最後のプロ研-お寿司と魚食のフードスケープ(8)
鹿鮓のカナッペ試食
11月21日(木)のプロジェクト研究4(2年生)では、「郷土のお寿司」レポートをワードで学生がプレゼンした後、1時間程度の調理活動をした。メインは3週間前に漬けた熊鮓の水分を抜き試食することであるが、それだけではもったいないので、現代料理との調和を探る試みをした。すなわち、①秋田のイブリガッコの応用として「鹿鮓とクリームチーズ」をクラッカーにのせたカナッペ、②カレーに鯰鮓の米飯をまぜて味の変化をみる作業をした。その感想を紹介する。私の感想を少しだけ述べておくと、鹿鮓は古漬けになって味が劣化しているのに対して、熊鮓は酸味も甘酒臭も少ない浅漬けで、カナッペにすると、熊鮓が断然旨かった。ところが、学生たちの感想を読むと、ずいぶん違っていて面白い。
左:熊のナレズシpH5 中:熊のナレズシ中身 右:溜まった上澄み液
熊鮓(生)のカナッペはとても美味しかったが、肉厚にすべき
熊鮓4種
まずは熊肉ですが、今回は4種類もあったためそれぞれの味を確かめるのに少し苦労しました。
①熊鮓(生肉): はじめに茹でていない熊鮓を食べました。程よく酸味があり、おいしかったです。4つの中ではこれが一番おいしいく感じました。先生が仰っていたように、まだ発酵が浅いので、微かに甘酒臭を感じたものの、気になるほどではありません。
②熊鮓(生肉)炒め: 次に、生の熊鮓を炒めました。こちらは少し臭みが気になりました。甘酒臭ではなく、獣肉の独特な臭みです。焼いているのになんでなのかと疑問に思いました。しかし、食べるのが無理というほどの臭みではなく、おいしく食べることはできました。
③熊鮓(茹で上げ) 次に茹でた熊肉を生で食べました。生に比べ甘酒臭を感じて少しツンとくるような味でした。
④熊鮓(茹で上げ)炒め 茹でた熊鮓を炒めた場合、味は炒める前とあまり変わらなく、口触りだけが大きく違うと思いました。
以上、焼いたかどうかに関わらず『斉民要術』風に茹でた熊肉は甘酒臭を結構感じました。今回食べたのは少量だけなので自信をもって主張はできませんが、生の熊鮓のほうがよいのではないのか、と思います。今回食べた熊鮓はチンジャオロースや、アスパラの肉巻きに応用できそうです。ピーマンやアスパラのような緑のシャキシャキした野菜にマッチしそうだと感じました。
熊鮓のカナッペ クリームチーズ添え
茹でた熊肉をクラッカーとチーズの上にのせてカナッペとして食べてみたところ、チーズがその甘酒臭を打ち消してマイルドに食べられたので、クリームチーズの役割には少し驚きました。チーズと熊鮓は合うのか、と食べる前は疑問でしたが、チーズが程よく溶けてくれてクラッカーと熊鮓にうまくマッチしていました。ただ、クラッカーに乗せる分の熊鮓を薄く切ったのは私ですが、もう少し厚くてもよかったのかなと思います。熊鮓の風味はもちろん感じることができましたが、それ以上にクラッカーとチーズの主張が強かったように感じました。
鹿鮓(左)と熊鮓(右)のカナッペ
カレーの味変を感じなかった
玉ねぎと生姜が良く効いていて非常に美味しいカレーでした。私も淡路島の玉ねぎスープは大好きで、淡路島を訪れると必ず買うのですが、そのスープからカレーを作られたとのことなので興味深く味見させていただきました。具材がゴロゴロしているカレーは苦手ですが、今回食べたカレーはよく煮込まれていて、ジャガイモをクラッカーに乗せていただきました。下宿しているゆえ普段は冷凍カレーやレトルトカレーしか食べる機会がないので、調理されたカレーを食べるのは久しぶりでしたが、やはり味の熟成度が全く違うなと感じました。残念ですが、乳酸化した米飯をいれたカレーとの大きな違いはあまりわかりませんでした。何かわかりやすい違いがあるだろうと2回試食して味見に努めましたが、違いという点では米飯を入れたカレーは微かに米麴のような食感があるということくらいでした。
柿の葉寿司(智頭)の調査-年末にむけて
現段階で、メンバーのY君、H君と協力して智頭町の「柿の葉寿司」について、店舗の現地訪問などの調査しようと考えています。(2年経営TD)
鹿鮓のカナッペ(材料)
生の熊鮓がいちばん美味しくなかった
鹿鮓とクリームチーズのカナッペ
クラッカーとクリームチーズをあわせた鹿鮓のカナッペを試食した。いぶりがっこのアレンジからナレズシを活用したものであり、ナレズシ独特の風味をクリームチーズのまろやかさがカバーしていて、おいしく食べることができた。鹿鮓は3ヶ月以上経ったもので、前回食べた時よりも肉がとても柔らかく、食感が変わっていて、麴の成分が肉を柔らかくしているのかと思った。ナレズシ単体だと甘酒のにおいが結構効いていて、クリームチーズとうまくマッチしないのではないかと食前は思っていたが、食べてみるとクリームチーズの塩味が先に来てあとからほんのり鹿肉の甘酒感がた。想像していたよりも美味しくて食べやすかった。クリームチーズと一緒に食べることで洋風さが増した。少しクリームチーズが多く、その味が強かったが、そのくらいが鹿肉と合っていて良いのではないかと思った。
ナマズ鮓の飯を加えないカレーが好き
先生が作られた「オニオンスープのカレー」は唐辛子や生姜がアクセントになっていて、ピリ辛で美味しかった。淡路島のオニオンスープの素をベースにしていて、ジャガイモは皮ごとしっかり入っていてコクがあり、すごくおいしかった。それに鯰鮓の飯(乳酸化した米)を入れると、ほんのり飯の風味がしたが、カレーの味がしっかりしているのであまり味変を感じられなかった。食感としては少し米粒を感じた。私個人は、飯を入れない先生のカレーのほうが好きである。
熊鮓を切り分ける
茹でた熊鮓の炒め物が美味しかった
東南アジア式の生の熊肉のナレズシ(熊鮓①)は4種類の中で一番おいしくなかった(先生と至龍さんはこれが一番旨いと評価されたが)。熊肉の生臭さがまだ残っていたり、何が効いているのかは分からなかったが、食べた瞬間酸っぱさがガツンときて、後味に酸味が強く残った。まだ漬けてから3週間しか経っていなかったから、甘酒臭はあまり感じなかった。焼いた生の熊肉(熊鮓②)は生の熊肉をそのまま食べるよりは食べやすいが、味自体はあまり変わらず、酸っぱさや麴などの熊肉の上下に敷いた飯の独特の味が後味としてしっかり残るように感じた。中国式の茹でた熊肉(熊鮓③)は甘酒のにおいを強く感じた。生の熊肉のような酸っぱさはさほど感じられず、後味もスッキリしていた。甘酒感が生の熊鮓①よりも茹でた熊鮓③の方が強かったのは、茹でたほうが発酵が早いからだとろう私は考えた。熊鮓をフライパンで焼いた場合、茹でた熊鮓④が4種類の中で一番食べやすかった。生臭さもあまりなく、焼かずにそのまま食べた熊鮓と味は変わりなかった。後味もすっきりしていたが、4種類ともやはり独特な風味が結構残っており、おいしくはなかった。そのままではなく、アレンジをして食べるべきだなと感じた。私が考えるアレンジはトマトなどで煮込んだ鍋などに入れてみるとアクセントになるのではと思ったが、カレーと同様に肉本来の味がしなくなるのではないかという懸念もある。あとは炒飯などに使ってもいいかと思う。
左:上から時計回りに、熊鮓(生)・熊鮓(茹で)・熊鮓(茹で)炒め・熊鮓(生)炒め 左:熊鮓を炒める
出雲の「すもじ」に挑戦ー年末にむけて
前回のプロ研が終わった後に出雲市出身のみんなで集まってすもじを作ろうという話になった。作り方を確認してそのまま作るのではなく、出雲の特産品である出西生姜をアレンジとして入れてみようという話もした。事前に作ってくれていたひいおばあちゃんにも話を聞いてみて参考にしてみんなにも共有したいと考えている。(2年経営KA)