繰り返す人物以外の何ものでもないことを明らかにした。このような連中には、紛争の核心に踏み込む上で、対応する価値がないのだ。

 時に、主張を通すのに最も効果的な方法は、やりとりを最小限に抑えることだ。それにより、本当の結果をもたらさないチャンネルを止め、騒音やエコーを減らすのだ。

 ロシアはアメリカとNATOが、ウクライナ、黒海、バルカンや、より広範な地域で、紛争の可能性を高めているのを明確にした。それにより、越えてはならない一線を表現することで、アメリカの闇の国家は、ロシアが言っていることに注意を払い始めた方が良いと決めたように思われる。

 ウィリアム・バーンズによるモスクワ緊急訪問は、緊張が更に戦争に陥るのを、どのように防ぐべきかについての真面目な話し合いの機会だった。アメリカの闇の国家は直接メッセージを受けとったのだ。ロシアは国家安全保障に対する更なるどんな挑発も大目に見ない。今の疑問は次のことだ。アメリカパワーエリートは、闘争的な行動を変えることができるのだろうか?

 Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。

 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/11/09/cia-chief-comes-to-moscow-russia-gets-us-deep-state-pay-attention/

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 まぞましい国政。おぞましい地方政治。小選挙区制だけでなく、実体験から政党交付金のあやしい使われ方も書いた本さよなら!一強政治 徹底ルポ小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェーを読み終えたあと、なおさら感じる。皆様にも一読頂きたい本。同じ人間社会とは思えない。文明社会と未開社会。ベストセラーにならないのが不思議。

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