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教科書をめぐる謂われのない圧力(1)

 2000年代にASALABが作成した出雲大社大型本殿、摠見寺本堂、纒向遺跡大型建物群の復元CGは、いまでも各種出版物への転載依頼がある。このたびまた一つそうした依頼が届いた。今回は中学校の教科書である。もちろん快諾したのだが、とりあえず昨年の教科書を読ませていただきたい、とお願いしたところ、少々ナイーブな返信があった。

   ご存じのことかと思いますが、私どもの教科書を採択して下さった学校に
   脅迫状が大量に届くなどのことが、最近ニュースで大きく報道されています。
   【略】「慰安婦」問題が掲載されたこと(これも大切なことですが)ばかり
   注目されて、おかしな攻撃の的になっていることが残念です。ご参考まで
   に、採択校の校長先生が同人誌に書かれた文章と最近の週刊朝日の
   記事を添付いたします。お時間のある時にお読み頂ければ幸いです。

 手っとり早く事件の概要を知りたい方は『週刊朝日』9/1号をお読みいただきたいのだが、ここにその複写記事をアップするわけにはいかないので、以下のサイトをご参照ください。左右で論調が大きく変わっていることに注意しながら。

http://www.asahi.com/articles/ASK8603FVK85UTIL021.html
http://www.sankei.com/premium/news/170810/prm1708100008-n1.html
https://mainichi.jp/articles/20170818/ddm/005/070/137000c

 騒動の発端になった校長先生の同人誌への投稿記事は下に転載しておきます。


謂われのない圧力の中で 和田孫博 灘中_01 謂われのない圧力の中で 和田孫博 灘中_02 謂われのない圧力の中で 和田孫博 灘中_03 謂われのない圧力の中で 和田孫博 灘中_04
↑和田「謂われのない圧力の中で」(1)~(4)



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青蔵鉄道-吐蕃の道(1)

  今年度の環境大学学内特別研究費として「中国青海省・西蔵自治区におけるチベット仏教僧院の予備的調査研究」が採択されたことはすでにお知らせしたとおりです。この研究課題の中核となる青海~チベットの調査が本日夕刻より始まります。じつは・・・ほんとに症状が進んでいて、昨日の出発だと勘違いしており、一日ずれていることに気づいたのは一昨夜のことでありました。
 ラサについては、1992年にいちど訪問したことがあるので、今回の処女体験はむしろ青蔵鉄道の旅です。鉄道といえば、去る3月のスロバキア~ハンガリーでも乗りましたが、大きなスーツケースの収納に苦しんだので、今回は中型のスーツケースを買い込んだのですが、予想以上に容積が少なく、荷物の詰め込みに難儀しました。結果、手持ちのバッグを2つにするしかなくなった。
 そういえば昨日、久しぶりに六角精二の「呑鉄」シリーズを視ました。夕張鉄道を主題とするもので、なんとも哀愁がある。わたしたちもまた地ビールを啜りながら車窓の高原風景を楽しみたい。ちゃんとおつまみも用意しました・・・なんて調子に乗ってると、高山病に冒されるでしょうね。なんたって、途中の峠は標高5,000メートルを超えるそうですし、頭がわれそうになるかもしれない。
 以下、行程のあらましを示します。

 8月24日(木) 関空20:25~成都00:40 四川航空3U8808(出国) 成都泊
 8月25日(金) 成都08:30~西寧10:20 四川航空3U8987
  西寧~青海湖~都蘭 吐谷渾(とよくこん)遺跡群の視察 都蘭泊
 8月26日(土) 都蘭~ゴルムド
  【青蔵鉄道】 ゴルムド~ 車中泊
 8月27日(日) 【青蔵鉄道】~ラサ着 ラサ泊
 8月28日(月) ラサでポタラ宮、ノルブリンカ、セラ寺、ジョカン寺、バルコル等視察 ラサ泊
 8月29日(火) ラサ~ツェタン ミンドゥリン寺、ヨンブ・ラカン、昌珠寺など   ツェタン泊
 8月30日(水) ツェタン~ラサ
  ラサ15:30~成都17:30  四川航空3U8698 成都泊
 8月31日(木) 四川省博物院
  成都13:45~関空18:55 四川航空3U8087(帰国)

 帰国後、9月中旬には第6次ブータン調査が控えています。健康第一ですね。


極道

そしてまた、玄人のひとりごと

 道を極める者を極道という。かつて寺町に下宿していた際、木造住宅の対面に「道」という喫茶店があり、好物の焼きそば定食をくらっては麻雀ゲームに現を抜かしていた。その店には常連の雀客がいた。あきらかに70歳をすぎているのだが、眼孔鋭いゲーム雀鬼ジャンキーであり、毎日七千円ばかり散財すると豪語していた。老雀鬼の呟きを聞きながら、わたしもまた雀道に励んものである。結果、昭和のポンコツコンピュータ相手に勝利するマニュアルまで書きあげてしまった。

 もちろん、インベーダゲームもどきの麻雀レベルで満足するわけはなく、その後、2009年のGWにネットで「極(きわめ)」なるソフトの中古を購入した。記録を辿ると、値段は200円+送料であり、こんなにお得な買い物もなかなかないであろう。なぜならば、またたくまに極の虜になってしまうからだ。小島武夫、古川凱章などのプロ雀士16名と対戦できる骨太のソフトであり、24時間やり続けても飽きないが、家族の目は日に日に冷ややかになり、まもなく非難の言葉を浴びせられるようになった。そのまま続けると、いま話題のヨガ離婚もどきになりかねないので、ソフトをタクヲや社長に預け隠してもらい、盆と正月だけレンタルするようにして難局を乗り切った。
 タクヲも社長もいまはなく、極は行方しれずになっていた。ところが、この6月のスタジオ大掃除の際にそれがみつかった。隠していたのはヘイケだったのだ。数年ぶりにみる極のケースに涙と涎が溢れる。以後、何度か中毒症状がぶり返し、再び非難の嵐に巻き込まれたので、今度はソフトを患者に預けた。

 時は過ぎて、お盆がやってきた。わたしは何度も「お盆なんだから麻雀やらせて~」と嘆願するのだが、一同まったく相手にしてくれない。探しても出てこない。途方にくれながら、ある夕刻、コープで買物しようと古いリュックを引っ張り出すと、その中にソフトを発見した。ざっまぁみろ・・・散歩中、背負っているリュックにソフトが入っていることを患者は知らない、ぐふふ・・・その深夜から、わたしの雀道、すなわち極道が復活した。
 いや、ほんとうに麻雀はおもしろい。相手が強いので、なかなか勝てないが、それでもやめられません。上がれなくとも、よい打ち方ができていれば幸福を感じる。たとえばだれかがリーチする。下りながら打ち回し1000点でロンしたときなど最高の気分だ。
 それにしても、なぜ麻雀にはかくも強烈な中毒性があるのだろうか。それは負けるからだろうと思うのである。半荘やって勝てないと、次こそは勝てると思って、もう半荘挑みたくなる。しかし、結果はまた負け。仮に勝てたとしてもトータルでまだ沈んでいる。勝つまでやろうと思うが、たまにしか勝てないので、トップの背中は遠い。次の半荘こそはと期するのだ。


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エクササイズ-倉田八幡宮(3)

170820倉田八幡宮④ 0820調査風景02sam 図1


レーザー測量器インパルスの使用マニュアル

 7月20日(日)、第6次ブータン調査まで3週間を切りました。残暑厳しい日差しのなか、インパルスを使っての測量演習のために倉田八幡宮を訪ねました。当初は白帯先輩立会のもと行う予定でしたが、どたキャンが入って、学生の自主的な試行となりましたが、教授と会長のサポートもあり、なんとかインパルスを取り扱うことができるようになりました。


170820倉田八幡宮① 図2スコープ


 測量器材インパルスの使用方法については、2013年6月、ハロン湾水上集落の測量で活躍されたホカノ先輩が東京からわざわざ来鳥されて白帯先輩らに指導された際の記事がブログに残っています。ブータン組3人はこの記事を精査するとともに、研究室のパソコンに残された動画をみながら動作手順を事前に学びました。2013年段階では、測量器に連動するタブレットPCの扱いを主に説明されているのですが、このPCは使い勝手がよくなかったのか、その後のブータン調査ではほぼ使用されませんでした。タブレットにダウンロードされる北緯・東経のデータは、屋根伏図の空欄に手書きで書き込まれていったのです。先生も、手書きで十分だとの認識であり、今回はタブレットを接続しない場合の操作を整理しておきます。

  【機材】 側距儀 Impulse 200LR  側角儀 Mapstar  三脚
  【手順】 ①測量器一式を組立て設置。 ②Impulse 200LRの電源ボタンを押す(↓)

170829倉田八幡宮② 図3インパルス電源ボタン等
  
 ③Mapstarの電源ボタンを押す(↓)

170829倉田八幡宮③ 図4マップスター電源ボタン等


 ④Impulse 200LRのスコープ・サイト(図2)を見通して、測量の対象物がある方向に照準を定め、測定ボタン(図3右端?)を押す。
 ⑤Impulse 200LRに対象までの距離、Mapstarに方角がそれぞれ表示される。手書きで野帳に記録。
 ⑥Impulse 200LRは左端と中央のボタンを同時に押し、Mapstarは最上段の左右2つのボタンを同時に押すと電源が切れる。


0820調査風景01



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そば米

0819そば米01 0819そば米01sam


バレリーナの主食

 8月15日(火)の終戦記念日、甲子園の4試合が中止・順延になり、NHKは代わりの番組を放送し続けた。大半は再放送である。第1試合の代わりは、6月27日(火)あさいちの「そばの実」特集。
 まず、ロシア屈指のバレリーナ集団が登場する。取材班は一人のマドンナの自宅を訪問し、彼女の食生活を覗きみると、お皿いっぱいのそば米(蕎麦実を茹でたもの)に少々トッピングした主食で、料理法はシンプルだが、バレリーナは「とても美味しい」と言い、さらに笑みを浮かべながら「なにより太らないから」と言葉を続けた。


0819そば米02 殻付蕎麦実


 マドンナのコメントをうけて、スタジオで蕎麦の効用が語られる。ルチンやポリフェノールを多く含むことは誰でも知っていようが、日本蕎麦と決定的にちがうところは、そば米ではそば殻をそのまま食べていることだ。そば殻には胆汁が消化する油分を体外に排出させる効能があるという。30代前半に胆石のため胆嚢を失ったわたしにとって、これ以上の朗報はない。
 続いて、和食、イタリア、中華の3シェフが登場し、そば米の料理を競い合った。そのレシピは こちら に掲載されている。ここに料理名を転載させていただきます。
  
   和食: ぷりぷりそばとろ
   伊食: そばの実のトマトファルシ
   中華: そばの実おこげの夏野菜あん


0819そば米01えんけい 0819そば米03
↑水晒し直後

0819そば米04肉吸01
↑ 納豆そば米と肉吸(肉うどんうどんぬき)。肉吸も簡単につくれる。出汁醤油ベースに牛肉のこま切れをいれ、さらに白ネギを加えて煮る。具材は絹ごし豆腐だけでもいいし、糸蒟蒻を加えるのもあり。椀盛りのさいにとろろ昆布をトッピングすると、鰹出汁と昆布の香りがミックスして絶妙の味に仕上がる。肉吸はほぼ常備の状態です。



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男はつらいよ-寅さんの風景(17)

寅さんは文化庁に先行する_03


寅さんは文化庁に先行する

 お盆休みは終わりましたが、子どもたちお待ちかねの地蔵盆はこれからです。来たる23日、大雲院(鳥取)も河原町(倉吉)も大にぎわいになるでしょう。 
 さて、「住まいと建築の歴史」講義の第15回(最終)のテーマは「居住環境と歴史的環境-町家と町並み」であり、中世城下町から近世陣屋町へと展開した倉吉の話を毎年取り上げます。そして、倉吉もまた「寅次郎の告白」の舞台です。城下町内濠の玉川、外濠の鉢屋川はみな映像になっていますが、撮影は重伝建選定(1998)を7年も遡る1991年のことでした。倉吉の町並みを全国的に広報した最初の媒体は映画「男はつらいよ」であり、その点において「寅さんは文化庁に先行する」と評価し、感謝すべきでしょう。
 「寅次郎の告白」は倉吉のひろい範囲を映し出しています。玉川周辺は重伝建に選定されて町並みの質はほぼ維持されましたが、鉢屋川周辺は重伝建の候補に何度かなりながら、ついに行政が動くことなく、町並みの歯こぼれが劇的に進んでいます。そして、地域再興の起爆剤として期待された小川記念館だけでなく、鉢屋川沿いの地蔵背面に建つ土蔵等の調査研究も昨年の中部地震以来動きがとまってしまいました。


寅さんは文化庁に先行する_04


キリンぐら構想

 そんな中で、磯野長蔵記念館の構想が萌芽し始めています。磯野は明治7年(1877)倉吉市河原町に生まれ、一橋大学卒業後、大正8年(1919)に麒麟麦酒株式会社を立ちあげました(詳細は↓右図をクリック)。キリンビールの生みの親が河原町出身なのです。
 地蔵背面の土蔵(明治中期)を登録文化財にしようという漠然とした想いが先行し、その活用については具体案が示されぬままでしたが、このたび「河原町の文化を守る会」が正式に「磯野長蔵記念館」の構想を練り上げました。これが実現することを願ってやみません。ただ、「磯野長蔵記念館」という呼称は仮称であるにせよ、硬すぎるので、わたしは以下のような名前が良いのではないか、と思っています。

  キリンぐら(麒麟蔵)-磯野長蔵記念館

 キリンはビールのブランド名であるだけでなく、県内東部の民俗文化財「麒麟獅子」をイメージさせる名前で親しみがあります。一方、「くら」は倉吉の「倉」、土蔵・酒蔵の「蔵」、磯野長蔵の「蔵」に通じており、地域・用途・由来等を表現する最良の文字だと思います。自画自賛の独断的命名ですが、参考にしていただければ幸いかと・・・

 
磯野氏 ビラ_01圧縮 磯野氏 ビラ_01 右をクリック

 *「男はつらいよ-寅さんの風景(16)」は こちら に引っ越しました。

初盆

0811珈琲発芽02 


珈琲発芽

 10日(木)は母の初盆ということで、朝9時前に奈良の家を出たのだが、近畿道の摂津南から中国道の宝塚まで25kmの大渋滞。法要に間に合わず直会からの参加になった。初盆を盆前に繰り上げたのは、こうした交通渋滞を避けたかったからだが、結果として歯の治療が裏目に出た。歯痛で奈良に戻らなければ、9日の健康診断後に鳥取から滝野社に直行できたから、こうした大渋滞に巻き込まれることもなかったはずだ。


0811珈琲発芽03


 直会で珈琲の話になった。下の姉が「生豆を買って焙煎すると滅茶苦茶美味しいのよ」と言うので、「なにをおっしゃいますやら、こちらは3~4年がかりで珈琲の樹を育て実を収穫し焙煎して飲んだんよ」と自慢話で答える。
 そのとき、珈琲苗の入手法について聞かれたので、喫茶店のマスターからもらって育てたことをのべ、この春に珈琲豆を植えたのだが、なかなか発芽しないことも付け加えた。今度は患者が反論する。

  「いえ、芽がでてるよ!」
  「えっ・・・・・」


0811珈琲発芽01



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歯痛やわらぐ訳

 じつは8日(火)の移動中、腹痛とともに歯痛も抱えていた。いや、8日は歯の痛みが鈍くなっていたのだが、その前の週末はなかなか悲惨だった。左下奥歯の親知らず。モノを噛むだけで結構な痛みが走った。思い起こせば、6月は蕁麻疹がでるほど疲弊した一月で、時計のバンド部品が二度なくなり、くだんの奥歯の詰物が二度はずれた。その詰物の下で痛みが続いている。8月1週の週末はオープンキャンパスのため鳥取にいたのだが、痛みは増す一方。近くのドラッグストアでバファリンのジェネリックと新今治水を買って凌いでいた。症状は悪化している。
 状況は切迫していた。8日に摩尼山登山、9日に健康診断があるので、治療は10日以降になるのだが、奈良のホーム・デンティストは10日~15日が盆休みであり、治療の予約は16日にいったん決まった。しかし、よく考えてみると、23日から1週間、チベット踏査が決まっている。青海湖からラサをめざす旅である。ラサの標高は3700メートル。青蔵高原の旅にでるまでにどうしても歯を治しておかなければならない。しかし、自ら感じる痛みから察するに、治療には時間を要するように思われた。1~2回では済まないだろう。そんな思案にくれているうちに台風5号がやってきた。摩尼山登山は回避せざるをえない。9日の健康診断についても、断念するしかない。年に1回の健康診断は、日程調整でも時間がかかり、1~2ヶ月前から食事制限しつつジム通いの回数を増やして備えるのだが、今回ばかりは歯の治療を優先しなければならないと判断した。


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恋山形駅

0808恋山形駅01


ピンク再考

 「寅さんの風景」や「パリンカの夢」を人前でスピーチする際、しばしば鳥取県の推進する「ピンク政策」にもの申す。なんでもかんでもアイデアを出せばよいというものではなく、地域の特性に即した形で県の振興と広報を進めるべきであり、たとえば鳥取が桃の産地なら「ピンク」もありえるが、なんの脈絡もないままカレーや醤油をピンクにしたって意味はないし、売り上げが伸び続けるはずもない。あえて喩えるなら一発芸人のブレイクみたいなもので、刹那い終幕を迎えるに決まっている。
 わたしのように近代化遺産の調査に係わってきた者からみれば、SLをピンクに塗り替えることなど言語道断であり、涙がこぼれそうになる。こうしたピンク政策の先駆をなした智頭線の駅舎「恋山形駅」も気になっていた。もし、安部駅や隼駅のような木造駅舎がピンクに塗られたとしたら、これはもう完全な文化財破壊に値するので異議申し立てしなければならないと思っていたのである。


0808恋山形駅02


 台風一過の8月8日(火)、急遽、恋山形駅を訪れた。山あいにあるその駅は鉄骨構造の建物であった。正直、ほっとした。ここでクレームめいたことを書かなくて済むことを執筆者本人が喜んでいる。
 ネット情報を整理すると、恋山形駅の沿革は以下のとおりである。1994年12月、 智頭線開業にともなって現在の場所に駅舎を新設。「来い山形」をもじって「恋山形駅」を駅名とする。 2013年、名前に「恋」のつく4駅(恋山形駅・母恋駅・恋し浜駅・恋ヶ窪駅)による「恋駅プロジェクト」の一環として、駅舎をピンク色に塗装替え。 2016年、 ピンク色の「恋ポスト」を設置(↓)。

 滞在した半時間ばかりのあいだ人影はなかった。地元の人が満足ならば、これもありかな、とは思う。


0808恋山形駅02ポスト01


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男はつらいよ-寅さんの風景(15)

虹をつかむ男-南国奮闘篇


虹をつかむ男-南国奮斗篇

 『虹をつかむ男』(1996)のラストシーンに涙し、結構な手続きを経てレンタル叶った第2話「南国奮斗篇」だが、消化不良の感が否めなかった。
 ついにオデオン座を休館にしたカッチャン(西田敏行)は、奄美大島での巡回上映をスタートさせる。奄美は、寅さんシリーズの最終作にあたる『寅次郎紅の花』(1995)の舞台で、満男が泉ちゃんに告白する場面で使われており、山田監督お気に入りの場所なのであろう。余談ながら、「紅の花」は「べにのはな」ではなく、「くれないのはな」と読むことを今知った。思い出されるのはジブリの「紅(くれない)の豚」(1992)だが、驚いたことに、ジブリのほうが寅さん最終作より古いんだな・・・さらに余談になるが、ちあきなおみ最後のシングル「紅い花(あかいはな)」は1991年のリリースである。

 全体の流れは寅さん晩期のWマドンナ体制に近い。亮(吉岡秀隆)は出戻り女の節子(小泉今日子)、カッチャンは元彼女もどきの松江(松坂慶子)に恋をする。この映画の最大の見所は小泉今日子の艶やかさであろう。個人的にはあまり好きな女優さんではなかったのだが、この作品に限っていうと、素直に魅力的だと思った。小泉が出ているシーンとそうでないシーンでは、あきらかに吸引力に差がでている。あとは、巡回映画館のバイト役を演じる吉本芸人の小籔千豊も軽妙で良い味を出している。当時は20代半ばで、その前後も山田監督の作品に結構出演しているようだ。
 ストーリーはごく平凡なものだが、「映画を主題とする映画」である点はやはり注目すべきだと思う。しかし、今回は前回ほど映画に対する思い入れが語られないし、上映本数も多くはない。徳之島町中央公民館で上映される「寅次郎ハイビスカスの花」には正直期待したが、映写機の不調から西田&小泉のエンタテイメント・ショーに変わり、最後は島人総勢の盆踊り大会になってしまった。それは奄美の風土性を表現する映像であり、高く評価する向きもあるだろうが、寅フェチには物足りない展開であった。
 山田監督が脱寅さんをめざして一歩踏み出そうとした気持ちはなんとなくわかる。しかし、結果として、(おそらく)興業は不振であり、而して二話で終幕を迎えたのであろう。アマゾンでは4000円以上、レンタル店には在庫なし、という現状もやむをえぬところか(アマゾンのレビューが評価高すぎる?)。
 しかし、「映画を主題とする映画」の復活にはやはり期待したい。





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上方往来河原宿の調査(2)

170803.jpg 城山から


旧鍛冶屋さんの調査

 8月3日(木)。河原宿を再訪し、夏休みの課題として取り組む予定だった二軒の矩計図+立面図を作成しました。当初は町並み組のみで挑む予定でしたが、結局、四年全員での演習になりました。
 元鍛冶屋さんだったS家は、矩計図をだっしょ君、立面図を私が担当しました。私は断面図を描いたことがないので、時間内に仕上げることができないと判断し、立面図の方に立候補しました。作業と同時に家主さんに詳しいお話をうかがいました。S家は、存命ならば今年93歳のおじいさんが子供の頃から建っていたそうです。とすれば、築後90年以上である可能性が高いですが、明治期でおさまるのか、幕末期まで遡るのかは不明です。袖壁が付いている左(南)側の建物は元米屋で停車のためセットバックしています。この建物と鍛冶屋さんのオモヤは廊下で繋がっているように見えます。以前は廊下で繋がっていたが、今は塞いでしまって繋がっていないとのことです。右(北)側の建物は元は洋服屋さんでした。


170803-1.jpg 
↑S家(左)と元洋服屋(右)  ↓元米屋(S家の南隣)
170803-2.jpg



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プロフィール

魯班13世

Author:魯班13世
--
魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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