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空犬通信

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その美しさにため息……夏葉社第4弾『星を撒いた街』を購入しましたよ

懸案だったブックンロールの募金の報告を書き上げたら、急に安堵感と虚脱感がタッグで押し寄せてきて、いささか放心気味、しばらくは更新もちょっとサボってもいいかななどと逃避癖を発揮中の空犬です。


こういう、だらけ気分のときにかぎって、紹介したい本だのフリペだのお店だの、ネタがいくつもたまっているから大変。いろいろあるネタのなかから、まずは、話題のこの本から。


  • 山本善行編『上林暁 傑作小説集 星を撒いた街』(夏葉社)


星を撒いた街

↑実に美しい、なんとも言えないたたずまいの本です。『昔日の客』に続いて、こちらも装丁・造本がすばらしい。



星を撒いた街 チラシ

↑ほんとは発売前に紹介しなくちゃとスキャンしておいたチラシ。



刊行前からツイッターやWebで話題になっていた1冊。まさか上林暁の「新刊」がこんなふうにあちこちで本好きの話題になるとはなあ。さすが、夏葉社さん。今回も目のつけどころといい、本の作り込みといい、すばらしい仕事ぶりですよね。これがまだ設立3年にも満たない、そして5冊も本を出していない書肆の仕事とは思えません。島田さん、あらためてすごいなあ。同じく出版に関わる者として、ちょっとうらやましくなりますね。


収録作など内容については、あちこちでふれられていますから、それらをご覧いただくほうが早いでしょう。夏葉社に縁のあるところから引いておくと、西荻ブックマークのこちらとか、海文堂書店のこちらとか、あと、選者・山本善行さんの「古本ソムリエの日記 」とか。


代わりに、装丁・造本好きとして、この本の造りにふれておきましょう。判型は四六判で、上製。『昔日の客』と同じテイストで装われているのがわかる造本ですね。全面が緑系の布クロス装だった昔日と違い、今回は、背の部分で色が変わっています(この山吹色が美しい)。これは継ぎ表紙(継ぎ背・背継ぎとも)と呼ばれる製本様式で、ひと昔前の文芸書のうち、函入り上製本の本体によく見かけましたが(昔日の布クロス装もそうですね)、最近の本で目にすることはすっかりなくなりましたね。布クロス装も継ぎ表紙も、函入り本ではなく、このように単体で用いてもいい感じだということが、これらを見るとよーくわかります。新刊書店の店頭にこのようなルックスの本が並んでいると、古本好きの目にはもちろん、一般の本好きのみなさんの目にも、かなり新鮮に映るのではないでしょうか。


書名・著者名(今回は編者)は、昔日は手書き文字をスミ1色で箔押ししたものでしたが、今回は明朝系のフォントで、金の箔押し。文字量の少ない帯とのバランスもよく、とても上品にまとまっています。


試みに、最近の本で継ぎ表紙の本なんてあったかなあ、と、我が家の本棚を眺めていたら、この本のことを思い出しました。


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