ふだんはめったに行けないのに、機会があるなると続くもの。昨日も高崎線沿線に用事があったので、上野を通ったついでに、またまたBOOK EXPRESSディラ上野店へ。
仕事で移動途中の短時間だったので、ざっと一周することしかできませんでしたが、やはり活気と工夫に満ちた本屋さんというのは、いついっても、何度いってもいいものです。後ろ髪を引かれる思いでお店を後にし、通路に出たところで、お店の方のおすすめ本をディスプレイしたウィンドウが目にとまりました。ちなみに、紹介されていたのは、こちらの本です。
いやはや。びっくりですよねえ、これ(笑)。ぼくも好きな本だし、なかなかいいセレクトだと思うのですが、ここ、駅構内の本屋さんですよ。利用者の層の幅広さ、この作品が出たばかりの新刊でも、また現時点でとくに映画化リメイク他のメディア的な話題にあがったものではないことを考えると、ここにこんなふうにフィーチャーされているのが奇跡的なことに思えてしまいます。ちょっと感激……。
ちなみに、これ、「幻の最終章」が足された完全版として、去年epiで新装刊されたもの。個人的には、映画のポスター(↓)やDVDのジャケに使われている、このイラストカバーのハヤカワ文庫NV版の印象が強くて、旧版を大事にしているもので、完全版は未読です。
さて、BEX上野を訪ねた後は、高崎線にゆられて、さいたま新都心へ。仕事や旅行で、ふだんいかない地域を訪ねたら、必ずその土地の書店を訪ねるようにしています。今回は、紀伊國屋書店さいたま新都心店をのぞいてきました。
ショッピングモールのなかにある大型ワンフロア型の同店、入ってみてその巨大さにびっくり。いやはや、こんな大きな店だとは知りませんでした。500坪をゆうに超える広さで(後で調べたら700坪)、在庫も相当ありそう。チェックのしがいのあるお店でした。
今年は世界天文年ということで、宇宙関連本のフェアをいろんな書店で見かけますが、この紀伊國屋書店さいたま新都心店でも宇宙本フェアが開催中。これまでにぼくが個人的に目にした狭い範囲での比較ですが、なかなかに充実した内容でした。大人向けに児童向け、入門書に専門書とバランスよくそろえられていたのですが、思わず笑ってしまったのは、『光学機器大全』なんていう本格的な専門書まで並んでいたこと(しかも、3冊!)。担当の方の、本気度(か、もしくは遊び心?)がほの見えて、ちょっとうれしくなってしまいました。
来る前にBOOK EXPRESSディラ上野店で見ておいたおすすめ文庫や、平台で大々的にフィーチャーされていた文庫が、こちらの店ではどんな扱いになっているかを比較してみたんですが、ほんと、おもしろいぐらいに違うんですよねえ、これが。BOOK EXPRESSディラ上野店のセレクトの独自性、担当の方の選球眼があらためて確認できて、実におもしろかったです。これはあくまでお店の立地・客層・タイプ、担当の方の力の入れどころなどの違いの話であって、もちろん、紀伊國屋さいたま新都心の並べ方がよくなかったということではありませんよ。
やっぱり、新刊書店はおもしろい! 新刊書店は金太郎飴なんかではない、ということなのですよ。
◆今日のBGM◆
- ケニー・ランキン『インサイド』
昨年、紙ジャケ再発なった折りに、一度紹介したケニー・ランキン、先日亡くなっていたんですね……。「優しい歌声に定評、ケニー・ランキン氏が死去」(6/10スポニチ)。
そのとき紹介した代表作『シルヴァー・モーニング』もいいですが、この『インサイド』も個人的にはけっこう好きな1枚です。
カバー曲を自分の世界に染める腕とセンスに長けた人で、前回紹介の『シルヴァー・モーニング』ではビートルズの「ブラックバード」を取り上げています。原曲の、完成されすぎていて他のかたちが考えにくいフィンガーピッキングを、上品なアルペジオパタンに置き換えてアレンジ、やさしいメロディにその声がぴったりで、ビートルズ版を知らない人が、このアルバムの流れで聞いたら、オリジナルだと思ってしまいそう。本作では、ジミヘンの「アップ・フロム・ザ・スカイ」を取り上げていますが、ちゃんと自分の曲になってます。