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過去への旅路(5)-人文研講演

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アルゼンチン大敗の昼下がり

 6月22日(金)。京都大学人文科学研究所で共同研究「3世紀東アジアの研究」のスピーカーとして教授が講演されました。そもそも京大は、教授の母校です。烏丸今出川から乗ったタクシーの中で旧建築学科の校舎をみて懐かしそうにされていました。北白川の人文研東方部は古式ゆかしいロマネスク様式であり、日本でも数少ない近代建築だそうです。内装も大変立派で、講演会場に入ると、あまりの重厚さに二人して怖気づいた次第です。
 問題を抱えていました。もとよりワールドカップが始まって寝不足状態が続いており、「十分に準備ができなかった」ことを悔やんでおられましたが、奈良に戻って最終の調整をされていた深夜にアルゼンチン対クロアチアの試合が始まってしまったのです。LABLOGの愛読者ならご存知のように、今回のW杯における教授の優勝予想は「アルゼンチン対クロアチアの勝者」であり、ライブ映像をみないわけにはいかないわけで、結果、体調不良に拍車がかかってしまったようです。

 講演の演題と構成を以下に示します。

  魏志東夷伝にみえる住まいの描写
   -民族建築/建築考古学的成果との対照考察-
    1.はじめに
    2.穴居および季節の住み替え
    3.城と宮室
    4.高句麗の桴京
    5.東夷のなかの倭の建築

 講義に出てくる内容や青谷上寺地遺跡、松原田中遺跡のことなど以前に教わった内容がミックスされていましたが、研究者向けにバージョンアップされており、とくに東夷伝の漢文の意味のとらえ方などはとても難しかったです。また、講演後の質問時間では、聴講者の方々は優秀な研究者の方々ばかりで専門用語が飛び交いレベルの高さを実感しました。教授はとくに魏志倭人伝にみえる「邸閣」という用語について気にかけておられましたが、人文研の中国史の先生から最新の論文を提供され、考え方をおおいに改めたられたようです。
 その後、少人数での懇親会が百万遍でありました。先生は何度も「人文研のレベルにはついていけない」と言われたのが印象的でした。私個人としては、楽しい時間に参加でき、幸運でした。(OK牧場)


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紫陽花の露西亜(7)

日本 0-1 ポーランド

 車を飛ばして奈良まで帰り、ローストビーフとチリワインを買い込んだ。家族とともに酒を飲みながら、日波戦を視る。最低のゲームだった。負けたら敗退もありうる重要な試合に6人ものメンバーを入れ替えて臨んだわけだが、槙野・山口・高徳・宇佐美・武藤らの顔ぶれをみるにつけ、敗退は十分ありうるとキックオフ前から不安がよぎる。2002日韓大会トルコ戦におけるトルシエのメンバー変更に劣らぬ暴挙としかいいようがない。
 クロアチアがメンバーを9人替えたのはすでに勝点6を得ていたからであり、勝点4の日本とはまったく立ち位置がちがう。なぜここまでリスキーなことをしたのだろうか。実際、試合が始まると、1軍と2軍の差は明明白白。このたびのワールドカップにおいてクロアチアと日本は中盤の双璧だと思っていたが、2軍たちのゲームメイクはハリル時代のレベルに戻っていた。
 0-0で終わるかもしれないと思われた試合が後半0-1に動き、グループリーグ敗退が現実のものとなって眼前に迫ってくる。こういう状態でも、日本はエース級のジョーカーを残り2枚しか投入できないのだ。実際、高徳は最後まで右SHの位置にいた。点が取れるはずはない。敗退を覚悟していたところにコロンビアが1点とってリードしたという報せが届く。
 しかし、セネガルの攻撃力からすれば、1点などどうにでもなる。戦局はどう転ぶか分からない。追加時間に2点を奪ったブラジル、韓国の闘いが頭を掠めた。日本は攻めて1点取らない限り、グループを突破できる保証はどこにもなかったのである。もし、ロスタイムにセネガルがPKを奪取していたら…

 途中からセネガルを応援していた。こんなサッカーしかできない西野JAPANに呆れてしまい、セネガルこそが勝ち上がるべきチームだという想いが強くなった。ベルギーやイングランドを倒せる可能性が高いのは日本ではなく、セネガルだとも思った。
 西野は何を思って新しい6名を送り込んだのか。16強戦以降を見据えたものとしか考えようがない。ベストメンバーを揃えたコロンビアとの差が露骨にでた所以である。目の前の勝負にこだわるべきチームがその先を見つめている。その結果、サッカーの質はここまで劣化した。天罰が下るであろうと欧州のメディアは期待しているようだ。

 とにもかくにも、グループリーグを1位通過して、イングランド、スイスと当たるという私の夢はもろくも崩れ去って幻となった。ベルギーは恐しいチームであり、これに立ち向かうためには、2016ユーロにおけるイタリアの戦術を参考にするしかない。コンテは赤い悪魔を2-0で零封圧勝してみせた。あの再現を祈るほかありません。

紫陽花の露西亜(6)

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グループリーグ第3戦の重み

 グループD敗退濃厚と思われたアルゼンチンが復活しましたね。メッシもマスチェラーノも歓喜の涙にくれていました。わたし自身、アルゼンチン(もしくはクロアチア)の優勝を予想して、6月13日に以下のように書いています。

  私個人の予想というか願望を述べておきます。まず優勝国ですが、(あまり好きなサッカー国では
  ないのですけれども)今回に限ってアルゼンチンとしておきます。最後のW杯といわれているメッシ
  に花道を飾らせたい。(略)個人的な本心を述べておくと、ユーロから引き続きクロアチアを応援
  しようと思ってます。3年前に訪問して愛着があるし、良い選手が多い。モドリッチやラキティッチ
  などの躍動を期待しています。

 結果としてみれば、クロアチアがアルゼンチンに3-0で圧勝し、アルゼンチンは崖っぷちに追い込まれた。その点、ポーランドと似ています。アルゼンチンはメッシに頼り、ポーランドはレヴァンドフスキに依存して勝点を失い続けた。しかし、アルゼンチンは第3戦になって修正できたわけです。況やポーランドをや・・・
 要警戒です。ポーランドはアルゼンチンとちがって決勝進出の望みがすでに絶たれていますが、逆の立場たっだら日本はどう動くでしょうか。国民を納得させるためにも、しゃかりきになって勝ちに行くのではありませんかね。
 グループBの結果も教訓的です。予想通り、イベリアの2強が勝ち上がりましたが、第3戦の結果はご存じのとおり、

   イラン 2-2 ポルトガル   モロッコ 2-2 スペイン

でした。つまり、西葡とも勝ち切れず、勝点1にとどまってぎりぎり16強進出にたどり着いた。況や、日本をや・・・


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 ポーランド戦は勝点1をめぐる死闘になるでしょう。前にも書いたかもしれませんが、日本は失点0をめざしたい。さすれば、おのずと勝点1はついてくる。しかし、日本はGK問題を抱えている。二度あることはサンドイッチ・・・しかしながら、ここで妄想を逞しくするならば、日本は近い将来、イングランドと対戦して、またしても死闘を演じ、イングランドを倒すような予感がしています。いまの日本にはそれぐらいの力がある。とくに中盤の出来はクロアチアと日本が双璧ではないか、とさえ思っています。
 今日の午後、ベルギー対イングランドがあり、その後、夜10時から日本対ポーランド。 夕方、車を飛ばして奈良に帰り、家族と一緒に日波戦をみる予定です。


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↑ペースノート


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新刊紹介-田中淡著作集1(その一)

中国建築の特質―田中淡著作集1


残された目次メモ

 日本が世界に誇る中国建築史の大家、田中淡さん(京都大学名誉教授 1946-2012)が旅立たれて6年が経ち、このたび著作集の第1巻が出版の運びとなった。まずは書籍情報から紹介する。

  著者: 田中 淡 (編集担当:藤井恵介)
  書名: 『中国建築の特質―田中淡著作集1』
  出版年月: 2018年3月11日
  出版社: 中央公論美術出版 A5版 280頁 5,500円+税

 目次を以下に転載する。

第1部 奥行の指向-中国の住空間
 1 中国の住まい-奥行の指向
 2 生と死の原理
 3 壮大な清朝建築の集合-故宮にみる中国建築の伝統
 4 「高低冥迷として東西を知らず」検証・阿房宮-その実態を探る
 5 中国の建築の屋根をめぐる話
 6 十字路の報時楼閣
 7 中国の伝統的木造建築
 8 装飾と構造を規定するもの
 9 中国の穴居の伝統
 10 干闌式建築の伝統-中国古代建築史からみた日本

第2部 玉座の空間-中国建築にみる伝統
 1 中国の住まい-四合院と南北の伝統
 2 王座の空間
 3 聖なる空間表象としての傘蓋
 4 中国建築の伝統とその優越性
 5 公的建築の伝統/私的建築の世界
 6 中国都城と日本の都城-軍事の要砦から市場の街へ
    偃師、鄭州から洛陽、開封まで
 7 漢代の建築
 8 建築と道教
 9 中国の倉
 10 中国住宅の類型
 11 歴史にみる先端技術導入の場面

 本書を構成する21の文章は、本格的な論文ではなく、商業出版社などから求められるままに書いた小論・随想の類が多数を占めるが、その内容は幅広く奥深いものばかりであり、こうして一冊の本として束ねられると、いっそう価値は高まり、東アジア建築史を学ぶ者にとって必読の文献に仕上がっている。藤井恵介氏の解題(p.268-)によると、「田中氏はかねてから、それらを取りまとめ一書として公刊することを企画していたようで、氏の残された書類の中から、それらしい目次メモが発見された」ものであり、本書の小題や配列はそのメモに従ったという。田中さんが決めていた配列は執筆年に即しており、第1部は1978~1993年、第2部は1993~2003年に発表された業績群である。自分の人生と重ね合わせてみると、中国留学~奈文研在籍時にほぼ重なり合い、多方面にわたり田中さんにご指導いただいた時期であり、懐かしい気持ちでいっぱいになる。
 次回より、その内容に触れていこう。【続】


《連載情報》田中淡著作集書評
第1巻(1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1828.html
第1巻(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1855.html
第1巻(3)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1856.html
第1巻(4)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1906.html
第2巻(1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2960.html
第2巻(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2961.html
第2巻(3)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2962.html
第2巻(4)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2963.html
第2巻(5)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2964.html
第2巻(6)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2965.html
第3巻(1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2966.html
第3巻(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2967.html
第3巻(3)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2968.html

《関係サイト》
発掘された『田中淡著作集』第2・3巻
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2821.html


紫陽花の露西亜(5)

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日本 2-2 セネガル

 誰も彼もが「勝てた試合だった」と悔やんでいるが、ああいう先取点の奪われ方をしたら、勝ち切るのは難しいでしょうね。今夜は初戦MVP級の働きをした原口の動きがやや鈍かった。1失点めのクリアはコーナーに逃げるべきであり、それを前に返してしまったのはGKの指示だったというので驚いています。それにしても~あんなに低い弾道のシュートをパンチするという発想がアバンギャルドと申しましょうか、インクレディブルと申し上げましょうか・・・ベテランなんだから俊敏性は劣っても、経験による判断力は高くなければいけないのに、ほんと勘弁してほしい。こんな大事な試合でやらかして。
 フィールドにドゥンガがいたら大変でしたよ。まぁ、実際にはいないわけで、日本人はみな優しいから、最年長者を叱るなんてことはしない(一人くらい声を出して注意する選手がいても良い気がしますが)。みんなメンタルがしっかりしていて、ポジティブに切り替え、よく攻めて同点に追いついたのは見事だと誉めるしかない。しかし、画面をみてる側はヒヤヒヤの連続であり、前半だけで0-3になってもおかしくないと思ってました。


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 柴崎の出来が秀逸ですよね。大きなクラブから声がかかるんじゃないか、と推察いたしますが、香川の二の舞になっちゃいけない。中堅クラブでエース張ってるほうがいいからね。大島もみたいんだけど、怪我が治らないんだろうか。長谷部をアンカーにして柴崎と大島を並列のインサイドハーフにしてゲームメイクするとどうなるか?
 ここ2試合、4-2-3-1でスタートし、最後の20分で4-4-2に変えている。本田さんが2試合とも4-4-2で結果をだして、良かったよかったわけですが、今夜は最後に宇佐美を出した。西野監督は勝ちにいったわけですが、ちょっと無茶だね。まず勝ちにいく必要はないし、前線両翼に本田・宇佐美を並べるとプレスが弱くなって攻め込まれる。ならば乾を下げる場合、大島を出して4-3-3にシステムを変えて中盤を厚くし防御を固めつつ、カウンターを狙うのがいいんじゃないでしょうか。こうすると、4-2-3-1 → 4-4-2 → 4-3-3 と移ろうことになり、相手を幻惑できる。


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今年も、寅さんの風景(12)

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 今夜は2年生の感想文です。

土手の草むらを這い上がる満男の役

  6月21日(木)、 第44作『男はつらいよ 寅次郎の告白』(1991)の再現撮影をするため、まず八東町の若桜鉄道安部駅を訪れました。8シーン撮影した後、集合写真をホームと駅舎前で取りました。次に八東川の堰堤周辺で3シーン撮影しました。
 今回は再現撮影第二弾。二回目だったのですんなりと撮影に入れた。とても良く晴れていて、最初の安部駅の撮影ですでに汗が流れていた。駅舎の様子は劇中とは少々変わっていた。特に、駅舎の一部に床屋ができていたことに驚いた。駅舎の中は涼しかった。


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 次に、八東川堰堤での再現撮影は私も役があったので少し緊張した。八東川は増水しておらず、劇中のように中洲での撮影ができた。私は満男役で、草むらから這い上がるシーンを演じた。シーンを再現するのはとても難しかった。自分では自分の表情やポーズが分からないので、これでよいのか少々不安に思っている。
 帰りにアイスを奢っていただき、ありがとうございました。(環境学部2年OI)


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↑シーン14(1年)  ↓同(2年)
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今年も、寅さんの風景(11)

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 6月21日(水)。前週の倉吉に引き続き、今回は若桜鉄道安部駅と八東川片山堰堤でロケ地再現撮影をおこないました。注目していただきたいのは、小道具の赤電話です。寅さんのカバンも凝っていますが、赤電話の凝りようはたいしたものです(↑)。昨年、今年とカチンコ撮影を続け、残されたロケ地は砂丘と鳥取駅プラットフォームぐらいになりました。これらは来年の宿題ということにして、まずは1年生の感想からお届けします。


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監督が好きだった河川敷の風景

 八頭郡八東町にある若桜鉄道安部駅と鳥取市河原町の片山堰堤で「寅次郎の告白」の色々なシーンの撮影をおこないました。最初の訪問地は安部駅です。安部駅は寅さんのロケ撮影(1991)以来いまでも残っていて、2008年に国の登録有形文化財になっています。国の文化財であるのに、一部のスペースで美容室を経営しています。それ以外は、ほぼ映画のころの状態で残っていて、とても風情がありました。入口には、登録有形文化財の銅標が石柱にのって飾られています。安部駅の凄さだけでなく、寅さんの監督の山田洋次さんの目の付け所の良さも感じられました。私はプラットフォームで駅員の役割を演じさせていただきました。


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 続いて八東川の片山堰堤での撮影です。私は釣り人の役を演じたのですが、中洲の足元が危なっかしく、歩くだけでも精一杯だったので、実際に釣り人を演じていた俳優さんの苦労を体感できた気がします。
 帰りに河原宿の「新茶屋」に寄りましたが、昔と雰囲気があまり変わっていなくて、外側しか見れなかったものの、ここで満男君が階段から落ちたシーンを思い出し、部屋の中まで見たかったですが、あの庭に落ちるシーンは映画セットでおこなわれたと後で教えられました。最後に千代川の出会橋のすぎぐ近くも通りました。寅さんが女将さんに別れをつげるバス停がセットされた場所です。山田洋次監督がどんだけ河川敷が好きだったかわかりました。
 車を運転して下さった先生方、ありがとうございました。(1年経営学科SA)


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今年も、寅さんの風景(10)

安部駅にて 0619安部駅003asa


キャラバン試運転

 6月19日(火曜)、卒論ゼミの時間を使って4年生と院生は映画『男はつらいよ-寅次郎の告白』(1991)のロケ地を下見してまわりました。というのも、「九人乗りのキャラバンの運転練習がしたい」という先生の発言から、突如私たちはそれに同行することになったのです。小雨の降る中、車に揺られまず最初に到着したのは、若桜鉄道安部駅。「寅次郎の告白」のラストシーンに使われており、ホームには寅さんの案山子が座っています(↑)。踏切からは下の写真(↓左)のような景色を見ることができます。線路がずーっとまっすぐに伸びていて、ノスタルジックな感じでした。


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 安部駅を見学した後、北隣の隼駅に向かいました。隼駅は安部駅とは反対側の西側にプラットホームがあります。目の前に広大な山々や畑がひろがり、なかなか良い景色ですが、やはり『男はつらいよ』の一つの物語の最後にくる風景としては、安部駅のどこか寂しげな感じが合っているのかなと感じました。現在、この二つの駅は国の登録有形文化財となっています。


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2018年度 公立鳥取環境大学学内特別研究費に新規採択!

 6月15日(金)、表記研究申請について採択通知がありました。今年も満額回答でして感謝しております。以下、研究申請の概要です。

【研究課題名】
  登録記念物「摩尼山」の景観整備に関する基礎的研究-賽の河原と地蔵堂の復元を中心に-

【申請額】
  1,165,000円

【研究の背景】
  砂丘に近接する摩尼山(鳥取市覚寺・標高357m)は大山・三徳山と並ぶ県内天台宗の拠点的霊山として信仰を集めてきた。中腹の境内地は仁王門・本堂などの歴史的建造物が建ち並び、山頂に近い「奥の院」「鷲ヶ峰」は巨巌・岩窟の奇景に優れている。鷲ヶ峰の立岩から一望する鳥取砂丘・山陰海岸等の眺望景観もみごとである。また、山内には百体を超える石仏群が点在し、霊山に独特の風致を添えており、周辺には落葉広葉樹と照葉樹の混交林がひろがっている。摩尼山・摩尼寺に係わる活動は「奥の院」遺跡の発見(2009)に始まり、翌2010年に4ヶ月をかけて約200㎡を発掘調査した結果、円仁(794-864)開山伝承の縁起とは異なって「奥の院」造営は10世紀後半に下り、18世紀初に境内を中腹に移したことなどが明らかになった。2013年から境内建造物の調査に移行し、その成果によって本堂・山門・鐘楼が2014年末に国登録有形文化財になり、さらに2016年には山の南半が国の記念物(名勝地)に登録された。登録記念物「摩尼山」の対象は面積約367,000㎡に及び、日本最大の登録記念物が鳥取県内に誕生した。
 この成果を受け、昨年度(2017)より国・県・市の助成を受けて「摩尼山-歴史性と景観の回復」を主題とする活用整備事業が始まった。ところが、いざ事業が始まってみると、「奥の院」遺跡と境内建造物のデータは整えられているものの、未調査の鷲ヶ峰立岩エリアで積み残しの研究課題が著しく露呈してきている。


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過去への旅路(4)-今年も西高SGH

思索と表現

 昨年に引き続き、母校のスーパー・グローバル・ハイスクール(SGH)課題「思索と表現」の指導をおこなうことになりました。昨年はカンボジア・トンレサップ湖に小学校を建設するプロジェクトでしたが、今年はブータンです。なんでも、GNH班・仏教班・国際貢献班に分かれているそうですが、わたしは予め仏教のことしか語れないとお断りしております。講演題目などは以下のとおりです。

  講演: ブータンの崖寺と瞑想洞穴-チベット仏教と遊牧民-
  日時: 2018年 6月27日(水) 13:00~15:00
  会場: 鳥取西高等学校教室
  【ポスターセッションは7月13日(土)09:20〜11:55】

史跡鳥取城跡保存整備検討委員会
  
 じつは27日の午後はダブルブッキング気味でして、史跡鳥取城跡保存整備検討委員会が以下の時間に入っています。

  日時 2018年 6月27日(水) 14:30~
  会場 宝扇庵(史跡鳥取城跡内)
  内容 大手登城路の現地指導及び検討
  
 ただし、発掘現場は西高のキャンパスにあり、宝扇庵も近いので、なんとかなるでしょう。ところが、じつはゼミの時間でもあるのね。ブータンに行くメンバーは西高の授業に参加してもらえばいいし、発掘現場・仁風閣・県立博物館の見学もできる。晴れたら、鳥取城天守まで登ってもらいますか・・・否、測量実習にするか?
 

紫陽花の露西亜(4)

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日本 2-1 コロンビア

 いや、お見事。勝ったんだから誉めるしかありません。先発メンバー1~2名については、不満の向きが多く、ネット上にブーイングが溢れかえっていますが、ステイ・ポジティブ! 大目にみてやりましょうぜ、勝ったんだから。
 運も実力のうちです。運気は西野に降臨し、ぺケルマンを避けて通っていった。
 野球の隅1と同じで、1回にあっさり先制してしまうと、リードされた側にやる気がおきて逆転されてしまうケースがしばしばある。前半はまさにその展開であり、はたしてキンテロに渋いFKを決められてしまった。サッカーでは10人になったチームが11人に勝ることも普通にあります。まず、攻撃のためのスペースがひろくなって攻めやすくなり、システム変更により、11人側の守備組織にずれが生じる。日本の前半は厳しい防御を強いられました。


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 それが後半、ひっくりかえった。ハメス様様です。ぺケルマンは何を血迷ったか、後半14分にキンテロを下げて、ハメス・ロドリゲスをピッチに送り込んだ。大失敗でしたね。キンテロ→ファルカオのラインはコロンビアの生命線でした。前半に2度決定的な場面をつくられ、日本は冷や汗をかいている。10人でも日本から点をとれる、という匂いがぷんぷんしていた。そのラインが消滅したばかりか、ハメスは肥えたマタドール(マラドーナ?)のように動きが鈍く、あとで入ってきた本田さんでさえ真面にみえたほどのコンディションでありました。ここで勝敗は決まってしまった。
 4年前は後半から出場したハメスにトドメを刺され、今回はハメスのおかげで勝点3が取れた。いまのハメスなら試合に出してはいけない。出し続けるなら、コロンビアはこのまま敗退するでしょう、確実に。ハメスを使ったぺケルマンも国内では相当な批判に曝されているのではないかな。どの国も似たよなもんだね・・・
 あと2試合。勝ち点ノルマは2以上でしょう。1位通過ならイングランド、2位通過ならベルギーとあたりますが、下手をすれば4位転落だってありうる。

 そうそう店を畳んだ伽羅から3週間ぶりに連絡あり。驚いたことにずっと入院していたのだそうです。幸不幸のどちらかは敢えて聞かないことにしました。蚊帳の外がいちばん、窓際が長閑です。




紫陽花の露西亜(3)

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父の日

 アルゼンチンがアイスランドに引き分け、ドイツがメキシコに負け、ブラジルがスイスに引き分けましたね。じつにおもしろい。アルゼンチンはメッシ忖度代表などと批判されているが、準優勝した4年前に比べたら、まだ動いてるほうです。あのときは、メニエールのような病気を患っていて、試合中にグラウンドに倒れこんで嘔吐していたんだから。スーパースターの精神的疲労たるや常人の想像がおよぶレベルをはるかに超えているのでしょう。冗談じゃなく、走行距離はのびている。
 むしろ監督とまわりの問題でしょうね。監督がびしっとコントロールしないといけません。後半最後のアレグロ+イグアインの2トップなんて脅威の破壊力をもつわけだし、メッシなしのフォーメーションを確立し、メッシの攻撃をオプションの一つにしてやんないと可哀想だ。アルゼンチンはドイツのように負けたわけじゃないからね。ナイジェリアには勝てる。クロアチアと引き分ければ、ベスト16に上がれるでしょう。W杯の場合、グループリーグは苦戦しながらも、決勝トーナメント以降にピークをもっていくチームが優勝するわけで、「アルゼンチン敗退可能性高まる」などという報道は勇み足でしかありません。


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 戦前の下馬評では優勝候補とされたスペイン、ポルトガル、アルゼンチン、ドイツ、ブラジルがすべて勝点1以下にとどまったなかで、唯一フランスのみが2-1で勝ち切ったわけですが、何を隠そう、我らがクロアチアも2-0で圧勝しました。クロアチアとアルゼンチンが同一グループというのがなんとも悩ましいところですが、さて勝負の行方は?
 なにせ、アイスランドが強いからね。ユーロ2016でイングランドを倒し、ベスト8に勝ち上がった国なんだから。ユーロのレベルは別格だから。ユーロのベスト8チームは、アルゼンチンであろうとブラジルであろうと骨を折るに決まっている。強固な守備組織から速攻のカウンターの威力が凄まじい。同じことはメキシコにも言えるのであって、かれらの戦術は4-5-1もしくは5-4-1ですよ。ラインが高いわけでもない。だから、日本の4-2-3-1を不安視しているのです。撃ち合いはやめましょう。初戦のコロンビア戦は4-5-1(3ボランチ)にして、まことに恐縮ではありますが、(本田はもちろん)香川選手にお休みいただくということで零封をめざしていただきたい。2試合めのセネガル戦で勝負をかけ、4-2-3-1に戻せばいい。
 
 昨夜(17日)は「父の日」を祝ってもらいました。会場はワンカルビ。王先生接待の押熊店は改修につき仮閉店中であり、学園前店まで足をのばしました。食べ過ぎです。肉も爆弾も冷麺も仇(かたき)のように食べた。速攻で腹を下し、正露丸を水でがぶ飲みすると爆睡3時間。目覚めて後、ドイツ戦とブラジル戦を横目に仕事したのですが、メキシコと世界6位の意地をみせつけられた次第です。5時過ぎに眠りに落ちて、しかし、二時間半後に強烈な横揺れの地震で布団がふっとんだ。関西は大騒ぎの一日になりました。無事、帰鳥しています。


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今年も、寅さんの風景(9)

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玉川から鉢屋川へ

 昨日は玉川周辺の撮影をお知らせしましたが、今日はその続編でして、玉川からASALABの調査拠点である鉢屋川周辺に移動して撮影しました。学生たちはあまり気づいていなかったかもしれませんが、国の重要伝統的建造物群保存地区になって久しい打吹玉川地区とついに選定に至らなかった鉢屋川地区の景観の落差は相当のものになっています。寅さんと泉ちゃんが宿泊した角地の八百屋さん(鍛冶町)は跡形もなく、「ひろせや」(同)の看板は取り払われ、鉢屋川に沿う建物も姿を消しています。おまけに五軒長屋(河原町)も撤去されたわけですから、いまや旧小川家住宅・土蔵こそが救世主としか言いようがなくなってしまった。登録有形文化財の答申が待ち遠しい今日このごろです。
 ひとつ収穫がありました。昨日も学生が報告してくれましたが、「ひろせや」の隣のお宅でロケ風景の古写真をご提供いただいたのです。ほかに、「うちにもある」と教えてくださったマダムとも遭遇しましたし、今後の発表会にむけて勇気づけられました。それでは2年生のレポートです。


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もっと和の空間にいたかった

 6月14日(木)の撮影では、『男はつらいよ』という日本人なら誰でも知っている有名な映画の舞台になった倉吉に行き、実際に映画で鑑賞した風景と同じであったことにとても感動し、始終心が躍っていました。また、映画でみた倉吉の和の雰囲気を気に入っていましたが、実際に行ってみると、建物一つひとつから古き良き日本を感じ、もっとここにいたいと感じました。他にも、街中を流れる小川や、そこで泳いでいる鯉に風情を感じ、私もこういう所に住みたいと思ったほどであり、鳥取にこのような所があることを知れて良かったと思いました。
 次に、今回行ったところは、映画が制作されてから30年ほど経っており、映画と比べて少し変わっているところもありましたが、大きな変化はなく、建物の位置や街中にある自然がそのまま残っているところが多かったです。
 今回の撮影では、私にはほとんど出番がなかったですが、とても楽しく、あっという間に終わってしまいました。次回もみんなで協力して撮影を行い、また、鳥取の新たな魅力に気づきたいと思いました。(2年環境学部SA)


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↑シーン8 ↓カチンコ&メガホン(2)
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今年も、寅さんの風景(8)

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玉川沿い白壁土蔵群での撮影

 6月14日(木)、1・2年生全員でツアーバスに乗り、倉吉まで行って「寅次郎の告白」のロケ地再現撮影をおこないました。現地では、会長さんのほか、マッド・アマノ兄弟のサポートもあり、順調に撮影が進みました。昨年の反省もあり、今年は2コマを小道具づくり、衣装リスト作成などの準備にあてたことが奏功したように思います。学生諸君は本当によくがんばってくれました。
 帰学後、男気ジャンケンに運よく?勝利した4名の学生に報告を報告を書いてもらいましたので、2回にわけて報告します。


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まるでタイムスリップしたような

 今回は映画『男はつらいよ-寅次郎の告白』(1991)の撮影地になった倉吉で実際の撮影地に出向いて当時の再現写真を撮ってきました。学校から倉吉までバスで出かけたのですが、倉吉に近づくにつれて田んぼ道から古い建物が並ぶ町並みへと風景が変わっていき、まるでタイムスリップしたような気分になりました。いざ撮影ということで、バスを降りると、駄菓子屋やたい焼屋、お土産屋などレトロな雰囲気なお店が立ち並んでいて、授業で来ていながらも美味しそうな匂いにばかり気を取られてしまいました。まずワンカット目は、玉川に架かる橋でのカットで、DVDからスニップした画像を参考にしながら、服装、小道具、人の配置、ポーズなど細かいところまでこだわって、さらに本番には、カチンコとメガホンを使って映画撮影の雰囲気を作りながら撮影しました。


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 2年生の先輩方は、泉ちゃんの服装は完全再現で、駄菓子屋のおばちゃんの前掛けまでそろえてきて、かなり再現度が高かったので、次の撮影では一年生も高クオリティを目指したいです。次は、大きな川でのカットで、真っ白で大きな蔵や、道路と蔵の間の川を通るための石でできた通路など映画そのままの風景でとても感動しました。石でできた通路は、かなり高い位置にあって鉄製格子も無く、子供が通るとかなり危険な場所ではありますが、今でもそのままの状態で残っていたので、町全体で協力して安全にも気を付けつつ、当時の風景を守ろうとしているのを感じました。次は少し離れた場所で撮影をしたのですが、泉ちゃんが豆腐を買いに行ったお店が丸々無くなって、白いコンテナが置かれており、最近撤去されてしまったようでとても残念でした。店の中が三角形になっている珍しい形の建物だったと聞いていたので、一度は見てみたかったです。今回全体を通して倉吉の素敵な昔ながらの建物の雰囲気を楽しむことが出来たので、個人的にまた行きたいと思います。そして、撮影での反省や改善点も見つかったので、次の撮影に向けてまた準備していきたいと思います。(1年環境学部SH)


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↑シーン9  ↓カチンコ&メガホン
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紫陽花の露西亜(2)

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西葡戦

 深夜2時から風呂に入り、西葡戦の視聴に備えました。ちまたでは、ワールドカップ史上有数の好試合と持て囃していますが、わたしはずいぶん感覚がちがってましてね。まずスペインについては、10年前のチキタカ全盛期と比べると、パスの精度が落ちていて、このレベルなら思いっきりハイプレスをかければ、4年前のオランダのように大勝するチームがでてくるだろう、イランやモロッコも決して怖気づく必要はないと感じていました。イニエスタもシルバも全盛期を明らかに過ぎている。ディエゴ・コスタの1点めはペペに対するファウルであり、その後の1対2の状況をポルトガルディフェンスが防御しきれなかったのは残念でなりません。
 2年前を思い起こしてください。ユーロ2016の決勝において、ロナウドは前半途中で負傷退場したにも拘わらず、ペペを中心とする強固な守備で開催国フランスの攻撃をしのぎ、若手FWの活躍で初優勝を飾った。そのディフェンスが崩壊している。フェルナンド・サントス監督はギリシアの堅守を築き上げた人物です。その監督がイタリアのカテナチオにも負けないディフェンス組織をポルトガルにもたらしたからこそのユーロ制覇であったのに、なんですか、このざまは、3失点とは・・・何度でも書きますが、わたしはイタリアのカテナチオ美学を愛している。前からプレスをかけるチームばかりでなく、引いて引き倒してカウンターで刺し殺すチームがあったっていいではないの。


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 一方、ロナウドについても過大評価の傾向がある。1点めのまたぎフェイントなど、ごくありふれた仕掛けであり、スペインDFもそれをわかっていた。あれはPKにしないレフェリーのほうがむしろ多いのではないか。2点目はあきらかにデヘアのミス。いくら無回転のブレ球だとしても、マンUの正GKなら少なくとも前方に弾かないとね。ロナウドのシュートが良すぎたわけではない。なにより極悪ラモスがロナウドを削りにいかないのが納得できない。世代交代でレアルを離れる選手なんだからボコボコにすればいいではないの。代わりにネイマールがやってくるんだから。
 あまり面白い試合ではない、と思いつつソファに寝そべっていて、なんとか2-3のところまで記憶があるけれども意識を失ってしまいました。この2チームは優勝しない。4年前のブラジル、8年前のスペイン、12年前のイタリアのレベルに達していません。
 前にも書きましたが、ヨーロッパのチームではクロアチアを応援します。


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紫陽花の露西亜(1)

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ワールドカップ開幕!

 ついに開幕しましたね。FIFAランクでは出場国最下位(70位)の開催国ロシアがサウジアラビアを5-0で蹴散らして華々しいスタートを切りました。直前の7試合では一度も勝てず、マスコミに叩かれていたチームが下馬評を覆す大躍進の兆候をみせた点、日本も勇気づけられます。ただし、ロシアの場合、ソチのDP問題を抱えていて、あまりに強いと疑惑を抱かれかねない。ロンドン五輪でのおそるべき柔道の強さも今は儚い幻のような栄華であり、DP検査でおかしな結果がでないことを祈るばかりです。一方、サウジはアジア予選の最終戦で日本を破った功労者、ファンマルバイク監督を更迭していました。その次の監督もクビにして、なんと3人目の監督が指揮をとったのですが、明らかに裏目に出てしまいました。ファンマルバイクは優秀なコーチなんだけどなぁ・・・

 さて、昨日の講義(3年以上64名出席)で再びW杯の予想アンケートをレポート欄外でおこないました。誤解なきよう説明しておきますが、このアンケートへの回答は任意です。答えたければ答えればいいし、嫌なら無視すればいい。その結果は以下のとおりです。

1.優勝国
  ①ブラジル(23名)  ②ドイツ(14名) ③スペイン(6名) ④アルゼンチン(4名)
  ⑤日本(3名) ⑥フランス(2名) ⑦イングランド(1名)  ⑦ポルトガル(1名) 
  ⑦ロシア(1名) ⑦スイス(1名) ⑦ベルギー(1名) 【以下、無効票】 
  ⑫パラグアイ(1名) 無記名(5名)

 2.日本の予選リーグ
  1位(6名) 2位(11名) 3位(27名) 4位(15名) 無記名(1名)
 
 火曜日の結果は こちら を参照してください。パラグアイ戦の結果が影響を与えたのか、日本が1位で予選リーグを突破すると答えた学生が6名もいたのには驚いてしまいました。


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卒業研究日程(1)

 早くも卒業研究の日程が一部確定し、送信されてきました。メモ代わりに書いておきます。

   中間報告提出締切 10月5日(金)
 
   卒研ポスター発表 2月15日(金)

   卒論提出締切 2月20日(水)

 光陰矢のごとし、況や卒論をや・・・



こんなチームと初戦であたるわけです。4-2-3-1はズタズタに切り裂かれるのではないかな。アンカーをおいて、4-3-2-1もしくは4-3-1-2とすべきではないでしょうかね。南アのときの4-5-1がいいか・・・4バックの前にMFを5人水平におくフォーメーション? 奇策が必要ですな。

パラグアイ戦評

セレッソと鹿島のセットをベースにして!

 久しぶりに代表がサッカーするゲームをみましたね。前半の失点はやむをえない。あのロメロ・スペシャルは防げないでしょう。後半の失点もアーリ・ハーンのような、と申しましょうか、交通事故のようなものでした。ともかく後半4点取ったんです。プロは結果ですから。後半に出場した選手がレギュラーの権利を有する。補うとすれば第一に長友、第二に大島ですが、柴崎があれほど調子がよいとなれば、負傷中の大島との併用は厳しいかもれませんね。右SBでは散々だった高徳も左では良かった。長友が第一チョイスでしょうが、十分オルタナティブになる。
 後半の乾は無双状態でした。あえて宇佐美と代えたのは乾の温存(疲労させないため)と信じたい。だれもかれもがコメントしているように、本田・宇佐美・川島は明らかに不要であり、CBも吉田・槙野より昌子・植田のほうがはるかに良かった。ボランチに柴崎を使うなら、鹿島の相性で昌子・植田にすべきでしょう(大迫も元鹿島)。長谷部も微妙になってきましたね。蛍さん、あんまり好みではないのですが、乾・香川を使う場合、セレッソの相性があるからね。後半、長谷部はいなかったわけですから、この流れに逆らうべきではないかも。どうやら所属チーム+旧所属チームのセット、すなわちセレッソと鹿島が鍵を握ることになりそうな予感がしてきました。あとは、西野が策士であることを祈るばかり。

 さてさて、昨日の講義(2年次以上95名出席)の授業内レポートの感想欄でW杯の結果予想を呼びかけたところ、以下の回答があったので速報しておきます。

 1.優勝国
  ①ブラジル(38名)  ②ドイツ(21名) ③スペイン(9名) ④アルゼンチン(4名)
  ④イングランド(4名)  ⑥ポルトガル(2名) ⑥メキシコ(2名) ⑥フランス(2名)     
  ⑥日本・邪馬台国(2名) ⑩ベルギー(1名) ⑩スイス(1名) 【以下、無効票】 
  ⑫イタリア(2名) ⑫オランダ(2名) ⑫アメリカ(2名) ⑮北朝鮮(1名) 無記名(2名)

 2.日本の予選リーグ
  1位(2名) 2位(21名) 3位(43名) 4位(28名) 無記名(1名)

 私個人の予想というか願望を述べておきます。まず優勝国ですが、あまり好きなサッカー国ではないのですけれども、今回に限ってアルゼンチンとしておきます。最後のW杯といわれているメッシに花道を飾らせたい。なお、トーナメント表に従う場合、順当に列強が勝ち進むとすれば、ベスト4はドイツ、フランス、ブラジル、アルゼンチンになる可能性が高いと思われます。個人的な本心を述べておくと、ユーロから引き続きクロアチアを応援しようと思ってます。3年前に訪問して愛着があるし、良い選手が多い。モドリッチやラキティッチなどの躍動を期待しています。
 日本のグループリーグについては、ガーナ戦とスイス戦をみた限り4位確定だと思っていましたが、昨日のパラグアイ戦後半のようなゲームができれば、3位から2位を狙えるかもしれません。スイス戦までの日本は4年前のザックJAPANより弱かった。昨日のパラグアイ戦の日本はザックJAPANより良いから、初戦のコロンビア戦を0-0(勝点1)で凌げるなら光明がみえてくるかもしれません。それもこれも、西野の人選次第です。将の決断にかかっている。

過去への旅路(3)-人文研講演

魏志東夷伝にみる住まいの描写

 京都大学人文科学研究所(人文研)で今年度より始まった新規共同研究「3世紀東アジアの研究」(代表:森下客員教授)のスピーカーとして講演することになりました。日程・会場等の概要は以下のとおりです。

  日時: 2018年6月22日(金) 14時00分~17時00分
  会場: 京都大学人文科学研究所分館 大会議室(2階)
  講演: 浅川滋男(公立鳥取環境大学大学院教授)
  演題: 魏志東夷伝にみる住まいの描写―建築考古学的成果との対照考察―(仮題)

 研究班員以外でも来聴歓迎とのこと。たいした話もできませんが、聴講希望の方がおられましたらご連絡ください。さて、本講演の依頼が届いたのは4月13日(金)のことでした。驚いたことに、先方は拙論「正史東夷伝にみえる住まいの素描」(『文化財論叢』Ⅱ)に興味を抱いたので、その内容を講演してほしいとのご要望です。驚きました。いったい私はいつこの論文を書いたのか。記憶が鮮明ではないので、調べてみました。

   浅川(1995)「正史東夷伝にみえる住まいの素描」『文化財論叢Ⅱ』
     奈良国立文化財研究所40周年論文集:pp.795-819、同朋舎出版

 思い起こせば曰くつきの論文です。この論文を発表した1995年、恩師が大学を退官されました。本稿はその退官記念論文集のために準備したものだったのです。編者は福州で再会したプー先生。しかし結局、論文は集まらなかった。退官祝賀の論文を書いたのは私一人だったようです。結果、奈文研40周年論文集に使いまわすことに決めました。こちらは数十名が執筆したのですが、すんなり同朋舎から出版されました。奈文研は京大(建築)より機能しています。
 論文公刊に先立ち、ほぼ同じ題目で講演を依頼されました。同志社大学考古学研究室の木曜定例研究会にお呼ばれしたのです。正確な年月日は覚えていないのですが、自分が38歳だったという記憶があるので、おそらく1994年のはずです。木曜定例研究会の主催者は森浩一さん(1928 - 2013)でした。教授室の扉をあけると、畳が(たしか)二畳敷かれています。そこが客座でした。例の、彫りの深い哲学者のような顔立ちの方と初めて面会した瞬間です。オーラのある方でした。じつは当時、奈文研と森さんの関係は良好なものではありませんでした。森さんが某雑誌の座談会で「奈文研はオレがつくった(ようなもの?)」という類の発言をされたため、当時の所長が激怒し、所員全員に当該座談会ページのコピーを配布していたのです。まもなく正式な抗議文が雑誌の編集部に提出されました。そのあたりのことは森さんにお伝えしました。


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梅雨の山里-板井原

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火間土でゼミ

 6月6日(水)。ゼミの時間を利用して、先生、会長さん、ゼミ生全員の計10名で、八頭郡智頭町にある県選定伝統的建造物群保存地区「板井原」を訪ねました。智頭の街から車で山道を15分ほど走り、トンネル(隧道)を抜けた先に板井原集落はあります。初めに集落内を見学しました。平成16年(2004)2月に県選定の伝建地区になり、最初のころに炭焼き工房や精米水車などが整備されましたが、現在常住するのは1~2世帯まで減っており、いわゆる「限界集落」の様相を呈しています。この山里には「平家の落人」伝説が残っています。先述のトンネルができたことで人口が一気に外に流出してしまったそうです。


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 板井原集落では、高地寒冷のため水田稲作が営めない代わりに、昭和40年ころまで焼畑農業がおこなわれており、ほかに養蚕・藍・大根栽培・炭焼きなどの産業が盛んでした。いま板井原は杉の植林に囲まれていますが、その大半はかつての焼畑地であったそうです。再現された炭焼き小屋を見学し、集落内唯一の茅葺民家で智頭町有形文化財に指定されている「藤原家住宅」や古民家カフェ「歩とり」(水曜定休)の外観をみてまわりました。また、集落内の多くの民家は高2階形式であり、その2階で養蚕が行われていたことを知りました。


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 雨の日には雨の日の良さがある、と先生は呟いておられましたが、梅雨入りの雨に濡れた山里の風景はとても日本らしいものです。見学の終着点はお食事処「火間土(かまど)」です。大きなかまどで炊いたごはんと山菜料理で有名な古民家レストランで、この日は3年生歓迎の会を兼ねています。ただし、食事の前に以下の研究発表をおこないました。

  1)民家のみかた調べかた(3年NS&TA)
  2)みんぱく訪問記-北方狩猟民の罠について(4年ゆずまる)


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↑みんぱくの罠 ↓3年歓迎!
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スイス戦評

1~2戦は徹底した引き分け狙いで勝点2をめざせ!

 憂鬱ですね。
 ハリルホジッチ解任を以前から主張してきた立場として、なんとも居心地がわるい。解任が遅きに失したことは認めますが、ハリルの人選やベンチワーク、戦績などを考慮すれば、解任やむなしと思っておりました。世間では本田のスポンサーにあたる企業から協会に圧力がかかり、本田(と香川)もまた協会に監督更迭を直訴したという噂がまことしやかに流れていますが、わたしは信じていなかった。先代のスタッフが連れてきたハリルを業績悪化のため見切る決断をしたのは英断であったと思っていました。念のため、身の回りにいる1~3年生のサッカー経験者に意見を聞いてみましたが、「妥当な判断」だという意見ばかりです。
 また、西野監督は優秀な監督だと思っていました。「マイアミの奇跡」をおこした熱血監督であり、ガンバの全盛期を築いたJリーグ最多勝の監督でもある。神戸・名古屋で失敗したものの、ハリルに比べればまともな采配をするだろうと信じていました。正直なところ、西野だろうとハリルだろうと、グループリーグ敗退は動かないわけですが、東京五輪を2年後に控える日本としては日本人の若い指導者(森保・手倉森)や若手の選手を大舞台に立たせておく必要がある。そのための監督交代であれば積極的に評価したい。

 しかし、結果はちがった。東京五輪以降のサッカー界に必要不可欠になっていくであろう若手のホープ選手は虱潰しに刈り取られ、多くのベテランと西野の子飼いがメンバーに名を連ねた。ハリルは、実力の足りない若手を呼びすぎてしまったけれども、実際に本田などのベテラン選手を外したし、仮に呼んだとしても「トップ下」などの重要なポジションを任すことはなく、フィールドに出す時間も短かった。

 スイス戦には本気で失望しました。ガーナ戦における3-6-1の2シャドウに本田と宇佐美を使った。出来はよくない。3バックも機能しなかった。その反省のもとに、システムを従来の4-2-3-1に変え、トップ下に本田、左MFに宇佐美をおいた。なんじゃこれ?
 私たちは本田のトップ下パフォーマンスを75分もみさせられる覚えはない。前半45分だけで、本田が機能していないことは明らかです。ガーナ戦とスイス戦前半をみれば、本田のシャドウやトップ下は無理だということは誰にでもわかる。宇佐美も所詮はブンデスリーガ2部の選手であり、同僚の原口を右サイドにおいやり、乾を控えにまわしていることに強い不満を覚えます。こうした選手起用は、悪い噂を裏付けるものでしかない。信じたくないけれども、信じざるをえなくなってきたというのが正直な心境です。
 

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過去への旅路-みんぱく訪問記(2)

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映画セットと民族学展示

 2年4ヶ月前、「考古学と民族誌」というみんぱくの研究会でスピーカーを務めた。あのときはまだ重鎮に知り合いがいた。当時の館長は修士課程でミクロネシアを学んでいたころの師匠だったし、アムールをともに探検した歴史民族学者はアイヌに関わる博部館に転任する直前であったので、誘われて食堂で昼食をともにした。今はみんないなくなっている。いや、ひとりいるんだ・・・ちゃんとLABLOGに記録が残っている。
 いまから十年ばかり前、ハロン湾の文化的景観に関わる科研の研究を進めていたころ、桂林のカルスト地形と鵜飼を視察した後、広州に飛んで中山大学人類学系を訪ねた。わたしの記憶が正しいならば、あのとき私は50歳であった。調べてみると、「中山大学人類学系-南粤逍遙(Ⅵ)」という記事を2007年12月28日にアップしている。その3日後に誕生日を迎えて51歳になる直前だった。
 中山大学に日本から一人の大学院生が留学していて、ずいぶんお世話になった。その青年が今は立派に成長しみんぱくの准教授として活躍している。民博が所蔵する北方の狩猟具を調査したいとゼミ生がいうので、私は十年前に一度しか会ったことがないが、その後何度かメールをやりとりしていた准教授にほとんど十年ぶりにメールでお願いしたところ、ほんとに信じられないくらい丁寧な対応してくださって、昨日報告した「罠」の調査が実現した。本当にありがとうございました。
 収蔵庫での調査はスムーズに運んだ。ブータンで磨いたポラロイド活用の方法は特許をとりたいくらいのレベルに進化してきたと自負している(のは私だけ?)。これから先の整理は、これまた研究室伝統のファイルメーカによるデータベースを駆使してもらう予定である。


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 准教授は収蔵庫での調査終了後、常設展の案内までしてくださった。最初はビデオテーク。なんと懐かしや、貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州をフィールドとする「貴州の住まい」と題するビデオが一瞬にして画面にあらわれた。蘇洞という村でのフィールドワークの記録である。1990~91年ころの調査で、いまはなき田中淡・周達生・江口一久らの先輩も参加してくださった。


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 それからヤップのチェチェメニ号を皮きりに常設展の参観が始まった。常設展はなんどもみたが、准教授によれば、2011年に大がかりな展示替えがあったとのことで、たしかに以前よりも躍動的な波動が感じられる。全体的な印象を述べるならば、伝統的な文化よりも現代文化に照準をあわせており、その地にある店舗の一部などをそのまま移設するとか、再現するような展示が目についた。そういえば、寅さん記念館の映画セットとどこか似ている。映画セットと民族学の展示がリアリティを追及するという点において同じ方向をむいていることを確認できた。たとえば、モンゴル遊牧民の円筒形テントの外側にBS放送を受信するアンテナを立てている(↓)。テントの内部は伝統的な佇まいだが、アンテナの存在により、遊牧する人びともすでに我々と同じようなニュース映像だとか、インタネット情報の恩恵を受けていることが分かる。考古学・建築史などの復元的な方向性とは真逆の展示理念だと言えるかもしれない。


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過去への旅路-みんぱく訪問記(1)

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太陽の塔

 6月4日(水)、大阪府吹田市の万博公園にある国立民族学博物館(みんぱく)に行ってきました。先生が中国民族学関係でお付き合いのある河合准教授にお世話いただきました。この場を借りて深く御礼申し上げます。先生以外のゼミ生は万博公園の「太陽の塔」を初めて実際に見たことで、テンションがあがり写真を撮りまくります。


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罠にワナワナ

 今回、私の卒業論文作成のため民博所蔵狩猟用罠具について調査しました。事前にネット公開されている収蔵品リストから北海道(アイヌ)、樺太(ウィルタ)、ロシア(ナーナイ・ヤクート)、中国(ホジェン・ダフール)等の罠具27点を熟覧し、うち常設展に使用中の2点をのぞく25点について撮影・略測・スケッチなどに取り組みました。河合先生のご尽力のおかげで、普段は入ることができない収蔵庫(↓)に入ることができました。先生も収蔵庫は初体験だったそうです。目新しい標本がたくさんあって新鮮でした!
 4年生は初めて調査らしいことをして、不慣れながら作業を進めていきます。


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 調査の手順は以下のとおりです。先生や先輩によれば、ブータンで多用している方法で、ポラロイド(インスタントカメラ)を有効活用します。

 ①まず「罠」をポラロイドで撮影します。
 ②ポラロイドの余白に標本番号・名称・民族名などの基礎情報を書き込みます。
 ③ポラロイド写真をゼロックスコピー(白黒)します。ここで作業はニ班に分かれます。
 ④A班は一眼レフカメラでポラロイドを写しこんだ後、標本を複数の角度から撮影します。
  最初にそのまま撮影、次にコンヴェックスや間竿を画面にいれてスケール感を映し出します。
 ⑤B班はコピーに基本寸法を書き入れます。
 ⑥今後再現可能性と思われる罠については、私と先輩で3点詳細にスケッチし、
  法量も細かく書き込みました。
   (絵が得意な方ではないのですが、描くことは楽しいです!)
 

0604民博狩猟具(4) ポラロイド写真


 民博に到着したのは、予定時刻を10分すぎた11時10分で、さっそくお叱りを・・・「20分前到着が常識」だということで、先生も先輩も早くから来館されていたとのことです。結果、午前中は①のポラロイド撮影で終了。お昼休憩でも、一般の人は使えない職員用レストラで安く食べさせていただきました。先輩のみうどんでしたが、他の4人はそろって鶏のフォーを注文しました。あっさり味で麺がいっぱい入ってて美味しかったです。


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↑左:かけす罠  右:実測中    ↓実測中(収蔵庫)
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2018人間環境実習・演習B中間発表会(6)

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 1・2章を読んだまとめについて、若干補足しておきます。

日本仏教の俗化

 2章は1章に比べると、キリスト教批判はやや控えめになっていて、仏教の俗化を嘆く一節も書き残しています。

  東洋にいる五億の仏教徒はこれまで、国外の宗教の侵略を受けて争うことはなく、意味もなく
  お辞儀や合唱をしては、体を横たえて長閑な日々を過ごしてきました。しかし近年、ヨーロッパ
  の風潮に伴い、キリスト教という外敵が侵入して仏教徒の安眠を乱すことになってしまい、
  ここにようやく旧仏教の大夢が破られたため、ブッダの真の大光明を発揮し、仏教の本当の
  価値を世界に輝かせようとしています。新仏教徒の勃興とはこういうことなのです。

  (日本の旧)仏教とはただ寺院・僧侶・経巻でしかなく、僧の仕事は葬儀の取り扱い、
  そうでなければ墓地の番人のようなものだとみなされているではありませんか。僧侶自身
  もまた品行が収まらず、識徳なく檀家の布施を貪って、人びとを教え導くという本職を忘れる
  者が多く、一所懸命になるのは葬式、年忌、 灌頂、祈祷、御札書きなどの枝葉末節に
  とらわれ、僧侶自身の位置がどこにあるのかを知る者は少ないのです。

 「葬式仏教」と揶揄される日本国内の仏教を自己批判する姿勢から出発すれば、外の勢力からとやかく言われることもないでしょうが、上の第2パラグラフの文章は以下のように続きます。
  
  このような旧仏教はもとより日本だけのことではありません。朝鮮、中国、みな同じです。
  タイ、インドなどの仏教徒も甚だ精神に乏しく、特にインド、ミャンマー、ベトナムのように
  イギリスに征服されたり、フランスに占領されたりと、悲惨の境地に沈められたところも
  あります。しかしながら、これら仏教徒の活力を鼓舞し、各仏教徒が同盟を結んでいって
  宗教革命の大業を成就し、国内では仏教の総体内部の大改善を実行し、ブッダの聖地
  ブッタガヤを回復させ、世界の仏教徒を一堂の元に集めて、仏教万歳を唱える重大な
  責任をもつ者は、日本の仏教徒以外に求められません。


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2018人間環境実習・演習B中間発表会(5)

04中間発表(20180530)『世界に於ける佛教徒』谷01


第2章「新仏教徒」の概要と口語訳

 能海は中西牛郎の『宗教革命論』(博文堂・明治22年)を引用し、伝統的な旧仏教とこれから展開するであろう新仏教を対比しています。上図にみるように、旧仏教は①保守的、②貴族的、③物質的、④学問的、⑤個人的、⑥教理的、⑦妄想的であるのに対して、新仏教は①進歩的、②庶民的、③精神的、④信仰的、⑤社会的、⑥歴史的、⑦道理的と識別されます。ちなみに、能海原本では旧仏教⑥を新仏教⑦と同じ「道理的」と記しているのですが、それでは意味が分からないので、中西の『宗教革命論』を確認してみたところ、旧仏教⑥は「教理的」であることが分かりました。能海の校正ミスということでしょう。いずれにしても、旧仏教は限られた高位階層の人びとのための、保守的で学術的な側面が強いのに対し、新仏教は誰にでも開かれている、信仰的な側面が強いことが分かります。


04中間発表(20180530)『世界に於ける佛教徒』谷02


 次に実際に訳した文を2つ紹介します。一つ目は新仏教徒とキリスト教の関係についてです。実際に読んでみましょう。

【原文】漢文読み下し調の文語体
  唯基督教徒に希望する所は基督教の本国たる欧米に於いて已に腐敗し、学者識者の排する
  所となり、理学哲学のために失敗を取りたる今日の旧基督教若し回復の手段あらば、
  新基督教となりて新仏教徒に対陣せよ。
【口語訳】
  キリスト教徒にはただ以下のように(行動することを)願っています。その教えの本国で
  ある欧米においてすでに腐敗して学識者の排するところとなり、科学哲学のために成功
  を得ていない今日の旧キリスト教がもし回復する手段があるとすれば、それは新キリスト教
  に生まれ変わることです。そうして(=新キリスト教を創造して)新仏教徒と対峙しなさい。


04中間発表(20180530)『世界に於ける佛教徒』谷03


 2つ目は世界宗教としての新仏教徒についてです。これも読んでみましょう。

【原文】漢文読み下し調の文語体
  概して論ずれば、是儀式的仏教にして真正なる信仰あるものに至りては、甚だ稀なり。
  仏教万歳を称うる所の大責任を有するものは、日本仏教徒を除きて、他に求むべからず。
【口語訳】
  (数ある宗教の中で仏教を信仰する者が世界最多だとは言っても)大まかに論ずるならば、
  これは名目的な仏教(者の数)であって、本当に正しく信仰している者はとても稀です。
  (中略)仏教万歳を唱え、(新仏教の創立に)重大な責任をもつのは、日本の仏教徒を
  おいて他に求めることはできません。



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03中間(野表)第1段落


第1章「宗教の革新」概要

 能海寛は『世界に於ける仏教徒』第1章において、明治維新後の世界ほど宗教大変動の時代はなく、その証拠として、西洋における宗教思想の変化を述べています。この変化について能海は大きく以下の3点を指摘しています。

  1.キリスト教の衰退  2.仏教を嗜好する欧米の知識人たち  3.新仏教徒の必要性

 能海はキリスト教信仰が衰える中、欧米の知識人たちが如何に仏教に傾倒しているかを説明するため、以下のような多くの人物の活動を紹介しています。
  ドイツの神智学協会会員  フランシスカ・アラーンデル
  ドイツの哲学者  アルトゥル・ショウペンハウエル
  フィリピン・ルソン島アメリカ領事  アレキサンダー・ラッセル・ウェッブ
  アメリカの神智学協会創設者  ヘンリー・スティール・オルコット
  アイルランドのジョンストン嬢
  イギリスのジャーナリスト・詩人  エドウィン・アーノルド
  ドイツのインド学・サンスクリット学・東洋学者 フリードリヒ・マックスミュラー


03中間(野表)第3段落


 第1章の口語訳の実例を示しながら、能海の主張をトレースしてみましょう。まず能海は、数千年続いたキリスト教の信仰がようやく衰えてきたと述べており、本文中において当時のキリスト教を傍線部(↑)のように述べています。

【原文】漢文読み下し調の文語体
  西洋におけるキリスト教は哲学に捨てられ、理学と争い、歴史を汚し、欧米の天地もまた
  キリスト教を容るる余地なく政界の手段として習慣人情よりしてわずかに無識者婦女子の
  維持する所たる。
【口語訳】
  西洋におけるキリスト教は哲学に捨てられ、科学と争って歴史を汚しました。欧米の世界
  もキリスト教を受け入れる余地はなく、政治世界の手段として、習慣や人情に頼って、
  わずかに無識層・婦女子のみが維持するところとなってしまいました。


03中間(野表)第4段落


 欧米での仏教の広まりについては傍線部(↑)のように述べています。ここも読んでみましょう。

【原文】漢文読み下し調の文語体
  すでに仏教雑誌を発刊し自ら仏教徒と称する者数万人の多きに達し、遠路を踏みて自ら
  東洋に仏法を求むるあり。あるいは仏教の伝教師を派遣せられんことを切望する者続々
  輩出するに至れり。
【口語訳】
  (欧米では)すでに『仏教雑誌』を出版しており、仏教徒だと自称する者は数万人の多さ
  に達し、遠路はるばる東洋にやってきて仏法を学ぼうとする者もいます。あるいは仏教の
  伝教師を派遣してほしいと望む者が次々と出てくるようになりました。


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02中間(ガビラ)0001


『世界に於ける仏教徒』の復刻

 能海寛があらわした著作『世界に於ける仏教徒』について説明します。左は明治26年(1893)11月に刊行された原本の表紙です。明治維新の神仏分離令により仏教が弾圧される廃仏毀釈が進み、キリスト教の進出もあって、能海などの若い仏教徒は危機感を抱いていました。そうした危機感を背景にして、新しい近代世界にみあう世界宗教としての新仏教を構想した革新的な書物です。右は近年刊行された同書の復刻版(2002)です。能海の故郷、島根県浜田市金城町波佐に事務局をおく能海寛研究会が公刊したものです。冊子は能海寛研究会で入手可能であり、また以下のサイトからダウンロードできます。
 
 http://hazaway.com/culture/noumi-yutaka/bukkyouto.html



02中間(ガビラ)0002


口語訳の方針

 上図の左が復刻本の1ページを示したものです。カタカナを用いた漢文読み下し調の文語体ですが、ごく最近、能海寛研究会長の岡崎秀紀さんがカタカナをひらがなに変換し、難読文字にルビを付され、注釈をつけられた新しいテキスト(途中稿)を使わせていただきました。復刻本よりも読みやすくて助かりました。この場を借りて御礼申し上げます。この途中稿の文語体を読みやすい口語体に変えることが本演習の目的です。口語訳にあたっては、できるだけ専門用語・仏教用語を使わないようにするよう努力しようということになりました。


03中間(ガビラ)0003


 上は「世界に於ける仏教徒」の目次を横書きにして少しわかりやすくしたものです。第7章までは世界宗教としての新仏教のあり方を訴えた理論部分、第8章でサンスクリットの必要性を説き、第9章ではチベット入境の必要性を訴えています。それから後の部分は正直なところまだ内容はよくわかっていません。私たちは4月から第一章と第二章を輪読し、口語訳を考え始めています。今日はその成果を発表させていただきます。ところで、能海のいう新仏教とは、従来の仏教とは異なる近代的で普遍的な内容をもつ仏教のことのようですが、それを信仰する仏教徒を「世界に於ける仏教徒」あるいは「新仏教徒」と能海は呼んでいます。


生誕150周年事業と特別展

 今年は明治150年にあたりますが、同時に能海寛生誕150周年の年でもあり、7月7日(土)~8日(日)に浜田市のときわ会館で記念事業が開催されます。また、松江市八束の中村元記念館では能海寛生誕150周年記念特別展「チベット仏教求法僧・能海寛と中村元博士」も開催されています(~8月末)。ぜひ記念事業にご参加ください。(GB)【続】


03中間(ガビラ)0004 能海寛ポスター

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2018人間環境実習・演習B中間発表会(2)

01中間(野口)0002


能海寛の青春

 私たちは、4月から5月中旬にかけて、能海寛の著作『世界に於ける仏教徒』(1893)の輪読及び口語訳に取り組みました。まず能海寛の生涯について紹介します。能海寛(のうみ ゆたか 1868-1903?)は明治維新の年に石見国那賀郡波佐村の浄蓮寺(浄土真宗東本願寺派)の次男として生まれます。那賀郡波佐村は現在の島根県浜田市金城(かなぎ)町波佐(はざ)字長田にあたります。明治10年(1877)、10歳の時に広島へ出て進徳教校(現崇徳中・高校)で3年間漢籍などを学び、12歳の時得度し宗門に入りました。その後郷里に戻り、養父謙信から後継住職としての教育を受けます。明治18年(1885)、18歳の時に再び広島へ出て進徳教校に再入学しますが、4ヶ月後に退学し上洛して西本願寺の普通教校(現龍谷大学の前身の一部)で仏教を学びました。
 その後、22歳で上京し慶応義塾に入学しますが、まもなく哲学館(現在の東洋大学)に転学し、英語・サンスクリット語・中国語などを学びます。世界宗教としての新仏教を構想するため多くの外国語を学んだのです。その後、当時鎖国していたチベット(西蔵)への入境をめざします。明治維新以降の近代化の時代は「脱亜入欧」を目標としており、欧米の先端技術と文化を吸収しようとしていた時代でしたが、そうした風潮の中で古い仏教を見つめなおし、仏教の原点である古代インドの思想を学ぶためにチベット仏教に注目した、革新的な若手の仏教徒でした。


01中間(野口)0003


なぜチベットなのか

 紀元前6~5世紀の古代インドに仏教は発祥しました。インドから西域を経て仏教が中国に将来されるのは後漢時代のことです。その後、唐の時代(7世紀)になって、玄奘三蔵がインドに長期滞在して本場の仏教を学び、多数の仏典を持ち帰り漢語に翻訳しました。しかし、その漢訳は道家(老子・壮子)や道教などの影響をうけて、意訳の部分が多くなったと言われています。そのため、古代インド仏典の意味を、必ずしも正確に伝えていません。
 一方、玄奘の生きた7世紀に始まるチベット仏教はサンスクリットと文字・言語が近似するため、古代インドの仏典をほぼ直訳で書き残しています(実際にはポン教の用語を使っていますが)。現在では古代インド仏典の多くが失われてしまいましたが、チベット仏典によってかなり正確なレベルで復元できると考えられています。こういうわけで、仏教の源流たる古代インドの思想を学びたい者はチベットを避けて通れないのです。




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2018人間環境実習・演習B中間発表会(1)

01中間(野口)0001


能海寛『世界に於ける仏教徒』の口語訳

 能海寛(のうみ ゆたか)が明治26年に著した『世界に於ける仏教徒』第1・2章の口語訳を輪読形式で進めてきましたが、その最初の成果を5月30日(水)、3年次の人間環境実習・演習B中間発表会で報告しました。あらかじめ申し上げておきたいのは、いつものことですが、学部3年次・4年次・大学院生の有志が共同で作業を進めてきており、輪読の分量(行数)は4年・院生が多く、3年生4名は一人あたりの担当を15~20行程度にとどめています。これは決して大きな負担ではありません。
 口語訳については、上手にこなす人もいれば、苦手の人もおり、また病気のため輪読を欠席する人も2名でたりして、反応はさまざまでしたが、おもしろかったのは、最初「英語の方がマシ」だと言って明治の文語体を嫌っていた男子学生が結果としてみれば、非常に良い仕上がりになったことです。また、ばらつきのある訳文を整理して、全体の編集作業を担当したのは4年生のあやかめさんです。均一ではない訳文をうまく調整し、注釈をつけてくれたと思います。

 むしろ問題は能海自身の文章でした。輪読している段階では、さほど気にならなかったのですが、1・2章通して整理された訳文をまとめて読み直した結果、学生の一部にアレルギー症状がでてしまったのです。なにぶん能海の思想は尊王攘夷の志士たちのように過激であり、キリスト教に対する攻撃の已むことがありません。冒頭において「キリスト教も同じ宗教なので、私たちは決してこれを排斥する理由がなく、なるべく従来の信仰を継続してもらうことを祈ります」と但し書きしているものの、それからあとはキリスト教批判のオンパレードになっていて、仏教の寛容さとはかけ離れた排他的筆致の反復にいささか辟易してしまいます。じつはクリスチャンの家庭で育った学生が1名参加しているのですが、その心情が穏やかであったはずはありません。第1章「宗教の革新」から例をあげてみましょう。

  欧米の従来の宗教は唯一のものがキリスト教であって、キリスト教以外の宗教はほとんどない
  と認識されている有様です。しかし、そのキリスト教がきわめて偏った、浅はかなものならば、
  宗教とは言えないものとなり、かれら文明人の宗教が仮になくなってしまうとすれば、
  必ず不満を抱き物足りなさが生まれます。

  キリスト教は哲学に反しています。西洋の学者はキリスト教を証明すべく神の存在やキリストの
  教理を学理上考究しながらも、その結論といえば、ついに無神論を説き、あるいは(一切の存在
  は神であるとする)汎神論となって、キリスト教にいう神とは全く相反する神の存在を説いて
  しまうに至りました。(略)また、キリスト教は科学とも衝突しています。生物学の研究、
  生理学の発達あるいは天文学・航海術などの科学に対立し、文明の害となって進歩を妨げて
  きた事例は枚挙にいとまがありません。

  西洋の政治家がはたしてキリスト教を信じているかと問えば、決してそういうことはあり
  ません。国王をはじめとする政治家たちは、一般にキリスト教会に属する者が多いとは
  いえ、彼らの信仰はたいてい政略上の信仰です。(略)とくに欧州のようなあの狭い地域
  においてすら、二十前後の独立国が分裂して国の城壁を高くし堀を深くして軍事力を厳重
  にし、互いに敵国の隙を狙って、弱肉強食、優勝劣敗する有様は、最も激しい戦国である
  と言わざるをえません。この激烈な戦国において、どの国もみな人民の団結を堅くしなけ
  ればなりません。宗教は国民を団結させることにおいて最も効力の高いものなので、政府は
  とりわけ政略としてキリスト教を保護し、各国独立の教会を設ける必要があるのです。
  ですから、キリスト教は宗教として存在するというよりも、政略の手段として存在するもの
  であるという方が適当ではないでしょうか。(略)キリスト教は結局のところ国家の安寧を
  維持し、平和を保つ効力のある宗教だと言われていますが、私はむしろ国家の安寧を害し、
  平和を破壊するものだと言いたいのです。


0530中間発表01


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プロフィール

魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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