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最後のプロ研-お寿司と魚食のフードスケープ(8)

20241121カナッペ(鹿)02 20241121カナッペ試食01
鹿鮓のカナッペ試食


 11月21日(木)のプロジェクト研究4(2年生)では、「郷土のお寿司」レポートをワードで学生がプレゼンした後、1時間程度の調理活動をした。メインは3週間前に漬けた熊鮓の水分を抜き試食することであるが、それだけではもったいないので、現代料理との調和を探る試みをした。すなわち、①秋田のイブリガッコの応用として「鹿鮓とクリームチーズ」をクラッカーにのせたカナッペ、②カレーに鯰鮓の米飯をまぜて味の変化をみる作業をした。その感想を紹介する。私の感想を少しだけ述べておくと、鹿鮓は古漬けになって味が劣化しているのに対して、熊鮓は酸味も甘酒臭も少ない浅漬けで、カナッペにすると、熊鮓が断然旨かった。ところが、学生たちの感想を読むと、ずいぶん違っていて面白い。


20241121熊ナレズシ04 20241121熊ナレズシ01 20241121熊ナレズシ上澄み液01
左:熊のナレズシpH5 中:熊のナレズシ中身 右:溜まった上澄み液


熊鮓(生)のカナッペはとても美味しかったが、肉厚にすべき

熊鮓4種
 まずは熊肉ですが、今回は4種類もあったためそれぞれの味を確かめるのに少し苦労しました。
①熊鮓(生肉): はじめに茹でていない熊鮓を食べました。程よく酸味があり、おいしかったです。4つの中ではこれが一番おいしいく感じました。先生が仰っていたように、まだ発酵が浅いので、微かに甘酒臭を感じたものの、気になるほどではありません。
②熊鮓(生肉)炒め: 次に、生の熊鮓を炒めました。こちらは少し臭みが気になりました。甘酒臭ではなく、獣肉の独特な臭みです。焼いているのになんでなのかと疑問に思いました。しかし、食べるのが無理というほどの臭みではなく、おいしく食べることはできました。
③熊鮓(茹で上げ) 次に茹でた熊肉を生で食べました。生に比べ甘酒臭を感じて少しツンとくるような味でした。
④熊鮓(茹で上げ)炒め 茹でた熊鮓を炒めた場合、味は炒める前とあまり変わらなく、口触りだけが大きく違うと思いました。
 以上、焼いたかどうかに関わらず『斉民要術』風に茹でた熊肉は甘酒臭を結構感じました。今回食べたのは少量だけなので自信をもって主張はできませんが、生の熊鮓のほうがよいのではないのか、と思います。今回食べた熊鮓はチンジャオロースや、アスパラの肉巻きに応用できそうです。ピーマンやアスパラのような緑のシャキシャキした野菜にマッチしそうだと感じました。

熊鮓のカナッペ クリームチーズ添え
 茹でた熊肉をクラッカーとチーズの上にのせてカナッペとして食べてみたところ、チーズがその甘酒臭を打ち消してマイルドに食べられたので、クリームチーズの役割には少し驚きました。チーズと熊鮓は合うのか、と食べる前は疑問でしたが、チーズが程よく溶けてくれてクラッカーと熊鮓にうまくマッチしていました。ただ、クラッカーに乗せる分の熊鮓を薄く切ったのは私ですが、もう少し厚くてもよかったのかなと思います。熊鮓の風味はもちろん感じることができましたが、それ以上にクラッカーとチーズの主張が強かったように感じました。


20241121カナッペ(鹿)03 20241121カナッペ(熊)01
鹿鮓(左)と熊鮓(右)のカナッペ


カレーの味変を感じなかった
 玉ねぎと生姜が良く効いていて非常に美味しいカレーでした。私も淡路島の玉ねぎスープは大好きで、淡路島を訪れると必ず買うのですが、そのスープからカレーを作られたとのことなので興味深く味見させていただきました。具材がゴロゴロしているカレーは苦手ですが、今回食べたカレーはよく煮込まれていて、ジャガイモをクラッカーに乗せていただきました。下宿しているゆえ普段は冷凍カレーやレトルトカレーしか食べる機会がないので、調理されたカレーを食べるのは久しぶりでしたが、やはり味の熟成度が全く違うなと感じました。残念ですが、乳酸化した米飯をいれたカレーとの大きな違いはあまりわかりませんでした。何かわかりやすい違いがあるだろうと2回試食して味見に努めましたが、違いという点では米飯を入れたカレーは微かに米麴のような食感があるということくらいでした。
 
柿の葉寿司(智頭)の調査-年末にむけて
 現段階で、メンバーのY君、H君と協力して智頭町の「柿の葉寿司」について、店舗の現地訪問などの調査しようと考えています。(2年経営TD)


20241121カナッペ(鹿)01
鹿鮓のカナッペ(材料)


生の熊鮓がいちばん美味しくなかった

鹿鮓とクリームチーズのカナッペ
 クラッカーとクリームチーズをあわせた鹿鮓のカナッペを試食した。いぶりがっこのアレンジからナレズシを活用したものであり、ナレズシ独特の風味をクリームチーズのまろやかさがカバーしていて、おいしく食べることができた。鹿鮓は3ヶ月以上経ったもので、前回食べた時よりも肉がとても柔らかく、食感が変わっていて、麴の成分が肉を柔らかくしているのかと思った。ナレズシ単体だと甘酒のにおいが結構効いていて、クリームチーズとうまくマッチしないのではないかと食前は思っていたが、食べてみるとクリームチーズの塩味が先に来てあとからほんのり鹿肉の甘酒感がた。想像していたよりも美味しくて食べやすかった。クリームチーズと一緒に食べることで洋風さが増した。少しクリームチーズが多く、その味が強かったが、そのくらいが鹿肉と合っていて良いのではないかと思った。

ナマズ鮓の飯を加えないカレーが好き
 先生が作られた「オニオンスープのカレー」は唐辛子や生姜がアクセントになっていて、ピリ辛で美味しかった。淡路島のオニオンスープの素をベースにしていて、ジャガイモは皮ごとしっかり入っていてコクがあり、すごくおいしかった。それに鯰鮓の飯(乳酸化した米)を入れると、ほんのり飯の風味がしたが、カレーの味がしっかりしているのであまり味変を感じられなかった。食感としては少し米粒を感じた。私個人は、飯を入れない先生のカレーのほうが好きである。


20241121熊ナレズシ02 20241121熊ナレズシ05
熊鮓を切り分ける


茹でた熊鮓の炒め物が美味しかった
 東南アジア式の生の熊肉のナレズシ(熊鮓①)は4種類の中で一番おいしくなかった(先生と至龍さんはこれが一番旨いと評価されたが)。熊肉の生臭さがまだ残っていたり、何が効いているのかは分からなかったが、食べた瞬間酸っぱさがガツンときて、後味に酸味が強く残った。まだ漬けてから3週間しか経っていなかったから、甘酒臭はあまり感じなかった。焼いた生の熊肉(熊鮓②)は生の熊肉をそのまま食べるよりは食べやすいが、味自体はあまり変わらず、酸っぱさや麴などの熊肉の上下に敷いた飯の独特の味が後味としてしっかり残るように感じた。中国式の茹でた熊肉(熊鮓③)は甘酒のにおいを強く感じた。生の熊肉のような酸っぱさはさほど感じられず、後味もスッキリしていた。甘酒感が生の熊鮓①よりも茹でた熊鮓③の方が強かったのは、茹でたほうが発酵が早いからだとろう私は考えた。熊鮓をフライパンで焼いた場合、茹でた熊鮓④が4種類の中で一番食べやすかった。生臭さもあまりなく、焼かずにそのまま食べた熊鮓と味は変わりなかった。後味もすっきりしていたが、4種類ともやはり独特な風味が結構残っており、おいしくはなかった。そのままではなく、アレンジをして食べるべきだなと感じた。私が考えるアレンジはトマトなどで煮込んだ鍋などに入れてみるとアクセントになるのではと思ったが、カレーと同様に肉本来の味がしなくなるのではないかという懸念もある。あとは炒飯などに使ってもいいかと思う。


20241121熊ナレズシ03 20241121熊ナレズシ炒め01
左:上から時計回りに、熊鮓(生)・熊鮓(茹で)・熊鮓(茹で)炒め・熊鮓(生)炒め 左:熊鮓を炒める

出雲の「すもじ」に挑戦ー年末にむけて
 前回のプロ研が終わった後に出雲市出身のみんなで集まってすもじを作ろうという話になった。作り方を確認してそのまま作るのではなく、出雲の特産品である出西生姜をアレンジとして入れてみようという話もした。事前に作ってくれていたひいおばあちゃんにも話を聞いてみて参考にしてみんなにも共有したいと考えている。(2年経営KA)


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公立鳥取環境大学退任記念講演ツアー(予報13)

TKUC_Taikantour_BookH1_2_page-0001.jpg TKUC_Taikantour_A4_7_compressed_page-0001.jpg 表紙は新たにデザイン。裏表紙は全国チラシそのまま


退任記念事業関係論文集 刊行!

 12月7日(土)の東京講演にあわせて関係論文集を編集してきましたが、本日納品されました。ASALAB報告書としては第43輯です。正真正銘、これが打ち止め御礼です。東京大塚講演、大阪堺講演(0113)の聴講者・関係者には全員配布する予定です。書題と目次を示します。

  中後期密教/前密教の建築考古学と比較文化

 目 次  01
 例 言  02
 第1章 Some Heritages of Bon or non Buddhism behind Buddhism
      - From the secluded regions of Bhutan -  03-12
      《日文概要》仏教に潜むボン/非仏教の遺産-ブータンの秘境から 13-16
 第2章 菅原遺跡「円堂」の復元 17-38
      《復元CG4 案》 39-42
 第3章 菅原遺跡円形建物SB140 の復元に係る再検討
      -発掘調査報告書の刊行をうけて-  43-72
 第4章 〔中文〕 古民居再生的新轴线
          —在人口减少地区寻找“居场所”  73-83
       《図版》 84-89
     〔日文〕 古民家再生の新基軸
        -過疎地に探る居場所のあり方-  90-99
  東鯷人の日々 100

《書誌情報》 浅川滋男先生退任記念講演ツアー関係論文集
『中後期密教/前密教の建築考古学と比較文化』ASALAB報告書 第43輯
編集: 浅川滋男・岡垣頼和
総頁数: 100p.
表紙挿画: 土塔復元図(岡垣作図)
装幀: QUTUCO
発行者: 公立鳥取環境大学保存修復スタジオ
発行日: 2024 年11 月30 日
印刷: 西尾印刷所
    鳥取市二階町1 丁目114


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廃材でつくる茶室-撤去解体(予報)

廃材でつくる茶室_compressed_page-0001 廃材でつくる茶室_compressed_page-0002

盃彩亭、解体決定!

 11月20日(水)午後、総務課の職員2名が演習室にやってきた。引っ越しの打ち合わせをしたいと前から申し出されていたのだが、10月5日(土)の三朝講演から26・27日(土日)の環謝祭「東鯷人ナマズ屋」まで慌ただしく、対応できないでいた。総務課に別件(備品管理の問題)で行った際、ついに捕まり、20日の打ち合わせが決まった。早く引っ越しの準備を進めろと言われるんのは目にみえている。引っ越し準備は1年前から取り組んでいるが、とにかく12月7日(土)の東京講演と1月13日(月祝)の大阪講演が終わらないことには気持ちが落ち着かない、これらの講演会で配布する論文集の編集・刊行にも時間を費やしている、と何度か説明して理解してもらえた。退去の日にちだけ早く知らせてほしいと言われた。学生がいないので、荷物の梱包等は遅れるであろうから、3月末ぎりぎりまでかかるような気もする。誰か助けてくれないかな。

廃材でつくる茶室_compressed_page-0003 廃材でつくる茶室_compressed_page-0004 廃材でつくる茶室_compressed_page-0005 2004~05年まで


 と、ここまでは予想通りの展開だったのだが、敵もさるもの、裏山の茶室「盃彩亭」を見逃していなかった。ヤバイ、と思ったが、ここで事態は好転する。これまでの大学のプロジェクト研究への貢献、メディアの露出による広報、オープンキャンパス等での活用を評価し、人間形成センターが解体・撤去費を支出してくれることになったというのだ。有難い限りである。さっそく見積もりを複数の会社に依頼しているところである。


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最後のプロ研-お寿司と魚食のフードスケープ(7)

20241114鯖ナレズシ01 20241114全体01
左:鯖のナレズシ 右:作業風景


塩鯖・へしこ鰯、パンガシウスと中華ハムのナレズシ

 初めに、米を炊く。教授が家から持参された3合では足りないので、さらに4合炊いた。サバとイワシを漬ける米4合はモチ米とウルチ米を1:1、パンガシウスとマカオの中華ハムを漬ける米はさらに赤米を混ぜている。今回、前日から塩漬けしたのはパンガシウスのみ。他は塩味がすでに効いている。


20241114ナレズシ材料01 20241114火腿01
パンガシウス・塩鯖・へしこ鰯・中華ハム


 次に漬ける材料。塩サバ、へしこイワシ、パンガシウスは水で洗い、キッチンペーパーで水気を十分ふき取る。マカオの中華ハムは、半分を電子レンジで温め、残る半分はそのまま。温める際に水を少し足した。加熱時間は2分間。炊きあがった米は、大体50~60℃を目安に冷ます。料理酒とみりんをまず加え、さらに山椒の実、柑橘皮(徳島スダチ)と果汁、生姜千切り、唐辛子(種抜き)輪切り、さらに塩麹を加え、よく混ぜる。洗って水分を取った塩サバ、へしこイワシ、パンガシウスの表面に塩麹を塗り込む。


20241114米飯(パンガシウス・火腿)01 20241114米飯(鯖・へしこ)01
左:中華ハムとパンガシウスの米飯 右:塩鯖とへしこ鰯の米飯


 タッパにラップを敷き、底が見えなくなるくらいの量の米飯を薄く敷く。その上にそれぞれ漬ける魚肉を並べる。魚肉を包むように、米飯を被せる。中華ハムは、加熱したものと加熱してないものを分けたので、ラップで仕切った。米飯を被せ終わると、ラップで包み、さらにタッパの上麺をラップで包み密閉する。その上に重石をしてナレズシを漬ける工程は終了。


20241114火腿ナレズシ01 20241114火腿ナレズシ02
左:中華ハム(上が生・下が過熱済み) 右:ラップで仕切って漬ける


 私が今回担当したのは、パンガシウス、中華ハムの下拵えと漬け込みである。具体的におこなった活動は、最初に洗ったパンガシウスの水気を取る工程、ハムを切り落とし半分を電子レンジで加熱する工程を担当した。米が炊けるまでの間に少しだけブータン山椒の実を取る作業を手伝った。あとは魚に塩麹を塗る作業、中華ハムの漬け込み、重石となる水入りペットボトルを上から置く作業も手伝った。


20241114へしこナレズシ01 20241114鯖ナレズシ02
へしこ鰯のナレズシ


 全体の感想としては、まず、ナレズシを実際に食べられてよかったと思う。前回、タタキを作った際にナレズシの米飯を混ぜたが、それがどのようなものなのか分からなかったため、いい経験をしたと感じた。他の学生はナレズシの味にあまりいい評価をしていなかったが、私はクセがあるもののおいしく感じたし、実際に口にしたことで他のナレズシの味にも興味がわいた。12月に予定されているナレズシの試食会もとても楽しみになった。また、今回の授業でナレズシを漬ける工程を体験したが、「これでナレズシができるのか」という感覚であった。試食後の作業であったため、容易に味の想像はできるのだが、調理工程と味がイメージとしては結びつかない。もちろん長時間漬けるため香りや見た目などが違うのは当たり前だが、そこまで難しい工程がないため、少し拍子抜けした。私たちが漬けたナレズシはどうなっていくのか、成功するのかが気になった。 (1年環境FY)


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最後のプロ研-お寿司と魚食のフードスケープ(6)

20241114試食会01 20241114全体01


 11月7日(木)、P2(1年)で塩サバ、へしこ鰯、パンガシウス、中華ハムを漬けた。先週(P4)同様、ナレズシづくりに先立ち、全員に鹿・鯰・鮎・鯖のナレズシを試食してもらった。まず、その感想を紹介する。全体に「酒のようなアルコール臭」を感じるというコメントが目につくが、これは「米が麹によって糖化し、甘酒に変化した」ものだが、甘酒の酒精度は0.5%以下なので問題はない。


魚ならば味は鯖、食感は鯰を選ぶが、いちばん美味しいのは鹿

 私はナレズシをそのまま食べるは初めてなのだが、個人的には「おいしい」と感じた。しかし、少しクセのある味だったので、好き嫌いはかなり分かれるだろうと感じた。
 ①鯖: 強いお酒のような香りと味がして、いかにも発酵食品、というべき独特な風味であった。口に入れて噛み続けるとサバの味も強く感じられた。
 ②鮎(プレーン): サバと同じく強いお酒のような風味もあったが、サバの方がより強く感じた。正直なところ、あまりアユの風味を感じることができず、少し渋い味だけ感じた。
 ③鮎(紫蘇巻): 上の二つとは香りからかなり違った。お酒のような香りではなく、少し酸味の中に甘さがあるような、マヨネーズのような香りを感じた。味も同じで、エビマヨのような味だった。クセが少なく、食べやすいものでおいしかった。
 ④鯰(切身): 味はサバとよく似ているように感じた。しかし、食感はサバとは違った。サバは、しっかりした身の食感だったが、ナマズはなめらかで少し柔らかい食感だった。ナマズ本来の風味は、私にはあまり分からなかった。個人的には、味だとサバで、食感だとナマズを選ぶと思った。
 ⑤鹿: 香りは、サバやナマズと同じような、強いお酒の香りを感じた。しかし、今までの魚とは違い、動物の肉であるため、繊維がしっかりした食感で、噛むほどに感じる味も肉の旨みのような味を感じた。個人的には一番おいしく、また食べたいと思った。
 これらのナレズシを使ったアレンジ料理だが、私は試食をしていて白米と一緒に食べたいと思っていた。そのまま合わせるのもいいが、お茶漬けにすると、ナレズシのクセの味がまろやかになっておいしいだろうと思った。他にも炊き込みご飯をしてもおいしいだろうと思った。お米を使うもの以外だと、オムレツやだし巻き卵に入れるとおいしくなりそうだと思った。(1年環境FY)


20241004鮎ナレズシ紫蘇 20241004鮎ナレズシプレーン
鮎ナレズシ(左:紫蘇あり 右:プレーン)


紫蘇巻きの鮎が好み

 ナレズシはもうちょっと食べにくいものだと勝手に思っていたが、想像していたより食べやすく、麹のおかげなのか甘みを感じる食品だった。私はシソ巻きの鮎のなれずしの甘みが強く感じ、一番おいしいと感じた。
 ①鯖: すこし塩辛かったが、鯖のうまみを感じ、おいしく感じた。
 ②鮎(プレーン): アルコール味(麹)ちょっときつい。身から水分が抜け塩辛く感じた。
 ③鮎(紫蘇巻): 見た目は白っぽく麹のきつめのにおいがした。甘みを感じ、シソを巻いていたからか水分多めで癖もあまりなくおいしかった。
 ④鯰(切身): 一番水分が多く、ほかのなれずしと比べると味が薄く感じた。 
 ⑤鹿: 癖やにおいも少なく、薄く切られていたのにしっかりとした歯ごたえを感じた。食べ応えがある。
 鯖のなれずしをたべやすい大きさに切り分け、アルミホイルで包みトースターなどで少し加熱する。加熱した後お好みで醤油やバターをかけると鯖のうまみを引き立たせておいしく頂けるのでは?と考えた。(1年環境KT)


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公立鳥取環境大学退任記念講演ツアー(予報12)

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東京講演 準備加速

 12月7日(土)の東京講演が迫ってきております。上にチラシを再添付しますが、次第は以下のようになっております。

◆2024年12月7日(土)13:30~16:30(会場借用時間13:00~17:00)
13:30 趣旨説明(栗原伸治/日大)
13:35 講演1 山田協太(筑波大)
   「コロンボ歴史地区における生活組織の成り立ちとデザイン」
14:40 講演2 浅川滋男(環境大)
   「仏教に潜むボン/非仏教の遺産-ブータンの秘境から」
15:45 休憩
15:55 質疑応答(司会:栗原伸治)
16:25 研究室OB代表挨拶(谷愛香)
16:30 浅川挨拶 閉会

 118講義室はこじんまりとしており、42名で満席となるようです。ほかにストゥール等の準備を考えています。


案内サイン・会場設営計画_page-0002 案内サイン・会場設営計画_page-0003 案内サイン・会場設営計画_page-0004

◆案内サイン:
正面入口から教室までの案内のため、掲示板を当日入口警備員さんに借りられる。
A1横、縦貼可サイズを2台(ホール②、廊下突当り③)
A3横、縦貼可サイズを2台(建物入口①、118講義室入口④)。


案内サイン・会場設営計画_page-0001 案内サイン・会場設営計画_page-0005

《会場》 筑波大学東京キャンパス118講義室(地下鉄丸の内線茗荷谷駅から徒歩5分)
https://www.office.otsuka.tsukuba.ac.jp/location/


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東鯷人の呟き ーナマズに群がる学生と教師(3)

図12 鮎のナレズシ(漬け込み直前) 図12 鮎のナレズシ(漬け込み直前)


ナレズシづくり 
 鳥取県東部(因幡)はもともとナレズシの文化圏です。中流域では鮎、上流域では鯖を年末に漬け、新年の歳神を迎えます(図12)。鮎(年魚)鮓は平城宮荷札木簡 (八世紀)で最も多いナレズシであり、たんなる郷土食ではなく、古代食の伝統を感じさせます。上流域の場合、イワナやヤマメなどマス類を使いたいところですが、漁獲は少なく、鳥取漁港から行商が売りに来る鯖が取って代わったようです。中世京都のように、ナマズをナレズシ(鮓)にする習慣は因幡にありませんが、鯖鮓づくり農家が集中する旧佐治村のレシピを応用してナマズ鮓を作ってみようと考えました(図13)。後で気づいたことに、佐治の鯖鮓レシピは中国最古の農業技術書『斉民要術 』(六世紀)に記す鯉鮓づくりのプロセスとよく似ています。


図13(レイアウト)ナマズのナレズシ(姿漬け) 図13 ナマズのナレズシ(姿漬け)


 まずは塩漬けから。ナマズを一~二晩、塩漬けにして水分をできるだけ外に出します。水分とともに臭みや悪い成分も抜けていきます。一方、切身には塩分が充填されます。その塩辛い切身を米飯漬けにすると、身の中の塩分が米飯に拡散していく。米飯には麹、生姜、唐辛子、山椒、柑橘皮などの薬味類もまぜておきます。重石をのせて押さえつけ、二~三ヶ月おけばナレズシの出来上がり。乳酸発酵の酸味と塩味のバランスが際どく、時間が経つにつれ、浅漬けから古漬けの変化もあって、少しずつ酸味が強くなっていきます。
 ナマズを手始めにギギ、鮭、鮎、鯖も次々ナレズシにし、さらには平安時代の律令細則『延喜式 』(十世紀)にみえる猪鮓と鹿鮓も再現しました(図14)。ジビエだからやったのではなく、あくまで朝廷に献上された古代食の復元として猪と鹿のナレズシづくりに取り組んだのですが、じつは調子にのって、何の記録もない熊肉までもナレズシにしたところです。この間、あちこちで試食会を催しました。評判の良いナレズシは鹿と鯖です。鹿肉は癖の強い味がしますが、塩漬けでその臭いは消えてしまいます。鹿鮓は酸味を帯びた生ハム、あるいはジャーキーのような品に仕上がります。それを薄切りにしてかじるだけでも美味しいですが、クリームチーズとあわせたり、ハーブサラダに混ぜたり、ピザのトッピングにするなど、現代的メニューとの相性もよく、鹿肉のイメージを覆す風味がよみがえったと自負しています。


図14 調理風景(すり身や切身の水分をしっかり拭き取る) 図14 調理風景(すり身や切身の水分をしっかり拭き取る)


三、ナレズシの起源と未来ーエネルギー問題に寄せて

鮨と鮓
 塩と米で発酵させたナレズシの起源を厳密に特定するのは不可能ですが、水稲と不可分に係わる食品であることを考えると、ジャポニカ米の起源地とされる長江中下流域がナレズシの起源地としても想定され、その年代は一万年前に遡りうるでしょう。しかし、物証はありません。文字資料によって確認されるのは前四~三世紀以降に下ります。中国最古の字書『爾雅』には、「塩漬けのうち肉は羹といい、魚は鮨という」とみえます。下って、後漢(二世紀頃)の字書『説文解字』には「鮨は塩漬けした魚の汁(魚醤)」であり、「鮓は魚を藏えるもの」と区別しています。後漢末の字書『釋名』(三世紀初頃)では、「鮓は葅 (つけもの)であり、塩と米で釀 して葅のようにし、熟れてこれを食べる」とあります。以上をまとめると、鮨は塩漬け魚と魚醤であり、鮓はナレズシだと読み取れます。それがいつしか混同され、鮓と鮨はいずれもナレズシを意味するようになります。隋唐の字書を増補編纂した宋の『廣韻』(十世紀)では「鮨は鮓なり」とはっきり定義しているのです。


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東鯷人の呟き ーナマズに群がる学生と教師(2)

ナレズシとしてのナマズ
 魚骨の出土状況からみて、ナマズが縄文時代以降、西日本で食べられていたのは間違いありません。ただし、具体的な記録があらわれるのは室町時代のことです。『犬筑波集 』(一五三〇年前後)の連歌は笑わせてくれます。
  うぢ丸のすしにする程 人みえて  
  食はぬ飯こそ髭につきけれ
  鮨桶の蓋 をあくれば鯰にて
  時を知りてや鉤を垂るらん
 客のおもてなしにウナギ(うぢ丸)のナレズシ(鮨)を用意した。数が足りないので、ウナギの代わりにナマズを使ったことがバレないよう桶の蓋をしてしまおう、という連句です。先にも述べたように、ナマズはウナギよりもランクの低い魚ではあったけれども、京の貴族もナマズのナレズシ(鮓)を好んで食べていました。戦国時代の公家、山科言継の日記『言継卿記』を読むと、ナマズ鮓を貴族間の進物としており、最上位の贈呈者は後宮(大奥)の女官長になっています。女官長が食べているなら、皇后や天皇だって食べていただろうと推測しても許されるかもしれません。


図06  ドジョウ鯰鮓の漬け込み(滋賀県大橋三輪神社) 図06 ドジョウ鯰鮓の漬け込み(滋賀県大橋三輪神社)


 滋賀県栗東市大橋の三輪神社はナマズ鮓の伝統を残す唯一の場所です。三輪神社では、毎年九月二三日に氏子 総出でドジョウとナマズのナレズシを漬けます(図6)。秋の漬込みから半年余り後の春五月一日の口開け式で封を開け、本殿に御饌 として供えた後、五月三日の奉納祭で氏子等にふるまいます。大橋集落では昔、天変地異が起ると、白羽の矢を立てた家の若い娘を、神の遣いである白い大蛇に生贄 として差し出したという伝説があります。その生贄の代わりに作り始めたのがドジョウ鮓であり、その始まりは奈良時代にまで遡ると言います。伝承ではありましょうけれども、八世紀には平城宮荷札木簡等にナレズシ(鮓・鮨)の記録が六〇例以上あり、不自然な感覚ではありません。そもそも、ドジョウは蛇(水神)の代替であり、ナマズは琵琶湖の主神であるから漬けるのだろう、と私は推測しています。


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東鯷人の呟き ーナマズに群がる学生と教師(1)

図01 大学祭「東鯷人ナマズ屋」大忙し後のまかない  図01 大学祭模擬店「東鯷人ナマズ屋」まかない


 ある日突然、建築学者の私にナマズが憑依 しました。いったいこの不思議な動物は何なんだ、日本人とナマズの関係はどうなっているのか、中世京都の貴族が食べていたナマズのナレズシはどういうものだったのか、そもそもナレズシとは一体何なのか、などの疑問が次々と湧いてきました。ナマズと聞いて敏感に反応する学生も少なくなく、ゼミ内外の学生が小川でのナマズ漁、大学祭模擬店でのナマズ天丼販売(図 1)、ナレズシづくりに参加し、おおいに盛り上がりました。そして、最後に行き着いたのは冷蔵・冷凍のエネルギー問題です。その顛末をお話します。


一、ナマズ食と日本人

ナマズ食の記憶
 私は建築学者ですが、ここ二年ばかりナマズに心を奪われています。インドネシアの土中に巣くうナマズの群れが川岸の壁をぼこぼこ突き破り、泥河に戻ろうとする動画をみて目を見張ったのがきっかけです。それを農民が捕獲する。大きなナマズです。体長は数十センチから一メートル以上。もちろん食用にします。私自身、中国や東南アジアで何度かナマズを食べた経験があります。初めてナマズを口にしたのは一九八〇年代の中国貴州省であり、九〇年代には黒龍江省朝鮮族の民宿でもよくナマズ料理が出てきました。これらは湖川に棲む野生の小型ナマズです。いずれもやや泥臭く、美味とはほど遠いものでした。二〇〇〇年代に入って、カンボジアのトンレサップ湖で、カイヤンという大きな養殖ナマズを食べました。こちらはふくよかで美味しそうな大型ナマズでしたが、湖上レストランのシェフの腕前がいま一つで、黒焦げになった丸焼きが出てきてがっくりしたものです(図2)。


図02 東南アジア最大の淡水湖トンレサップとカイヤン(養殖ナマズ) 図02 東南アジア最大の淡水湖トンレサップとカイヤン(養殖ナマズ)


グルメとしてのナマズ
 ところが、芥川賞作家の村上龍は『料理小説短編集』(一九八八)で、グルメとしてのナマズを絶賛しています。一つはニューヨーク中華街のビルマ産ナマズ。これの蒸し物は「まるで海に落ちる雪のように舌の上で溶け、(略)消え去るように喉を滑っていった」。もう一つはリオデジャネイロのスルビン(ブラジル大ナマズ)の燻製。「日本でいう湯掻きに近く、河豚の刺身のような歯ごたえと、最上の鯨肉のような脂っぽさがあった。(略)一瞬の内に肉がほぐれて、喉へと滑り落ちる。(略)これまでに食べたどんな燻製よりうまい」。
 私も二〇一〇年ころ、鳥取でナマズのグルメに出会います。米子駅前に日野川ナマズの刺身を提供する居酒屋がありました。その刺身には、たしかに舌先で溶ける独特の食感があって、同行したゼミ生ともども未体験の味覚に魅了され、何皿かお代わりしたものです(図 3)。そのナマズは流通品ではなく、店の主人が日野川の投網漁で得たもので、捕獲後は居酒屋内の水槽で泳がせます。この水槽飼育は泥吐きの意味もあります。


図03 米子駅前居酒屋で提供された日野川ナマズの刺身 図03 米子駅前居酒屋で提供された日野川ナマズの刺身


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イカンレレの唐揚げ-インドネシアのナマズ料理

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 大阪難波までナマズ料理の調査にでかけました。ネットで検索し、難波(心斎橋)のベンガル料理店「MOMO's Cafe & Restaurant」に鯰カレーがあることを知り訪問することにしたのです。

ベンガル系ハラル料理の店

 MOMO's Cafe & Restaurant は難波OCATから歩いて15分余のところにありました。雑踏のなかに小さな看板をみつけた。雑居ビル2階の店にあがると、客が10名ぐらい席にいて、奥に南アジア系のフロア係がいたので、「ナマズのカレーありますか」と聞くのですが、聴き取れない模様。英語で catfish ? と問い直すも、こちらもよく分からないらしく、メニューを手渡された。メニューのページをめくって、じろじろ眺め、最後のページにお薦め料理で「イカンレレ・セット」を発見。サンマのような魚だが、細くなったナマズにもたしかにみえるので、ネットでイカンレレを検索すると、ナマズの一種で間違いないことが分かった。インドネシア料理である。イカンレレのイカンはマレー語で「魚」、レレは「鯰」を意味する。カレーではないが、カレー味にしたイカンレレの唐揚げであり、これにライス等をつける。


イカンレレ img_2252-2048x1536 1115モモ00メニュー02イカンレレ01
https://monsterfishes-inc.com/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%8D%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%AE%E9%87%A3%E3%82%8A%E7%94%A8%E8%AA%9E/


秋刀魚のようなナマズの唐揚げカレー味

 イカンレレはサンマのような、イトヨリのような細長い魚として食卓に登場した。ネットで画像検索したのが上の写真である。生身はそんなに細くなくて普通のナマズに近いが、インドネシアのナマズも多彩であろうから、インカレレ(鯰魚)であっても細かい分類があるのかもしれない。大変ふくよかな味がする。至上のほくほく。日本にはちょっと類例がないな・・・河豚が柔らかくなった感じ。同行した2名も、美味しい、美味しい、を連呼した。聞けば、イカンレレはタイから輸入しているとのこと。これは一度食べてみる価値ありますよ。まわりのスパイシーな衣も辛すぎず身のふくよかさを良く引き立てています。


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第5~6回 東鯷人カフェ(予報1)

北関東と関西の魚食に関する検討会

 今年度になって全税共の助成によるナマズ食、ナレズシ等の試食会は、3回開催してきている。

6月12日(水) 第2回東鯷人カフェ「ナレズシと鯰-郷土史からアジア史まで」
  橋本道範氏(滋賀県立琵琶湖博)招聘@環境大学まちなかキャンパス
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2861.html

9月22日(土)~23日(日) 第3回東鯷人カフェ(近江遠征)
 前半(22日)@石山寺門前料理屋「至誠案」 
 後半(23日)@栗東市大播三輪神社 社務所
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2917.html

10月4日(金) 第4回東鯷人カフェ「古代のナレズシと魚食に関する検討会」
 岩永省三氏(九州大学名誉教授)招聘@鮎料亭「ことぶき」(鳥取市河原町河原)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2923.html

 以上に続く会を退任事業にあわせて東京と大阪で開催します。

12月8日(日) 第5回東鯷人カフェ「北関東の鯰料理と保存食に関する検討会」
  会場: 埼玉県吉川市の料亭「糀屋
      *前夜食事会もあり@和来路 (わらじ) 東京茗荷谷駅前

1月13日(土) 第6回東鯷人カフェ「関西のスシに関する検討会」
  会場: 堺市土塔町の料理屋「一心一笑」
      *和歌山の鯖ナレズシ、大阪のバッテラ・穴子寿司、奈良の柿の葉寿司等

 以上、取り急ぎのメモ書きです。 
  

Re:1111

カルマツェリンIMG_4762 カルマ・ツェリンさんからの御礼メール(1116)
Dear Mr. Asakawa, Warm greetings from Bhutan. I am happy to inform that I met with Mr. Tak, and I have received a copy of the book with the Japanese translated version of my book It All Starts With A Thought. It was very nice to see it. I hope some Japanese children will find the story interesting and relevant. Through this book I hope to be able to engage children on an important Buddhist concept of impermanence and for them to see beauty in life, with all its imperfections. Once again thank you very much, and I look forward to staying in touch.
Warm regards,  Karma



ありのままに うけいれて

 父の名前は一太郎で、白寿で天命を全うしたのが2008年11月11日。その3年後の2011年11月11日に「111111」というブログをアップした。そのことを昨日(11月11日)突然思い出し、供養しなければいけないと考え、スーパーで赤札の付いた寿司と旬の親ガニを買った。帰宅して、「おじいちゃん、ありがとう」と唱えてから、家内と祝杯をあげ寿司を食べ、最後に蟹汁を啜った。今年は父の17回忌で、11月3日に兵庫の兄の家で法要があったのだが、行けなかった。忙し過ぎたからである。退任記念論集を12月7日の東京講演にまにあわせようと必死で編集していた。いまはまた別の原稿を書いているし、田中淡著作集の書評は大丈夫かというリマインドも頂戴している。遅ればせながら、23日には兄の家に赴き仏壇に参ろうと考えている。それよりなにより、11日が命日だということが重要であり、下宿のささやかな仏壇に掌を合わせた。
 東京講演が日々迫ってきている。土地勘のないところなので、集客に不安があり、あちこちにメールして広報拡散をお願いしているなか、二人の人物が頭に浮かんだ。わたしは7年ばかり、京大大学院人間・環境学研究科で客員助教授をしていたことがある。1990年代後半のことである。そこで2名の修士論文を指導した。二人とも出世している、一人は東海地方の国立大学の教授、もう一人は国総研の主任である。この二人にも連絡しないといけないと思った。連絡先はよく分からないが、あの手この手を使って探り出し、11日~12日に交信が叶った。二人とも講演会に来ると言っているが、無理しないようにお願いした。情報だけは拡散してほしい。
 12日、すなわち本日は、亡き母の誕生日である。大正12年11月12日の生まれ。その件を2012年11月12日、「12-11-12」というタイトルでアップしている。そのときは母は90歳だった。昨夜から煮込み始めたトマトシチューを晩餐にした。我ながら、これが抜群に美味い。淡路島のオニオーンスープをベースにして、半割のタマネギ、皮付のジャガイモと肉を入れて煮込み、シチューのルーを入れて一晩おくだけ。今夜はパスタを添えた。赤ワインとの相性は最高至福。酔っぱらって眠りに落ち、目覚めて深夜にメールチェックすると、ブータンからの便りあり。先日、国際郵便で送った翻訳絵本をようやくカルマ・ツェリンさんに渡すことができたという(↑)。カルマ女史の作品 Just the way it is の書題の訳がよくないことに刊行直後から気付いて悔やんでいた。

  ありのままに うけいれて

にすべきだったとずっと思っている。仏教には一切触れず、仏教の無常観を子供に諭す傑作だと思っている。素晴らしい作家であり、このたびのブータン渡航で彼女の作品をすべて買った。来年からはサンデー毎日なので、じっくり読むことができるだろう。どんな生活になるか、今から楽しみだ。

《関係》サイト
ブータンの絵本『アシ・ツォメン みずうみのマーメイド』刊行!
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2814.html
ブータン民話絵本の解題
(3) http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2773.html



Messenger_creation_60114955-27B0-4C8C-AC35-7992C126D61D.jpeg Dear Mr. Asakawa, Thank you for your very kind words. It is most encouraging and inspires me to work harder and write more books for young children. Mr Tak and I were both busy and could only meet up a few days ago. Please find attached a photo of me with the book, which i forgot to attach yeaterday. I have also attached photo with Mr Tak and his friend, with my new book Lhamo's Melody. If you know anyone coming from Bhutan to Japan, please let me know. I would like to send you something. Also, I hope that one day in the near future we will have the opportunity to meet. Please do let me know when you have any plans to come to Bhutan again. Warm regards, Karma


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堺市博物館と大阪府立弥生文化博物館の特別展

企画展「羅漢・役行者・行基」チラシ_page-0001 企画展「羅漢・役行者・行基」チラシ_page-0002


 東京の退任記念講演が近づいているが、その一月後には大阪の講演がある。東京ほどではないが、大阪でも人が集まるのか気になり始めて手を尽くしているところです。広報に大変協力的な博物館が二館ある。配架はもちろんのこと、講演会などでチラシを配布してくださっているのだ。ここにお礼を兼ねて、両館の企画展・特別展を紹介しておきたい。

堺市博物館の行基展示

 堺市博物館の須藤館長は、私が大学院時代にお世話になった恩人である。民博の教授・館長等を経て、2017年に堺市博の館長に就任された。これをすっかり忘れていたのだが、9月24日の堺市文化財事務所訪問で思い起こした。土塔頂部で発見された相輪(土師器)、凝灰岩片(基壇化粧)、小型瓦(裳階所用)、炭化木材(心柱)などを熟覧するための事務所訪問であった。その際、堺市博物館での広報も話題になったのだが、館長が須藤さんだと聞き、帰宅後ネットで検索したところ、次の企画展が「羅漢・役行者・行基-山の修行者の系譜-」となっている。行基である。これは大変だということで、館長に手紙とチラシを送って配架をお願いした。それだけでは物足らないと思って電話もした。学芸講座や展示解説で聴講者に直接チラシを配布していただくようお願いしたのだ。快諾していただいた。丁寧な絵葉書を一度いただき、昨日は企画展チラシとあわせてまた書状もいただき激励していただいた。

企画展「羅漢・役行者・行基-山の修行者の系譜―」
https://www.city.sakai.lg.jp/kanko/hakubutsukan/exhibition/kikaku_tokubetsu/rakan.html
会期:11月23日(土祝)~12月22日(日)  月曜休館
〈学芸講座〉12月14日(土)午後2時~午後3時30分 定員:80人
〈展示解説〉12月8日(日)、12月21日(土)午後2時~約45分 定員:各回20人


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Re:持続可能性に潜む諸行無常の理

ライフフォワード終活事務局

 ライフフォワードという株式会社からインタビューの依頼があった。入試広報課を経由したオファーだったので受けることにした。8月末のことである。終活をテーマに営業している会社であり(https://life-forward.co.jp/)、その後、「終活事務局」から頻繁にメールが届くようになった。正直、あまり気持ちの良いものではない。初めて電話をもらったとき、あまりに担当者がたどたどしいので、詐欺電話かと勘繰った(家内も、怪しいと言った)。
 なぜ私が標的になったかと言えば、『2020 地域イノベーション研究』vol.8(pp.49-54)掲載の論文概要「古民家《終活》の時代-持続可能性に潜む諸行無常の理(ことわり)-」を検索して発見したからではないか、と思われる。その本論は、報告書『古民家「終活」の時代』(2020)である。
 難産であった。人の情報を引き出そうとするならば、当方の論文を読みこむなど、それなりの用意をしてインタビューすればいいものを、準備はゼロ。受け手の負担が100%に近いが、にもかかわらず、ノーギャラ。それが当たり前だと思っている。これはインタビューではありませんよ。私が書いたものです。受けるのではなかった、と幾度か後悔したが、入試広報課経由という縛りがあり、本学の広報に貢献すればという気持ちがないわけではなかった。結果として、そんなに良いものにはなっていないけれども。
 以下のサイトに「コラム」として記事がアップされました。

https://www.eranda.jp/column/59745

 時限的なコラムではなく、永遠的な掲載だと聞いたが、いつの世も諸行無常で持続可能とは限らないので、以下に紙面を転載しておきます。


《完成》浅川滋男様 インタビュー記事 - Google ドキュメント4_page-0001 《完成》浅川滋男様 インタビュー記事 - Google ドキュメント4_page-0002 《完成》浅川滋男様 インタビュー記事 - Google ドキュメント4_page-0003《完成》浅川滋男様 インタビュー記事 - Google ドキュメント4_page-0004

《関係サイト》
『古民家「終活」の時代』刊行!
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2325.html
2020研究成果報告会を終えて
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2434.html

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最後のプロ研-お寿司と魚食のフードスケープ(5)

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 『斉民要術』作猪肉鮓法-ブタ肉鮓の作りかた

 冷蔵していた熊肉のナレズシをつくるにあたって、中国5世紀の農業技術書『斉民要術』のブタ肉ナレズシのレシピを参考にした。以下は、小島麗逸・太田泰弘・田中静一 (編)『斉民要術 現存する最古の料理書』 (雄山閣 2017)の当該和訳部分の引用である。
--
 肥えたコブタの肉を用いる。湯をかけてきれいにしたのち、骨を取り去り、五寸幅の短冊型に切る。これを三度水を換えて、熱が通るまで煮るが、あまり煮すぎてはいけない(1)。煮えたら鍋から出して、乾くのを待って、魚鮮の切り身のように切り分ける。すべての切り身に皮がついているようにする。ウルチゴメを炊いて「まぜ飯」をつくり、「まぜ飯」にはカラハジカミの実と白塩を混ぜておく。肉の倍量の「まぜ飯」をもちいるのが望ましい。そうするとはやく熟成する。魚鮮とおなじように甕につめ、泥で封じて、陽のあたるところへ置くと、一か月で熟成する。好みにまかせて、ニンニクの和えもの、ショウガ酢を添えて食べる。「すしだきもの」(2)にすると最もおいしく、直火焼きにすると珍味である。
 注(1) あまり煮すぎてはいけない—後代の食経に記載された畜肉の「なれずし」の作りかたでも、かならず肉をあらかじめ煮てから漬けこんでいる。それに対して、現在の中国西南部の少数民族や東南アジアの民族は、生肉をそのまま漬けこ んで「なれずし」にする。
 注(2) すしだきもの—鮓(なれずし)を煮て作った料理。
 ①「すしだきもの」の作りかた(胚魚鮮法): まず、塩豉(塩辛納豆)および細切りのネギを水に入れ、つぎにブタ、ヒツジ、ウシ三種類の肉を入れ、しるだきする。二回沸騰させてから、「なれずし」を加える。鶏卵四個を割ってかきまぜたものをこの中に落とし、「かきたま」のつくり方と同様に調理し、卵が浮きあがったら加熱を止め、供する。
 ②『食経』にいう「すしだきもの」の作りかた(食経曰胚鮓法): 生卵を割り、豆豉汁、「なれずし」を加えて、沸騰させ、すぐに盛りつける、 別法として、豆豉をそのまま使用し、盛りつけてから、その上に鶏卵と豆豉をのせる。別法として、「なれずし」の入った沸騰水のなかに、豆豉汁およびシロネギを入れ、鶏卵を割ってなかに落とし、盛りつける。一盛り二升ごとに鶏卵一個を用い、他はそのままとする。
 ③「五侯すしだきもの」の作りかた(五侯胚法): まないたの上で「なれずし」および肉を細切れにして混ぜ、水を加えて煮る。「あつもの」をつくる方法に準ずる。
 ④「魚のすしだきもの」の作りかた(純胚魚法): 「魚の蒸し焼き」ともいう。ヘンギョを用いる。内臓およびえらを除去するが、鱗を除去しない。塩豉、シロネギ、ショウガ、および「ちんぴ」をみじん切りにして混合し、酢を加えて煮る、沸騰したところで、魚をまるごと加え、さら にシロネギを加える。別法として、先に魚を入れて煮る。沸騰したのち、豆豉汁とシロネギを加え、できあがるまぎわに酢を加える。別法として、長めに切りそろえたショ ウガを添える。盛りつけるときに、ネギを上に添える。魚が大き い場合には、一個を盛りつけ、小さい場合には、二個を盛りつける。さらに大きい魚でも、これに準じて盛りつける。


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最後のプロ研-お寿司と魚食のフードスケープ(4)

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 10月30日(木)、P4(2年)で熊肉のナレズシを漬けた。ナレズシづくりに先立ち、全員にナレズシ(鹿・鯰・鮎)の試食をしてもらった。今回は、その感想を紹介する。


シカ鮓はローストビーフ風にタレをつけて、ナマズ鮓はマリネにして

 今回、4種類のナレズシを試食しましたが、まずシカ鮓の予想以上のおいしさに驚きました。以前、地元に帰省したとき近隣の猟師の方からシカ肉をいただいたことがあり、それを鉄板で焼いて食べたときはどうしても臭みが気になったので、シカ肉はあまり人に薦められないと思っていました。そして今回、焼いてすらないシカのナレズシを見て、やはり臭いんだろうなと思いながら、実際口にすると、全く臭みを感じませんでした(教授によると、塩漬けにより水分とともに臭みも抜けるとのこと)。その上、歯ごたえ十分、味も塩気が利いていて非常においしくいただきました。ビーフジャーキーの風味に似ていると思います。そして今回のシカを食べると真っ先にローストビーフ用のタレが欲しいな、と感じました。というのも、やはり肉単体だけでは少し素朴に過ぎ、他の3種類に比べ、水分が足りないように感じなかったのです。タレにつけてローストビーフ風にするとよりおいしく仕上がるのではないかと思いました。私はそれを白米に盛って丼にして食べてみたいです。
 アユは2種類ありました。どちらも美味しかったです。シンプルな方のアユ鮓の味は焼きサバに似ていて良かったですが、個人的にはシソ風味のアユのナレズシのほうがおいしく感じました。梅やシソのような薬味で肉にアクセントを付けることでより風味が増すのではないかと考えました。ただ、身の中に複数の骨が入っているのが難点と言えば難点かもしれません。骨は嚙み砕くことができるほど柔らかかったですが、少し気になりました。私は少しくらいの骨であればむしろ入っている方が食べ応えがあるのでいいのかなと思いますけれども、他の人はどうなのか気になります。そして応用できる料理としては、どちらも南蛮漬け(マリネ?)に向いているのかなと考えます。シンプルな方の鮎もしそ風味のある鮎も、シカやナマズと比べると当たり前ですが、しっかりと魚の風味があったので、ピーマンやニンジンなどの野菜とあえると非常に美味しく仕上がるのかなと思います。アユの場合、今回のようなサイズでは小さいので、もう少し大きめにカットする必要がありそうです。


20241031プロ研4ナレズシ試食05 20241031プロ研4ナレズシ試食08


 最後にナマズですが、正直泥臭さが少しだけですが残っていました。もちろん味も食感もよく、おいしく食べることができましたが、アユやシカと比べると、やはり多少の臭みは残っていると感じました。表面だけ炙って米と一緒に食べるのがベストだとではないのかなと思います。魚の刺身は少し炙ることによって臭みが軽減されるので、ナマズも炙って米と食べるとちょうどおいしくなると思います。4つともすべて現代人の舌に合うと思いますし、どれも美味しかったです。(2年経営TD)


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公立鳥取環境大学退任記念講演ツアー(予報11)

資料集アゲイン

 8月にいちど講演資料集の目次案をアップしましたが、その後、ブータン出張があってティンプーで講演したり成果が増えたりして、練り直しを企図したんですが、10月5日の三朝講演には間に合いませんでした。そして、環謝祭「東鯷人ナマズ屋」の準備に入ったので、資料集は忘却の彼方に消えてしまいました。というのは、じつは言訳でしてね・・・大谷翔平選手の活躍が例年より一ヶ月長く続いたことが、諸般の活動に大きく影響していました。恥ずかしい限りです。で、ようやく、新しい目次を考え、印刷所にpdf入稿できるところまで辿りつきつつあるので、メモ代わりに目次をアップしておきます。


『中後期密教/前密教の建築考古学と比較文化』 
ASALAB報告書 第43輯

 目 次 01
 例 言 02

 第1章 Some Heritages of Bon or non Buddhism behind Buddhism
      - From the secluded regions of Bhutan - 03-12
     《日文概要》 仏教に潜むボン/非仏教の遺産-ブータンの秘境から 13-16

 第2章 菅原遺跡「円堂」の復元 17-38
      《復元CG4案》 39-42

 第3章 菅原遺跡円形建物SB140の復元に係る再検討
     -発掘調査報告書の刊行をうけて-  43-72

 第4章〔中文〕 古民居再生的新轴线 —在人口减少地区寻找“居场所” 73-83
        《図版》 84-89
    〔日文〕 古民家再生の新基軸 -過疎地に探る居場所のあり方 90-99


土塔立面図単独
行基造営の土塔(727)を、木造層塔最上層を拡大したものとして再解釈した復元新案。
「宝塔・多宝塔の原型」は土塔頂部のような造形をしていた可能性が高く、八角円堂系
の菅原遺跡SB140とは別系統として捉えるべきと考える。(第3章)



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公立鳥取環境大学退任記念講演ツアー(予報10)

東京講演キャプチャ 浅川教授退任講演 (右)1005講演


本学 X に第2回講演(東京)の広報がアップされました!

https://x.com/kankyo_U/status/1852259281699066224?t=yIoBocTGqkzixCp-5bfThA&s=19

   日時:12月7日(土)13:30-16:30 開場 13:00
   会場:筑波大学東京キャンパス118講義室 〒112-0012 東京都文京区大塚3-29-1
   ☆予約定員制:下のサイトから申込ください
     申込サイト: https://forms.office.com/r/Qtg9KDK0c8 第2回東京講演_参加申込フォーム_2次元バーコード

    主題: 南アジアの宗教的交錯と民族建築・生活空間  司会:栗原伸治(日本大学教授)
    ③山田協太(筑波大学准教授)「コロンボ歴史地区における生活組織の成り立ちとデザイン」
    ④浅川滋男「仏教に潜むボン/非仏教の遺産-ブータンの秘境から」



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プロフィール

魯班13世

Author:魯班13世
--
魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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