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沈黙-サイレンス-

風景の違和感

 マーティン・スコセッシ監督(原作:遠藤周作)の『沈黙-サイレンス-』(2016)を視た。関ヶ原の戦から大坂の陣を経て徳川が幕藩体制と鎖国制度を強化した17世紀前半、マカオでは聖ポール天主堂の建設が進められ、日本から逃れてきた切支丹が天主堂近くの茨林囲に移り住んで、天主堂の造営を補助していたころの物語である。3時間の長作。残念ではあるけれども、外国人が日本の歴史文化を描くには限界があると感じた。いくつか違和感がある。
 まず言語。宣教師ばかりか、日本の百姓や代官まで英語を喋っている。宣教師はポルトガル語、日本人は日本語にして字幕をつけるのが最善だと思うのだけれども、それではアメリカで興行成績が上がらないのか。


0401対馬の小屋 桐谷家 0401対馬の藻小屋 0401対馬峰町木坂の藻小屋 (左)対馬桐谷家のコヤ(県指定)民家付属の蔵 (中)対馬の藻小屋兼船小屋:石垣壁に板石葺屋根 (右)整備された対馬峰町木坂の藻小屋(瓦葺きは新しい) 


 次に風景。17世紀の日本を再現できる場所が日本にない、ということで、台湾をロケ地にしているが、やはり「日本じゃない」と感じた。海岸線や山河の風景をみて、そう思う。現場に再現された離島集落のセットもちょっと違う。台湾先住民と日本の古民家がごっちゃになっている。いちばん気になったのは高床倉庫。脚の長い弥生時代風の高床倉庫で、壁を板校倉風にしていた。倉庫を造りたいなら、対馬のコヤ(↑左)のようにみせたい。床は低く、柱を平にして、壁は横板落込、屋根は板石葺とする。住まいは、壁を石垣にする。土間式で軒を低く、屋根は板石または杉皮(↓右)で葺いて石で押さえる。茅葺きの場合、必ず逆葺きとする。柱は掘立。台風の水平力に強い構造としたい。本州の広間型民家はまだ入ってきていない。あくまで中世型住居の環東シナ海離島バージョンを構想・復元したい。


0401韓国済州島城邑民俗村の民家 0401隠岐道後釜・佐々木家住宅 (左)韓国済州島城邑民俗村の民家 *17世紀ころまでの漁民の住まいは藻小屋が大きくなって済州島の民家に近かったかも? (右)隠岐道後釜・佐々木家住宅(重文)の杉皮石置屋根


 寺院や代官所の建築も重厚感を感じないセットである。日本の17世紀の寺院や書院で撮影して欲しかった。あるいは、映画村の建物でもいい。スコセッシの映画セットは日本の映画村のレベルより少し劣る。勝新の座頭市のような懐かしさを感じないのである。





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メジャーリーグ開幕!

開幕快足

 メジャーリーグが開幕しましたね。いったん床に就いたのですが、眠れなくて、朝5時過ぎにソファに戻ったら、ちょうどドジャース対カージナルスがプレイボール! 大谷の第1打席は、当然3塁打の当たりなんだけど、ムーキー・ベッツがコーチの指示で3塁に止まっていて、大谷タッチアウト。大谷自身の判断ミスだと言われるが、3塁コーチが大谷の足の速さを分かってなかったんだな。日本贔屓ではなくて、あそこはベッツをホームに突っ込ませ、大谷3塁打だよね。エンゼルスなら間違いなくそうなった。ところでBSはその直後から大雨で映らなくなったので、仕方なく、スマホのABEMAで視てたんだけど、またたくまに5-0になって、ソファで眠りに落ちてしまいました。
 真美子さんとデコピンがスウィートルームで観戦して、大谷が活躍して、なんか嬉しいのね。これまで、ウィンブルドンとかテニスのトーナメントで、外国スター選手のガールフレンドが特別席にいて、まぁ美人ばかりで羨ましく思ってましたが、大谷夫妻なら十分対抗できる。絵になりますね。ニューバランスのトレーニング・シューズ買っちゃおうかな。

mリーグ レギュラーシーズン決着

 メジャーが始まる一方、チーム数が増えたmリーグはようやくレギュラーシーズンを終えました。以下が結果です。( )は男女比。

1位 U-NEXT Pirates 887.6pt 0.0pt (3+1)
2位 赤坂ドリブンズ 345.3pt 542.3pt (3+1)
3位 KADOKAWAサクラナイツ 247.2pt 98.1pt (3+1)
4位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 46.9pt 200.3pt (2+2)
5位 EX風林火山 ▲16.6pt 63.5pt (2+2)
6位 渋谷ABEMAS ▲22.1pt 5.5pt (3+1) ここまで予選通過

7位 BEAST Japanext ▲378.7pt 356.6pt (2+2)
8位 TEAM RAIDEN / 雷電 ▲484.5pt 105.8pt (3+1)
9位 セガサミーフェニックス ▲625.1pt 140.6pt (1+3)

 前回は3月5日に予想していて、当時6位のフェニックス(-305.2pt)と7位のビースト(-333.8pt)の戦いならば、フェニックスに分があると予想したんですが、あれよあれよという間に300pt負けて、フェニックスが最下位に落ち、当時8位の風林火山が軍師勝又の連投で5位まで上昇しました。やっぱり男女比の問題は切実にあって、大敗した(1+3)のフェニックスは大改革を迫られるかもしれないね。あくまでたとえばですが、近藤(もしくは村上)の復活に加えて、醍醐・竹内・東城のような編成に変えないと、上位に食い込めないんじゃないか。女流最強の魚谷を外すのか、という問題があるけれども、魚谷はmリーグで勝ててないのね。ビジュアルの東城か、実力の魚谷かで天秤にかけると、わたしなら前者を取りますね。魚谷レベルの男子プロはスカウト可能だけれども、東城さんの代わりはちょっと探せないでしょう。魚谷さんは雷電に移籍とか、どうだろう?


 福岡のローカルバンド na Relo 。ライブの席が取れないほどの人気らしい。80年代前後のポップな選曲が良くて一時期よく聴いていました。ただ、恐ろしいことに、今はyoutubeでだいたい原曲を聴ける。聴き比べると、差が分かるのね。たとえば、スターダスト・レビューの「今夜だけきっと」「トワイライト・アヴェニュー」だと、圧倒的にオリジナルの方が良い。やはり根本要のヴォーカルは凄いんですね。申し訳ないけど、歌唱力の差が相当浮き彫りになる。この曲にしたって、ハイファイセットやユーミンとの比較になるので一筋縄にいかない。左の方の発声が気になります。「アルファベット」が「アルファベエト」になっている。英語の曲だと、もっと致命的に聞える。細かいことですが、音楽を聴いて萎える場合、そういう細部が影響してるんじゃないかな、と。 個人的な趣味になりますが、「最後の春休み」カバーだと、昨日の高橋ちかさんに軍配を上げたい。


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ボルドーワインの送別-奈良篇

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オリーブの落胆

 3月26日(水)、研究所を訪れ、新刊のブータン絵本『アシ・ツォメン みずうみのマーメイド』を何名かに献呈した。さらに2名にはボルドー・ワインを差し上げた。非常勤の職員が研究所を去ることになると聞いたので、その送別の粗品である。絵本は奥様たちには好評のようでした。子や孫に読ませると言われたりしてね。研究所は居心地がいい。なんでかな、と思うぐらい居心地がよくて、嬉しくなる。でも、長居をすると迷惑になるから、足早に帰るんです。
 久しぶりに中古のCDを取り寄せたの。ユーミンの『OLIVE』(1979)。「最後の春休み」が聴きたかったのと、「冷たい雨」の別バージョンが入っていたからなんだけど、後者にはがっくりきました。元のアレンジやハイファイセットの方がはるかによい。松任谷正隆のセンスをちょっと疑ったな。そもそもユーミンは松任谷姓になってから凡化したと言われてるんだけど、1979年の『OLIVE』からその傾向をひしひし感じます。あの、誰も作れない品の良いメロディが失われて、歌謡曲に近づいている。竹内まりやも似た傾向がないとは言えないが、ユーミンほどではないよね。
 そうだ、押熊のGEOにも行ったぞ。マーティン・スコセッシの『沈黙 サイレンス』をレンタルした。2週間で110円だって。アマゾンやネトフリに対抗するには、こうするしかないみたい。息子も視たいと言っているので、返却は任せよう。拷問の残虐なシーンが多いらしい。


 ボサノバギターを学んでいるんでしょうね。オリジナルコードから大分変えてます。結構難しいと思うんだけど、シンプルなリズムで、あまりスキルをひけらかそうとしてないから良いのね。それというのも、声が良いから。歌がうまいと伴奏に凝りすぎなくても聴けるから。わたしは、こういう人のバックで控えめな歌伴するのが夢でしたが、叶いそうにありません・・・

ブータンの絵本『アシ・ツォメン みずうみのマーメイド』刊行!

 卒業式を終え、春休みで奈良に戻ってきて、その夜はまだ勢いでパソコンを動かせるのだけれども、翌日からヘタってしまった。いつもは2日で回復するのだが、今回はその倍の日数を要した。ソファに寝転がり、食っちゃ寝、食っちゃ寝。スマホで大谷情報をあさっていると、いつの間にか眠りに落ちる。夜になっても仕事をする気にならない。今日は大谷自身の声明があった。相変わらず誠実だと思う。それにしても一平さんはどこ行った? キチジローのたれ込みによると、釜山から船で対馬に渡り、今は五島列島の隠れキリシタンの村に潜伏しているが、近々、カトリックのつてでマカオに入り、茨林囲のバラックに住みながら、カジノで働く・・・遠藤周作の『沈黙』(1955)を読み始めたが、目の病で文庫本は読みにくく、スコセッシの映画『サイレンス』(2016)を視たほうが早いか、と思い始めてる。篠田正浩の『沈黙』(1970)は原作とかなり異なるらしいが、『サイレンス』は忠実だと聞いている。


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5冊めのブータン絵本集

 昨年春から取り組んできたブータン絵本3作の翻訳本が刊行されました。奥付では3月末日刊行となっていますが、なんとしてでも卒業式(20日)に間に合わせ、引き出物の一つにしたかった。図書情報と目次は以下のとおり。

【図書情報】
書名: アシ・ツォメン みずうみのマーメイド
 ASALAB報告書 第42輯:104p. 科研基盤(C)課題番号18K04543 成果
編集: 浅川 滋男  装幀デザイン指導: QUTUCO
版型: A4版横書 フルカラー
発行者: 公立鳥取環境大学保存修復スタジオ
発行日: 2024年3月31日
印 刷: 西尾印刷所(仮事務所) 
 〒680-0864 鳥取市吉成2-315-1

【目 次】
1.アシ・ツォメン みずうみのマーメイド p.2
2.ギャルポ王とヤンチェン姫 p.40 
3.じんせい なんて そんなもの p.67 
 コラム:トウガラシとチーズ p.39,65-66
 民話解題 p.96

3本の民話、およびコラムの内容については、以下のサイトを参照してください。

1.ブータン民話絵本の解題
(1)アシ・ツォメン: 湖のマーメイド 
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2772.html
(2)ギャルポ王とヤンチェン姫 
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2774.html
(3)じんせい なんて そんなもの 
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2773.html

2.クンサン・チョデン 『トウガラシとチーズ―ブータンの食と社会』の翻訳と考察《2022年度卒論概要》
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2659.html


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ナマズ食の文化史的再評価と郷土料理としての復興(2)

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表彰ー最後の春休み

 はやくも全税協から表彰されてしまいました。助成期間は4月1日から1年間なので、報告書の提出はたぶん来年の今頃になるでしょうが、このたびの表彰は助成金を採択できたことに対するもののようです。
 モデルは「最後の春休み」の院生です。これは昨日(21日)の撮影。最後の最後まで修論をやってました。詰めというのではなくて、ほんの少しの部分を放ったらかしにしていたのね。これまでなら甘やかして代行したけれども、最後の春休みだからこそ、きっちりしてもらいたいと思いました。
 わたしはといえば、この春休み、余っている年次休暇を全て使い、ブータン調査の成果等を院生の修士論文を基に成稿することを誓います、なんちゃって。

《関係サイト》
1,ナマズ食の文化史的再評価と郷土料理としての復興
(1)採択 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2787.html
(2)表彰 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2813.html
2.東鯷人cafe(第1回)満員御礼
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2787.html


 「最後の春休み」。これが作曲者ユーミンのバージョンです。歌唱力はハイファイセット(昨日アップ)、味わいはユーミンですね。1979年リリースのアルバム『OLIVE』所収。大学4年生=卒業の年だ。明日以降はカバーを探しますよ。

答辞と記念品交換

 答辞のテキストデータが届きましたので、ここに掲載します。


答辞

 寒さの厳しかった冬も終わり、桜の花が咲き始める季節となりました。本日は、私たち卒業生のためにこのような盛大な式を挙行していただき、誠にありがとうございます。江﨑学長をはじめ、教職員の皆様、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様、保護者の皆様に、卒業生一同、心よりお礼申し上げます。
 4年前の春、これから始まる大学生活、新しい環境や出会いに心躍らせ、この公立鳥取環境大学に入学しました。しかし、待っていたのはコロナウイルスによる規制でした。入学式はなく、授業はオンライン、サークル活動は制限され、1年次の大学祭は中止。人と関わる機会がなく、ただ起きて、ご飯を食べて、家で授業を受ける。その流れを繰り返すだけの毎日を過ごしていました。
 2年次からは徐々に制限が解除されはじめ、大学へ行く日が増えました。活動できることに嬉しい気持ちのなか、ある日、楽器を背負った人の後をつけ、部室に飛び込み、勢いのまま吹奏楽部に入部しました。コロナの影響で活動ができず、規模が小さくなってしまった部活を再構築しようと決め、イベントの参加、学内自主演奏会等、少ないメンバーで率先して動いているうちに人が増え、たったの4人だった吹奏楽部は、20人ほどまで成長しました。部を一から作り上げるという経験、これは一人でできることではありません。縁があって集まったみんなの力がなければ成し遂げられませんでした。一緒に吹奏楽部を作り上げたことは絶対に忘れません。非常に濃い時間を過ごし、吹奏楽部での経験は私を大きく成長させました。
 また、授業、ゼミ、アルバイトなどで多くの友人に出会いました。何気ないことかもしれませんが、家に集まって勉強をしたこと、好きなバンドの話、一緒に歩いた帰り道もよく覚えています。みんなで行った卒業旅行、ゼミのフィールドワークで訪れた国内外の多くの場所、部の打ち上げ、個人的に開いてくれた誕生日会や送別会など。みんなとつながった縁が、ここの場では語りきれないほどの青春を形作ってくれました。
 もう少し、あと少し一緒に過ごせると思っていた分、今日この日に寂しさや辛さを感じている人もいるでしょう。それでも人生は次のステージへと進んでいき、そこにはたくさんの人との出会いが待っています。「我、人と逢うなり」と書く”我逢人”。人と逢うことからすべては始まる。人との出会いの尊さを表す禅語です。たとえ些細な縁でも、人との出会いは何かを生み、自分自身を成長させてくれます。これから壁に直面して気持ちが沈んでしまうこともあるかもしれませんが一人じゃない、人と支え合いながら、毎日を一歩ずつ歩んでいける皆様のステージが、人との出会いで輝かしいものであるよう願っています。
 最後になりましたが、ご指導いただきました先生方、サポートしてくださった職員の皆様、多くの時間を共に過ごしてきた友人たちに改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。そして後輩の皆様のご活躍と、公立鳥取環境大学のより一層の発展を祈念し、答辞とさせて頂きます。

令和6年3月20日
卒業生代表 環境学部 環境学科
尾前 輝幸

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記念品交換

 21日(木)11時半、本通りの「吾妻そば」集合と決めていたのだが、家を出る直前に一平さん問題を報じるTVニュースが目に入り、動けなくなった。これは相当ヤバイ話である。大谷選手自身はスポーツ賭博をやっていないだろうが、司法がどういう判断を下すか、予断を許さない。


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学位授与式

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東の宣誓から尾前の答辞まで

 3月20日(水/祝)、午前10時から梨花ホールで学位授与式が催されました。卒業生・修了生のみなさん、おめでとうございます。世の中、甘くないけど、しっかり生き抜いてください。
 毎年のことですが、わたしは定刻には入場しません。もう定年が近いので素直に書いておくと、意味の無い長話を聴くのにうんざりしているからです。全員がそうだとは決していいませんが、凄いのがあります。信じられないくらい長いのもある。世アニ入学式のエガちゃんの挨拶を見習えといっても出来ないでしょうが、せめて学生の挨拶・答辞に負けないようなスピーチにしていただきたい。


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 おまけに、この日は低温、みぞれ雪混じりの強風で屋外の歩行に難渋しました。自宅を出る前の着付け(背広・ネクタイ・Yシャツ等)でまたドタバタ、車に乗って着物は乱れ、車を降りて傘の骨はへし折れ、さんざんな状態で大ホールに入ると、ちょうど卒業生代表尾前の答辞が始まる直前でした。


0320卒業式02学部07 張力凡くん(M2) ナマズ研究、上海講演論文訳で大活躍


 思い返せば、2022年4月の入学式で東が大学院生代表の宣誓をしたのが今の体制の始まりであり、このたびの尾前の答辞で一つの時期が終わりました。東の宣誓も好評でしたが、尾前の答辞はそれ以上に評価が高く、「良かった」という感想を職員や卒業生から聞かされました。 ブログに原稿を掲載したいところですが、なにぶんデータは尾前がもっているので、まだ掲載できません。明日、最後の午餐会があるので、そこでデータ共有ができれば、後日公開します。
 しばらくして記念撮影の時間になりました。以下に写真を掲載します。わたしのネクタイがひんまがっていますね。着慣れていないからこうなる。上海講演ではネクタイしなかったな。これからはネクタイなしを通します。


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条件闘争後の記念撮影



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冬虫夏草と宝瓶

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冬虫夏草

 ブータン、上海についで、マカオでも冬虫夏草を買いました。超高価な漢方薬として知られていますが、厳密にはチベット医学の薬草です。チベット高原に生息するオオコウモリガの幼虫に寄生して発生するオフィオコルディセプス・シネンシス(Ophiocordyceps sinensis)をさします。海抜3,000m以上の高地草原の地中にトンネルを掘って暮らす大型のコウモリガ(蝙蝠蛾)は夏に地面に産卵し、約1か月で孵化して土にもぐりこむ。このときに冬虫夏草属の菌に感染すると、幼虫の体内で菌がゆっくり生長する。幼虫は約4年で成虫となるが、幼虫の中で徐々に増えた菌は、春になると幼虫の養分を利用して菌糸が成長を始め、夏に地面から生える。地中部は幼虫の外観を保っており「冬虫夏草」の姿となります。


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 昨年の9~10月に仕入れた冬虫夏草は大きな焼酎の瓶に放り込み、しばし時間を置き、おもにこの冬に湯割りにして飲みました。長距離の自動車運転の後などに飲むと、体がほっこりして疲れがとれます。その焼酎が切れた。ふにゃふにゃになった冬虫夏草が瓶の底に残ったので、新しい焼酎を注ぎこんだが、味変はない。そこで、マカオで買い足してきたわけです。新しい冬虫夏草を17日(日)の夜、焼酎に全て放り込みました。しばらく待って呑みます。


0318宝瓶02 茶は台湾凍頂(マカオ都市大学礼品)


因久山の宝瓶と甘味処

 3月18日(月)、午前中はある作文に集中していた。書類とか論文ではないが、結構エネルギーが要ります。夕方に近い午後、郡家(こうげ)まで買い物に出かけた。一軒目は因久焼の窯元。また、このシーズンになりました。何品か買うと、必ずおまけに一品つけてくださる。今日は高価な急須をいただきました。たぶん玉露などぬるい湯でいれる日本茶に使うのだろうが、今回のマカオ行で大量の茶葉を買ったり、いただいたりしたので、ありがたい品である。
 このような、取っ手(柄)のない急須を宝瓶(ほうひん/ほうびん)というようだ。温い湯で味わう日本茶と違って、中国茶は煮沸した熱湯を使うので、取っ手がないと持ちにくいのが難点だが、風情はある。ちなみに、宝瓶は「ほうびょう」と読みたい。仏教の世界では、花瓶は「けびょう」、水瓶は「すいびょう」と呉音(南朝の音声)で読むのがならわしだから。お茶も仏教、とくに禅と係りが深いからね。
 二軒めは「甘味処」。お茶にお菓子。中国の菓子はぱさぱさの干菓子ばかりで食べにくかった。和菓子は素晴らしいよね。栗きんとん、柏餅、わらび餅、よもぎ餅・・・自分のものだけ買ったわけじゃありませんよ。


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学部代表の栄誉!

 じつは本日、事務室と送受信していて、研究室のウェイチアンが卒業式の首席代表だと知らされた。本人は何も言ってこないのだけれども、めでたいことです。私学時代の建築系環境デザイン学科では、首席の学生をよく抱えたものだが、公立の環境学科になってからは理系指向の学生から選ばれることが多かった。ASALABのような文科系のゼミから首席がでることは稀なので、とても喜んでいる。最後に、西尾印刷所の仮事務所(吉成)に行って、印刷完了した第5作めのブータン絵本を少数受け取った。正式な納品は明日以降なので、これについてはいずれまた!


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我们在香港(2)

0312タイパ島ターミナル02 0312タイパ島ターミナル01 タイパ島


香港国際機場預辦登機服務

 今回のマカオ行は往復とも香港エクスプレスというLCCを使った。香港と関空の往復便なので、当然のことながら、マカオ-香港の移動が必要になる。以前ならフェリーだが、今は海上に大橋がかかっている。しまなみ街道のような道をバスで走り、海の景色を満喫した。8日は香港からマカオに至るまで出入国の手続きがあり、二度下車したが、帰りはマカオから香港空港に直行するリムジンを使った。大変便利である。タイパ島のターミナルで荷物を預け、搭乗券を発券してもらう。おまけに120香港ドル/人のデポジットが返ってくる。仕組みはよくわからないのだが、たぶん香港から陸路または海路でマカオに入り、そのままマカオから帰国すると、デポジットは取り上げられてしまうのだろう。


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秘密の花園 JARDIN DE JADE

 11時台のバスに乗り、昼下がりには香港空港に着いた。朝飯はセブンイレブンのパンだけだったので、腹がすいていて、空港最上階でレストランをみつけて直行。席につきメニューをみて少々後悔した。値が違う。院生に残金を確認してもらい、まぁ行けるか、と判断して、数点注文。果たして、その料理は極上であった。傷んだ胃腸にこれほど優しい料理はない。アワビの燻製、酸辣湯、鶏肉の餡かけ湯麺、小籠包にお茶。わたしは茉莉花茶(ジャスミン茶)、院生は菊花茶にした。上品な宮廷料理風のメニューである。


0312Jardin03小籠包 0312Jardin04湯麺 0312Jardin05食卓 0312Jardin02アワビとスープ


 店名はポルトガル語の JARDIN DE JADE 。ディープルで和訳してみると、「ジェイド・ガーデン」だって。なんのこっちゃ分からん。中国訳では「翡翠花园」。翡翠の花園か。店のサインボードには漢字も使っている。縦書きで「蘇浙」とあり、その中間横に「匯(簡体字では汇)」も記している。匯は彙と同義語であり、「集める」と読む。だからたぶん、蘇州料理と浙江料理をミックスして集めた創作中華ということではないのかな。これは穴場です。香港空港を利用される予定の皆様、JARDIN DE JADE(翡翠の花園)を試してみてください。二人だと8,000円程度でおさまると思います。最後の最後にいちばん美味しい料理を食べることができて大満足でしたよ。


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香辣惹味というのは「スパイシーで風味豊か」を意味し、英語の Spicy and Savory に相当。そんなスパイシーって感じはなくて、穏やかな江南料理だと思いましたが。Savory は「香ばしい」。



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我们在澳門(4)

0311澳門08セナド01ライト02天主01b 0311澳門08セナド01ライト02天主02縦 聖ポール天主堂跡ライトアップ


媽閣廟-マカオの語源

 3月11日(月)、雨がいっそう強くなっており、朝はしばらくホテルで待機した。10時過ぎからまたカウンターで傘を借りて外へ出る。めざすは媽閣廟。マカオ(makau)という地名の起源に係る廟である。以前、本家lablogで詳しく考察したこともある。ここでは要約しておく。マカオは本来、アマカウ(Amakau)と呼ばれていたが、それをポルトガル人が聞きまちがえてマカウ(もしくはマカオ)と呼んだのが地名の始まりだと言われている。


0311澳門01マコ廟07 0311澳門01マコ廟01東 0311澳門01マコ廟01 0311澳門01マコ廟15線香


 アは完詞あるいは接頭辞ではなく、アマ(ama)が水神(女神)、水人、あるいは海を意味する言葉である。誰しも思いつくのは、日本のアマ(海、海女、天)であり、このあたりが環東シナ海漂海民文化の同一性を示唆している。その漂海民の一部がマカオの岬に集まった。拠点となる岬を「阿媽角」と呼び、そこに水神の祠を祀った。ここにいう「角」は日本語の「岬」あるいは「崎」に相当する。「角」の発音は、北京語では jiao だが、広東語では ko 。家舟に住む水人の拠点はアマコ(ama-ko)と呼ばれていた。19世紀になって、水神を祭る祠は道教と仏教の影響の下、寺廟に変身する。その廟は 「阿媽閣」と呼ばれた。 阿媽角に生まれた廟が阿媽閣である。閣もまた広東語で ko と発音する。そのころの水人が阿媽角もしくは阿媽閣を指してポルトガル人に「アマコ」だと教えたところ、ポルトガル人の聞き違えにより a が削除され、その地名をマコと覚え、それがマカウもしくはマカオに変化したと推定されている。余談ながら、日本との比較で思い浮かぶのは「尼崎(あまがさき)」という地名である。


0311澳門01マコ廟04縦 0311澳門01マコ廟09天后 0311澳門01マコ廟17正覚禅林02天后元君01 0311澳門01マコ廟18観音閣


 媽閣廟の祭神は媽祖(阿媽/水人の祖先=海の女神)である。この道教的な表現が「天后元君」、仏教的な表現が「観音」である。前者は大門に近い正殿、出口に近い正覚禅林の二ヶ所で祀られ、後者は最も高所にある観音閣で祀られる。


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マカオの巌

 それにしても、雨である。ここ3年余り、院生との旅を10回程度経験したが、いつも晴天だった。不思議なくらい晴れたのに、2日連続の雨。雨には雨の日の良さがある。媽閣廟は3回目だが、今回雨のなかを全周して、ひとつ思いついたことがある。急峻な山の斜面に岩肌が露出しており、崖のくぼみなどを利用して堂宇が造営されていた。昨年11月25日の日本遺産《三徳山》フォーラム「崖と建築のヒエロファニー」で、台湾の留学生、陳彥伯さん(筑波大学)が取り上げた「台湾の巌(岩寺)と霊山」とはこういうものではないか、と推し量ったのである。


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ピザ・アンド・トスカーナ
 
 媽閣廟を離れ、セナド広場に向かう途中、世界遺産の鄭家大屋(屋敷)がある。そこを次の目的地としたが、途中、ピザ・トスカーナという洒落たレストランを発見。木造のインテリアで古風な匂いがしたので、入って休憩。卵プリンとアイス・カフェオレ(院生はエスプレッソ)を注文した。卵プリンは極上の味。牛乳プリンが広東庶民の味なら、この店のプリンはそんなレベルではない。院生の注文したエスプレッソは大正解だと思った。テイ君が不在になって何かと不便になったけれども、食生活の質は(申し訳ないが)向上した。少なくとも外国人にとっては嬉しい食の変化である。ただ、ひとつ厄介なことがあった。香港ドル、中国元が使えないのだ。現金ならば、マカオのパタカ以外は駄目。電子マネーならOKというので、今回の旅で初めてクレジットカードを使った。海外ではうまくいかないこともままあるが、成功して良かった。パタカしか受け付けないのはマカオ老舗のプライドだろうか。


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世界遺産「鄭家大屋」

 鄭家大屋も、これで三度目だと思う。清末(日本の明治)の大型住宅。建物が高い二階建。とくに二階の丈が高い。新しい証拠である。同じ世界遺産で同年代の盧家大屋(清末)と比べると、ポルトガル色が弱い。盧家のようなステンドグラスはないけれども、中国式家具のバリエーションは豊富で質が高い。
 一通りの見学を終えて、鄭家の入口に近いミュージアムショップに入った。静かなジャズが流れている。ピアノとギターとベースだけの音楽。音が少ない。ビル・エバンスだろうか。別のクールジャズだと思うんだが、ミュージシャンまではわからなかった。そのとき、お腹がごろごろなった。あれっと思い、ただちに厠の場所を訊く。いま歩いてきた道を少し戻らなければならない。二つ目の門を曲がって右に折れる。厠にたどり着いたが鍵がかかっていた。裏庭に出る門口があったので、急ぎ・・・・*+‘P+LO雉JHI%’’打((YF・・・・


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我们在澳門(3)

0310澳門06都市大学05記念撮影01b 0310澳門06都市大学05記念撮影01


マカオ都市大学との交流

 3月10日(日)午後4時前、タイパ島のマカオ都市大学(澳門城市大学)着。車を降りると、ただちに李孟順先生(創新設計学院助理教授)の出迎え。テイ君の指導教員だった方である。その後、王兪雅先生(同)もあらわれ、待機。二人とも台湾高雄の出身。建築史専攻ではなく、デザイナーだが、澳門の歴史的街区の再生にかかわっているようで、分厚い報告書を頂戴した。いきなり、「学生は15,000人」で「大学の面積が小さすぎる」と仰る。ポルトガルの高名な建築家、マニュエル・ヴィセンテ(Manuel Vicente)が設計した瀟洒な建築で、ゆうに環境大の3~4倍はありそうだが、小さいと言われると耳が痛い。1981年、東亜大学(UEM)として開学、2011年2月にマカオ都市大学(City University of Macau)に改称された。


0310澳門06都市大学03ギャラリー03 0310澳門06都市大学03ギャラリー02


 しばらく待つと、黄広副教授があらわれた。黄先生は文化財保護、とくに保存科学が専門で、上海の研究機関から引き抜かれたという。廊下や研究室の壁際をギャラリーにしていて、いろんな時代、いろんな国の遺物や絵画が展示してあり、説明していただいた。驚いたことに、チベット仏教タンカ(懸け仏画)のコーナーがあり、そのなかにボン教の絵も含まれていた。また、隋唐時代という小さな磚仏はみな龕におさまっており、玉虫厨子背面壁画の宝塔図を彷彿とさせる。大学の面積が小さいので、専用の博物館がつくれないと嘆かれていたが、こういう廊下や研究室を利用した展示もわるくないと思った。


0310澳門06都市大学01チベットボン絵画02 0310澳門06都市大学02隋唐仏01 0310澳門06都市大学03ギャラリー01 0310澳門06都市大学04中庭01


茨林囲の謎
 
 ありがたいことに、夕食にご招待いただいた。近代的なビルの2階にある飲茶の店。飲み物はお茶だけにした。飲茶なんだから、お茶だけが正しい。次々と小皿物、蒸し物、デザートがでてくる。「うましら~」を連発。茨林囲を話題に取り上げた。マカオ側は、茨林囲が日本人の居住区だと確信している。
 前日(9日)、黄杖記から聖ポール天主堂跡の脇道を上って反対側の「茨林囲」を訪れた。茨林囲は、豊臣・徳川政権に弾圧されたキリシタンが住み着いた場所だという伝承がある。聖ポール天主堂は1602~40年にイエズス会が建設したものだが、その彫刻などの製作に日本から逃れたキリシタンが参加したというのだ。茨木囲は古めかしい木造の姿を残す路地裏ではなかったが、八割以上の住戸が平屋建てである。一般に建物は低い方が古い。その軒と棟の下がったバラック風の建物は、幻覚囲の二階建て住戸とは根本的に異なる。建物の裏側に中庭もない。中華風ではない小型住宅群がそこにひろがっていた。もう一度言うが、これは中国住宅の伝統にないスタイルであり、たしかに日本の裏長屋群を彷彿とさせる。調査の価値はあると思った。


0309マカオ06茨林囲06街並み 0309マカオ06茨林囲06地図


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我们在澳門(2)

0310澳門01アンドリュー03カフェ04 0310澳門01アンドリュー03カフェ03エッグ01


解放の地-コロアネ島のエッグタルト

 3月10日(日)、夜中にリバプール対マンCの一戦があるため、若い二人はそわそわしている。朝食は、近くのフードコートへ。以前は街頭にあった屋台を、マカオ政府が衛生の管理から、ビルの2階に集中させたものである。初めてマカオを訪れたころ、つまりまだ歴史地区が世界遺産に登録されていない昔、屋台でフォーを食べた。屋台ならでは風情があり、とても美味しかった。屋台の文化を失わないようにしたほうがいい。同じフードコートをつくるにしても、ビルの2階ではなく、ラルゴ(前地=広場)を利用して都市に活力を与えたいものだ。

【飲食1回目】ビル2階のフードコートで広東粥、小籠包、豚足ラーメンなど
0310澳門00朝食01 0310澳門00朝食03豚足ラーメン 0310澳門00朝食02小籠包01


 そこからコロアネ島のアンドリューストアをめざす。いったんバスに乗ったが大混雑で、早々に下車してタクシーに乗り換えた。テイ君が電話でタクシーを呼び寄せてくれた。タクシーは、日本と違って、すぐにやってくる。そしてアンドリューストアで、念願のエッグタルトに再会。一人二個ずつ買って、いつものとおり、道路対面の広場で食べようと思っていた。


0310澳門01アンドリュー01 0310澳門01アンドリュー02


 思い出すのは2001年の2月、研究所を卒業し、環境大に移籍する直前のこと。マカオを訪れて大陸に居たある人物と合流し、広場でエッグタルトを頬張った。何もかも解放される。嬉しくて仕方なかった。発掘調査、当番室長(番長)の業務、中国との交流(日中都城の比較研究)、京大人環併任助教授、建造物調査、そして平城宮の復元事業。発掘調査だけでも免除してほしいと希望していたが叶わず、鳥取に異動することに家族の反対もあったが、決心を固めての卒業旅行だった。もう発掘も番長もやらなくていい。復元事業で研究所OBの圧力に苦しむ必要もない。気持ちが晴れ晴れとしていた。アンドリューストアは、そういう解放を記念する場所なのである。

【飲食2回目】アンドリュー珈琲店でエッグタルトを食べる
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我们在澳門(1)

0309マカオ05セナド広場03ポール02 0309マカオ05セナド広場01


この上ない喜び

 3月9日(土)、早朝から騒動があった。パスポートが見当たらないのである。蒼ざめて泣きそうになったが、40分後に発見。こんなうれしいことはちょっとないですね。昨夜、村の鬼のことを喋りすぎたからかもしれない。昨年のブータンでも、ウェイチアンが激しく車酔いしたのは、村鬼の線攻撃だという説もあり、ベンジ村のギョンカン(土地神の部屋)での読経邪霊により厄が離れたと噂された。


0309香港10パスポート発見 0309マカオ05セナド広場02


 その後、本日、

 【1度目の飲食】 ホテル対面のマックで朝食セット

を注文。部屋に戻って食べた。高くて不味い。安ければまだ許せるけど、香港はいちばん高いのだそうだ。エガちゃんねるのマックの回を思い出す。これ、人間の食べるものじゃないよ・・・●の食い物だよ・・・などと回想していると、早朝深圳の家を出たテイ君から電話あり。彼の乗ったタクシーは近くまで来ているという。10時前、ホテルの門前で落ち合った。まずは握手から。1年経ったんだな、感無量。マカオ行きの高速バス乗り場までタクシーで移動し、10時50分発のチケットを購入。半時間以上時間があり、テイ君がお腹すいたというので、

 【2度目の飲食】 チャーシュウで有名な近くの大衆食堂(蘭苑?)

に入り、テイ君はチャーシュー丼、院生は湯麺を食べたが、わたしはミルクコーヒーにとどめた。


0309香港01蘭苑03 0309香港01蘭苑01 0309香港01蘭苑02


 高速バスは出国と入国の手続きがあるので、二度降車する。昼下がりになって、マカオのセナド広場に近いロンドン・ホテルに着いた。すぐに街に出る。ここでまた食事(昼食)。

 【3度目の飲食】 セナド広場に近い大衆食堂「霊記」

テイ君、院生ともにチャーシュウ丼系、わたしは鶏足のみ。


0309マカオ01霊記01 0309マカオ01霊記02 0309マカオ01霊記03


囲屋を訪ねて

 今回の目的は囲屋(ウェイォッ、路地裏長屋群)の視察。囲屋群は、歴史的市街地ならば、あちこちにあります。伝統的な「住吉の長屋」だね。間口は3m程度だが、裏に中庭があるんだから。四合院の極細型二階建て。これが中華系長屋です。路地の入口には、しばしば土地廟が置かれ、角地に石敢当を立てる。廟の天井から吊るされた巻線香をみると、なんだか懐かしい気持ちになる。


0309マカオ02公チャイ(人+子)囲01土地廟01 0309マカオ02公チャイ(人+子)囲02石敢当01 公仔囲の土地廟と石敢当 


 テイ君が在学中に発表した幻覚囲のことが気になっていた。伝統的な建築様式をよく残しているように思えたからだ。現地を訪れてみると、すでに連続する3軒は空き家になっている。路地に面して壁が立ちあがるが、裏側はボロボロ。扉板にマカオ政府の張り紙あり。危険家屋につき、ちゃんと維持修理せよ、というお達しである。テイ君によると、管理者がわからなくて、行政が手を出せないらしい。光復囲など他の囲屋地区では、空き家となった建物を鉄骨で保持していた。「マカオ政府はカジノで潤っているので、この程度の修復/改修なら軽くできる」というのだが、幻覚囲に関しては、手が出せない状態にあるらしい。幻覚囲の建物は朽ちて古めかしいが、背の高い二階建であり、中華系長屋そのものであり、清末・民国時期の建築であろう。


0309マカオ03幻覚囲01 0309マカオ03幻覚囲02 0309マカオ03光復位01鉄骨01 【左2枚】幻覚囲 【右1枚】光復囲


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我们在香港(1)

香港01バス写真 香港01バス写真02


バスと飲茶と円安と

 とりあえず香港まで来ました。何年振りかな。記録を遡ると、2005年のスコットランドからの帰りに香港でトランジットがあり、空港内の「福茗堂茶寮 FOOK MING TONG Tea Shop」で凍頂茶と水餃子を食べており、餃子にまぶした粉を茴香だと推測しているが、その1年半後に模様替えした香港空港で福茗堂茶寮を探し、粉末も茴香ではなく、木犀だと修正した。だから、たぶん15年ぶりかな。1980年代前半の香港は大陸側に比べて圧倒的に発展した未来都市だったが、今はもう上海など大陸側の大都市に追い越されている。決して突出した場所ではなく、ただ二階建てのロンドンバスが古き良き時代を回顧させる(香港の幸福度が高いという説は信じられない)。夜中の9時前にホテルのまわりで、飲茶(ヤムチャ)の梯子をした。高くつく。香港ドルの値段は地元民にとって、そこそこだろうけれども、円安がすさまじいので日本人はその1.5倍に感じる。
 為替ですね。1USD≒150円、1中国元=1香港ドル(約20円)。コロナ禍前の1.5倍だ。香港人が1000円と感じるラーメンが日本人には1500円の体感があるということ。ブータンを例にとると、以前は1週間の滞在で、学割の効く学生が25万円以内、一般成人が35万円前後だった。今は学割もなく、一律50万円を超える。学生を補助するのにも限度があるので、ことしは連れていけるかどうか分からない(村鬼の浪費が後遺症を残している)。


飲茶04


 円安ドル高で大儲けてしている人もいる。儲けてる人がいるから、政府は円安を抑制しない。輸出産業や投資家はウハウハだが、国民にその利益は還元されない。となれば、老いも若きも自ら投資家にならざるを得ない。わたしも投資しています。アメリカの複合的なファンド。みんなやってるから秘密にするほどではないであろうし、年金を失う若い世代は賭けに出なければ晩年を生き抜けない時代になっていない。



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ブータンの崖寺と黒い秘奥の空間-魔女・悪霊・土地神の変化と不変

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米子北高校出前授業自主BAN講演

 昨日(6日)は、すべったみたい。高校生相手だから心配はしていたけど、今年9回目の講演で一番手応えが薄かった。講義開始前、わたしはこういう挨拶をした。

   今日の授業は、本学の1~3年生を対象に講義している教材をアレンジしてきた
   ものです。心配なのは、君たちの学力がよく分からないこと。でも、本学の低学年
   の学生がついてきてくれるのだから、高校の進学コースならいけるだろうと思いま
   した。2日かけて真剣に準備してきたので、君たちも真剣に聴講してください。
   難しいかもしれないけれども、チャレンジだと思って聴いてほしい。


米子北お土産 0306米子北01


 題目と構成は以下のとおり。

ブータンの崖寺と黒い秘奥の空間 ー魔女・悪霊・土地神の変化と不変-
 0.ヒマラヤ山麓の仏教/非仏教的世界
 1.雷龍の彼岸 -不丹的淺村先生
 2.西ブータンの崖寺と瞑想洞穴
 3.魔女・悪霊・土地神の調伏と祭場 -ボン教/非仏教的神霊の民俗世界
 4.優位と劣位の反転

 核心となる部分は3.ですが、一部のスライドに自主BANを貼りました。それでも、たまげたかもしれないけどね。ポーっとしたりしてね。あとで入試広報課の女性に訊ねたら、「大丈夫だと思います」とのことでしたけど。やはりエガちゃんの言葉が頭を掠めます。99人が笑ってくれなくても、一人が笑ってくれたら、それで勝ちじゃねぇか。一人でいいから、この講義に反応してヒマラヤの仏教/非仏教的世界に興味をもってくれたとしたら嬉しい。
 講演後、院生と二人で西尾印刷所仮事務所へ。ブータンの絵本最新作の初校をした。どじってました。A4横版を指定していたのだが、これまではB5だったのね。A4には違和感があったけど、もう後戻りできません。さぁ明日から、香港・マカオだ!


0306米子北02 自主BAN


《関係サイト》
遥かなるNews250
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2779.html
今年度最後の講演-米子北高校出前授業@本学
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2797.html
ブータンの崖寺と黒い秘奥の空間-魔女・悪霊・土地神の変化と不変
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2803.html

おまえは一人じゃない!




 今夜は、もうこれですね。24時間前、さぁ寝ようと思って、充電し終えたスマホを開いたら、これです。参りました。降参、ギブ。前回は下品でね、怪しいインド人の売人に媚薬を薦められ、多摩袋のまわりに素手で塗りまくられた結果、激痛が走るというドッキリ。札幌すみれ「塩」の回に降臨した少女にみせられんだろ、と複雑な気持ちになったんだけど・・・その直後にこれだから。
 まぁみて、登録して。あたおか増えれば、平和になる。


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初めての冷凍食品とカップ麺




高齢化社会の救世主

 閏2月の晦日、我がゼミの将平は修論を提出し、ロスの翔平はインスタで結婚を公表した。めでたいですね。29歳だから29日を選んだという説あり、おまけに、ドジャースと契約した12月11日はお嫁さんの誕生日ではないか、と詮索されているようです。射手座の女か、付き合ったことないな・・・大谷くんの誕生日は7月5日の蟹座。射手座と蟹座の角度は150°です。相性は・・・言いませんが、きっと上手くいくでしょう。
 よせばいいのにネットを漁りましてね。いま最有力候補と目される女性は、東京オリンピックで大活躍した町田瑠偉さんと同じチーム、大学では須﨑優衣さんの先輩のアスリートだったんですね。何の直接情報ももっていませんが、この人なんじゃないかな。写真をみて、さもありなんと思うのです。なぜかというと、我が一生に一度だけ、この女性に似た人物に巡り合ったことがあるから。よく似ています。背が高くて、西欧人のような顔立ちをして、いつも笑顔で朗らかで。その人物はすでに歳を重ねてしまいましたが、若いころなら大谷くんのお嫁さんになっても不思議ではないくらいの魅力があった。だから、噂になっている人に合点がいく、という独断と偏見に満ちた憶測です。。。ごめん。


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冷凍のチキンライスとあんかけラーメン

 それはさておき、こちらの将平くんは修論作成で苦労しました。それに付き合う私も疲労が重なった。夕飯づくりが億劫になって、ついつい冷凍食品で済ませていました。それというのも、エガちゃんねるの冷凍食品の回がおもしろくて、昨日もセブンのすみれチャーハンを紹介したばかりですが、もっと他に嵌ってしまった食品があるので、取り上げておきます。
 いちばん食べたのは、冷凍食品の回で基準(100点)となったニチレイの「完熟トマトのチキンライス」です。これは美味い。トマト味濃厚、昭和の古典的味覚で、懐かしい。すでに数回食べましたね。まちなかキャンパスの会場設営を手伝ってくれた小錦くんにも一袋分けてあげたんですが、大好評でした。これからも週一くらいのペースで食べ続けると思います。


04横浜あんかけラーメン02完成 04横浜あんかけラーメン01袋

 
 マルハニチロの「横浜あんかけラーメン」は、冷凍食品リベンジの回で130点をたたき出した冷凍界のキングです。凄く美味しい。店で出してもばれないでしょうね。中華丼のラーメン版かな。オイスターソースの淡い隠し味が効いている。即席系のラーメンでは、最上級だと思いました。ただ、美味しくするために、具材をまずレン珍して、別に鍋に湯を沸かし、暖めた具材と冷凍麺を煮込むという手間がちょっとだけ面倒です。その手間がない分、チキンライスやチャーハンが楽だね。実際、「横浜あんかけラーメン」はまだ二度しか買ってません。しかしともかく美味い、野菜もシャキシャキで、全体にヘルシー感があります。お薦め!
 エガちゃんねるでは、冷凍食品は一人者の必需品としてますが、高齢化社会の必需品でもありますね。ご飯つくるの面倒だけど、レン珍珍だけで、これだけ質の高い料理が食べられる。値段もほとんどが300円代で、年金生活の負担にならない。肉や野菜を買い揃えると、高くつくからね。退職後の生活を支えてくれるでしょう。冷凍食品、レベル上がって、ほんとに嬉しい!





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春を待つすみれ

0301正露丸01 0301コーヒー缶 右は北大土産


立つ鳥冷蔵庫を残さず

 閏二月の晦日(29日)、院生が修士論文を学務課に提出した。わたしも同行した。とても苦しんだが、なにぶんテーマが難しいので、よくやったと言うほかない。翌3月1日、久しぶりに4年生以上がそば切り「たかや」に集まった。とこが、いつもは大食で知られるウェイチアンが苦渋の顔つきで食が進まない。食前、食中に二回続けて厠に立った。車中に正露丸がないか、探してみたが、見当たらない。一年前まで正露丸は常備薬で家にも車にも必ず1瓶あったのだが、昨年5月の入院から処方された薬に胃腸薬が含まれており、おそらくその影響で、米異は石のように硬くなり、産みの苦しみを悟ることとなった。車中で太田胃酸を数袋発見。とりあえず厠から戻ってきた学生に二袋渡したが、この薬で腹下しはおさまらない(前夜に食べたホルモンが原因?)。近くのウェルネスまで正露丸を買いに行った。
 一方、院生は表情が一気に明るくなり、研究室の大掃除に精を出した。このあたりが、普通の学生と違うところなんだな。ゴミを拾う大谷翔平的なところがある。4年間、ここで暮らして、とうとうあと3週間でおさらばであり、立つ鳥跡を濁さず。結構な仕事量となった。かくいうわたしもこの日はがんばりましたよ。いちばん大変だったのは、冷蔵庫の処分。3台のうち2台の冷蔵庫を業者に引き取ってもらった。売れるかというと、そんなに甘くなく、家電リサイクルなどの経費やら手続き費などで、1台平均1万円を超えた。ディスカウントを訴えたが、受け入れてもらえなかった。一年後の引っ越しに向けて、少しずつ準備をしていくしかない。次は古本屋に来てもらうか。


0301冷蔵庫01 0301すみれチャーハン

 
 ひと昔前とちがって、冷蔵庫は誰でももっている。なかなか受け取り手はいない。しかししかし、じつは惜しいことをした人物がいる。ナマズ捕獲を主導したジーチュアンは北海道の学会から前夜帰国したばかりで、研究室に北大土産を届けてくれたので、ついでに大掃除を少し手伝ってもらったが、生物系資料の保管のため冷蔵庫を買ったばかりだという。彼に1台譲れば良かったのである。それで経費は半減したのにね。彼もわたしもあと1年なので、ともかく荷物を貯めこめない。これから1年は安易に本を買うのも控えなければいけない、ということで、このたびの修士研究でほしかったR.A.スタイン(1972)の Tibetan Civilization も『るるぶエガちゃんねる』もアマゾンの買い物カゴに入ったまま買い物ボタンを押せていない。
 そのエガちゃんねるで大好評を博した札幌すみれの塩ラーメンのカップ麺が千歳空港で販売されている、というので、ジーチュアンに頼んでおいたのだが、「時間がなかった」ということで買ってきてくれなくて残念だった。すみれの味噌ラーメンならセブンで買えるのだが、いまや大注目の大穴は「塩」でして、とくに今あたおかたちは、すみれの塩ラーメンを食べたがっているはずだ。しかたがないので、帰宅後、すみれのチャーハンを解凍して食べた。ニチレイのチキンライスほどではないが、セブンのすみれチャーハンもかなり美味しい。研究室でも一度食べたが、院生はその味に唸っていた。



1982年の作品だって。和声デビッド・ボウイだな、おまけに中華とカントリーまでミックスしている。YMOより進んでたんじゃないか。エリート感がなくていい。一風堂というバンド名が意味深でしてね。豚骨ラーメンの一風堂の店名はこのバンド名に因んでおり、ヒット曲「すみれ」は札幌ラーメン老舗の店名ですからね。一方、セプテンバーといえば竹内まりやですが、1982年は中国に渡った年で、家内が日本から送ってくれたアルバム『POTRAIT』(1981)のカセットテープを毎日何回も聴いていた。40年前のことなんだ。アンゲリカはどうしているだろうか。

ブータンにおけるボン教/非仏教系の遺産-クブン寺とベンジ村を中心に-《2023年度修論概要》後編

修論スライド15(東) 修論スライド15追加図(東)
スライド15+追加図2

4.ボン教徒の隠れ里ベンジ村
 
 トンサ地区の山村、ベンジ村には村人が共有する伝説がある。8世紀後半、吐蕃の版図を最大にした仏教王ティソン・デツェンには3人の息子がいた(4人説あり)。王はボン教から仏教へと国教の舵を切り、国民の仏教への帰依を求めた。王の2人の息子もそれに従ったのだが、一番下の息子だけはどうしてもボン教を捨てられない。そこで、王は「おまえはラサでは生きられない。遠くに逃げろ」と命令する。その末っ子の王子が落ちのびて居着いた場所がベンジだということである。2022年12月26日、ベンジ村に着いてすぐ、「明日は祭りがあるから、今日はボンの旗を立て替える」ということで見学した。仏典旗とは異なり、ボンの旗は綿帽子を載せる。旗竿には複数の動物を描く紙札を貼る(追加図2)。


修論スライド16(東) スライド16


 ボンの旗が立つ高台からは、流域の守護神ムクツェンが棲む霊山を遥拝できる。旗を立て終わると、願いが叶うようムクツェンの峰を向いて、まじないを唱える。その後、勢いよく焼酎アラッを旗竿や周囲に振り撒き、自らも呑む。ボン教徒がムクツェンを祀る点には注意を要する。ムクツェンはボンの神ではなく、流域の守護神だからだ。言い換えるならば、クバーネⅣ期にあたる神霊である。ベンジ村の人々は吐蕃王朝期のボン教徒の末裔であるならば、その信仰はクバーネⅠ期を継承している可能性がある。つまり、クバーネⅠ期の原始ボンとクバーネⅣ期の現代民間信仰には一定の連続性があるのかもしれない。


修論スライド17(東) スライド17


 ベンジ村にはカーストが今も残っており、旧封建領主の地主の邸宅をナグツァンと言う。ここはゲストハウスでもあり、わたしたちも3階の部屋に寝泊まりして調査した。母系の大家族がここに暮らしており、近隣の親戚もしばしば集まる。3階の中央間は仏教寺院の本堂とみまがうほど立派な仏間である。90歳を過ぎたおばあちゃんは、毎日何時間もここで読経している(お迎えが近いから)。仏壇の中心には、無量寿仏(アミターユス)、釈迦、グル・リンポチェなどを祀り、左右の壁画には、忿怒尊バジラキラヤや歓喜仏ヤプユム、ドゥク派の高僧などを描いている。


修論スライド18(東) スライド18


 ベンジ村でも、仏間以上に、その奥にあるギョンカンが重要である。ギョンカンには、流域の守護神ムクツェンが祀られているが、偶像ではなく、ご神体が厨子の奥に隠されている。ただし、ムクツェンの用心棒である武勇神カタップの等身大立像が左奥の隅にあって祭壇を守護しているので、暗い部屋全体のおどろおどろしさはクブン寺以上に迫力がある。ふつう外部者はギョンカンに入ることができない。わたしたちがナグツァンに滞在したとき、姪の女性が手伝いにきていた。その女性は近々アメリカに移住することになっており、ビザ取得が順調に運ぶことを願って、僧侶を3名招き、ギョンカンで祈りの読経をした。非仏教系のムクツェンを祭る司祭が仏教の僧侶である点は、仏教とボン教/非仏教の融和、あるいは「仏教のチベット化」(Imaeda 2010)を感じさせる。ナグツァンの男主人によると、仏教は悟りと係る高尚な哲学として重要だが、自分たちの生活とは縁遠い存在だと言う。一方、ボン教の祭神たるムクツェンは、日常生活にご利益をもたらし、厄災を遠ざける必要不可欠の神様とみなされている。住宅の中心的位置を占めているのは仏間・仏壇だが、その奥の小さなギョンカンに祀られているムクツェンが日常世界では、最も重要な崇拝対象となっている。


修論スライド19(東) スライド19


5.流域の守護神とヒマラヤの守護神

 調査の最終日に必ず訪れるパロの仏教寺院ゾンドラカで、多数の仏典旗に混じった1本のボン旗を発見した。また、本堂奥のギョンカンには、流域神ダンチェン・ドルジ・レクパを祀り、その前方には武勇神カタップの像を配しており、仏教寺院でもボン教徒の村と似たような要素を確認している。


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プロフィール

魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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