13日(金)、予定どおり帰国しました。国際線の航路より、関空からの陸路の方が厳しいよね。帰宅後、2日間不調でした(ドジャースも)。昨夜からなんとか出張復命書に取り組んで、今回は「用務の概要」を別紙にしたので、ここに転載してまとめに代えます。2012年以来のひとり旅でしたが、科研最終年度にふさわしい実り多き成果のある旅で非常に満足しています。
2024年 9月3日~13日 ブータン出張 用務の概要【月日】 9月3日(火) 【時間】17:00~ 【場所】 関空
19:45 関空よりmm091便離陸。台風で航路変更につき、予定時刻より遅れ、25:20
(タイ:日本時間-2h)バンコクのスワンナプーム空港着陸。入国手続きなど。
【月日】 9月4日(水) 【時間】05:00~19:00 【場所】 バンコク~パロ~プナカ
05:00 KB153便スワンナブーム空港離陸。07:00
(ブータン:日本時間-3h)パロ空港着陸。専用車で一路プナカへ。14:30、ロベサ・ホテルにチェックイン。チメラカン周辺散策後、ルーカン
(蛇の家)を調査中、雨上がりのぬかるみの山道で転び、小型ポラロイド故障。17:30 昨年の日本遺産《三朝》フォーラムに参加したサムテン・ドルジさん
(当時岡山大留学生、現ワンデュポダン県高校地理教師)と面会し、情報交換。ワンデュポダンではラダ寺のアプ・ラダップが重要な非仏教神霊
(土地神)であることを知り、今回の調査候補に追加することを決めた。
【月日】 9月5日(木) 【時間】09:00~17:00 【場所】 プナカ~ワンデュポダン
09:00 ワンデュポダン地区クンサリンのセワガン寺訪問。昨年まで3年続けて調査したポプジカのクブン寺は、ブータンに唯一残るユンドゥン・ボン
(永遠のボン=仏教化著しい白ボン)の寺院とされるが、そのギョンカン
(神間)に祀られる女神シッパイゲルモは、冬になるとセワガン寺に居を移すと聞いていた。セワガンでは、シッパイゲルモをシミゲルモと呼ぶ。シミゲルモの偶像はギョンカン内陣に祀られ、その横に緑色に厨子に納めたタラ菩薩像を納める。外陣左側
(外側)の壁には主神の用心棒となるカタップ
(赤・青一対の武勇神)を配する。内陣に近い側の赤鬼をレセップ、遠い側の青鬼をセウチェムと呼ぶ。 14:00 クンサリン村に移動。ドルジ家の仏間脇にある土地神アゲ・マサの厨子を調査。アゲ・マサは仏教の尊格でも、ボン神でもない。クンサリンを中心とする比較的狭いエリアの土地神とされる。ギョンカンはないが、仏壇片脇の厨子にアゲ・マサの経典を五巻納める。金粉で書いた経典だという。アゲ・マサ本神はチベットに行ってしまったので、金の経典をアゲ・マサの代わりにしている。満月の日、周辺から礼拝者がやってきて灯明を灯す。仏教の尊格よりアゲ・マサが重要な信仰対象になっている。
【月日】 9月6日(金) 【時間】09:00~17:00 【場所】 プナカ~トンサ
09:00 プナカ発、16:20 トンサ地区の山間僻地ランテルのジャンビ村に到着。ボンをいまだに信じるモンパ族の集落。モンパ族は仏教伝来以前からこの地にいた先住民的集団で、独特の言語と衣服
(イラクサ編み)を残す。村のツォパ
(村長第二代行)を務めるソナムさん宅に投宿。ソナムさんは在家信者ゴムチェン。夕食を挟む時間にヒアリング。ジャンビの主神はジョードルシン、元はボン神だったが、今は土地神に変容している。無形、偶像なし、祭場なし。当番制により民家の中で祭礼を行う。ソナム家で一泊。
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