なにしろ、大変に字が汚いのです。並大抵ではありません。
その自覚は早くからあったものですから、キーボード(最初は電子タイプ、すぐにワープロ専用機)を手にしたときは、これだ!と思ったものでした。自分の手に本来ついているはずのパーツがそれまで欠けていたのでは、と思えるほどに。
すぐにタイピング、ブライドタッチをマスター。以来、キーボード入力は、ものすごーく得意(速い)んですが、その分、手書きではまとまった文字量を書けなくてなってしまっています。
そんな、「字が汚い」「そもそも字が書けない」タイプなのに、筆記具、なかでも万年筆と、ノート、それも小ぶりなノートが大好きなんですよね。アナログ楽器とか、レコードプレーヤーといった手間のかかる道具が好きなのと同じ感性がはたらいているのかもしれません。本屋が大好きなのと同様に、文具は売っている場所も好きで、伊東屋、ハンズ、ロフトなどの文具売り場はいくらいてもあきません。
そんな文具好きにぴったりのコミックがあるというので、早速読んでみました。
- 藤原嗚呼子『きまじめ姫と文房具王子』1(小学館)
いやあ、これ、おもしろいなあ。楽しいなあ。版元の内容紹介によれば、こんなお話です。《京都の大学に講師として赴任した姫路かの子。研究室が相部屋になると聞かされ、訪ねると…そこには溢れんばかりの文房具の山が!! なんと同室の男性講師・蜂谷皐月は超文房具マニア。周囲の文房具に触ることも嫌がられ、先が思いやられるかの子。しかしかの子にも文房具にまつわる、"胸疼く思い出"が…!? 身近な文房具と人生が交差する、新感覚ドラマ》。
タイトルから、姫と王子の恋愛が主軸のお話だったらちょっとなあ、と思ったんですが、たしかに恋愛要素はゼロではないものの、お話の中心は主要登場人物たち、とくに王子の文房具愛で、全編にあふれる文具愛は半端でなく、彼らが語るという体裁で散りばめられている文具うんちくも大変楽しいのです。実在の文具について語られていますので、自分の愛用している文具が出てくるとうれしいし、自分の知らないものが出てくると、今度文房具店で見てみようかな、使ってみようかな、という気にさせられます。
この1巻には、ペリカンの万年筆にまつわるエピソードが出てきます。ペリカンの万年筆は当方も大好きで、長く愛用していますが、ペリカンのロゴにまつわるうんちくなど、この本を読むまでぜんぜん知りませんでした。自分の持っている文具を引っ張り出して、あらためて眺めてみたり、使ってみたり、手入れをしてみたり、そんなことがしたくなる本でもあるのです。
文具好きにはたまらない1冊だと思いますが、仮に文具でなくても、楽器・カメラ・腕時計・食器などなど、特定の「道具」類、モノに思い入れの強いタイプの方であれば、出てくる文具のことを知らなくても、というか、むしろ知らないほうがより楽しめるかもしれませんよ。
この本を読むと、万年筆やノートなど、お気に入りの文房具たちを引っ張りだしたくなるんですよね。わざわざお見せするような立派な文房具たちを使っているわけではありませんが、文章書きや読書の際に、傍らに置いておくことの多い、愛用文具たちをちょっと並べてみたくなりました。じゃーん。
↑これがこの数年愛用している筆入れ。革製で、何かのおまけだったような……(革製品なので、鞄か何かだったかなあ……)。いずれにしても買ったものではなく、いただきものです。まちがあって量がそれなりに入り、ジッパーが下まで伸びていて、ぐっと大きく開くため、中のものを取り出しやすく、気に入っています。日本野鳥の会のシルバーピンバッジをつけています(写真で見えているのはコアジサシ、向こう側にはツバメ)。
中身は、って見せるようなものではないんだけれど、
・水性ペン
・エンピツ(黒、赤、青)
・肥後守
・鉛筆削り
・折りたたみハサミ
・消しゴム(MONO、スティック式)
・蛍光ペン(オレンジとイエロー)
・定規
などを入れています。
ふだん使いの筆記具は水性ペンですが、本や楽譜に書き込みやメモをするときは、裏移りのしないエンピツがいいので、赤青の色鉛筆は常駐です。鉛筆削りは電動のは仕上がりの感じが苦手で、小型の手動と肥後守を愛用しています。肥後守は、エンピツの芯だけをとがらせるのに便利なので、会社でも使っています。万年筆は傷がつきやすいので、別にしています。
↑付箋は小型のを愛用しています。ミニ付箋「スリム見出し」。通常サイズのと比べるとこんな感じです。小さなケースに入れて、筆入れに常駐しています。ちなみに、小型の付箋は、本で気になる箇所があったときの目印などに使っていますが、本文にかからないように貼れますし、ノリのついている部分も小さいためべたべたが残ったりするリスクも少なめなので、おすすめです。
↑筆記具で最近のあたりはこちら。サクラクレパスの「SAKURA craft_lab」。しばらく前に、贈り物でいただいたのですが、ひと目で気に入ってしまいました。持ち重りのするしっかりしたつくりで、色味もいいし、頭冠(ツマミ)がヴィンテージの楽器やカメラに使われていそうな雰囲気なのもグッド。もちろん書き味もいいですよ。同じくお気に入りの、トラベラーズのパスポートサイズに組み合わせてみると、大変にいい感じ。最近のお気に入りの組み合わせです。
追記(2/13):この記事で、お気に入り筆記具として紹介したSAKURA craft_lab 001が「文房具屋さん大賞」の大賞を受賞したそうです。関連記事はこちら。まだ取扱店が少ないらしく、替え芯を買える店を探すのに苦労したりしているところ。この受賞を機に、文具マニアはもちろん、一般のユーザにも知られるようになって、ふつうに買えるようになるといいなあ。