こんなハンドルでこんなアイコンなものだから、犬関係の人(笑)だと思われるのでしょう。ツイッターではしばしば犬関係のアカウントのみなさんからフォローされます。でも、おそらくは、そういうみなさんをがっかりさせているに違いないと思うのです。なにしろ、犬的なことを一切につぶやきませんから。
残念ながら家庭的・環境的な事情で、犬と一緒に暮らすことができたのは、実家で両親とくらしていたわずかな期間のみ。子どものころも犬と暮らしたことはありませんし、現在も残念ながら我が家にはいません。まったく犬寄りとは言えない人生を送ってきて、そして今も送っているわけです。(人生でいちばん犬と距離が近い生活をしていたのはこの記事の後段に書いたころです。)
でも。犬は大好きなんです。心は犬族だと思っているぐらい。
だから、たまには、犬派として、こんな本を紹介してみようと思ったのでした。
- 青柳健二『全国の犬像をめぐる 忠犬物語45話』(青弓社)
↑カバーをはずして読んでいたら、カバーが見当たらなくなってしまい……。裸本というのもなんなので、版元のサイトの書影を引かせていただきました。
タイトル通り、全国の犬像を紹介した本です。版元の内容紹介を引きます。《忠犬はハチ公だけではない。雪崩から主人を救った新潟の忠犬タマ公、小樽の消防犬ぶん公、東京のチロリ、郡上の盲導犬サーブ、松山の目が見えない犬ダン、筑後の羽が生えた羽犬……。全国各地の忠犬・愛犬の像約60体をたずね歩き、カラー写真と来歴で顕彰する》。
かわいいわんちゃんたちのかわいい写真をあしらったかわいい犬本とは中身もテイストも違いますから、わんちゃん好きの人たちにどの程度訴えかけるのか、よくわかりませんが、ぼくはむしろ、そういう犬のかわいいところを強調した本よりも楽しめました。
とにかく、像になるくらいですから、出てくるのはどの子もどの子も忠犬・愛犬タイプ。どれもこれも犬好きならぐっとくる話で、それが45話も入っています。しかも、(一般的な知名度はともかく、少なくともぼくにとっては)ハチ公以外は知らない犬・エピソードばかり。犬好きならば、幸せな気分に、そして、ちょっと得した気分になれること請け合いです。
猫人気におされてか、猫本に比べると犬本はそれほど話題になることもないようですが、この本は、やはり犬派にはぐっとくるところがあるのでしょう。本好き本読みで知られる女優、中江有里さんがNHKの番組内のブックレビューでこの本を取り上げていたそうです。詳細はこちら。「犬派にオススメ! 忠犬60匹の感動ストーリーを紹介した『全国の犬像をめぐる』」(6/15 Book Bang)。
記事を引きます。《猫か犬かと言われたら犬派だという中江さんは、「犬は一途で忠犬と呼ばれるのがよく分かる。人間との関わりが深い」と犬への愛をあらわした》。
《同書には中江さんに縁のある犬も登場している》そうで、記事には《大分の九重連山で登山客をガイドしていた犬の平治。とても頭がよく、遭難のおそれがあった登山客を救ったとの言い伝えもある。現在平治の銅像が長者原に建てられ、この本にも収められている。中江さんは平治を描いた映画『奇跡の山 さよなら、名犬平治』で飼い主を演じていた。昨年25年ぶりに平治像を訪ねたという中江さんは「ここに収められているのを見てものすごく興奮しました」と喜びをあらわしていた》とありました。
記事の最後には《全国にはこんなにたくさんの犬の像があるんだと驚いたという中江さん。本に収められた犬像を訪ねて歩くという楽しみ方を提唱していた》とあります。本書は図版も豊富で、取り上げられているそれぞれの犬像の写真もばっちりですが、でも、やっぱり実物を見てみたくなりますよね。犬好きのみなさんは旅のおともにぜひ。