中国というブラックホール(Ⅱ)
ヤンゴン空港の7時間
MU2032便のゲートはいつまで待っても開かない。都合7時間カフェに居座り続けた。やることは結構ある。インレー湖で撮影したばかりの写真を使って賀状を試作したり、査読論文を読んだり、Nboxをぶつけてベソをかいている娘に指示をだしたり、ブログを書いたり、ラオルオにメールを入れるのももちろん忘れていない。最後のメールはヤンゴン19:35(中国21:05)に送信している。
飛機8:50離陸。非常対不起!
実際はボーディングが9時前までずれこみ、離陸は9時半を過ぎた。昆明着は中国24:00になるだろうから、ラオルオとの再会は事実上断念せざるをえなくなった。MU2032の機上で私と社長は翌29日の対策を検討し続けた。帰国のMU747便(昆明~上海~関空)は早朝07:40発。上海までは国内便なので、1時間前までに空港に着けばいい。とすれば、錦江大酒店の6時のリムジンに乗ればまにあう。4~5時間の睡眠時間を確保できるのだから、空港待機ではなく、ホテルに移動して体を休めるべきだと考えていた。
霧に消えた再会
中国時間の23:30ころになって、「着陸のため機体を下降させます」というアナウンスがあった。たしかに重力の変化を感じたし、窓外下方に街の灯りを確認した。ところが、しばらくして機体の下降はとまり、窓外は暗闇に包まれた。再びアナウンスがあり、聞き耳を立てていたところ、アテンダントと中国人乗客のあいだで小競り合いが起き始めた。
大霧のため昆明の空港に着陸できないので、シーサンパンナに着陸するという通告に席は騒然とし、「降りるんなら成都にしろ!」という罵声が聞こえた。10分ばかりして着陸地を成都に変更するというアナウンスがあり、客席の一部から拍手がおこった。大変なことになった。成都まで飛ぶガソリンがあるなら、昆明の上空を旋回し続けてくれるほうがありがたい。霧が晴れた一瞬を狙って着陸するのだ。成都に行けば地獄が待っている。私たちのeチケットは「昆明発07:40(上海経由)関空着15:40」のフライトであり、出発地が成都に変わることで、その代替チケットの要求が難しくなるだろう。近くにいるアテンダントにその旨伝えると、彼女は諭すように優しく返答した。
「その問題は了解しています。空港で地上勤務の者が対応しますので安心してください」
こんな科白は嘘に決まっている。芝居だ。騙されてはいけませんよ、みなさん。空港ではだれも待っていないし、何もしてくれない。2年前のウルムチでひどい目にあい、今回の成都でも同じだった。地上に降りても、乗客を誘導したり、指示を与えたりするMUの職員は一人もいない。乗客は互いに情報を交換しながら空港内を彷徨い歩き、バス乗り場で3台のバスに分乗させられた。皆どこにいくのかわからない。10分ばかりで、バスは空港に近い翔宇賓館というホテルに到着し、航空券と引き換えに部屋の鍵を渡された。相変わらずなんの指示もない。
MU2032便のゲートはいつまで待っても開かない。都合7時間カフェに居座り続けた。やることは結構ある。インレー湖で撮影したばかりの写真を使って賀状を試作したり、査読論文を読んだり、Nboxをぶつけてベソをかいている娘に指示をだしたり、ブログを書いたり、ラオルオにメールを入れるのももちろん忘れていない。最後のメールはヤンゴン19:35(中国21:05)に送信している。
飛機8:50離陸。非常対不起!
実際はボーディングが9時前までずれこみ、離陸は9時半を過ぎた。昆明着は中国24:00になるだろうから、ラオルオとの再会は事実上断念せざるをえなくなった。MU2032の機上で私と社長は翌29日の対策を検討し続けた。帰国のMU747便(昆明~上海~関空)は早朝07:40発。上海までは国内便なので、1時間前までに空港に着けばいい。とすれば、錦江大酒店の6時のリムジンに乗ればまにあう。4~5時間の睡眠時間を確保できるのだから、空港待機ではなく、ホテルに移動して体を休めるべきだと考えていた。
霧に消えた再会
中国時間の23:30ころになって、「着陸のため機体を下降させます」というアナウンスがあった。たしかに重力の変化を感じたし、窓外下方に街の灯りを確認した。ところが、しばらくして機体の下降はとまり、窓外は暗闇に包まれた。再びアナウンスがあり、聞き耳を立てていたところ、アテンダントと中国人乗客のあいだで小競り合いが起き始めた。
大霧のため昆明の空港に着陸できないので、シーサンパンナに着陸するという通告に席は騒然とし、「降りるんなら成都にしろ!」という罵声が聞こえた。10分ばかりして着陸地を成都に変更するというアナウンスがあり、客席の一部から拍手がおこった。大変なことになった。成都まで飛ぶガソリンがあるなら、昆明の上空を旋回し続けてくれるほうがありがたい。霧が晴れた一瞬を狙って着陸するのだ。成都に行けば地獄が待っている。私たちのeチケットは「昆明発07:40(上海経由)関空着15:40」のフライトであり、出発地が成都に変わることで、その代替チケットの要求が難しくなるだろう。近くにいるアテンダントにその旨伝えると、彼女は諭すように優しく返答した。
「その問題は了解しています。空港で地上勤務の者が対応しますので安心してください」
こんな科白は嘘に決まっている。芝居だ。騙されてはいけませんよ、みなさん。空港ではだれも待っていないし、何もしてくれない。2年前のウルムチでひどい目にあい、今回の成都でも同じだった。地上に降りても、乗客を誘導したり、指示を与えたりするMUの職員は一人もいない。乗客は互いに情報を交換しながら空港内を彷徨い歩き、バス乗り場で3台のバスに分乗させられた。皆どこにいくのかわからない。10分ばかりで、バスは空港に近い翔宇賓館というホテルに到着し、航空券と引き換えに部屋の鍵を渡された。相変わらずなんの指示もない。