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摩尼寺紅葉コンサート2015にむけて(9)

2015web摩尼ポスター【最終】567617_01 2015sam摩尼ポスター【最終】567617_01(右)画面をクリック


ポスター完成!

 28日、ポスターが搬入される予定でした。ところが、黒猫ステーションには届いているのに大学にもってこない。問い合わせると、29日指定になっているというのですが、東京の業者は日にち指定をしていないと反論する。今回こういう宅配トラブルに連続して悩まされました。結局、わたしがステーションまで取りに行って、ただちに夜の弥生町から営業を開始したのであります。 
 弥生町は宣伝効果が高いですね。50代以上のオヤジが飲み歩いている。場末のスナックとか、うどんの味蔵なんて、どストライクでございます。若い人が集まる洒落た店は避ける。そういえば、弥生町に先んじてポスターを貼ったのは南海飯店でした。ここも効果ありそうな予感がする・・・
 ポスターはA2サイズの片面印刷。チラシ裏面のトレック情報はポスター表面の下の方に圧縮しています。


他のサイトでも紹介されています

 研究室以外のサイトでも少しずつ広報が始まっています。

公立鳥取環境大学HP

<学内から> http://tkserv.kankyo-u.ac.jp/news/2015nendo/20151024/
<学外から> http://www.kankyo-u.ac.jp/news/2015nendo/20151024/

長谷川きよし Official Site - Schedule

   http://www.kiyoshi-hasegawa.net/

鳥取県教育委員会文化財課HP

  http://www.pref.tottori.lg.jp/item/998318.htm#itemid998318

鳥取市教育委員会文化財課HP

  http://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1443142969961/index.html

 おかげさまで、予約は順調に入ってきております。紅葉コンサートは限定100名、トレッキングは限定40名です。早めにご予約ください。申し込みは電話、FAX、メール、WEBフォームなんでもあります。

   【WEB申込専用フォーム】 http://prt.nu/0/mani
   【ドリームプロジェクト】 ℡0857-21-8455   Fax.0857-29-7600
   【事務局】  Fax.0857-38-6775  e-mail: [email protected]

摩尼寺紅葉コンサート2015にむけて(8)

mani_ticket3_02press.jpg  紅葉コンサートeチケット001サンプル_01press(左)窓口販売チケット (右)eチケット兼領収書  


チケット発売中!

 シルバーウィークに市民会館で1000人規模のコンサートがあり、結構どたばたしましたが、前日にチラシが納品され来場者全員に配布できたようです。今日もまた西部でコンサートがあり、100枚以上配布していただいてます。チケットも届きました(↑左)。プレイガイドは以下のとおりです。限定100席、お早めにご購入ください。

   門脇茶屋 源平茶屋 とりぎん文化会館 鳥取市民会館 
   アコヤ楽器店 倉吉未来中心 米子市文化ホール

 前報でお知らせしたとおり、今回は eチケット のシステムを充実させていますので、ぜひご活用ください。マージンが発生しないため格安です。下のサイトをクリックすれば、たちまち申し込みフォームがあらわれます。お振り込みを確認次第、「eチケット兼領収書」(↑右)を指定のアドレスに送信します。

   【WEB申し込み専用フォーム】 http://prt.nu/0/mani

 QRコードも用意しています(↓)。チラシ裏右下隅に注目してください。

QRコード


               摩尼寺紅葉コンサート2015
   如来堂で歌う 長谷川きよし Solo Concert

 摩尼寺本堂・鐘楼・山門の国登録有形文化財認定証掲示ボードの設置を記念して、除幕式と長谷川きよしさんのソロコンサートを開催します。善光寺如来堂内の異空間で「別れのサンバ」「黒の舟歌」「心震える時」などの名曲をご堪能ください。

     2015年10月24日(土) 開場13:30  開演14:00
     主催: 摩尼寺保存会    共催: 摩尼寺・大雲院
     会場: 摩尼寺境内 善光寺如来堂  鳥取市覚寺624  ℡0857-23-5300 
     料金: ¥5,000(前売) ¥5,500(当日)

 13:00~ 摩尼寺本堂等国登録有形文化財認定証掲示ボード除幕式
        会場:境内本堂前広場 (当初予定より15分早くなりました)
 14:00~ 第Ⅰ部(長谷川きよしソロコンサート)     
 14:40~ トークセッション・休憩 
 15:20~ 第Ⅱ部(長谷川きよしソロコンサート)  16:00 終演

  *公共交通を使ってご来場の場合、事務局がサポートしますので、必ず前日までにご連絡ください。
  *身障者・高齢者の方は門前から境内まで車で送迎します。
  *精進弁当[お茶付1,000円]の予約先: 摩尼寺保存会(0857-24-6330) or http://prt.nu/0/mani

 その他の情報はチラシ(↓)を拡大して参照するか、事務局等までお問い合わせください。


【問い合わせ先】
  事務局(公立鳥取環境大学保存修復スタジオ): Fax.0857-38-6775
                  e-mail: [email protected]
  ドリームプロジェクト(竹内): ℡0857-21-8455  Fax.0857-29-7600

最終サムmani_flyer_omote_6_FIX_01 最終サムmani_flyer_ura4_FIX_01 ←画面をクリックすると拡大します。

摩尼寺紅葉コンサート2015にむけて(7)

イラストマップ(最終)圧縮01  巡礼トレッキング参加証001sample_01(右)トレック参加証


                   2015年 11 月 7日(土) 
     大雲院・樗谿~摩尼寺・砂丘 巡礼トレッキン
       

ラッキョウ畑をつきぬけて

 今秋のトレックでは、大雲院~東照宮~摩尼寺の歴史を遡るルートを基本に設定しました。このルートに摩尼寺門前から砂丘にぬけるトレイルを加えたのは、山湯山と砂丘の間に広大なラッキョウ畑がひろがっているからです。赤や紫に咲き乱れるラッキョウ花の満開期に潮風に吹かれて歩きませんか。

忘れられた寺院を巡る

 鳥取市立川の大雲院は鳥取東照宮(樗谿神社)の別当寺として藩内で最高の格式を誇っていました。摩尼寺、三仏寺、長谷寺などはみな大雲院の末寺だったのです。なかでも摩尼寺との関係が深く、大雲院から派遣された住職の墓が山麓に残っています。明治の神仏分離令によって大雲院は樗谿(おうちだに)からの退去を命ぜられ、いまや「忘れられた寺院」の一つになってしまいました。しかしながら、貴重な古文書・美術品が大量に所蔵されており、本堂は18世紀前期に遡りうる鳥取市内最古の建造物である可能性が高まっています。

コース選択制

 全体の行程は「大雲院から樗谿・摩尼寺を経由して砂丘に至る」ロングコースですが、いくつかのショートコースも設けています。たとえば、以下のような短い参観・トレックを楽しんではいかがでしょうか(出発・解散地点を予め申告していただければ、どこで参加・離脱してもかまいません)。
  A)大雲院のみ参観  B)樗谿~摩尼寺の山歩き  C)摩尼寺門前~砂丘(ラッキョウ花畑コース)
 
 【スケジュール】 11月 7日(土)  参加無料 雨天中止 限定40名   
  ①ロングコース: 
   10:00 大雲院集合(本堂・元三大師堂を見学)      10:30 大雲院発   
   11:00 中国自然歩道「樗谿」遊歩道口(大鳥居の横) 12:00 本陣山休憩棟(太閤ヶ平)  
   13:30 摩尼寺門前着(昼食休憩)   *甘酒サービス、精進弁当・田楽など販売します
   14:30 摩尼寺門前発 15:00 山湯山着(バス停あり) 15:30 砂丘オアシス広場(解散) 
  ②ショートコース: 上記ロングコースのうち、A)B)C)などを選択
   *精進弁当等お買い上げの方は門前から茶屋のマイクロバスで市内までお送りします

申し込み

 チラシ裏面の申し込み用紙に必要事項を記入の上、事務局に送信されるか、以下のWEB申し込みサイトをご活用ください。申し込みを受け付け次第、「巡礼トレッキング参加証」(一番上右の画像)を発行・送信させていただきます。トレッキングは昨年も大変人気がありました。限定40名ですので、予約はお早めに!

 【WEB申し込み専用フォーム】  http://prt.nu/0/mani

 【事務局】公立鳥取環境大学保存修復スタジオ
    Fax.0857-38-6775   e-mail: [email protected]


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摩尼寺紅葉コンサート2015にむけて(6)

mani_flyer_omote_6_FIX_02press.jpg (表)摩尼寺紅葉コンサート2015


WEB申し込み専用フォーム

 「摩尼寺紅葉コンサート2015」(10月24日)及び「大雲院・樗谿~摩尼寺・砂丘 巡礼トレッキング」(11月7日)のチラシデザインがようやく確定しました。今年は東京在住のプロがデザインしてくれたので、ずいぶん垢抜けたチラシになりました。それにしても、表と裏のギャップが強烈ですね。【夜】頽廃と【昼】健康のコントラスト。スケジュールに若干の変更等ありますが、詳細は帰国後お知らせします。


mani_flyer_omote_6_FIX_02.jpg mani_flyer_ura4_FIX_02.jpg ←クリックすると画像が拡大します

 
 一つだけ強調しておきたいことがあります。秘密兵器を開拓したのです。「WEB申し込み専用フォーム」。以下のサイトをクリックすれば、申し込みシートがたちまちあらわれ、すいすいすいと予約が進んで、受付のメールが自動送信されるシステムです。おまけにeチケットには優待がある。スマホやパソコンからの申し込みはこれに限りますね。FAXやスキャンは過去の遺産になろうとしているのかもしれません。

 WEB申し込み専用フォーム
  正式サイト  https://ws.formzu.net/fgen/S67248874/
  圧縮サイト  http://prt.nu/0/mani

 また、【事務局】のアドレスを以下に変更しました。

  公立鳥取環境大学 保存修復スタジオ  [email protected]

 関係者約2名の恐るべきエネルギー投入により、すべては順調に進んでいます。最後にこけないようにしないとね。


mani_flyer_ura4_FIX_01press_2015091500153723a.jpg(裏)大雲院・樗谿~摩尼寺・砂丘巡礼トレッキング

スケッチ・オブ・ゴンパ -第4次ブータン調査(10)

0902尼寺まで01記念撮影03 0902尼寺まで01記念撮影04 画像①


雲中の山羊髭

 9月2日(水)、調査隊は普段より早めの朝食をとり、ティンプーのホテルを発った。めざすはパロ地区の奥地にある尼寺ケラ・ゴンパ(Kela Gonepa)である。道中、丘を背景に記念撮影をしたほか(画像②)、ゲムジャロ村出身のドライバーの実家に立ち寄ってもらい、ヤクのチーズと地酒アラッを手に入れた。


0902たけた② 0902尼寺まで01記念撮影01
画像②


 ティンプーから車で約1時間を経てパロに到着、見慣れた西岡チョルテンを右手にみながら車は高度をどんどん上げていきます。ティンプー市内のようなアスファルト舗装の道路とは違い、山肌剥き出しの林道を走るため、車内は上下に大きく揺れ動いていました。山道に突入してさらに1時間経つと、気圧高度計は高度3000mを指し、酸素も日本に比べてだいぶ薄い印象を受けます。植生も変化します。松林は消えて杉やイトスギが多くなり、高山植物がたくさん花を咲かせており、髪の毛のようなコケが枝木から垂れ下がっています。


0902たけた③ 0902尼寺まで01記念撮影02
↑画像③ ↓④山羊髭の苔チャイラック
0902たけた④ 0902尼寺01こけ01


 天気はよくありません。霧がどんどん濃くなっていって、つまり、わたしたちは雲の中に突入していったのでした。視界は極端に悪くなっています(画像③④)。道もまた車一台ギリギリ通れる程度の幅しかなく、調査隊の緊張感は一段と高まりました。途中、ちょっとした渓流があり、その周りにはダルシンやマニ車が設置され、聖域であることが表示されています(画像⑤⑥)。ここで一息休憩を入れた後、再び尼寺へと向かいました。


0902たけた⑤ 0902尼寺まで01記念撮影05
画像⑤⑥


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スケッチ・オブ・ゴンパ -第4次ブータン調査(9)

画像1 画像1


カプタンの苦味

 9月1日(火)。調査4日目の朝食は蕎麦のパンケーキ(カプタン)をいただきました。見た目はホットケーキですが、後味に若干の苦みが残り、甘い蜂蜜と絡めれば非常においしく、朝から食が進みました(画像1)。朝食を終えて、3日間お世話になったブンタンのホテルをあとにし、調査隊は再びプロペラ機に乗りました。
 朝からの雨のため、プロペラ機のフライト時間が1時間ばかり遅れるというトラブルもありましたが、無事パロに戻って来られました。さっそく車に荷物を詰め込み、首都ティンプーへと向かいます。ティンプーは今まで訪れたパロ、ブンタンと違い、ずいぶん都市化しています。道路がアスファルト舗装されていることを始め、車や人の数がとても多く、今まで訪れた町とのギャップが大きくて、驚くことばかりでした。しかしながら、ティンプーの町なかにおいても、仏教の存在感はとてつもなく大きいです(画像2)。市街地に大きなチョルテンがいくつも建っており、そこで人々がマニ車を回している光景が見られました。ティンプーを囲う山の一角には金色に輝く大きな大仏の像も望めます。


画像2 画像2


タンディネ寺の調査

 ティンプーでは最初にJICAへと向かいました(画像3)。JICAにも絵本『メンバツォ-炎たつ湖-』を贈呈しました。その後、この日の調査地であるタンディネという崖寺を訪れました(画像4)。グル・ンポチェの妻であるイセ・ソゲルが瞑想修業した場所であると伝承されています。イセ・ソゲルがティンプーを訪れた際、雨が降っていたのですが、タンディネだけ晴れていたり、他の場所が晴れていてもここだけは雨降りだったりしたので、タンディネには何か神秘的なものがあると思い瞑想修行したそうです。


画像3 画像3


 タンディネはかつてヤルン・シャリドラという名前の僧院でした。サブドル・ナマン・ナムキュルによる建国以前、すでに僧院はあったと言います。そこには悪霊が住んで悪さをしていました。頭から上は馬の姿をしています。その悪霊をプージャ(儀式)によって浄化すると、ペマジュネ(グル・リンポチェ八変化の一つ)の顔に変わりました。顔はニンマ派のペマジュネ、体はドゥク派の僧侶という風変わりな姿です。本堂ラカンは17世紀前半にテンジンという僧が建立しました。はじめは崖の洞穴に密着する位置にラカンがあったといいます。その後、17世紀後半にペマカルポという僧侶が崖の前側に今の本堂を建てたそうです。瞑想場は本堂より上の崖にあったようですが、そちらに上がることは許されませんでした。
 タンディネでの調査分担は以下のとおりです。

   先生:インタビュー   大石:先生の補助  吉田:配置図
   山本・武田:本堂正面 立面図

 2時間ほどのフィールドワークでした。


画像4 0901ダンヂネイ01 画像4



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スケッチ・オブ・ゴンパ -第4次ブータン調査(8)

150831 ジャンバラカン 中庭  


ジャンバラカンで科学的年代測定のサンプル採取

 7世紀に吐蕃を建国したソンツェンガンポ(Songtsen Gampo)王はラサだけでなく、ブータンやネパールにも僧院を造営したという。ブータンでは、ブンタンのジャンバラカンとパロのキチュラカンがソンツェンガンポ創建の寺院と伝承される。パドマサンバヴァが伝えた密教の山林寺院では、長く本堂ラカンは存在しなかったが、ソンツェンガンポの寺院は顕教の寺院であり、当初から本堂を備えた可能性がある。
 境内及び本堂の規模はさほど大きくはない。門をくぐると、四方を建物で囲まれた中庭へと続き、正面に本堂が現れる。内部は当然撮影禁止である。本堂は内陣と外陣の境に分厚い壁を挟む。内陣は2本柱で、正方形の隅を2方向から面取りした十六角形の断面をしている。正面に弥勒菩薩を祀る。内陣の出入口の小壁に採光窓があり、窓に背を向け、弥勒菩薩と向かい合うようにグル・リンポチェの像がある。8世紀以前と伝承される建造物は本堂の内陣のみであり、外陣は後の増築もしくは大改修と推定される。建築年代は古くないと僧侶から伺った。


150831 ジャンバラカン 境内入口の門


 内陣を見学後、大石と武田は作図の練習で本堂の平面スケッチを競い合った。一方、先生のもとへ僧侶が一冊の厚い図冊を持ってこきた。ブータンの重要な僧院と寺院を網羅した図冊であり、値は張るが、先生は即購入を決断された。その甲斐あってか、特別に本堂内陣で科学的年代測定サンプルの採取を許可された。先生と私と山本はすぐさま準備に取り掛かる。

 対象は内陣2本柱のうち北側の柱である。柱は上から布で覆われて赤い塗装がなされている。しかし、床面から10cmほどの高さまでは木肌が露出していた。床から8mmの位置で、南面の南西隅から年輪を数え、6年輪のみを確認した。そこで、一番外側から3年輪分を採取した。帰国後にこのサンプルでAMS放射性炭素年代測定を依頼する予定である。果たしてジャンバラカンの建築年代(厳密には部材の伐採年代)はソンツェンガンポの時代に遡るか否か。その成果はブータン史を覆すものになるかもしれない。


150831 ジャンバラカン サンプル採取
↑↓サンプル採取位置
ジャンバラカン内陣2本柱 採取位置(圧縮)up


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スケッチ・オブ・ゴンパ -第4次ブータン調査(7)

150831 市街地から望むゲストハウスとカルチュ寺


 8月31日(月)。ブータン調査4日目。ブータンに来て連日トレッキングがあり、何より道中の車酔いが私を苦しめた。この日は崖寺と麓を往来するトレッキングはなかった。午前はガイドに紹介された僧侶にインタビュー、午後からはブンタンにある有名寺院をみてまわった。


ブンタン山上のカルチュ寺

 朝食後、私たちの宿泊しているミーファム・ゲストハウスの少し山手に寺院があり、その寺の僧侶にインタビューすることになっていたので、事前の境内見学をすることになった。寺の名前はカルチュ・ドラツァンという。カルは「~~の近く・、チュは「滝」を意味する。寺名は「滝の近くの僧院」ということである。仏教を学ぶ学校を兼ねたニンマ派の大僧院である。ドゥク派を国教とするブータンでは、ドゥク派の僧院には政府から資金援助があるのだが、他の宗派にはないという。ニンマ派も例外ではない。この僧院はミーファム・ゲストハウスなどの施設を管理・運営し、そのシノギと寄進により僧院と学校を経営している。


150831 カルチュ寺 境内  150831 カルチュ寺 煉瓦造 

 境内は本堂ラカンを中心に3方を諸堂宇で囲み、開けた一方からブンタンの市街地を見下ろせる。境内の離れには3階建て煉瓦造の建物があり、ここは生徒が寝泊りする宿舎である。境内入口付近には数棟建物があり、その一つは厨房がある。瞑想場はあると聞いたが、崖や洞穴を利用しているわけではない。小さな建物の中で瞑想しているのだという。開学当初、わずかしかいなかった生徒が、今では400人を超え、仏教を学ぶため国外からも入学者が来るそうである。寄進で賄われているため学費もいらない。厨房の外で学生が野菜の皮を剥いていた(先生が苦手とするキウリの特大バージョン!)。厨房の内部をみせていただくと、流し台や調理器具が並ぶ中、気になるものが目に入った。エコストーブである。普通のストーブ(カマド)で調理すると、生徒が多いためとんでもない薪が必要になる。そこで、エコストーブを取り入れ、燃料を節約しているのだが、このエコ・プロジェクトに対して国や国外(アメリカ?)などから補助金がでているらしい(その看板があった)。

 境内に入ると、プージャ(祈りの儀式)の声が耳に入った。音をたどって、本堂に行きついた。鐘や太鼓の音の漏れる内部へと足を踏み入れる。先生を含めた数名でプージャを見学。隣接して部屋がもう一つあり、そこからはまた別の音楽が聞こえる。入口が黒い幕で覆われていて、入室を禁じられた。密教のプージャなのだと伺った。本堂を後にし、境内から出ようとしたとき、境内入口付近の一室に生徒の姿が見えた。中を覗くと、数人の生徒が経典を丸めていた。丸めた経典はツァーツァの中に入れるそうだ。


150831 カルチュ寺 エコストーブ  150831 カルチュ寺 経典を巻く生徒



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スケッチ・オブ・ゴンパ -第4次ブータン調査(6)

0830リモチェン寺02本堂03測量01


ケルメカンとチキンカレー

 リモチェン寺における私の担当は、本堂の前に設置されたケルメカン(kermekhang)です。8年前に建造された懸造の建物で、本堂に並べていた蝋燭をこの建物に映して集中させたそうです。本堂から火を遠ざけようとしているのかもしれません(防火のため)。この側面を描くのですが、左側の本堂壁面、右側にある石垣も加え、地形利用が分かるよう工夫して描きました(↓右)。

 昼休憩には、ウタムさんが用意してくれたチキンカレーをみんなで食べました。とても美味しくて舌鼓、腹鼓を打ちました。寺の犬たちもカレーが気になって仕方ないようすです。鶏骨を少し分けてやりました。
 午後から雨が降り出し、調査は難航しましたが、15時過ぎにはほぼ完了し、帰途につきました。


0830リモチェン寺10昼食01 150830 03 燭屋側面


芥子畑に踏み込んで

 帰途、蕎麦畑(ピンク)と芥子畑(黄色)の交錯する風景写真を狙って何度か車を停めました(3年生たちは後続車の中で爆睡してましたが)。下り道になると、ケントさんも元気です。一ヶ所では民家の奥にまで入り込み、芥子畑のアップを撮りました。驚いたことに、ケントさんはその芥子畑のなかに踏み込んで花のアップを撮影しています。栽培植物が傷まなかったことを祈っています。


0830リモチェン寺09芥子畑01 0830芥子畑(吉田撮影)01
↑芥子畑  ↓蕎麦畑
0830蕎麦の花01 0830蕎麦の花02サム



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スケッチ・オブ・ゴンパ-第4次ブータン調査(5)

0830リモチェン寺01山門01 150830 12 リモチェン寺前の河


リモチェン寺の調査

 中央ブータンのタン渓谷を今回の目玉というべきフィールドに位置づけたのは、メンバツォやウゲンチョリン民俗博物館だけに目をつけたからだけではありません。この流域のいちばん奥にトワドラ(Thowadrak)という大きな崖寺があり、その調査をしたかったからです。じつは昨年もこのトワドラ寺が有力な調査候補にあがっていたそうですが、東ブータン高地を彷徨した長老組が疲弊し尽していたため、ウラ集落の調査に切り替えたという因縁があると聞かされました。
 残念なことに、今年もトワドラ寺の調査は叶いませんでした。土砂崩れで道が塞がれてしまったのです。歩いていけないこともないそうですが、ウゲンチョリンから片道3時間かかるということで断念せざるをえませんでした。一方、メンバツォとウゲンチョリンの中間には巨巌の下に営まれたリモチェン(Remochen)という崖寺があり、29日は往路・復路ともこの寺院で休憩し、若干の写真撮影を済ませていました。


0830リモチェン寺01山門02 山門から本堂を望む


 8月30日(日)。前日とまったく同じタン渓谷の道を遡り、約2時間でリモチェン寺に到着しました。昨日からランドクルーザのいちばん前に坐るようになったケントさんは、持病の車酔いから解放されたかに思われたのですが、同じ道であるにも係わらず、持病を再発させ苦しんでいます。やはり上り道のほうが車体の揺れが激しいのでしょう。
 リモチェン寺はタン川の西側の絶壁に沿って境内を構えています。巨巌と岩陰の迫力は大変なものです。まず、山門を覆うような巨巌に度肝を抜かれます。その岩陰にはおびただしいツァーツァをばらまいている。山門から少し石段をあがると、本堂ラカンがあります。周辺にはツァムカン(瞑想小屋)やジムカン(長屋)らしき建物はほとんどみあたりません。本堂の背面は岩肌を露出させた絶壁がひろがっています。瞑想修行はトワドラ寺の近くにある洞穴でおこなうとのことです。その点、リモチェンはトワドラの末寺のような役割を果たしているように思えました。2日連続で訪れましたが、毎日常連の参拝者が軒下にたむろしており、礼拝後の雑談を楽しんでいるようでした。


0830リモチェン寺02本堂04遠景01  本堂遠景


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ようやく採択-平成27年度鳥取県環境学術研究費

 ブータン滞在中の9月1日、ブンタンのホテル(ミーファム・ゲストハウス)ではなく、昼食で利用した町なかのレストランで初めてネットに接続し、表記研究費の採択を知った。3年連続の研究(環境部門)の3年目である。昨年度ちゃんとした報告書(『倉吉の歴史まちづくり』)を刊行しており、不採択のはずはないと思ってはいたけれども、これだけ連絡が遅いと、何かが起きたのかもしれないという杞憂を禁じえなかったのも事実である。その杞憂を払拭できたという点で良かったと言えば良かったわけだが、年度末までは時間が少ない。どんな試練が待ち受けているのやら、少々の頭の痛いところである。
 以下、概要を示します。

 研究課題名:     倉吉打吹山麓の歴史的風致に関する総合調査
          -「歴史まちづくり法」よる広域的景観保全計画にむけて―


 課題番号: B1301
 研究期間: 平成25~27年度
 県助成額(平成27年度): 1,391千円


【研究概要】
 倉吉は古代から近代に至るまで歴史遺産が分布し、それらを連携しあうことで広域的に歴史的風致を向上させる可能性を秘めている。本研究では、打吹山とその山麓の旧陣屋町エリアを中核に据えながら、小鴨川の外周域に散在する古代遺跡群(国史跡)と周辺田園地域をも包含した広域的エリアを対象に「歴まち法」認定のための基礎資料の整理・分析と「歴史的風致維持向上計画」のイメージを構築しようとするものである。
 初年度は打吹山長谷寺の調査研究、第2年度は鍛治町・河原町の町並みと祭礼に係わる調査研究を進めた。第3年度は町並みと祭礼の研究を深化させながら、小鴨川外周域の史跡群を農村・農地と一体的に捉えた「文化的景観」として把握し、生業・生活の視点から歴史的風致の維持・向上について考察する。最終的には初年度~3年度の成果の連携方法について考究する。



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スケッチ・オブ・ゴンパ -第4次ブータン調査(4)

0829タン渓谷風景01蕎麦01 0829タン渓谷風景02蕎麦と芥子01サム


ウゲンチョリンの領家

 メンバ・ツォの周遊には時間を要するだろうと予想していたが、実際には淵まで歩いていって帰るだけだから時間はかからない。わたしたちは再び谷筋に沿って車を走らせた。ブンタン周辺は標高2500~2600mの山嶺に松林がひろがっている。マツタケの大産地である。松林のないところでは牧草地が多く、その間に赤紫と黄色の菜園が点々とある(↑)。赤紫は蕎麦の花、黄色は芥子(からし)の花である。そうした風景を1時間ばかり味わいながら北上し、ウゲンチョリンの民俗博物館に到着した。だれもいない。


0829ウゲンチョリン01ウチ01 0829ウゲンチョリン01ウチ02サム01


 博物館はクンザン・チョデン女史が生まれ育った実家である。彼女の父親はウゲンチョリンの領主であった。『ブータンの民話』の前書には、父親が領主であったため、孤独な幼少時代をすごしたことを切なく記している。彼女はそのもてあます孤独な時間を民話(昔話)の語り聞きに費やしたのだ。屋敷は小型のゾン(城)である。中央に配した高層のウチが政務の空間、それを回廊状の長屋が囲い込んでいる。長屋が家族の居住空間である。ウチの横には寺院もある。寺院は学校のようなものであり、(出家した)子どもたちが仏教の基礎を学んだのだろう。


0829ウゲンチョリン03博物館展示02案内01 0829ウゲンチョリン03博物館展示01パネル01


 建築は見事なものである。創建は16世紀まで遡るらしい。ただし、大火にあって19世紀に再建されている。最も大きな画期は1957年にあったことをクンザンさんは強調した。時の王が万民平等の政策を打ち出し、領主・地主と平民の階級差が消滅したのである。それ以降もこの小型ゾンはクンザン家の自宅であり続けたが、昨年(だったかな?)、四周の長屋をゲストハウスに改装するため、家族は別の家に引っ越したのだという。それ以前から、中央のウチは民俗博物館になっていた。多くの民具や宝物が展示されている。建築についての調査もしっかり進んでいて、パネル展示も見事だし、なにより大型の図録『ウゲンチョリン-中央ブータンの領家-(Ogen Choling -A Manor in Central Bhutan-)』が出版されている。ブータン建築の研究史を彩る大著であり、わたしとケントは喜びいさんでこの大著を即買いした。


0829ウゲンチョリン03博物館展示02案内02 0829ウゲンチョリン03博物館展示03陶器01
↑博物館展示(上も)



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スケッチ・オブ・ゴンパ -第4次ブータン調査(3)

0829メンバツォ02岩陰01 0829メンバツォ02岩陰02ツァーツァ01サム


第2図書係補佐

 8月29日(土)。前夜、ビール数本で泥酔し笑上戸と化して周りを楽しませ煩わせた学生は朝食の席で神妙にしていた。「もう飲みません」。昨夜のことは覚えていないというが、ウソに決まっている。いくら取り繕っても、内蔵助のデジカメムービーに半時間近い映像が残っているのだから、どこにも逃げ道はありまへん。
 二日酔い気味の一名だけではなく、じつは全員の顔色がよくなかった。原因はシャワーである。互いに探りをいれつつ確認しあうと、3室すべてで温水がでなかったようだ。出入国の翌日である。長旅と時差と、おまけに初調査でくたびれきっているので、シャワーはなによりの楽しみなのに。体はしなだれ、頭は痒く、髭はのびている。ただし、昨晩は酔いがすぎた。町のレストランで夕食を終えホテルに戻っても、義務であるはずの資料整理をせぬまま部屋に入って全員が床に就いた。深夜から明け方にかけても湯が出ることを係員に確認して就寝したのだが、結果として、お湯はさっぱり出なかった。当然ガイドに意見する。パロに舞い戻る最終日、このホテルに泊まるのはやめようということになった。


0829メンバツォ02岩陰03淵04記念撮影01 0829メンバツォ01看板01サム


 それにしても、ブータン滞在中の1週間、わたしはよく眠った。いつもなら調査中の夜もパソコン仕事に勤しむのだが、このたびはネット環境が最悪で8割方接続できなかったし、ブータンに持ち込んだのはタブレットだけだったので文筆仕事にむいていなかった。部屋に戻ると、ただちに眠りにつく。学生たちが夜の町にでて遊んでいても、わたしは部屋で休んでいた。深夜、目が覚める。しばらくボォ~ッとして、どうしても眠れそうにないときは又吉直樹の『第2図書係補佐』を少しずつ読んだ。なるほど芥川賞を取るだけのことはある。人の文章を読んで少しく反省した。自分の文章ももう少し切れ味のある時代があった・・・それがここまで鈍ってしまったのはブログで駄文を書きすぎたせいではないか・・・そんなことを考えていると再び眠りに落ちる。朝早くめざめ、シャワーを浴びる。朝食までの時間に荷物の整理をした。そういう1週間だった。


0829メンバツォ02岩陰03淵05旗 淵への導水路



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スケッチ・オブ・ゴンパ -第4次ブータン調査(2)

パロゾン パロゾン


白い崖-高い場所

 8月28日(金)。深夜0時半、関空を飛び立ち、バンコクを経由してパロ空港に着陸したのは同日午前10時(日本時間の13時)のことでした。ホテルにチェックインして11時、関空からパロまで機内食が4回、空港での食事が2回あり、満腹になっていたので、昼食までの腹ごなしを兼ねて、パロゾンを一歩きすることになりました。ゾン(城)とは、その地域を支配する政府であり、内部には領主の宮殿と寺院を含みます。パロゾンは部材の差し替えはありますが、17世紀建立当初の部材が多く残っているそうです。ここで、壮麗なブータン建築の構造・意匠の迫力を思い知らされました(↓左)。


パロゾン内部 西岡チョルテン


 昼食では、早くも激辛エマダッツィの洗礼にあいましたが、午後からはみな元気に西岡京治さんのチョルテンへ。ブータンの農業指導に半生を捧げた西岡京治さんがブータンの人々から愛されていたことが分かりました。先生もケントさんも何度も西岡チョルテンを訪問されていますが、まずはここの礼拝からスタートすべきだとおっしゃいます(↑右)。
 西岡チョルテンの丘陵から360°のパノラマで壮大な風景が見渡せます。とくに南北二方向にわたしたちの調査目的である崖寺が眺望できるのです。北側の近隣にはゾンドラカ寺がみえ、南側にはダカルポ-ゲムジャロ寺が見渡せます。ゾンドラカは最初の調査地として思い出深く、ゲムジャロ寺のほうはまた格別の思い入れが先生にはあるようで、「定点観察」の対象にしたいとお考えのようでした。


パロの町 パロ川谷筋


 そこで、ガイドのウータムさんはゲムジャロ寺の右側のほぼ同じ高さ(標高2500m)のところにある別の崖寺を指差しました。それはダカルポ-ヨウトック寺(Drakharpo Youtok)です。ゲムジャロとヨウトックは一連の瞑想場として開山したとの説明をうけました。そして、未調査のヨウトックをめざすことになりました。
 いったん谷筋におりてゲムジャロ村を通過し、車道から分かれた未舗装の山道をジープに揺られ、新しい寺院の真下までやってきましたが、ヨウトックはそこからさらに半時間の距離にあります。歩いてみるとなかなか険しい道のりでした。本堂まで石段の道がありましたが、幅は1メートルもありません。細い道で滑り落ちそうなときが何回もありました。しかし、そこから眺める風景には圧倒されてしまいました。美しい森林を持つ渓谷に囲まれ、流れの激しい川、秘境を訪れた感覚です。


ヨウトック① ヨウトック寺



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比叡山安楽律院(Ⅰ)

安楽律院 跡地 圧縮 安楽律院庫裏跡


摩尼寺と安楽律院

 今年度は摩尼寺と大雲院の庫裡が研究室の重要な研究課題になっています。摩尼寺庫裡の調査はバス男が中心となって進めており、樗谿にあった旧大雲院の庫裡の復元はココアが取り組んでいます。摩尼寺は初め大雲院の末寺でした。享保3年(1718)、大雲院五代観洞が山上「奥の院」から山腹に移設された新生摩尼寺の初代住職となりました。大雲院は山門派であるにも拘わらず、このとき摩尼寺は宗派を安楽律派に変更しており、その後、比叡山安楽律院から代々輪住が派遣されることとなりました。安楽律院は比叡山横川飯室谷に所在する天台宗安楽律の拠点であり、小乗戒を重視する安楽律運動を復活・高揚させましたが、厳しい戒律ゆえ18世紀末までに衰退し、現在は廃寺となって遺跡化しています。ところが、いまなお摩尼寺は安楽律派であり、庫裡・本堂等江戸期に遡る堂宇と安楽律院のそれを比較検討する必要があるのです。


安楽律院 山門02 安楽律院 入り口 圧縮
(左)安楽律院山門  (右)安楽律院入口
 

 安楽律院には車で上がることができません。徒歩で風景を味わいながらゆっくり登っていきました。境内跡地では、奥の方から配置図をスケッチしました。この配置図はテングサ君が担当し、私はいま最も問題となっている庫裏跡地の平面をスケッチし、採寸していきました。テングサ君の協力もあり、自分の調査に専念することができました。ただ、今回の測図はあくまで予備的なものであり、今後、ゼミメンバーの多くで精度の高い測量をすべきだと考えています。
 ところで、余談ですが、安楽律院は、実写「るろうに剣心」の映画で重要なシーンとなったロケ地でもあります。山道や石段、山門も撮影シーンに起用され、その奥にある安楽律院跡地は決戦場の舞台となりました。私は実際にこの目で撮影された場所を見ることができ、貴重な体験だったと思います。(ココア)


0831延暦寺1 根本中堂


延暦寺の主要堂宇

 安楽律院跡を調査する前日、延暦寺の主要堂宇をみてまわりました。延暦寺の正殿は根本中堂であり、根本中堂に祀る本尊は薬師瑠璃光如来です。遠目でしか見ることはできませんでしたが、とても美しい仏像でした。もちろん写真撮影は禁じられています。中堂拝観の後、文殊楼へと向かい、2階に安置されている文殊菩薩に学業成就を祈願しました。


0831延暦寺2 文殊楼


 次に阿弥陀堂へと向かいました。阿弥陀堂の内部も写真撮影は禁止されていましたが、ほかの建物よりも仏像を近くで観察することができました。その後国宝殿へと向かいました。ここでは貴重な歴史的資料やとても貴重な美術品などを鑑賞することができます。多くの美術品を拝見しましたが、私が特に気に入ったのは壁一面へ描かれていた水墨画です。人物の線もとても良かったですが、何よりも緻密に描かれた背景が印象的でした。しかし撮影不可は不可です。
 その後車で少し移動し比叡山の中腹にある、常行堂・法華堂そして釈迦堂の見学をしました。常行堂・法華堂はいわゆる「担い堂」であり、桃山期に遡る比叡山最古の建造物です。


0831延暦寺3 阿弥陀堂


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西国三十三観音霊場巡り(Ⅰ)

16番 清水寺 千手観音 清水寺千手観音【大雲院】


第16番札所・音羽山清水寺

 先月末から今月初にかけて京・近江の古刹を巡礼してきました。わたしは卒論で大雲院の仏教美術、とくに西国三十三観音を主題にしているので、今回の旅のミッションは西国三十三観音霊場の一部を実際にみてまわることでした。
 まずわたしたちは第16番札所、京都の清水寺へと向かいました。思い返してみると、最後に清水寺を訪れたのは小学6年の修学旅行です。およそ10年ぶりの拝観となりました。三年坂をのぼり清水寺本堂に到着。本堂内部は撮影禁止のため、ここに紹介できませんが、本尊千手観音にしばし見とれた次第です。
 清水の舞台からも素晴らしい景色を眺めることができました(↓左)。残念ながら阿弥陀堂は工事中のため拝観がかないませんでした(↓右)。今年の摩尼寺紅葉コンサートで演奏される長谷川きよしさんは、今年の5月14日にこの大舞台で「心震えるとき」という新曲を観音さまに奉納されたのです。


0831清水寺3  0831清水寺2


 その後音羽の滝にも少し立ち寄りました。先を急いでいたので滝の水を飲むことはできませんでしたが、旅行客にとても人気だったことを覚えています。昼食には三年坂の小食堂で「にしんそば」を食べました。いままで食べたことない食感で、独特な味がしておいしかったです。最後に虚子の塔を見学し、清水寺周辺の活動を終えました。


0831清水寺4 音羽の滝



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スケッチ・オブ・ゴンパ -第4次ブータン調査(1)

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秋のブータン食フェスティバルを開催します!

 無事帰国しました。予言したとおり、ブータンでの調査は順調に進みましたよ。天気もわるくなかった。たまに雨も降ったけど、調査に影響するほどのことはありませんでした。
 西ブータン及び中央ブータンで崖寺と洞穴僧院を調査しました。西ブータンではダカルポ・ヨウトック寺(パロ)、ケラ尼寺(パロ)、タンディネ寺(ティンプー)、中央ブータンではレモチェン寺(タン)を測量・実測。タンディネ寺とカルチュ寺(ブンタン)では、僧のライフヒストリーに関する詳しいヒアリングにも成功しました。また、ブンタンに所在するブータン最古(8世紀)の寺院、ジャンバラカンの内陣本堂で放射性炭素年代測定(AMS)のサンプルとなる年輪を採取しました。これは予期せぬ成果です。


0902TUES01.jpg 0902TUES02utam01.jpg


 学生たちは、なにより風景に度肝を抜かれていたようです。とりわけ最終日に訪れたパロ地区の尼寺ケラ・ゴンパは標高3500mの高山に境内を構える崖寺で、まさに五里霧中。霧(雲)が晴れたり、煙ったりする風景は幽玄にして圧巻でした。
 学生たちはみな真面目です。しかし、ケント以外は図面を得意としていない。教師に叱咤されながらの作業となりましたが、内蔵助あたりは、いつでもどこでも平面図をとるようになり、その成長の姿を頼もしく感じていました。


0902尼寺02


 中央ブータンのタン渓谷では、メンバツォ(炎立つ湖)を視察後、ウゲンチョリン民俗博物館で、『ブータンの民話』の著者クンザン・チョデン女史に面会しました。この民俗博物館はクンザンさんの実家です。旧地方領主の家で、ゾンの型式をしています。中央の楼閣ウチを博物館に改装しており、周辺の回廊部分は現在ゲストハウスに改造中でした。クンザン夫妻(夫はスイス人)は、わたしたちが翻訳し贈呈した『炎立つ湖』をごらんになり、とても喜んでくださいました。「ぜひ出版してほしい」とのことです。一方、『ブータンの民話』の方は「すでに和訳されている」と教えられ、仰天。
 たしかに調べてみると、以下の訳本がでております(中古本のみ入手可能)。
   
   クンサン チョデン (原著)   今枝 由郎 ・小出喜代子 (翻訳)
      1998  『ブータンの民話と伝説』 白水社


0902尼寺01 ケラ尼寺(上も)



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プロフィール

魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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