今日は世間的には「父の日」だったはずですが、家族がパパを置いて出かけてしまい、独りで過ごすことになってしまいました(泣)。ふだんはぼっち上等、独りの休日などぜんぜん気にならないほうなんですが、「父の日」に独りで家にいるのもなんだかさびしいので、平日会社帰りに行きにくいところでも歩いてくるかなあ、と、天気はいま一つでしたが、散歩に出かけてきましたよ。
行き先は、先日blogで紹介した喫茶店、gion(ギオン)のある阿佐ヶ谷。阿佐ヶ谷には一時期住んでいたこともあって、今でも好きな街なので、たまに途中下車するのですが、最近はちょっとごぶさた気味。平日はなかなか寄れないので、今日は、本関連の場所を中心に、かつてよく歩いた北口エリア、旧中杉通り・中杉通りを歩いてみることにしました。
まずは、一部が耐震工事のために改装中の駅ビル、ダイヤ街の文公堂書店をチェック。文公堂書店については、数年前、改装リニューアルとなった際に訪問記を書いていますので、よろしければそちらもご覧ください。
北口駅前に戻り、ロータリーをはさんで正面、北口駅前ビルを抜けてまっすぐ進みます。
↑ぼくが学生のころからある古本屋さん、千章堂書店。学生のころ、ここでいったいどれだけ本を買ったことか。貧乏な学生がたくさんの良書と出会うきっかけをつくってくれたお店の1つです。
↑駅から見て、千章堂書店の少し手前、右側には小さな新刊書店、いつわ書店がありました。こちらは現在の様子。
↑千章堂書店の先を左折して、少し行ったところ、ラーメンの航海屋のそばには、アダルト中心だった芙蓉堂書店がありましたが、閉店になってしまいましたね。
↑そのさらに少し先には、古本屋さん、今井書店がありましたが、こちらも残念ながら閉店に。写真は、現在の様子で、マグノリアカフェという、アルコールも飲める英国風カフェになっています。(写真左端、青い看板のお店。)
↑少し戻り、旧中杉通りを進みます。少し行くと、左側に町の本屋さん、柏木堂書店があります。あれ、日曜日は開いているはずなのに、すわ閉店?!と思ったら、今日はお休みだとの貼り紙がありました。
↑柏木堂書店のそばには、貸本のネオ書房が。どちらも古くから、それこそぼくが学生のころからあるお店です。ネオは、以前は貸本のチェーンでしたが、現在は古本の販売が中心と聞いています。今日はお休みで入れず。
↑阿佐ヶ谷の古本屋さんと言えば、現在はこちらのお店をまっ先に思い浮かべるという本好き、古本好きも多いことでしょう。古書コンコ堂。開店5周年とのことで、案内が出ています。おめでとうございます。
↑古書コンコ堂の近くに、新しい中古レコード屋さんができていた。オントエンリズムストア。開店祝いの花束がずらり。ほんとにできたばかりのようですね。(後で調べたら、2016年6月17日オープンとのことでした。)
オントエンリズムストアは、4、5人も入ればいっぱいの小さなお店です。先客が2人いたので、棚に面陳されているジャケをざっと見るのが精一杯、レコ箱はぜんぜん見ることができませんでした。ざっと見たところ、洋邦の有名どころや、本でいうところの雑本的なアイテムが見当たりません。かなり独自の品ぞろえのよう。箱、じっくり見てみたかったなあ。気になる方は、サイトを見てみると、品ぞろえの雰囲気がちょっとわかるかもしれません。
さらに先へ進みます。そういえば、中古レコードのブラックサブマリンも、最初にできたときはこの通り沿い、2階にあったんだよなあ、などということを思い出したりました。
↑貸本のネギシ読書会中杉通り店。同じ通りに、2軒も貸本屋さんがあったということですよね。こちらはこの日は閉まっていましたが、現在も営業中のようですね。
その先を少し歩くと、ああ、たしかここにあったっけなあ、という場所に行き当たりました。以前(といっても、けっこう前のことですが)古本屋さん、元我堂だったところですね。たしか、別のお店になったと聞いていたんですが、看板も何も出ていなくて、まっ白なので、ただの休みなのか、何も入っていないのか、よくわかりませんでした。
↑また通りを少し歩き、少し先で左折すると、住宅街の中に、突然、図書館が現れます。杉並区立阿佐谷図書館。阿佐ヶ谷にいるころはよく利用したなあ。入り口前のプレートには阿佐ヶ谷文士の案内があり、館内には阿佐ヶ谷文士コーナーも設けられています。
↑館内、階段の踊り場壁面には阿佐ヶ谷文士村マップもあります。これ、街歩きにぴったりのマップだと思うのですが、ここでしか見られません。さすがに、これを見て覚えていくわけにはいきませんから、この地図、利用者が持ち帰れるような無料配布版があればと思うのですが、館内をあちこち見てみたかぎり、ないようでした。サイトにPDFが……と思ったら、それもないですね。すみません、勝手に撮影させてもらいました。
ちなみに、「阿佐ヶ谷」の表記は不統一なのではなく、図書館は正式には「杉並区立阿佐谷図書館」で、「ヶ」なし。文士村のほうは、館外の案内と館内の地図では「阿佐ヶ谷文士村」で、「ヶ」あり、となっていたのに従ったものです。
早稲田通りにぶつかるところで、今度は中杉通り沿いに、駅のほうに向かって歩いて戻ります。
↑リサイクルショップ、J-HOUSE。こちらは、古本屋さんではありませんが、店頭には中古レコードが置いてあったり、絵はがき・塗り絵などの紙物が置いてあったりしますので、一応紹介。ぼくの大変不確かな記憶では、ここ、以前(といっても、例によってかなり前)は一時期、女性店主のいる古本屋さんでしたよね。
↑中杉通り沿いには、古本屋さん「ゆたか。書房」があります。「。」が店名に入っていますが、これが正式表記のようです。小さな店ですが、新古書店的な品ぞろえとはまったく雰囲気が異なります。なにしろ、文芸評論(小説作品、ではなく、評論です)だけで何本も棚があったりする、文学寄りのしっかりした品ぞろえのお店なんですよね。以前からそうでしたが、久しぶりの訪問でも、そうした品ぞろえや雰囲気がぜんぜん変わっていなくてなんだかうれしくなりました。まさに「昔ながらの」とつけたくなるのような古本屋ですよね。
好きな作家の単行本の、初版・帯付・美本を複数発見。どっちも所有していますが、手元の本は(たしか)帯がない。ふだんは、それだけで新たに買い直したり買い足したりすることはしないのですが、今日はぜひこのお店で買い物をしておきたくなったので、2冊購入。なんだか、うれしい買い物です。
↑中杉通りを駅のほうに進むと、「ゆたか。書房」とは反対側に、古本屋さん、銀星舎があります。ここもいい古本屋さんなんですが、ちょうど雨が少し強くなってきたときで、しかも、道の反対側だったので、残念ながら寄れず。
阿佐ヶ谷北口エリアのブックスポット散歩の終点。駅に戻って、駅前の新刊書店、書楽(しょがく)へ。ここでコミックか文庫を買っていくことにします。
ここもぼくが学生のころからある店ですが、お店の雰囲気も、店内の配置も、ほぼその頃から変わっていませんし、書皮も(以前に比べると少し紙が薄くなりはしましたが)以前と同じ、黒に横罫の入ったかっこいいデザインのものがそのままです。
↑書楽、これまで何度も買い物をしているお店なのに、これら無料配布物には初めて気づきました。お店のフリペ「書楽」。これがフリペの名称なのかなあ。「書」の題字に「いち」とあるのは、1号の意なのか、名称の一部なのか。題字の上に「しょらく、じゃないよ、しょがく、だよ」とあるのは、それぐらいよく読み間違われるということなんでしょうね(笑)。本屋大賞関連の記事に、「本屋のあれこれ」という対談記事。後者には「つづく」とありますから、これからも続けて刊行されるということでしょうか。
隣は同店のしおり。厚みのあるクラフト紙に刷られていて、イラストは「おとないちあき」さんとあります。
↑こちらが、先日blogで紹介した喫茶店gion(ギオン)。このお店は、中もいいんですが、この外観がいいんですよねえ。書楽で買った文庫本を片手に、しばし読書休憩をしました。ちなみに、窓側のブランコ席は空いていましたが、現在は喫煙席のようで、タバコを吸わないというと、別の席に案内されてしまいました。
というわけで。阿佐ヶ谷のブックスポット散歩は、思っていた以上に楽しいものになりました。ちょっとさびしい「父の日」になってしまって、気分も沈んでいたんですが、以前からの店がまだ元気に営業をしていたり、新たにできたお店ががんばっていたりするのを確認できて、いい気分転換になりました。
阿佐ヶ谷といえば、本好きには、書原が有名ですが、書原以外にもすてきなお店がたくさんあるエリアなので、休日や平日夜の散歩におすすめです。なお、(駅北川、荻窪寄り一帯を中心に)飲食、とくに「呑」の充実した街でもありますから、お酒飲みは、その日の戦利品を手に、駅周辺の飲み屋さんに寄っていくのもいいでしょう。