2016年度学内特別研究費実績報告
大雲院とその末寺群の伽藍構成及び仏教美術に関する予備的研究(その2)
2015年度の「大雲院とその末寺群の伽藍構成及び仏教美術に関する予備的研究(その1)」を継続する研究であり、おもに以下の3つの活動に取り組んだ。
(1)鳥取東照宮別当寺として藩政期に権勢を誇った乾向山東隆寺大雲院は明治の神仏分離令により立川の末寺霊光院に移転された。東照宮が抱えた仏教関係の美術品・法具等はすべて霊光院(現大雲院)に移されたが、その研究はほとんど進んでいない。私たちは2015年度より建造物と仏像の調査に着手しており、2016年度は以下の調査をおこなった。
①大雲院・東照宮の未指定建造物の調査
②大雲院(立川)~東照宮(上町)の町並み・景観変化に係わる調査
③大雲院仏教美術品のうち密教法具・懸仏の調査
(2)藩政期に大雲院末寺であった摩尼山摩尼寺が2016年10月に国の登録記念物(名勝地)となった。日本最大の登録記念物である(面積約37万㎡)。これを記念して、フリーアナウンサーの吉川美代子さんを招聘し、11月12日に講演会+民話朗読会を開催した。また、登録後の整備計画を構想するため、ドローンを活用した登山路・「奥の院」遺跡・山頂立岩などの現況調査をおこなった。
(3)汎アジア的にみて後期密教に分類されるブータン仏教僧院の調査をおこなった。第5次調査にあたる今回はおもに西ブータンのハ地区で崖寺と民家仏間を調査した。
大雲院は徳川家康を祀る鳥取東照宮の別当寺として藩内最大の権力を誇る大寺であったが、維新後の神仏分離・廃仏毀釈の影響をまともに受け、今では「忘れられた寺院」の一つになっている。しかし、大雲院に所蔵される美術品は徳川家・池田家と係わる優品ばかりであり、霊光院の本堂等をうけついだ建造物も市内では最古級のものである。これらは未だ文化財として未指定・未登録の状態であり、今後は一つでも多くの物件を国・自治体の指定文化財にすべく尽力したい。また、立川~上町は昭和29年の鳥取大火を免れた例外的市街地であり、伝統的町家が点在している。それらの保全をもめざしたい。こうした課題を実現するため、2017年度の鳥取県環境学術研究等振興事業(環境創造部門)に「大雲院・樗谿の歴史的景観と有形文化財の保全整備に関する総合的研究」に申請中。これまでの主要な成果は「続き」ページに示す。
2015年度の「大雲院とその末寺群の伽藍構成及び仏教美術に関する予備的研究(その1)」を継続する研究であり、おもに以下の3つの活動に取り組んだ。
(1)鳥取東照宮別当寺として藩政期に権勢を誇った乾向山東隆寺大雲院は明治の神仏分離令により立川の末寺霊光院に移転された。東照宮が抱えた仏教関係の美術品・法具等はすべて霊光院(現大雲院)に移されたが、その研究はほとんど進んでいない。私たちは2015年度より建造物と仏像の調査に着手しており、2016年度は以下の調査をおこなった。
①大雲院・東照宮の未指定建造物の調査
②大雲院(立川)~東照宮(上町)の町並み・景観変化に係わる調査
③大雲院仏教美術品のうち密教法具・懸仏の調査
(2)藩政期に大雲院末寺であった摩尼山摩尼寺が2016年10月に国の登録記念物(名勝地)となった。日本最大の登録記念物である(面積約37万㎡)。これを記念して、フリーアナウンサーの吉川美代子さんを招聘し、11月12日に講演会+民話朗読会を開催した。また、登録後の整備計画を構想するため、ドローンを活用した登山路・「奥の院」遺跡・山頂立岩などの現況調査をおこなった。
(3)汎アジア的にみて後期密教に分類されるブータン仏教僧院の調査をおこなった。第5次調査にあたる今回はおもに西ブータンのハ地区で崖寺と民家仏間を調査した。
大雲院は徳川家康を祀る鳥取東照宮の別当寺として藩内最大の権力を誇る大寺であったが、維新後の神仏分離・廃仏毀釈の影響をまともに受け、今では「忘れられた寺院」の一つになっている。しかし、大雲院に所蔵される美術品は徳川家・池田家と係わる優品ばかりであり、霊光院の本堂等をうけついだ建造物も市内では最古級のものである。これらは未だ文化財として未指定・未登録の状態であり、今後は一つでも多くの物件を国・自治体の指定文化財にすべく尽力したい。また、立川~上町は昭和29年の鳥取大火を免れた例外的市街地であり、伝統的町家が点在している。それらの保全をもめざしたい。こうした課題を実現するため、2017年度の鳥取県環境学術研究等振興事業(環境創造部門)に「大雲院・樗谿の歴史的景観と有形文化財の保全整備に関する総合的研究」に申請中。これまでの主要な成果は「続き」ページに示す。