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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

ライフワークにしてほしい……『本棚探偵の生還』はやっぱりおもしろい!

発売前から楽しみにしていたこの本、やっぱりおもしろかったなあ。


  • 喜国雅彦『本棚探偵の生還』(双葉社)

本棚探偵の回想

シリーズ既刊の読者には説明不要ですね。『本棚探偵の冒険』『本棚探偵の回想』に続く、本棚探偵シリーズ、実に7年ぶりの新刊です。毎回、凝った造本で楽しませてくれるこのシリーズ、今回は、函入りで2巻組。さらに、月報は切ってたたむと豆本になるという仕様。ほんと、ふつうの函入り本でさえ新刊文芸書ではめったにないこのご時世に、ここまでやるか、という凝りよう。すごいなあ。


本の造りだけではなく、中身のほうも、本好き、とくに古本が好きな人なら楽しめるものになっている点も、これまで同様。言及される本や作家は、探偵小説・ミステリー関連が多いんですが、この分野にさほど知識や興味がなくても楽しめそうな中身になっています。というのも、この本棚探偵シリーズがおもしろいのは、どの作家のどの作品がおもしろいか、といったガイド、作品案内的な文章がほとんどないことなんですよね。


で、何が書かれているかというと、本と書店(主に古本屋さん)をどう楽しむか、というネタが満載なんですよ。本棚を自作したり、豆本を作ったり、函入りでない本の函を作ったり、ポケミスをそろえるために書店を回ったり、中央線の古本屋さんをマラソンで回ったり、古本を求めてあっちにいったりこっちにいったり……とにかく、喜国さんとそのお仲間のみなさんが、本を徹底的に楽しむ様子が描かれていて、それがまた実に楽しそうなんですよ。いいなあ、こういうの。


ぼくはこのシリーズのそういうノリが大好きで、既刊2点も、何度も読み返しているんですが、この3冊目も、棚から何度も何度も取り出すことになりそうです。シリーズ1冊目、『本棚探偵の冒険』の双葉文庫版を、ルーエの夏文庫フェアに選んだとき、こんな紹介文を書きました。
《「本“を”楽しむ」のはあたりまえ、
「本“で”楽しむ」ことができてこそ、ほんとの読書人、なのかも
……この本を読むとそんなふうに思えてきます。
探偵小説/ミステリー好きはもちろん、そうでない方も楽しめる、オトナの遊び心に満ちた、本/古本をめぐるエッセイの隠れた名作。本書が気に入った人は、ぜひ親本、それも初版本を探してみてください。著者の「遊び心」を堪能できる1冊です。》
この紹介文は、『生還』にもそのまま流用したいですね。広く本好きにおすすめしたい1冊です。


ところで。今回の『本棚探偵の生還』、サイン会に参加してきたのでした。簡単に様子をレポートしておきましょう。サイン会は、8/5(金)、ジュンク堂書店池袋本店で行われました。


本田探偵の生還 サイン会ポスター

↑店頭告知ポスター。


本田探偵の生還 サイン

↑喜国さんのサイン、ゲット。わーい。大好きなシリーズの1冊が、サイン本になるというのは、ほんと、うれしいなあ。


本田探偵の生還 冊子

↑サイン会で配布されていた限定小冊子。こういうのがあるとうれしいよね。


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