カフェ&喫茶店読書好きには気になる本が出ましたよ。
- 『散歩の達人』6月号(No.243)(交通新聞社)

巻頭特集は、『散歩の達人』20周年(おめでとうございます!)記念号第3弾ということで「喫茶100軒」。版元の内容紹介によれば、このような特集です。
《人はなぜ喫茶店やカフェに行くのか?「自分だけの特別な時間を過ごすため」、あるいは「誰かと特別な時間を過ごすため」――答えはそのどちらかだと思います。20周年企画の最終号に登場するのは、喫茶やカフェの専門家、打ち合わせや執筆で喫茶店を日常的に使う人、そして喫茶店が好きで何らかの道をきわめたスペシャリストなどです。喫茶時間をどう過ごすか、という命題に勝利したものが人生の勝者になる!などという大げさな話ではありませんが、日々の小さな“特別”の積み重ねが、いずれ大きな成果につながる……というのも、愉快な話だと思います》。
目次には錚々たるのメンバーがずらり。なるほどなあ、という店もあれば、へえ、こういうのがお好きなんだ、というちょっと意外なセレクトもあり。選び手と店の組み合わせの妙、セレクトの理由、店内外の写真やドリンク・スイーツの写真など、楽しみどころの多い特集になっていますよ。
読書向きの店をということで、当方にも声をかけていただきました。(こんなメンバーのなかに混じってよかったのかなあ、と今さらながら思わぬでもないのですが、依頼時は他にどういう方がいらっしゃるのか知らされなかったもので……。)今回は、自分で紹介文を書くのではなく、ぼくはお店を選び、選んだ理由をあげるだけ。そのお店で取材していただき、コメントを記事にまとめていただきました。
読書向きの喫茶店&カフェは、ぼくが平日日中を過ごしている神保町だけでも何軒……らどりお、神田伯剌西爾、ミロンガ、上島珈琲、古瀬戸、カフェコンフォート、フォリオ、タカノ、クラインブルー、などなど……もありますし、中央線沿線エリアもそうしたお店の宝庫です。何店か選んで、それぞれの魅力や違いなどを書くという依頼だったらよかったのですが、選べるのは1店だけ。選ぶのがほんとに大変で、うれしい悲鳴でした。
どのお店を、どんな理由で選んだかは、ぜひ本誌を見てみてくださいね。ちなみに当方は、夏葉社島田さん、B&B内沼さんらと同じ見開きに登場しています。
こうして見ると、自分では喫茶店好きのつもりでいましたが、知らない店がけっこうたくさんあることに気づかされます。お店に何を求めているのか、お店のどこを見ているのかも、選び手によって本当にさまざまで、拾い読みしていくだけでも楽しめますね。(それだけに、自分のセレクトとコメントがいかにも凡庸なものに見えてしまうのには困ったけれど;苦笑。)
お店は、他の方と重なったときなどのために、念のため、複数の候補をあげていました。採用されなかったほうのお店を、ここで紹介しておきたいと思います。
- gion(ギオン)(東京・阿佐ヶ谷)
ぼくは一時期(といっても、もうひと昔前の話ですが)阿佐ヶ谷に住んでいたことがあります。残念ながら、今ではうち何店かが閉店になってしまったり移転してしまったりしているんですが、一時期、阿佐ヶ谷駅周辺って、中央線沿線屈指といっても大げさでないぐらい喫茶店が充実したエリアだったんですよね。西瓜糖、プチ、アコヒーダ、KEGON、対山館、ヴィオロン、可否茶館……。西瓜糖や可否茶館はなくなってしまいましたね。後者が閉店するときには、こんな記事を書いていました。プチは吉祥寺、成蹊大学の近くに移転しています。
gion(ギオン)は、JR阿佐ヶ谷駅北口から北東に延びる小さな商店街を入ってすぐのあたりにある、昔からある(それこそ、ぼくが学生のころからあります)小さな喫茶店。「純喫茶」然とした外観もちょっとなつかしくていい感じです。
このお店を「読書にぴったりな喫茶店」としてセレクトしたのは、ぶらんこ席があるからです。揺り椅子や電車内で読書をするのが好きな人がいるように、適度な揺れというのは本を読む際にけっこう心地よく感じられたりするものですが、当方の知るかぎり、揺り椅子を店内に常設している喫茶店(笑)というのはないように思います(あったら行ってみたい(笑))。
このgionには、ぶらんこ席があります。といっても、店内の席が全部そうなっているわけではなくて、窓ぎわの一席だけですし、喫茶店の店内なので、あんまり大きく動かせるわけでもないのですが、運良くそこが空いていれば、ブランコでの読書という、大人にはふだんできそうでなかなかできない読書法が楽しめてしまうのです。
……などと、えらそうに紹介しておきながら、このところはもっぱら会社帰りの飲食は吉祥寺か西荻窪ばかりになっていて、阿佐ヶ谷で途中下車する機会もすっかり減ってしまいました。土日にちょっと時間がとれたら、久しぶりに、阿佐ヶ谷で降りて、駅前の書楽で買った文庫か雑誌を片手に、gionに行ってみようかなあ。
中央線沿線にお住まいの本好きで、まだ行ったことがないという方は、ぜひ試してみてください。