崖と建築のヒエロファニー 三徳山《日本遺産》フォーラム(報告7)
11月25日(土)に開催した日本遺産《三徳山》フォーラムでは、午前中に40名近い学生が投入堂めざして登山しました。2年生32名を3班(A班・B班・C班)に分け、それぞれに案内人とサポートをつけたのですが、まず雨上がり(時々小雨)状態で足元がわるく、靴底チェックでひっかかり草鞋に履きかえる学生も少なからずあって時間を要しました。3班が時間差をもって登拝を始めたのですが、進行思うにまかせず、先発のA班のみ投入堂到達、2番手のB班は文殊堂まで、最後列のC班は鎖坂の下までとなって、フォーラムにあわせて下山しました。このことを知ったわたしは大変ショックであり、フォーラム中に何度か謝罪しました。今夜は投入堂まで上がったA班の感想をお届けします。なお、今回の登拝にあたっては、入山料・草鞋代の全額を日本遺産の会にご負担いただきまして、ここに記して感謝申し上げます。
厳しい登山に班員の心の距離が縮まった
私はA班のグループで投入堂までたどり着くことが出来たが、時間がなかったため、急いでの登頂となり、あまり詳しい話を聞くことが出来なかった。登るにあたってその道のりがかなり険しく、ところどころ藁などが地面に敷いてあって、引率の方に話を聞くと、登拝する人が増加してきており、地面が踏み削られることからボランティアで学生や自衛隊の方が補修してくださっていることを知って、あの道に重機などの機械を持ち込むことが出来ないため、人の手によってされていたこと、その労力に感謝しながら登りました。登るまでの最中には自分の力や体感しか頼れるものがないような場所もあり、何度も危ない場所を通るたびに緊張が走りました。自然は人をコミュニティに帰属させる効果を持つことを耳に挟み、登山をしているときにすれ違った人に挨拶や軽い世間話などをしていて、これがその効果なのかと実感しました。また、鐘楼ではA班の班員の一人が代表として鐘を搗いていたのですが、今までの登りに対する疲れも相まってしみじみと音を楽しみました。投入堂の手前には社のような小振りの建物(元結掛堂)があり、そこに住職が自分の髷、髪の毛を納めることを知りました。登る道のりは険しく大変なものでしたが、たどり着いた時の感動はすさまじく、はじめはあまり会話の少なかった班であったが、一気に心の距離が近づいたことを感じました。投入堂がどのようにして建ったのかがわからず、解明してほしいと思いながら下山しました。今回の登拝でははじめに述べたように、あまり詳しい説明を聞くことが出来なかったけれども、フォーラムでの説明で実物を見たことによってより興味を持ち集中して拝聴することが出来、次は夏に草履をはいて登ってみたいと思いました。(A班班長1AR)
修行者はこんな怖い想いを乗り越えて特殊な力を手に入れたのか
三徳山や周囲の山の紅葉がとても綺麗でした。また、登山道やその側など簡単に見えるところに両手を広げたほどの直径の杉が生えているのを見かけました。信仰や修行の場として、手入れはされているが最低限で、伐採とかはないため、植物の種類が多く自然が守られているなと思いました。歩きやすい道ではなく、岩や入り組んだ根を足場にしたり手を使ったりして進んでいき、自然の険しさを感じました。落ちて死ぬのではないかと怖くて登れなかったため、私が行けたのは鎖坂の前までです。修行者は臨死体験をしていたそうですが、このような経験を繰り返し、乗り越えていたなら、実際に何か特殊な力を手に入れられたのかもしれません。文殊堂を見上げて、材料を持ってきたとしても山の木を使ったとしても、どうやって建てたのか不思議に思いました。投入堂まで行けなくて残念だったので、次は晴れた日に荷物を減らして挑戦したいです。(8IK)
鳥取学で学んでから是非行ってみたいと思っていた
私たちの班は、投入堂までたどり着くことができた。着くまでの道のりはとても険しくて怖くて何度も引き返したくなったけれど、同
じ班の子たちと励ましあったり、案内してくださったガイドさんに励まされながら、登りきることはできた。登っている途中も、ガイドさんがうまく登れる方法や気を付ける点、お寺の説明などをたくさんしてくださり、たくさんのことを学ぶことができた。実際に投入堂を見た時、迫力があって感動した。本当に崖の上に立っていて、当時の建築技術者の発想の独特さに驚いた。修復作業は、がけ下からレールを敷いて行っているということを聞いた。たどり着くまでと下山はとても大変だったけれど、登ることができてとても達成感があった。鳥取学で習ってから、ぜひ行ってみたいと思っていたので、実際に行くことができてよかった。(10IR)
ずぶ濡れ、泥だらけになった最高の達成感
私は鳥取市で生まれ育ったが、三徳山の登山は初であった。小雨で、足元も悪い中での演習だった。特に、自分は靴のチェックで草鞋に履き替えさせられての登山で、最初は正直消極的な姿勢で臨んでしまった。しかし、私たちの班は、投入堂まで登ることができた。ここ最近では、最高の達成感であった。手足がずぶ濡れ、泥だらけになりながらであったが、心の底から参加してよかったと感じる瞬間であった。それは恐らく私だけでなく、班員皆が感じていたことだろう。皆最初は文句を言いながらであったが、最後には笑顔でお互いを称えあい、友情も感じることができた。とても良い機会を与えてくださって、感謝の気持ちでいっぱいです。(13ID)